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発明の名称 作業車両
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−131090(P2007−131090A)
公開日 平成19年5月31日(2007.5.31)
出願番号 特願2005−324789(P2005−324789)
出願日 平成17年11月9日(2005.11.9)
代理人 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫
発明者 畑中 健一 / 黒川 義秋
要約 課題
車速維持機構を簡単な構造にしながら、運転操作性等を向上できるようにした作業車両の提供。

解決手段
車速維持機構は、係脱可能に係合させる複数の係止爪を有する係止アームと、係止体とを備え、前記変速ペダルに前記係止アームを連結し、車速維持用の手動操作レバーに前記係止体を連結し、前記変速ペダルを踏込み位置から初期位置に戻して車速を略零にするための初期位置復帰バネの付勢力によって、前記係止爪と前記係止体との係合を維持可能に構成。
特許請求の範囲
【請求項1】
走行部を備えた走行機体に搭載されたエンジンと、前記エンジンからの動力を変速する油圧式無段変速機と、前記走行部に変速出力ギヤを介して前記油圧式無段変速機からの変速出力を伝えるミッションケースと、前記油圧式無段変速機の変速操作部に変速機構を介して連結する変速ペダルと、前記変速ペダルを踏込み操作位置に保持する車速維持機構とを備えてなる作業車両において、
前記車速維持機構は、係脱可能に係合させる複数の係止爪を有する係止アームと、係止体とを備え、前記変速ペダルに前記係止アームを連結し、車速維持用の手動操作レバーに前記係止体を連結し、
前記変速ペダルを踏込み位置から初期位置に戻して車速を略零にするための初期位置復帰バネの付勢力によって、前記係止爪と前記係止体との係合を維持可能に構成していることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記走行機体に係止リンクを回動可能に配置し、前記手動操作レバーに前記係止リンクの一端側を連結し、前記係止リンクの他端側に前記係止体を配置していることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記変速ペダルに係止アームの一端側を連結し、前記係止アームの他端側に複数の前記係止爪を形成し、前記係止リンクの前記係止体と、前記係止アームの前記係止爪とを対向させて配置していることを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記変速ペダルは前進ペダル及び後進ペダルからなり、1つの前記初期位置復帰バネのバネ力によって、前記前進ペダル及び前記後進ペダルが踏込み位置から初期位置に戻され、且つ前記油圧式無段変速機の変速操作部が出力零位置に戻されるように構成していることを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記走行機体のペダルフレームに前進ペダル軸及び後進ペダル軸を介して前記前進ペダル及び前記後進ペダルを回動可能にそれぞれ軸支し、前記前進ペダル及び前記後進ペダルのいずれか一方と前記無段変速機の変速操作部とを連結し、前記前進ペダル及び前記後進ペダルの同時踏込み作動を防ぐ牽制機構を介して、前記前進ペダルと前記後進ペダルとを連結し、前記前進ペダル及び前記後進ペダルのそれぞれの踏込み操作方向を略一致させるように構成していることを特徴とする請求項4に記載の作業車両。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業に使用されるトラクタ又は土木作業に使用されるホィルローダ等の作業車両に係り、より詳しくは、変速ペダルを所定の踏込み位置に保持して走行機体の車速を一定に保持するための車速維持機構(オートクルーズ機構)を有する作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に、前記したトラクタ又はホィルローダ等の作業車両において、左右の走行車輪または走行クローラ等の走行部に動力伝達するに際しては、前記作業車両における走行機体に搭載したエンジンからミッションケースに動力伝達されて、ミッションケースの変速機構を介して左右の走行部に対して出力するように構成している。
【0003】
この場合、従来の作業車両においては、その走行機体にミッションケースを配設し、このミッションケースに静油圧式の無段変速機を設けて、前記無段変速機に前記エンジンからの動力を入力し、前記無段変速機から前記ミッションケースを介して前記走行部に動力伝達するという構成にしている。また、前記静油圧式の無段変速機の変速出力を増減速操作するための変速ペダルと、前記走行機体の車速(移動速度)を略一定に保つ車速維持機構(ペダルロック機構)とを備えている。前記車速維持機構は、係脱可能に係合させる複数の係止爪(被係止部)と、1つの係止体(係止部)とを有し、前記複数の係止爪のいずれか1つと前記係止体との係合によって、前記変速ペダルを所定の踏込み位置に保持するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−80770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、前記変速ペダルに前記係止体(係止部)を設け、且つ係止アーム(ロック部材)に前記複数の係止爪(被係止部)を設け、車速維持用の手動操作レバー(ロックレバー)に係止アームを連結して、前記手動操作レバーを介して前記係止体及び前記係止爪をロックまたはロック解除可能に構成していた。そのため、前記手動操作レバーがロック解除操作された場合、前記無段変速機の出力が零に復帰する力、例えば前記無段変速機の油圧ポンプ(または油圧モータ)の変速用斜板が出力零位置に復帰する力、または変速用斜板及び変速ペダルを初期位置に維持するバネ力等によって、前記変速ペダルが極めて短時間で初期位置に戻ることになる。したがって、走行路面抵抗が大きい(惰性で走行移動する距離が短い)場所で農作業または土木作業をすることが多いトラクタ又はホィルローダ等の作業車両では、前記変速ペダルが急に初期位置に戻ることによって、移動速度が定速から車速零まで瞬時に減速されて、大きな衝撃(慣性モーメント)がオペレータまたは作業部に発生する等の問題がある。例えば、農作業または土木作業等の作業中、前記手動操作レバーが誤操作によってロック解除操作された場合、車速が急激に減速されることによって、走行機体及び作業部が大きく傾いたり、オペレータが走行機体等から転落したり、ホィルローダのバケットから土または堆肥が落下する等の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、前記係止爪と前記係止体とによって前記車速維持機構を簡単な構造に構成できるものでありながら、車速維持用の前記手動操作レバーの誤操作によって前記係止爪と前記係止体との係合が解除されるのを簡単に防止でき、運転操作性等を向上できるようにした作業車両を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の作業車両における動力伝達装置は、走行部を備えた走行機体に搭載されたエンジンと、前記エンジンからの動力を変速する油圧式無段変速機と、前記走行部に変速出力ギヤを介して前記油圧式無段変速機からの変速出力を伝えるミッションケースと、前記油圧式無段変速機の変速操作部に変速機構を介して連結する変速ペダルと、前記変速ペダルを踏込み操作位置に保持する車速維持機構とを備えてなる作業車両において、前記車速維持機構は、係脱可能に係合させる複数の係止爪を有する係止アームと、係止体とを備え、前記変速ペダルに前記係止アームを連結し、車速維持用の手動操作レバーに前記係止体を連結し、前記変速ペダルを踏込み位置から初期位置に戻して車速を略零にするための初期位置復帰バネの付勢力によって、前記係止爪と前記係止体との係合を維持可能に構成しているものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の作業車両における動力伝達装置において、前記走行機体に係止リンクを回動可能に配置し、前記手動操作レバーに前記係止リンクの一端側を連結し、前記係止リンクの他端側に前記係止体を配置しているものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の作業車両における動力伝達装置において、前記変速ペダルに係止アームの一端側を連結し、前記係止アームの他端側に複数の前記係止爪を形成し、前記係止リンクの前記係止体と、前記係止アームの前記係止爪とを対向させて配置しているものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の作業車両における動力伝達装置において、前記変速ペダルは前進ペダル及び後進ペダルからなり、1つの前記初期位置復帰バネのバネ力によって、前記前進ペダル及び前記後進ペダルが踏込み位置から初期位置に戻され、且つ前記油圧式無段変速機の変速操作部が出力零位置に戻されるように構成しているものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の作業車両における動力伝達装置において、前記走行機体のペダルフレームに前進ペダル軸及び後進ペダル軸を介して前記前進ペダル及び前記後進ペダルを回動可能にそれぞれ軸支し、前記前進ペダル及び前記後進ペダルのいずれか一方と前記無段変速機の変速操作部とを連結し、前記前進ペダル及び前記後進ペダルの同時踏込み作動を防ぐ牽制機構を介して、前記前進ペダルと前記後進ペダルとを連結し、前記前進ペダル及び前記後進ペダルのそれぞれの踏込み操作方向を略一致させるように構成しているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、走行部を備えた走行機体に搭載されたエンジンと、前記エンジンからの動力を変速する油圧式無段変速機と、前記走行部に変速出力ギヤを介して前記油圧式無段変速機からの変速出力を伝えるミッションケースと、前記油圧式無段変速機の変速操作部に変速機構を介して連結する変速ペダルと、前記変速ペダルを踏込み操作位置に保持する車速維持機構とを備えてなる作業車両において、前記車速維持機構は、係脱可能に係合させる複数の係止爪を有する係止アームと、係止体とを備え、前記変速ペダルに前記係止アームを連結し、車速維持用の手動操作レバーに前記係止体を連結し、前記変速ペダルを踏込み位置から初期位置に戻して車速を略零にするための初期位置復帰バネの付勢力によって、前記係止爪と前記係止体との係合を維持可能に構成しているものであるから、前記変速ペダルを踏込み位置から初期位置に戻す力(前記油圧式無段変速機の変速出力を零に戻す力)を利用して、前記係止爪と前記係止体との係合を継続できる。即ち、オペレータが足で踏む前記変速ペダルの踏込み力に比べ、オペレータが片手で押し(引き)操作する前記手動操作レバーの操作力が小さいから、前記手動操作レバーの操作力より前記初期位置復帰バネ力を大きく設定でき、前記手動操作レバーの操作によって前記係止爪と前記係止体との係合が簡単に解除されない。そのため、前記手動操作レバーの誤操作によって前記係止爪と前記係止体との係合が解除されるのを簡単に防止でき、運転操作性等を向上できるものである。なお、前記手動操作レバーの操作力より前記初期位置復帰バネ力を大きくしても、オペレータが足で前記変速ペダルを簡単に踏むことができ、且つ前記油圧式無段変速機の変速操作部を出力零位置に簡単に戻すこともできる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、前記走行機体に係止リンクを回動可能に配置し、前記手動操作レバーに前記係止リンクの一端側を連結し、前記係止リンクの他端側に前記係止体を配置しているものであるから、前記係止リンクに複数の前記係止爪を形成した従来構造に比べて、前記係止リンクに前記係止体を一体的に形成して、前記係止リンクを軽量に且つ簡単に構成できる。そのため、前記初期位置復帰バネ力より小さいバネ力によって、前記係止爪から離反した位置に前記係止体を簡単に支持できるから、前記係止爪に前記係止体を係合させるための前記手動操作レバーの操作力を低減できるものである。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、前記変速ペダルに係止アームの一端側を連結し、前記係止アームの他端側に複数の前記係止爪を形成し、前記係止リンクの前記係止体と、前記係止アームの前記係止爪とを対向させて配置しているものであるから、前記係止アームに形成した複数の前記係止爪の強度を簡単に向上できる。即ち、前記係止爪の強度が向上するように、前記係止アームを高剛性に形成しても、前記変速ペダルより前記係止アームを軽量に形成できるから、前記係止リンクに複数の前記係止爪を形成した従来構造に比べて、前記変速ペダルの変速機能を損なうことなく、高剛性の前記係止アーム及び前記係止爪を簡単に形成できるものである。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、前記変速ペダルは前進ペダル及び後進ペダルからなり、1つの前記初期位置復帰バネのバネ力によって、前記前進ペダル及び前記後進ペダルが踏込み位置から初期位置に戻され、且つ前記油圧式無段変速機の変速操作部が出力零位置に戻されるように構成しているものであるから、前記油圧式無段変速機の変速操作部の出力零位置を簡単に設定できる。即ち、前記初期位置復帰バネによって前記変速操作部を出力零位置に維持する出力零調整部と、前記初期位置復帰バネによって前記前進ペダル及び後進ペダルを初期位置に戻す初期位置調整部とを、調整部品を兼用して形成でき、前記出力零調整部及び初期位置調整部を簡単に構成できる。したがって、前記前進ペダル及び後進ペダルの組み付け作業性及びメンテナンス作業性を向上できるものである。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、前記走行機体のペダルフレームに前進ペダル軸及び後進ペダル軸を介して前記前進ペダル及び前記後進ペダルを回動可能にそれぞれ軸支し、前記前進ペダル及び前記後進ペダルのいずれか一方と前記無段変速機の変速操作部とを連結し、前記前進ペダル及び前記後進ペダルの同時踏込み作動を防ぐ牽制機構を介して、前記前進ペダルと前記後進ペダルとを連結し、前記前進ペダル及び前記後進ペダルのそれぞれの踏込み操作方向を略一致させるように構成しているものであるから、オペレータが足の前側で前記前進ペダルと前記後進ペダルとを踏み分けることができる。例えば、前記走行機体の操縦座席に座乗したオペレータの右足の前側に前記前進ペダル及び前記後進ペダルを接近させて配置でき、オペレータが右足を左右に移動して前記前進ペダルまたは前記後進ペダルを踏み分けることができる。したがって、オペレータが足の前側で前記前進ペダルを踏み且つ足の後側で前記後進ペダルを踏む従来構造に比べ、前記前進ペダル及び前記後進ペダルの同時踏込み作動を防ぐ機能を損なうことなく、前記後進ペダルの踏込み操作性を向上できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、作業車両としての農作業用トラクタに適用した場合の図面について説明する。図1はトラクタの側面図、図2は同走行機体の平面図、図3は同走行機体の後半部の拡大平面図、図4は同走行機体のステップフレームの周辺部の拡大平面図、図5はオペレータが操作するペダル等の斜視図、図6はミッションケース及びミッション前面ケースの断面側面図、図7はミッション前面ケースの前面説明図、図8は油圧回路図である。
【0017】
図1乃至図2に示されるように、トラクタ1は、走行機体2を左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持し、前記走行機体2の前部に搭載したエンジン5にて前記両後車輪4及び両前車輪3を駆動することにより、前後進走行するように構成されている。走行機体2は、前バンパ6及び前車軸ケース7を有するエンジンフレーム8と、エンジン5から出力された動力を継断するためのメインクラッチ9を有するクラッチハウジング10と、エンジン5の回転を適宜変速して前記両後車輪4及び両前車輪3に伝達するためのミッションケース11と、クラッチハウジング10にミッションケース11を連結するためのミッション前面ケース12と、クラッチハウジング10の外側面から外向きに突出するように着脱可能に装着される左右一対のステップフレーム13とからなる。
【0018】
なお、エンジンフレーム8の後端側がエンジン5の左右外側面に連結されている。エンジン5の後面側にはクラッチハウジング10の前面側が連結されている。クラッチハウジング10の後面側には、ミッション前面ケース12を介してミッションケース11の前面側が連結されている。
【0019】
エンジン5はボンネット14にて覆われる。また、クラッチハウジング10の上面には、操縦コラム15が立設されている。前記両前車輪3を左右に動かすことによってかじ取りするようにした操縦ハンドル16が操縦コラム15の上面側に配置されている。ミッションケース11の上面には、操縦座席17が配置されている。左右一対のステップフレーム13の上面には、平坦な床板18がそれぞれ設けられている。両前車輪3は、前車軸ケース7を介してエンジンフレーム8に取付けられている。また、両後車輪4は、図3にも示す如く、前記ミッションケース11に対して、当該ミッションケース11の外側面から外向きに突出するように着脱可能に装着される後車軸ケース11aを介して取付けられている。なお、両後車輪4の上面側は、左右のリヤフェンダ4aにて覆われている。
【0020】
前記ミッションケース11の上面には、前記走行機体2の後部に連結される耕うん機等の作業機19を昇降動するための油圧式の作業機用昇降機構20が着脱可能に取付けられている。さらに、前記ミッションケース11の後側面には、作業機19に駆動力を伝えるためのPTO軸21が後向きに突出するように設けられている。作業機19は、ミッションケース11の後部に、一対の左右のロワーリンク22及び1本のトップリンク23からなる3点リンク機構24を介して連結されている。作業機用昇降機構20の左右のリフトアーム20aがリフトリンク20bを介して左右のロワーリンク22に連結され、作業機用昇降機構20を作動させた場合、作業機19が昇降動することになる。
【0021】
ミッション前面ケース12の前側面には、後述する静油圧式無段変速機(HST)25が配置されている。静油圧式無段変速機25は、クラッチハウジング10の後部に内設されている。メインクラッチ9から後ろ向きに突出する主動軸26を介して、前記エンジン5の回転を無段変速機25に伝達し、次いで、無段変速機25からの出力を後述する副変速ギヤ機構59にて適宜変速して、前記両後車輪4及び両前車輪3に伝達することになる。一方、主動軸26からの前記エンジン5の回転は、PTO伝動軸62a及びPTOクラッチ62bを介して後述するPTO出力用減速ギヤ機構62に伝達され、そのPTO出力用減速ギヤ機構62にて適宜減速されて、PTO軸21に伝達されることになる。
【0022】
次に、図4及び図5を参照して、操縦座席17のオペレータが操作する操縦部の構造を説明する。操縦座席17の前方の床板18から上方に突出する操縦コラム15より左方には、メインクラッチ9を切断作動するためのクラッチペダル31が配置されている。クラッチペダル31には、メインクラッチ9を切断させるクラッチ切り機構39と、クラッチペダル31を初期位置に維持するクラッチ入りバネ40とが連結されて、クラッチ入りバネ40によってクラッチペダル31が初期位置に維持されることになる。また、クラッチハウジング10にはクラッチ操作軸302が回動可能に軸支され、クラッチハウジング10内のクラッチ切り機構39のレリーズフォーク等がクラッチ操作軸302に配置されている。また、後述するブレーキ操作軸262にクラッチペダル31のペダルアーム31a基端のボス部31bを回動可能に被嵌し、クラッチ操作軸302にクラッチ操作リンク機構303を介してクラッチペダル31を連結している(図5参照)。クラッチペダル31の踏込み操作によってメインクラッチ9を切り作動させることになる。なお、クラッチ操作リンク機構303は、ボス部31bに固設した第1クラッチリンク305と、クラッチ操作軸302に固設した第2クラッチリンク304と、各リンク304,305に連結したクラッチロッド306とからなる。
【0023】
一方、操縦コラム15より右方には、左右の後車輪制動用ブレーキ機構32を作動させる単一のブレーキペダル33と、駐車ブレーキレバー34とが配置されている。ブレーキペダル33には、左右のブレーキロッド32aを介して左右の後車輪制動用ブレーキ機構32が連結されて、ブレーキペダル33の操作によってブレーキ機構32が作動し、左右の後車輪4が制動されることになる。また、駐車ブレーキレバー34の操作によってブレーキペダル33が踏込み位置に維持され、オペレータがブレーキペダル33から足を離しても、後車輪4の制動が継続されることになる。なお、クラッチハウジング10の底部には、ブレーキ操作軸受部261が鋳造加工にて一体的に形成されている。ブレーキ操作軸受部261には、ブレーキ操作軸262が回動自在に軸支されている(図6参照)。ブレーキペダル33にブレーキ操作軸262を介して左右のブレーキロッド32aを連結している(図5参照)。
【0024】
また、操縦コラム15より右方には、無段変速機25の変速操作用トラニオンアーム35を作動させる前進ペダル36及び後進ペダル37と、前進ペダル36を踏込み操作位置に維持するクルーズレバー38とが配置されている。前進ペダル36及び後進ペダル37には、変速リンク機構300を介してトラニオンアーム35が連結され、前進ペダル36または後進ペダル37の足踏み操作によって無段変速機25が前進側の変速動作または後進側の変速動作を行うことになる。
【0025】
図6及び図7を参照して、クラッチハウジング10、ミッション前面ケース12、ミッションケース11の構造を説明する。クラッチハウジング10の内部は、前後に分割するようにハウジング内壁50にて仕切られて、クラッチハウジング10の内部にハウジング前室51及びハウジング後室52が形成されている。ミッション前面ケース12の内部は、前後に分割するように前面壁53にて仕切られて、ミッション前面ケース12の内部に前面ケース前室54及び前面ケース後室55が形成されている。ミッションケース11の内部は、前後に分割するようにミッション内壁56にて仕切られて、ミッションケース11の内部にミッション前室57及びミッション後室58が形成されている。
【0026】
ハウジング後室52と前面ケース前室54とによって形成された閉鎖空間には、前面壁53の前側に配置された無段変速機25が内設されている。前面ケース後室55とミッション前室57とによって形成された閉鎖空間には、副変速ギヤ機構59及び前車輪駆動機構60が内設されている。ミッション後室58の内部には、後車輪用差動ギヤ機構61及びPTO出力用減速ギヤ機構62が内設されている。
【0027】
次に、無段変速機25の主変速構造について説明する。無段変速機25は、変速用油圧ポンプ63と、この油圧ポンプ63にて作動する変速用油圧モータ64とからなる(図7参照)。ハウジング前室51には、ハウジング内壁50の貫通穴50aを介して無段変速機25の変速入力軸65の前端側が突出されている。その変速入力軸65の前端側には、カップリング66を介して主動軸26の後端側が連結されている。前面ケース後室55の内部には、無段変速機25の主変速出力軸67が突出されている。その主変速出力軸67には、主変速出力ギヤ68が被嵌されている。副変速ギヤ機構59のカウンタ軸69にはカウンタ入力ギヤ70が被嵌されている。主変速出力ギヤ68にはカウンタ入力ギヤ70が歯合されている。主変速出力軸67からの無段変速出力は、主変速出力ギヤ68及びカウンタ入力ギヤ70を介して、カウンタ軸69に伝えられることになる。
【0028】
次に、副変速ギヤ機構59について説明する。カウンタ軸69には、副変速用1速(低速)カウンタギヤ71と、副変速用2速(中速)カウンタギヤ72とが一体的に形成されている。また、カウンタ軸69には、副変速用3速(高速)カウンタギヤ73が被嵌されている。また、1速カウンタギヤ71に噛合させる副変速用1速出力ギヤ74と、2速カウンタギヤ72に噛合させる副変速用2速出力ギヤ75と、3速カウンタギヤ73に噛合させる副変速用3速出力ギヤ76とが備えられている。副変速ギヤ機構59の副変速出力軸77には、1速出力ギヤ74及び3速出力ギヤ76が回転自在に被嵌されている。副変速出力軸77には、この軸線方向にスライド可能で一体的に回転する副変速スライダ78が被嵌されている。2速出力ギヤ75が副変速スライダ78に一体的に形成されている。
【0029】
したがって、副変速スライダ78を副変速シフタ79の操作によって移動させることにより、2速出力ギヤ75が2速カウンタギヤ72に噛合されることになる。一方、1速出力ギヤ74または3速出力ギヤ76には、1速用クラッチ爪80または3速用クラッチ爪81を介して副変速スライダ78が選択的に連結される。即ち、副変速出力軸77の回転は、1速出力ギヤ74及び2速出力ギヤ75及び3速出力ギヤ76のいずれか一方を介して3段階に変速されることになる。
【0030】
一方、副変速出力軸77の後端側は、ミッション後室58に突出されている。また、副変速出力軸77の後端側には、後車輪用差動ギヤ機構61に回転力を伝えるためのピニオンギヤ82が一体的に形成されている。副変速出力軸77からの動力は、ピニオンギヤ82及び差動ギヤ機構61を介して左右の後車輪4に伝えられることになる。
【0031】
次に、前車輪駆動機構60について説明する。副変速出力軸77の前端側には、前車輪駆動ギヤ83,84を介して前車輪駆動機構60の前車輪用出力軸85が連結されている。前面ケース後室55に突出した前車輪用出力軸85の後端側には、回転自在に被嵌させる前車輪駆動ギヤ84と、該前車輪駆動ギヤ84を前車輪用出力軸85に係脱可能に係止するための前車輪用出力クラッチ86とが配置されている。また、前車輪用出力軸85の中間部は、玉軸受を介して前面壁53に支持されている。前車輪用出力軸85の前端側は、前面ケース前室54の内部に突出されている。
【0032】
また、前車輪用出力軸85の前端側には、自在軸継ぎ手250を介して前車輪用伝動軸88の後端側が連結されている。前車輪用伝動軸88の前端側が走行機体2の前側に向けて延長されて、前車輪用伝動軸88の前端側から前車軸ケース7を介して前車輪3に駆動力が伝えられることになる。前車輪用伝動軸88には、合成樹脂パイプ製のシャフトカバー89が被嵌され、前車輪用伝動軸88がシャフトカバー89にて保護されることになる。
【0033】
図7に示されるように、無段変速機25と変速リンク機構300との間に前車輪用駆動取出し軸85を配置している。即ち、油圧式無段変速機25は、正面視で走行機体2の右側方に向けて傾斜させてミッション前面ケース12に固設しているから、油圧式無段変速機25の右側面と変速リンク機構300との間のミッション前面ケース12に、前車輪用駆動取出し軸85を設置するためのスペースを簡単に確保できる。
【0034】
また、進行方向に向かって走行機体2の右側に配置された変速リンク機構300と、油圧式無段変速機25の右側に配置したトラニオンアーム35の下端側とを、互いに接近させて、クラッチハウジング10の右側壁を挟んで対向させて配設できる。且つ、油圧式無段変速機25の右側面とトラニオンアーム35の上端側とを互いに接近でき、油圧式無段変速機25にトラニオンアーム35を支持するためのトラニオン軸301を短尺に形成できることになる。なお、トラニオン軸301は切削加工によって六角柱形の棒状体の母材から形成し、クラッチハウジング10の外側から油圧式無段変速機25のケースに組付け、四角柱形に形成したトラニオン軸301の先端側にトラニオンアーム35を着脱可能に固設している。
【0035】
図8は本実施形態のトラクタ1の油圧回路200を示し、エンジン5の回転力により作動する作業機用油圧ポンプ94及びチャージ用油圧ポンプ95を備える。チャージ用油圧ポンプ95は、パワーステアリング用の操向制御弁201を介して操縦ハンドル16によるパワーステアリング用の複動式の操向油圧シリンダ202に接続する。また、作業機用油圧ポンプ94は、作業機用昇降機構20における単動式の昇降油圧シリンダ203に作動油を供給するための昇降用油圧切換弁204に接続している。
【0036】
したがって、オペレータがポジションレバー205を操作して、昇降用油圧切換弁204を切換えて、昇降油圧シリンダ203を作動させ、リフトアーム20aを回動させることにより、ロワーリンク22を介して作業機19が上昇または下降されることになる。
【0037】
図8に示すように、上述した油圧無段変速機25の可変容量形の変速用油圧ポンプ63と、この油圧ポンプ63から吐出される高圧の作動油にて作動する定容量形の変速用油圧モータ64とは、閉ループ油路207を介してそれらの吸入側及び吐出側が接続されている。変速入力軸65を介して駆動される変速用油圧ポンプ63の斜板208を角度調節することにより、変速用油圧モータ64を介して駆動される主変速出力軸67の回転数が変更されることになる。なお、上述した油圧回路200には、図8に示すように、リリーフ弁や流量調整弁、チェック弁、オイルクーラ、オイルフィルタ等を備えている。
【0038】
次に、図9乃至図15を参照して、前進ペダル36及び後進ペダル37の取付け構造について説明する。図9及び図13に示されるように、上述したクラッチハウジング10の進行方向に向かって右側の側面に、複数本のボルト311によってベースフレーム310を着脱可能に締結する。ベースフレーム310には、前後の横側板312,313を介して縦側板314を熔接にて一体的に固設する。即ち、前進ペダル36及び後進ペダル37を組付けるための平面視で矩形状のペダルユニット枠309は、ベースフレーム310と、前後の横側板312,313と、縦側板314とから形成されている。なお、ペダルユニット枠309は、進行方向(前進)に向かって右側のステップフレーム13の下方のクラッチハウジング10の右側面に配置されている。
【0039】
図12及び図13に示されるように、ベースフレーム310と、縦側板314とは、走行機体2の前後方向(進行方向)に略平行に、クラッチハウジング10の右側面に沿わせて延設する。ベースフレーム310及び縦側板314に前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316を回動可能に軸支し、前後の横側板312,313の間に前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316を配置する。縦側板314の外側方に前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316の一端側を突出している。縦側板314の外側方の前進ペダル軸315の一端側に、前進ペダル36のペダルアーム317基端側のボス部318を被嵌する。また、縦側板314の外側方の後進ペダル軸316の一端側に、後進ペダル37のペダルアーム319基端側のボス部320を被嵌する。
【0040】
したがって、前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316の軸芯線回りに回動可能に前進ペダル36及び後進ペダル37が配置される。前進ペダル36のペダルアーム317、及び後進ペダル37のペダルアーム319は、前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316から斜め前方上方に向けて突設され、前進ペダル36の斜め後側方に後進ペダル37が配置されている。前進ペダル36及び後進ペダル37は、両者ともに、斜め前方下方に向けて略同一方向に足踏み操作されることになる。なお、上述したクラッチペダル31、ブレーキペダル33、前進ペダル36、及び後進ペダル37の各足踏み操作方向(斜め前方下方)が略一致することになる。
【0041】
図12及び図14に示されるように、前進ペダル軸315のボス部318及び後進ペダル軸316のボス部320にストップアーム321,322を固設する。縦側板314の外側面には、各ストップアーム321,322を当接させるためのボルト形の前進ストッパ323及び後進ストッパ324をそれぞれ配置する。縦側板314に熔接にて固設されたストッパ受ブラケット325に、前進ストッパ323及び後進ストッパ324を位置調節可能にそれぞれ螺着している。したがって、ストップアーム321,322が前進ストッパ323及び後進ストッパ324に当接して、前進ペダル36及び後進ペダル37の増速方向の踏込み操作が規制され、前進側及び後進側の最大速度が前進ストッパ323及び後進ストッパ324によって設定されることになる。
【0042】
図11及び図14に示されるように、前進ペダル軸315に押圧アーム326の基端部を固設し、該押圧アーム326の先端部にローラ軸327を介して当接ローラ328を回転自在に軸支する。また、後進ペダル軸316に揺動アーム329の基端部を固設する。揺動アーム329には、受圧片330と係止片331とが一体的に形成されている。当接ローラ328に受圧片330を当接し、ローラ軸327と係止片331とに引張バネ332を連結している。したがって、引張バネ332のバネ力によって当接ローラ328と受圧片330とが常に当接することになる。
【0043】
また、図11及び図14に示されるように、後進ペダル軸316に変速アーム333の基端部を固設し、変速アーム333の先端部に、連結ピン334及び継ぎブラケット335を介して、伸縮調節可能な変速ロッド336の一端側のを連結する。上述したトラニオンアーム35に、連結軸337を介して変速ロッド336の他端側を連結している。
【0044】
さらに、クラッチハウジング10にバネホルダ338を介して挟みバネ形の中立保持バネ339を配置する。クラッチハウジング10に中立調整体340を介して係止軸341を固設する。連結軸337と係止軸341とに中立保持バネ339の両端を係止する。中立調整体340は、中立調整用の1本の支点ボルト342と2本の中立調整ボルト343によってクラッチハウジング10に固設する。中立調整体340の長孔形の中立調整孔344に中立調整ボルト343を貫通させる。中立調整体340に変速規制孔345を形成し、長孔形の変速規制孔345に連結軸337を貫通している。
【0045】
図11に示されるように、変速規制孔345は、トラニオン軸301を中心とした円周方向に長く形成する。したがって、連結軸337が変速規制孔345内を移動する無段変速範囲で、トラニオン軸301を中心に、トラニオンアーム35を前進側または後進側に回動することになる。
【0046】
一方、中立調整体340の中立調整孔344は、支点ボルト342を中心とした円周方向に長く形成する。したがって、中立調整ボルト343を弛めて、支点ボルト342を中心に中立調整体340を回動し、係止軸340を移動して中立(出力零)位置を調整し、且つ変速規制孔345を移動して連結軸337の無段変速範囲を調整することになる。
【0047】
図12及び図13に示されるように、前進ペダル軸315に踏力調整リンク346の基端部を固設する。踏力調整リンク346に形成した複数の踏力調整孔のいずれか1つに、踏力調整ピン348を介して、踏力フレーム349の一端側を連結する。また、上述したペダル操作軸262上の回動自在な筒軸体350に、連結リンク351の基端部及び踏力リンク352の基端部を固設する。踏力フレーム349の他端側に連結ピン353を介して連結リンク351の先端部を連結する。踏力リンク352の先端部に支持ピン354を介して踏力ダンパ355を連結する。なお、踏力ダンパ355は、クラッチハウジング10の外側方にダンパ取付軸356を介して組み付けている(図5参照)。
【0048】
次に、前進ペダル36及び後進ペダル37の操作によって実行される無段変速機25の変速操作を説明する。先ず、操縦座席17に座乗したオペレータが右足で前進ペダル36を踏込んだ場合、前進ペダル軸315回りに押圧アーム326が回動して、当接ローラ328によって揺動アーム329を後進ペダル軸316回りに回動させる。揺動アーム329の回動によって後進ペダル軸316上の変速アーム333が回動されて、変速アーム333によって変速ロッド336が押され、中立保持バネ339力に抗してトラニオンアーム35及びトラニオン軸301が前進方向(図11において時計方向)に回動し、無段変速機25を前進側に作動させて、前車輪3及び後車輪4を前進側に駆動し、走行機体2を前進方向に移動させる。
【0049】
したがって、前進ペダル36を踏込んだ場合、前進ペダル36の踏込み量に比例して走行機体2の移動速度を変更でき、ストップアーム321が前進ストッパ323に当接するまで、または連結軸337が変速規制孔345の一端側に当接するまで、前進ペダル36を踏込んで前進側に増速できる。また、前進ペダル36を踏込んで、揺動アーム329を回動させることによって、踏込み操作方向と逆の方向に後進ペダル37が後進ペダル軸316回りに回動される。
【0050】
一方、操縦座席17に座乗したオペレータが右足で後進ペダル37を踏込んだ場合、揺動アーム329を介して後進ペダル軸316上の変速アーム333が回動されて、変速アーム333によって変速ロッド336が引かれ、中立保持バネ339力に抗してトラニオンアーム35及びトラニオン軸301が後進方向(図11において反時計方向)に回動し、上述した無段変速機25を後進側に作動させて、前車輪3及び後車輪4を後進側に駆動し、走行機体2を後進方向に移動させる。
【0051】
したがって、後進ペダル37を踏込んだ場合、後進ペダル37の踏込み量に比例して走行機体2の移動速度を変更でき、ストップアーム322が後進ストッパ324に当接するまで、または連結軸337が変速規制孔345の他端側に当接するまで、後進ペダル37を踏込んで後進側に増速できる。また、後進ペダル37を踏込むことによって、揺動アーム329の回動によって当接ローラ328を介して押圧アーム326が回動して、踏込み操作方向と逆の方向に前進ペダル36が前進ペダル軸315回りに回動される。
【0052】
なお、前進ペダル36または後進ペダル37から足を離した場合、前進ペダル36及び後進ペダル37は、中立保持バネ339力によって、踏力ダンパ355の規制によって緩やかに中立位置(出力零位置)に戻り、無段変速機25の変速出力が略零に維持される。
【0053】
次に、図9、図11、図14及び図15を参照して、上述した前進ペダル36を所定の踏込み位置に保持して走行機体2の車速を一定に保持するための車速維持機構(オートクルーズ機構)について説明する。車速維持機構361は、係脱可能に係合させる複数の係止爪362と1つの係止体363とを有する。係止体363と、係止爪362とは、接離可能に対向させて配置される。
【0054】
図9に示されるように、進行(前進)方向に向かって走行機体2の右側にクラッチハウジング10からクラッチ操作軸302の一端側を突出させ、そのクラッチ操作軸302の突出端部に側面視L形の係止リンク364の中間を回動可能に軸支し、手動操作レバーとしてのクルーズレバー38に係止リンク364の一端側を連結し、係止リンク364の他端側に突起形の係止体363を一体的に形成する。
【0055】
図11に示されるように、前進ペダル軸315に側面視弓形の係止アーム365の一端側を連結し、係止アーム365の他端側の外周縁に複数の係止爪362を連続的に形成する。中立保持バネ339によって係止アーム365が回動する円周形軌跡の接線に対して、係止爪362に係止体363が係合または離脱する方向を略直交させる。係止アーム365が回動する円周形軌跡の接線に対して、係止爪362と係止体363との係合面を略直交させている。そのため、前進ペダル36をさらに増速方向に踏込んだ場合、係止体363に係合している係止爪362に隣接した増速側の係止爪362によって、係止体363が離脱方向に移動させられて、係止爪362と係止体363との係合が解除されるように構成している。
【0056】
即ち、中立保持バネ339によって係止アーム365が回動する回転モーメントが、係止爪362に係止体363を係合させる力として作用するように、係止爪362及び係止体363の形状を形成する。係止爪362に係止体363を係合させる係止アーム365の回動力(中立保持バネ339力)が、操縦コラム15の切り位置にクルーズレバー38を保持するための切り保持バネ366の力(係止爪362から係止体363を離脱させる力)より数倍大きくなるように、またはオペレータが車速維持位置(入り位置)から切り位置にクルーズレバー38を移動させる操作力より数倍大きくなるように、中立保持バネ339によって係止アーム365が初期位置に復帰するように構成している。
【0057】
したがって、切り保持バネ366によってクルーズレバー38を切り位置に戻す力では、係止爪362から係止体363が離脱しない。また、オペレータが車速維持位置(入り位置)から切り位置にクルーズレバー38を戻す押し操作力では、係止爪362から係止体363が離脱しない。中立保持バネ339によって係止アーム365が回動する回転モーメントが、係止爪362及び係止体363に係合力として作用し、前進ペダル36を踏込み位置から初期位置に戻して車速を略零にするための初期位置復帰バネとしての中立保持バネ339力によって、係止爪362及び係止体363の係合を維持可能に構成している。
【0058】
次に、図10及び図15等を参照して、上述した車速維持機構(オートクルーズ機構)361の車速保持動作(オートクルーズ動作)を説明する。オペレータによって前進ペダル36が踏込まれた状態で、オペレータによってクルーズレバー38が切り保持バネ366に抗して引き上げられた場合、図15に示すように、係止リンク364が仮想線位置から実線位置にクラッチ操作軸302回りに回動し、係止爪362に係止体363が係合される。したがって、オペレータが前進ペダル36から足を離しても、前進ペダル36が踏込み位置に維持されて、前車輪3及び後車輪4が略一定速度で駆動され、略一定速度で移動しながら耕耘作業等が行われる。一方、係止爪362に係止体363が係合されている状態で、オペレータによって前進ペダル36が踏込まれた場合、係止爪362から係止体363が離脱して、クルーズレバー38及び係止リンク364が実線位置から仮想線位置(初期位置)に切り保持バネ366によって戻され、略一定速度で移動する車速保持動作(オートクルーズ動作)が解除される。
【0059】
上記の記載及び図9、図11、図15から明らかなように、走行部としての前車輪3及び後車輪4を備えた走行機体2に搭載されたエンジン5と、エンジン5からの動力を変速する油圧式無段変速機25と、前車輪3及び後車輪4に変速出力ギヤとしての副変速ギヤ機構59を介して油圧式無段変速機25からの変速出力を伝えるミッションケース11と、油圧式無段変速機25の変速操作部としてのトラニオンアーム35に変速機構としての変速リンク機構300を介して連結する変速ペダルとしての前進ペダル36及び後進ペダル37と、前進ペダル36及び後進ペダル37を踏込み操作位置に保持する車速維持機構361とを備えてなる作業車両において、車速維持機構361は、係脱可能に係合させる複数の係止爪362を有する係止アーム365と、係止体363とを備え、前進ペダル36に係止アーム365を連結し、車速維持用の手動操作レバーとしてのクルーズレバー38に係止体363を連結し、前進ペダル36及び後進ペダル37を踏込み位置から初期位置に戻して車速を略零にするための初期位置復帰バネとしての中立保持バネ339の付勢力によって、係止爪362と係止体363との係合を維持可能に構成しているものであるから、前進ペダル36及び後進ペダル37を踏込み位置から初期位置に戻す力(油圧式無段変速機25の変速出力を零に戻す力)を利用して、係止爪362と係止体363との係合を継続できる。即ち、オペレータが足で踏む前進ペダル36の踏込み力に比べ、オペレータが片手で押し(引き)操作するクルーズレバー38の操作力が小さいから、クルーズレバー38の操作力より中立保持バネ339力を大きく設定でき、クルーズレバー38の操作によって係止爪362と係止体363との係合が簡単に解除されない。そのため、クルーズレバー38の誤操作によって係止爪362と係止体363との係合が解除されるのを簡単に防止でき、運転操作性等を向上できる。なお、クルーズレバー38の操作力より中立保持バネ339力を大きくしても、オペレータが足で前進ペダル36及び後進ペダル37を簡単に踏むことができ、且つ油圧式無段変速機25のトラニオンアーム35を出力零位置に簡単に戻すこともできる。
【0060】
上記の記載及び図15から明らかなように、走行機体2に係止リンク364を回動可能に配置し、クルーズレバー38に係止リンク364の一端側を連結し、係止リンク364の他端側に係止体363を配置しているものであるから、係止リンク364に複数の係止爪362を形成した従来構造に比べて、係止リンク364に係止体363を一体的に形成して、係止リンク364を軽量に且つ簡単に構成できる。そのため、中立保持バネ339力より小さいバネ力によって、係止爪362から離反した位置に係止体363を簡単に支持できるから、係止爪362に係止体363を係合させるためのクルーズレバー38の操作力を低減できる。
【0061】
上記の記載及び図14、図15から明らかなように、前進ペダル36に係止アーム365の一端側を連結し、係止アーム365の他端側に複数の係止爪362を形成し、係止リンク364の係止体363と、係止アーム365の係止爪362とを対向させて配置しているものであるから、係止アーム365に形成した複数の係止爪362の強度を簡単に向上できる。即ち、係止爪362の強度が向上するように、係止アーム365を高剛性に形成しても、前進ペダル36より係止アーム365を軽量に形成できるから、係止リンク364に複数の係止爪362を形成した従来構造に比べて、前進ペダル36の変速機能を損なうことなく、高剛性の係止アーム365及び係止爪362を簡単に形成できる。
【0062】
上記の記載及び図11、図14から明らかなように、変速ペダルは前進ペダル36及び後進ペダル37からなり、1つの中立保持バネ339のバネ力によって、前進ペダル36及び後進ペダル37が踏込み位置から初期位置に戻され、且つ油圧式無段変速機25のトラニオンアーム35が出力零位置に戻されるように構成しているものであるから、油圧式無段変速機25のトラニオンアーム35の出力零位置を簡単に設定できる。即ち、中立保持バネ339によってトラニオンアーム35を出力零位置に維持する出力零調整部と、中立保持バネ339によって前進ペダル及び後進ペダルを初期位置に戻す初期位置調整部とを、調整部品を兼用して形成でき、出力零調整部及び初期位置調整部としての中立調整体340等を簡単に構成できる。したがって、前進ペダル36及び後進ペダル37の組み付け作業性及びメンテナンス作業性を向上できる。
【0063】
上記の記載及び図12、図14から明らかなように、走行機体2のペダルフレームとしてのペダルユニット枠309に前進ペダル軸315及び後進ペダル軸316を介して前進ペダル36及び後進ペダル37を回動可能にそれぞれ軸支し、前進ペダル36及び後進ペダル37のいずれか一方と無段変速機25のトラニオンアーム35とを連結し、前進ペダル36及び後進ペダル37の同時踏込み作動を防ぐ牽制機構としての押圧アーム326及び揺動アーム329を介して、前進ペダル36と後進ペダル37とを連結し、前進ペダル36及び後進ペダル37のそれぞれの踏込み操作方向を略一致させるように構成しているものであるから、オペレータが足の前側で前進ペダル36と後進ペダル37とを踏み分けることができる。例えば、走行機体2の操縦座席17に座乗したオペレータの右足の前側に前進ペダル36及び後進ペダル37を接近させて配置でき、オペレータが右足を左右に移動して前進ペダル36または後進ペダル37を踏み分けることができる。したがって、オペレータが足の前側で前進ペダル36を踏み且つ足の後側で後進ペダル37を踏む従来構造に比べ、前進ペダル36及び後進ペダル37の同時踏込み作動を防ぐ機能を損なうことなく、後進ペダル37の踏込み操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】トラクタの走行機体の平面図である。
【図3】同走行機体の後半部の拡大平面図である。
【図4】同走行機体のステップフレームの周辺部の拡大平面図である。
【図5】オペレータが操作するペダル等の斜視図である。
【図6】ミッションケース及びミッション前面ケースの断面側面図である。
【図7】ミッション前面ケースの前面説明図である。
【図8】油圧回路図である。
【図9】前進ペダル及び後進ペダル及び変速リンク機構等の側面説明図である。
【図10】前進ペダル及び後進ペダル等の側面説明図である。
【図11】図9の変速リンク機構等の拡大側面説明図である。
【図12】図10の前進ペダル及び後進ペダル等の拡大側面説明図である。
【図13】前進ペダル及び後進ペダル等の平面説明図である。
【図14】図13の前進ペダル及び後進ペダル等の拡大平面説明図である。
【図15】クルーズレバー等の作動説明側面図である。
【符号の説明】
【0065】
2 走行機体
3 前車輪(走行部)
4 後車輪(走行部)
5 エンジン
11 ミッションケース
25 油圧式無段変速機
35 トラニオンアーム(変速操作部)
36 前進ペダル(変速ペダル)
37 後進ペダル(変速ペダル)
38 クルーズレバー(手動操作レバー)
59 副変速ギヤ機構(変速出力ギヤ)
300 変速リンク機構(変速機構)
309 ペダルユニット枠(ペダルフレーム)
315 前進ペダル軸
316 後進ペダル軸
326 押圧アーム(牽制機構)
329 揺動アーム(牽制機構)
339 中立保持バネ(初期位置復帰バネ)
361 車速維持機構
362 係止爪
363 係止体
364 係止リンク
365 係止アーム





 

 


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