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発明の名称 車両の操舵制御装置及び操舵装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−210497(P2007−210497A)
公開日 平成19年8月23日(2007.8.23)
出願番号 特願2006−33494(P2006−33494)
出願日 平成18年2月10日(2006.2.10)
代理人 【識別番号】100092152
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 毅巖
発明者 石川 幸男
要約 課題
車速が変化してもアッカーマンジオメトリを実現する。

解決手段
本発明の操舵装置によれば、左右車輪のそれぞれの切れ角が独立に制御され、カーブの曲率と車速とに応じてアッカーマン比を満たすように左右車輪の切れ角がそれぞれ変化させられる。その結果、車両の走行時に車速が変化しても、アッカーマンジオメトリにしたがったカーブ走行を実現することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
操舵入力に基づいて左右車輪の操舵角を制御する車両の操舵制御装置であって、
前記左右車輪に個別に設けられたステアリングリンクをそれぞれ駆動し、前記左右車輪のそれぞれの切れ角を独立に変化させるアクチュエータを制御する制御手段と、
前記車両が走行するカーブの曲率と車速とに応じてアッカーマンジオメトリにしたがう内外輪の切れ角を満たすべく前記左右車輪の切れ角を補正するように、前記アクチュエータを制御する補正手段と、
を備えたことを特徴とする車両の操舵制御装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記車両に搭載されたナビゲーション装置又は画像認識装置を介して前記カーブの曲率を取得し、前記補正を行うことを特徴とする請求項1記載の車両の操舵制御装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記左右車輪の少なくとも一方の現在の切れ角に基づいてアッカーマン比を算出、又は所定の制御マップから取得し、前記左右車輪の少なくとも他方の切れ角を補正することを特徴とする請求項1記載の車両の操舵制御装置。
【請求項4】
前記アクチュエータが、前記操舵入力に基づく前記左右車輪の操舵を行う第1アクチュエータと、前記第1アクチュエータとは別に前記ステアリングリンクの支持体を駆動する第2アクチュエータとを含み、
前記補正手段は、前記第2アクチュエータを駆動・制御することを特徴とする請求項1記載の車両の操舵制御装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記支持体としてのラックを移動させることにより、前記補正を行うことを特徴とする請求項4記載の車両の操舵制御装置。
【請求項6】
前記補正手段は、前記支持体としてのナックルアームの前記ステアリングリンクとの接続部を移動させることにより、前記補正を行うことを特徴とする請求項4記載の車両の操舵制御装置。
【請求項7】
前記補正手段は、さらに、前記左右車輪の支持部の上下動に伴う各ステアリングリンクの横方向の長さの変化量を算出し、前記変化量を打ち消す方向に前記アクチュエータの制御量を補正する請求項1記載の車両の操舵制御装置。
【請求項8】
前記補正手段は、前記アクチュエータの制御量の補正速度を、車速に基づいて変化させることを特徴とする請求項1記載の車両の操舵制御装置。
【請求項9】
操舵入力に基づいて左右車輪の操舵角を制御する車両の操舵装置であって、
前記左右車輪に個別に設けられたステアリングリンクを含むステアリング機構と、
前記操舵入力に基づいて前記ステアリングリンクをそれぞれ駆動し、前記左右車輪のそれぞれの切れ角を独立に変化させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御し、前記車両が走行するカーブの曲率と車速とに応じてアッカーマンジオメトリにしたがう内外輪の切れ角を満たすべく前記左右車輪の切れ角を補正するように、前記アクチュエータを制御する操舵制御装置と、
を備えたことを特徴とする車両の操舵装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の操舵制御装置及び操舵装置に関し、特にステアリング機構に対する操舵入力に応じて左右車輪の切れ角を制御する操舵制御装置及び操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両がカーブを旋回走行する際に内外輪のタイヤにスリップが生じないようにする幾何学的理論として、アッカーマン・ジャントー理論が知られている(例えば非特許文献1参照)。図14は、アッカーマン・ジャントー理論を表す説明図である。(A)は車両がごく低速で走行しているときの状態を表し、(B)は車速が上昇して遠心力が発生したときの状態を表している。
【0003】
この理論は、車両のカーブ走行時に内側の車輪の切れ角を外側の車輪の切れ角よりも大きくとるようにしたものであり、内外輪の向きをそれぞれの走行軌跡の接線方向に向けるとすると、下記式(1)により表される。
【0004】
T/L=(1÷tanβ)−(1÷tanα) ・・・(1)
T:トレッド
L:ホイールベース
α:内輪の切れ角
β:外輪の切れ角
すなわち、上記式(1)の内外輪の切れ角の関係を実現するようにステアリング機構を構成することで(つまり、アッカーマンジオメトリにしたがうことで)、内外輪のタイヤのスリップを防止する。
【0005】
一般には、このアッカーマン・ジャントー理論の適用が可能なのは、車両への遠心力が無視できるごく低速走行時であるとされている。ごく低速走行時の車両の旋回中心は、同図(A)に示すように、リアアクスルの延長線上にくる。その結果、車輪の旋回中心を一点に揃えることができ、内外輪のタイヤの横滑りが防止される。
【非特許文献1】飯田一、自動車情報事典大車林、初版、株式会社三栄書房、2003年11月19日、p322
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車速が上昇して遠心力が発生するにつれて、同図(B)に示すように、車両の旋回中心がリアアクスルより前方に移動する。このため、高速時には、内外輪の切れ角が等しいパラレルステアリングに近づいていく。一方、内外輪の切れ角は車両のステアリング機構の構造によって決まってしまう。図15は、ステアリング機構の車輪近傍の概略構成及びその動作を表す説明図である。なお、同図は左前輪の周辺部の構成例を表しており、(A)は車両が直進している場合を表し、(B)は車両が左旋回しているときを表し、(C)は車両が右旋回しているときを表している。
【0007】
すなわち、左前輪101は、図示しない車体に固定されたキングピン102に回動可能に軸支されたナックルアーム103に支持されている。ナックルアーム103のキングピン102の中心から偏心した位置には、ステアリングリンク104の一端が図示しないボールジョイント介して接続されている。ステアリングリンク104の他端は、ラック105に接続されている。このラック105は、図示しないステアリングホイールの操作による操舵入力に基づいて左右に駆動制御される。
【0008】
このラック105は、車両が左旋回するときには、同図(A)の状態から同図(B)の状態、つまり車体の内側へ向けて移動し、車両が右旋回するときには、同図(A)の状態から同図(C)の状態、つまり車体の外側へ向けて移動する。車両の旋回の際には、ラック105の移動にともなってステアリングリンク104がラック105側のボールジョイントを中心に回動する。その結果、その回動角θによるステアリングリンク104の横方向の長さの変化ΔLが生じる。この変化によりアッカーマンジオメトリにしたがう内外輪の切れ角が決定される。なお、一般にラック105は右前輪と共用であるため、左右前輪の一方の切れ角が決まれば他方の切れ角が決まることになる。
【0009】
このように、内外輪の切れ角はステアリング機構の構造によって決まってしまう一方、車速の上昇によって車両の旋回中心が移動する。このため、車速の変化にしたがったアッカーマンジオメトリを実現することができないという問題があった。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、車速が変化してもアッカーマンジオメトリを実現することができる操舵制御装置、及びこれを含む操舵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では上記問題を解決するために、操舵入力に基づいて左右車輪の操舵角を制御する車両の操舵制御装置であって、前記左右車輪に個別に設けられたステアリングリンクをそれぞれ駆動し、前記左右車輪のそれぞれの切れ角を独立に変化させるアクチュエータを制御する制御手段と、前記車両が走行するカーブの曲率と車速とに応じてアッカーマンジオメトリにしたがう内外輪の切れ角を満たすべく前記左右車輪の切れ角を補正するように、前記アクチュエータを制御する補正手段と、を備えたことを特徴とする車両の操舵制御装置が提供される。
【0012】
なお、ここでいう「操舵角」は、ステアリングホイール等の操舵部材を手動で操作したときの操舵入力や自動操舵装置による操舵入力等に基づき、左右車輪全体として操舵制御される角度を意味する。一方、「切れ角」は、左右車輪の個々の車輪についての旋回方向の回動角度を意味する。また、この操舵制御装置が適用される車両においては、ステアリングリンクは左右車輪について個別に設けられるが、アクチュエータについては左右車輪について個別に設けられていてもよいし、共通に設けられていてもよい。
【0013】
このような操舵制御装置によれば、左右車輪のそれぞれの切れ角が独立に制御されるため、その制御に際して特に車両構造の制約を受けることがない。そして、カーブの曲率と車速とに応じて左右車輪の切れ角がそれぞれ変化させられ、アッカーマンジオメトリにしたがった内外輪の切れ角が得られる。
【0014】
また、本発明では、操舵入力に基づいて左右車輪の操舵角を制御する車両の操舵装置であって、前記左右車輪に個別に設けられたステアリングリンクを含むステアリング機構と、前記操舵入力に基づいて前記ステアリングリンクをそれぞれ駆動し、前記左右車輪のそれぞれの切れ角を独立に変化させるアクチュエータと、前記アクチュエータを制御し、前記車両が走行するカーブの曲率と車速とに応じてアッカーマンジオメトリにしたがう内外輪の切れ角を満たすべく前記左右車輪の切れ角を補正するように、前記アクチュエータを制御する操舵制御装置と、を備えたことを特徴とする車両の操舵装置が提供される。
【0015】
このような操舵装置によれば、操舵制御装置により、左右車輪のそれぞれの切れ角が独立に制御されるため、その制御に際して特に車両構造の制約を受けることがない。そして、カーブの曲率と車速とに応じて左右車輪の切れ角がそれぞれ変化させられ、アッカーマンジオメトリにしたがった内外輪の切れ角が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の操舵制御装置及び操舵装置によれば、車両の走行時に車速が変化しても、アッカーマンジオメトリにしたがったカーブ走行を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る車両の操舵装置の概略構成を表す正面図である。
【0018】
この車両の操舵装置は、ステアリングホイール1の操作による操舵入力に基づいて左右前輪の操舵角を制御するものであり、電動式パワーステアリング(「EPS」と表記する)からなるステアリング機構を備える。
【0019】
このステアリング機構は、右前輪2Rと左前輪2Lの切れ角(つまり、車輪の車体にほぼ平行な状態から旋回方向への回動角度)を独立に制御できるように構成されている。すなわち、車体3には右ラック4R及び左ラック4Lがそれぞれ配設されている。
【0020】
右ラック4Rには、ボールジョイントを介して一端が接続された右ステアリングリンク5Rが側方に延出している。右ステアリングリンク5Rの他端には、ボールジョイント及び後述するナックルアームを介して右前輪2Rが接続されている。右前輪2Rの上下には、車体3から延出したアッパーアーム6R及びロアアーム7Rがそれぞれボールジョイント等を介して接続されている。ロアアーム7Rには、図示しないコイルスプリングを支持したショックアブソーバ8Rの一端が接続され、ともにサスペンションを構成している。ショックアブソーバ8Rの他端部は、車体3に固定されている。
【0021】
また、右ラック4Rには、右ピニオン11R,ヘリカルギヤ12R,電動式の右EPSモータ13Rが順次接続され、ステアリングホイール1から延出したステアリングシャフト15の先端部につながっている。
【0022】
一方、左ラック4Lにも、ボールジョイントを介して一端が接続された左ステアリングリンク5Lが側方に延出している。左ステアリングリンク5Lの他端には、ボールジョイント及び後述するナックルアームを介して左前輪2Lが接続されている。左前輪2Lの上下には、車体3から延出したアッパーアーム6L及びロアアーム7Lがそれぞれボールジョイント等を介して接続されている。ロアアーム7Lには、図示しないコイルスプリングを支持したショックアブソーバ8Lの一端が接続され、ともにサスペンションを構成している。ショックアブソーバ8Lの他端部は、車体3に固定されている。
【0023】
また、左ラック4Lには、左ピニオン11L,ヘリカルギヤ12L,電動式の左EPSモータ13Lが順次接続され、ステアリングホイール1から延出したステアリングシャフト15の先端部につながっている。
【0024】
さらに、車体3におけるショックアブソーバ8Rの近傍には、車体3に対する右ステアリングリンク5Rの角度の変化を検出する検出器16Rが設けられ、ショックアブソーバ8Lの近傍には、車体3に対する左ステアリングリンク5Lの角度の変化を検出する検出器16Lが設けられている。
【0025】
車両の内部には、上記EPSを制御するための電子制御装置(以下「EPS−ECU」という:「操舵制御装置」に該当する)20が設けられている。EPS−ECU20は、マイクロコンピュータを中心に構成され、各種演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、各種の制御演算プログラムやデータを格納したROM(Read Only Memory)、演算過程の数値やフラグが格納されるRAM(Random Access Memory)、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog/Digital)コンバータ、各種デジタル信号が入出力される入出力インタフェース、及びこれら各機器が接続されるバスラインなどを備えている。EPS−ECU20は、車両に搭載されたナビゲーション装置30と通信可能に接続されるとともに、車速センサ40の検出信号が入力される。
【0026】
図2は、ナビゲーション装置の概略構成を表すブロック図である。ナビゲーション装置30は、マイクロコンピュータからなる演算部を中心に構成されたナビゲーションECU31を備え、所定の通信ラインLを介してEPS−ECU20に接続されている。
【0027】
ナビゲーションECU31には、衛星からの電波を受信して車両の位置を検出し、車両にGPS(Global Positioning System)航法を行わせるためのGPS受信機32,トンネル内などGPS航法が行えないときに自車の位置を割り出し、車両に自律航法を行わせるためのジャイロセンサ33及び上記車速センサ40,地図データが記録されたCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)やDVD(Digital Versatile Disc)等を収容して地図情報を入力するための地図情報入力装置35,ユーザによる所定の操作入力を行うための入力装置36,地図情報等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示装置37等が接続されている。また、ナビゲーションECU31には、VICS(Vehicle Information and Communication System)による路車間通信を実現するためのVICS受信機38が接続されている。このVICS受信機38により、一般道路などに設けられた光ビーコン信号、高速道路などに設けられた電波ビーコン信号等を受信して、道路の固定局から道路渋滞等の交通情報を得ることができる。
【0028】
次に、車両の操舵制御方法について説明する。
EPS−ECU20は、ROMに格納された制御プログラムにしたがって所定の操舵制御処理を行う。すなわち、EPS−ECU20は、ステアリングホイール1の操作による操舵入力と、図示しないステアリングコラムに内蔵されたトルクセンサから得られる操舵トルクとに基づいてアシスト量を算出し、右EPSモータ13R及び左EPSモータ13Lに通電を行い、これを駆動制御する。このとき、右EPSモータ13Rの回転がヘリカルギヤ12Rを介して右ピニオン11Rに伝達され、右ラック4Rが左右に駆動制御される。それにより、右前輪2Rの切れ角が制御される。また、左EPSモータ13Lの回転がヘリカルギヤ12Lを介して左ピニオン11Lに伝達され、左ラック4Lが左右に駆動制御される。それにより、左前輪2Lの切れ角が制御される。
【0029】
次に、車両がカーブを走行する際の操舵制御の補正方法について説明する。図3は、操舵装置の概略構成とその操舵制御の補正方法を表す平面図である。(A)は、車両が直進しているときの状態を表している。(B)は、車両がカーブを走行しているときの補正前の制御状態を表している。さらに、(C)は、車両がカーブを走行しているときの補正時の状態を表している。ここでは、車両がカーブを左旋回しているときを例に説明する。
【0030】
車両がカーブを走行する際には、そのカーブの曲率や車速の変化にともなってアッカーマン比を満たす車輪の切れ角が変化する。そこで、EPS−ECU20は、ナビゲーション装置30から取得したそのカーブの曲率情報と車速センサ40から取得した車速情報に基づいて、左右前輪の切れ角を独立に補正することにより、アッカーマンジオメトリにしたがう内外輪の切れ角を実現する。
【0031】
すなわち、車両が同図(A)に示す直進状態から同図(B)に示すカーブ走行へ移行すると、そのときの操舵入力に基づいて、左ラック4L及び右ラック4Rが図中矢印で示すように右方に駆動制御される。なお、本実施の形態において、左ラック4L及び右ラック4Rが「支持体」に該当する。
【0032】
このとき、EPS−ECU20は、ナビゲーション装置30から車両が現在走行中の位置情報と地図情報から特定されるカーブの曲率情報を取得するとともに、車速センサ40から車速情報を取得する。そして、そのカーブの曲率及び車速に基づいて車両の旋回中心を求め、その旋回中心がリアアクスルの延長線上にきて上記式(1)を満たすような内輪の切れ角α(この場合は左前輪2L)と外輪(この場合は右前輪2R)の切れ角βとを算出する。この場合、内輪の切れ角αまたは外輪の切れ角βの一方を固定して他方を算出し、この他方の切れ角を補正対象としてもよいし、双方の切れ角を補正対象としてもよい。同図(B)の例では、上記式(1)のアッカーマンジオメトリにしたがう車輪の切れ角が二点鎖線で示されている。ここで算出される内輪の切れ角α及び外輪の切れ角βによれば、車両の旋回中心が図14(A)に示したようにリアアクスルの延長線上にくる。
【0033】
なお、このときアッカーマン比に基づく切れ角が上記式(1)に基づく演算処理によって算出されるわけであるが、カーブの曲率,車速,アッカーマン比及び切れ角との関係を表す制御マップを予め作成しておき、この制御マップを参照して切れ角を取得してもよい。
【0034】
EPS−ECU20は、このとき算出された内外輪の切れ角を満たすように右ラック4R及び左ラック4Lの左右の移動量を補正する。つまり、ステアリングホイール1の操作による操舵入力等に基づく各ラックの移動量に対して補正値ΔLを加算したものを補正後の移動量とし、この補正後の移動量が得られるように右EPSモータ13R及び左EPSモータ13Lの制御量(つまり通電量)を補正する。これにより、図示しない車体に固定されたキングピン17Lを中心にナックルアーム18Lが回動して左前輪2Lの切れ角が変化され、キングピン17Rを中心にナックルアーム18Rが回動して右前輪2Rの切れ角が変化される。図示の例では、左ラック4Lの移動量が補正されて、アッカーマンジオメトリにしたがった切れ角が得られている。
【0035】
ところで、車両がカーブを走行する際には、その慣性力によって左右前輪の少なくとも一方を支持するサスペンション(「支持部」に該当する)が車輪に対して相対的に沈み込み、車輪の切れ角が変化してしまうバンプステアが発生する場合がある。このため、本実施の形態では、このようなバンプステアによる車輪の切れ角への影響を解消するための補正も同時に行うことにする。
【0036】
すなわちこの場合、上述した検出器16R,16Lのうちサスペンションが沈み込んだ側の検出器からステアリングリンクの角度の変化を表す信号が出力される。EPS−ECU20は、この出力信号を受けると、後述するように各EPSモータの制御量を補正する。
【0037】
次に、バンプステア発生時の操舵制御の補正方法について説明する。図4は、この操舵制御の補正方法を表す説明図である。(A)はバンプステアが発生していない状態を表し、(B)はバンプステア発生時の状態を表している。なお、この操舵制御の補正は左右前輪とも同様の方法で行われるため、ここでは右前輪のみが図示されている。ここでは、車両のカーブ走行時にサスペンションが沈み込んだときを例に説明する。
【0038】
同図(A)に示すように、車両が通常走行しておりバンプステアが発生していない状態では、右ステアリングリンク5Rがほぼ水平となっている。そして、カーブ走行によりサスペンションへの上下方向の負荷が大きくなったことにより、同図(B)に示すように、右前輪2Rを支持するアッパーアーム6R及びロアアーム7Rが沈み込んで右ステアリングリンク5Rの水平方向からの傾き角度θ1が発生している。検出器16Rは、このとき右ステアリングリンク5Rの角度の変化θ1をEPS−ECU20に向けて出力する。
【0039】
EPS−ECU20は、この出力信号を受けて、右ステアリングリンク5Rの横方向の長さ(ここでは、右ステアリングリンク5Rの水平面への上下方向の投影長さに相当する)の変化量ΔL1を、下記式(2)により算出する
ΔL1=L(1−COSθ1) ・・・(2)
L:右ステアリングリンク5Rの全長(ボールジョイント間の距離)
そして、EPS−ECU20は、ステアリングホイール1の操作による操舵入力等に基づく右ラック4Rの移動量に対してΔL1を加算したものを補正後の移動量とし、この補正後の移動量が得られるように右EPSモータ13Rの制御量(つまり通電量)を補正する。
【0040】
これにより、バンプステアによって右ステアリングリンク5Rが横方向に短くなったことの影響が解消され、右前輪2Rは、ステアリングホイール1の操作量に合致した切れ角となる。
【0041】
なお、左前輪2Lについても同様に、ステアリングホイール1の操作による操舵入力に基づく左ラック4Lの移動量に対して、上記式(2)から算出したΔL1を加算したものを補正後の移動量とし、この補正後の移動量が得られるように左EPSモータ13Lの制御量を補正する。
【0042】
図5は、上記操舵制御の補正による作用効果の例を表す概略的な平面図である。(A)は、バンプステアが発生していないときの状態を表している。(B)は、バンプステアが発生しているときの補正前の状態を表している。(C)は、補正後の状態を表している。なお、同図では、車両が左旋回している例が表されている。
【0043】
例えば、高速でのカーブ走行時の遠心力によってバンプステアが発生し、車両が同図(A)の状態から同図(B)の状態に遷移して右ステアリングリンク5Rの横方向の長さが短くなるような場合(車両がバンプアウトに設定されている場合)には、右前輪2Rの切れ角がバンプステアがないときよりも小さくなる。なお、同図には、ステアリングホイール1の操作量に合致した右前輪2Rの切れ角が二点鎖線にて示されている。
【0044】
しかし、上述のように右ステアリングリンク5Rの横方向の長さの変化量ΔL1が打ち消される方向に右ラック4Rを移動させる補正がされるため、同図(C)に示すように、前輪外側(右前輪2R)の切れ角が増やされる。これにより、ステアリングホイール1の操作量に合致した前輪の操舵角が得られる。その結果、ドライバが違和感をもつことなく、車両はスムーズにカーブを走行することができる。
【0045】
逆に、車両の設定がバンプインであり、カーブ走行時に少なくとも一方のステアリングリンクの横方向の長さが直進時よりも長くなるような場合には、左右前輪がつま先閉じ側に動作する。しかし、上述のようにそのステアリングリンクの横方向の長さの変化量ΔL1が打ち消される方向に補正されるため、ステアリングホイール1の操作量に合致した前輪の操舵角が得られる。
【0046】
以上に説明したように、本実施の形態の操舵装置によれば、左右車輪のそれぞれの切れ角が独立に制御されるため、その制御に際して特に車両構造の制約を受けることがない。そして、カーブの曲率と車速とに応じてアッカーマン比を満たすように左右車輪の切れ角がそれぞれ変化させられる。その結果、車両の走行時に車速が変化しても、アッカーマンジオメトリにしたがったカーブ走行を実現することができる。
【0047】
また、左右前輪を支持する車体3の上下動に伴うステアリングリンク5L,5Rの横方向の長さの変化量を打ち消す方向にEPSモータ13L,13Rの制御量が補正される。このため、バンプステアが発生したとしても、左右前輪の切れ角がその影響で変化してしまうのが防止又は抑制される。
【0048】
なお、本実施の形態では図4に示したように、右前輪2Rについて、バンプステアによる右ステアリングリンク5Rの角度の変化θ1を検出し、上記式(2)から右ステアリングリンク5Rの横方向の長さの変化量ΔLを算出する例を示したが、アッパーアーム6R又はロアアーム7Rの角度の変化θ2を検出し、これによりθ1を算出して上記式(2)から変化量ΔL1を算出するようにしてもよい。なお、θ1とθ2との間には下記式(3)の関係が成立する。
【0049】
L・SINθ1=L’・SINθ2 ・・・(3)
L’:アッパーアーム6R又はロアアーム7Rの全長(ボールジョイント間の距離)
あるいは、この変化量をショックアブソーバ8Rのストローク量を検出することによって算出してもよい。このストローク量は、ショックアブソーバ8Rのロッドの軸線方向の変位量を検出する図示しない検出器の出力値から得ることができる。
【0050】
すなわち、ロアアーム7Rの沈み込みによるショックアブソーバ8Rのストローク量を図示のようにlとすると、下記式(4)の関係が成立する。
k・L’・SINθ2=l ・・・(4)
k:比例定数
上記式(3)及び(4)からθ1を算出して上記式(2)から変化量ΔL1を算出することができる。
【0051】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、補正時のステアリングリンクの移動をEPSモータ(「第1アクチュエータ」に該当する)の駆動制御ではなく、各ラックを車体の前後方向に駆動するアクチュエータの駆動制御により実行する点で第1の実施の形態と異なる。しかし、ステアリング機構の他の部分の構成については第1の実施の形態と同様であるので、第1の実施の形態と同様の部分については同一の符号を付すなどしてその説明を省略する。
【0052】
図6は、第2の実施の形態に係る操舵装置の概略構成とその操舵制御の補正方法を表す平面図である。(A)は、車両が直進しているときの状態を表している。(B)は、車両がカーブを走行しているときの補正前の制御状態を表している。さらに、(C)は、車両がカーブを走行しているときの補正時の状態を表している。図7は、ラックを車体の前後方向に駆動するアクチュエータの概略構成例を表す説明図である。(A)は、ラック部周辺の構成とその動作を表す平面図である。(B)は、(A)に対応した正面図である。さらに、(C)は、アクチュエータの概略構成例を表す側面図である。ここでは、車両がカーブを左旋回しているときを例に説明する。
【0053】
図6(A)に示すように、右ラック4R及び左ラック4Lを車体の前後方向に駆動可能な駆動機構19R,19Lがそれぞれ設けられている。このため、右ラック4R及び左ラック4Lは、第1の実施の形態のような左右方向だけでなく、前後方向にも移動可能となっている。
【0054】
図7に示すように、駆動機構19Lは、ウォームギヤ51と、これを駆動するステッピングモータ等の電動モータ52(「第2アクチュエータ」に該当する)とから構成される。すなわち、左ラック4Lの下面の所定位置にはウォームホイール53が設けられ、これに対向する車体の位置にはウォーム54が設けられている。EPS−ECU20が電動モータ52を通電制御することによってウォーム54が自軸周りに回転し、ウォームホイール53とともに左ラック4Lが前後移動される。また、左ラック4Lのウォーム54と反対側には、ラックガイド部55が対向して設けられており、左ラック4Lの前後の動作量を規制するように構成されている。なお、右ラック4Rを駆動する駆動機構19Rの構成も駆動機構19Lの構成と同様であるので、その説明については省略する。
【0055】
そして、車両が図6(A)に示す直進状態から同図(B)に示すカーブ走行へ移行すると、そのときの操舵入力に基づいて、左ラック4L及び右ラック4Rが図中矢印で示すように右方に駆動制御される。
【0056】
このとき、EPS−ECU20は、ナビゲーション装置30から車両が現在走行中の位置情報と地図情報から特定されるカーブの曲率情報を取得するとともに、車速センサ40から車速情報を取得する。そして、そのカーブの曲率及び車速に基づいて車両の旋回中心を求め、その旋回中心がリアアクスルの延長線上にきて上記式(1)を満たすような内輪の切れ角α(この場合は左前輪2L)と外輪(この場合は右前輪2R)の切れ角βとを算出する。同図(B)の例では、上記式(1)のアッカーマンジオメトリにしたがう車輪の切れ角が二点鎖線で示されている。
【0057】
EPS−ECU20は、同図(C)に示すように、このとき算出された内外輪の切れ角を満たすように右ラック4R及び左ラック4Lを前後に移動制御する。つまり、各ラックをステアリングホイール1の操作による操舵入力等に基づく位置から補正量ΔL2の距離だけ前後に移動させるように、左右の電動モータ52の制御量(つまり通電量)を補正する。これにより、図示しない車体に固定されたキングピン17Lを中心にナックルアーム18Lが回動して左前輪2Lの切れ角が変化され、キングピン17Rを中心にナックルアーム18Rが回動して右前輪2Rの切れ角が変化される。
【0058】
以上に説明したように、本実施の形態においても、左右車輪のそれぞれの切れ角が独立に制御されるため、その制御に際して特に車両構造の制約を受けることがない。そして、カーブの曲率と車速とに応じてアッカーマン比を満たすように左右車輪の切れ角がそれぞれ変化させられる。その結果、車両の走行時に車速が変化しても、アッカーマンジオメトリにしたがったカーブ走行を実現することができる。
【0059】
なお、本実施の形態においては、ラックを前後移動するための駆動機構としてウォームギヤによる構成を示したが、それ以外の構成の駆動機構を採用することもできる。図8は、変形例に係る駆動機構の概略構成を表す説明図である。(A)は、その駆動機構の平面図であり、(B)は、その側部拡大図である。
【0060】
この変形例では、駆動機構として油圧アクチュエータ219Lを採用している。油圧アクチュエータ219Lのロッドの先端は左ラック4Lの側部に接続されている。なお、油圧アクチュエータそのものの内部構成については公知であるため、ここではその説明を省略する。
【0061】
また、左ラック4Lの下方にはラックガイド部55が対向して設けられており、左ラック4Lの前後の動作量を規制するように構成されている。なお、右ラック4Rを駆動する駆動機構の構成も左側の駆動機構の構成と同様であるので、その説明については省略する。
【0062】
EPS−ECU20は、油圧アクチュエータ219Lを駆動制御することにより、カーブの曲率と車速とに応じてアッカーマン比を満たすように左右車輪の切れ角をそれぞれ変化させる。
【0063】
また、図6(C)では、左ラック4Lと右ラック4Rの前後方向の移動量が同様であるように示されているが、両ラックの補正を同一にする必要はない。図9は、変形例に係る操舵制御の補正方法を表す平面図である。
【0064】
図示のように、駆動機構19Lと駆動機構19Rとを独立に制御し、左ラック4Lと右ラック4Rとを前後方向に独立に移動させるようにしてもよい。同図には、左ラック4Lの補正量が前方にΔL21であり、右ラック4Rの補正量が後方にΔL22である例が示されている。このように左ラック4Lと右ラック4Rとを独立に制御することで、最適なアッカーマン比を得ることができる。
【0065】
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、補正時のステアリングリンクの移動をEPSモータの駆動制御ではなく、ナックルアームとステアリングリンクとの接続部を前後方向に駆動するアクチュエータの駆動制御により実行する点で第1の実施の形態と異なる。しかし、ステアリング機構の他の部分の構成については第1の実施の形態と同様であるので、第1の実施の形態と同様の部分については同一の符号を付すなどしてその説明を省略する。
【0066】
図10は、第3の実施の形態に係る操舵装置の概略構成とその操舵制御の補正方法を表す平面図である。(A)は、車両が直進しているときの状態を表している。(B)は、車両がカーブを走行しているときの補正前の制御状態を表している。さらに、(C)は、車両がカーブを走行しているときの補正時の状態を表している。図11は、ナックルアームとステアリングリンクとの接続部を車体の前後方向に駆動するアクチュエータの概略構成例を表す説明図である。(A)は、ナックルアームの周辺の構成とその動作を表す平面図である。(B)は、(A)に示される駆動部の拡大図である。さらに、(C)は、(A)に示した構成の変形例を表す平面図である。ここでは、車両がカーブを左旋回しているときを例に説明する。
【0067】
図10(A)に示すように、ナックルアーム318Lには、左ステアリングリンク5Lとの接続位置を相対的に変化させて左前輪2Lを回動させる駆動機構319Lが設けられている。同様に、ナックルアーム318Rには、右ステアリングリンク5Rとの接続位置を相対的に変化させて右前輪2Rを回動させる駆動機構319Rが設けられている。
【0068】
図11(A)及び(B)に示すように、駆動機構319Lは、モータ61(「第2アクチュエータ」に該当する)と、モータ61の軸線方向に平行に進退駆動される接続リンク62とを備えている。すなわち、モータ61の回転軸の先端に設けられたギヤ63と、接続リンク62の一端に設けられた螺旋ギヤ64とが噛合しており、モータ61を正転又は逆転させることにより接続リンク62を進退させるように構成されている。接続リンク62の他端は、左ステアリングリンク5Lの一端に設けられた図示しないボールジョイントに対して回動可能に接続されている。
【0069】
このモータ61の回転制御はEPS−ECU20が行う。なお、駆動機構319Rも同様の構成を有するが、その説明については省略する。
そして、車両が図10(A)に示す直進状態から同図(B)に示すカーブ走行へ移行すると、そのときの操舵入力に基づいて、左ラック4L及び右ラック4Rが図中矢印で示すように右方に駆動制御される。
【0070】
このとき、EPS−ECU20は、ナビゲーション装置30から車両が現在走行中の位置情報と地図情報から特定されるカーブの曲率情報を取得するとともに、車速センサ40から車速情報を取得する。そして、そのカーブの曲率及び車速に基づいて車両の旋回中心を求め、その旋回中心がリアアクスルの延長線上にきて上記式(1)を満たすような内輪の切れ角α(この場合は左前輪2L)と外輪(この場合は右前輪2R)の切れ角βとを算出する。同図(B)の例では、上記式(1)のアッカーマンジオメトリにしたがう車輪の切れ角が二点鎖線で示されている。
【0071】
EPS−ECU20は、このとき算出された内外輪の切れ角を満たすようにナックルアーム18L及びナックルアーム18Rを回動制御する。つまり、駆動機構319L及び319Rのモータ61を回転制御して、左右前輪が現在の切れ角から二点鎖線で示される切れ角になるように補正する。このとき、場合によっては右ステアリングリンク5R及び左ステアリングリンク5Lも各ラック側のボールジョイントを中心に回動する。これにより、同図(C)に示すように、車輪がアッカーマンジオメトリにしたがった切れ角となる。
【0072】
以上に説明したように、本実施の形態においても、左右車輪のそれぞれの切れ角が独立に制御されるため、その制御に際して特に車両構造の制約を受けることがない。そして、カーブの曲率と車速とに応じてアッカーマン比を満たすように左右車輪の切れ角がそれぞれ変化させられる。その結果、車両の走行時に車速が変化しても、アッカーマンジオメトリにしたがったカーブ走行を実現することができる。
【0073】
なお、本実施の形態においては、ラックを前後移動するための駆動機構としてモータと螺旋ギヤによる構成を示したが、それ以外の構成の駆動機構を採用することもできる。
すなわち、図11(C)に示すように、駆動機構として油圧アクチュエータ329Lを採用してもよい。油圧アクチュエータ329Lのロッドの先端は、左ステアリングリンク5Lにつながる接続リンク62に接続されている。EPS−ECU20は、油圧アクチュエータ329Lを駆動制御することにより、カーブの曲率と車速とに応じてアッカーマン比を満たすように左右車輪の切れ角をそれぞれ変化させる。
【0074】
また、図10(C)では、左右の接続リンク62の移動量が同様である例が示されているが、両接続リンクの補正を同一にする必要はない。図12は、変形例に係る操舵制御の補正方法を表す平面図である。
【0075】
図示のように、駆動機構19Lと駆動機構19Rとを独立に制御し、左ラック4Lと右ラック4Rとを前後方向に独立に移動させるようにしてもよい。このように左右独立に制御することで、最適なアッカーマン比を得ることができる。
【0076】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はその特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の精神の範囲内での変化変形が可能であることはいうまでもない。
【0077】
例えば、上記各実施の形態では、ナビゲーション装置30による車両の位置情報と地図情報から走行中のカーブの曲率情報を取得する例を示したが、カーブの曲率を取得する手段はこれに限られない。例えば、ナビゲーション装置30がVICS受信機38を介して受信した情報からカーブの曲率を取得又は算出してもよい。あるいは、車両に搭載された画像認識装置などから走行中のカーブの曲率を取得するようにしてもよい。例えば、車載カメラによって走行路の車線を撮像し、その撮像された画像を解析してカーブの曲率を算出するようにしてもよい。なお、このような画像処理装置によるカーブの曲率の算出には公知の方法を用いることができるため、その具体的内容については説明を省略する。
【0078】
また、上記第1の実施の形態の変形例では、ステアリングリンクの横方向の長さの変化量を、ショックアブソーバのストローク量から算出した例を示したが、サスペンション等の支持部の他の部分の上下方向の変位量や、車体等に対する車輪の相対変位などを検出して算出するようにしてもよい。
【0079】
また、上記各実施の形態では、車両の標準仕様に基づく補正の例を示したが、例えばユーザの好みに応じてアッカーマン比やバンプステアに基づく補正量を可変としてもよい。例えば、ユーザが車両のカーブ走行においてより曲がる特性を得たい場合には、EPS−ECU20は、補正後の各ラックの位置を車輪の切れ角がより大きくなるように移動させるように補正してもよい。曲がらない特性を得たい場合には、その逆となる。このような場合、例えば車室内の所定の入力装置を介してユーザの好みを選択・入力できるようにすることが考えられる。
【0080】
また、上記各実施の形態では、左右前輪のアクチュエータとして右EPSモータ13R及び左EPSモータ13Lをそれぞれ設けた例を示したが、共通の1つの電動モータにより左右前輪を駆動するようにしてもよい。これは、左右前輪にそれぞれつながるギヤ部の減速比を変更するなどして実現することができる。
【0081】
さらに、上記各実施の形態では、左右前輪の切れ角を補正した例を示したが、左右後輪の切れ角も制御される場合には、同様に補正するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では述べなかったが、アッカーマン比を満たすための補正やバンプステア解消のための補正のために、各EPSモータ等のアクチュエータの制御を急峻に行うと、車両の安定性を損ない、またドライバに違和感を与えるおそれがある。特に、車速が高いほど車両に加わる慣性力も大きくなるため、その補正の影響も大きくなる。
【0082】
そこで、車速に応じて上記補正の速度を変化させるようにしてもよい。図13は、操舵制御の補正方法の変形例を表す説明図である。(A)は補正速度の変化前の補正の状態を表し、(B)は補正速度を変化させたときの補正の状態を表している。同図において、横軸は車速を表し、縦軸は補正速度を表している。
【0083】
すなわち、同図(A)に示すように、各EPSモータ,ステッピングモータ等の電動モータや油圧アクチュエータなどのアクチュエータの制御量の補正速度を一定にするのではなく、同図(B)に示すように、車速が高くなるにしたがって補正速度が低くなるようにする。これにより、高速走行時の補正によって車両の状態変化が急峻になるのを防止し、車両の安定性を保持することができる。ただし、車両が直進している場合には、補正速度によって車両の安定性が損なわれる可能性が低いため、車速に基づく補正速度の調整を行わないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第1の実施の形態に係る車両の操舵装置の概略構成を表す正面図である。
【図2】ナビゲーション装置の概略構成を表すブロック図である。
【図3】操舵装置の概略構成とその操舵制御の補正方法を表す平面図である。
【図4】操舵制御の補正方法を表す説明図である。
【図5】操舵制御の補正による作用効果の例を表す概略的な平面図である。
【図6】第2の実施の形態に係る操舵装置の概略構成とその操舵制御の補正方法を表す平面図である。
【図7】ラックを車体の前後方向に駆動するアクチュエータの概略構成例を表す説明図である。
【図8】変形例に係る駆動機構の概略構成を表す説明図である。
【図9】変形例に係る操舵制御の補正方法を表す平面図である。
【図10】第3の実施の形態に係る操舵装置の概略構成とその操舵制御の補正方法を表す平面図である。
【図11】ナックルアームとステアリングリンクとの接続部を車体の前後方向に駆動するアクチュエータの概略構成例を表す説明図である。
【図12】変形例に係る操舵制御の補正方法を表す平面図である。
【図13】操舵制御の補正方法の変形例を表す説明図である。
【図14】アッカーマン・ジャントー理論を表す説明図である。
【図15】ステアリング機構の車輪近傍の概略構成及びその動作を表す説明図である。
【符号の説明】
【0085】
1 ステアリングホイール
2R 右前輪
2L 左前輪
3 車体
4R 右ラック
4L 左ラック
5R 右ステアリングリンク
5L 左ステアリングリンク
6R,6L アッパーアーム
7R,7L ロアアーム
8R,8L ショックアブソーバ
11R 右ピニオン
11L 左ピニオン
13R 右EPSモータ
13L 左EPSモータ
15 ステアリングシャフト
16R,16L 検出器
17L,17R キングピン
18L,18R ナックルアーム
19R,19L 駆動機構
30 ナビゲーション装置
40 車速センサ
51 ウォームギヤ
52 電動モータ
61 モータ
62 接続リンク
64 螺旋ギヤ




 

 


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