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発明の名称 作業車両
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30623(P2007−30623A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−214767(P2005−214767)
出願日 平成17年7月25日(2005.7.25)
代理人 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫
発明者 日高 茂實 / 塩崎 修司 / 江口 慎吾
要約 課題
走行機体2に搭載されたエンジン5からの出力を変速して走行部3,3,4,4や作業部に伝達する変速伝動機構が備えられた作業車両において、操縦座席8に着座したオペレータの手が前後進切替スイッチ130に簡単に届くようにして、前後進切替スイッチ130の操作性の向上を図る。

解決手段
走行機体2における操縦座席の左右両側に、着座者の腕や肘を載せるためのアームレスト140a,140bを設ける。右アームレスト140aのうちオペレータの腕を載せたとき手指で操作し得るような前端側の部位に、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切り替え操作するための前後進切替スイッチ130を設ける。
特許請求の範囲
【請求項1】
走行機体に搭載されたエンジンからの出力を変速して走行部や作業部に伝達する変速伝動機構が備えられた作業車両であって、
前記走行機体における操縦座席の少なくとも左右いずれか一方に、着座者の腕や肘を載せるためのアームレストが設けられ、前記アームレストには、前記走行機体の進行方向を前進と後進とに切り替え操作するための前後進操作手段が設けられていることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記前後進操作手段は、前記アームレストのうち着座者の腕を載せたときにその手指で操作し得るような部位に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記操縦座席の前方に、前記走行機体を操向操作する操向手段を有する操縦コラムが配置され、前記操縦コラムの左右いずれか一方に、前記エンジン回転数を調節操作するための主変速操作手段が設けられ、前記操縦座席における前記主変速操作手段と同じ側に位置する前記アームレストに、前記前後進操作手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記変速伝動機構における出力回転数の前記エンジン回転数に対する変速比の範囲を多段階に切り替え操作するための変速比設定器と、前記変速伝動機構の出力範囲を低速と高速とに切り替え操作するための副変速操作手段とのうち少なくとも一方が、前記アームレストに設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業車両。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業用のトラクタ又は土木作業用のホイルローダ等のような作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、トラクタやホイルローダ等の作業車両において、操縦座席の前方にある操縦コラムの上部に、走行機体を操向操作する操縦ハンドルを設け、操縦コラムの左右一側部に、走行機体の進行方向を前進と後進とに切り替え操作するための前後進切替レバーを設けるという構成は知られている(例えば特許文献1等参照)。
【0003】
この場合、オペレータは、必要に応じて前後進切替レバーを操作することにより、走行機体を前進させたり後退させたりすることができる。
【特許文献1】特開2004−90885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オペレータは通常、走行機体の進行方向に体を向けて操縦座席に座り、操縦ハンドルを両手で握った状態でトラクタを運転する。そして、走行機体の進行方向を前進又は後進に切り替える場合は、一方の手で操縦ハンドルを握りながら、他方の手で操縦ハンドルから前後進切替レバーに持ち替えて、該前後進切替レバーを操作する。
【0005】
しかし、前記従来の構成では、前後進切替レバーを操縦ハンドルより下方に配置しているため、操縦ハンドルから前後進切替レバーへの持ち替えに際して、オペレータは若干前屈みになりながら、操縦ハンドルから離した方の腕を前方斜め下向きに伸ばして前後進切替レバーを持ち直すという動作をしなければならず、操作性の点から見て改良の余地があった。
【0006】
また、操縦コラムにおける前後進切替レバーと反対の他側部に、エンジン回転数を調節操作するためのスロットルレバーを設けることもある(特許文献1の図2参照)。特許文献1では、前後進切替レバーが操縦コラムの左側に、スロットルレバーが操縦コラムの右側に配置されている。
【0007】
かかる構成において、例えば走行機体の進行方向を前進又は後進に切り替えてから車速を変更する場合は、前後進切替レバーを左手で操作したのち前後進切替レバーから左手を離し、操縦ハンドルを右手から左手に持ち替え、空いた右手でスロットルレバーを持ち直すという極めて煩わしい操作を強いられるのであった。
【0008】
そこで、本発明は、以上のような問題を解消し、操縦座席に着座したオペレータの手が前後進切替レバー等の前後進操作手段に簡単に届くようにして、前後進操作手段の操作性の向上を図った作業車両を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この技術的課題を達成するため、請求項1の発明は、走行機体に搭載されたエンジンからの出力を変速して走行部や作業部に伝達する変速伝動機構が備えられた作業車両であって、前記走行機体における操縦座席の少なくとも左右いずれか一方に、着座者の腕や肘を載せるためのアームレストが設けられ、前記アームレストには、前記走行機体の進行方向を前進と後進とに切り替え操作するための前後進操作手段が設けられているというものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の作業車両において、前記前後進操作手段は、前記アームレストのうち着座者の腕を載せたときにその手指で操作し得るような部位に設けられているというものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の作業車両において、前記操縦座席の前方に、前記走行機体を操向操作する操向手段を有する操縦コラムが配置され、前記操縦コラムの左右いずれか一方に、前記エンジン回転数を調節操作するための主変速操作手段が設けられ、前記操縦座席における前記主変速操作手段と同じ側に位置する前記アームレストに、前記前後進操作手段が設けられているというものである。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の作業車両において、前記変速伝動機構の出力回転数における前記エンジン回転数に対する変速比の範囲を多段階に切り替え操作するための変速比設定器と、前記変速伝動機構の出力範囲を低速と高速とに切り替え操作するための副変速操作手段とのうち少なくとも一方が、前記アームレストに設けられているというものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によると、走行機体における操縦座席の少なくとも左右いずれか一方に、着座者の腕や肘を載せるためのアームレストを設け、前記アームレストには、前記走行機体の進行方向を前進と後進とに切り替え操作するための前後進操作手段を設けているので、例えば前記走行機体の進行方向を前進又は後進に切り替えるに際して、着座者が前記前後進切替スイッチ付きの前記アームレスト側にある手を前記アームレストに載せるようにすれば、他方の手は操向手段を握ったままでも、前記アームレスト側にある手で前記前後進操作手段を簡単に操作できる。従って、操作頻度の多い前記前後進操作手段の操作性に優れ、長時間の作業によるオペレータの疲労を少なくできるという効果を奏する。
【0014】
請求項2の発明によると、前記前後進操作手段を、前記アームレストのうち着座者の腕を載せたときにその手指で操作し得るような部位に設けているので、前記前後進操作手段付きの前記アームレスト側にある手を前記アームレストに載せるだけで、前記アームレスト側にある手を前記前後進操作手段に簡単に届かせることができる。従って、前記前後進操作手段の操作性がより一層向上するという効果を奏する。
【0015】
請求項3の発明によると、前記操縦座席の前方にある操縦コラムの左右いずれか一方に、エンジン回転数を調節操作するための主変速操作手段を設け、前記操縦座席における前記主変速操作手段と同じ側に位置する前記アームレストに、前記前後進操作手段を設けているので、例えば前記走行機体の進行方向を前進又は後進に切り替えてから車速を変更するに際して、前記前後進切替スイッチ付きの前記アームレストと反対側にある手は前記操向手段を握ったままにして、前記アームレスト側にある手だけで前記主変速操作手段を操作したり前記前後進操作手段を操作したりできる。これにより、操作頻度の多い前記主変速操作手段及び前記前後進操作手段の操作性向上に寄与するという効果を奏する。
【0016】
請求項4の発明によると、変速伝動機構における出力回転数のエンジン回転数に対する変速比の範囲を多段階に切り替え操作するための変速比設定器と、前記変速伝動機構の出力範囲を低速と高速とに切り替え操作するための副変速操作手段とのうち少なくとも一方を、前記アームレストに設けることにより、操作頻度の多い操作手段の群を前記アームレストの箇所にまとめることができる。従って、前記各操作手段の使い勝手(操作性)が更に向上するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図7)に基づいて説明する。図1は農作業用トラクタの側面図、図2はトラクタを斜め後方から見た斜視図、図3は動力伝達系のスケルトン図、図4は油圧無段変速機の油圧回路図、図5はトラクタの油圧回路図、図6はキャビンの平面図、図7は制御手段の機能ブロック図である。
【0018】
図1及び図2に示す如く、作業車両としてのトラクタ1は、走行機体2を左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持し、前記走行機体2の前部に搭載したエンジン5にて後車輪4及び前車輪3を駆動することにより、前後進走行するように構成される。前後四車輪3,3,4,4は特許請求の範囲に記載した走行部に相当する。この場合、走行機体2の進行方向左側に位置する前後車輪3,4の組と進行方向右側に位置する前後車輪3,4の組とにより、左右一対の走行部が構成されている。
【0019】
エンジン5はボンネット6にて覆われる。また、前記走行機体2の上面にはキャビン7が設置され、該キャビン7の内部には、オペレータが着座する操縦座席8と、該操縦座席8の前方に位置する操縦コラム234とが搭載されている。操縦コラム234の上部には、操向手段としての操縦ハンドル9(丸ハンドル)が設けられている。操縦座席8に着座したオペレータが操縦ハンドル9を回動操作することにより、その操作量(回動量)に応じて左右両前車輪3,3のかじ取り角(操向角度)が変わるように構成されている。
【0020】
キャビン7の外側部には、オペレータが乗降するためのステップ10が設けられ、該ステップ10より内側で且つキャビン7の底部より下側には、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。
【0021】
また、前記走行機体2は、前バンパ12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部にボルト15にて着脱自在に固定する左右の機体フレーム16とにより構成される。機体フレーム16の後部には、前記エンジン5の回転を適宜変速して後車輪4及び前車輪3に伝達するためのミッションケース17が連結されている。この場合、後車輪4は、前記ミッションケース17に対して、当該ミッションケース17の外側面から外向きに突出するように装着された後車軸ケース18、及びこの後車軸ケース18の外側端に後方に延びるように装着されたギヤケース19を介して取付けられている。
【0022】
前記ミッションケース17の後部における上面には、耕耘機等の作業部(図示せず)を昇降動するための油圧式の作業部用昇降機構20が着脱可能に取付けられている。耕耘機等の作業部は、ミッションケース17の後部にロワーリンク21及びトップリンク22を介して連結される。さらに、ミッションケース17の後側面に、前記作業部に対するPTO軸23が後向きに突出するように設けられている。
【0023】
図5は本実施形態におけるトラクタ1の油圧回路200を示している。トラクタ1の油圧回路200は、エンジン5の回転力により作動する作業部用油圧ポンプ94及び走行用油圧ポンプ95を備える。
【0024】
走行用油圧ポンプ95は、パワーステアリング用のコントロール弁202を介して操縦ハンドル9によるパワーステアリング用の油圧シリンダ93に接続する一方、左右一対のオートブレーキ65用のブレーキシリンダ68をそれぞれ作動させる切替弁である左右オートブレーキ電磁弁67a,67bに接続している。
【0025】
さらに走行用油圧ポンプ95は、PTOクラッチ100のためのPTOクラッチ油圧電磁弁(比例制御弁)104と、ミッションケース17の各変速部、すなわち後述する主変速のための油圧無段変速機29に対する比例制御弁203とそれによって作動する切替弁204と、走行副変速用油圧シリンダ55の高速クラッチ電磁弁666と、走行機体2の前後進の切り替えのための油圧クラッチ40,42を作動させる前進用クラッチ電磁弁46及び後進用クラッチ電磁弁48と、前車輪3及び後車輪4を同時に駆動するための四駆用油圧クラッチ74に対する四駆油圧電磁弁80と、前車輪3を倍速駆動に切り替えるための倍速用油圧クラッチ76に対する倍速油圧電磁弁82とに接続している。
【0026】
また、作業部用油圧ポンプ94は、作業部用昇降機構20における単動式油圧シリンダ205に作動油を供給するための制御電磁弁201に接続している。なお、油圧回路200には、リリーフ弁や流量調整弁、チェック弁、オイルクーラ、オイルフィルタ等を備えている。
【0027】
図3はミッションケース17を示している。ミッションケース17は、その内部が仕切り壁31にて前後に仕切られている。ミッションケース17の前側及び後側には、それぞれ前側壁部材32、後側壁部材33がボルトにて着脱自在に固定される。ミッションケース17は箱形に構成され、ミッションケース17の内部には、前室34と後室35とが形成される。前室34と後室35は、これらの内部の作動油(潤滑油)が相互に移動するように連通されている。
【0028】
図3に示されるように、前側壁部材32には、後述する前車輪駆動ケース69が備えられる。前室34には、後述する走行副変速ギヤ機構30と、PTO変速ギヤ機構96とが配置される。後室35には、後述する走行主変速機構である油圧無段変速機29と、差動ギヤ機構58とが配置される。油圧無段変速機29及び走行副変速ギヤ機構30は、特許請求の範囲に記載した変速伝動機構に相当する。
【0029】
前記エンジン5の後側面には、エンジン出力軸24が後ろ向きに突出するように設けられる。エンジン出力軸24には、フライホイール25が直結するように取り付けられている。フライホイール25から後ろ向きに突出する主動軸26と、ミッションケース17の前面から前向きに突出する主変速入力軸27との間は、両端に自在軸継手を備えた伸縮式の動力伝達軸28を介して連結されている。前記エンジン5の回転動力を、ミッションケース17における主変速入力軸27に伝達し、次いで、油圧無段変速機29と、走行副変速ギヤ機構30にて適宜変速して、差動ギヤ機構58を介して後車輪4にこの駆動力を伝達するように構成している。また、走行副変速ギヤ機構30にて適宜変速したエンジン5の回転を、前車輪駆動ケース69と前車軸ケース13の差動ギヤ機構86とを介して前車輪3に伝達するように構成している。
【0030】
後室35の内部に設けられたインライン式油圧無段変速機29は、主変速入力軸27に主変速出力軸36が同心状に配置してなるものであり、可変容量形の変速用油圧ポンプ部500と、該油圧ポンプ部500から吐出される高圧の作動油にて作動する定容量形の変速用油圧モータ部501とを備える。主変速入力軸27の入力側(前端側)に対して反対側になる主変速入力軸27の後端側は、後側壁部材33に玉軸受にて回転自在に軸支される。
【0031】
油圧無段変速機29の前側、即ち主変速入力軸27の入力側には、円筒形の主変速出力軸36が被嵌される。油圧無段変速機29から主変速出力を取出すための主変速出力ギヤ37が主変速出力軸36に設けられる。主変速出力軸36は、この中間が仕切り壁31を貫通し、前端と後端とが前室34と後室35とにそれぞれ突出している。主変速出力軸36の中間は、二組の玉軸受にて仕切り壁31に回転自在に軸支される。主変速出力軸36の前端部には、主変速出力ギヤ37が設けられる。主変速入力軸27の入力側(前端側)は、主変速出力軸36前端より前方に突出するように、ころ軸受を介して主変速出力軸36の軸孔に回転自在に軸支される。
【0032】
前記仕切り壁31と後側壁部材33との略中間の主変速入力軸27には、油圧ポンプ部500及び油圧モータ部501のためのシリンダブロック505が被嵌される。シリンダブロック505を挟んで主変速入力軸27の入力側と反対側の箇所に、油圧ポンプ部500が配置される一方、主変速入力軸27の入力側の箇所に、油圧モータ部501が配置される。
【0033】
前記油圧ポンプ部500には、シリンダブロック505の側面に対向するようにミッションケース17の内側面に固定する第1ホルダ(図示せず)と、主変速入力軸27の軸線に対して傾斜角を変更可能に第1ホルダに配置するポンプ斜板509と、該ポンプ斜板509に摺動自在に設けるシュー(図示せず)と、該シューに球体自在継手を介して連結するポンププランジャ506と、ポンププランジャ506をシリンダブロック505に出入自在に配置する第1プランジャ孔507とが備えられる。ポンププランジャ506の一端側は、シリンダブロック505の側面からポンプ斜板509方向(図4では8右側)に突出する。
【0034】
前記シリンダブロック505には、ポンププランジャ506と同数の第1スプール弁536が設けられる。また、第1ホルダには、第1ラジアル軸受537が、主変速入力軸27の軸線に対して一定の傾斜角で傾斜させて配置される。
【0035】
他方、前記油圧モータ部501には、シリンダブロック505の側面に対向させて配置する第2ホルダ(図示せず)と、主変速入力軸27の軸線に対して傾斜角を一定に保つように第2ホルダに固定するモータ斜板518と、モータ斜板518に摺動自在に設けるシュー(図示せず)と、該シューに球体自在継手を介して連結するモータプランジャ515と、モータプランジャ515をシリンダブロック505に出入自在に配置する第2プランジャ孔516とが備えられる。モータプランジャ515の一端側は、シリンダブロック505の側面からモータ斜板518方向(図4では左側)に突出する。
【0036】
前記シリンダブロック505には、モータプランジャ515と同数の第2スプール弁540が設けられる。また、第2ホルダ519には、第2ラジアル軸受541が、主変速入力軸27の軸線に対して一定の傾斜角で傾斜させて配置される。ポンププランジャ506と、該ポンププランジャ506と同数のモータプランジャ515とは、シリンダブロック505の回転中心の同一円周上に交互に配列される。
【0037】
さらに、主変速入力軸27が挿入されるシリンダブロック505の軸孔には、輪溝形の第1油室530と、輪溝形の第2油室531とがそれぞれ形成される。シリンダブロック505には、この回転中心の同一円周上に略等間隔に配列する第1弁孔532と第2弁孔533とが形成される。第1弁孔532及び第2弁孔533は、第1油室530及び第2油室531とそれぞれ連通している。第1プランジャ孔507は第1油路534を介して第1弁孔532と連通され、第2プランジャ孔516は第2油室531を介して第2弁孔533と連通されている。
【0038】
第1弁孔532に挿入された第1スプール弁536は、シリンダブロック505の回転中心の同一円周上に略等間隔に配列される。第1弁孔532から背圧バネ力の弾圧にて第1スプール弁536の先端が第1ホルダの方向に突出し、第1スプール弁536の先端が第1ラジアル軸受537の外輪側面に当接される。そして、シリンダブロック505の1回転で第1スプール弁536が1往復し、第1プランジャ孔507が、第1弁孔532と第1油路534とを介して第1油室530又は第2油室531に交互に連通されるように構成する。
【0039】
また、第2弁孔533に挿入された第2スプール弁540は、シリンダブロック505の回転中心の同一円周上に略等間隔に配列される。第2弁孔533から背圧バネ力の弾圧にて第2スプール弁540の先端が第2ホルダの方向に突出し、第2スプール弁540の先端が第2ラジアル軸受541の外輪側面に当接される。そして、シリンダブロック505の1回転で第2スプール弁540が1往復し、第2プランジャ孔516が、第2弁孔533と第2油路535とを介し、第1油室530又は第2油室531に交互に連通されるように構成する。
【0040】
さらに、前記主変速入力軸27の中心部には、この軸線方向に作動油供給油路543が形成される。該供給油路543は、主変速入力軸27の後端面に開口され、上記した走行用油圧ポンプ95の吐出口に連通される。また、作動油供給油路543の作動油を第1油室530に補給する第1チャージ弁544と、作動油供給油路543の作動油を第2油室531に補給する第2チャージ弁545とが備えられる。
【0041】
そして、第1及び第2プランジャ孔507,516と、第1及び第2油室530,531との間に形成される油圧閉回路に対し、第1及び第2チャージ弁544,545を介し、作動油供給油路543から作動油が補給されるように構成する。なお、油圧ポンプ部500及びモータ部501のそれぞれの回転部分にも、それぞれ逆止弁を介して、作動油供給油路543から作動油が潤滑油として供給されるように構成している。
【0042】
さらに、前記ポンプ斜板509は、傾斜角調節支点555を介して第1ホルダの小径部の外周に配置される。ポンプ斜板509はその傾斜角が主変速入力軸27の軸線に対して調節自在となるように構成されている。主変速入力軸27の軸線に対してポンプ斜板509の傾斜角を変更する変速用アクチュエータである主変速操作用の主変速油圧シリンダ556を備える(図4及び図5参照)。主変速油圧シリンダ556にてポンプ斜板509の傾斜角が変更されて、無段変速機29の主変速動作が行われるように構成する。
【0043】
前記したインライン式油圧無段変速機29の主変速動作を以下に説明する。変速比操作手段としての前進ペダル232又は後進ペダル233(詳細は後述する)の踏み込み量に比例して作動する比例制御電磁弁203からの作動油で切替弁204が作動して主変速油圧シリンダ556(図5参照)が制御され、主変速入力軸27の軸線に対して、油圧ポンプ部500に設けられたポンプ斜板509の傾斜角が変更される。
【0044】
ポンプ斜板509の傾斜角が略零のときは、油圧ポンプ部500にて油圧モータ部501が駆動されないので、主変速入力軸27に被嵌されたシリンダブロック505と、油圧モータ部501に設けられたモータ斜板518とが同一方向に略同一回転数で回転し、主変速入力軸27と略同一回転数で主変速出力軸36が回転され、主変速入力軸27の回転速度が変更されることなく主変速出力ギヤ37に伝えられる。
【0045】
主変速入力軸27の軸線に対してポンプ斜板509を一方向(正の傾斜角)側に傾斜させたときには、シリンダブロック505と同一方向にモータ斜板518が回転され、油圧モータ部501が増速動作させ、主変速入力軸27より高い回転数で主変速出力軸36が回転され、主変速入力軸27の回転速度が増速されて主変速出力ギヤ37に伝えられる。即ち、主変速入力軸27の回転数に油圧モータ部501の回転数が加算されて、主変速出力ギヤ37に伝えられる。そのため、主変速入力軸27の回転数よりも高い回転数の範囲で、ポンプ斜板509の傾斜(正の傾斜角)に比例して、主変速出力ギヤ37からの変速出力(走行速度)が変更され、ポンプ斜板509の最大傾斜(正の傾斜角)で最大走行速度になる。
【0046】
さらに、主変速入力軸27の軸線に対してポンプ斜板509を他方向(負の傾斜角)側に傾斜させたときには、シリンダブロック505と逆の方向にモータ斜板518が回転され、油圧モータ部501を減速(逆転)動作させ、主変速入力軸27より低い回転数で主変速出力軸36が回転され、主変速入力軸27の回転速度が減速されて主変速出力ギヤ37に伝えられる。
【0047】
すなわち、主変速入力軸27の回転数に油圧モータ部501の回転数が減算されて、主変速出力ギヤ37に伝えられる。このため、主変速入力軸27の回転数よりも低い回転数の範囲で、ポンプ斜板509の傾斜(負の傾斜角)に比例して、主変速出力ギヤ37からの変速出力(走行速度)が変更され、ポンプ斜板509の最大傾斜(負の傾斜角)で最低走行速度になる。なお、実施形態では、ポンプ斜板509の負の傾斜角が略11度のとき、変速比が零となる。また、後述の変速比パターンに応じて若干相違するが、正の傾斜角が略11度のとき、変速比が最大となるように設定されている。
【0048】
図3に示されるように、前記ミッションケース17の前室34に、走行機体2の前進と後進との切り替えを行うための前進ギヤ41及び後進ギヤ43と、低速と高速との切り替えを行うための走行副変速ギヤ機構30とが配置される。
【0049】
前進ギヤ41及び後進ギヤ43を介して前進と後進とを切り替えるための構成について説明する。図3に示されるように、主変速出力ギヤ37が配置される前室34の内部には、走行カウンタ軸38と逆転軸39とが配設される。前記走行カウンタ軸38には、前進用の湿式多板型油圧クラッチ40にて連結される前進ギヤ41と、後進用の湿式多板型油圧クラッチ42にて連結される後進ギヤ43とが被嵌される。主変速出力ギヤ37に前進ギヤ41が噛合される。主変速出力ギヤ37には、逆転軸39に設けられた逆転ギヤ44も噛合される。前記後進ギヤ43には、逆転軸39に設けられた逆転出力ギヤ45が噛合される。
【0050】
そして、後述する前進ペダル232の踏み込み操作により、前進クラッチ電磁弁46にてクラッチシリンダ47が作動して前進用の油圧クラッチ40が継続され、主変速出力ギヤ37と走行カウンタ軸38とが前進ギヤ41にて連結されるように構成する(図3参照)。
【0051】
また、後述する後進ペダル233の踏み込み操作により、後進クラッチ電磁弁48にてクラッチシリンダ49が作動して後進用の油圧クラッチ42が継続され、主変速出力ギヤ37と走行カウンタ軸38とが、逆転軸39に設けられた逆転ギヤ44及び逆転出力ギヤ45と後進ギヤ43とにて連結されるようにも構成する(図3参照)。
【0052】
なお、前進ペダル232及び後進ペダル233のいずれも踏み込んでいない中立位置のときには、前進用及び後進用の湿式多板型の各油圧クラッチ40,42の両方がともに切断され、前車輪3及び後車輪4に対して出力される主変速出力ギヤ37からの走行駆動力が略零(主クラッチ切の状態)になるように構成している。
【0053】
次に、走行副変速ギヤ機構30を介して低速と高速とを切り替えるための構成について説明する。図3に示されるように、前記ミッションケース17の前室34には、走行副変速ギヤ機構30と副変速軸50とが配置される。走行カウンタ軸38には、副変速用の低速ギヤ51及び高速ギヤ53が設けられている一方、副変速軸50には、走行カウンタ軸38の低速ギヤ51に噛み合う低速ギヤ52と、同じく走行カウンタ軸38の高速ギヤ53に噛み合う高速ギヤ54とが設けられている。また、副変速軸50には、副変速油圧シリンダ55にて継断可能な低速クラッチ56及び高速クラッチ57が備えられている。
【0054】
そして、副変速操作手段としての副変速切替スイッチ222(詳細は後述する)の操作又はエンジン5の回転数検出等により、副変速油圧シリンダ55にて低速クラッチ56若しくは高速クラッチ57が継続され、副変速軸50に低速ギヤ52若しくは高速ギヤ54が連結され、副変速軸50から前車輪3及び後車輪4に対して走行駆動力が出力されるように構成している。
【0055】
前記副変速軸50の後端部は、仕切り壁31を貫通してミッションケース17の後室35内部にまで延びている(図3参照)。副変速軸50の後端部にはピニオン59が設けられる。また、後室35の内部には、左右の後車輪4に走行駆動力を伝える差動ギヤ機構58が配置される。差動ギヤ機構58には、副変速軸50後端のピニオン59に噛合するリングギヤ60と、該リングギヤ60に設けられた差動ギヤケース61と、左右方向に延びる差動出力軸62とが備えられる。差動出力軸62がファイナルギヤ63等にて後車軸64に連結され、後車軸64に設けられた後車輪4を駆動するように構成している(図5参照)。
【0056】
また、差動出力軸62にはブレーキ65が設置され、操縦コラム234の後面側に位置するブレーキペダル230(図6参照)の操作にてブレーキ65(図3及び図5参照)が制動動作するように構成している。一方、操縦ハンドル9の操舵角検出等により、左右オートブレーキ電磁弁67a,67bにてブレーキシリンダ68が作動して、ブレーキ65が自動的に制動動作され、Uターン等の旋回走行が行われるように構成している。
【0057】
なお、後室35の内部に配置された差動ギヤ機構58には、この差動動作を停止(左右の差動出力軸62を常時等速で駆動)させるためのデフロック機構(図示せず)が備えられる。そして、差動ギヤケース61に出入自在に設けられたロックピンが図示しないデフロックレバー(又はペダル)の操作にて差動ギヤに係合したとき、差動ギヤが差動ギヤケース61に固定され、差動ギヤの差動機能が停止し、左右の差動出力軸62が等速にて駆動されるように構成する。
【0058】
次に、前後車輪3,4の二駆と四駆とを切り替えるための構成について説明する。図3に示されるように、ミッションケース17の前側壁部材32に設けられた前車輪駆動ケース69には、前車輪入力軸72と前車輪出力軸73とが備えられている。前車輪入力軸72は、ギヤ70,71を介して副変速軸50と動力伝達可能に連結される。また、前車輪出力軸73には、四駆用油圧クラッチ74の駆動にて該前車輪出力軸73と一体回転可能に連結される四駆ギヤ75と、倍速用油圧クラッチ76の駆動にて前車輪出力軸73と一体回転可能に連結される倍速ギヤ77とが被嵌される。四駆ギヤ75は前車輪入力軸72に設けられたギヤ78と噛み合っている。倍速ギヤ77は同じく前車輪入力軸72に設けられたギヤ79と噛み合っている。
【0059】
そして、二駆と四駆との切替レバー(図示省略)を四駆側に操作することにより、四駆油圧電磁弁80にてクラッチシリンダ81が作動して四駆用油圧クラッチ74が継続され、前車輪入力軸72と前車輪出力軸73とが四駆ギヤ75にて連結され、後車輪4と共に前車輪3が駆動されるように構成する。
【0060】
次に、前車輪3の倍速駆動を切り替えるための構成について説明する。図3に示されるように、操縦ハンドル9のUターン(圃場の枕地での方向転換)操作の検出により、倍速油圧電磁弁82にてクラッチシリンダ83が作動して倍速用油圧クラッチ76が継続され、前車輪入力軸72と前車輪出力軸73とが倍速ギヤ77にて連結され、四駆ギヤ75にて前車輪3が駆動されるときの速度に比べて約2倍の高速度で前車輪3が駆動されるように構成する。
【0061】
図3に示すように、前車軸ケース13から後ろ向きに突出する前車輪伝達軸84と、前記ミッションケース17の前面から前向きに突出する前車輪出力軸73との間を、前車輪3に動力伝達する前車輪駆動軸85を介して連結する。また、前車軸ケース13の内部には、左右の前車輪3に走行駆動力を伝える差動ギヤ機構86が配置される。
【0062】
差動ギヤ機構86には、前車輪伝達軸84前端のピニオン87に噛合するリングギヤ88と、該リングギヤ88に設けられた差動ギヤケース89と、左右の差動出力軸90とが備えられる。差動出力軸90にはファイナルギヤ91等にて前車軸92が連結され、前車軸92に設けられた前車輪3が駆動されるように構成している。また、前車軸ケース13の外側面には、操縦ハンドル9の操舵操作にて前車輪3の走行方向を左右に変更するパワーステアリング用の油圧シリンダ93(図5参照)が配設される。
【0063】
図3に示すように、ミッションケース17の前側壁部材32の前面側に設けられた作業部用油圧ポンプ94は、作業部用昇降機構20に作動油を供給するためのものである。また、走行用油圧ポンプ95は、ミッションケース17の各変速部及びパワーステアリング用の油圧シリンダ93に作動油を供給するためのものである。この場合、ミッションケース17は油タンクとして併用されている。各油圧ポンプ94,95にはミッションケース17内部の作動油を供給するように構成されている。
【0064】
次に、PTO軸23の駆動速度を切り替える(正転4段と逆転1段)ための構成について説明する。ミッションケース17の前室34には、エンジン5からの動力をPTO軸23に伝達するためのPTO変速ギヤ機構96と、エンジン5からの動力を各油圧ポンプ94,95に伝達するためのポンプ駆動軸97とが設けられている。
【0065】
図3に示されるように、後に詳述するPTO変速ギヤ機構96には、PTOカウンタ軸98と、PTO変速出力軸99とを備える。PTO用の油圧クラッチ100にて連結されるPTO入力ギヤ101は、PTOカウンタ軸98に被嵌されている。PTO入力ギヤ101には、前記主変速入力軸27に設ける入力側ギヤ102と、ポンプ駆動軸97の出力側ギヤ103とが噛合され、主変速入力軸27にポンプ駆動軸97が連結される。
【0066】
そして、PTOクラッチレバー(図示省略)の継続操作により、PTOクラッチ油圧電磁弁104(図5及び図7参照)にてクラッチシリンダ105が作動してPTO用の油圧クラッチ100が継続され、主変速入力軸27とPTOカウンタ軸98とがPTO入力ギヤ101にて連結されるように構成する。
【0067】
また、前記PTO変速出力軸99には、PTO出力用として、1速ギヤ106、2速ギヤ107、3速ギヤ108、4速ギヤ109、及び逆転ギヤ110が被嵌されている(図3参照)。
【0068】
PTO変速出力軸99には、変速シフタ111が移動自在にスプラインにて軸支されている。前記各ギヤ106〜110はPTO変速出力軸99に変速シフタ111にて択一的に連結されるように構成する。変速シフタ111には、PTO変速レバー224(図6参照)に連結した変速アーム112が係合される。そして、PTO変速レバー224の変速操作により、変速アーム112にてPTO変速出力軸99の軸線に沿って変速シフタ111が直線的に移動して、各ギヤ106〜110のいずれかが択一的に選択されてPTO変速出力軸99に連結される(図3参照)。従って、1速〜4速及び逆転の各PTO変速出力が、PTO変速出力軸99からPTO軸23にギヤ113,114を介して伝達されるように構成されている。
【0069】
なお、逆転軸39に設けられた回転検出ギヤ115には、主変速出力ギヤ37の回転を検出する電磁ピックアップ型の主変速出力軸回転センサ116(図7参照)を対向させて設置し、油圧無段変速機29の出力回転数を主変速出力軸回転センサ116にて検出するように構成する。また、前車輪入力軸72のギヤ78の近傍箇所には、当該ギヤ78の回転を検出する電磁ピックアップ型の車速センサ117(図7参照)が設置されている。この車速センサ117にて検出された前車輪入力軸72及び副変速軸50の回転から、走行機体2の走行速度(車速)を検出するように構成されている。
【0070】
次に、図4及び図5を参照しながら、主変速油圧シリンダ556による油圧無段変速機29の変速動作について説明する。
【0071】
後述する前進ペダル232又は後進ペダル233の踏み込み操作にて、それぞれに対応する前進クラッチ電磁弁46又は後進クラッチ電磁弁48(図3及び図7参照)を切り替えることにより、主変速油圧シリンダ556が作動する。そして、主変速油圧シリンダ556のピストンが上昇又は下降動に連動してポンプ斜板の傾斜角を変更することにより、油圧無段変速機29の主変速動作が行われるという構成である。
【0072】
図3及び図5に示される前進クラッチ電磁弁46、後進クラッチ電磁弁48、四駆油圧電磁弁80、倍速油圧電磁弁82、及びPTOクラッチ油圧電磁弁104は、当該各電磁弁46,48,80,82,104を適宜手段にて制御したとき、それぞれに対応するクラッチシリンダ47,49,81,83,105を作動させ、図5に示される各油圧クラッチ40,42,74,76,100をそれぞれ切り替え駆動させるように構成されている。
【0073】
次に、図3及び図4を参照して、走行副変速ギヤ機構30の変速構造について詳述する。図4に示されるように、副変速油圧シリンダ55は、ピストン660の片側にピストンロッド661を備えた複動構造に構成される。副変速油圧シリンダ55には、ピストンロッド661が内設される第1シリンダ室662と、他方の第2シリンダ室663とが形成される。ピストンロッド661先端部には、シフトアーム664を介して副変速シフタ665が連結される。副変速シフタによって低速クラッチ56又は高速クラッチ57を継続し、副変速軸50を低速又は高速で駆動するように構成する。
【0074】
第1シリンダ室662は、走行用油圧ポンプ95の吐出側に直接連通される。第2シリンダ室663は、2位置3ポート型の高速クラッチ電磁弁666を介して、走行用油圧ポンプ95の吐出側に連通している。高速クラッチ電磁弁666は、変速ソレノイド667を備える。高速クラッチ電磁弁666が変速ソレノイド667によって切り替えられ、第2シリンダ室663が高速クラッチ電磁弁666を介して走行用油圧ポンプ95の吐出側に連通されたときに、ピストン660両側の受圧力の差により、ピストンロッド661を突出する方向にピストン660が移動し、高速クラッチ57を継続して副変速軸50を高速駆動するように構成する(図3参照)。
【0075】
次に、図6及び図7を参照しながら、本実施形態における作業車両の走行制御(変速制御)について説明する。制御プログラムを記憶したROMと各種データを記憶したRAMとを備えた制御手段としてのコントローラ210には、電源印加用キースイッチ211を介してバッテリー(図示せず)に接続される。キースイッチ211は、エンジン5を始動するためのスタータ212に接続される。
【0076】
コントローラ210には、エンジン5の回転を制御する電子ガバナコントローラ213が接続されている。電子ガバナコントローラ213には、エンジン5の燃料を調節するエンジンガバナ214、エンジン5の回転数を検出するエンジン回転センサ215、主変速操作手段としてのスロットルレバー206の操作位置を検出するスロットルポテンショメータ217、及びエンジンガバナ214における燃料調節ラック(図示せず)の位置を調節するためのスロットルソレノイド(図示せず)等が接続されている。
【0077】
オペレータがスロットルレバー206を手動操作すると、電子ガバナコントローラ213は、スロットルポテンショメータ217の検出値(スロットルレバー206での設定回転数)とエンジン回転数とが一致するように、スロットルソレノイド(図示せず)にて燃料調節ラックの位置を自動的に調節する制御を実行する。これにより、エンジン回転数は、負荷の変動に拘らず、スロットルレバー206の位置に応じた回転数に保持される。
【0078】
また、コントローラ210には、出力系の各種電磁弁、すなわち前進用油圧クラッチ40に対する前進用クラッチ電磁弁46、後進用油圧クラッチ42に対する後進用クラッチ電磁弁48、走行副変速用油圧シリンダ55に対する高速クラッチ電磁弁666、前進ペダル232及び後進ペダル233の踏み込み量に比例して主変速油圧シリンダ556を作動させるための比例制御電磁弁203、左右ブレーキペダル電磁弁67a,67b、並びにPTOクラッチ100のためのPTOクラッチ油圧電磁弁(比例制御弁)104等が接続されている。
【0079】
さらに、コントローラ210には、入力系の各種センサ及びスイッチ類、すなわち操縦ハンドル9の回動量(操舵角度)を検出する操舵ポテンショ218、変速比操作手段の一例である前進ペダル232の操作量(踏み込み量)を検出する前進ポテンショ219、同じく変速比操作手段の一例である後進ペダル233の操作量(踏み込み量)を検出する後進ポテンショ220、主変速出力軸36における出力回転数のエンジン回転数に対する変速比の範囲(以下、変速比パターンという)を多段階に切り替え操作するための変速比設定器221、走行副変速ギヤ機構30の出力範囲を高速と低速とに切り替える副変速操作手段としての副変速切替スイッチ222、主変速出力軸36の出力回転数を検出する主変速出力軸回転センサ116、前後車輪3,4の回転速度(走行速度)を検出する車速センサ117、ブレーキペダル230の踏み込みの有無を検出するブレーキペダルスイッチ231、作業部遠隔操作用のリモートコントローラ131(送信器)からの制御信号を受信する受信器132、並びに前進位置、中立位置及び後進位置の三段階に切り替え操作可能な前後進操作手段としての前後進切替スイッチ130等が接続されている。
【0080】
図6に示すように、本実施形態では、操縦座席8の前方に位置する操縦コラム234上に、操向手段としての操縦ハンドル9が配置され、操縦コラム234の後面側に、走行機体2を制動操作するためのブレーキペダル230が配置されている。操縦コラム234の右側部には、エンジン5の回転数を調節するスロットルレバー206や、前進ペダル232及び後進ペダル233を略一定姿勢に維持するペダルロックレバー128等が配置されている。操縦コラム234の右方には、前進ペダル232及び後進ペダル233が並列状に配置されている。
【0081】
操縦座席8の左側コラム上には、PTO変速出力軸99に被嵌された各ギヤ106〜110を選択操作するためのPTO変速レバー224が配置されている。左側コラムの前方にはデフロックペダル225が配置されている。操縦座席8の右側コラム上には、操縦座席8の右側コラム上には、耕耘機等の作業部(図示せず)の高さ位置を手動で変更調節するための作業機昇降レバー259が配置されている。
【0082】
操縦座席8の左右両側には、該操縦座席8に着座したオペレータの腕や肘を載せるための前後長手のアームレスト140,140が設けられている。図6では、進行方向右側のアームレスト140には符号aを、進行方向左側のアームレスト140には符号bを添えて示している。これら各アームレスト140の後端部は、操縦座席8の後方に位置する横長のフレーム部材に対して、横軸144にて跳ね上げ回動可能に枢着されている。アームレスト140は通常、操縦座席8の座面に対して略水平な姿勢で保持される。
【0083】
右アームレスト140aの長手中途部には上向きに開口する収納部141aが設けられている。この収納部141aは開閉可能に構成された上面蓋142aで覆われている。収納部141a内には、作業部遠隔操作用のリモートコントローラ131(送信器)が収容されている。リモートコントローラ131には、作業部の左右傾斜角度や耕耘深さを遠隔調節操作するための各種ダイヤル等が設けられている。
【0084】
リモートコントローラ131の電源を入り操作してから各種ダイヤルを操作すると、当該操作に対応した指令信号が受信器132に伝送され、受信器132からコントローラ210に入力される。コントローラ210は、入力信号に応じて作業部の左右傾斜角度や耕耘深さを調節する制御を行うことになる。なお、右アームレスト140aの下方には、オペレータが水筒等を収容するための小物入れボックス143も設けられている。
【0085】
右アームレスト140a(スロットルレバー206と同じ側に位置するアームレスト140a)のうちオペレータの腕を載せたとき手指で操作し得るような箇所、すなわち、右アームレスト140aの上面蓋142aより前端側の部位には、変速比パターンを多段階に切り替え操作するための変速比設定器221と、副変速操作手段としての副変速切替スイッチ222と、前後進操作手段としての前後進切替スイッチ130とが設けられている。
【0086】
変速比設定器221はダイヤル式の可変抵抗器からなるものである。該変速比設定器221は、その摘み(指針)の位置を段階的に変更することにより、前進ペダル232及び後進ペダル233の踏み込み量に対応する変速比の変化率を調節設定するように構成されている。
【0087】
変速比設定器221にて選択可能な変速比パターンとしては、前進ペダル232及び後進ペダル233の踏み込み量が増大するのに比例して変速比が大きくなるような複数種類が用意されている。複数種類の変速比パターンは、それぞれ農作業の種類や圃場条件(土壌の質や水田、畑土地等)に応じた設定になっている。変速比パターンの群は、関数表形式又はマップ形式にて、コントローラ210のROM等に予め記憶されている。
【0088】
オペレータが変速比設定器221の目盛を適宜選択すると、複数種類の変速比パターンのうちから任意の1つのパターンが設定(指示)される。これにより、トラクタ1のエンジン回転数を、負荷の変動に拘らず略一定に保持しつつ、実際(現実)の変速比が目標変速比の所定%以内となるように、油圧式無段変速機29の変速比が制御される。
【0089】
なお、変速比設定器221は、その目盛が中立(ニュートラル)のとき、前進ペダル232及び後進ペダル233の踏み込み量に関係なく、油圧無段変速機29の出力を略零(変速比を0)に維持するように構成されている。
【0090】
副変速操作手段としての副変速切替スイッチ222は、スイッチを一度押下すると押下された位置でロックし、さらにもう一度押下すると元の位置に復帰する単動式のプッシュスイッチである。
【0091】
副変速切替スイッチ222を一度押下することにより、副変速を低速から高速に切り替えると、副変速油圧シリンダ55にて低速クラッチ56が動力遮断状態となり、高速クラッチ57が動力接続状態となる。そうすると、副変速軸50に高速ギヤ54が一体回動するように連結され、副変速軸50から前車輪3及び後車輪4に対して高速の走行駆動力が出力される。
【0092】
一度押下した副変速切替スイッチ222をもう一度押下することにより、副変速を高速から低速に切り替えると、副変速油圧シリンダ55にて高速クラッチ57が動力遮断状態となり、低速クラッチ56が動力接続状態となる。そうすると、副変速軸50に低速ギヤ52が一体回動するように連結され、副変速軸50から前車輪3及び後車輪4に対して低速の走行駆動力が出力されるのである。
【0093】
前後進操作手段としての前後進切替スイッチ130は、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切換操作するためのものである。本実施形態の前後進切替スイッチ130としては、前進位置、中立位置及び後進位置の三段階に切り替え操作可能なスライドスイッチタイプが採用されている。
【0094】
前後進切替スイッチ130を前進位置までスライド操作すると、後進用の油圧クラッチ42が動力遮断状態となり、前進用の油圧クラッチ40が動力接続状態となる。そうすると、主変速出力ギヤ37と走行カウンタ軸38とが前進ギヤ41にて動力伝達可能な状態に連結され(図3参照)、最終的には、副変速軸50から前車輪3及び後車輪4に対して、走行機体2を前進させる方向の走行駆動力が出力される。
【0095】
前後進切替スイッチ130を後進位置までスライド操作すると、前進用の油圧クラッチ40が動力遮断状態となり、後進用の油圧クラッチ42が動力接続状態となる。そうすると、主変速出力ギヤ37と走行カウンタ軸38とが、逆転ギヤ44、逆転出力ギヤ45及び後進ギヤ43とにて動力伝達可能な状態に連結され(図3参照)、最終的には、副変速軸50から前車輪3及び後車輪4に対して、走行機体2を後進させる方向の走行駆動力が出力される。
【0096】
前後進切替スイッチ130が前進位置と後進位置との間の中立位置にあるときは、前進用及び後進用の両油圧クラッチ40,42がともに切断され、前車輪3及び後車輪4に対する主変速出力ギヤ37からの走行駆動力が略零(主クラッチ切の状態)となる。
【0097】
なお、前後進切替スイッチ130が中立位置以外の位置(前進又は後進位置)にあるときは、該スイッチ操作による走行制御の方が、前進及び後進ペダル232,233の踏み込み操作による走行制御に優先して行われるように構成されている。
【0098】
以上のように構成すると、操縦座席8の右側に位置する右アームレスト140aに、操縦座席8に着座したオペレータの腕や肘を載せるための前後進切替スイッチ130を設けているから、例えば走行機体2の進行方向を前進又は後進に切り替えるに際して、左手は操縦ハンドル9を握ったままにして、右手を右アームレスト140aに載せるようにすれば、操縦座席8にゆったりと着座したままで、右手にて前後進切替スイッチ130を簡単に操作できる。このように、操作頻度の多い前後進切替スイッチ130の操作性に優れているから、長時間の作業によるオペレータの疲労を少なくできる。
【0099】
本実施形態では、右アームレスト140aのうちオペレータの腕を載せたとき手指で操作し得るような前端側の部位に、前後進切替スイッチ130を設けているから、右手を右アームレスト140aに載せるだけで、該右手を右アームレスト140a上の前後進切替スイッチ130に簡単に届かせることができる。従って、前後進切替スイッチ130の操作性がより一層向上する。
【0100】
また、右アームレスト140aの前端側の部位に、前後進切替スイッチ130だけでなく、操作頻度の多い操作手段である変速比設定器221及び副変速切替スイッチ222も設けることにより、当該操作手段群を右アームレスト140aの箇所にまとめることができるから、これら操作手段群の使い勝手(操作性)が更に高まることになる。
【0101】
本実施形態では、操縦座席8においてスロットルレバー206と同じ右側に位置する右アームレスト140aに、前後進切替スイッチ130を設けているので、例えば走行機体2の進行方向を前進又は後進に切り替えてから車速を変更する際は、左手は操縦ハンドル9を握ったままで(離すことなく)、右手だけでスロットルレバー206を操作したり前後進切替スイッチ130を操作したりでき、操縦ハンドル9を一方の手から他方の手に持ち替えたりする必要がない。従って、この点でも、操作頻度の多いスロットルレバー206や前後進切替スイッチ103等の操作手段の操作性向上に寄与するのである。
【0102】
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化することができる。例えばアームレスト140は操縦座席8の左右いずれか一方にしかなくても構わない。前述の実施形態のように操縦座席8の左右両側にアームレスト140がある場合は、特許請求の範囲に記載した各種操作手段は、左右どちらのアームレスト140に設けてもよい。前記各種操作手段は、スイッチ式のものでもレバー式のものでもよい。
【0103】
その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】農作業用トラクタの側面図である。
【図2】トラクタを斜め後方から見た斜視図である。
【図3】動力伝達系のスケルトン図である。
【図4】油圧無段変速機の油圧回路図である。
【図5】トラクタの油圧回路図である。
【図6】キャビンの平面図である。
【図7】制御手段の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0105】
5 エンジン
8 操縦座席
17 ミッションケース
27 主変速入力軸
29 変速伝動機構としての油圧無段変速機
36 主変速出力軸
130 前後進操作手段としての前後進切替スイッチ
140a,140b アームレスト
206 主変速操作手段としてのスロットルレバー
210 コントローラ
221 変速比設定器
222 副変速切替スイッチ
232 前進ペダル
233 後進ペダル
556 主変速油圧シリンダ(変速アクチュエータ)




 

 


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