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発明の名称 走行型車両
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−153125(P2007−153125A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2005−351029(P2005−351029)
出願日 平成17年12月5日(2005.12.5)
代理人 【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
発明者 新古 忠之 / 中川 渉 / 大西 満輝
要約 課題
HSTと小出力の安価な小型電動モータとを用いて効率良く変速することができ、作業効率を向上させることができる走行型車両を提供する。

解決手段
除雪作業中は、変速レバーが低速域に入力された場合、HST(静油圧式無段変速装置)の一定出力と電動モータの変速レバーの操作量(変速レバー角度)に応じた出力との差動出力を走行装置に伝達して変速するモータ変速モードに切り換える。一方、変速レバーが高速域に入力された場合、HSTの変速レバーの変速レバー角度に応じた出力と電動モータの一定出力(“0”)との差動出力を走行装置に伝達して変速するHST変速モードに切り換える。
特許請求の範囲
【請求項1】
駆動源の出力を変速して差動機構に伝達する静油圧式無段変速装置と、
出力を前記差動機構に伝達する電動モータと、
前記静油圧式無段変速装置の出力及び前記電動モータの出力の差動出力を前記差動機構から伝達される走行装置と、
車速の指示が入力操作される車速操作部と、
前記静油圧式無段変速装置の出力及び前記電動モータの出力夫々を制御する制御部と
を備える走行型車両であって、
前記制御部は、
前記車速操作部から入力された車速が所定車速以上であるか否かを判定する手段を有し、
前記車速が前記所定車速未満であると判定したとき、
前記車速に応じた前記差動出力を得べく前記静油圧式無段変速装置の出力及び前記電動モータの出力の両方を制御するようにしてあることを特徴とする走行型車両。
【請求項2】
作業機と、
前記駆動源から前記作業機への駆動力を継/断するクラッチと
を備え、
前記制御部は、
前記クラッチの継/断に基づいて前記作業機を作動させるか否かを判定する手段を有し、
前記作業機を作動させないと判定した場合、
前記電動モータの出力を略一定に保つ出力保持手段と、
前記車速に応じて前記静油圧式無段変速装置の出力を制御する出力制御手段と
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の走行型車両。
【請求項3】
前記制御部は、
前記作業機を作動させると判定した場合、
前記車速が前記所定車速以上であると判定したとき、
前記出力保持手段及び前記出力制御手段を実行するようにしてあり、
前記車速が前記所定車速未満であると判定したとき、
前記静油圧式無段変速装置の出力を略一定に保つ手段と、
前記車速に応じて前記電動モータの出力を制御する手段と
を有することを特徴とする請求項2に記載の走行型車両。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、静油圧式無段変速装置を経た駆動源の出力と電動モータの出力との差動出力を走行装置に伝達する走行型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
除雪機、芝刈り機、トラクタ、コンバイン等の走行型車両は、作業者の操作に応じて車速を無段階に調整するためにHST(Hydro Static Transmission;静油圧式無段変速装置)を備える。
また、HSTの代わりに左右一対の電動モータを備え、電動モータの出力と、内燃式エンジンのような駆動源の出力との差動出力を走行装置夫々に伝達し、電動モータの出力を制御することによって車速を無段階に調整する走行型車両が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−199755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
HSTは液圧を利用するため低速域では粘性の影響が大きく、このため一般に車軸の回転数が低い低速域では効率良く変速することができない。ところで、走行型車両は作業中は低速で走行することが多く、作業(例えば除雪)による負荷が走行型車両に加わるため、HSTによって走行装置を効率良く駆動させることができない。
この結果、走行型車両は、特に作業中に作業者の操作に応じて適切に変速することができず、作業効率が悪化するという問題があった。
一方、電動モータによって変速する場合、車軸の回転数が高い高速域では、変速のために大出力の高価な大型電動モータを走行型車両に搭載する必要があった。
【0004】
本発明は斯かる問題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、車速操作部から入力された車速が所定車速未満であるとき、入力された車速に応じた差動出力を得べく静油圧式無段変速装置の出力と電動モータの出力とを制御する構成とすることにより、静油圧式無段変速装置を備えているにもかかわらず、低速域で小出力の安価な小型電動モータを用いて、効率良く変速することができる走行型車両を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、作業機が作動しない場合、入力された車速に応じて静油圧式無段変速装置の出力を制御する構成とすることにより、静油圧式無段変速装置を用いて、効率良く変速することができる走行型車両を提供することにある。
【0006】
本発明の更に他の目的は、作業機が作動する場合、入力された車速が所定車速以上であるとき、入力された車速に応じて静油圧式無段変速装置の出力を制御し、入力された車速が所定車速未満であるとき、入力された車速に応じて電動モータの出力を制御する構成とすることにより、作業効率を向上させることができる走行型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る走行型車両は、駆動源の出力を変速して差動機構に伝達する静油圧式無段変速装置と、出力を前記差動機構に伝達する電動モータと、前記静油圧式無段変速装置の出力及び前記電動モータの出力の差動出力を前記差動機構から伝達される走行装置と、車速の指示が入力操作される車速操作部と、前記静油圧式無段変速装置の出力及び前記電動モータの出力夫々を制御する制御部とを備える走行型車両であって、前記制御部は、前記車速操作部から入力された車速が所定車速以上であるか否かを判定する手段を有し、前記車速が前記所定車速未満であると判定したとき、前記車速に応じた前記差動出力を得べく前記静油圧式無段変速装置の出力及び前記電動モータの出力の両方を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る走行型車両は、作業機と、前記駆動源から前記作業機への駆動力を継/断するクラッチとを備え、前記制御部は、前記クラッチの継/断に基づいて前記作業機を作動させるか否かを判定する手段を有し、前記作業機を作動させないと判定した場合、前記電動モータの出力を略一定に保つ出力保持手段と、前記車速に応じて前記静油圧式無段変速装置の出力を制御する出力制御手段とを更に有することを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る走行型車両は、前記制御部は、前記作業機を作動させると判定した場合、前記車速が前記所定車速以上であると判定したとき、前記出力保持手段及び前記出力制御手段を実行するようにしてあり、前記車速が前記所定車速未満であると判定したとき、前記静油圧式無段変速装置の出力を略一定に保つ手段と、前記車速に応じて前記電動モータの出力を制御する手段とを有することを特徴とする。
【0010】
第1発明にあっては、車速操作部から入力された車速(以下、入力車速という)が所定車速未満であるとき、制御部は、静油圧式無段変速装置の出力と電動モータの出力との差動出力が入力車速に応じた出力となるよう静油圧式無段変速装置の出力及び電動モータの出力の両方を制御する。つまり、静油圧式無段変速装置及び電動モータの両方を変速手段として用いる。この場合、入力車速に応じた適切な差動出力を差動機構が走行装置に伝達して走行装置を駆動させるため、入力車速に応じた車速が得られる。
【0011】
第2発明にあっては、例えば除雪用の作業機を備え、除雪作業を行なわずに街路を走行する場合のように、作業機を作動させない場合、除雪による抵抗が無い分、走行型車両は除雪作業中よりも高速で走行すると考えられる。
ここで、制御部は、入力車速の大小にかかわらず電動モータの出力を略一定(例えば回転数“0”)に保ちつつ、入力車速に応じて静油圧式無段変速装置の出力を制御する。つまり、静油圧式無段変速装置を主変速手段として用いる。このとき、略一定出力の電動モータの出力と、静油圧式無段変速装置の出力との差動出力は入力車速に応じた適切な差動出力となり、この差動出力を差動機構が走行装置に伝達して走行装置を駆動させるため、入力車速に応じた車速が得られる。
【0012】
第3発明にあっては、除雪作業中に高速走行する場合のように、作業機を作動させる場合、しかも入力車速が所定車速以上であるとき、制御部が電動モータの出力を略一定(例えば回転数“0”)に保ちつつ、入力車速に応じて静油圧式無段変速装置の出力を制御する。つまり、静油圧式無段変速装置を主変速手段として用いる。このとき、略一定出力の電動モータの出力と、静油圧式無段変速装置の出力との差動出力は入力車速に応じた適切な差動出力となり、この差動出力を差動機構が走行装置に伝達して走行装置を駆動させるため、入力車速に応じた車速が得られる。
【0013】
一方、除雪作業中に低速走行する場合のように、作業機を作動させる場合、しかも入力車速が所定車速未満であるとき、除雪による抵抗が走行型車両に加わるため、走行型車両は除雪作業を行ないつつ非常に低速で走行すると考えられる。ここで、制御部は静油圧式無段変速装置の出力を略一定(例えば適宜の低い回転数)に保ちつつ、入力車速に応じて電動モータの出力を制御する。
このとき、略一定出力の静油圧式無段変速装置の出力と、電動モータの出力との差動出力は入力車速に応じた適切な差動出力となり、この差動出力を差動機構が走行装置に伝達して走行装置を駆動させるため、入力車速に応じた車速が得られる。
【発明の効果】
【0014】
第1発明の走行型車両による場合、低速域における変速モードを、静油圧式無段変速装置及び電動モータの両方を変速手段として用いるモードに自動的に切り換えることができる。この結果、走行型車両は、作業者の操作に応じて適切に変速することができる。
また、変速の際、電動モータと静油圧式無段変速装置とを両方を同時的に用いるため、電動モータ単体を用いる場合よりも小出力の安価な小型電動モータを用いて、効率良く変速することができる。また、静油圧式静油圧式無段変速装置を備えることによって、滑らかな旋回と高い出力伝達効率とを得ることができる。
更に、電動モータの出力が小さいため、電動モータの消費電力が小さく、省エネとなる。
【0015】
第2発明の走行型車両による場合、非作業中の変速モードを、静油圧式無段変速装置を主変速手段として用いるモードに自動的に切り換えることができる。この結果、一般に高速で走行型車両が運用される非作業中に電動モータを主変速手段として用いることがないため、小出力の安価な小型電動モータを備えることができる。また、静油圧式無段変速装置を用いて、高速域で効率良く変速することができる。更に、電動モータの出力が一定であるため、静油圧式無段変速装置の出力を制御して所望の差動出力を得ることが容易である。
【0016】
ここで、非作業中は静油圧式無段変速装置の効率が悪化する低速で走行型車両が運用されることが少ないため、仮に、低速域における変速モードを、電動モータを主変速手段として用いるモードに切り換える場合、モードの切り換えによって、逆に走行型車両の運用効率が悪化することが考えられる。つまり、本発明の走行型車両はモードの切り換えによる運用効率の悪化を防止している。
【0017】
第3発明の走行型車両による場合、作業中の高速域における変速モードを、静油圧式無段変速装置を主変速手段として用いるモードに自動的に切り換えることができ、作業中の低速域における変速モードを、電動モータを主変速手段として用いるモードに自動的に切り換えることができる。このため、走行型車両は、車速の高低にかかわらず、作業中に作業者の操作に応じて適切に変速することができ、作業効率を向上させることができる。
更に、電動モータ(又は静油圧式無段変速装置)の出力が一定であるため、静油圧式無段変速装置(又は電動モータ)の出力を制御して所望の差動出力を得ることが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0019】
図1は、本発明に係る走行型車両1の構成を示す側面図である。また、図2は、走行型車両1の走行系の動力伝達機構6の構成を示すブロック図であり、図3は、同じく模式的説明図である。
図1に示すように、走行型車両1はウォークビハインド型の除雪機である。
走行型車両1は除雪用の作業機である除雪部2、走行型車両1を駆動するための駆動部3、左右一対のクローラ式走行装置である走行装置4L,4R、作業者が走行型車両1を操作するための操作部5を備え、これらは機体フレーム11に支持されている。以下では、走行型車両1の左側の構成要素の符号末尾にL、右側の構成要素の符号末尾にRを付す。
【0020】
機体フレーム11前部には除雪部2、機体フレーム11上部には駆動部3、機体フレーム11下部には走行装置4L,4R、機体フレーム11後方上部には操作部5が、夫々配置されている。
また、機体フレーム11内には、図2及び図3に示すような走行系の動力伝達機構6を収納するギヤケースが設けられている。
【0021】
除雪部2は、走行型車両1の前方の雪を除雪部2内に掻き込むための掻込オーガ21、掻込オーガ21を包囲するオーガハウジング22、掻込オーガ21が掻き込んだ雪を走行型車両1の側方へ排出するためのブロワ24、ブロワ24を収容するブロワハウジング23、雪の排出管であるシュータ25を備える。このような除雪部2が作動することによって、走行型車両1の前方の雪が掻き込まれて、走行型車両1の側方へ排出され、走行型車両1の走行経路上の雪が除去される。
掻込オーガ21及びブロワ24は、駆動部3が備えるエンジン31の出力を利用して駆動される。
【0022】
駆動部3は、駆動源として内燃式のエンジン31を備え、更に、エンジン31の出力を利用して発電する発電機32と、機体フレーム11に固定されているバッテリ33と、左右一対の電動モータ61L,61Rを有する動力伝達機構6を備える(図2及び図3)。エンジン31は、例えば電圧が夫々12V(又は24V)の電動モータ61L,61Rと比べて高出力であり、走行時の牽引力及び除雪部2の駆動力が大きく、高効率な走行及び作業が可能である。
【0023】
発電機32の発電電力は、制御部30と、電動モータ61L,61Rの駆動回路(インバータ)36L,36Rとに電力を伝達する。駆動回路36L,36Rは制御部30に接続されており、制御部30は駆動回路36L,36Rに電動モータ制御信号を出力することによって、電動モータ61L,61Rの出力(具体的には回転数)を制御する。ここで、電動モータ制御信号は、電動モータ61L,61R夫々の回転数に関連付けて、予め制御部30に与えられている。
発電機32の発電電力は制御部30及び駆動回路36L,36R以外の図示しない電気機器にも伝達され、余剰電力はバッテリ33に充電されて、このバッテリ33から必要に応じて電動モータ61L,61Rに伝達される。
【0024】
つまり、駆動部3においては、エンジン31からの直接の出力と、発電機32の発電電力で駆動される電動モータ61L,61Rからの出力とを各部へ伝達する。除雪部2はエンジン31の直接の出力で駆動され、走行装置4L,4Rはエンジン31の直接の出力と電動モータ61L,61Rの出力(エンジン31の間接の出力)との差動出力で駆動される。
以下では、エンジン31の出力からの実際の出力の内、発電機32での発電による負荷を除いて残った動力をエンジン出力という。
【0025】
走行装置4L(4R)は、無端ベルトであるクローラベルト43L(43R)と、クローラベルト43L(43R)が巻回される駆動スプロケット41L(41R)及び従動スプロケット42L(42R)と、夫々左右水平方向に配された走行駆動軸(以下、単に車軸という)45L(45R)及び従動車軸44とを備える。
【0026】
前記ギヤケースを内蔵する機体フレーム11からは車軸45L(45R)が回転可能に支持されて左(右)に突設されており、車軸45L(45R)に駆動スプロケット41L(41R)が外嵌固定されている。また、機体フレーム11の車軸45L(45R)後方からは従動車軸44が回転可能に支持されて左(右)に突設されており、従動車軸44に従動スプロケット42L(42R)が外嵌固定されている。
車軸45L(45R)は前記差動出力が伝達されることによって個別に回転し、車軸45L(45R)の回転によって走行装置4L(4R)が回転駆動される。
【0027】
図2及び図3に示すように、走行型車両1は、駆動部3において二種類の動力、つまりエンジン出力と電動モータ61L,61Rの出力とを利用して、走行可能に構成されている。そして、この二種類の動力を走行装置4L,4Rに伝達する機構として、動力伝達機構6が設けられている。走行装置4L,4R夫々の回転速度(車速)を調整することによって、走行型車両1は直進(前進又は後進)し、また、滑らかに旋回(右旋回又は左旋回)する。
【0028】
動力伝達機構6は、エンジン出力と、電動モータ61L,61Rの出力との差動出力を、左右の車軸45L,45Rに伝達するよう構成されている。車軸45L,45R夫々に伝達された差動出力が異なる場合、走行型車両1は旋回し、前記差動出力が同一である場合、走行型車両1は直進する。
ここで、差動出力とは、エンジン出力と電動モータ61L,61Rの出力との差又は和を一つの運動にして出力したものである。
【0029】
動力伝達機構6には、夫々遊星差動機構である左右一対の差動機構62L,62Rが備えられている。遊星差動機構は、太陽ギヤ、遊星キャリア、リングギヤの三要素を備え、この三要素のうち二つの要素が入力側の要素とされ、一つの要素が出力側の要素とされて、二つの入力側要素の差動出力が、一つの出力側要素に伝達される。
具体的には、走行型車両1左(右)側の差動機構62L(62R)がエンジン出力と左(右)側の電動モータ61L(61R)の出力との差動出力を左(右)側の車軸45L(45R)に伝達する。
【0030】
以下では、主に動力伝達機構6の走行型車両1左側の差動機構62L及び走行装置4Lを例示して説明するが、走行型車両1右側の差動機構62R及び走行装置4Rも同様の構成、作用及び効果を有する。
差動機構62Lにおける二つの入力側要素は、太陽ギヤ82Lと、内周面及び外周面夫々に歯車部が形成され、しかも回転を可能としたリングギヤ85Lである。太陽ギヤ82Lにはエンジン出力軸31aが動力伝達可能に接続され、リングギヤ85Lには、電動モータ61Lの電動モータ出力軸611Lが動力伝達可能に接続されている。また、出力側要素は、複数の遊星ギヤ84L,84L,…が支持されている略円盤状の遊星キャリア83Lであり、遊星キャリア83Lに車軸45Lが動力伝達可能に接続されている。
【0031】
次に、エンジン31から差動機構62Lまでの動力伝達経路について説明する。
エンジン出力軸31aには、エンジンクラッチ38を介して第1プーリ71が設けられ、第1プーリ71と第2プーリ72とがベルト73に巻回されて、動力伝達可能に接続されている。エンジンクラッチ38をオン/オフすることによって、第1プーリ71がエンジン出力軸31aに固定され、エンジン出力を伝達可能なオン状態と、第1プーリ71がエンジン出力軸31aに固定されず、エンジン出力が伝達不可能なオフ状態とが切り換えられる。
【0032】
動力伝達機構6はギヤケース内前側に静油圧式無段変速装置であるHST60を備えている。ただし、HST60のHST入力軸60aはギヤケースの一面を貫通して回転自在に設けられており、HST出力軸60bはギヤケース内にHST入力軸60aの延長線上に回転自在に設けられており、第2プーリ72はギヤケース外前側に配されている。
第2プーリ72はHST入力軸60aに外嵌固定されており、HST出力軸60bには、第1ベベルギヤ74が外嵌固定されている。
【0033】
ギヤケース内には、第2伝達軸75が、HST入力軸60a及びHST出力軸60bの軸方向と略直交する左右水平方向に回転自在に支持されており、第2伝達軸75上には、第1ベベルギヤ74と噛合する第2ベベルギヤ76、及び、第1スプロケット77が外嵌固定されている。
第2伝達軸75の右端部にはブレーキ装置63が設けられており、ブレーキ装置63の作動により第2伝達軸75の回転が制止されると、差動機構62L,62Rの太陽ギヤ82Lの回転がロックされる。
【0034】
ギヤケース内には、第3伝達軸81が車軸45L,45Rと同軸上に配されて左右水平方向に回転自在に支持されており、第3伝達軸81には第2スプロケット80が外嵌固定されており、第2スプロケット80と第1スプロケット77とはチェーン78が巻回されて動力伝達可能に接続されている。
第3伝達軸81の左側中央部には、太陽ギヤ82Lが外嵌固定されている。
【0035】
つまり、エンジン31から差動機構62Lに至る動力伝達経路は、エンジンクラッチ38がオン状態であり、ブレーキ装置63が作動していない(制動していない)場合、エンジン31のエンジン出力軸31a→第1プーリ71→ベルト73→第2プーリ72→HST入力軸60aの順であり、HST60で変速された後、HST出力軸60b→第1ベベルギヤ74→第2ベベルギヤ76→第2伝達軸75→第1スプロケット77→チェーン78→第2スプロケット80→第3伝達軸81→差動機構62Lの入力側要素である太陽ギヤ82Lの順である。
【0036】
次に、電動モータ61Lから差動機構62Lまでの動力伝達経路について説明する。
電動モータ61Lの電動モータ出力軸611Lにはウォーム87Lが外嵌固定されており、ウォーム87Lは、リングギヤ85Lの外周面の歯車部と噛合している。ここで、リングギヤ85Lの外周面の歯車部はウォーム87Lのウォームホイールを兼ねている。
つまり、電動モータ61Lから差動機構62Lに至る動力伝達経路は、電動モータ61Lの電動モータ出力軸611L→ウォーム87L→差動機構62Lの入力側要素であるリングギヤ85Lの順である。
電動モータ61Lは、遊星キャリア83Lの回転速度を減速させる方向に、リングギヤ85Lを回転駆動するようにしてある。
【0037】
差動機構62Lにおいて、遊星キャリア83Lは、軸受を介して第3伝達軸81の左端部を支持している。また、遊星キャリア83Lの右側面には複数の回転軸86L,86L,…が突設され、各回転軸86Lに1個の遊星ギヤ84Lが回転可能に支持されている。遊星ギヤ84L,84L,…は、太陽ギヤ82Lと互いに噛合しており、更に、リングギヤ85Lの内周面の歯車部と互いに噛合している。
つまり、差動機構62Lにおける動力伝達経路は、太陽ギヤ82L及びリングギヤ85L→遊星ギヤ84L,84L,…→回転軸86L,86L,…→遊星キャリア83Lの順である。
【0038】
更に、差動機構62Lから車軸45Lまでの動力伝達経路について説明する。
車軸45Lの右端部は、差動機構62Lに備える遊星キャリア83Lに、スプライン嵌合により外嵌固定されている。
つまり、差動機構62Lから車軸45Lに至る動力伝達経路は、差動機構62Lの出力側要素である遊星キャリア83L→車軸45Lの順である。そして、車軸45Lに伝達された駆動力、即ち差動機構62Lから伝達された差動出力が駆動スプロケット41Lに伝達される。この差動出力は、更に詳細には、HST60で変速されたエンジン出力と、電動モータ61Lの出力との差動出力である。
【0039】
電動モータ61Lを停止させ、電動モータ61Lの出力が“0”の状態でエンジン出力のみによって走行型車両1を走行させる場合、差動機構62Lのリングギヤ85Lが回転しないよう固定する必要がある。仮にリングギヤ85Lの回転を固定しない場合、エンジン出力の一部がリングギヤ85Lから電動モータ61Lに伝達されて(エンジン出力が電動モータ61Lに逆流して)車速、走行安定性等が低下することがある。
【0040】
しかしながら本実施の形態においては、リングギヤ85Lをウォームホイールとし、ウォーム87Lと互いに噛合させてあるため、ウォーム87Lのセルフロック機能を利用することによって、電動モータ61Lへの駆動力の逆流が防止される。この結果、電動モータ61Lと差動機構62Lとの間に駆動力逆流防止用のクラッチ、ブレーキ等を備える必要がなく、走行型車両1の部品点数及び製造コストを低減することができる。
ここで、セルフロック機能とは、ウォームの回転によってウォームホイールを回転させることは容易であるが、逆は困難であるという性質を利用したものである。
【0041】
さて、HST60は、エンジン31の出力である回転速度を変速して差動機構62Lに伝達する静油圧式無段変速装置である。HST60は、HST入力軸60aを有する油圧ポンプ、及びHST出力軸60bを有する油圧電動モータ、並びに油圧ポンプと油圧電動モータとを流体的に接続するための油圧回路を筐体に収容してある(各不図示)。油圧ポンプは可動斜板式のアキシャルピストンポンプであり、油圧電動モータは可動斜板式のアキシャルピストン電動モータである。
【0042】
HST60の出力の大小は、HST入力軸60aが1回転する間に油圧ポンプから油圧電動モータへ搬送される圧油の量を調整する可動斜板の角度(以下、HST斜板角度という)の大小に対応し、圧油の量が多い場合はHST出力軸60bの回転数が多くなる。このため、HST斜板角度を制御することによってHST60の出力が制御される。
【0043】
HST60にはアクチュエータ60cが併設してある。アクチュエータ60cは制御部30に接続されており、制御部30はアクチュエータ60cにHST制御信号を出力することによって、HST60の出力(具体的には回転数)を制御する。ここで、HST制御信号は、HST60の回転数に対応するHST斜板角度に関連付けて、予め制御部30に与えられている。
【0044】
ところで、走行型車両1が備える作業系の動力伝達機構として、エンジン出力軸31a上には、除雪部2への動力伝達に関わる駆動プーリ又はギヤ、発電機32への動力伝達に関わる駆動プーリ又はギヤ等(各不図示)が備えられている。作業系の動力伝達機構はエンジン31から除雪部2への駆動力の伝達を行ない、この動力伝達機構の中途に、除雪部2への駆動力の伝達のオン/オフを行なう除雪クラッチ37が設けられている。
【0045】
操作部5は、機体フレーム11に固設された後面視逆U字状のハンドル51に設けられた各種レバーを備える。
ハンドル51上端部の左右一側にはクラッチレバー50が設けられ、他側には除雪レバー55が設けられており、各レバーは夫々デッドマンクラッチレバーである。
【0046】
クラッチレバー50は、作業者がクラッチレバー50を操作すると該クラッチレバー50の動作が図示しない検出器により検出され、この検出器が検出した動作に基づいて制御部30から指令信号がエンジンクラッチ38及びブレーキ装置63に加えられ、ブレーキ装置63が解除動作するとともにエンジンクラッチ38が継合動作し、エンジン31の回転動力が差動機構62L,62Rに伝動され、また、作業者がクラッチレバー50の操作を開放するとブレーキ装置63が制動動作するとともにエンジンクラッチ38が解除動作し、エンジン31の回転動力が差動機構62L,62Rに伝動されないように構成されている。
【0047】
除雪レバー55は図示しない伝動部材を介して除雪クラッチ37に接続されており、エンジン31の回転動力を除雪部2に伝動/遮断するように構成されている。
除雪レバー55の動作は図示しない検出器により検出され、この検出器が検出した動作に基づいて制御部30は、エンジン31の回転動力が除雪部2に伝動/遮断されたか、即ち除雪レバー55がオン状態/オフ状態にされたか否かを判定することによって、除雪クラッチ37のオン/オフ、即ち除雪部2を作動させるか否かを判定する。
【0048】
ハンドル51中途部には操作ボックス52L,52R,53が固設されており、操作ボックス52L,52Rには旋回レバー54L,54Rが、操作ボックス53に変速レバー56が、夫々設けられている。
【0049】
旋回レバー54L(54R)は旋回する場合に作業者によって操作される旋回操作部であり、作業者が手動で左(右)方向に夫々傾倒可能としてある。旋回レバー54L,54Rは、図示しない検出器が検出した旋回レバー54L,54Rの傾倒角度(操作量)に応じて、作業者が所望する走行型車両1の旋回半径(旋回の緩急)を指示する旋回レバー操作量が制御部30に入力されるようにしてある。
【0050】
ここで、旋回レバー54L,54R両方の旋回レバー操作量が“0”の場合は直進(又は停止)を意味し、旋回レバー54Lの旋回レバー操作量が“0”超過の場合は左旋回を意味し、旋回レバー54Rの旋回レバー操作量が“0”超過の場合は右旋回を意味する。つまり、本実施の形態における旋回レバー操作量は旋回レバー54L,54Rの操作方向と、この操作方向への操作量の絶対値とを含んでいる。
【0051】
変速レバー56は操作角度が図示しない検出器により検出されるように構成されており、この検出器が検出した操作角度に基づいて制御部30からHST制御信号がアクチュエータ60cに加えられ、HST60を変速動作させる。
つまり、変速レバー56は車速を無段階に変更する場合に作業者によって操作されることによって車速の指示が入力操作される車速操作部である。
【0052】
変速レバー56は、中立位置を傾倒角度“0”として前後方向に傾倒可能に設けてあり、変速レバー56の前後の傾倒角度、即ち、作業者が所望する走行型車両1の車速を指示する変速レバー角度が制御部30に入力されるようにしてある。変速レバー56の前側傾倒及び後側傾倒は、夫々前進及び後進に対応している。以下では簡単のため、前進に関して説明し、傾倒角度は絶対値とする。
傾倒角度が所定傾倒角度以下の範囲は低速域の車速に対応し、所定傾倒角度超過の範囲は高速域の車速に対応する。更に、変速レバー56を前方端部に位置させた場合は最大傾倒角度(最大操作量)となる。
【0053】
制御部30は、変速レバー56からの入力である変速レバー角度に基づいて、作業者が所望する車速を得るために必要なHST斜板角度を算出し、算出されたHST斜板角度に関連付けられたHST制御信号をアクチュエータ60cに出力することによって、HST60の出力を制御する。このようにして制御部30はエンジン出力の変速を行なう。
【0054】
本実施の形態においては、走行型車両1の直線時及び旋回時の両方で、エンジン出力と左右の電動モータ61L,61Rの出力との差動出力が利用される。ただし、直進時には、電動モータ61L,61Rの電動モータ出力軸611L,611Rは互いに略同一の回転数及び回転方向で駆動されるが、旋回時には、電動モータ出力軸611L,611R夫々の回転数の差又は回転方向の違いが利用される。
以下では、図4〜図6の特性図並びに図7のフローチャートに基づいて、走行型車両1の直進について説明する。
【0055】
図4は、走行型車両1の変速レバー56の除雪作業中の変速レバー角度とHST60及び電動モータ61L,61R夫々の出力との関係を示す特性図である。また、図5は、走行型車両1の変速レバー56の非除雪作業中の変速レバー角度とHST60及び電動モータ61L,61R夫々の出力との関係を示す特性図である。各図中の横軸は変速レバー56の傾倒角度であり、縦軸はHST60及び電動モータ61L,61R夫々の出力(具体的にはHST出力軸60bの回転数に対応するHST斜板角度、及び電動モータ出力軸131L,131R夫々の回転数)である。
【0056】
また、図6は、走行型車両1の変速レバー56の除雪作業中の変速レバー角度と走行型車両1の車速との関係を示す特性図である。図中横軸は変速レバー56の傾倒角度であり、縦軸は走行型車両1の実際の車速(車軸45L,45Rの回転数)である。
【0057】
走行型車両1は、除雪作業中、変速レバー56が低速域にある(具体的には変速レバー56の傾倒角度が低速域に対応している範囲内にある)か否かに応じて、モータ変速モードとHST変速モードとを切り換えて作動し、非除雪作業中はHST変速モードのみで作動するように構成されている。
【0058】
HST変速モードは、変速レバー56の傾倒角度の増大に比例して、HST60の出力を増大させ、かつ、電動モータ61L,61R両方の出力を“0”で一定にする(図4及び図5)。
一方、モータ変速モードは、変速レバー56の傾倒角度の増大に比例して、電動モータ61L,61R両方の出力を増大させ、かつ、HST60の出力を所定の出力で一定にすべく、HST斜板角度を所定HST斜板角度となす。ここで、HST60の所定出力は、低速域と高速域との境界の車速における変速レバー角度に対応する出力である(図4)。
図4及び図5に示すような特性図は、予め制御部30に与えられている。
【0059】
除雪作業中は、雪の抵抗が走行型車両1に加わるため、特に変速レバー56が低速域にある場合は車速が非常に遅い。このため、HST60の出力のみで走行する場合、HST60が使用する圧油の粘性によって、図6の二点差線に示すように、効率良く変速することができない。しかしながら、HST60の出力を“0”とし、電動モータ61L,61Rの出力のみで変速する場合は大出力の電動モータ61L,61Rが必要となる。
このため、除雪作業中の低速域では、所定出力のHST60と、変速レバー56の傾倒角度に応じた電動モータ61L,61R両方の出力とで変速することによって、小出力の電動モータ61L,61Rを備えることができ、しかも、図6の実線に示すように、効率良く変速することができる。
【0060】
一方、除雪作業中の高速域、及び非除雪作業中は、走行型車両1の車速が早いため、特にHST60の出力のみで効率良く変速することができる。仮に、電動モータ61L,61Rを併用して変速する場合は大出力の電動モータ61L,61Rが必要となるが、電動モータ61L,61Rの出力は“0”であるため、小出力の電動モータ61L,61Rを備えることができる。
【0061】
図7は、制御部30が実行する変速処理の手順を示すフローチャートである。
制御部30は、除雪レバー55のオン状態/オフ状態を判定することによって、除雪クラッチ37がオン状態であるか否かを判定する(S11)。
除雪クラッチ37がオン状態である場合(S11でYES)、走行型車両1は除雪作業中であり、制御部30は変速レバー56の傾倒角度を受け付け(S12)、受け付けた変速レバー角度に基づいて変速レバー56が低速域にあるか否かを判定する(S13)。
また、除雪クラッチ37がオフ状態である場合(S11でNO)、走行型車両1は非除雪作業中であり、制御部30は変速レバー56の傾倒角度を受け付ける(S14)。
【0062】
変速レバー56が低速域にある場合(S13でYES)、制御部30は、図4に示されるような所定HST斜板角度に関連付けられたHST制御信号(所定HST制御信号)をアクチュエータ60cへ出力する(S15)。アクチュエータ60cは入力された所定HST制御信号に応じてHST60のHST斜板角度を所定HST斜板角度に変更し、このとき、HST60は所定のHST出力で駆動される。
【0063】
次に制御部30は、S12で受け付けた変速レバー56の傾倒角度と、図4に示されるような特性図とに基づいて、所要の電動モータ回転数を算出し(S16)、算出した電動モータ回転数に関連付けられた電動モータ制御信号を電動モータ61L,61Rの駆動回路36L,36R両方へ出力する(S17)。S17の処理によって、電動モータ61L,61RはS16で算出した所要の電動モータ回転数を出力する。
【0064】
変速レバー56が高速域にある場合(S13でNO)、又はS14の処理完了後、制御部30は電動モータ制御信号の出力を停止して電動モータ61L,61Rを両方とも停止させ(S18)、次に制御部30は、S12又はS14で受け付けた変速レバー56の傾倒角度と、図4又は図5に示されるような特性図とに基づいて、所要のHST斜板角度を算出する(S19)。ただし、S11で除雪クラッチ37がオン状態である場合(S11でYESの場合、即ち除雪作業中)は図4に示されるような特性図、S11で除雪クラッチ37がオフ状態である場合(S11でNOの場合、即ち非除雪作業中)は図5に示されるような特性図を用いる。
【0065】
最後に制御部30は、S19で算出したHST斜板角度に関連付けられたHST制御信号をアクチュエータ60cへ出力する(S20)。アクチュエータ60cは入力されたHST制御信号に応じてHST60のHST斜板角度を変更し、このとき、HST60は、S19で算出した所要のHST斜板角度に対応する所要のHST出力で駆動される。
【0066】
S17又はS20の処理完了後、制御部30は処理をS11へ戻す。
【0067】
以上のような変速処理における制御部30は、静油圧式無段変速装置の出力及び電動モータの出力夫々を制御する制御部として機能する。
S13における制御部30は、車速操作部から入力された車速が所定車速以上であるか否かを判定する手段として機能し、S15からS17において、前記車速が前記所定車速未満であると判定したとき(S13でYESのとき)、前記車速に応じた前記差動出力を得べく前記静油圧式無段変速装置の出力及び前記電動モータの出力の両方を制御するようにしてある。
【0068】
S11における制御部30は、クラッチの継/断に基づいて作業機を作動させるか否かを判定する手段として機能する。
【0069】
S18からS20における制御部30は、前記作業機を作動させないと判定した場合(S11でNOの場合)、前記電動モータの出力を略一定に保つ出力保持手段(S18における制御部30)と、前記車速に応じて前記静油圧式無段変速装置の出力を制御する出力制御手段(S19及びS20における制御部30)として機能する。また、S18からS20における制御部30は、前記作業機を作動させると判定した場合(S11でYESの場合)、前記車速が前記所定車速以上であると判定したとき(S13でNOの場合)、前記出力保持手段と、前記出力制御手段として機能する。
【0070】
S15〜S17における制御部30は、前記作業機を作動させると判定した場合(S11でYESの場合)、前記車速が前記所定車速未満であると判定したとき(S13でYESのとき)、前記静油圧式無段変速装置の出力を略一定に保つ手段(S15における制御部30)と、前記車速に応じて前記電動モータの出力を制御する手段(S16及びS17における制御部30)として機能する。
【0071】
以上のような走行型車両1は、エンジン出力を左右に分配し、各々遊星差動機構を用いて電動モータ出力を合成させることで左右走行部の回転数を制御(減速)し、2種類の変速モードを条件によって切り換えることによって、低速直進補助に旋回補助用電動モータを使用し、操向操作する。
このため、走行型車両1は小出力で安価な小型電動モータを備えることができる。
【0072】
具体的には、走行型車両1は、HST60を1個と、安価な2個の電動モータ61L,61Rとを備えるため、電動モータ61L,61Rの代わりにHSTを更に備える必要がなく、走行型車両1の製造コストを低減することができる。また、電動モータ61L,61Rのみを備える場合よりも燃費を向上させることができ、HST60のみを備える場合よりも柔軟に運用することができる。
また、1個の差動機構62L(62R)に対して1個の専用の電動モータ61L(61R)が設けられているため、2個の差動機構62L,62Rに対して1個の共用の電動モータを備える場合よりも小出力で安価な電動モータを備えることができる。更に、共用の電動モータの出力を2個の差動機構62L,62Rに配分する複雑な機構を必要としないため、走行型車両1の構成が簡易である。
【0073】
しかも、電動モータ61L,61Rの出力を遊星キャリア83L,83Rの回転速度の減速方向に用いている。この場合、電動モータ61L,61Rへ逆流してくるエンジン出力にアシストされる形で電動モータ61L,61Rの出力を差動機構62L,62Rに入力することになる。
仮に、増速方向に用いる場合は、電動モータ61L,61Rへ逆流してくるエンジン出力に抵抗して電動モータ61L,61Rの出力を差動機構62L,62Rに入力する必要がある。
以上の結果、本実施の形態においては、電動モータ61L,61Rの出力を増速方向に用いる場合よりも小型小出力の電動モータ61L,61Rを備えることができる。
【0074】
なお、走行型車両は乗用型でも非乗用型(手押し型)でもよく、また、除雪機に限るものではない。更に、クローラ式走行装置に限らず、例えばホイール式の走行装置でもよい。また、HSTの代わりに他の静油圧式無段変速装置(例えばCVT)を備えてもよい。
【0075】
また、一対の電動モータではなく1個の電動モータの出力を左右の差動機構に分配し、更に、クラッチで左右を切り換える構成でもよい。
更に、一対の電動モータの一方を駆動させ他方を停止させる構成ではなく、両方を駆動する構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る走行型車両の構成を示す側面図である。
【図2】本発明に係る走行型車両の動力伝達機構の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る走行型車両の動力伝達機構の構成を示す模式的説明図である。
【図4】本発明に係る走行型車両の作業中の変速レバー角度とHST及び電動モータ夫々の出力との関係を示す特性図である。
【図5】本発明に係る走行型車両の非作業中の変速レバー角度とHST及び電動モータ夫々の出力との関係を示す特性図である。
【図6】本発明に係る走行型車両の変速レバー角度と車速との関係を示す特性図である。
【図7】本発明に係る走行型車両の制御部が実行する変速処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1 走行型車両
2 除雪部(作業機)
30 制御部
31 エンジン(駆動源)
37 除雪クラッチ(クラッチ)
4R,4L 走行装置
56 変速レバー(車速操作部)
60 HST(静油圧式無段変速装置)
61L,61R 電動モータ
62L,62R 差動機構




 

 


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