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発明の名称 駆動車輪用軸受装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30662(P2007−30662A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−215747(P2005−215747)
出願日 平成17年7月26日(2005.7.26)
代理人 【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
発明者 野尻 博海 / 福島 茂明
要約 課題

軽量・コンパクト化を図ると共に、軸方向・周方向のガタを抑制し、組立・分解作業の利便性と結合部の信頼性を向上させた駆動車輪用軸受装置を提供する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪に内嵌されて一体に塑性結合された円筒状の内輪部材からなる内方部材と、
前記両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部とを一体に有する外側継手部材とを備えた駆動車輪用軸受装置において、
前記外側継手部材の肩部の端面に環状の凹所と、この凹所の中央部に継手軸心から所定量オフセットした軸心を持つ軸部が形成され、前記内輪部材に延設された連結部が前記凹所にねじ部を介して内嵌されて前記外側継手部材と内輪部材がトルク伝達可能に、かつ軸方向に着脱自在に結合されると共に、前記軸部と連結部との間に形成される楔形空間に係合子が収容され、この係合子を弾性部材によって所定の方向に押圧してメカニカルワンウェイクラッチが構成されていることを特徴とする駆動車輪用軸受装置。
【請求項2】
前記内輪部材の端部に断面が略円錐台形状に形成された解除レバーが内嵌され、この解除レバーが前記楔形空間に突出する保持竿を有し、この保持竿に形成されたポケット内に前記係合子と弾性部材が保持されている請求項1に記載の駆動車輪用軸受装置。
【請求項3】
前記解除レバーの小径部の端面に治具挿入孔が形成されると共に、大径部の端面中心部に凸球状の調心片が形成され、この調心片が前記軸部の端面中心部に形成されたセンタ孔に係合している請求項2に記載の駆動車輪用軸受装置。
【請求項4】
前記軸部の外周面および連結部の内周面が熱処理によって硬化処理され、仕上げ加工がされず未研削のままとされている請求項1乃至3いずれかに記載の駆動車輪用軸受装置。
【請求項5】
前記ハブ輪の内周に硬化した凹凸部が形成され、前記内輪部材の嵌合部を拡径させて前記凹凸部に食い込ませている請求項1乃至4いずれかに記載の駆動車輪用軸受装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両の駆動車輪を支持する駆動車輪用軸受装置、詳しくは、独立懸架式サスペンションに装着された駆動輪(FF車の前輪、FR車あるいはRR車の後輪、および4WD車の全輪)を懸架装置に対して回転自在に支持する駆動車輪用軸受装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両のエンジン動力を車輪に伝達する動力伝達装置は、図3に示すように、エンジン(図示せず)から車輪105へ動力を伝達すると共に、悪路走行時における車両のバウンドや車両の旋回時に生じる車輪105からの径方向や軸方向変位、およびモーメント変位を許容する必要があるため、例えば、エンジン側と車輪105側との間に介装されるドライブシャフト100の一端が摺動型の等速自在継手101を介してディファレンシャル102に連結され、他端が固定型の等速自在継手103を含む駆動車輪用軸受装置104を介して車輪105に連結されている。
【0003】
この駆動車輪用軸受装置104は、図4に示すように、車輪105を一端部に装着するハブ輪106と、このハブ輪106を回転自在に支承する複列の転がり軸受107、およびハブ輪106に連結され、ドライブシャフト100の動力をハブ輪106に伝達する固定型等速自在継手103を備えている。
【0004】
こうした車両の車輪105には、エンジン低速回転時、例えば車両発進時に、エンジンから摺動型等速自在継手102を介して大きなトルクが負荷され、ドライブシャフト100に捩じれを生じることが知られている。その結果、このドライブシャフト100を支持する複列の転がり軸受107の内輪109にも捩じれが生じることになる。ドライブシャフト100の捩じれ量が大きいと、外側継手部材108と内輪109との当接面で急激なスリップによるスティックスリップ音が発生する。
【0005】
この対策をしたものとして、本出願人は、図5に示すような駆動車輪用軸受装置を既に提案している。この駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪51と、このハブ輪51にユニット化された複列の転がり軸受52と、ハブ輪51に着脱自在に締結された等速自在継手53とを備えている。複列の転がり軸受52は、外方部材54と、この外方部材54に内挿された内方部材55と、これら両部材間に収容された複列の転動体(ボール)56とを備えている。
【0006】
外方部材54は、外周に車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ54bを一体に有し、内周に複列の外側転走面54a、54aが形成されている。内方部材55は、ハブ輪51と、このハブ輪51に外嵌された内輪57とからなる。ハブ輪51は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ58を一体に有し、外周に複列の外側転走面54a、54aの一方に対向する内側転走面51aと、この内側転走面51aから軸方向に延びる円筒状の小径段部51bが形成されている。内輪57は、外周に複列の外側転走面54a、54aの他方に対向する内側転走面57aが形成され、ハブ輪51の小径段部51bに圧入されている。そして、この小径段部51bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部51cによって内輪57が軸方向に固定されている。外方部材54の端部にはシール59、59が装着され、軸受内部に封入した潤滑グリースの漏洩と、外部からの雨水やダスト等の侵入を防止している。
【0007】
等速自在継手53は、外側継手部材60と継手内輪61、ケージ62、およびトルク伝達ボール63を備えている。外側継手部材60は、カップ状のマウス部64と、このマウス部64の底部をなす肩部65と、この肩部65から軸方向に延びる中空の軸部66とを有している。この軸部66の外周面にセレーション(またはスプライン)66aが形され、内周面には雌ねじ66bが形成されている。
【0008】
ここで、セレーション66aには、軸線に対して所定の角度傾斜させた捩れ角が設けられている。そして、外側継手部材60の肩部65がハブ輪51の加締部51cに当接するまで軸部66がハブ輪51に内嵌され、ハブ輪51のセレーション51dに軸部66のセレーション66aが圧入嵌合されている。これにより、セレーション51d、66aの嵌合部に予圧が付与され周方向のガタを殺し、肩部65と内輪57との当接面で急激なスリップによるスティックスリップ音が発生するのを防止することができる。ハブ輪51と外側継手部材60は、ハブ輪51に当接するプレート67を介して軸部66の雌ねじ66bに固定ボルト68が螺合されることによってハブ輪51に対して軸方向に分離可能に結合されている。したがって、この固定ボルト68の締結によって、セレーション51d、66aの嵌合部に予圧が付与されていても外側継手部材60をハブ輪51に容易に引き込むことができる。
【0009】
一方、ハブ輪51の加締部51cの外周部には、内輪57と肩部65間に形成される環状空間を埋めるようにゴム等からなる弾性リング69が嵌挿されている。さらに、肩部65の外周面に圧入されたABS(アンチロックブレーキシステム)用パルサーリング70によってこの弾性リング69が径方向に押圧され、弾性リング69が径方向外方に抜けるのを防止している。このように、内輪57と肩部65間に形成される環状空間に弾性リング69が嵌挿されているため、加締部51cと肩部65間のシール性を向上させることができる。
【特許文献1】特開2004−68891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
然しながら、この従来の駆動車輪用軸受装置では、複列の転がり軸受52と等速自在継手53の締結時に、プレス装置による圧入作業、あるいは外側継手部材60の軸部66に形成された雌ねじ66bを利用した固定ボルト68による引き込み作業が不可避であると共に、分解時には、別途、分解用のボルト等の専用治具が必要となり、組立・分解作業の利便性の向上には未だ改善の余地があった。
【0011】
さらに、ハブ輪51の小径段部51bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部51cによって内輪57を固定したこの種のセルフリテインタイプの第3世代構造において、外側継手部材60の肩部65と当接する加締部51cが低硬度であるが故に経年的に摩耗し、この摩耗による軸力の低下により弛みや軸方向のガタが生じる恐れがあった。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、軽量・コンパクト化を図ると共に、軸方向・周方向のガタを抑制し、組立・分解作業の利便性と結合部の信頼性を向上させた駆動車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪に内嵌されて一体に塑性結合された円筒状の内輪部材からなる内方部材と、前記両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部とを一体に有する外側継手部材とを備えた駆動車輪用軸受装置において、前記外側継手部材の肩部の端面に環状の凹所と、この凹所の中央部に継手軸心から所定量オフセットした軸心を持つ軸部が形成され、前記内輪部材に延設された連結部が前記凹所にねじ部を介して内嵌されて前記外側継手部材と内輪部材がトルク伝達可能に、かつ軸方向に着脱自在に結合されると共に、前記軸部と連結部との間に形成される楔形空間に係合子が収容され、この係合子を弾性部材によって所定の方向に押圧してメカニカルワンウェイクラッチが構成されている。
【0014】
このように、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪に内嵌されて一体に塑性結合された円筒状の内輪部材からなる内方部材と、両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部とを一体に有する外側継手部材とを備えた駆動車輪用軸受装置において、外側継手部材の肩部の端面に環状の凹所と、この凹所の中央部に継手軸心から所定量オフセットした軸心を持つ軸部が形成され、内輪部材に延設された連結部が凹所にねじ部を介して内嵌されて外側継手部材と内輪部材がトルク伝達可能に、かつ軸方向に着脱自在に結合されると共に、軸部と連結部との間に形成される楔形空間に係合子が収容され、この係合子を弾性部材によって所定の方向に押圧してメカニカルワンウェイクラッチが構成されているので、ねじ部によって外側継手部材から内方部材に順方向のトルクを伝達することができると共に、外側継手部材と内輪部材のねじ部の弛みを防止し、逆方向のトルクを伝達することができる。したがって、装置の軽量・コンパクト化を図り、セレーション等を形成することなくトルク伝達ができると共に、固定ボルト等の締結部品を使用することなく軸方向・周方向のガタを抑制し、結合部の信頼性を向上させた駆動車輪用軸受装置を提供することができる。さらに、外側継手部材と内輪部材とがトルク負荷による相対変位が少ない連結構造をなしているので、外側継手部材の肩部と内輪部材との当接面にスティックスリップ音が発生するのを防止することができる。
【0015】
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記内輪部材の端部に断面が略円錐台形状に形成された解除レバーが内嵌され、この解除レバーが前記楔形空間に突出する保持竿を有し、この保持竿に形成されたポケット内に前記係合子と弾性部材が保持されていれば、解除レバーを操作することにより、楔形空間に係合した係合子を離反させて容易にクラッチを解除することができると共に、クラッチを解除した状態で、外側継手部材と内輪部材を相対回転させてねじ部を弛めることにより容易に両部材を分解することができる。
【0016】
さらに好ましくは、請求項3に記載の発明のように、前記解除レバーの小径部の端面に治具挿入孔が形成されると共に、大径部の端面中心部に凸球状の調心片が形成され、この調心片が前記軸部の端面中心部に形成されたセンタ孔に係合していれば、解除レバーの治具挿入孔にレンチ等の治具を挿入してスムーズに回動することができ、楔形空間に係合した係合子を離反させてクラッチを容易に解除することができる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明のように、前記軸部の外周面および連結部の内周面が熱処理によって硬化処理され、仕上げ加工がされず未研削のままとされていれば、コスト低減ができると共に、所望の表面粗さを有するクラッチ面を得ることができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明のように、前記ハブ輪の内周に硬化した凹凸部が形成され、前記内輪部材の嵌合部を拡径させて前記凹凸部に食い込ませていれば、従来のようにねじ等で強固に緊締して予圧量を管理する必要がないため、軽量・コンパクト化を図ることができると共に、ハブ輪の強度・耐久性を向上させ、かつ長期間その予圧量を維持することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る駆動車輪用軸受装置は、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪に内嵌されて一体に塑性結合された円筒状の内輪部材からなる内方部材と、前記両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部とを一体に有する外側継手部材とを備えた駆動車輪用軸受装置において、前記外側継手部材の肩部の端面に環状の凹所と、この凹所の中央部に継手軸心から所定量オフセットした軸心を持つ軸部が形成され、前記内輪部材に延設された連結部が前記凹所にねじ部を介して内嵌されて前記外側継手部材と内輪部材がトルク伝達可能に、かつ軸方向に着脱自在に結合されると共に、前記軸部と連結部との間に形成される楔形空間に係合子が収容され、この係合子を弾性部材によって所定の方向に押圧してメカニカルワンウェイクラッチが構成されているので、ねじ部によって外側継手部材から内方部材に順方向のトルクを伝達することができると共に、外側継手部材と内輪部材のねじ部の弛みを防止し、逆方向のトルクを伝達することができる。したがって、装置の軽量・コンパクト化を図り、セレーション等を形成することなくトルク伝達ができると共に、固定ボルト等の締結部品を使用することなく軸方向・周方向のガタを抑制し、結合部の信頼性を向上させた駆動車輪用軸受装置を提供することができる。さらに、外側継手部材と内輪部材とがトルク負荷による相対変位が少ない連結構造をなしているので、外側継手部材の肩部と内輪部材との当接面にスティックスリップ音が発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成され、内周に硬化した凹凸部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪に内嵌された円筒状の内輪部材からなる内方部材と、前記両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部とを一体に有する外側継手部材とを備え、前記内輪部材を拡径させて前記凹凸部に食い込ませて加締め、前記ハブ輪と内輪部材とが一体に塑性結合された駆動車輪用軸受装置において、前記外側継手部材の肩部の端面に環状の凹所と、この凹所の中央部に継手軸心から所定量オフセットした軸心を持つ軸部が形成され、前記内輪部材に延設された連結部が前記凹所にねじ部を介して内嵌されて前記外側継手部材と内輪部材がトルク伝達可能に、かつ軸方向に着脱自在に結合されると共に、前記内輪部材の端部に断面が略円錐台形状に形成された解除レバーが内嵌され、この解除レバーが、前記軸部と連結部との間に形成される楔形空間に突出する保持竿を有し、この保持竿に形成されたポケット内に弾性部材を介して係合子が保持されている。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図(図2のI−I線に沿った断面)、図2は図1のII−II線に沿った横断面図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウトボード側(図面左側)、中央寄り側をインボード側(図面右側)という。
【0022】
この駆動車輪用軸受装置は、内方部材1と外方部材10、および両部材1、10間に転動自在に収容された複列の転動体(ボール)5、5とを備えている。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2に内嵌されて一体に塑性結合された円筒状の内輪部材3とからなる。
【0023】
ハブ輪2は、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼で形成され、アウトボード側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を有し、外周にアウトボード側の内側転走面2aと、この内側転走面2aから軸方向に延びる円筒状の小径段部2bが形成されている。このハブ輪2は、車輪取付フランジ4のインボード側の基部から内側転走面2aおよび小径段部2bの端面6に亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、車輪取付フランジ4に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、ハブ輪2の耐久性が向上する。
【0024】
内輪部材3は、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼からなり、外周には、インボード側の内側転走面3aと、この内側転走面3aからアウトボード側に延びる円筒部7とインボード側に延びる後述する連結部8が一体に延設されている。円筒部7は、ハブ輪1の小径段部2bに所定のシメシロを介して圧入されるインロウ部7aと、このインロウ部7aの端部に嵌合部7bがそれぞれ形成されている。そして、内側転走面3aからインロウ部7aに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。ここで、嵌合部7bは鍛造後の生のままとされている。
【0025】
ここで、ハブ輪2の内周には凹凸部9が形成され、熱処理によって表面硬さを54〜64HRCの範囲に硬化層が形成されている。熱処理としては、局部加熱ができ、硬化層深さの設定が比較的容易にできる高周波誘導加熱による焼入れが好適である。この凹凸部9はアヤメローレット状に形成され、旋削等により独立して形成された複数の環状溝と、ブローチ加工等により形成された複数の軸方向溝とを略直交させて構成した交叉溝、あるいは、互いに傾斜した螺旋溝で構成した交叉溝からなる。また、凹凸部9の凸部は良好な食い込み性を確保するために、その先端部が三角形状等の尖塔形状に形成されている。
【0026】
ハブ輪2と内輪部材3との結合は、まず、内輪部材3の肩部3bにハブ輪2の小径段部2bの端面6が衝合されて突合せ状態になるまでハブ輪2に内輪部材3の円筒部7が内嵌される。そして、この円筒部7における嵌合部7bの内径にポンチ等の拡径治具を押し込んで嵌合部7bを拡径し、この嵌合部7bをハブ輪2の凹凸部9に食い込ませて加締め、ハブ輪2と内輪部材3とが一体に塑性結合されている。これにより、従来のようにねじ等で強固に緊締して予圧量を管理する必要がないため、軽量・コンパクト化を図ることができると共に、ハブ輪2の強度・耐久性を向上させ、かつ長期間その予圧量を維持することができる。
【0027】
なお、ハブ輪2と内輪部材3とを塑性結合する手段としてここで例示した構成以外にも、例えば、図示はしないが、ハブ輪に内輪部材の円筒部を内嵌すると共に、円筒部の端部を径方向外方に塑性変形させて加締部を形成し、この加締部で両部材を軸方向に固定する、所謂揺動加締による結合であっても良い。
【0028】
外方部材10は、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼で形成され、外周に懸架装置を構成するナックル(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ10bを一体に有し、内周に前記複列の内側転走面2a、3aに対向する複列の外側転走面10a、10aが形成されている。そして、複列の外側転走面10a、10aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理され、複列の転動体5が両転走面間に保持器11を介して転動自在に収容されている。また、外方部材10の両端部にはシール12、13が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部からの雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。なお、ここでは、転動体5をボールとした複列アンギュラ玉軸受を例示したが、これに限らず転動体に円すいころを使用した複列円すいころ軸受であっても良い。
【0029】
等速自在継手14は、外側継手部材15と、継手内輪16、ケージ17、およびトルク伝達ボール18を備えている。外側継手部材15はカップ状のマウス部19と、このマウス部19の底部をなす肩部20とを一体に有している。そして、この肩部20が内輪部材3の連結部8に着脱自在に結合されている。
【0030】
ここで、外側継手部材15の肩部20には環状の凹所20aが形成され、その中央部には、継手軸心Oから所定量eだけオフセットした軸心O’を持つ軸部21が突設されている。また、肩部20の内周面には雌ねじ20bが形成され、内輪部材3の連結部8の外周に形成された雄ねじ8aに螺合されて外側継手部材15と内輪部材3が軸方向に着脱自在に結合されている。そして、このねじ部(雌ねじ20bと雄ねじ8a)を介して外側継手部材15から内方部材1に順方向(図2のA方向)のトルクが伝達される。
【0031】
また、内輪部材3のインボード側の端部内径に解除レバー24が嵌着されている。この解除レバー24は、断面が略円錐台形状に形成され、大径部には軸方向に突出した保持竿25が形成されると共に、小径部の端面に治具挿入孔26が形成されている。また、大径部の端面中心部には凸球状の調心片27が形成され、軸部21の端面中心部に形成されたセンタ孔28に係合している。
【0032】
図2に示すように、外側継手部材15の偏心した軸部21と内輪部材3の連結部8とで三日月状の楔形空間22が形成されている。この楔形空間22には係合子(ローラ)23が収容され、内輪部材3のインボード側の端部内径に嵌着された解除レバー24によって保持されている(図1参照)。すなわち、係合子23は楔形空間22内に収容され、弾性部材29を介して解除レバー24の保持竿25に形成されたポケット25aに保持され、所謂メカニカルワンウェイクラッチを構成している。ここで、軸部21の外周面および連結部8の内周面は熱処理によって硬化処理されている。なお、これらの表面には研削加工等の仕上げ加工はされず、熱処理後の表面のままとされている。これにより、コスト低減ができると共に、所望の表面粗さを有するクラッチ面を得ることができる。
【0033】
本実施形態では、メカニカルワンウェイクラッチにより、外側継手部材15と内輪部材3のねじ部の弛みを防止すると共に、逆方向(図中B方向)のトルクを伝達することができる。なお、ここでは、メカニカルワンウェイクラッチにローラを使用したものを例示したが、これに限らず、図示はしないが、例えば、ボールあるいはスプラグを使用したワンウェイクラッチであっても良い。
【0034】
ここで、図1に示すように、解除レバー24の治具挿入孔26にレンチ等の治具を挿入して回動させ、解除レバー24を操作することにより、楔形空間22に係合した係合子23を離反させてクラッチを容易に解除することができる。また、クラッチを解除した状態で、外側継手部材15と内輪部材3を相対回転させてねじ部を弛めることにより容易に両部材を分解することができる。
【0035】
このように、本実施形態では、外側継手部材15の肩部20と内輪部材3の連結部8がねじ部によって軸方向に着脱自在に結合されると共に、軸部21と連結部8とで形成された楔形空間22に弾性部材29を介して係合子23を収容してメカニカルクラッチが構成されているので、装置の軽量・コンパクト化を図り、セレーション等を形成することなくトルク伝達ができると共に、固定ボルト等の締結部品を使用することなく軸方向・周方向のガタを抑制し、結合部の信頼性を向上させた駆動車輪用軸受装置を提供することができる。さらに、外側継手部材15と内輪部材3とがトルク負荷による相対変位が少ない連結構造をなしているので、外側継手部材15の肩部20と内輪部材3との当接面にスティックスリップ音が発生するのを防止することができる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪と、このハブ輪に塑性結合された内輪部材とを備え、この内輪部材に延設された連結部と外側継手部材の肩部とがトルク伝達可能に、かつ着脱自在に軸方向に結合される駆動車輪用軸受装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った横断面図である。
【図3】駆動車輪用軸受装置を組込んだ動力伝達装置の一例を示す縦断面図である。
【図4】従来の駆動車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
【図5】従来の他の駆動車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1・・・・・・・・・・・内方部材
2・・・・・・・・・・・ハブ輪
2a、3a・・・・・・・内側転走面
2b・・・・・・・・・・小径段部
3・・・・・・・・・・・内輪部材
3b、20・・・・・・・肩部
4・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
5・・・・・・・・・・・転動体
6・・・・・・・・・・・端面
7・・・・・・・・・・・円筒部
7a・・・・・・・・・・インロウ部
7b・・・・・・・・・・嵌合部
8・・・・・・・・・・・連結部
8a・・・・・・・・・・雄ねじ
9・・・・・・・・・・・凹凸部
10・・・・・・・・・・外方部材
10a・・・・・・・・・外側転走面
10b・・・・・・・・・車体取付フランジ
11・・・・・・・・・・保持器
12、13・・・・・・・シール
14・・・・・・・・・・等速自在継手
15・・・・・・・・・・外側継手部材
16・・・・・・・・・・継手内輪
17・・・・・・・・・・ケージ
18・・・・・・・・・・トルク伝達ボール
19・・・・・・・・・・マウス部
20a・・・・・・・・・凹所
20b・・・・・・・・・雌ねじ
21・・・・・・・・・・軸部
22・・・・・・・・・・楔形空間
23・・・・・・・・・・係合子
24・・・・・・・・・・解除レバー
25・・・・・・・・・・保持竿
25a・・・・・・・・・ポケット
26・・・・・・・・・・治具挿入孔
27・・・・・・・・・・調心片
28・・・・・・・・・・センタ孔
29・・・・・・・・・・弾性部材
51・・・・・・・・・・ハブ輪
51a、57a・・・・・内側転走面
51b・・・・・・・・・小径段部
51c・・・・・・・・・加締部
51d、66a・・・・・セレーション
52・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
53・・・・・・・・・・等速自在継手
54・・・・・・・・・・外方部材
54a・・・・・・・・・外側転走面
54b・・・・・・・・・車体取付フランジ
55・・・・・・・・・・内方部材
56・・・・・・・・・・転動体
57・・・・・・・・・・内輪
58・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
59・・・・・・・・・・シール
60・・・・・・・・・・外側継手部材
61・・・・・・・・・・継手内輪
62・・・・・・・・・・ケージ
63・・・・・・・・・・トルク伝達ボール
64・・・・・・・・・・マウス部
65・・・・・・・・・・肩部
66・・・・・・・・・・軸部
66b・・・・・・・・・雌ねじ
67・・・・・・・・・・プレート
68・・・・・・・・・・固定ボルト
69・・・・・・・・・・弾性リング
70・・・・・・・・・・パルサリング
100・・・・・・・・・ドライブシャフト
101・・・・・・・・・摺動型の等速自在継手
102・・・・・・・・・ディファレンシャル
103・・・・・・・・・固定型の等速自在継手
104・・・・・・・・・駆動車輪用軸受装置
105・・・・・・・・・車輪
106・・・・・・・・・ハブ輪
107・・・・・・・・・複列の転がり軸受
108・・・・・・・・・外側継手部材
109・・・・・・・・・内輪
e・・・・・・・・・・・偏心量
O・・・・・・・・・・・継手軸心
O’・・・・・・・・・・軸部の軸心




 

 


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