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発明の名称 車両の制動力保持装置、及び車両の制動力保持方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−112210(P2007−112210A)
公開日 平成19年5月10日(2007.5.10)
出願番号 特願2005−303421(P2005−303421)
出願日 平成17年10月18日(2005.10.18)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 神門 勝
要約 課題
ヒルホールド制御終了後における車両の移動速度のばらつきを低減させることができる車両の制動力保持装置及び車両の制動力保持方法を提供する。

解決手段
CPUは、ヒルホールド制御を終了させる場合に、各ホイールシリンダ内のブレーキ液圧BPを第1の減圧速度Vaにて減圧させ、各車輪の回動を許容する。そして、各車輪の車輪速度VWの絶対値が車輪速度閾値KVW以上になった場合に、CPUは、各ホイールシリンダ内のブレーキ液圧BPを保圧させる。そして、CPUは、各車輪の車輪速度VWの絶対値が車輪速度閾値KVW以上になってからの経過時間Taが規定時間KT以上になった場合、又はアクセルぺダルやパーキングレバーが操作された場合に、各ホイールシリンダ内のブレーキ液圧BPを再び第1の減圧速度Vaにて減圧させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
ブレーキペダル(37)の操作により停止した車両の各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動手段(36a,36b,36c,36d)から付与されている制動力(BP)を前記ブレーキペダル(37)の操作が解消されてから予め設定された所定時間(ST)経過時まで保持させるヒルホールド制御を実行する車両の制動力保持装置(11)において、
前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)を検出する車輪速度検出手段(60,SE3,SE4,SE5,SE6)と、
前記ブレーキペダル(37)の操作が解消されてから前記所定時間(ST)が経過したか否かを判定する所定時間経過判定手段(60)と、
該所定時間経過判定手段(60)による判定結果が肯定判定である場合に、前記車輪速度検出手段(60,SE3,SE4,SE5,SE6)により検出された前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)の絶対値が予め設定された車輪速度閾値(KVW)以上になったか否かを判定する車輪速度判定手段(60)と、
前記所定時間経過判定手段(60)による判定結果が肯定判定である場合において、前記車輪速度判定手段(60)による判定結果が否定判定であるときには、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を第1の低下速度(Va)にて低下させる一方、前記車輪速度判定手段(60)による判定結果が肯定判定であるときには、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を保持させるように、又は前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を前記第1の低下速度(Va)よりも低速となる第2の低下速度(Vb)にて低下させるように、前記制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御する制御手段(60)とを備えた車両の制動力保持装置。
【請求項2】
前記車輪速度判定手段(60)による判定結果が否定判定から肯定判定に切り換わってからの経過時間(Ta)が予め設定された規定時間(KT)以上になったか否かを判定する規定時間経過判定手段(60)をさらに備え、
前記制御手段(60)は、前記規定時間経過判定手段(60)による判定結果が否定判定である場合には、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を保持又は前記第2の低下速度(Vb)にて低下させる一方、前記規定時間経過判定手段(60)による判定結果が肯定判定である場合には、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を前記第1の低下速度(Va)にて低下させるように前記制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御する請求項1に記載の車両の制動力保持装置。
【請求項3】
前記車輪速度判定手段(60)による判定結果が否定判定から肯定判定に切り換わってからの経過時間(Ta)が予め設定された規定時間(KT)以上になったか否かを判定する規定時間経過判定手段(60)をさらに備え、
前記制御手段(60)は、前記規定時間経過判定手段(60)による判定結果が否定判定である場合には、前記車輪速度判定手段(60)による判定結果が否定判定から肯定判定に切り換わった際の前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する前記制動手段(36a,36b,36c,36d)からの制動力(BP)に予め設定された所定値(SBP)を加算し、その加算結果に基づく制動力(BP)が前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に付与されるように前記制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御する一方、前記規定時間経過判定手段(60)による判定結果が肯定判定である場合には、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を前記第1の低下速度(Va)にて低下させるように前記制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御する請求項1に記載の車両の制動力保持装置。
【請求項4】
前記ヒルホールド制御中に操作された場合には該ヒルホールド制御の終了の契機を付与する制御終了操作手段(17,28)と、該制御終了操作手段(17,28)が操作されたか否かを判定する制御終了判定手段(60)とをさらに備え、
前記制御手段(60)は、前記規定時間経過判定手段(60)による判定結果が肯定判定である場合において、前記制御終了判定手段(60)による判定結果が肯定判定になったときに、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を前記第1の低下速度(Va)以上の高速度にて低下させるように前記制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御する請求項2又は請求項3に記載の車両の制動力保持装置。
【請求項5】
ブレーキペダル(37)の操作により停止した車両の各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動手段(36a,36b,36c,36d)から付与されている制動力(BP)を前記ブレーキペダル(37)の操作が解消されてから予め設定された所定時間(ST)経過時まで保持させるヒルホールド制御を実行する車両の制動力保持方法において、
前記ブレーキペダル(37)の操作が解消されてから前記所定時間(ST)が経過した場合において、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)の絶対値が予め設定された車輪速度閾値(KVW)未満のときには、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を第1の低下速度(Va)にて低下させる一方、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)の絶対値が前記車輪速度閾値(KVW)以上のときには、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を保持させるように、又は前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を前記第1の低下速度(Va)よりも低速となる第2の低下速度(Vb)にて低下させるようにした車両の制動力保持方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキペダルの操作により停止した車両の各車輪に付与されている制動力を前記ブレーキペダルの操作解消後においても保持させる車両の制動力保持装置、及び車両の制動力保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、坂路などの斜面上に車両が停止した場合に、搭乗者がブレーキペダルの踏込み操作を解消すると、各車輪に対する制動力が急激に低下するため、斜面の傾斜方向下側への車両の予期せぬ移動(すなわち、車両のずり下がり)が発生する。こうした車両の予期せぬ移動が発生した場合には、坂道発進操作等の車両操作に対する搭乗者の余裕を低下させてしまうおそれがあった。そこで、従来から、ブレーキペダルの踏込み操作の解消後においても停止車両の車輪に付与されている制動力を保持させて車両の予期せぬ移動の発生を抑制する所謂ヒルホールド制御を実行する車両の制動力保持装置、及び車両の制動力保持方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載の車両の制動力保持装置では、車両停止後における搭乗者によるブレーキペダルの踏込み操作によってヒルホールド制御が実行されるようになっており、このヒルホールド制御は、ブレーキペダルの踏込み操作が解消されてから所定時間(例えば約2秒)が経過するまで実行されるようになっている。また、RAMには、各車輪に対する各ホイールシリンダ(制動手段)からの制動力の大きさと制動力の低下速度との関係を示すマップが予め設定されている。そのため、ヒルホールド制御終了時には、各車輪に対する各ホイールシリンダからの制動力の大きさに対応する制動力の低下速度が上記マップに基づき設定され、その設定された低下速度にて各車輪に対する各ホイールシリンダからの制動力を低下させるようになっている。したがって、ヒルホールド制御が終了した際に、各車輪に対する各ホイールシリンダからの制動力が急激に低下することが回避されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−47987号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヒルホールド制御終了後における各車輪に対する各ホイールシリンダからの制動力の低下速度は、RAMに予め設定されたマップに基づき設定される。ところが、ヒルホールド制御時に車両が停止している路面の斜度や車載重量などによっては、ヒルホールド制御終了直後における車両の移動速度(ずり下がり速度)がばらついてしまうことがあった。すなわち、路面の斜度や車載重量などによっては、車両のずり下がり速度が速くなってしまい、その結果、坂道発進操作等の車両操作に対する搭乗者の余裕を低下させてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヒルホールド制御終了後における車両の移動速度のばらつきを低減させることができる車両の制動力保持装置及び車両の制動力保持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、車両の制動力保持装置にかかる請求項1に記載の発明は、ブレーキペダル(37)の操作により停止した車両の各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動手段(36a,36b,36c,36d)から付与されている制動力(BP)を前記ブレーキペダル(37)の操作が解消されてから予め設定された所定時間(ST)経過時まで保持させるヒルホールド制御を実行する車両の制動力保持装置(11)において、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)を検出する車輪速度検出手段(60,SE3,SE4,SE5,SE6)と、前記ブレーキペダル(37)の操作が解消されてから前記所定時間(ST)が経過したか否かを判定する所定時間経過判定手段(60)と、該所定時間経過判定手段(60)による判定結果が肯定判定である場合に、前記車輪速度検出手段(60,SE3,SE4,SE5,SE6)により検出された前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)の絶対値が予め設定された車輪速度閾値(KVW)以上になったか否かを判定する車輪速度判定手段(60)と、前記所定時間経過判定手段(60)による判定結果が肯定判定である場合において、前記車輪速度判定手段(60)による判定結果が否定判定であるときには、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を第1の低下速度(Va)にて低下させる一方、前記車輪速度判定手段(60)による判定結果が肯定判定であるときには、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を保持させるように、又は前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を前記第1の低下速度(Va)よりも低速となる第2の低下速度(Vb)にて低下させるように、前記制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御する制御手段(60)とを備えたことを要旨とする。
【0007】
上記構成では、ヒルホールド制御実行中にブレーキペダルの操作が解消されてから所定時間が経過した場合、各車輪に対する制動手段からの制動力を第1の低下速度にて低下させることにより、各車輪の車輪速度が車輪速度閾値まで上昇する。その後、各車輪の車輪速度が車輪速度閾値以上になった場合には、各車輪に対する制動手段からの制動力を保持させるか、又は第1の低下速度よりも低速となる第2の低下速度にて低下させる。そのため、車両が坂路に停止していた場合に、路面の斜度や車載重量などに基づく斜面下方への車両の移動速度(ずり下がり速度)が変わってしまうことが抑制される。したがって、ヒルホールド制御終了後における車両の移動速度のばらつきを低減させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の制動力保持装置において、前記車輪速度判定手段(60)による判定結果が否定判定から肯定判定に切り換わってからの経過時間(Ta)が予め設定された規定時間(KT)以上になったか否かを判定する規定時間経過判定手段(60)をさらに備え、前記制御手段(60)は、前記規定時間経過判定手段(60)による判定結果が否定判定である場合には、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を保持又は前記第2の低下速度(Vb)にて低下させる一方、前記規定時間経過判定手段(60)による判定結果が肯定判定である場合には、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を前記第1の低下速度(Va)にて低下させるように前記制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御することを要旨とする。
【0009】
上記構成では、規定時間が経過した後においては、各車輪に対する制動手段からの制動力を第1の低下速度にて低下させる。そのため、規定時間の経過後、各車輪に対する制動手段からの制動力に基づき搭乗者が感じる引きずり感を低減させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両の制動力保持装置において、前記車輪速度判定手段(60)による判定結果が否定判定から肯定判定に切り換わってからの経過時間(Ta)が予め設定された規定時間(KT)以上になったか否かを判定する規定時間経過判定手段(60)をさらに備え、前記制御手段(60)は、前記規定時間経過判定手段(60)による判定結果が否定判定である場合には、前記車輪速度判定手段(60)による判定結果が否定判定から肯定判定に切り換わった際の前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する前記制動手段(36a,36b,36c,36d)からの制動力(BP)に予め設定された所定値(SBP)を加算し、その加算結果に基づく制動力(BP)が前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に付与されるように前記制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御する一方、前記規定時間経過判定手段(60)による判定結果が肯定判定である場合には、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を前記第1の低下速度(Va)にて低下させるように前記制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御することを要旨とする。
【0011】
上記構成では、規定時間中においては、各車輪に対する制動手段からの制動力を、記車輪速度判定手段による判定結果が否定判定から肯定判定に切り換わった際の各車輪に対する制動手段からの制動力に所定値を加算した値に設定し、その後、その制動力が保持されるか又は第2の低下速度にて低下させる。すなわち、各車輪の車輪速度を検出するためのセンサの誤差などによって、所定時間の経過後における車輪の車輪速度が車輪速度閾値以上の高速度になってしまうことを抑制できる。また、規定時間後においては、各車輪に対する制動手段からの制動力を第1の低下速度にて低下させる。そのため、規定時間後に、各車輪に対する制動手段からの制動力に基づき搭乗者が感じる引きずり感を低減させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の車両の制動力保持装置において、前記ヒルホールド制御中に操作された場合には該ヒルホールド制御の終了の契機を付与する制御終了操作手段(17,28)と、該制御終了操作手段(17,28)が操作されたか否かを判定する制御終了判定手段(60)とをさらに備え、前記制御手段(60)は、前記規定時間経過判定手段(60)による判定結果が肯定判定である場合において、前記制御終了判定手段(60)による判定結果が肯定判定になったときに、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を前記第1の低下速度(Va)以上の高速度にて低下させるように前記制動手段(36a,36b,36c,36d)を制御することを要旨とする。
【0013】
上記構成では、制御終了操作手段が操作された場合には、各車輪に対する制動手段からの制動力が第1の低下速度にて低下する。そのため、その後に搭乗者が車両を操作する際に、各車輪に対する制動手段からの制動力に基づき搭乗者が感じる引きずり感を低減させることができる。
【0014】
一方、車両の制動力保持方法にかかる請求項5に記載の発明は、ブレーキペダル(37)の操作により停止した車両の各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動手段(36a,36b,36c,36d)から付与されている制動力(BP)を前記ブレーキペダル(37)の操作が解消されてから予め設定された所定時間(ST)経過時まで保持させるヒルホールド制御を実行する車両の制動力保持方法において、前記ブレーキペダル(37)の操作が解消されてから前記所定時間(ST)が経過した場合において、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)の絶対値が予め設定された車輪速度閾値(KVW)未満のときには、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を第1の低下速度(Va)にて低下させる一方、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)の車輪速度(VW)の絶対値が前記車輪速度閾値(KVW)以上のときには、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を保持させるように、又は前記各車輪(FR,FL,RR,RL)に対する制動力(BP)を前記第1の低下速度(Va)よりも低速となる第2の低下速度(Vb)にて低下させるようにしたことを要旨とする。
【0015】
上記構成では、請求項1に記載の発明の場合と同様の作用効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図7に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。また、特に説明がない限り、以下の記載における左右方向は、車両進行方向における左右方向と一致するものとする。
【0017】
図1に示すように、本実施形態における車両の制動力保持装置11は、複数(本実施形態では4つ)ある車輪(右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RL)のうち、前輪FR,FLが駆動輪として機能する車両(いわゆる前輪駆動車)に搭載されている。この制動力保持装置11は、駆動源となるエンジン12で発生した駆動力を前輪FR,FLに伝達する駆動力伝達機構13と、前輪FR,FLを転舵輪(「操舵輪」ともいう。)として転舵させるための前輪転舵機構14と、各車輪FR,FL,RR,RLに制動力を付与するための制動力付与機構15とを備えている。また、この制動力保持装置11は、制動力付与機構15とは別途に構成されたパーキングブレーキPBKと、上記各機構13,14,15を車両の走行状態に応じて適宜に制御するための電子制御装置(「ECU」ともいう。)16とを備えている。なお、エンジン12は、車両の搭乗者によるアクセルぺダル17の踏込み操作に対応した駆動力を発生させる。
【0018】
駆動力伝達機構13には、吸気管18内の吸気通路18aの開口断面積を可変させるスロットル弁19の開度を制御するためのスロットル弁アクチュエータ(例えばDCモータ)20と、エンジン12の吸気ポート(図示略)近傍に燃料を噴射するインジェクタを有する燃料噴射装置21とが設けられている。また、駆動力伝達機構13には、エンジン12の出力軸に接続されたトランスミッション22と、このトランスミッション22から伝達された駆動力を適宜配分して前輪FL,FRに伝達するディファレンシャルギヤ23とが設けられている。さらに、駆動力伝達機構13には、アクセルぺダル17の踏込み量(開度)を検出するためのアクセル開度センサSE1が設けられている。
【0019】
前輪転舵機構14には、ステアリングホイール24と、ステアリングホイール24が固定されたステアリングシャフト25と、ステアリングシャフト25に連結された転舵アクチュエータ26とが設けられている。また、前輪転舵機構14には、転舵アクチュエータ26により車両の左右方向に移動自在なタイロッドと、このタイロッドの移動により前輪FL,FRを転舵させるリンクとを含んだリンク機構部27とが設けられている。さらに、前輪転舵機構14には、ステアリングホイール24の操舵角を検出するための操舵角センサSE2が設けられている。
【0020】
パーキングブレーキPBKは、車両の駐車時に用いられるものであり、搭乗者に操作されるパーキングレバー28を備えている。このパーキングレバー28内には、図示しないラチェット機構が設けられると共に、パーキングレバー28からは、各後輪RR,RLに向けてワイヤWKが延設されている。そして、パーキングレバー28が操作された場合には、各ワイヤWKが引っ張られることにより、各後輪RR,RLに対して制動力が付与されるようになっている。また、パーキングレバー28の操作が解除された場合には、各ワイヤWKが引っ張られた状態が解除されることにより、各後輪RR,RLに対してパーキングブレーキPBKから制動力が付与されないようになっている。
【0021】
次に、制動力付与機構15について図2に基づき以下説明する。
図2に示すように、本実施形態の制動力付与機構15は、マスタシリンダ30及びブースタ31を有する液圧発生装置32と、2つの液圧回路33,34を有する液圧制御装置(図2では二点鎖線で示す。)35とを備えている。各液圧回路33,34は、液圧発生装置32に接続されると共に、各車輪FR,FL,RR,RLに対応して設けられたホイールシリンダ(制動手段)36a,36b,36c,36dに接続されている。すなわち、右前輪FRにはホイールシリンダ36aが対応すると共に、左前輪FLにはホイールシリンダ36bが対応している。また、右後輪RRにはホイールシリンダ36cが対応すると共に、左後輪RLにはホイールシリンダ36dが対応している。
【0022】
液圧発生装置32には、ブレーキペダル37が設けられており、このブレーキペダル37が車両の搭乗者によって踏込み操作されたことに基づき、液圧発生装置32のマスタシリンダ30及びブースタ31が駆動するようになっている。また、マスタシリンダ30には、2つの出力ポート30a,30bが設けられており、各出力ポート30a,30bのうち一方の出力ポート30aには第1液圧回路33が接続されると共に、他方の出力ポート30bには第2液圧回路34が接続されている。さらに、液圧発生装置32には、ブレーキペダル37が操作された際に電子制御装置16に向けて信号を送信するブレーキスイッチSW1が設けられている。
【0023】
液圧制御装置35には、第1液圧回路33内のブレーキ液圧を昇圧するためのポンプ38と、第2液圧回路34内のブレーキ液圧を昇圧するためのポンプ39と、各ポンプ38,39を同時に駆動させるモータMとが設けられている。また、各液圧回路33,34上にはブレーキオイルが貯留されるリザーバ40,41が設けられており、各リザーバ40,41内のブレーキオイルは、ポンプ38,39の駆動に基づき液圧回路33,34内に供給されるようになっている。さらに、各液圧回路33,34には、マスタシリンダ30内のブレーキ液圧を検出するための液圧センサPS1,PS2が設けられている。
【0024】
第1液圧回路33には、右前輪FRに対応するホイールシリンダ36aに接続されるホイールシリンダ36a用(右前輪FR用)の右前輪用経路33aと、左後輪RLに対応するホイールシリンダ36dに接続されるホイールシリンダ36d用(左後輪RL用)の左後輪用経路33bとが形成されている。そして、これら各経路33a,33b上には、常開型の電磁弁42,43と常閉型の電磁弁44,45とがそれぞれ設けられている。
【0025】
同様に、第2液圧回路34には、左前輪FLに対応するホイールシリンダ36bに接続されるホイールシリンダ36b用(左前輪FL用)の左前輪用経路34aと、右後輪RRに対応するホイールシリンダ36cに接続されるホイールシリンダ36c用(右後輪RR用)の右後輪用経路34bとが形成されている。そして、これら各経路34a,34b上には、常開型の電磁弁46,47と常閉型の電磁弁48,49とがそれぞれ設けられている。
【0026】
また、第1液圧回路33において各経路33a,33bに分岐された部位よりもマスタシリンダ30側には、常開型の比例電磁弁50が接続されると共に、この比例電磁弁50と並列関係をなすリリーフ弁51が接続されている。そして、比例電磁弁50とリリーフ弁51とにより比例差圧弁52が構成されている。比例差圧弁52は、電子制御装置16による制御に基づき、比例差圧弁52よりもマスタシリンダ30側とホイールシリンダ36a,36d側とで液圧差(ブレーキ液圧の差)を発生させることができる。なお、この液圧差の最大値は、リリーフ弁51を構成するばね51aの付勢力に基づく値となる。また、第1液圧回路33には、リザーバ40とポンプ38との間からマスタシリンダ30側に向けて分岐された分岐液圧路33cが形成されており、この分岐液圧路33c上には常閉型の電磁弁53が接続されている。
【0027】
同様に、第2液圧回路34において各経路34a,34bに分岐された部位よりもマスタシリンダ30側には、常開型の比例電磁弁54が接続されると共に、この比例電磁弁54と並列関係をなすリリーフ弁55が接続されている。そして、比例電磁弁54とリリーフ弁55とにより比例差圧弁56が構成されている。比例差圧弁56は、電子制御装置16による制御に基づき、比例差圧弁56よりもマスタシリンダ30側とホイールシリンダ36b,36c側とで液圧差(ブレーキ液圧の差)を発生させることができる。なお、この液圧差の最大値は、リリーフ弁55を構成するばね55aの付勢力に基づく値となる。また、第2液圧回路34には、リザーバ41とポンプ39との間からマスタシリンダ30側に向けて分岐された分岐液圧路34cが形成されており、この分岐液圧路34c上には常閉型の電磁弁57が接続されている。
【0028】
ここで、上記各電磁弁42〜49のソレノイドコイルが通電状態にある場合及び非通電状態にある場合における各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧の変化について説明する。なお、以下の説明においては、各比例電磁弁50,54が閉じ状態であると共に、分岐液圧路33c,34c上の電磁弁53,57が閉じ状態であるものとする。
【0029】
まず、各電磁弁42〜49のソレノイドコイルが全て非通電状態にある場合には、常開型の電磁弁42,43,46,47は開き状態のままであると共に、常閉型の電磁弁44,45,48,49は閉じ状態のままである。そのため、上記ポンプ38,39が駆動している場合には、リザーバ40,41内のブレーキオイルが各経路33a,33b,34a,34bを介して各ホイールシリンダ36a〜36d内に流入し、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧は上昇することになる。
【0030】
一方、各電磁弁42〜49のソレノイドコイルが全て通電状態にある場合には、常開型の電磁弁42,43,46,47が閉じ状態となると共に、常閉型の電磁弁44,45,48,49が開き状態となる。そのため、各ホイールシリンダ36a〜36d内からブレーキオイルが各経路33a,33b,34a,34bを介してリザーバ40,41へと流出し、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧は降下することになる。
【0031】
そして、各電磁弁42〜49のうち常開型の電磁弁42,43,46,47のソレノイドコイルのみが通電状態にある場合には、全ての電磁弁42〜49が閉じ状態となる。そのため、各経路33a,33b,34a,34bを介したブレーキオイルの流動が規制される結果、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧はその液圧レベルが保持されることになる。
【0032】
図1に示すように、電子制御装置16は、制御手段としてのCPU60、ROM61、及びRAM62などを備えたデジタルコンピュータと、各装置を駆動させるための駆動回路(図示略)とを主体として構成されている。ROM61には、液圧制御装置35(モータM、各電磁弁42〜49,53,57及び比例電磁弁50,54の駆動)を制御するための制御プログラム、及び各種の定数(後述するブレーキ液圧閾値KBPや所定時間STなど)などが記憶されている。また、RAM62には、車両の制動力保持装置11の駆動中に適宜書き換えられる各種の情報が記録されるようになっている。
【0033】
また、電子制御装置16の入力側インターフェース(図示略)には、上記ブレーキスイッチSW1、液圧センサPS1,PS2、アクセル開度センサSE1、及び操舵角センサSE2がそれぞれ接続されている。また、入力側インターフェースには、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度を検出するための車輪速度センサSE3,SE4,SE5,SE6、及びパーキングレバー28が操作された状態であることを検出するためのパーキングブレーキ操作検出センサSE7がそれぞれ接続されている。すなわち、CPU60は、ブレーキスイッチSW1、液圧センサPS1,PS2、及び上記各種センサSE1〜SE7からの各信号を受信するようになっている。
【0034】
一方、電子制御装置16の出力側インターフェース(図示略)には、各ポンプ38,39を駆動させるためのモータM、各電磁弁42〜49,53,57及び比例電磁弁50,54が接続されている。そして、CPU60は、上記スイッチSW1及び各センサPS1,PS2,SE1〜SE7からの入力信号に基づき、モータM、各電磁弁42〜49,53,57及び比例電磁弁50,54の動作を個別に制御するようになっている。
【0035】
次に、本実施形態のCPU60が実行する制御処理ルーチンについて、図3〜図5に示すフローチャートと、図6及び図7に示すタイミングチャートとに基づき以下説明する。図3には後述するヒルホールド制御の実行の有無を設定するためのヒルホールド制御実行処理ルーチンが示されると共に、図4にはヒルホールド制御を終了するか否かを判定するためのヒルホールド制御終了判定処理ルーチンが示されている。また、図5には、図4に示すヒルホールド制御終了判定処理ルーチン内におけるヒルホールド制御終了処理(ヒルホールド制御終了処理ルーチン)が示されている。
【0036】
最初に図3に示すヒルホールド制御実行処理ルーチンについて説明する。
さて、CPU60は、ブレーキスイッチSW1からの信号を受信している場合には、所定周期毎にヒルホールド制御実行処理ルーチンを実行する。そして、このヒルホールド制御実行処理ルーチンにおいて、CPU60は、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度センサSE3〜SE6から受信した信号に基づき、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWをそれぞれ検出する(ステップS10)。この点で、本実施形態では、CPU60及び車輪速度センサSE3〜SE6が、車輪速度検出手段として機能する。続いて、CPU60は、車両が停止したか否かを判定する(ステップS11)。すなわち、CPU60は、ステップS10にて検出した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWが「0(零)」になったことに基づき、車両の車体速度が「0(零)」になったか否かを判定する。そして、ステップS11の判定結果が否定判定である場合、CPU60は、車両の車体速度が「0(零)」ではないものと判断し、ヒルホールド制御実行処理ルーチンを終了する。
【0037】
一方、ステップS11の判定結果が肯定判定である場合、CPU60は、車両の車体速度が「0(零)」になったものと判断し、液圧回路33,34上の液圧センサPS1,PS2からの信号に基づき液圧回路33,34内のブレーキ液圧(各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧)BPを検出する(ステップS12)。続いて、CPU60は、ステップS12にて検出した各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPが予め設定されたブレーキ液圧閾値KBP以上であるか否かを判定する(ステップS13)。このブレーキ液圧閾値KBPは、後述するヒルホールド制御を実行するために必要な値であり、実験やシミュレーションなどによって予め設定された値である。
【0038】
そして、ステップS13の判定結果が否定判定(BP<KBP)である場合、CPU60は、ヒルホールド制御実行処理ルーチンを終了する。一方、ステップS13の判定結果が肯定判定(BP≧KBP)である場合、CPU60は、ヒルホールド制御を実行する(ステップS14)。なお、CPU60は、ヒルホールド制御を実行する際に、図示しないヒルホールドフラグを「ON」にセットする。
【0039】
ここで、ヒルホールド制御とは、ブレーキペダル37の踏込み操作に基づいて車両が停止した場合に、そのブレーキペダル37の踏込み操作が解消されたとしても、各車輪FR,FL,RR,RLに対する各ホイールシリンダ36a〜36dからの制動力を、各車輪FR,FL,RR,RLが回動しないように保持する制御である。すなわち、ヒルホールド制御が実行された場合、CPU60は、各液圧回路33,34上の常開型の電磁弁42,43,46,47を通電状態とすることにより、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを保持するようになっている。
【0040】
その後、CPU60は、ヒルホールド制御実行処理ルーチンを終了する。
次に、図4に示すヒルホールド制御終了判定処理ルーチンについて以下説明する。
さて、CPU60は、所定周期毎にヒルホールド制御終了判定処理ルーチンを実行する。そして、このヒルホールド制御終了判定処理ルーチンにおいて、CPU60は、ヒルホールド制御が実行中であるか否かを判定する(ステップS20)。すなわち、CPU60は、ヒルホールドフラグが「ON」にセットされているか否かを判定する。そして、ステップS20の判定結果が否定判定(ヒルホールドフラグ=「OFF」)である場合、CPU60は、ヒルホールド制御が実行されていないものと判断し、ヒルホールド制御終了判定処理ルーチンを終了する。
【0041】
一方、ステップS20の判定結果が肯定判定(ヒルホールドフラグ=「ON」)である場合、CPU60は、ヒルホールド制御が実行中であるものと判断し、アクセルぺダル17が踏込み操作されているか否かを判定する(ステップS21)。すなわち、CPU60は、アクセル開度センサSE1からの信号に基づき、アクセルぺダル17の開度が「0(零)」でないか否かを判定する。そして、ステップS21の判定結果が肯定判定(アクセルぺダル17の開度≠「0(零)」)である場合、CPU60は、アクセルぺダル17が踏込み操作されているものと判断し、その処理を後述するステップS25に移行する。
【0042】
一方、ステップS21の判定結果が否定判定(アクセルぺダル17の開度=「0(零)」)である場合、CPU60は、アクセルぺダル17が踏込み操作されていないものと判断し、パーキングレバー28(パーキングブレーキPBK)が操作されたか否かを判定する(ステップS22)。すなわち、CPU60は、パーキングブレーキ操作検出センサSE7からの信号を受信しているか否かを判定する。そして、ステップS22の判定結果が肯定判定である場合、CPU60は、パーキングレバー28が操作されたものと判断し、その処理を後述するステップS25に移行する。
【0043】
一方、ステップS22の判定結果が否定判定である場合、CPU60は、パーキングレバー28が操作されていないものと判断し、ブレーキペダル37が踏込み操作されているか否かを判定する(ステップS23)。すなわち、CPU60は、ブレーキスイッチSW1から信号を受信しているか否かを判定する。そして、ステップS23の判定結果が肯定判定である場合、CPU60は、ブレーキペダル37が踏込み操作されているものと判断し、ヒルホールド制御終了判定処理ルーチンを終了する。
【0044】
一方、ステップS23の判定結果が否定判定である場合、CPU60は、ブレーキペダル37が踏込み操作されていないものと判断し、ステップS23の判定結果が肯定判定から否定判定に切り換わってからの経過時間が予め設定された所定時間(例えば2秒)ST以上になったか否かを判定する(ステップS24)。この所定時間STは、ブレーキペダル37の踏込み操作解消後においてもヒルホールド制御を実行させるための時間であり、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。この点で、本実施形態では、CPU60が、所定時間経過判定手段としても機能する。そして、ステップS24の判定結果が否定判定である場合、CPU60は、ブレーキペダル37の踏込み操作が解消されてから所定時間STが経過していないものと判断し、ヒルホールド制御終了判定処理ルーチンを終了する。一方、ステップS24の判定結果が肯定判定である場合、CPU60は、ブレーキペダル37の踏込み操作が解消されてから所定時間STが経過したものと判断し、その処理を後述するステップS25に移行する。
【0045】
ステップS25において、CPU60は、ヒルホールド制御終了処理(図5にて詳述する。)を実行する(ステップS25)。このヒルホールド制御終了処理は、上述したように、アクセルぺダル17が踏込み操作された場合、パーキングレバー28が操作された場合、及びブレーキペダル37の踏込み操作が解消されてから所定時間STが経過した場合に実行される処理である。したがって、この点で、本実施形態では、アクセルぺダル17及びパーキングレバー28が、ヒルホールド制御の終了の契機を付与する制御終了操作手段としてそれぞれ機能する。また、本実施形態では、CPU60が、制御終了操作手段としてのアクセルぺダル17及びパーキングブレーキPBKが操作されたか否かを判定する制御終了判定手段としても機能する。その後、CPU60は、ヒルホールドフラグを「OFF」にセットした後に、ヒルホールド制御終了判定処理ルーチンを終了する。
【0046】
次に、図5に示すヒルホールド制御終了処理(ヒルホールド制御終了処理ルーチン)について以下説明する。
さて、ヒルホールド制御終了処理ルーチンが開始すると、CPU60は、図6及び図7に示すように、まず各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを第1の減圧速度(第1の低下速度)Vaにて減圧させる(ステップS30)。すなわち、CPU60は、常開型の電磁弁42,43,46,47を通電状態にすることにより、電磁弁42,43,46,47を閉弁状態にする。また、CPU60は、常閉型の電磁弁44,45,48,49に対する給電態様を制御することにより、電磁弁44,45,48,49の閉弁及び開弁を繰り返させる。すると、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPが第1の減圧速度Vaにて減圧されることにより、各車輪FR,FL,RR,RLに対する各ホイールシリンダ36a〜36dからの制動力が徐々に低下する。その結果、各車輪FR,FL,RR,RLの回動が許容されるようになり、坂路の斜面上に停車していた車両は斜面の傾斜方向下側へと移動し始めることになる。
【0047】
すると次に、CPU60は、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度センサSE3〜SE6から受信した信号に基づき、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWをそれぞれ検出する(ステップS31)。そして、CPU60は、ステップS31にて検出した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWの絶対値が予め設定された車輪速度閾値(例えば「1」)KVW以上であるか否かを判定する(ステップS32)。この車輪速度閾値KVWは、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPの減圧速度を変更させるための値であり、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。したがって、この点で、本実施形態では、CPU60が、車輪速度判定手段としても機能する。
【0048】
そして、ステップS32の判定結果が否定判定(車輪速度VWの絶対値<KVW)である場合、CPU60は、ステップS32の判定結果が肯定判定となるまでステップS31,S32の処理を繰り返し実行する。一方、ステップS32の判定結果が肯定判定(車輪速度VWの絶対値≧KVW)である場合、CPU60は、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを保圧させるように各電磁弁42〜49を制御する(ステップS33)。すなわち、CPU60は、常開型の電磁弁42,43,46,47を通電状態にすると共に、常閉型の電磁弁44,45,48,49を非通電状態にする。そのため、図6及び図7に示すように、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWは、車輪速度閾値KVWと略同一の車輪速度で保持される。
【0049】
続いて、CPU60は、アクセル開度センサSE1からの信号に基づき、アクセルぺダル17が操作されているか否かを判定する(ステップS34)。この判定結果が肯定判定である場合、CPU60は、アクセルぺダル17が操作されているものと判断し、その処理を後述するステップS37に移行する。一方、ステップS34の判定結果が否定判定である場合、CPU60は、アクセルぺダル17が操作されていないものと判断し、パーキングブレーキ操作検出センサSE7からの信号に基づきパーキングレバー28(パーキングブレーキPBK)が操作(具体的にはブレーキON操作)されたか否かを判定する(ステップS35)。この判定結果が肯定判定である場合、CPU60は、パーキングレバー28が操作されたものと判断し、その処理を後述するステップS37に移行する。
【0050】
一方、ステップS35の判定結果が否定判定である場合、CPU60は、アクセルぺダル17もパーキングレバー28も操作されていないものと判断し、ステップS32の判定結果が否定判定から肯定判定に切り換わってからの経過時間Taが予め設定された規定時間KT以上になったか否かを判定する(ステップS36)。この規定時間KTは、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPの保圧状態を維持するための時間であり、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。したがって、この点で、本実施形態では、CPU60が、規定時間経過判定手段としても機能する。そして、ステップS36の判定結果が否定判定(Ta<KT)である場合、CPU60は、ステップS36の判定結果が肯定判定になるまでステップS34,S35,S36の各判定処理を繰り返し実行する。一方、ステップS36の判定結果が肯定判定(Ta≧KT)である場合、CPU60は、その処理を後述するステップS37に移行する。
【0051】
ステップS37において、CPU60は、保圧状態にある各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを再び第1の減圧速度Vaにて減圧させる。ここで、ステップS34の判定結果が肯定判定であってステップS37に移行した場合には次のようになる。すなわち、CPU60は、図6に実線で示すように、アクセルぺダル17が踏込み操作されたことに基づき、たとえ経過時間Taが規定時間KT未満であったとしても、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを第1の減圧速度Vaにて減圧させる。この場合、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWは、発進操作によるアクセルぺダル17の開度に応じて上昇するようになる。
【0052】
また、ステップS35の判定結果が肯定判定であってステップS37に移行した場合には次のようになる。すなわち、CPU60は、図7に実線で示すように、パーキングレバー28が(ON)操作されたことに基づき、たとえ経過時間Taが規定時間KT未満であったとしても、保圧状態にある各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを再び第1の減圧速度Vaにて減圧させる。この場合、パーキングブレーキPBKから後輪RR,RLに対して制動力が付与されることにより、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VW(すなわち、車両の車体速度)が「0(零)」になる。すなわち、車両が停止するようになる。
【0053】
さらに、ステップS36の判定結果が肯定判定であってステップS37に移行した場合(アクセルぺダル17やパーキングレバー28が操作されずに経過時間Taが規定時間KT以上となった場合)には次のようになる。すなわち、CPU60は、図6及び図7に破線で示すように、保圧状態にある各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを経過時間Taが規定時間KT以上となった時点から再び第1の減圧速度Vaにて減圧させる。この場合、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPの減圧に基づき、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWが上昇することになる。すなわち、車両が坂路に停車している場合、その路面の斜度に起因して車両の移動速度が徐々に上昇することになる。
【0054】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ヒルホールド制御実行中にブレーキペダル37の踏込み操作が解消されてから所定時間STが経過した場合、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BP(各車輪FR,FL,RR,RLに対する制動手段からの制動力)を第1の減圧速度(第1の低下速度)Vaにて低下させる。その結果、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWが上昇する。その後、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWが車輪速度閾値KVW以上になった場合には、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを保持させる。そのため、車両が坂路に停止していた場合に、路面の斜度や車載重量などに基づく斜面下方への車両の移動速度(ずり下がり速度)が変わってしまうことが抑制される。したがって、ヒルホールド制御終了後における車両の移動速度のばらつきを低減させることができる。
【0055】
(2)規定時間KTが経過した後においては、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BP(各車輪FR,FL,RR,RLに対する制動手段からの制動力)を第1の減圧速度(第1の低下速度)Vaにて低下させる。そのため、規定時間KTが経過した後に、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPに基づき搭乗者が感じる引きずり感を低減させることができる。
【0056】
(3)制御終了操作手段としてのアクセルぺダル17やパーキングレバー28(パーキングブレーキPBK)が操作された場合には、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BP(各車輪FR,FL,RR,RLに対する制動手段からの制動力)が第1の減圧速度(第1の低下速度)Vaにて低下する。そのため、その後に搭乗者が車両を操作する際に、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPに基づき搭乗者が感じる引きずり感を低減させることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図8に従って説明する。なお、第2の実施形態は、ヒルホールド制御終了処理ルーチンにおけるステップS33の制御内容が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0057】
本実施形態における車両の制動力保持装置11は、電子制御装置16を備えている。この電子制御装置16は、CPU60、ROM61、及びRAM62などを備えたデジタルコンピュータと、各装置を駆動させるための駆動回路(図示略)とを主体として構成されている。ROM61には、液圧制御装置35(モータM、各電磁弁42〜49,53,57及び比例電磁弁50,54の駆動)を制御するための制御プログラムや各種の定数などが記憶されている。また、RAM62には、車両の制動力保持装置11の駆動中に適宜書き換えられる各種の情報が記憶されるようになっている。
【0058】
次に、本実施形態のヒルホールド制御終了処理ルーチンのうち、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPの保圧処理について以下説明する。
さて、ヒルホールド制御終了処理ルーチンにおいて、CPU60は、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWの絶対値が車輪速度閾値KVW以上になった場合、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPの保圧処理を実行する。すなわち、図8に示すように、CPU60は、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを予め設定された所定値SBP分だけ増圧させ、その増圧されたブレーキ液圧BPを保圧させるようになっている。
【0059】
具体的には、CPU60は、各液圧回路33,34上の各電磁弁42〜49を非通電状態とすると共に、モータMを駆動させる。さらに、CPU60は、比例差圧弁52,56(比例電磁弁50,54)を制御することにより、比例差圧弁52,56よりもマスタシリンダ30側とホイールシリンダ36a〜36d側とで所定値SBP分だけ液圧差を発生させる。その後、CPU60は、モータMの駆動を停止させると共に、常開型の電磁弁42,43,46,47を通電状態とする。そして、CPU60は、比例差圧弁52,56の制御を終了することにより、比例電磁弁50,54を開弁状態にする。すると、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPは、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWの絶対値が車輪速度閾値KVW以上になったと判定された直後のブレーキ液圧BPに所定値SBP分だけ加算されたブレーキ液圧に保持される。
【0060】
その後、規定時間KT中にアクセルぺダル17が踏込み操作されたり、パーキングレバー28(パーキングブレーキPBK)が操作されたりした場合には、規定時間KT中であっても、CPU60は、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを第1の減圧速度(第1の低下速度)Vaにて低下させる。一方、規定時間KT中にアクセルぺダル17やパーキングレバー28が操作されなかった場合には、CPU60は、規定時間KTの終了後に各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを第1の減圧速度Vaにて低下させる。
【0061】
本実施形態では、上記第1の実施形態の効果(1)(3)に加え、さらに以下に示す効果をも得ることができる。
(4)規定時間KT中においては、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BP(各車輪FR,FL,RR,RLに対する制動手段からの制動力)を、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWの絶対値が車輪速度閾値KVW以上になった直後のブレーキ液圧BPに所定値SBPを加算させたブレーキ液圧に設定する。その後、所定値SBP分だけ増圧されたブレーキ液圧BPが保持される。すなわち、各車輪速度センサSE3〜SE6の誤差などによって、所定時間STの経過後における実際の車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWが車輪速度閾値KVW以上の高速度になってしまうことを抑制できる。また、規定時間KT後においては、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを第1の減圧速度(第1の低下速度)Vaにて低下させる。そのため、規定時間KT後に、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPに基づき搭乗者が感じる引きずり感を低減させることができる。
【0062】
なお、各実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・各実施形態において、制御終了操作手段として機能する操作スイッチを、アクセルぺダル17やパーキングレバー28とは別途に設けてもよい。
【0063】
・各実施形態において、アクセルぺダル17やパーキングレバー28が操作された場合、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを第1の減圧速度Vaよりも高速度にて減圧させてもよい。
【0064】
・第1の実施形態において、ヒルホールド制御終了処理ルーチンのステップS33では、図9に示すように、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを、第1の減圧速度Vaよりも遅い減圧速度である第2の減圧速度(第2の低下速度)Vbにて減圧させるようにしてもよい。
【0065】
・同様に、第2の実施形態において、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧BPを、所定値SBP分だけ増圧させた後に、第2の減圧速度Vbにて減圧させるようにしてもよい。
【0066】
・各実施形態において、ブレーキペダル37は、搭乗者の足で操作するいわゆるフットペダル式のブレーキペダルではなく、手動で操作可能なブレーキペダルであってもよい。
・同様に、アクセルぺダル17は、搭乗者の足で操作するいわゆるフットペダル式のアクセルぺダルではなく、手動で操作可能なアクセルぺダルであってもよい。
【0067】
・各実施形態において、前輪駆動車に搭載された車両の制動力保持装置11ではなく、後輪駆動車に搭載される車両の制動力保持装置に具体化してもよい。また、四輪駆動車に搭載される車両の制動力保持装置に具体化してもよい。
【0068】
・各実施形態において、第1液圧回路33には右前輪FR用のホイールシリンダ36aと左前輪FL用のホイールシリンダ36bとが接続されると共に、第2液圧回路34には右後輪RR用のホイールシリンダ36cと左後輪RL用のホイールシリンダ36dとが接続されるような回路構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1の実施形態における車両の制動力保持装置のブロック図。
【図2】第1の実施形態における制動力付与機構のブロック図。
【図3】第1の実施形態におけるヒルホールド制御実行処理ルーチンを示すフローチャート。
【図4】第1の実施形態におけるヒルホールド制御終了判定処理ルーチンを示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態におけるヒルホールド制御終了処理ルーチンを示すフローチャート。
【図6】第1の実施形態におけるブレーキ液圧の変化に基づき車輪の車輪速度が変化する様子を示すタイミングチャート。
【図7】第1の実施形態におけるブレーキ液圧の変化に基づき車輪の車輪速度が変化する様子を示すタイミングチャート。
【図8】第2の実施形態におけるブレーキ液圧の変化に基づき車輪の車輪速度が変化する様子を示すタイミングチャート。
【図9】別例においてブレーキ液圧の変化に基づき車輪の車輪速度が変化する様子を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0070】
11…車両の制動力保持装置、17…アクセルぺダル(制御終了操作手段)、28…パーキングレバー(制御終了操作手段)、36a〜36d…ホイールシリンダ(制動手段)、37…ブレーキペダル、60…CPU(車輪速度検出手段、所定時間経過判定手段、車輪速度判定手段、制御手段、規定時間経過判定手段、制御終了判定手段)、BP…ブレーキ液圧(制動力)、FR,FL,RR,RL…車輪、KT…規定時間、KVW…車輪速度閾値、SE3〜SE6…車輪速度センサ(車輪速度検出手段)、SBP…所定値、ST…所定時間、Ta…経過時間、Va…第1の減圧速度(第1の低下速度)、Vb…第2の減圧速度(第2の低下速度)、VW…車輪の車輪速度。




 

 


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