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発明の名称 吸音ステップ装置を備えた鉄道車両
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−230362(P2007−230362A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−54355(P2006−54355)
出願日 平成18年3月1日(2006.3.1)
代理人 【識別番号】100110386
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 敏雄
発明者 熊谷 孝夫 / 栗山 敬 / 佐野 淳 / 三木 貴士 / 藤沢 雅文
要約 課題
鉄道車両から発生する騒音を低減すると共に、ステップ板を格納する空間が乗降口床下に不要であり、構造を簡単にしたステップ装置やステップ板を提供する。

解決手段
車両の側面下部に側面カバー1を取り付けて、車両走行時の騒音を低減すると共に、車両の乗降口の下方にステップ板3を回動可能に取り付けて、回動機構8によって格納位置と使用位置との間で回動することにより、駅停車時に車両乗降口とホームとの隙間を補完する乗降用ステップとして使用するステップ装置を備え、 側面カバー1は外面側に吸音面が形成された側面吸音カバーであり、上記ステップ板3はその格納位置で車両の外面側に吸音面が露出する構造であり、上記車両乗降口の下方に配置される側面吸音カバー1aは、吸音ステップ板3が格納位置に回動されたとき、該吸音ステップ板を収容する凹み部1a’を備えている。
特許請求の範囲
【請求項1】
車両の側面下部に側面カバーを取り付けて、車両走行時の騒音を低減すると共に、車両の乗降口の下方にステップ板を回動可能に取り付けて、回動機構によって格納位置と使用位置との間で回動することにより、駅停車時に車両乗降口とホームとの隙間を補完する乗降用ステップとして使用するステップ装置を備えた鉄道車両において、
上記側面カバーは、外面側に吸音面が形成された側面吸音カバーであり、
上記ステップ板は、その格納位置で車両の外面側に吸音面が露出する構造の吸音ステップ板であり、
上記車両乗降口の下方に配置される側面吸音カバーは、上記吸音ステップ板が格納位置に回動されたとき、該吸音ステップ板を収容する凹み部を備えており、
上記吸音ステップ板は、車両走行時に発生する騒音を吸収する側面吸音カバーの一部として機能することを特徴とする吸音ステップ装置を備えた鉄道車両。
【請求項2】
上記吸音ステップ板が格納位置に収容されたとき、該吸音ステップ板の外側表面が上記側面吸音カバーの外側表面と面一となり、車両走行時の走行抵抗を低減することを特徴とする請求項1に記載の吸音ステップ装置を備えた鉄道車両。
【請求項3】
上記吸音ステップ板は、表面を覆い、且つ音を通過させる表面板材と、音を吸収する吸音手段と、吸音ステップ板全体の強度部材となる底板から構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸音ステップ装置を備えた鉄道車両。
【請求項4】
上記表面板材には、開口率の高い格子状、網目状又はスリット状の開口が形成されて成り、吸音性能を高め、上記吸音手段を損傷しないように保護すると共に、該表面板材の表面を滑り難くしたことを特徴とする請求項3に記載の吸音ステップ装置を備えた鉄道車両。
【請求項5】
上記吸音手段は、パンチングプレートと吸音材との組合せ、又はパンチングプレートと吸音空間との組合せから成ることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の吸音ステップ装置を備えた鉄道車両。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両乗降口と駅のホーム(プラットホーム)との隙間を補完する乗降用の吸音ステップ装置を備えた鉄道車両に関し、さらに詳細には、該吸音ステップ装置の吸音ステップ板が、車両の床下部分の側面を覆う側面吸音カバーの一部として兼用される鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の新幹線等の鉄道車両においては、車両走行時の騒音を低減すると共に、走行抵抗を小さくするために、図5に示されているように、床下部分の側面カバー21を、台車部分を含めて車両20の側面下部に取り付けている例がある。
これにより、床下機器で発生する騒音、台車の駆動モータや車輪とレール間で発生する騒音等を、ある程度遮蔽(遮音)するとともに、床下部分の側面を平滑化することによって、床下機器部や台車部分の表面の凸凹により生じる空気流の乱れによる空気騒音の発生を低く抑えることができる。
また、車体側面下部に吸音パネルを取り付けることによって、車両走行時の騒音を低減させることが、特開平6−156276号公報、特開2003−72542号公報、及び特開2005−247235号公報等に記載されている。特に、特開2003−72542号公報には、図6に示されているように、車両20の側面下部に吸音材21を取り付けることによって、この車両20のスカート部22から漏れ出た音は、上記側面下部の吸音材21と軌道23の側面に沿って設置された防音壁24との間で、多重反射される過程において騒音レベルが低減されることが記載されている(図6の符号Aで示す部分を参照)。
【0003】
そして、新在直通線である秋田新幹線や山形新幹線に入線する車両は、在来線規格の駅のホームにも停車するため、それらの車両には通常の新幹線の車両よりも幅の狭いもの(車体幅の最も広い部分で約500mm程度車体幅が狭く、ホーム高さ部分で約600mm程度車体幅が狭い)が使用されている。
このため、秋田新幹線や山形新幹線の車両が通常の新幹線のホームに停車したときには、乗降口とホームとの間に300mm程度の大きな隙間が空いてしまう。
そこで、上述した隙間を塞ぐために、それらの車両の乗降口の床面の下方にステップ装置を設けることが、特開平11−268641号公報、及び実公平7−44521号公報等に記載されている。
【0004】
上記特開平11−268641号公報(ステップ装置:特許文献1)に記載されているステップ装置30は、図7に示されているように、乗降客のステップとなるステップ板31と、本体フレーム32と、左側、右側及びセンターの各アーム部材33L,33R,333Cが略コ字形に形成された引出しフレーム33(図7(b))と、リンク部材34L,34Rと、空気圧シリンダ35と、連結シャフト38と、軸部材36L,36R,37L,37Rと、トラニオン金具39などから構成されている。
【0005】
上記ステップ板31は、本体フレーム32に対して、連結シャフト38を中心として回動可能に連結されており、該ステップ板31と上記左側及び右側のアーム部材33L,33Rとは、リンク部材34L,34Rによって連結されている。
このリンク部材34L,34Rは、上記ステップ板31に対してそれぞれ軸部材36L,36Rによって回動可能に連結されており、また、該リンク部材34L,34Rは、上記引出しフレーム33の左側及び右側のアーム部材33L,33Rに対して、それぞれ軸部材37L,37Rによって回動可能に連結されている。
【0006】
上記本体フレーム32は、車両のフレームと一体的に固定されており、この本体フレーム32によって車両の乗降口床面41の下方に、奥行き方向に長く高さの低い空間40が形成されている。
空気圧シリンダ35は、本体フレーム32に対して、トラニオン金具39により回動可能に支持されており、この空気圧シリンダ35のピストンロッド35Rは、上記引出しフレーム33のセンターアーム部材33Cの中央において、回動可能に取り付けられている。
【0007】
上記空気圧シリンダ35に圧縮空気を供給し、ピストンロッド35Rを図7(a)の矢印M1の方向に移動させると、引出しフレーム33はそれと同じ方向に移動し、空間40の中に押し込まれる。これによって、ステップ板31は、連結シャフト38を中心として矢印M3の方向に回動され、格納位置となる(図7(a)の2点鎖線で示された位置を参照)。
また、ピストンロッド35Rが矢印M2の方向に移動するように、空気圧シリンダ35に圧縮空気を供給すると、引出しフレーム33も同じ方向に移動し、図7(a)に実線で示すように空間40から引き出される。これによって、ステップ板31は、連結シャフト38を中心として矢印M4の方向に回動して、使用位置に設定される(図7(a)の実線で示された位置を参照)。
【0008】
車両が通常の新幹線のホームで停車する際には、ステップ板31を使用位置に設定することによって、乗降口とホームとの間の隙間を塞ぐことができる。また、車両が走行中又は在来線のプラットホームに停車するときには、ステップ板31を格納位置とするものである。
なお、ステップ板31が使用位置にあるときに、軸部材36Lと37Lとを結ぶ直線L0が鉛直軸Zに対して傾き角δを有するように設定されており(図7(a)を参照)、軸部材36Rと37Rとの位置関係についても同様である。
このため、ステップ板31に荷重が加わっているときに、空気圧シリンダ35に供給される圧力が低くなった場合であっても、ステップ板31はリンク部材34L,34Rによって機構的にロックされた状態となるので、ステップ板31が矢印M3の方向に回動することが防止されるため安全である。
【0009】
また、鉄道車両において、乗降口とプラットホームとの隙間を塞ぐためにステップ装置を設けることは、実公平7−44521号公報(鉄道車両用側出入口のステップ装置:特許文献2)にも記載されている。
この特許文献2に記載されているステップ装置60は、図8に示されているように、乗降口床面の下方の隙間空間46にスライド式の移動ステップユニット50が格納されており、空気圧シリンダ(図示を省略)により使用位置と格納位置との間で移動されるものである。
【0010】
上記ステップ装置60は、図8に示すように構成されており、車両が通常の新幹線のホームに停車して乗降口44の開閉ドアを開く場合には、先ず空気圧シリンダ(図示を省略)により移動フレーム49を移動させ、移動ステップユニット50を床面下方の隙間空間46からプラットホームPの方向に飛び出させて、所定の位置で停止させる。
次に、移動ステップユニット50に対して回動軸55,58により取り付けられた空気圧シリンダ53を駆動し、可動ステップ板48と基板51との間に設けられた4本のリンク52,52…から成るリンク機構によって、戻りバネ(図示を省略)のスプリング力に抗して可動ステップ板48を上昇させる。該可動ステップ板48が所定の高さで停止された後、乗降口44の開閉ドアが開かれる。(図8(a)を参照)
【0011】
次に、乗客の乗り降りが終了して開閉ドアが閉められた後、空気圧シリンダ53が縮められると共に、戻りバネのスプリング力を利用して、可動ステップ板48を基板51側へ下降させ、該可動ステップ板48が充分に降下したらこれを停止させる。次に、空気圧シリンダ(図示を省略)により移動フレーム49を移動させ、移動ステップユニット50全体を隙間空間46内に水平移動させて格納を完了する。(図8(b)を参照)
なお、符号57は車両の下部壁面を示している。
【特許文献1】特開平11−268641号公報
【特許文献2】実公平7−44521号公報(実開平3−19766号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1及び特許文献2に記載されているものにおいては、走行時の騒音の低減を図るために、車両の側面に対して吸音面を形成した側面カバーを車両の床下側面に取り付けることについて考慮されていない。
また、上記特許文献2に記載されているものは、移動ステップユニット50の部品点数が多く構造が非常に複雑なものであり、さらに、該移動ステップユニット50を格納する広い隙間空間46を乗降口の床下に確保する必要があり、このスペースを何らかの手段で平滑化しないと新たな空気抵抗や空気騒音の発生源となることが考えられる。
【0013】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題は、上記従来技術の有する問題を解消するために、鉄道車両から発生する騒音を低減すると共に、ステップ板を格納する空間が乗降口床下に不要であり、且つ、部品点数を減らして構造を簡単にすることができるように、ステップ装置の構造やステップ板について工夫することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題に対する解決手段は、外面側に吸音面が形成された吸音ステップ板を、車両の乗降口の下方に回動可能に取り付けることにより、乗降口とホームとの隙間を補完する乗降用ステップとして、また、車両走行時の騒音を低減させるための側面吸音カバーの一部として、兼用することが基本となる。
【0015】
(1) 上記課題を解決するための手段(請求項1に対応)は、車両の側面下部に側面カバーを取り付けて、車両走行時の騒音を低減すると共に、車両の乗降口の下方にステップ板を回動可能に取り付けて、回動機構によって格納位置と使用位置との間で回動することにより、駅停車時に車両乗降口とホームとの隙間を補完する乗降用ステップとして使用するステップ装置を備えた鉄道車両を前提として、
上記側面カバーは、外面側に吸音面が形成された側面吸音カバーであり、上記ステップ板は、その格納位置で車両の外面側に吸音面が露出する構造の吸音ステップ板であり、上記車両乗降口の下方に配置される側面吸音カバーは、上記吸音ステップ板が格納位置に回動されたとき、該吸音ステップ板を収容する凹み部を備えており、
上記吸音ステップ板は、車両走行時に発生する騒音を吸収する側面吸音カバーの一部として機能するものである。
【0016】
上記のように構成することによって、吸音ステップ板は、使用位置に回動されることにより、停車時に乗降口とホームとの隙間を補完する乗降用ステップとして使用され、また側面吸音カバーの凹み部に収容される格納位置に回動されることにより、走行時に車両から発生する騒音を減少させる側面吸音カバーの一部として使用される。このように、1枚の吸音ステップ板を回動することによって、乗降用ステップと騒音を減少させる側面吸音カバーに兼用することができる。
さらに、吸音ステップ板は格納位置おいて、側面吸音カバーの凹み部に収容されるので、乗降口の床面の下方に収容空間を設ける必要がない。
【0017】
(2) 上記吸音ステップ装置を備える鉄道車両において、上記吸音ステップ板が格納位置に収容されたとき、該吸音ステップ板の外側表面が上記側面吸音カバーの外側表面と面一となり、車両走行時の走行抵抗を低減することができる。
このような構成により、吸音ステップ板を収容する箇所が車両の外側部分であっても、車両走行時の走行抵抗を増大させることはない。
【0018】
(3) 上記吸音ステップ装置を備える鉄道車両において、上記吸音ステップ板は、表面を覆い、且つ音を通過させる表面板材と、音を吸収する吸音手段と、吸音ステップ板全体の強度部材となる底板から構成することができる。
このような構成により、吸音ステップ板は、車両の乗降用ステップとしての特性と、音を吸収する吸音板としての特性とを充分に併せ持つことができる。
【0019】
(4) 上記吸音ステップ装置を備える鉄道車両において、上記表面板材には、開口率の高い格子状、網目状又はスリット状の開口が形成されて成り、吸音性能を高め、上記吸音手段を損傷しないように保護すると共に、該表面板材の表面を滑り難くすることができる。
このような構成により、吸音効果を高めながら、吸音ステップ板を滑り難くすることができるので、乗降客の安全性を高くすることができる。
【0020】
(5) 上記吸音ステップ装置を備える鉄道車両において、上記吸音手段は、パンチングプレートと吸音材との組合せ、又はパンチングプレートと吸音空間との組合せにより構成することができる。
このような構成により、吸音ステップ板の大きさ、形状、使用される環境、要求される特性等に応じて、適合する吸音手段を選択することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果を説明すると、次ぎのとおりである。
1枚の吸音ステップ板を使用位置と格納位置の間で回動することによって、乗降用のステップとして、また側面吸音カバーの一部として兼用することができるので、車両走行中の騒音や走行抵抗を低減することができるばかりでなく、乗降口の床面下方に吸音ステップ板を格納する大きな空間を確保する必要がなく、また、構造が簡単で部品点数を少なくすることができ、車両の軽量化にも寄与することができる。
また、吸音ステップ板の表面板材は、開口率が高く吸音手段を保護するように成っているので、吸音ステップ板は吸音性能が高く、騒音を効率よく低減することができる。
さらに、吸音ステップ板は、その表面に滑り難い凹凸形状(凹凸模様)を形成しているので、吸音ステップ板上でのスリップを防止することができ、乗客の安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は先頭車両全体の斜視図であり、図2はホームに停車した車両の乗降口部分の斜視図である。また、図3は車両の乗降口下部の要部断面図であり、図4は吸音ステップ板を説明する斜視図である。
鉄道車両10の側面下部は、図1に示されているように、従来例と同様であり、走行抵抗を下げるとともに空気騒音の発生を抑制するため、車両の側面下部(床下側面部分及び台車側面部分)が側面吸音カバー1,1aにより覆われている(符号1aは、台車部分の側面吸音カバーを示す)。
そして、車両乗降口2(乗務員乗降口2’も含む)の下側部分には、フラップ式の吸音ステップ板3を備える乗降用の吸音ステップ装置が取り付けられている。
【0023】
上記フラップ式の吸音ステップ板3は、図1〜図4に示されているように、略長方形の板状部材であって、その幅寸法(車両の前後方向の長さ)は乗降口2の幅より少し広く、奥行寸法(車両の幅方向の長さ)は車両乗降口と駅のホームとの間の隙間を補完する長さに設定されている。例えば、山形・秋田新幹線では、乗降口2の幅寸法が900mmであり、吸音ステップ板3の幅寸法が約1500mm、奥行寸法が約300mmである。
この吸音ステップ板3は、図3に示されているように、その上側縁部(乗降口床面4に最も近接する部分)が車両乗降口2の下方部分に支軸5により枢着されて略90°回動可能に支持されており、乗降口床面4の下方の空間部分に設けられた回動機構8によって、使用位置(乗降時の位置、図3の2点鎖線の位置)と格納位置(走行時の位置、図3の実線の位置)の間で回動し得るように成っている。
【0024】
上記回動機構8は、空気圧シリンダ等によって吸音ステップ板3を回動し得る機構であるが、空気圧式に限らず電気式、油圧式等の如何なる方式の回動機構であっても差し支えない。例えば、図7に示されている従来例のステップ装置に使用されている回動機構を使用することも可能である。この場合、図3における符号6及び7は、本体フレーム及び引出しフレーム(右側のアーム部材)に該当する。
このような回動機構8の動作によって上記吸音ステップ板3が使用位置へ回動されると、この吸音ステップ板3は乗降口2とプラットホームPとの間にできる隙間を補完して、乗降客のステップとして機能する。また、上記吸音ステップ板3が格納位置へ回動されると、側面吸音カバー1,1aに形成された凹み部1',1a'に収容される。このとき、該吸音ステップ板3の外側表面は、上記側面吸音カバー1,1aの外側表面と面一に成るように構成することができる。
【0025】
次に、上記吸音ステップ板3自体の構成について、図4を参照しながら説明する。
この吸音ステップ板3は、その表面板材である滑り止め板11と、この滑り止め板11の内側に設けられ、音を通すための細かな孔の開いた板状部材であるパンチングプレート12と、このパンチングプレート12の内側に設けられる吸音材13と、この吸音材13が設けられる凹所14bとヒンジ部14aを備え、該吸音ステップ板3全体の強度部材となる底板14とから構成される。
【0026】
上記滑り止め板11は、靴等の乗客の履き物によっても、その内側の吸音手段(パンチングプレート12と吸音材13)を損傷せずに、且つ乗客の乗り降りの際に滑り止めとなるように凸凹のある形状であり、耐久性と共に吸音ステップの目的である吸音性能を高めるために、開口率の高い格子状、網目状又はスリット状の開口を持つことが必要である。そこで、ステンレス板やアルミ合金板を立体プレス及び打ち抜き加工した板が、重量も軽く耐摩耗性も高いので、滑り止め板として望ましいものである。
【0027】
上記滑り止め板11の内側に設けられて、上記吸音材13を保護する目的のパンチングプレート12は、該吸音材13の中にごみ等が入り難いように細かな孔が開けられ、吸音効果を高めるためにトータルで開効率の高い板であることが要求される。そのため、アルミ合金等の軽合金板、又はステンレス板から成るパンチングプレートが望ましい。
なお、滑り止め板11とパンチングプレート12は、強度を高く保ち細かな孔を全体に配置しながら、滑り止めとなる凸凹形状を兼ねることができるものであれば、両者の役割を兼用した1枚の板として形成することも可能である。
【0028】
上記パンチングプレート12の内側に設けられる吸音材13は、グラスウールやロックウール等の繊維系の素材、又は発泡金属や無機系の発泡材とすることが可能である。
また、上記吸音材13に替えて、パンチングプレート12とその背後のスペース(吸音空間13a)を組み合わせることによって、ヘルムホルツ共鳴箱の原理を利用した吸音箱構造とすることも可能である。この場合は、ハニカム構造のような強度を高める構造とすることが望ましい。
そして、上記底板14は、軽量であり強度の高いアルミ合金等の軽合金により構成するか、又は同様に強度の高いカーボンファイバー・レインフォースド・プラスチック(CFRP)により構成することが望ましい。
【0029】
上記吸音ステップ板3の吸音作用について簡単に説明する。
車両から発生した音は、滑り止め板11の開口11aやパンチングプレート12の孔を経て、吸音材13又は吸音空間13aを通り底板14の表面で反射されて逆方向に戻され、再度滑り止め板11の開口11aを経て放射される。このとき、吸音材13又は吸音空間13aにおいて音のエネルギーが吸収されるので、伝播する音のレベルが低減される。
【0030】
次に、上記車両の側面下部に取り付けられた側面吸音カバー1,1a自体の構成とその作用について、図1〜図3を参照しながら説明する。
この側面吸音カバー1,1aは、従来の側面カバーと類似する形状を有するものであり、図3及び図4に示されている吸音ステップ板3の形状とは異なるものである。しかし、吸音させるための積層構造については、滑り止め板11の有無を除けば、パンチングプレート15、吸音材16又は吸音空間16a、及び基板17(底板14に相当するもの)を備える点において同じであり、その作用についても同様であるので、詳しい説明は省略する。
なお、側面吸音カバー1,1aの基板17には、図3に示されているように、その周辺部に補強用の外縁部17aが形成されている。
【0031】
次に、上記実施の形態による吸音ステップ装置の動作について、図2〜図4を参照しながら説明する。
車両が通常の新幹線のホームPに到着すると、乗降口2のドア2dを開ける前に、回動機構8の空気圧シリンダ(図示を省略)を駆動して、引出しフレーム7を車両の外側方向(ホームP側)へ移動することにより、吸音ステップ板3を車両本体から離れる方向(図3での反時計方向)に回動して、乗降口2とホームPとの間の隙間を補完する使用位置に設定する。このように吸音ステップ板3が使用位置に設定された後、乗降口2のドア2dが開けられて乗客の乗り降りが開始される。このとき、該吸音ステップ板3は乗降用ステップとして機能する。
【0032】
乗客の乗り降りが終了すると乗降口2のドア2dが閉じられ、該吸音ステップ板3は乗降用ステップとしての役割を終える。その後、回動機構8の空気圧シリンダ(図示を省略)を先程とは逆方向に駆動して、該吸音ステップ板3を車両本体に近づく方向(図3での時計方向)に回動して、側面吸音カバー1,1aの凹み部1',1a'内に格納して、発車することになる。
このとき、該吸音ステップ板3の外側表面は、車両の外側表面や側面吸音カバー1,1aの外側表面と面一と成る。
【0033】
このようにして、車両が通常の新幹線区間を走行している時は、図3に実線で示されているように、吸音ステップ板3が格納位置にあって、側面吸音カバー1,1aと同様に吸音作用を果たすことになるため、ステップ装置の装着が必要である山形・秋田新幹線のような新在直通線の車両であっても、側面吸音カバー1,1aの有効吸音面積を減少させることなく、吸音面積を充分に確保することが可能となる。
車両の走行中に側面吸音カバー1,1aの下方空間から漏れ出した音は、図6で模式的に説明するように、軌道23に沿って設けられた防音壁24と、車両側の側面吸音カバー1,1aや吸音ステップ板3との間で多重反射されるが、この多重反射の過程において吸音材13,16又は吸音空間(吸音箱)13a,16aに入射し、音のエネルギーが吸収されて伝播する音のレベルが低減される。(図6のAを参照)
したがって、防音壁24を越えて伝播する音のレベルを十分に低減させることができるので、騒音公害の発生する恐れを極力小さくすることができるばかりでなく、空力抵抗も充分小さく抑えることが可能である。
【0034】
また、車両10が在来線区間にある時は、駅のホームに停車している場合や駅間を走行している場合でも、吸音ステップ板3は常に格納位置に収容されているので、通常の新幹線区間を走行している場合と同様に、車両走行時の騒音を充分に低減することができると共に、空力抵抗も充分小さく抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】は、本発明の実施の形態による先頭車両全体の斜視図であり、車体下部における側面吸音カバーと吸音ステップ板の配置に関する説明図である。
【図2】は、本発明の実施の形態による車両が、通常の新幹線のホームに停車した場合における乗降口部分の斜視図である。
【図3】は、本発明の実施の形態による車両において、吸音ステップ板を格納した場合における乗降口下部の要部断面図である。
【図4】は、本発明の実施の形態による吸音ステップ板の構造を説明する斜視図である。
【図5】は、従来の鉄道車両の斜視図であり、側面カバーについての説明図である。
【図6】は、車両の側面下部に吸音材を設けた場合において、音の伝播を説明する模式図である。
【図7】は、従来のステップ装置に関する模式図であり、(a)はステップ装置の要部断面図、(b)はステップ装置の要部平面図である。
【図8】は、従来の別のステップ装置に関する模式的な要部断面図であり、(a)はステップ装置が使用状態にある場合、(b)は格納状態にある場合である。
【符号の説明】
【0036】
1…側面吸音カバー 1a…台車部分の側面吸音カバー
2…乗降口 2’…乗務員乗降口
2d…ドア 3…吸音ステップ板
4…乗降口床面 5…支軸
6…本体フレーム 7…引出しフレーム
8…回動機構
10…車両 11…表面板材(滑り止め板)
11a…開口 12…パンチングプレート
13,16…吸音材 13a,16a…吸音空間
14…底板 14a…ヒンジ部
14b…凹所 15…パンチングプレート
17…基板 17a…外縁部
P…駅のホーム(プラットホーム)





 

 


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