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発明の名称 乗員保護制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−153118(P2007−153118A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2005−350860(P2005−350860)
出願日 平成17年12月5日(2005.12.5)
代理人 【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
発明者 杉江 哲
要約 課題
前突によりシートベルトプリテンショナを作動するよう判断されたときであっても、同時に側突の虞もある場合には適切に側突用エアバッグの展開判断を行なうことができる乗員保護制御装置を提供する。

解決手段
前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいてシートベルトプリテンショナを作動させるシートベルトプリテンショナ作動制御手段35と、側突検出用の側突衝撃センサからの信号に基づいて側突の判定を行う側突判定手段53を備えた乗員保護制御装置であって、側突判定手段53が側突判定を行う際に用いる側突衝撃センサからの信号に基づく側突判定演算値が、側突の判定を行う側突判定閾値より低い側突危険閾値以上である場合には、シートベルトプリテンショナ作動制御手段35によるシートベルトプリテンショナの作動を禁止するシートベルトプリテンショナ作動禁止手段36を備えている。
特許請求の範囲
【請求項1】
前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいてシートベルトプリテンショナを作動させるシートベルトプリテンショナ作動制御手段と、側突検出用の側突衝撃センサからの信号に基づいて側突の判定を行う側突判定手段と、を備えた乗員保護制御装置であって、
前記側突判定手段が側突判定を行う際に用いる前記側突衝撃センサからの信号に基づく側突判定演算値が、側突の判定を行う側突判定閾値より低い側突危険閾値以上である場合には、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段による前記シートベルトプリテンショナの作動を禁止するシートベルトプリテンショナ作動禁止手段を備えていることを特徴とする乗員保護制御装置。
【請求項2】
前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段は、前記シートベルトプリテンショナの作動を禁止しているときに、前記側突判定演算値が所定の閾値以下になった場合には、前記シートベルトプリテンショナの作動の禁止を解除することを特徴とする請求項1記載の乗員保護制御装置。
【請求項3】
前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段は、前記側突判定手段によって側突状態であると判定された場合には、前記シートベルトプリテンショナの作動の禁止を解除することを特徴とする請求項1記載の乗員保護制御装置。
【請求項4】
前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいて前突用エアバッグを作動させる前突用エアバッグ作動制御手段を備え、
前記前突用エアバッグ作動制御手段は、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段によって前記シートベルトプリテンショナの作動が禁止される場合には、前記前突用エアバッグの作動を判定するための前突用エアバッグ作動判定閾値を低い値に変更することを特徴とする請求項1記載の乗員保護制御装置。
【請求項5】
前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいて前突用エアバッグを作動させる前突用エアバッグ作動制御手段を備え、
前記前突用エアバッグ作動制御手段は、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段によって前記シートベルトプリテンショナの作動が禁止される場合には、前記前突用エアバッグの展開を始めてからの膨らむ速度である展開速度を速い速度に変更することを特徴とする請求項1記載の乗員保護制御装置。
【請求項6】
前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段は、前記側突衝撃センサが設けられていないピラーに設置されたシートベルトプリテンショナについては、作動の禁止を行わないことを特徴とする請求項1記載の乗員保護制御装置。
【請求項7】
前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段は、前記シートベルトプリテンショナが電動式のシートベルトプリテンショナである場合には、作動の禁止を行わないことを特徴とする請求項1記載の乗員保護制御装置。
【請求項8】
周辺監視センサからの信号に基づいてシートベルトプリテンショナを作動させるシートベルトプリテンショナ作動制御手段と、側突検出用の側突衝撃センサからの信号に基づいて側突の判定を行う側突判定手段と、を備えた乗員保護制御装置であって、
前記側突判定手段が側突判定を行う際に用いる前記側突衝撃センサからの信号に基づく側突判定演算値が、側突の判定を行う側突判定閾値より低い側突危険閾値以上である場合には、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段による前記シートベルトプリテンショナの作動を禁止するシートベルトプリテンショナ作動禁止手段を備えていることを特徴とする乗員保護制御装置。
【請求項9】
前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいてシートベルトプリテンショナを作動させるシートベルトプリテンショナ作動制御手段と、側突検出用の側突衝撃センサからの信号に基づいて側突の判定を行う側突判定手段と、を備えた乗員保護制御装置であって、
前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段は、前記側突判定手段が側突判定を行う際に用いる前記側突衝撃センサからの信号に基づく側突判定演算値が、側突の判定を行う側突判定閾値より低い側突危険閾値以上である場合には、前記シートベルトプリテンショナの作動を判定するためのシートベルトプリテンショナ作動判定閾値を高い値に変更することを特徴とする乗員保護制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいてシートベルトプリテンショナを作動させるシートベルトプリテンショナ作動制御手段と、側突検出用の側突衝撃センサからの信号に基づいて側突の判定を行う側突判定手段と、を備えた乗員保護制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、車体のフロアトンネルに配設され、その部位に加わる衝撃に応じた信号を出力する前突衝撃センサとしてのフロアセンサを備え、フロアセンサからの入力信号に基づき算出された前方衝突(以下、「前突」と記す。)判定演算値が所定の閾値を超えたときに前突用エアバッグを展開させるエアバッグ装置の起動制御装置が知られている。
【0003】
前記起動制御装置は、さらに車体前部に配設され、その部位に加わる衝撃に応じた信号を出力する前突衝撃センサとしての左右一対のサテライトセンサを備えており、サテライトセンサの出力信号に基づいて検出された車体前部に加わる衝撃に基づいて前記閾値を可変に切り替えるように構成され、車体前部に加わる衝撃が大きいほど前突用エアバッグが展開し易くなるように構成されている。
【0004】
さらに、前突用エアバッグと協働して乗員を保護すべく、前突エアバッグと同時または前突用エアバッグに先駆けて作動するインフレータ式のシートベルトプリテンショナを設けるとともに、側方衝突(以下、「側突」と記す。)に備えて側突用エアバッグが備えられている。前記側突用エアバッグは、車体のフロアトンネルに配設された側突用フロアセンサと各ピラー部に配設されたピラーセンサでなる側突衝撃センサからの入力信号に基づき算出された側突判定演算値が所定の閾値を超えたときに起動制御装置により展開制御されるように構成されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−59805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来技術によれば、何らかの衝突によって前突判定演算値がシートベルトプリテンショナ作動閾値を超えてインフレータ式のシートベルトプリテンショナが作動すると、シートベルトプリテンショナ用のインフレータが設置されているピラー部に作動による過大な衝撃が与えられ、ピラー部に設置されている側突衝撃センサの信頼性が低下するため、側突衝撃センサの出力に基づいて作動制御される側突用エアバッグの誤作動を回避すべく、前突時にシートベルトプリテンショナが作動した場合には側突用エアバッグの展開制御が禁止されていた。そのため、側突を含む複合的な衝突事故が発生したときに適切に側突用エアバッグを作動させるというさらなる改良の余地があった。
【0007】
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、前突によりシートベルトプリテンショナを作動するよう判断されたときであっても、同時に側突の虞もある場合には適切に側突用エアバッグの展開判断を行なうことができる乗員保護制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明による乗員保護制御装置の第一の特徴構成は、前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいてシートベルトプリテンショナを作動させるシートベルトプリテンショナ作動制御手段と、側突検出用の側突衝撃センサからの信号に基づいて側突の判定を行う側突判定手段と、を備えた乗員保護制御装置であって、前記側突判定手段が側突判定を行う際に用いる前記側突衝撃センサからの信号に基づく側突判定演算値が、側突の判定を行う側突判定閾値より低い側突危険閾値以上である場合には、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段による前記シートベルトプリテンショナの作動を禁止するシートベルトプリテンショナ作動禁止手段を備えていることを特徴とする点にある。
【0009】
上述の構成によれば、前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいてシートベルトプリテンショナ作動制御手段がシートベルトプリテンショナを作動制御するように判断したときであっても、側突判定演算値が側突判定閾値より低い側突危険閾値以上のとき、つまり、側突事故の危険性が予測されるときには、シートベルトプリテンショナ作動禁止手段によりシートベルトプリテンショナの作動が禁止されるので、前記シートベルトプリテンショナの作動による側突衝撃センサへの過大な衝撃の付与を防止することができる。このため、側突衝撃センサからの信号の信頼性が確保され、側突判定手段により適切に側突の判定が行なわれるようになるのである。
【0010】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段は、前記シートベルトプリテンショナの作動を禁止しているときに、前記側突判定演算値が所定の閾値以下になった場合には、前記シートベルトプリテンショナの作動の禁止を解除することを特徴とする点にある。
【0011】
上述の構成によれば、前記側突判定演算値が所定の閾値以下になったときに側突事故の危険性が低下したと判断できるので、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段による前記シートベルトプリテンショナの作動の禁止が解除され、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段は、前記前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいて前記シートベルトプリテンショナを作動させることができるようになるのである。
【0012】
同第三の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段は、前記側突判定手段によって側突状態であると判定された場合には、前記シートベルトプリテンショナの作動の禁止を解除することを特徴とする点にある。
【0013】
上述の構成によれば、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段により前記シートベルトプリテンショナの作動が禁止された状態、つまり、側突事故の危険性が高いと予測される状態から、前記側突判定手段によって側突状態であると判定されたときには、最早作動を禁止する必要性が無いので、前記シートベルトプリテンショナの作動の禁止が解除され、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段は、前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいて前記シートベルトプリテンショナを作動させ、適切に乗員の安全確保を行なうことができるようになる。
【0014】
同第四の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいて前突用エアバッグを作動させる前突用エアバッグ作動制御手段を備え、前記前突用エアバッグ作動制御手段は、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段によって前記シートベルトプリテンショナの作動が禁止される場合には、前記前突用エアバッグの作動を判定するための前突用エアバッグ作動判定閾値を低い値に変更することを特徴とする点にある。
【0015】
前突事故により前記シートベルトプリテンショナを作動させる必要があるときであっても、側突事故の危険性が予測される場合には側突を適切に検出するために前記シートベルトプリテンショナの作動が禁止される。そのため、その際の乗員の安全確保を図る必要がある。上述の構成によれば、そのような場合であっても、前突用エアバッグ作動判定閾値が低い値に変更されているので、前突用エアバッグが通常より早期に作動されるようになり乗員を適切に保護することが可能となるのである。
【0016】
同第五の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいて前突用エアバッグを作動させる前突用エアバッグ作動制御手段を備え、前記前突用エアバッグ作動制御手段は、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段によって前記シートベルトプリテンショナの作動が禁止される場合には、前記前突用エアバッグの展開を始めてからの膨らむ速度である展開速度を速い速度に変更することを特徴とする点にある。
【0017】
上述と同様に、前突事故により前記シートベルトプリテンショナを作動させる必要があるときであっても、側突事故の危険性が予測される場合には側突を適切に検出するために前記シートベルトプリテンショナの作動が禁止される。そのため、その際の乗員の安全確保を図る必要がある。上述の構成によれば、そのような場合であっても、前突用エアバッグ作動制御手段が前記前突用エアバッグの展開速度を速い速度に変更して、前記前突用エアバッグを通常より迅速に膨張させることができるので、乗員の姿勢を早期に正して適切に保護することが可能となるのである。
【0018】
同第六の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段は、前記側突衝撃センサが設けられていないピラーに設置されたシートベルトプリテンショナについては、作動の禁止を行わないことを特徴とする点にある。
【0019】
前記側突衝撃センサが設けられていないピラーに設置されたシートベルトプリテンショナは、その作動により側突衝撃センサからの信号に基づいて側突の判定を行う前記側突判定手段による判定の信頼性を低下させる可能性が低い。つまり、上述の構成とすることにより、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段が必要以上にシートベルトプリテンショナの作動を禁止することを防止することができ、前記シートベルトプリテンショナにより乗員を確実に保護することが可能となるのである。
【0020】
同第七の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段は、前記シートベルトプリテンショナが電動式のシートベルトプリテンショナである場合には、作動の禁止を行わないことを特徴とする点にある。
【0021】
電動式のシートベルトプリテンショナは、インフレータ式のシートベルトプリテンショナと比較し、動作速度は遅いものの、その作動により発生する衝撃は小さく、側突衝撃センサからの信号に基づいて側突の判定を行う前記側突判定手段による判定の信頼性を低下させる可能性が低い。つまり、上述の構成とすることにより、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段が必要以上にシートベルトプリテンショナの作動を禁止することを防止することができるとともに、少なくとも前記電動式のシートベルトプリテンショナにより乗員を確実に保護することが可能となるのである。
【0022】
同第八の特徴構成は、周辺監視センサからの信号に基づいてシートベルトプリテンショナを作動させるシートベルトプリテンショナ作動制御手段と、側突検出用の側突衝撃センサからの信号に基づいて側突の判定を行う側突判定手段と、を備えた乗員保護制御装置であって、前記側突判定手段が側突判定を行う際に用いる前記側突衝撃センサからの信号に基づく側突判定演算値が、側突の判定を行う側突判定閾値より低い側突危険閾値以上である場合には、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段による前記シートベルトプリテンショナの作動を禁止するシートベルトプリテンショナ作動禁止手段を備えていることを特徴とする点にある。
【0023】
上述の構成によれば、側突判定演算値が側突判定閾値より低い側突危険閾値以上のときに、シートベルトプリテンショナ作動禁止手段がシートベルトプリテンショナ作動制御手段による周辺監視センサからの信号に基づいたシートベルトプリテンショナの作動を禁止するため、前記シートベルトプリテンショナの作動による過大な衝撃の発生を防止することができるのである。このため、側突衝撃センサからの信号に基づいて側突の判定を行う側突判定手段による判定の信頼性が著しく低下する可能性のあるとき、つまり、前記側突判定演算値が前記側突判定閾値より低い側突危険閾値以上のときであっても、前記側突判定手段による判定の信頼性を高く維持することができるのである。
【0024】
同第九の特徴構成は、前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいてシートベルトプリテンショナを作動させるシートベルトプリテンショナ作動制御手段と、側突検出用の側突衝撃センサからの信号に基づいて側突の判定を行う側突判定手段と、を備えた乗員保護制御装置であって、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段は、前記側突判定手段が側突判定を行う際に用いる前記側突衝撃センサからの信号に基づく側突判定演算値が、側突の判定を行う側突判定閾値より低い側突危険閾値以上である場合には、前記シートベルトプリテンショナの作動を判定するためのシートベルトプリテンショナ作動判定閾値を高い値に変更することを特徴とする点にある。
【0025】
上述の構成によれば、前突検出用の前突衝撃センサからの信号に基づいてシートベルトプリテンショナ作動制御手段がシートベルトプリテンショナを作動制御するか否かを判断するときに、側突判定演算値が側突判定閾値より低い側突危険閾値以上のとき、つまり、側突事故の危険性が予測されるときには、前記シートベルトプリテンショナの作動を判定するためのシートベルトプリテンショナ作動判定閾値を高い値に変更することにより、シートベルトプリテンショナの作動タイミングを遅延させることができる。従って、その遅延の間に側突であるか否かを正確に判断することができるようになる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明した通り、本発明によれば、前突によりシートベルトプリテンショナを作動するよう判断されたときであっても、同時に側突の虞もある場合には適切に側突用エアバッグの展開判断を行なうことができる乗員保護制御装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明による乗員保護制御装置を車両の乗員保護システムに適用した場合の実施形態について説明する。乗員保護システムは、車両に搭載され、前方衝突による衝撃を検知する複数の前突衝撃センサと、側方衝突による衝撃を検出する複数の側突衝撃センサと、前記前突衝撃センサからの出力信号に基づいて作動する前突用エアバッグと、前記側突衝撃センサからの出力信号に基づいて作動する側突用エアバッグと、前記前突衝撃センサまたは前記側突衝撃センサからの出力信号に基づいて作動するシートベルトプリテンショナと、前記各衝撃センサ、前記各エアバッグ及び前記シートベルトプリテンショナ等を制御する電子制御装置(以下、「ECU」と記す。)を備えて構成されている。
【0028】
図2に示すように、前記前突衝撃センサは、複数の加速度センサからなり、車両中央部のフロアトンネル近傍に配設され、車両中央部付近における車両前方からの衝撃による車両の減速度(車両の後方向に生じる加速度)の大きさに応じた信号を出力するフロアセンサ10と、車両の右側前方に配設され、車両の右側オフセット衝突による減速度の大きさに応じた信号を出力する右側前方サテライトセンサ11と、車両の左側前方に配設され、車両の左側オフセット衝突による減速度の大きさに応じた信号を出力する左側前方サテライトセンサ12により構成されている。
【0029】
前記側突衝撃センサは、複数の加速度センサからなり、各座席の窓側側面(ピラー部)に配設され、各座席の窓側側面付近における車両側方からの衝撃による減速度の大きさに応じた信号をそれぞれ出力するピラーセンサ16、17、18、19により構成されている。
【0030】
前記前突用エアバッグは、運転席側前部に配設された運転席側前突用エアバッグ13と、助手席側前部に配設された助手席側前突用エアバッグ14とからなり、前記フロアセンサ10、前記右側前方サテライトセンサ11、及び、前記左側前方サテライトセンサ12により検知された出力信号に基づいて同時に作動するように構成されている。
【0031】
前記側突用エアバッグは、前記ピラーセンサ16、17、18、19のそれぞれに対応した側突用エアバッグ20、21、22、23が各座席の窓側側面に配設され、前記側突用エアバッグ20、21、22、23は、それぞれに対応した前記ピラーセンサ16、17、18、19からの出力信号に基づいて個別に作動するように構成されている。
【0032】
前記前突用エアバッグ13、14、及び、前記側突用エアバッグ20、21、22、23は、何れも、図3に示すように、点火剤42とガス発生剤43とが封入されたインフレータ40と、前記ガス発生剤43から発生した窒素ガスを封入するバッグ41からなり、作動信号Sdに基づいて前記点火剤42に点火し、前記ガス発生剤43を燃焼させることで窒素ガスを発生させ、前記発生した窒素ガスにより前記バッグ41を展開させた後、前記バッグ41を萎ませるように構成されている。また、前記バッグ41の展開は、例えば、前記ガス発生剤43を所定の時間間隔をおいて複数回に分けて燃焼させることで、前記バッグ41の急激すぎる展開を抑制する多段式エアバッグで構成されている。
【0033】
前記シートベルトプリテンショナは、各座席にインフレータ式のシートベルトプリテンショナ24、25、26、27が前記ピラーセンサ16、17、18、19のそれぞれに対応するように配設され、前記前突衝撃センサ、及び、それぞれに対応した前記側突衝撃センサ(ピラーセンサ)16、17、18、19からの出力信号に基づいて個別に作動するように構成されている。
【0034】
前記ECU01は、各種制御プログラムを実行するCPU02と、制御データを一時的に記憶するRAM03と、前記制御プログラムや判定用データ等を格納したROM04と、前記各種センサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器(不図示)と、前記各種センサからのアナログ信号を入力するための複数の入力ポート(不図示)と、各種アクチェータとしての前記各エアバッグや前記各シートベルトプリテンショナを制御するデジタル信号を出力するための複数の出力ポート(不図示)等を備えて構成されている。
【0035】
本発明の乗員保護制御装置は、前記前突衝撃センサ10、11、12、及び、前記側突衝撃センサ16、17、18、19からの入力信号に基づいて乗員保護装置としての前記前突用エアバッグ13、14、前記側突用エアバッグ20、21、22、23、及び、シートベルトプリテンショナ24、25、26、27の何れかを起動制御するもので、前記ECU01により実現されている。
【0036】
前記乗員保護制御装置30は、図1に示すように、前記各種センサからの入力信号に基づいて車両状態の判定を行う判定手段50と、前記判定手段50による判定結果に基づいて前記乗員保護装置を作動させる乗員保護装置作動制御手段51を備えて構成される。
【0037】
前記乗員保護装置作動制御手段51は、前記前突用エアバッグ13、14を作動させる前突用エアバッグ作動制御手段33と、前記側突用エアバッグ20、21、22、23を作動させる側突用エアバッグ作動制御手段34と、前記シートベルトプリテンショナ24、25、26、27を作動させるシートベルトプリテンショナ作動制御手段35と、後述する所定の条件のときに前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35による前記シートベルトプリテンショナ24、25、26、27の作動を禁止するシートベルトプリテンショナ作動禁止手段36を備えて構成されている。
【0038】
前記判定手段50は、前記各種センサからの入力信号に基づいて後述する前突判定演算値PF及び側突判定演算値PSをそれぞれ算出する判定演算値算出手段31と、所定の閾値を設定する閾値設定手段32と、車両の側突判定を行う側突判定手段53を備えて構成されている。
【0039】
ここで、前記シートベルトプリテンショナ24、25、26、27、前記ピラーセンサ16、17、18、19、及び、前記側突用エアバッグ20、21、22、23からなる4組の構成要素に対してそれぞれ同一の制御が行なわれるため、以下、特定の構成要素、例えば、前記シートベルトプリテンショナ24、前記ピラーセンサ16、及び、前記側突用エアバッグ20に対する制御のみについて説明するが、他の構成要素も同様に制御されるものである。
【0040】
図4に示すように、前記フロアセンサ10、前記右側前方サテライトセンサ11、前記左側前方サテライトセンサ12、及び、前記ピラーセンサ16、17、18、19のそれぞれは、例えば、衝突事故が発生すると、それぞれに対応した方向における減速度Gを出力する。
【0041】
前記判定演算値算出手段31は、前記フロアセンサ10から入力された減速度Gaに所定の演算を施した演算値f(Ga)を前突判定演算値PFとして算出するように構成されている。つまり、前記演算値f(Ga)は、前記減速度Gaを時間について1回積分して得られる速度、前記減速度Gaを時間について2回積分して得られる移動距離、前記減速度Gaを一定時間積分して得られる移動平均、または、前記減速度Gaの特定の周波数強度等の何れかが算出されるように構成されている。尚、前記演算値f(Ga)は、減速度Gaそのもの、つまり、測定値Gaそのものとして算出される構成としてもよい。
【0042】
同様に、前記判定演算値算出手段31は、前記ピラーセンサ16から入力された減速度Gbに所定の演算を施した演算値f(Gb)を側突判定演算値PSとして算出するように構成されている。つまり、前記演算値f(Gb)は、前記減速度Gbを時間について1回積分して得られる速度、前記減速度Gbを時間について2回積分して得られる移動距離、前記減速度Gbを一定時間積分して得られる移動平均、または、前記減速度Gbの特定の周波数強度等の何れかが算出されるように構成されている。尚、前記演算値f(Gb)は、減速度Gbそのもの、つまり、測定値Gbそのものとして算出される構成としてもよい。
【0043】
ここで、事故発生時の前記演算値f(Ga)と速度Vnaとの関係を一定時間プロットすると、例えば、図5に示すような特性を得ることができ、予め様々な状況下で発生する事故に対して得られたこのような特性に基づいて、前記乗員保護装置を誤作動させることなく適切に機能させ得る閾値が求められる。そこで、前記閾値設定手段32は、前記前突用エアバッグ作動制御手段33、前記側突用エアバッグ作動制御手段34、及び、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35が、前記前突用エアバッグ13、14、前記側突用エアバック20、及び、前記シートベルトプリテンショナ24を作動させるためのそれぞれの判定閾値をこのような特性に基づいて設定するように構成されている。
【0044】
また、前記前突用エアバッグ作動制御手段33及び前突による前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35における判定閾値は、前記右側前方サテライトセンサ11及び前記左側前方サテライトセンサ12からの出力信号に基づいて検出された車体前部に加わる衝撃が大きいほど前突用エアバッグが展開し易くなるように可変に設定するように構成されている。
【0045】
以下の説明では、前記フロアセンサ10に基づく前突判定演算値PFとして減速度Gaの一定時間の積分値、前記ピラーセンサ16に基づく側突判定演算値PSとして減速度Gbの一定時間の積分値が求められ、それらに対する判定閾値が前記閾値設定手段32により設定される場合を説明するが、他の演算値を採用する場合であっても同様であることはいうまでもない。
【0046】
図6に示すように、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35は前記前突判定演算値PFが前突によるシートベルトプリテンショナ作動用の判定閾値Brefを超えると前記シートベルトプリテンショナ24のインフレータを点火して作動させ、さらに前記前突用エアバッグ作動制御手段33は前記前突判定演算値PFが前記判定閾値Brefより高く設定されている前突用エアバッグ作動用の判定閾値Frefを超えると前突用エアバッグ13、14を作動させるように構成され、以って前突による乗員の姿勢変化をシートベルトで規制した後にエアバッグにより保護することができるように制御する。尚、図6に示す横軸は時間軸である。
【0047】
しかし、前記前突判定演算値PFが前突によるシートベルトプリテンショナ作動用の判定閾値Brefに到ると同時に、前記側突判定演算値PSが側突用エアバッグ作動用の判定閾値Srefに近づきつつあるとき、つまり、同時に側突事故の危険性が予測されるときに、前記シートベルトプリテンショナ24のインフレータが点火されると、その衝撃が前記ピラーセンサ16に加わり正確な値が検出されず、前記側突用エアバッグ20が誤動作する虞がある。
【0048】
そこで、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段36は、前記側突判定手段53により側突判定が行なわれる際に用いられる前記ピラーセンサセンサ16からの信号に基づく側突判定演算値PSが側突判定閾値Srefより低い側突危険閾値Cref以上である場合には、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35による前記シートベルトプリテンショナ24の作動を禁止するように構成されている。尚、前記側突危険閾値Crefは、前記側突判定閾値Srefより低く、前記ピラーセンサセンサ16に加わる衝撃により前記側突判定演算値PSが側突判定閾値Srefを超える虞のある値よりも低い任意の値に設定されている。
【0049】
尚、側突によるシートベルトプリテンショナ作動のための判定閾値は、前記側突判定閾値Srefと等しい値に設定され、前記側突用エアバッグ作動制御手段34が前記側突用エアバック20を作動させると同時に、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35が前記シートベルトプリテンショナ24を作動させるように構成されている。
【0050】
前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段36は、前記シートベルトプリテンショナの作動を禁止しているときに、前記側突判定演算値PSが前記側突危険閾値Cref以下になった場合には、側突の危険性が無くなったと判断して前記シートベルトプリテンショナの作動の禁止を解除するように構成されている。従って、このとき、前記前突判定演算値PFが前突によるシートベルトプリテンショナ作動用の判定閾値Bref以上であれば前記シートベルトプリテンショナ24が作動する。
【0051】
さらに、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段36は、前記側突判定手段53によって側突状態であると判定された場合、つまり、側突判定演算値PSが側突判定閾値Srefを超えた場合には、前記シートベルトプリテンショナ24の作動の禁止を解除するように構成されている。このときには、前記側突用エアバッグ20と前記シートベルトプリテンショナ24が同時に作動するようになる。
【0052】
前記前突用エアバッグ作動制御手段33は、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段36によって前記シートベルトプリテンショナ24の作動が禁止される場合には、図8に示すように、前記閾値設定手段32により前記前突用エアバッグ13、14の作動を判定するための前突用エアバッグ作動判定閾値Frefを低い値に変更させるように構成してもよく、これにより前突用エアバッグが通常より早期に作動されるようになり乗員を適切に保護することが可能となる。
【0053】
前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35は、前記側突判定手段53が側突判定を行う際に用いる前記ピラーセンサ16からの信号に基づく側突判定演算値PSが、側突の判定を行う側突判定閾値Srefより低い側突危険閾値Cref以上である場合には、図9に示すように、前突によるシートベルトプリテンショナの作動を判定するためのシートベルトプリテンショナ作動判定閾値Brefを高い値に変更することにより実質的にシートベルトプリテンショナの作動時期を遅延させるように構成してもよい。
【0054】
また、前記前突用エアバッグ作動制御手段33は、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段36によって前記シートベルトプリテンショナ24の作動が禁止される場合には、多段式に構成された複数の前記ガス発生剤43の点火間隔を短縮して、前記前突用エアバッグ13,14の展開を始めてからの膨らむ速度である展開速度を速い速度に変更するように構成してもよく、これにより、乗員を適切に保護することが可能となる。
【0055】
尚、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段36は、前記ピラーセンサ16が設けられていないピラーに設置されたシートベルトプリテンショナについては、作動の禁止を行う必要が無いことは言うまでも無い。
【0056】
以下、乗員保護システムの動作について図7のフローチャートに基づいて説明する。前記乗員保護システムが起動されると、前記フロアセンサ10、前記右側前方サテライトセンサ11、前記左側前方サテライトセンサ12、及び、前記ピラーセンサ16は、それぞれ検知信号の出力を開始する(SA1)。
【0057】
前記判定演算値算出手段31は、前記フロアセンサ10から入力された減速度Gaに基づいて前突判定演算値PFを算出するとともに(SA2)、前記ピラーセンサ16から入力された減速度Gbに基づいて側突判定演算値PSを算出する(SA3)。
【0058】
前記閾値設定手段32は、前記前突用エアバッグ作動制御手段33、前記側突用エアバッグ作動制御手段34、及び、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35が、それぞれ前記前突用エアバッグ13、14、前記側突用エアバック20、及び、前記シートベルトプリテンショナ24を作動させるために必要な上述した判定閾値Fref,Sref,Bref、Crefを設定する(SA4,SA5)。
【0059】
このとき、前記閾値設定手段32は、予め準備されている複数の判定閾値から、前記右側前方サテライトセンサ11または前記左側前方サテライトセンサ12から入力された減速度に基づいて適切な判定閾値Fref及びBrefが設定される。
【0060】
前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段36は、前記側突判定演算値PSが前記側突危険閾値Crefを超えていると判断すると(SA6)、前突によるシートベルトプリテンショナの作動を禁止する禁止フラグをセットし(SA7)、前記側突判定演算値PSが前記側突危険閾値Crefを超えていないと判断すると(SA6)、前突によるシートベルトプリテンショナの作動を禁止する禁止フラグをリセットする(SA8)。
【0061】
前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35は、前突判定閾値PFがシートベルトプリテンショナ作動判定閾値Brefを超えていると判断したときに(SA9)、前記禁止フラグがセットされていなければ(SA10)、シートベルトプリテンショナ24を作動させる(SA11)。次に、前記前突用エアバッグ作動制御手段33は、前突判定閾値PFが前突用エアバッグ作動の判定閾値Frefを超えたと判断すると(SA12)、前突用の多段式エアバッグを通常の速度で展開するように作動させる(SA13)。
【0062】
ステップSA11で、前記禁止フラグがセットされていると(SA10)、シートベルトプリテンショナ24の作動を禁止する。このとき前記前突用エアバッグ作動制御手段33は、前突判定閾値PFが前突用エアバッグ作動の判定閾値Frefを超えたと判断すると(SA14)、シートベルトプリテンショナ24を作動させるとともに(SA15)、前突用の多段式エアバッグを高速展開するように作動させる(SA16)。
【0063】
ステップSA13またはステップSA16に続き、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35は、側突判定値PSが側突判定閾値Srefを超えていると判断すると(SA17)、シートベルトプリテンショナ24を作動させるとともに(SA18)、前記側突用エアバッグ作動制御手段34は、側突用エアバッグ20を作動させる(SA19)。尚、ステップSA15、SA18に示すシートベルトプリテンショナ24の作動制御は、ほぼ同時に夫々のエアバッグが作動制御されるため、特に作動制御されなくともよい。
【0064】
上述の乗員保護システムの動作について、図10及び図11に示すタイムチャートに基づいてさらに説明する。図10に示すように、前記側突判定演算値PSが前記側突危険閾値Crefを超えて前突によるシートベルトプリテンショナの作動を禁止する禁止フラグがセットされた後に、前記側突判定演算値PSが側突判定閾値Srefを超えると、禁止フラグをリセットするとともに側突エアバッグを作動させて側突による乗員保護を図り、その後、前記前突判定演算値PFがシートベルトプリテンショナ作動用の判定閾値Brefを超えるとシートベルトプリテンショナを作動させ、さらに、前記前突判定演算値PFが前突判定閾値Frefを超えると前突エアバッグを作動させて前突による乗員保護を図るように構成されている。
【0065】
図11に示すように、前記側突判定演算値PSが前記側突危険閾値Crefを超えて前突によるシートベルトプリテンショナの作動を禁止する禁止フラグがセットされた後に、前記前突判定演算値PFがシートベルトプリテンショナ作動用の判定閾値Brefを超えた場合には、シートベルトプリテンショナの作動が禁止されるが、その後、前記側突判定演算値PSが前記側突危険閾値Crefを下回ると前記禁止フラグがリセットされる。このときに前記前突判定演算値PFがシートベルトプリテンショナ作動用の判定閾値Brefを超えた状態が維持されているときにはシートベルトプリテンショナを作動させて前突による乗員保護を図り、さらに、前記前突判定演算値PFが前突判定閾値Frefを超えると前突エアバッグを作動させて前突による乗員保護を図るように構成されている。尚、禁止フラグがリセットされた後に作動されるシートベルトプリテンショナの作動衝撃により前記側突演算値PSが変動するが、このときは側突エアバッグ作動の判定閾値Srefに到るようなことが無いように前記側突危険閾値Crefが設定されているのである。
【0066】
以下、別実施形態を説明する。前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35により前記シートベルトプリテンショナ24の作動を禁止する場合に、前記側突判定演算値PSが前記側突危険閾値Crefから前記側突用判定閾値Srefまでの間となったときに、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段36が前記前突判定演算値PFの値に基づいて前記判定閾値Berfよりも小さな値となる禁止演算値PFtを算出し、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35が、前記禁止演算値PFtに基づいて前記シートベルトプリテンショナ24の作動を判断するように構成してもよい。
【0067】
更に別の例として、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35による前記シートベルトプリテンショナ24への作動信号を出力する回路にスイッチを設け、前記側突判定演算値PSが前記側突危険閾値Drefから前記側突用判定閾値Srefまでの間となっているときに、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段36が前記スイッチをオフ状態にすることで、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35による前記シートベルトプリテンショナ24の作動を禁止する構成としてもよい。
【0068】
上述の実施形態では、側突によるシートベルとプリテンショナ及び側突用エアバッグの作動を判断する側突用判定閾値Srefが同じ値を採る場合を説明したが、側突用エアバッグの作動を判断する側突用判定閾値を高く設定するものであってもよい。
【0069】
上述した実施形態では、前突判定演算値PF及び側突判定演算値PSとして一定時間の積分値f(Ga)を算出するものを説明したが、前突判定演算値PFまたは側突判定演算値PSとして、前記減速度Gaを時間について1回積分して得られる速度、前記減速度Gaを時間について2回積分して得られる移動距離、前記減速度Gaを一定時間積分して得られる移動平均、または、前記減速度Gaの特定の周波数強度等の何れかの複数の値を算出し、夫々の組合せに対して上述の判定閾値がマップデータとして設定するように構成されるものであってもよい。
【0070】
例えば、減速度を一定時間積分して得られる移動平均、及び、一回積分して得られる速度の二次元データを判定演算値として導出し、それらの演算値に対する判定閾値を二次元マップ上に設定するものであってもよい。
【0071】
前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段によりシートベルトプリテンショナの作動が禁止される場合であっても、前突による衝撃が大きいと判断される場合にはシートベルトプリテンショナの作動を許容するように構成してもよい。
【0072】
具体的には、前記側突判定演算値PSに対する前記前突判定演算値PFの比が所定の対比閾値より大であれば前突による衝撃が大きいと判断して、シートベルトプリテンショナの作動を許容し、前記対比閾値より小であれば前突による衝撃が小さいと判断してシートベルトプリテンショナの作動を禁止するように構成できる。
【0073】
図12に示すように、前突時の判定演算値として横軸に車両前後方向の速度(加速度の積分値)、縦軸に車両前後方向の加速度を取って、高速衝突時と低速衝突時の特性を示すと、低速衝突時に比べて高速衝突時の方が判定演算値の変化が大となる傾向が見られる。そこで、フロアセンサとサテライトセンサの双方の判定演算値に基づいてエアバッグの展開を判断する低位閾値(Loマップ)と、フロントセンサのみの判定演算値に基づいて判断する高位閾値(Hiマップ)を設定し、前記前突判定演算値が低位閾値(Loマップ)から高位閾値(Hiマップ)に到る時間(t2−t1)の方が、低速衝突時に前突判定演算値が低位閾値(Loマップ)から高位閾値(Hiマップ)に到る時間(t4−t3)より短くなるときに高速衝突であると判断することができる。
【0074】
このような時間(t2−t1)または(t4−t3)が所定時間より短いと判断された時点taから以降は、側突判定閾値PSが側突危険閾値Crefを超えても禁止フラグをセットしないように制御することにより前突によるシートベルトプリテンショナの作動を許容するように制御し、このような時間(t2−t1)または(t4−t3)が所定時間より短いと判断されず、且つ、前記側突判定演算値PSが前記側突危険閾値Crefを超えていると判断されると、前突によるシートベルトプリテンショナの作動を禁止する禁止フラグをセットするように制御するものであってもよい。
【0075】
具体的には、図7のフローチャートのステップSA6からSA8の前記禁止フラグをセットするか否かを判定するステップにおいて、さらに高速衝突フラグを参照して判断するように構成し、時間(t2−t1)または(t4−t3)が所定時間より短いと判断された時点taにおいて高エネルギー衝突フラグをセットし、そうでないときにリセットすることにより実現することができる。さらに具体的には、各波形の各点は所定時間毎に算出した演算値を示し、HiマップとLoマップ閾値の値に存在する演算値の数(演算回数)が少ない場合に高速衝突フラグをオンさせる。
【0076】
また、このとき、前突判定演算値PFのマップ判定を行ない、前突判定演算値PFが低位閾値(Loマップ)を超え、低位閾値(Loマップ)に対応する低位の前突判定閾値FLref以上であり、且つ、サテライトセンサからの出力演算値が所定の閾値以上のとき、または、前突判定演算値PFが高位閾値(Hiマップ)を超え、且つ、高位閾値(Hiマップ)に対応する高位の前突判定閾値FHref以上のときの何れかに、前突エアバッグを作動させるように判定するものであってもよい。
【0077】
上述の実施形態では、前突衝撃センサ入力信号及び側突衝撃センサ入力信号に基づいてシートベルトプリテンショナ24を作動させるシートベルトプリテンショナ作動制御手段35を備えた構成について説明したが、レーダ装置や撮像装置等を用いた周辺監視センサからの衝突予測データに基づいて、前記シートベルトプリテンショナを作動させるシートベルトプリテンショナ作動制御手段を備える場合であっても本発明による技術思想を活用することができる。
【0078】
具体的には、側突検出用の側突衝撃センサからの信号に基づいて側突の判定を行う側突判定手段を備え、側突判定を行う際に用いる前記側突衝撃センサからの信号に基づく側突判定演算値が、側突の判定を行う側突判定閾値より低い側突危険閾値以上である場合には、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段による前記シートベルトプリテンショナの作動を禁止するシートベルトプリテンショナ作動禁止手段を備えることにより実現できる。
【0079】
上述した何れかの実施形態に、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35により作動される電動式のシートベルトプリテンショナをさらに備え、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段36が、前記シートベルトプリテンショナ作動制御手段35による前記インフレータ式のシートベルトプリテンショナ24の作動を禁止する場合であっても、前記シートベルトプリテンショナ作動禁止手段35による前記電動式のシートベルトプリテンショナを作動の禁止は行わない構成としてもよい。前記インフレータ式のシートベルトプリテンショナの作動により発生する衝撃を起因とした前記側突用エアバッグの誤作動を防止することができるとともに、前記電動式のシートベルトプリテンショナの作動により、乗員を確実に保護することができる。
【0080】
尚、上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】乗員保護システムにかかる機能ブロック構成の説明図
【図2】乗員保護システムの説明図
【図3】エアバッグの説明図
【図4】減速度の出力状態の説明図
【図5】所定状況下における前記演算値f(Ga)と速度Vnaとの関係を一定時間プロットした場合における特性図
【図6】前突判定演算値及び側突判定演算値と判定閾値との関係説明図
【図7】シートベルトプリテンショナ作動禁止手段による動作を示すフローチャート
【図8】別実施形態を示す前突判定演算値及び側突判定演算値と判定閾値との関係説明図
【図9】別実施形態を示す前突判定演算値及び側突判定演算値と判定閾値との関係説明図
【図10】別実施形態を示す前突判定演算値及び側突判定演算値と判定閾値との関係説明図
【図11】別実施形態を示す前突判定演算値及び側突判定演算値と判定閾値との関係説明図
【図12】別実施形態を示す前突判定演算値及び側突判定演算値と判定閾値との関係説明図
【符号の説明】
【0082】
01:ECU
10:フロアセンサ
11:右側前方サテライトセンサ
12:左側前方サテライトセンサ
13:運転席側前突用エアバッグ
14:助手席側前突用エアバッグ
16、17、18、19:ピラーセンサ
20、21、22、23:側突用エアバッグ
24、25、26、27:シートベルトプリテンショナ
30:乗員保護制御装置
31:判定演算値算出手段
32:閾値設定手段
33:前突用エアバッグ作動制御手段
34:側突用エアバッグ作動制御手段
35:シートベルトプリテンショナ作動制御手段
36:シートベルトプリテンショナ作動禁止手段
50:判定手段
51:乗員保護装置作動制御手段
53:側突判定手段





 

 


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