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発明の名称 高速走行用の編成列車
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−91221(P2007−91221A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2006−304676(P2006−304676)
出願日 平成18年11月10日(2006.11.10)
代理人 【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
発明者 鳥居 昭彦 / 成瀬 功 / 栗山 敬 / 塚原 克之 / 中井 一人 / 佐野 淳
要約 課題
微気圧波の低減効果を損なうことなく、余裕のある客室空間の確保を可能とする。

解決手段
先頭車両31,41は、先頭部分の前側の断面積増加領域の断面積増加率が、後側の断面積増加領域の断面積増加率よりも大きい。中間の断面積増加領域は、運転室に対応する部分であって、前側及び後側の断面積増加領域よりも断面積増加率が小さく前半部分の断面積増加率が後半部分の断面積増加率より大きくなっている。先頭車両先頭車両31に続く2番目の車両32に段部32aを形成する。また、先頭車両41に続く2番目の車両42の先頭部で段部42aを形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数の車両を連結して編成される高速走行用の編成列車において、
先頭部分の前側の断面積増加領域の断面積増加率は、後側の断面積増加領域の断面積増加率よりも大きく、中間の断面積増加領域は、運転室に対応する部分であって、前側及び後側の断面積増加領域よりも断面積増加率が小さく前半部分の断面積増加率が後半部分の断面積増加率より大きくなっている先頭車両を備え、
前記先頭車両に続く後続車両のいずれかの車両が、それより前側に位置する車両の後尾の横断面積とほぼ一様の横断面積を有する前側部分と、この前側部分より車体高さ又は車体幅が大きく後側に位置する車両の先端の横断面積とほぼ同じ車体高さ又は車体幅で余裕がある前記客室空間を確保する後側部分とを有することを特徴とする高速走行用の編成列車。
【請求項2】
複数の車両を連結して編成される高速走行用の編成列車において、
先頭部分の前側の断面積増加領域の断面積増加率は、後側の断面積増加領域の断面積増加率よりも大きく、中間の断面積増加領域は、運転室に対応する部分であって、前側及び後側の断面積増加領域よりも断面積増加率が小さく前半部分の断面積増加率が後半部分の断面積増加率より大きくなっている先頭車両を備え、
先頭車両に続く後続車両のいずれかの車両が、それより前側に位置する車両の後尾より車体高さ又は車体幅が大きく後側に位置する車両の先端の横断面積とほぼ同じ車体高さ又は車体幅で余裕がある前記客室空間を確保する構成とされていることを特徴とする高速走行用の編成列車。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、高速走行する新幹線等の高速走行用の編成列車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、新幹線などの高速の鉄道車両がトンネルに突入する場合には、その先頭車両によって、トンネル内の限られた空間に存在する空気を押し込むように前記空気が圧縮される。この圧縮された空気が圧縮波となって、トンネル内をほぼ音速に等しい速度で前方へ伝播される。そして、この圧縮波はトンネルの出口に到達したときには出口で反射されるが、それの一部はパルス状の圧力波となってトンネルの出口から外部へ放射される。このパルス状の圧力波を、微気圧波(トンネル微気圧波)という。この微気圧波(パルス状の圧力波)が外部へ放射されることにより、トンネルの出口付近では爆発音とともに微振動等が生じ、周辺の環境に影響を及ぼす場合がある。
【0003】
そのため、高速性能が要求される鉄道車両では、先頭車両の車体先頭部の形状に、いわゆる高速走行時の走行抵抗を減少させるだけでなく、前述したところのトンネルに突入した際に生じる微気圧波を低減させることができる形状とすることが必要とされる。
【0004】
近年、そのような微気圧波を低減させる先頭車両の車体形状がいくつか提案されている。例えば、
(1)横断面積が一定の胴部に接合する接合部から最先端に至る先頭領域を尖らせ、先頭領域の上面側へ突出する運転室窓部(キャノピー)の前後の長さを、先頭領域の前後長さより短くし、運転室窓部の突設根元部に連接する上方肩部の横断面積を、上方肩部に隣接する隣接肩部の横断面積より小さくし、前記先頭領域における最先端寄りの横断面積急変域を除く領域のスカート部又は仮想スカート部を含む横断面積を、接合部から最先端へ向かっていく程に正比例に減少させた構造に先頭部の車体を構成することを提案しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
(2)車体先端から車体前後方向における横断面積が増大する先頭部を有した鉄道車両において、先頭部を先端領域と中間領域とから構成し、先端領域は最大横断面積の半分の断面積に相当する位置よりも先端側とし、中間領域は該先端領域よりも車体長手方向他端側とし、前記中間領域は一定の断面積変化率によって横断面積が変化し、かつ前記先端領域の断面積変化率を中間領域の断面積変化率よりも大きくするものである。この技術においては、前記中間領域に運転室を配置しており、この運転室部前面窓の傾斜角度を前方注視に支障のない角度としており、前記運転室前面窓の両側方部分より下方に凹み部を形成することを提案しているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、前記公報に記載の技術は、いずれも、次の点で課題を有する。すなわち、
第1に、いずれの技術も先頭部の横断面積の変化が先頭車両の車体先端から後方の接合部(一般断面部あるいは最大横断面積部との接合部)にかけて車体の横断面積が連続して緩やかに増大するように、先端から後方にかけてやや上方に傾斜する曲面形状に形成するとともに、その傾斜曲面部分が車体前後方向にできるだけ長くなるように先端部をノーズ状に延ばしている。このため、実際の車体形状の製作に際しては、骨組みに溶接等により張り付ける板金を、ハンマー等で打ち出すことによって凹凸部などの複雑な形状を形成しているので、作業に熟練を要することはもとより、多大な時間がかかって生産性が非常に低く、製造コストが極めて高くなるうえに、車体先頭部の車体前後方向において占める長さが長くなるため、車室が制限され、乗車定員が減少する。
【0006】
第2に、いずれの技術も先頭部の横断面積の変化が先頭車両の車体先端から後方の接合部にかけて直線的に連続している。このため、鉄道車両がトンネル内に突入したときの、トンネル内のある位置における圧力変化は、圧力勾配が緩やかになっているとしても漸次高くなっている。一方、トンネル内を伝播する圧縮波の速度(音速に近い)は、圧力が上昇するのにしたがって速くなるから、トンネルの距離がある程度長くなると、せっかく車体の先頭部形状を工夫したことによって圧縮波の圧力を分散したにもかかわらず、分散された圧力がトンネルの出口では集合されて一度に大きな圧力のパルス状圧力波(微気圧波)となって外部へ放射され、トンネルの出口周辺において大きな爆発音が発生したり、振動等が生じたりするおそれがある。
【0007】
そこで、出願人は、鉄道車両がトンネル内に突入する場合に、トンネルと車両によって発生する微気圧波を分散させて低減するための鉄道先頭車両の車体形状を先に提案している(例えば、特許文献3参照)。具体的には、車体の先端部分をやや後方に傾斜させて上方に立ち上げることにより第1段目の断面積増加領域を形成した後、横断面積をほぼ一定に保ってほぼ水平に後方に延設した後、再びやや後方に傾斜させて上方に立ち上げることにより第2段目の断面積増加領域を形成し、(第1段目の横断面積)/(第2段目の横断面積)の面積比が0.6以上で、第1段目と第2段目の断面積増加領域の間隔を15m以上にしたものである。
【特許文献1】特開平7−89439号公報(第2頁〜第3頁)
【特許文献2】特開平8−198105号公報(第2頁〜第5頁)
【特許文献3】特開平11−321640号公報(第2頁〜第4頁、図1〜図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのような高速走行する先頭車両の車体は、一般に、微気圧波の低減を図るため、運転室が形成される先端部分について横断面積を小さくする等の何らかの工夫が施されている。そして、その先頭部分の後端に連続し客室空間が形成される一般部分は、先頭部分の後端とほぼ同じ大きさの一様な横断面積とされ、これの後続車両(二両目以降の車両)もほぼ同じ大きさの一様な横断面積とされている。
【0009】
ところで、図8に示すように、鉄道先頭車両の車体は、一般部分を基準として断面積比が小さいほど、微気圧波の大きさの指針となる圧力勾配指数(圧力勾配dp/dtと基準となる圧力勾配dp0/dt0との比)が小さくなることが確認されている。
【0010】
そこで、そのような一般部分において、客室空間を大きくするために段部を設け横断面積を大きくしても、その段部(断面積変化部分)を前側部分(先頭部分に連続する部分)に設ける場合には微気圧波の低減効果に影響があるかもしれないが、後側部分に設ける場合には大きな影響がないのではないかという着想に基づき、それの後側部分の高さ及び車体幅を前側部分のそれらよりも2割程度大きくして、微気圧波の数値シミュレーション解析を行ったところ、(i)先頭部分での圧力勾配指数の変化程度は、一般部分の後側部分の高さ及び車体幅を大きくしない場合と同じ程度であり、(ii)一般部分の後側部分の高さ及び車体幅を大きくしたことによる前記一般部分での圧力勾配指数のピーク値は、先頭部分での圧力勾配指数のピーク値を超えることはないことを見出した(図9(a)参照)。すなわち、一般部分において、後側部分の高さ及び車体幅を前側部分のそれらよりも大きくしても、微気圧波に対する影響は大きくないと考えられる。
【0011】
この点についてさらに具体的に説明すると、一般部分の後側部分の高さ及び車体幅を大きくしない場合についての結果を図9(a)に実線で示す一方、一般部分の後側部分の高さ及び車体幅を大きくした場合(一般部分の前側部分に対し後側部分を1.2倍の横断面積にした場合)についての結果を図9(a)に他の線で示す。一般部分において後側部分の横断面積を前側部分のそれより大きくすると、一般部分の断面積変化部分(段部)に対して圧力勾配指数のピーク値が新たに生ずる。そのピーク値は、先頭部分におけるピーク値(最大値)の6割程度で、それを超えないことが確認された(この圧力勾配指数のピーク値が、微気圧波の最大値を決定すると考えられる)。図9(a)には、先頭部分の長さをLtop、先頭から一般部分の後側部分の高さ及び車体幅を大きくした部位までの長さをLnon roofとし(図9(b)参照)、Lnon roof/Ltop=1.1,1.6,2.2の3種類について解析した結果を示すが、いずれの場合のピーク値も、先頭部分のピーク値(最大値)を超えることがなかった。
【0012】
つまり、一般部分において後側部分の高さ及び車体幅を大きくしても、微気圧波に対する影響はほとんどなく、しかもその大きくする部位(段部)の位置もあまり問題にならないと考えられる。この段部の位置があまり問題とならないことから、先頭車両に続く後続車両の高さ又は車体幅を大きくしても、同様な効果が得られると考えられる。
【0013】
そこで、発明者らは、先頭車両の一般部分の後側部分や先頭車両に続く後続車両においてそれらの車体高さ又は車体幅を大きくすることにより、客室空間が形成される部分の横断面積を増大させても、微気圧波の低減効果を損なうことなく、余裕がある客室空間を確保することができるとの着想に基づき、微気圧波の低減効果と余裕がある客室空間の確保の両立が図れる本発明を開発するに至ったものである。
【0014】
本発明は、微気圧波の低減効果を損なうことなく、余裕がある客室空間を確保することができる鉄道先頭車両の車体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1,2の発明は、複数の車両を連結して編成される高速走行用の編成列車において、運転室が形成される先頭部分の後側に、客室空間が形成される一般部分が連続する先頭車両を備え、前記先頭車両の一般部分が、前記先頭部分の後端に連続し横断面積がほぼ一様である前側部分と、この前側部分より車体高さ又は車体幅が大きく後続車両とほぼ同じ車体高さ又は車体幅となる後側部分とを有するものを前提として、さらに発展させたものである。つまり、先頭車両の後部に、先頭車両の後側部分に前側部分に対して横断面積が大きくなる段部(断面積変化部分)が形成されているものである。ここで、段部(断面積変化部分)における車体高さと車体幅との変化量(車体上方や車体左右側方に突出する量)は等しくする必要はなく、例えば車体高さの変化量を車体幅の変化量より小さくすることができる。
【0016】
このようにすれば、客室空間が形成される一般部分が、先頭部分の後端に連続し横断面積がほぼ一様である前側部分と、この前側部分より車体高さ又は車体幅が大きく後続車両とほぼ同じ車体高さ又は車体幅となる後側部分とを有することで、その後側部分に、高さ方向又は幅方向に余裕のある客室空間が確保される。また、前側部分より車体高さ又は車体幅が大きく後続車両とほぼ同じ車体高さ又は車体幅となる後側部分を先頭部分が有することは、先頭部分の前側部分が、微気圧波を低減する効果を損ねることがない。よって、微気圧波の低減効果を損ねることなく、余裕がある客室空間が確保され、微気圧波の低減と余裕がある客室空間の確保との両立を図ることができる。
【0017】
また、先頭部分は、車体幅が車体前後方向において車両先頭から一般部分に向かって直線的(比例的)に徐々に大きくなっているようにすれば、車体高さ方向だけでなく車体幅方向においても寸法を調整して、一般部分に対する先頭部分の断面積比を小さくすることができるようになり、微気圧波の低減を図る上で一層有利となる。
【0018】
すなわち、車体幅方向において寸法を変化させないと、一般部分に対する先頭部分の断面積比を小さくするためには、車体の高さ方向の寸法の調整だけで行う必要がある。これに対し、車体幅方向においても、車両先頭(車両先端)から一般部分に向かって直線的に徐々に大きくなっているように寸法を変化させると、先端側になるほど車体幅が小さくなるので、高さ方向の寸法の調整と相俟って、一般部分に対する先頭部分の断面積比を小さくすることがより一層容易となる。
【0019】
また、前述したところ段部(車体高さ又は車体幅が大きくなる部分)は、先頭車両に設ける必要なく、それに後続する車両に設けてもよいことから、請求項1の発明がなされた。さらには、車両自体の車体高さ又は車両幅がそれの前側に位置する車両の車体高さ又は車両幅より大きくなるようにしてもよいことから、請求項2の発明がなされた。この場合には、車両と車両との間に、横断面積が変化する段部が位置することになる。
【0020】
すなわち、請求項1の発明は、複数の車両を連結して編成される高速走行用の編成列車において、先頭部分の前側の断面積増加領域の断面積増加率は、後側の断面積増加領域の断面積増加率よりも大きく、中間の断面積増加領域は、運転室に対応する部分であって、前側及び後側の断面積増加領域よりも断面積増加率が小さく前半部分の断面積増加率が後半部分の断面積増加率より大きくなっている先頭車両を備え、前記先頭車両に続く後続車両のいずれかの車両が、それより前側に位置する車両の後尾の横断面積とほぼ一様の横断面積を有する前側部分と、この前側部分より車体高さ又は車体幅が大きく後側に位置する車両の先端の横断面積とほぼ同じ車体高さ又は車体幅で余裕がある前記客室空間を確保する後側部分とを有することを特徴とする。
【0021】
請求項2の発明は、複数の車両を連結して編成される高速走行用の編成列車において、先頭部分の前側の断面積増加領域の断面積増加率は、後側の断面積増加領域の断面積増加率よりも大きく、中間の断面積増加領域は、運転室に対応する部分であって、前側及び後側の断面積増加領域よりも断面積増加率が小さく前半部分の断面積増加率が後半部分の断面積増加率より大きくなっている先頭車両を備え、先頭車両に続く後続車両のいずれかの車両が、それより前側に位置する車両の後尾より車体高さ又は車体幅が大きく後側に位置する車両の先端の横断面積とほぼ同じ車体高さ又は車体幅で余裕がある前記客室空間を確保する構成とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明は、以上に説明したように実施され、以下に述べるような効果を奏する。
【0023】
請求項1の発明は、車体前後方向の断面積の変化により微気圧波低減効果がある前記先頭車両に続く後続車両のいずれかの車両が、それより前側に位置する車両の後尾の横断面積とほぼ一様の横断面積を有する前側部分と、この前側部分より車体高さ又は車体幅が大きく後側に位置する車両の先端の横断面積とほぼ同じ車体高さ又は車体幅で余裕がある前記客室空間を確保する後側部分とを有するようにしているので、請求項2の発明は、先頭車両に続く後続車両のいずれかの車両が、それより前側に位置する車両の後尾より車体高さ又は車体幅が大きく後側に位置する車両の先端の横断面積とほぼ同じ車体高さ又は車体幅で余裕がある前記客室空間を確保する構成としているので、微気圧波の低減効果を損なうことなく、後側部分に余裕のある客室空間を確保できる。よって、微気圧波の低減と、客室空間の確保の両立を図ることができる。
【0024】
先頭車両は、車体高さ方向だけでなく車体幅方向においても寸法を調整することができるので、一般部分を基準として断面積比を小さくすることができ、微気圧波の低減を図る上で一層有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0026】
図1は本発明の前提となる高速走行用の編成列車の先頭車両を示す側面図、図2は同平面図である。
【0027】
図1及び図2に示すように、先頭車両の車体1は、運転室が形成される先頭部分Z1の後側に、客室空間が形成される一般部分Z2が連続する構成とされている。そして、先頭部分Z1には、車体高さ及び車体幅が変化することで、車体1の横断面積が車体1の先頭側から後尾側に向かって大きくなる方向に変化する3つの断面積増加領域(すなわち前側、中間及び後側の断面積増加領域Z11,Z12,Z13)が設けられ、横断面積を前後方向において3段階でもって変化させている。そして、前記一般部分Z2が、先頭部分Z1の後端に連続し横断面積がほぼ一様である前側部分Z21と、この前側部分Z21より車体高さ及び車体幅が大きく後続車両(図示せず)とほぼ同じ車体高さ及び車体幅となる後側部分Z22とを有する。この後側部分Z22は、後続車両と横断面積がほぼ等しく、客室空間が前側部分Z21より大きくなっている。
【0028】
先頭部分Z1の前側の断面積増加領域Z11に続く、断面積変化率が緩やかな中間の断面積増加領域Z12に対応して運転室風防21が配設され、この運転室風防21が、運転室の上側に位置し、運転席28の上側を覆うようになっている。運転席28は、車両中心より若干左側寄りに配設されている。
【0029】
先頭部分Z1における後側の断面積増加領域Z13から一般部分Z2における前側部分Z21にわたって、車両左右方向に延びる前側及び後側の横通路22,23がそれぞれ形成されている。両横通路22,23が、車両左右方向に一側において車両前後方向に延びる縦通路24でもって接続されている。前側及び後側の横通路22,23の左右両側に乗降用扉25,26が開閉可能に配設されている。
【0030】
具体的に図示していないが、縦通路24の左右両側部分及び後側の横通路23の前側部分に、それらの部分の高さに応じて各種機器が配置され、微気圧波を低減することができる形状(車体1の形状)において、横断面積の変化にもかかわらず、各種機器のレイアウトが無理なく実現され、運転士の乗降もスムーズに行えるようにされている。すなわち、運転室の後側に横通路22を設け、それの左右両側に乗降用扉25を設け、それのさらに後側に各種機器を配置するようにしているので、運転士が乗降する際に、各種機器が配置されている部分を通過することなく、乗降することができる。
【0031】
従来の先頭車両の車体の先頭部分は、平面視ではほぼ弾丸形状である(図1及び図2破線参照)が、本例の車体1の先頭部分Z1は、平面視では車体幅が車体前後方向において先頭から一般部分Z2に向かって直線的に徐々に大きくなる形状とされている(図1及び図2実線参照)。
【0032】
このように、車体1の先端部分Z1は、横断面積が車体前後方向に沿って変化しているが、前側の断面積増加領域Z11の断面積増加率は、後側の断面積増加領域Z13の断面積増加率よりも大きく、中間の断面積増加領域Z12は、運転室に対応する部分であって、前側及び後側の断面積増加領域Z11,Z13よりも断面積増加率が小さく前半部分の断面積増加率が後半部分のそれより大きくなっている。これにより微気圧波低減効果を有する断面積分布となっている。
【0033】
このような断面積分布を満たすために、車体1は、車体の高さ方向及び車体幅方向において車体高さや車体幅が変化している。そして、前側の断面積増加領域Z11から中間の断面積増加領域Z12の中間部分付近まで、車体幅方向中央部にほぼ運転室の幅に相当する幅を有し徐々に高さが高くなることで横断面積が増加する突部が形成されている。この突部が、中間の断面積増加領域Z12の中間部分付近から、後側の断面積増加領域Z13において上方向及び左右方向に膨らむことで横断面積がさらに増加し、一般部分Z2(前側部分Z21)の車体高さ及び車体幅に等しくなるように形成されている。
【0034】
前述した車体1の形状(以下本発明の車体形状という)は、従来まで用いられていた形状設計に関する試行錯誤的な手法ではなく、数値流体解析(CFD解析)と最適化設計手法(遺伝的アルゴリズム)を組み合わせて、微気圧波が低減する最適先頭部分(最適断面積分布)を数値的に求める設計技術を適用して求め、それに修正を加えたものである。
【0035】
また、前述したように、3つの断面積増加領域Z11,Z12,Z13を有する本発明の車体の先頭部分で、微気圧波による影響をシミュレーション解析をしてみると、図3に示すように、従来の車体の先頭部分の場合(図3の破線参照)には微気圧波の影響の目安となる圧力勾配指数のピーク値が1つでかなり大きいのに対し、本発明の車体の先頭部分の場合(3の実線参照)には圧力勾配指数のピーク値が3つで小さくなり、微気圧波の大きさ自体も大幅に低減されることが確認できた。そのピーク値(最大値)を比較すると、従来の先頭部分に比べて、本発明の先頭部分では28%程度低減されていることが確認される。
【0036】
さらに、これを実験的に確かめるために、トンネル打ち込み試験を実施した。試験装置は、図4に示すように構成される。すなわち、前述したところの先頭部分に対応する横断面積分布を持つ円錐形状の車両模型61(縮尺モデル)を発射装置62を用いて、トンネルを模擬した円筒状パイプ63に、車両速度で打ち込み、評価点(図示せず)での圧力値を測定し、圧力勾配(dp/dt)を計測するものである。なお、64は制動装置である。
【0037】
この試験結果を示す図5(a)(b)からも明らかなように、従来の先頭部分(図5(a)参照)に比べて、本発明の先頭部分(図5(b)参照)の方が圧力勾配指数の低減性能に優れることが確認される。また、その試験結果は、具体的には、本発明の先頭部分は、従来の先頭部分に比べて、28%程度低減され、シミュレーション解析の結果とも一致している。
【0038】
前記一般部分Z2は、前述したように、前側部分Z21と後側部分Z22とで車体高さ及び車体幅が異なる構成とされ、それらの部分Z21,Z22の間に段部1a(傾斜段部)が形成されている。このように一般部分Z2の後端寄りの部位に段部1aを形成しているが、この段部1aを形成することにより微気圧波の低減効果を損なうことはない(図9(a)(b)参照)。このようにして、微気圧波の低減効果を損なうことなく、高速走行用の鉄道先頭車両の後側部分Z22(一般部分Z2)において、車体高さ方向(車体上下方向)及び車体幅方向に余裕がある客室空間が確保される。この客室空間には、前側から連続して左右の座席27L,27Rが一定間隔で前後方向に配設されている。
【0039】
ここで、本例では、前側部分Z21は車体高さ3500mm、車体幅3360mmで、後側部分Z22は車体高さ3600mm、車体幅3380mmとされており、段部1aは、車両全長の90%程度の長さだけ先頭より後方部位に設けられている。ここで、段部1aを設ける位置は、図9(a)より、一般部分Z2の部位であれば、先頭部分Z1の断面積の変化による微気圧波の低減効果を損なうことがないことがわかる。
【0040】
前述したものにおいては、先頭車両の後部に段部を形成するようにしているが、そのほか、先頭車両に後続する車両のいずれかに段部を形成するようにしても、同様の作用効果が得られる。例えば図7(a)に、先頭車両31に続く2番目の車両32に段部32aを形成する例を示す。
【0041】
また、先頭車両に後続する車両のいずれかの車両を、形成するようにしても、同様の作用効果が得られる。例えば図7(b)に、先頭車両41に続く2番目の車両42の先頭部で段部42aを形成する例を示す。
【0042】
これらの場合は、編成列車の長手方向において対称に配置されていることが望ましい。
【0043】
上述したほか、本発明に係る鉄道先頭車両の車体は、次のように構成することも可能である。
(1)前記実施の形態においては、後側部分Z22が、前側部分Z21より車体高さ及び車体幅が大きく後続車両(図示せず)とほぼ同じ車体高さ及び車体幅となるようにしているが、車体高さ及び車体幅を共に同じにする必要はなく、いずれか一方のみ前側部分より大きくし後続車両と同じになるようにすることも可能である。
(2)前述した試験(図4及び図5参照)においては、横断面積を1.2倍にした場合について説明しているが、それに限定されるものではなく、横断面積を2倍程度にすることも可能である。
(3)前記実施の形態においては、車体の横断面積が先頭側から後尾側に向かって大きくなる方向に変化する3つの断面積増加領域(すなわち前側、中間及び後側の断面積増加領域Z11,Z12,Z13)が設けられ、横断面積を前後方向において3段階でもって変化させている先頭部分に適用したものについて説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、先頭部分の前側部分が平面視ではほぼ弾丸形状である従来の車体形状(図1及び図2破線参照)にも適用することができるし、微気圧波の低減効果が要求されるそのほかの高速走行する先頭車両の先頭部分にも適用することができる。なお、先頭部分の前側部分が平面視ではほぼ弾丸形状である従来の先頭部分を有する先頭車両(図1及び図2破線参照)についても、一般部分の段部が圧力勾配指数に対して影響を与えないことが確認されている(図6参照)。
(4)また、前記実施の形態においては、段部1a(車体高さ又は車体幅が大きくなる断面積変化部分)を1つ設けているだけであるが、それに限らず、複数設けることも可能である。
(5)前述した実施の形態における各種機器の配置は、一例を示したものにすぎず、縦通路の両側及び両横通路の間に形成される空間部を、その部分(通路)の高さに応じて、各種機器を自由に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る実施の形態の一例である高速走行用の編成列車の先頭車両を示す側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】微気圧波の指針となる圧力勾配指数を示す図である。
【図4】試験装置の説明図である。
【図5】図4の試験装置による試験結果を示し、図5(a)は従来の車体先頭形状についての試験結果を、図5(b)は本発明に係る車体先頭形状についての試験結果をそれぞれ示す図である。
【図6】先頭部分における段部の位置と圧力勾配指数との関係を示す図である。
【図7】図7(a)(b)はそれぞれ変形例についての高速走行用の編成列車を示す図である。
【図8】一般部分の段部が圧力勾配指数に対して与える影響を示す図である。
【図9】先頭部分における段部の位置と圧力勾配指数との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
Z1 先頭部分
Z2 一般部分
Z21 前側部分
Z22 後側部分
1 車体
1a 段部
21 運転室風防
28 運転席
32a 段部
42a 段部




 

 


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