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発明の名称 小型クローラ式トラクタ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−185984(P2007−185984A)
公開日 平成19年7月26日(2007.7.26)
出願番号 特願2006−3401(P2006−3401)
出願日 平成18年1月11日(2006.1.11)
代理人 【識別番号】100090893
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 敏
発明者 北山 浩三 / 林 恵一
要約 課題
最低地上高の高い小型クローラ式トラクタを提供する。

解決手段
両端に従動アイドラを回転可能に支持するクローラフレームとリアアクスルに装着された駆動スプロケットとを有し、かつ前記従動アイドラと前記駆動スプロケットとの間にクローラが巻装されるクローラ式走行装置を上部車体の下部に備えた小型クローラ式トラクタにおいて、小型クローラ式トラクタの駆動系は、ステアリングの回転駆動に対応して機体を旋回させる油圧無段変速旋回用ポンプと油圧無段変速旋回用モータとからなる操向用油圧変速機構が連結され、前記油圧無段変速旋回用ポンプのトラニオンアームは、前記ステアリングの回転駆動を出力するステアリングカム機構のステアリングアームとロッドで連結されることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
両端に従動アイドラを回転可能に支持するクローラフレームとリアアクスルに装着された駆動スプロケットとを有し、かつ前記従動アイドラと前記駆動スプロケットとの間にクローラが巻装されるクローラ式走行装置を上部車体の下部に備えた小型クローラ式トラクタにおいて、
小型クローラ式トラクタの駆動系は、ステアリングの回転駆動に対応して機体を旋回させる油圧無段変速旋回用ポンプと油圧無段変速旋回用モータとからなる操向用油圧変速機構が連結され、
前記油圧無段変速旋回用ポンプのトラニオンアームは、前記ステアリングの回転駆動を出力するステアリングカム機構の出力軸とロッドで連結されることを特徴とする、小型クローラ式トラクタ。
【請求項2】
前記油圧無段変速旋回用ポンプは、トランスミッションの側部に配置されることを特徴とする、請求項1記載の小型クローラ式トラクタ。
【請求項3】
前記ステアリングの回転駆動が、ユニバーサルジョイントを介して前記ステアリングカム機構のステアリング入力軸に伝導されることを特徴とする、請求項1または2に記載の小型クローラ式トラクタ。
【請求項4】
前記駆動系の主変速と副変速後とを和した動力が前記油圧無段変速旋回用ポンプに導入されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の小型クローラ式トラクタ。
【請求項5】
前記操向用油圧変速機構は、機体を前後進させる前後進切換え機構より後方の駆動系に連結されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の小型クローラ式トラクタ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧無段変速旋回用ポンプ(以下、HST旋回用ポンプとも称する。)と油圧無段変速旋回用モータ(以下、HST旋回用モータとも称する。)とを有し、ステアリングの回転駆動によってHST旋回用ポンプの可動斜板を制御しうる小型クローラ式トラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来の小型ホイール式トラクタ97の斜視図である。このトラクタ97は、後輪駆動4輪車であり、トラクタの後部に作業機が取付けられることが一般的である。しかしながら、ホイール型トラクタ97は接地圧が高いため、軟弱地や不整地での走行性が十分でない場合があり、特に小型トラクタの場合には、小型ゆえに牽引力が十分でない場合がある。このような場合、ホイール型トラクタ97を小型クローラ式トラクタに改良できれば、接地圧を低減できるため軟弱地や不整地での走行性を向上させることができ、同時に牽引力を増強させることができる。
【0003】
このような技術として、例えばホイール式トラクタの操舵機構部を共用して、新たな小型クローラ式トラクタに改良するものがある(特許文献1)。該特許文献1は、クローラ式とホイール式での旋回機構の相違、すなわちホイール式のトラクタをクローラ式に改造した場合に、旋回内側の左右いずれかのブレーキペダルを踏み込んで片側のブレーキ装置を作動させ、片側の駆動スプロケットを制動して旋回内側のクローラを減速して車体を旋回させたのでは旋回操作性が良好ではない点に鑑みてなされたものであり、円形のステアリングハンドルの回転操作によって小型クローラ式トラクタの車体を旋回できるようにするとともに、ホイール式トラクタに備えられている操舵機構部を利用して部品を共用化することによりコストダウンを図ることを目的としたものである。
【0004】
また、ホイール式作業車両は、多少バランスが悪い場合でもホイールが接地していれば走行可能であるのに対して、クローラ式作業車両ではクローラの前端部が浮き上がり、牽引力が不足する場合がある。また、小型クローラ式トラクタは、主として湿田用に使用されるため、地上高を高く設定する必要がある。このような、トラクタの前後バランス及び地上高を簡単かつ安価な構成にて調整する技術も既に開示されている(特許文献2)。該特許公報2には、駆動スプロケットと従動アイドラとの間にクローラを卷装した左右クローラ式走行装置を備えたトラクタであって、前記駆動スプロケットと従動アイドラとを支持するクローラフレームを、車両フレームに対して前後方向、およびまたは上下方向に取り付け位置を調整可能に形成した小型クローラ式トラクタが開示されている。該特許公報2に開示される小型クローラ式トラクタは、トラクタ部分が中型または大型のものを対象としていると推定され、駆動スプロケットと従動アイドラとを支持するクローラフレームを車両に取り付ける支持部材の先端部が、クローラ式走行装置の先端部より前部でトラクタ下部に取り付けられている。
【0005】
一方、特に中型、大型のトラクタにおいて、小型クローラ式トラクタの駆動系を簡潔なものとし、かつ旋回性を改良する技術も開発されている(特許文献3)。例えば、特許文献3には、機体を前後進させる前後進切換え機構より後方の駆動系に機体を旋回させる油圧無段変速旋回機構(旋回用HST機構)を連結させた前輪駆動のクローラ形トラクタであって、旋回用HST機構を可変容量ポンプと定容量モータとに分割し、遊星ギヤ式デフ機構の入力軸に定容量モータを連結させた小型クローラ式トラクタが開示されている。このトラクタは、走行変速機構の副変速後の出力で上記可変容量ポンプと連結され、車速と操向モータの回転を比例させることで、旋回半径を一定にさせ、ホイルトラクタと同様の操作フィーリングを確保することができる、という。なお、特許文献3記載の操向用ポンプのオイルの吐出量は、ステアリングの回転駆動力と副変速レバーによる入力との双方によって、制御されている。
【0006】
また、ミッション構造を改善して、軽量・シンプル・低コストで、全長が短くても前後バランスおよび取り扱い性のよい作業機構成を備えた小型クローラ式トラクタとして、ミッションケースとアクスルケースとを一体的に構成し、左右一対のクローラ走行装置の間に横架される前後連結フレームによってミッションケースを支持し、該連結フレームの前方にアクスルケースを配置した前輪駆動の小型クローラ式トラクタも開示されている(特許文献4)。
【特許文献1】特開2000−159143号公報
【特許文献2】特開2002−145134号公報
【特許文献3】特開2004−17841号公報
【特許文献4】特開2004−66913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように、小型クローラ式トラクタは、接地圧が低いため、湿田での作業に適し、作業機の牽引力を増強させることができるが、特許文献1に示すように、単にホイール式トラクタの駆動輪を駆動スプロケットとして使用したのでは、湿田での作業に適する地上高を確保することができない場合がある。この点、前記特許文献2の方法では、固定箇所が多くて操作が煩雑である。
【0008】
また、小型クローラ式トラクタであっても、中型や大型の小型クローラ式トラクタと同様に、優れた操作フィーリングを確保することが好ましい。しかしながら、特許文献3や特許文献4記載の小型クローラ式トラクタは、フロントアクスルケースをエンジン前方下部にトランスミッションと分離して別体的に設けた前輪駆動方式であり、後輪駆動系とはその構造が異なる。従って、小型後輪駆動のホイール式トラクタの基本構造を利用し、低コストで小型の後輪駆動の小型クローラ式トラクタを製造することは容易でない。
【0009】
また、ステアリングの回転駆動によって旋回する際に、副変速の変速段の変化に依存せずに旋回半径が一定であれば、運転操作性に優れる。
【0010】
そこで本発明は、後輪駆動の小型ホイール式トラクタの構造を可能な限り利用し、湿田に適する地上高を確保でき、ステアリングの回転駆動力によって優れた操作フィーリングが得られ、かつHST旋回用ポンプの出力の調整を簡便に行いうる、小型クローラ式トラクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、ステアリングの回転駆動に対応して機体を旋回させる操向用油圧変速機構を配備し、ステアリングの回転駆動を出力するステアリングカム機構の出力軸と、操向用油圧変速機構を構成する油圧無段変速旋回用ポンプのトラニオンアームとをロッドで連結すると、ホイール式トラクタの基本構造を共用して安価に小型クローラ式トラクタが製造できること、しかも最低地上高を高く維持できることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、HST旋回用ポンプのトラニオンアームとステアリングカム機構の出力軸とをロッドで連結することで、簡便な構造でHST旋回用ポンプのオイルの吐出量、すなわちHST旋回用モータの出力を調整することができる。HST旋回用ポンプがトランスミッションの側部に配置される場合には、最低地上高を高く維持することができ、かつその前方にステアリングカム機構を配置することができる。
【0013】
本発明によれば、ステアリングの回転駆動が、ユニバーサルジョイントを介して前記ステアリングカム機構の入力軸に伝導されるため、ステアリングを複数の部位に容易に分割することができ、整備も容易である。
【0014】
本発明の小型クローラ式トラクタは、ホイール式トラクタに備えられている共用部分を利用して製造することができ、安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の第一は、両端に従動アイドラを回転可能に支持するクローラフレームとリアアクスルに装着された駆動スプロケットとを有し、かつ前記従動アイドラと前記駆動スプロケットとの間にクローラが巻装されるクローラ式走行装置を上部車体の下部に備えた小型クローラ式トラクタにおいて、小型クローラ式トラクタの駆動系は、ステアリングの回転駆動に対応して機体を旋回させるHST旋回用ポンプとHST旋回用モータとからなる操向用油圧変速機構が連結され、前記油圧無段変速旋回用ポンプのトラニオンアームは、前記ステアリングの回転駆動を出力するステアリングカム機構の出力軸とロッドで連結されることを特徴とする、小型クローラ式トラクタである。なお、本発明におけるHST旋回用ポンプとは、旋回用に使用されるHSTポンプであり、HSTポンプとは、チャージポンプと可動斜板とを有し、チャージポンプから送られた作動油を圧縮し、可動斜板の傾斜方向によって流路を変更し、傾斜角によって流量を増減して油圧モータに出力するものであり、HST旋回用モータとは、旋回用に使用されるHSTモータであり、HSTモータとは、HSTポンプから吐出される作動油のエネルギーを回転エネルギーに変換し出力するものである。
【0016】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。図1は本発明の一実施例に係る小型クローラ式トラクタの側面図、図2は同トラクタにおける走行部の斜視図、図3は同トラクタの断面平面図、図4は同トラクタにおける駆動部の断面側面図、図5は同トラクタの差動構造を示す図、図6は図1に示すトラクタにおけるHST旋回機構の油圧系統に絞りを取付けたスケルトン図、図7は図1に示すトラクタにおけるHST旋回機構の油圧を示すグラフ、図8は図6の油圧系統にDRVを取付けたスケルトン図、図9は本発明の小型クローラ式トラクタのクローラ走行装置のフレーム構造の斜視図、図10は上部車体の全長(L1)に対するクローラ走行装置の接地長さ(L2)の比を説明する図、図11は従来のホイール型トラクタを示す斜視図、図12はステアリングハンドルとHST旋回用ポンプのトラニオンアームとの連結を示す部分図、図13はステアリングカム機構を示す図である。
【0017】
(1)機体
図1に示すように、本発明の小型クローラ式トラクタ(機体1)は、上部車体90とその下部に位置するクローラ式走行装置80とからなり、前記上部車体90にはエンジン(図示せず)を覆うボンネット2と、該ボンネット2の後方に配置される機体1の操縦を行う運転キャビン4が配設されている。該運転キャビン4には機体1の操行を司るステアリングハンドル9が配設され、その後方に座席8、該座席8の左右には、機体の走行や作業機の上げ下げ等を操作するための主変速レバー(図示せず)、副変速レバー(図示せず)及びPTO操作レバー(図示せず)などが配設されている。機体1は、三点支持装置を介してその後部に作業機6を取り付けることができる。
【0018】
本発明のクローラ式トラクタは、図1に示すように、クローラフレームの両端に従動アイドラが回転可能に支持され、かつリアアクスルに装着された駆動スプロケットが前記クローラフレームに固設され、前記駆動スプロケットと前記駆動スプロケットとの間にクローラが巻装されるクローラ式走行装置を上部車体の下部に備える、いわゆる後輪駆動のクローラ式トラクタである。フローラフレームの両端に従動アイドラが配置されるため、駆動スプロケットが従動アイドラの上部に配置され、駆動スプロケットの高い地上高を確保することができる。
【0019】
クローラ式走行装置80は、図2に示すように、進行方向に延設された左右2本のクローラフレーム81L、81Rと、このクローラフレーム81L、81R間を連結する前後2本のサイドフレーム82、83とを有し、前記クローラフレーム81L、81Rの前後端には、それぞれ従動アイドラ85R、85Fが回転自在に支持され、該2つの従動アイドラ85R、85F間には複数のイコライザ転輪86が回転自在に支持される構成となっている。これら2つの従動アイドラ85R、85Fとイコライザ転輪86との上部に駆動スプロケット60が配設され、この駆動スプロケット60を頂点とし、前記2つの従動アイドラ85R、85F間を結ぶ線を底辺として、略三角形状にクローラベルト95が巻回されている。
【0020】
(2)動力伝達機構
本発明の小型クローラ式トラクタは、ギヤの切換で走行の変速を行うギヤ切換式走行変速機構を備え、駆動系に機体を旋回させる操向用のHST旋回用ポンプとHST旋回用モータとを含む油圧変速機構を連結している。
【0021】
例えば図3に示すように、前記エンジン3からの駆動力は、トランスミッションケース23内に配置されたギヤ切換式走行変速機構である主副変速装置39で変速された後、左右のリアアクスルケース40L、40Rに配設された差動機構50L、50Rに入力され、前記クローラ式走行装置80の駆動スプロケット60L、60Rを駆動させる車軸59L、50Rを回転させる。なお、油圧変速機構は、機体1を前後進させる前後進切換え機構7より前方に連結してもよく、後方に連結してもよい。図3では、前後進切換え機構7より後方の駆動系にHST旋回用ポンプ72とHST旋回用モータ73とを、それぞれ前記ミッションケース23の側部とミッションケース23内の差動機構50Lの上部とに設けている。
【0022】
図4に示すように、前記エンジン3からの出力は、クラッチハウジング5を経由して出力軸31から前後進切換え機構7へと入力される。該前後進切換え機構7では、前記出力軸31のギヤ33と主軸37に設けた前進ギア32とが噛合して機体1を前進させ、一方、前記出力軸31のギヤと主軸37に設けた後進ギア34とが後進用カウンタ軸35のカウンタギア36を介して噛合することにより機体1を後進させる。該前後進切換え機構7を経た動力は主軸37を介して主副変速装置39へと伝達される。この主軸37と主変速軸41とは、例えば主変速4段の場合には、主変速軸41上の異なる歯数を有する4つの主変速ギア42と前記主軸37のギア66とを介して連結される。前記主変速ギア42は主変速軸41上に遊嵌されており、図示しない主変速レバーによって前記4つの主変速ギア42の何れかを選択的に主変速軸41に固定すると、選択された主変速ギア42の歯数に応じて主変速軸41が回転駆動する。
【0023】
この駆動力は、主変速軸41に固設された2つのギア62から、副変速ギア46を介して副変速軸45へと伝達される。副変速2段の場合には、該副変速軸45に異なる歯数を有する2つの副変速ギア46が摺動自在に形成され、図示しない副変速レバーによって、これら2つのギア46が副変速軸45上を前後に摺動し、選択的に前記主変速軸41上の何れかのギア62と噛合することにより、副変速後の動力が得られる。副変速後の動力は、副変速軸45後端のベベルギア47を介して回転方向を前後方向から左右方向へと変え、後述する差動機構50L、50Rへと入力される。本発明では、機体を前後進させる前後進切換え機構より後方の駆動系に機体を旋回させる操向用の油圧変速機構が連結されことが好ましい。これにより、後進時にもステアリングハンドル9が逆回転することがない。
【0024】
一方、副変速後の回転動力は、ギヤ64を介して複数のカウンター軸61を経由した後、ベルト65駆動によりHST旋回用ポンプ入力軸63へと入力される。カウンタ軸61よりベルト等を介して伝達することにより、HST旋回用ポンプの位置を任意の位置に配置することが可能となる。このため、従来ではミッションケース23下部に配置することが多かったHST旋回用ポンプ72を、ミッションケース23の側部に配置することにより、機体1の地上最低高を高くすることができる。
【0025】
(3)差動機構
図5に示すように、前記副変速軸45の駆動力は、ベベルギア47と該ベベルギア47と噛合するベベルギア21とを介してピニオン軸22を回転駆動させる。ピニオン軸22の両端に固設された左右のギア25L、25Rと、左右の入力軸20L、20Rの一端に固設されたギア27L、27Rとが噛合し、前記ピニオン軸22の回転を左右の入力軸20L、20Rに分配させる。
【0026】
左右それぞれの入力軸20L、20Rの回転は左右の差動機構50L、50Rのサンギア51L、51Rへと入力される。なお、該差動機構50L、50Rは、サンギア入力軸20L、20Rに固設されたサンギア51L、51Rと、該サンギア51L、51Rの周りを自公転自在に設けられたプラネタリアギア53L、53Rと、該プラネタリアギア53L、53Rを軸支するとともにサンギア入力軸20L、20Rと車軸59L、59Rとに回転自在に遊嵌されたキャリア55L、55Rとからなり、該キャリア55L、55Rの外周には、さらにキャリアギア56L、56Rが形成されている。前記プラネタリアギア53L、53Rは、左右の駆動出力軸59L、59Rに固設された駆動出力ギア58L、58Rと噛合しており、該駆動出力ギア58L、58Rの回転により、駆動出力軸59L、59Rの他端に固設されたスプロケット60L、60Rが回転駆動される。
【0027】
一方、差動機構50L、50Rは、副変速軸45の駆動力に加えて前記HST旋回用モータ73の出力も導入される。前記HST旋回用モータ73の出力によってHSTモータ出力ギア38が回転駆動され、その回転に伴い、HSTモータ出力ギア38と噛合する左右2つの逆転ギア52L、52Rがそれぞれ逆回転される。該逆転ギア52L、52Rは、左右の旋回駆動軸43L、43Rのそれぞれ一端に固設されており、該旋回駆動軸43L、43Rを介して、旋回駆動軸43L、43Rの他端に固設された差動ギア44L、44Rが回転駆動され、このため左右の差動ギア44L、44Rが、それぞれ逆回転される。前記差動ギア44L、44Rは、キャリアギア56L、56Rと噛合して、左右のキャリア55L、55Rをそれぞれ逆回転させる。左右のキャリア55L、55Rに軸支されたプラネタリアギア53L、53Rは前記サンギア51L、51R周りを公転駆動するが、この際の公転速度の差により、前記左右の駆動出力軸59L、59Rが差動回転され、機体1が左方向若しくは右方向へと旋回される。機体直進時は、左右の駆動スプロケット60L、60Rの回転が等しい回転数となる場合であり、左右の駆動スプロケット60L、60Rの回転が異なる回転数となるときに機体1が旋回される。
【0028】
なお、HST旋回用ポンプ72とHST旋回用モータ73とは配管で連結されており、前記HST旋回用ポンプ72からの吐出量に応じてHST旋回用モータ73の出力回転数が制御され、HST旋回用モータ73の出力が差動装置50Lで合成され、前記駆動スプロケット60L、60Rを差動回転させ、機体1を旋回させる。
【0029】
(4)HST旋回用ポンプ72の出力の調整
前記HST旋回用ポンプ72には可動斜板が配置され、傾斜の方向によって作動油の流れ方向が変化し、その傾斜角の応じて作動油のポンプ吐出量が変動する。該可動斜板は、HST旋回用ポンプ72のトラニオンアームと連動しており、該アームの円弧運動に対応して可動斜板の傾斜方向および傾斜角が変動する。ステアリングハンドル9の回転方向および回転駆動力がトラニオンアームの円弧運動に変換して出力され、ステアリングハンドル9の回転量に対応して可動斜板の傾斜角が変化される。
【0030】
ステアリング構造は、図12(a)に示すように、ステアリングハンドル9からステアリングコラム123内を通してステアリング軸125が延設され、ステアリング軸125の下端において、ユニバーサルジョイント127やベベルギヤなどによってステアリング入力軸129に連結している。ステアリングハンドル9の回転駆動は、ステアリング軸125を介して運転キャビン4下部に配設されたステアリングカム機構130に入力され、該回転動力は、該ステアリングカム機構130内においてステアリングアーム140などの出力軸の前後運動に変換される。該出力軸は、HST旋回用ポンプ72のトラニオンアーム145とロッド143によって連結され、前記出力軸の前後運動が、ロッド143を介してトラニオンアーム145の円弧運動としてHST旋回用ポンプ72に入力され、可動斜板の傾斜方向および傾斜角を変動させる。
【0031】
ステアリングカム機構130では、図13に示すように、ステアリング入力軸129に左旋回用偏芯カム131、連結部材133、ステアリングアーム140および右旋回用偏芯カム132がそれぞれ貫通しており、上記連結部材133の上部には、左旋回用コロ137が固設され、該コロ137は左旋回用偏芯カム131と接触している。また、前記ステアリングアーム140の端末下部には右旋回用コロ135が固設され、該コロ135は右旋回用偏芯カム132と接触している。なお、前記連結部材133は、左旋回用偏芯カム132と前記ステアリングアーム140に固設されている。
【0032】
ステアリングハンドル9が右回転するとその回転によってステアリング入力軸129が右回転し、ステアリングカム機構130の右旋回用偏芯カム132が右回転する。該右旋回用偏芯カム132はステアリングアーム140の末端に固設される右旋回用コロ135と接触し、右旋回用偏芯カム132の回転によって右旋回用コロ135を介してステアリングアーム140を、ステアリング入力軸129を中心として機体前方に移動させる。一方、ステアリングハンドル9が左回転した場合、その回転によってステアリング入力軸129が左回転し、ステアリングカム機構130の左旋回用偏芯カム131が左回転する。該左旋回用偏芯カム131は左旋回用コロ137と接触しており、ステアリング入力軸129を中心として左旋回用コロ137を回転させ、同時に該コロ137に固設される連結部材133を回転させる。該連結部材133はステアリングアーム140と連結しており、該連結部材133の回転に対応してステアリングアーム140を機体後方に移動させる。
【0033】
ステアリングアーム140とHST旋回用ポンプ72のトラニオンアーム145とはロッド143によって連結され、ステアリングアーム140の前後方向の移動運動に対応してトラニオンアーム145が円弧運動を行う。この円弧運動に対応してHST旋回用ポンプ72の可動斜板の傾斜方向および傾斜角が変動される。前記したように可動斜板の傾斜によって作動油の流れ方向が逆転し、これによってHST旋回用モータの回転駆動も方向が逆転する。従って、ステアリングハンドル9の旋回方向と可動斜板の傾斜方向とは、差動装置50LにおいてHST旋回用モータ73の出力が合成された場合、ステアリングハンドル9の旋回方向と可動斜板の傾斜方向とが対応するように調整する必要がある。
【0034】
本発明において、ステアリングカム機構130の出力アームであるステアリングアーム140とトラニオンアーム145とがロッド143で連結されるためには、ステアリングカム機構とHST旋回用ポンプとが前後に配置されることが必要である。本発明の操向用油圧変速機構は、HST旋回用ポンプ72とHST旋回用モータ73とを分離して配設することができるため、HST旋回用ポンプ72をトランスミッション23の側部に配置して、最低地上高を高く維持することができる。HST旋回用ポンプ72をトランスミッション23の側部に、その前方にステアリングカム機構130を配置すれば、HST旋回用ポンプ72のトラニオンアーム145とステアリングカム機構130のステアリングアーム140とをロッド143で連結することができる。従って、HST旋回用ポンプ72をトランスミッション23の右側部に配置する場合には、ステアリングカム機構130を運転キャビン4の右ステップ下に、HST旋回用ポンプ72をトランスミッション23の左側部に配置する場合には、ステアリングカム機構を運転キャビン4の左ステップ下に配置すればよい。この際、HST旋回用ポンプ72は、ステアリングハンドル9の回転を出力するステアリングアーム140の前後運動とHST旋回用ポンプ72のトラニオンアーム145の円弧運動とが連動するように配置する。
【0035】
ステアリングカム機構140を運転キャビン4の右または左ステップ下に配置するためには、図12(b)に示すように、ステアリングハンドル9に延設されるステアリング軸125とステアリング入力軸129とをベベルギヤやユニバーサルジョイント127などによって連結し、同様にステアリング軸125も上部ステアリング軸125'、下部ステアリング軸125"と上下二部に分割し、これをベベルギヤやユニバーサルジョイント127によって連結すればよい。この際、2つのユニバーサルジョイント127によって、ステアリングハンドル9の回転駆動を、上部ステアリング軸125'、下部ステアリング軸125"およびステアリング入力軸129に伝導する場合には、ステアリング軸125'と下部ステアリング軸125"とのなす角(θ1)、および下部ステアリング軸125"とステアリング入力軸129とのなす角(θ2)とを略同じにすることが好ましい。これにより、上部ステアリング軸125'、下部ステアリング軸125"およびステアリング入力軸129とを等速運動させることができる。
【0036】
本発明では、上記構成によって、ステアリングハンドル9の左右旋回の操作量に応じて、前記HST旋回用ポンプ72の吐出量を変化させ、これに伴い、HST旋回用モータ73の出力を制御し、この出力に応じて旋回半径を制御することができる。
【0037】
(5)油圧変速機構の絞りとディレイリリーフバルブ
本発明のクローラ式トラクタ1は、旋回用HSTポンプ72と旋回用HSTモータ73とが分割配置される場合に、旋回用HSTポンプ72と旋回用HSTモータ73とを連結する左管100および右管101(配管)にリング100a,101a(絞り)、またはディレイリリーフバルブが配設されていてもよい。
【0038】
図6は、旋回用HSTポンプ72と旋回用HSTモータ73とを含む油圧変速機構の油圧系統を示すスケルトン図である。旋回用HSTポンプ72と、旋回用HSTモータ73とは、配管100と配管101との2つの配管で連結されており、閉回路を形成している。ステアリングハンドル9の操向に伴い可動斜板の傾斜角が変動し、この変動に対応して該閉回路内を流れる圧油の方向が変動し、右旋回(または左旋回)のときは配管100が吐出側に、配管101が吸入側になり、左旋回(または右旋回)では配管100が吸入側に、配管101が吐出側になる。本発明では、このような配管100や配管101の中途部の中央付近内側に、適当な開口径を有するリングなどの絞り100a,101aが固設される。ステアリングハンドル9を時計回り(右方向)または反時計回り(左方向)に操向させると、その操向量に応じてトラニオンアームに連係される可動傾斜板の傾斜角が変動し、該傾斜角に対応して吐出量が調整された旋回用HSTポンプ72のオイルが、配管100(または配管101)内のリング100a(または101a)を通った後に旋回用HSTモータ73に流入される。
【0039】
図7に、図6における配管100および配管101に絞り100a,101aを配設した場合(Line 1)、および配設しない場合(Line 2)の油圧の経時変化を示す。図7に示すように、Line 2では、経過時間t1で設定圧力に調整されるが、Line 1では、可動斜板の存在によって発生するサージ圧によって、設定圧力(P1)に安定するまでt2を要した。本発明による早期安定化の詳細は不明であるが、リングを設けることで、旋回用HSTモータ73へのサージ圧の流入を防止でき、このため油圧が安定するまでに要する時間を短縮できたと考えられる。このため、制御された旋回用HSTモータ73の出力を差動機構50Lで合成できるため、なめらかな旋回フィーリングを得ることができる。リング100a,101aの代わりに異なる開口径を有するリングを配管100および配管101に取付けることが可能であり、機体1の旋回フィーリングの程度に合わせて絞りの径を自由に変更することが容易にできる。なお、配管100および配管101に設けられる絞りは、適当な開口径を有するリング100a,101aに限定されるものではなく、配管100および配管101のそれぞれ中途部の配管径を適当な径に縮めて使用してもよい。
【0040】
本発明では、上記絞りに替えて、ディレイリリーフバルブ(DRV)を用いることもできる。このようなDRVを使用した油圧変速機構の油圧系統を図8に示す。図8では、配管100および配管101に絞りがそれぞれ取付けられた同じ位置にDRV100b,101bが取付けられている。このDRV100b,101bは、詳細不図示のリリーフバネとスプールなどが内設されており、上記同様ステアリングハンドル9の操向に伴う可動斜板の傾斜角の変動により、旋回用HSTポンプ72からの圧油がDRV100bまたはDRV101bにおけるリリーフバネの弾性力に抗してスプールを後退させることで、サージ圧が吸収された圧油を旋回用HSTモータ73に送ることができる。さらに、DRV100b,101bにおけるリリーフバネの弾性力を変え、圧油のサージ圧がピークに達する時間を調整することができる。すなわち、リリーフバネの弾性力を強くすると圧油のサージ圧を吸収する時間が遅くなり、逆にリリーフバネの弾性力を弱くすると圧油のサージ圧を吸収する時間が早くなるので、旋回フィーリングの程度を調整することが可能となる。また、リリーフバネの弾性力を変えるための図示しない調節具などがDRV100b,101bの外側部などに取付けられるため、外部から容易にリリーフバネの弾性力を調整することができる。
【0041】
なお、上述したリングなどの絞りやDRVは、配管100および配管101の両方同時に取付けられることに限定されず、配管100もしくは配管101の片方にのみ取付けてもよい。また、これらリングやDRVなどの取付位置は配管100および配管101の中途部の中央付近に限られず、HSTポンプ72と旋回用HSTモータ73間の配管100および配管101内であればどこでもよい。図6、図8では、可変容量ポンプであり、チャージリリーフバルブを2つ配設するものを示したが、これに限定されるものではなく、定容量ポンプであってもよい。
【0042】
(6)油圧変速機構のポンプの種類
本発明では、前記HST旋回用ポンプ72の種類に制限はないが、可変容量ポンプを使用すると、駆動系の動力に比例したポンプ吐出量を得ることができ、運転者のステアリングハンドル9の回動操作に対応してHST旋回用ポンプ72の容量を可変することができ、該HST旋回用ポンプ72の出力を無段階に可変することができる。特に、可変容量ポンプに定容量モータを連結させ、主変速と副変速後とを和した動力をHST旋回用ポンプ72に導入することで、可変容量ポンプ72の吐出量の調整によって走行速度と操向モータの回転とを比例させて旋回半径を一定にさせることができる。
【0043】
一方、可変容量ポンプによる吐出量を変更すると、HST旋回用モータ73のHSTモータ出力ギア38の回転駆動力が変化され、その回転に伴うHSTモータ出力ギア38と噛合する左右2つの逆転ギア52L、52Rの回転が変化し、最終的に旋回駆動軸43L、43Rの他端に固設された差動ギア44L、44Rの回転駆動力が変化する。このため、走行速度が同じ場合であってもHST旋回用モータの容量に対するHST旋回用ポンプの容量を変更することで機体の旋回半径を変えることができる。例えば、HST旋回用ポンプの容量に対してHST旋回用モータの容量を小とすることにより、同じ走行速度でも、ハンドルの切れ角を、例えば機体の旋回半径を大きく(ソフトモード)することができ、前記HST旋回用ポンプの容量に対してHST旋回用モータの容量を大とすることにより、機体の旋回半径を小(スピンモード)とすることができる。可変容量ポンプを使用した場合にその吐出量を切り替えるには、座席に設けた手動レバーなどの機械的方法やソレノイドなどの電気的方法で行うことができる。これらの方法によれば、座席から離れることなく操作でき、容易に旋回半径を変更することができる。よって、クローラ式トラクタでのピボットターンなどを行う際、前記ソフトモードやスピンモードなどの旋回モードを変更することにより、作業状況に応じてピボットターン開始ステアリング角を、小さくしたり、大きくしたり設定変更することが可能である。
【0044】
なお、副変速軸の動力をHST旋回用ポンプ72の入力軸63へ入力するには、ベルト65駆動に限定されるものでなく、チェーンやギヤなどであってもよい。また、HST旋回用ポンプ72と配管によって連結されるHST旋回用モータは、トランスミッション23の上部に配置すれば、HST旋回用モータ73を修理する場合にも、ミッションケース23内に貯留されるオイルがHST旋回用モータ73から流出することなく、HST旋回用モータのメンテナンスや交換など取り外しが容易になり、作業効率が向上する。更に、HST旋回用モータ73がミッションケース23の上部、特に差動機構50の上部に配置した場合には、HST旋回用モータ73から漏下するオイルを直接差動機構に流下させることができる。
【0045】
なお、本発明では、HST旋回用ポンプ72に入力される動力は、主変速軸からの動力であっても、副変速軸からの動力であってもよく、その双方であってもよい。駆動系の主変速と副変速後とを和した動力が前記油圧無段変速旋回用ポンプに導入されると、車速と操向モータの回転とを比例させて旋回半径を一定にさせることができるため好ましい。
【0046】
(7)上部車体とクローラ式走行装置
本発明のクローラ式トラクタにおいて、クローラ式走行装置の前記クローラフレームは、上部車体と少なくとも2つの支持部材によって固設されることが好ましい。このように少ない部材で固設されると、上部車体に簡便に左右クローラ式走行装置を取り付けることができ分離も容易であり、また、上部車体にオプションで追加した装置などによる重量バランスの変化に応じて、容易に前後に移動させることができる。
【0047】
上部車体と左右クローラ式走行装置との固定箇所は、上部車体との重量バランスによって決定されるため、上部車体が小型の場合には、左右一対のクローラフレーム(81L,81R)の上に支持部材(87R、87L、84R、84L)を介して上部車体(90)を載置および固定するだけで、上部車体を取り付けることができる。しかし、一のクローラフレームに対して一箇所のみで固定したのでは当該箇所のみにクローラフレームの全重量がかかり、後バランスとなるため湿田走行時や後部への作業機装着時にクローラ前部が浮くなどの問題が発生しうる。そこで少なくとも2つの支持部材によって固定する。この際、本発明では、前記した上部車体とクローラフレームとの固定箇所に加え、前記クローラ式走行装置の先端部より車両の後方で支持部材によって前記上部車体と固定させる。従来は、例えば特開2002−2523号公報に記載されるように、クローラ式走行装置よりも車体前部に延出する支持部材によって上部車体と固定していたが、本発明では後記するように駆動系の配置などを工夫して重量バランスを調整することで、前記クローラ式走行装置の先端部より後方で支持部材によって前記上部車体と固定できる。しかも、重心バランスに優れるため、クローラが短くても安定して走行することができる。
【0048】
本発明では、左右のクローラフレームは、それぞれ少なくとも2つの支持部材によって上部車体90に固設され、固設箇所はクローラ式走行装置80の先端部よりいずれも車両の後方である。例えば、図6に示すように、クローラフレーム81Lの前方および後方から上方へ向けて支持部材87R、87L、84R、84Lが配設され、これがそれぞれ上部車体90に固設される。上部車体90の固設箇所に限定はないが、たとえば支持部材87R、87L7は、上部車体90のクラッチハウジングの側面に固定することができ、支持部材84R、84Lは、リアアクスルケース40L、40Rに固定することができる。上部車体の固定箇所は特に限定されるものではないが、本発明では、前記支持部材87R、87L、84R、84Lと上部車体90との固設箇所が、クローラ式走行装置80の先端部より車両の後方側であるため、単に支持部材を介するのみでクローラ式走行装置80の上部に配置されるクラッチハウジングなどの構造物に固設することができ、上部車体下部に特別の固設箇所を設ける必要がない。このため、車両の総重量を低減することができる。
【0049】
加えて、本発明では、図10に示すように、上部車体の全長(L1)に対するクローラ走行装置の接地長さ(L2)、すなわちL2/L1は0.5以上である。本発明では、上記範囲にクローラ走行装置の接地長さを短くできるため旋回操作が容易になる。また、車体前方下部に空間が確保され圃場突出物の巻き込みを防止することができるため、圃場面の状態によらず旋回時が向上し、狭い圃場の角部でも安定した旋回作業が確保される。加えて、クローラ走行装置の接地長さが短いために総重量を低減できる。上記したように車両の総重量が低減されるため、このようにクローラ走行装置の接地長さが短くても接地圧を低く抑えることができ、旋回性も向上させることができる。なお、上部車体の全長(L1)には、前部または後部に取り付ける作業機の長さを含めない。
【0050】
本発明のクローラ式トラクタにおいて、上部車体へのクローラフレームの固定は、図9に示すように、支持部材(87R、87L)をボルトによって上部車体に固定し、および支持部材(84R、84L)をリアアクスルケース40L、40Rにボルトによって固定することが好ましい。ボルトであれば、新たな取付け具を使用することなく、簡便に取り付けることができる。
【0051】
(8)その他
減速は、前記ピニオン軸22の片端に設けられた複数のブレーキ板29を介して行われる。運転者の操作により図示しないブレーキペダルが操作されると、ブレーキアーム28が連動して回動し、該ブレーキアーム28の回動に伴いピニオン軸22にブレーキ作用を発生させ、機体1を減速させる。特に、前記ブレーキ板29は、前記ピニオン軸22の右端に位置しており、前記ブレーキ板や、ブレーキアームなどを収容する図示しないブレーキケースを、前記右側の差動機構を収容する右リアアクスルケース40Rと一体とすることができる。なお、前記HST旋回用モータ73が、左リアアクスルケース上に位置していると、前記右リアアクスルケース40Rに配置されたブレーキ機構と、前記左リアアクスルケース40Lに配置されたHST旋回用モータ73との重量が調和し、機体1の重量バランスを保つことができる。
【0052】
作業機の駆動は、PTO出力軸を介して行われる。図4に示すように、前記エンジン3の出力の一部が、前記前後進切換え機構7から、PTO変速ギア48を介してPTOカウンタ軸49に連結され、機体後方のPTO出力軸91に伝えられる。
【0053】
本発明は、クローラ式作業車両の一例としてトラクタについて説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、クローラを使用するコンバインなど、また、建設作業機として、バックホー,ブルトーザなど、クローラを備えたあらゆる作業機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の小型クローラ式トラクタの一例としての小型クローラ式トラクタを示す側面図である。
【図2】本発明の小型クローラ式トラクタにおける走行部の斜視図を示す斜視図である。
【図3】本発明の小型クローラ式トラクタの断面平面図である。
【図4】本発明の小型クローラ式トラクタにおける駆動部の断面側面図である。
【図5】本発明の小型クローラ式トラクタの差動構造を示す図である。
【図6】本発明の小型クローラ式トラクタのクローラ走行装置のフレーム構造の斜視図である。
【図7】図1に示すトラクタにおけるHST旋回機構の油圧を示すグラフである。
【図8】図6の油圧系統にDRVを取付けたスケルトン図である。
【図9】本発明の小型クローラ式トラクタのクローラ走行装置のフレーム構造の斜視図である。
【図10】上部車体の全長(L1)に対するクローラ走行装置の接地長さ(L2)の比を説明する図である。
【図11】従来のホイール型トラクタを示す斜視図である。
【図12】図12(a)は、ステアリングハンドルとHST旋回用ポンプのトラニオンアームとの連結を示す部分側面図であり、図12(b)は部分縦側面図である。
【図13】ステアリングカム機構を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 クローラ式トラクタ(車両)、2 ボンネット、3 エンジン、4 キャビン、5 クラッチハウジング、6 作業機、7 前後進切換え機構、8 運転席、9 ステアリングハンドル、20L、20R 入力軸、21 ベベルギア、22 ピニオン軸、23 ミッションケース、31 出力軸、37 主軸、38 HSTモータ出力ギア、39 主副変速装置、40L、40R リアアクスルケース、41 主変速軸、42 主変速ギア、45 副変速軸、49 PTOカウンタ軸、50L、50R 差動機構、58L、58R 駆動出力ギア、59L、59R 車軸(車軸)、60L、60R 駆動スプロケット(スプロケット)、61 カウンタ軸、63 旋回用HSTポンプ入力軸、72 旋回用HSTポンプ、73 旋回用HSTモータ、80 クローラ式走行装置、81L、81R クローラフレーム、84 支持部材、85 従動アイドラ、87 支持部材、91 PTO出力軸、95 クローラベルト、97 ホイール型トラクタ、100 左管、 101 右管、 100a,101a リング、 100b,101b DRV、123 ステアリングコラム、 125 ステアリング軸、 125' 上部ステアリング軸、125" 下部ステアリング軸、 127 ユニバーサルジョイント、 129 ステアリング入力軸、 130 ステアリングカム機構、 131 左旋回用偏芯カム、132 右旋回用偏芯カム、 133 連結部材、 135 右旋回用コロ、 137 左旋回用コロ、 140 ステアリングアーム、 143 ロッド、 145 トラニオンアーム。




 

 


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