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車両の制動制御装置、及び車両の制動制御方法 - 株式会社アドヴィックス
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発明の名称 車両の制動制御装置、及び車両の制動制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30752(P2007−30752A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−218945(P2005−218945)
出願日 平成17年7月28日(2005.7.28)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 横山 敏
要約 課題
アンチロックブレーキ制御が行われた場合において、車両に制動力が付与されてから車両が停止するまでの距離を良好に短縮させることができる車両制動制御装置及び車両の制動制御方法を提供する。

解決手段
車両制動時に、車両の車体減速度が車体減速度閾値以上であった場合、CPUは、高G制動であると判断し、前輪のスリップ率が第2のスリップ率閾値以上であって且つ第1のスリップ率閾値未満となるように前輪の制動力の保持及び増加を繰り返し実行する。そして、前輪のスリップ率が制御開始スリップ率閾値以上であって且つ車両の車体減速度が車輪減速度閾値よりも高い値となった場合には、CPUは、アンチロックブレーキ制御を開始させる。すなわち、CPUは、前輪の接地荷重を最大限増加させることにより、車両の制動力を増加させた状態としてからアンチロックブレーキ制御を開始する。
特許請求の範囲
【請求項1】
各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動力を付与する制動手段(18a,18b,18c,18d)と、
車両制動時に前記各車輪(FR,FL,RR,RL)がロックすることを抑制するアンチロックブレーキ制御の開始条件が成立したか否かを判定する制御開始判定手段(40)と、
該制御開始判定手段(40)の判定結果が否定判定である場合には、前輪(FR,FL)の制動力の保持及び増加が行われるように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御する一方、前記制御開始判定手段(40)の判定結果が肯定判定となった場合には、前記アンチロックブレーキ制御を開始させるように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御する制御手段(40)とを備えた車両の制動制御装置。
【請求項2】
前記各車輪(FR,FL,RR,RL)のスリップ率(SLF,SLR)を検出するスリップ率検出手段(40)と、
車両制動時に前記スリップ率検出手段(40)により検出された前記前輪(FR,FL)のスリップ率(SLF)が予め設定された第1のスリップ率閾値(KSLF1)以上であるか否かを判定する制動力保持判定手段(40)と、
車両制動時に前記スリップ率検出手段(40)により検出された前記前輪(FR,FL)のスリップ率(SLF)が前記第1のスリップ率閾値(KSLF1)よりも小さい値である第2のスリップ率閾値(KSLF2)未満であるか否かを判定する制動力増加判定手段(40)とをさらに備え、
前記制御手段(40)は、前記制御開始判定手段(40)の判定結果が否定判定である場合において、前記制動力保持判定手段(40)の判定結果が肯定判定となったときには前記前輪(FR,FL)の制動力を保持するように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御する一方、前記制動力増加判定手段(40)の判定結果が肯定判定となったときには前記前輪(FR,FL)の制動力を増加させるように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御する請求項1に記載の車両の制動制御装置。
【請求項3】
前記制御手段(40)は、前記アンチロックブレーキ制御を開始させるように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)の制御を開始してから初めて後輪(RR,RL)の制動力を増加させる後輪制動力増加制御が行われる際に、該後輪制動力増加制御を終了するタイミングを遅らせるようにした請求項1又は請求項2に記載の車両の制動制御装置。
【請求項4】
車両の車体減速度(DVS)を検出する車体減速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)と、
該車体減速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)によって検出された車両の車体減速度(DVS)が予め設定された車体減速度閾値(KG)以上であるか否かを判定する車体減速度判定手段(40)とをさらに備え、
前記制御開始判定手段(40)は、前記車体減速度判定手段(40)の判定結果が肯定判定である場合に、前記アンチロックブレーキ制御の開始条件が成立したか否かを判定する請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の車両の制動制御装置。
【請求項5】
車両制動時において、各車輪(FR,FL,RR,RL)のロックを抑制するアンチロックブレーキ制御の開始条件が成立していない場合には、前輪(FR,FL)の制動力の保持及び増加を行い、その後、前記アンチロックブレーキ制御の開始条件が成立した場合には、該アンチロックブレーキ制御が開始するようにした車両の制動制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制動時に車両の各車輪に対する制動力を制御することにより、各車輪のロックを抑制する車両の制動制御装置、及び車両の制動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両制動時(特に、急ブレーキ時)に各車輪のロックを抑制することにより、車両の操舵性を確保するアンチロックブレーキ制御(「ABS制御」ともいう。)を行う車両の制動制御装置及び車両の制動制御方法が広く知られている。このような車両の制動制御装置は、車両制動時に、アンチロックブレーキ制御を行うことにより、搭乗者がブレーキペダルを踏込んでから車両が停止するまでの距離(すなわち、停止距離)の短縮化を図っている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1の車両の制動制御装置は、車両制動時において車両の車体減速度が所定値よりも高いか否か(すなわち、高G制動であるか否か)を判定すると共に、ブレーキペダルの踏込み量が所定量よりも多いか否か(すなわち、急ブレーキであるか否か)を判定する。ちなみに、高G制動であって且つ急ブレーキである場合には、前輪側のμ値が多少低下するものの、車両の荷重が前輪側に移動することにより、前輪の接地荷重が充分に増加する結果、前輪の制動力の値が高くなる。その一方、車両の荷重が前輪側に移動することにより、後輪の接地荷重が低下する結果、後輪側が持ち上がる現象(いわゆるリヤリフトアップ)が発生するおそれがある。そこで、特許文献1の車両の制動制御装置は、高G制動であって且つ急ブレーキである場合(すなわち、前輪の制動力の値が高くなった場合)、前輪の制動力を一旦保持させることにより、車両制動時における前輪側への荷重移動を抑制し、リヤリフトアップを回避するようにしている。
【特許文献1】特許第2727907号公報(請求項2、段落番号[0014])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の車両の制動制御装置によるABS制御では、前輪の制動力の値が高い場合に、前輪の制動力を一旦保持させることにより、車両制動時におけるリヤリフトアップを回避し、車両における走行の安定性を確保するようにしている。ところが、この場合は、前輪の制動力を一旦保持することにより車両の車体減速度が低下してしまうため、アンチロックブレーキ制御が行われたとしても、停止距離が延びてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アンチロックブレーキ制御が行われた場合において、車両に制動力が付与されてから車両が停止するまでの距離を良好に短縮させることができる車両制動制御装置及び車両の制動制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、車両の制動制御装置にかかる請求項1に記載の発明は、各車輪(FR,FL,RR,RL)に制動力を付与する制動手段(18a,18b,18c,18d)と、車両制動時に前記各車輪(FR,FL,RR,RL)がロックすることを抑制するアンチロックブレーキ制御の開始条件が成立したか否かを判定する制御開始判定手段(40)と、該制御開始判定手段(40)の判定結果が否定判定である場合には、前輪(FR,FL)の制動力の保持及び増加が行われるように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御する一方、前記制御開始判定手段(40)の判定結果が肯定判定となった場合には、前記アンチロックブレーキ制御を開始させるように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御する制御手段(40)とを備えたことを要旨とする。
【0007】
この請求項1に記載の発明では、車両制動時において、制御開始判定手段の判定結果が否定判定である場合には、前輪の制動力の保持及び増加が繰り返されるため、車両の荷重が前輪側に移動することにより前輪の接地荷重が増加する結果、前輪の制動力が増加する。そして、このように車両の制動力が増加した状態でアンチロックブレーキ制御が開始されるため、このアンチロックブレーキ制御による車両の制動力が好適に確保される。したがって、アンチロックブレーキ制御が行われた場合において、車両に制動力が付与されてから車両が停止するまでの距離を良好に短縮させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の制動制御装置において、前記各車輪(FR,FL,RR,RL)のスリップ率(SLF,SLR)を検出するスリップ率検出手段(40)と、車両制動時に前記スリップ率検出手段(40)により検出された前記前輪(FR,FL)のスリップ率(SLF)が予め設定された第1のスリップ率閾値(KSLF1)以上であるか否かを判定する制動力保持判定手段(40)と、車両制動時に前記スリップ率検出手段(40)により検出された前記前輪(FR,FL)のスリップ率(SLF)が前記第1のスリップ率閾値(KSLF1)よりも小さい値である第2のスリップ率閾値(KSLF2)未満であるか否かを判定する制動力増加判定手段(40)とをさらに備え、前記制御手段(40)は、前記制御開始判定手段(40)の判定結果が否定判定である場合において、前記制動力保持判定手段(40)の判定結果が肯定判定となったときには前記前輪(FR,FL)の制動力を保持するように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御する一方、前記制動力増加判定手段(40)の判定結果が肯定判定となったときには前記前輪(FR,FL)の制動力を増加させるように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)を制御することを要旨とする。
【0009】
この請求項2に記載の発明では、制御開始判定手段の判定結果が否定判定である場合、前輪のスリップ率が第2のスリップ率閾値以上であって且つ第1のスリップ率閾値未満となるように制動手段が制御される。そのため、車両の制動に基づく車両の荷重移動により、前輪の接地荷重が最大限に増加する結果、車両の制動力を最大限増加させることができる。すなわち、車両の制動力が最大値となった状態でアンチロックブレーキ制御が開始されるため、車両の制動力を充分に確保することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両の制動制御装置において、前記制御手段(40)は、前記アンチロックブレーキ制御を開始させるように前記制動手段(18a,18b,18c,18d)の制御を開始してから初めて後輪(RR,RL)の制動力を増加させる後輪制動力増加制御が行われる際に、該後輪制動力増加制御を終了するタイミングを遅らせるようにしたことを要旨とする。
【0011】
この請求項3に記載の発明において、制御開始判定手段の判定結果が肯定判定になり、アンチロックブレーキ制御が開始されると、車両の荷重が前輪側から後輪側に移動する結果、後輪の接地荷重が増加(復帰)する。そして、この後輪の接地荷重の復帰に対応するために、制御手段は、アンチロックブレーキ制御が開始されてから初めて行う後輪制動力増加制御を終了させるタイミングを遅らせるようにした。すなわち、後輪側の接地荷重の復帰に対応するために、後輪の制動力をより増加させるようにした。そのため、後輪の接地荷重が復帰した際に、後輪の制動力を確保することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の車両の制動制御装置において、車両の車体減速度(DVS)を検出する車体減速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)と、該車体減速度検出手段(40,SE1,SE2,SE3,SE4)によって検出された車両の車体減速度(DVS)が予め設定された車体減速度閾値(KG)以上であるか否かを判定する車体減速度判定手段(40)とをさらに備え、前記制御開始判定手段(40)は、前記車体減速度判定手段(40)の判定結果が肯定判定である場合に、前記アンチロックブレーキ制御の開始条件が成立したか否かを判定することを要旨とする。
【0013】
この請求項4に記載の発明においては、車体減速度判定手段の判定結果が肯定判定となった場合に、前輪の接地荷重を増加させるための制御やアンチロックブレーキ制御が行われる。すなわち、上記の各制御は、車両の車体減速度が高い場合(すなわち、高G制動の場合)に行われる。したがって、本発明は、高G制動の場合に、車両に制動力が付与されてから車両が停止するまでの距離を良好に短縮させることができる。
【0014】
一方、車両の制動制御方法にかかる請求項5に記載の発明は、車両制動時において、各車輪(FR,FL,RR,RL)のロックを抑制するアンチロックブレーキ制御の開始条件が成立していない場合には、前輪(FR,FL)の制動力の保持及び増加を行い、その後、前記アンチロックブレーキ制御の開始条件が成立した場合には、該アンチロックブレーキ制御が開始するようにしたことを要旨とする。
【0015】
この請求項5に記載の発明では、請求項1に記載の発明の場合と同様の作用効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。また、特に説明がない限り、以下の記載における左右方向は、車両進行方向における左右方向と一致するものとする。
【0017】
図1に示すように、本実施形態における車両の制動制御装置11は、複数(本実施形態では4つ)の車輪(右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RL)を有する車両に搭載されている。車両の制動制御装置11は、マスタシリンダ12及びブースタ13を有する液圧発生装置14と、2つの液圧回路15,16を有する液圧制御装置(図1では二点鎖線で示す。)17を備えている。各液圧回路15,16は、液圧発生装置14に接続されると共に、各車輪FR,FL,RR,RLに対応して設けられたホイールシリンダ(制動手段)18a,18b,18c,18dに接続されている。また、車両の制動制御装置11には、液圧制御装置17を制御するための電子制御装置(「ECU」ともいう。)19が設けられている。
【0018】
液圧発生装置14には、ブレーキペダル20が設けられており、このブレーキペダル20が車両の搭乗者によって操作されたことに基づき、液圧発生装置14のマスタシリンダ12及びブースタ13が駆動するようになっている。また、マスタシリンダ12には、2つの出力ポート12a,12bが設けられており、各出力ポート12a,12bのうち一方の出力ポート12aには第1液圧回路15が接続されると共に、他方の出力ポート12bには第2液圧回路16が接続されている。また、液圧発生装置14には、ブレーキペダル20が操作された場合に電子制御装置19に向けて制動制御を開始させるための信号を送信するブレーキスイッチSW1が設けられている。
【0019】
液圧制御装置17には、第1液圧回路15内のブレーキ液圧を昇圧するためのポンプ21と、第2液圧回路16内のブレーキ液圧を昇圧するためのポンプ22と、各ポンプ21,22を同時に駆動させるモータMとが設けられている。また、各液圧回路15,16上にはブレーキオイルが貯留されるリザーバ23,24が設けられており、各リザーバ23,24内のブレーキオイルは、ポンプ21,22の駆動に基づき液圧回路15,16内に供給されるようになっている。また、各液圧回路15,16には、マスタシリンダ12内のブレーキ液圧を検出するための液圧センサPS1,PS2が設けられている。
【0020】
第1液圧回路15には、右前輪FRに対応するホイールシリンダ18aに接続されるホイールシリンダ18a用(右前輪FR用)の右前輪用経路15aと、左後輪RLに対応するホイールシリンダ18dに接続されるホイールシリンダ18d用(左後輪RL用)の左後輪用経路15bとが形成されている。そして、これら各経路15a,15b上には、常開型の電磁弁25,26と常閉型の電磁弁27,28とがそれぞれ設けられている。
【0021】
同様に、第2液圧回路16には、左前輪FLに対応するホイールシリンダ18bに接続されるホイールシリンダ18b用(左前輪FL用)の左前輪用経路16aと、右後輪RRに対応するホイールシリンダ18cに接続されるホイールシリンダ18c用(右後輪RR用)の右後輪用経路16bとが形成されている。そして、これら各経路16a,16b上には、常開型の電磁弁29,30と常閉型の電磁弁31,32とがそれぞれ設けられている。
【0022】
ここで、上記各電磁弁25〜32のソレノイドコイルが通電状態にある場合及び非通電状態にある場合の各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧の変化について説明する。
【0023】
まず、各電磁弁25〜32のソレノイドコイルが全て非通電状態にある場合には、常開型の電磁弁25,26,29,30は開き状態のままであると共に、常閉型の電磁弁27,28,31,32は閉じ状態のままである。そのため、マスタシリンダ12からブレーキオイルが各経路15a,15b,16a,16bを介して各ホイールシリンダ18a〜18d内に流入し、各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧は上昇することになる。
【0024】
一方、各電磁弁25〜32のソレノイドコイルが全て通電状態にある場合には、常開型の電磁弁25,26,29,30が閉じ状態となると共に、常閉型の電磁弁27,28,31,32が開き状態となる。そのため、各ホイールシリンダ18a〜18d内からブレーキオイルが各経路15a,15b,16a,16bを介してリザーバ23,24へと流出し、各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧は降下することになる。
【0025】
そして、各電磁弁25〜32のうち常開型の電磁弁25,26,29,30のソレノイドコイルのみが通電状態にある場合には、全ての電磁弁25〜32が閉じ状態となる。そのため、各経路15a,15b,16a,16bを介したブレーキオイルの流動が規制される結果、各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧はその液圧レベルが保持されることになる。
【0026】
図2に示すように、電子制御装置19は、制御手段としてのCPU40、ROM41、及びRAM42などを備えたデジタルコンピュータと、各装置を駆動させるための駆動回路(図示略)とを主体として構成されている。ROM41には、液圧制御装置17(モータM及び各電磁弁25〜32の駆動)を制御するための制御プログラム、及び各種閾値(後述する第1のスリップ率閾値、第2のスリップ率閾値及び車体減速度閾値など)が記憶されている。また、RAM42には、車両の制動制御装置11の駆動中に適宜書き換えられる各種の情報が記憶されるようになっている。
【0027】
また、電子制御装置19の入力側インターフェース(図示略)には、上記ブレーキスイッチSW1、液圧センサPS1,PS2、及び各車輪FL,FR,RL,RRの車輪速度を検出するための車輪速度センサSE1,SE2,SE3,SE4がそれぞれ接続されている。すなわち、CPU40は、ブレーキスイッチSW1、液圧センサPS1,PS2、及び車輪速度センサSE1〜SE4からの各信号を受信するようになっている。一方、電子制御装置19の出力側インターフェース(図示略)には、各ポンプ21,22を駆動させるためのモータM及び各電磁弁25〜32が接続されている。そして、CPU40は、上記スイッチSW1及び各センサPS1,PS2,SE1〜SE4からの入力信号に基づき、モータM及び各電磁弁25〜32の動作を個別に制御するようになっている。
【0028】
次に、本実施形態のCPU40が実行する制御処理ルーチンのうち、ブレーキスイッチSW1からの信号をCPU40が受信した場合に実行するアンチロックブレーキ制御処理ルーチンについて図3及び図4に示すフローチャート及び図5に示すタイミングチャートを参照しながら以下説明する。
【0029】
さて、CPU40は、所定周期毎にアンチロックブレーキ制御処理ルーチンを実行する。そして、このアンチロックブレーキ制御処理ルーチンにおいて、CPU40は、まず各車輪速度センサSE1〜SE4から受信した信号に基づき、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWをそれぞれ検出する(ステップS10)。なお、本実施形態では、説明理解の便宜上、右前輪FRの車輪速度VWと左前輪FLの車輪速度VWとは同一の値となると共に、右後輪RRの車輪速度VWと左後輪RLの車輪速度VWとは同一の値となるものとする。
【0030】
続いて、CPU40は、車両の車体速度(推定車体速度)VSを検出する(ステップS11)。具体的には、CPU40は、ステップS10にて検出した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWのうち最も大きな値のものを車両の車体速度VSと設定する。そして、CPU40は、ステップS11にて検出した車両の車体速度VSを微分することにより、車両の車体減速度(推定車体減速度)DVSを検出(演算)する(ステップS12)。この点で、本実施形態では、車輪速度センサSE1〜SE4及びCPU40が、車両の車体減速度DVSを検出する車体減速度検出手段として機能する。
【0031】
続いて、CPU40は、高G制動であるか否か(すなわち、車両の車体減速度DVSが大きいか否か)を判断するために、ステップS12にて検出された車両の車体減速度DVSがROM41に予め設定された車体減速度閾値KG以上であるか否かを判定する(ステップS13)。この車体減速度閾値KGは、高G制動であるか否かを判断するための閾値であり、実験やシミュレーションなどによって設定される。そして、ステップS13の判定結果が否定判定(DVS<KG)である場合、CPU40は、高G制動ではないと判断し、アンチロックブレーキ制御処理ルーチンを終了する。一方、ステップS13の判定結果が肯定判定(DVS≧KG)である場合、CPU40は、高G制動であると判断し、その処理を後述するステップS14に移行する。この点で、本実施形態では、CPU40が、車体減速度判定手段として機能する。
【0032】
ここで、高G制動である場合には、図5(a)(d)に示すように、車両の荷重が前輪FR,FL側に移動する。すなわち、図5(b)(e)に示すように、ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧の増圧に基づき各車輪FR,FL,RR,RLの制動力が増加するにつれて、車両の荷重は、後輪RR,RL側から前輪FR,FL側に移動する。すると、前輪FR,FLの接地荷重は次第に増加すると共に、後輪RR,RLの接地荷重は次第に減少する。
【0033】
そして、ステップS14において、CPU40は、前輪FR,FLのスリップ率SLFと後輪RR,RLのスリップ率SLRとをそれぞれ検出(演算)する。具体的には、CPU40は、車両の車体速度VSに対する前輪FR,FLのスリップ率SLFと後輪RR,RLのスリップ率SLRとを演算する。この点で、本実施形態では、CPU40が、ステップS10にて検出した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWに基づき各車輪FR,FL,RR,RLのスリップ率SLF,SLRを検出するスリップ率検出手段としても機能する。ここで、前輪FR,FLのスリップ率SLF及び後輪RR,RLのスリップ率SLRは下記の各条件式を基にそれぞれ演算される。
【0034】
(前輪FR,FLのスリップ率SLF)=((前輪FR,FLの車輪速度VW)―(車両の車体速度VS))/(車両の車体速度VS)…(1)
(後輪RR,RLのスリップ率SLR)=((後輪RR,RLの車輪速度VW)―(車両の車体速度VS))/(車両の車体速度VS)…(2)
続いて、CPU40は、ステップS10にて検出した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWをそれぞれ微分することにより、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪減速度DVWをそれぞれ検出(演算)する(ステップS15)。そして、CPU40は、ABSフラグABSFが「OFF」であるか否かを判定する(ステップS16)。このABSフラグABSFは、車両制動時に各車輪FR,FL,RR,RLのロックを抑制するためのアンチロックブレーキ制御が行われているか否かを判断するためのフラグであり、図5(c)に示すように、アンチロックブレーキ制御の開始条件が成立した場合に「ON」にセットされる。そして、ステップS16の判定結果が否定判定(ABSF=「ON」)である場合、CPU40は、その処理を後述するステップS25に移行する。
【0035】
一方、ステップS16の判定結果が肯定判定(ABSF=「OFF」)である場合、CPU40は、ステップS14にて検出した前輪FR,FLのスリップ率SLFが予め設定された制御開始スリップ率閾値KSLFよりも大きいか否かを判定する(ステップS17)。この制御開始スリップ率閾値KSLFは、アンチロックブレーキ制御を開始させるための必要条件となる閾値であり、実験やシミュレーションなどによって設定される。そして、ステップS17の判定結果が否定判定(SLF≦KSLF)である場合、CPU40は、その処理を後述するステップS20に移行する。
【0036】
一方、ステップS17の判定結果が肯定判定(SLF>KSLF)である場合、CPU40は、ステップS15にて検出した前輪FR,FLの車輪減速度DVWがROM41に予め設定された車輪減速度閾値KDVWよりも大きいか否かを判定する(ステップS18)。この車輪減速度閾値KDVWは、アンチロックブレーキ制御を開始させるための必要条件となる閾値であり、実験やシミュレーションなどによって設定されている。そして、ステップS18の判定結果が肯定判定(DVW>KDVW)である場合、CPU40は、アンチロックブレーキ制御を開始させるために、ABSフラグABSFを「ON」にセットし(ステップS19)、その処理を後述するステップS24に移行する。すなわち、CPU40は、ステップS17,S18のうち何れか一方が否定判定である場合にはアンチロックブレーキ制御の開始条件が成立していないものと判断する一方、ステップS17,S18の判定結果が両方とも肯定判定である場合にはアンチロックブレーキ制御の開始条件が成立したものと判断する。この点で、本実施形態では、CPU40が、アンチロックブレーキ制御の開始条件が成立したか否かを判定する制御開始判定手段としても機能する。
【0037】
一方、ステップS17の判定結果が否定判定(SLF≦KSLF)又はステップS18の判定結果が否定判定(DVW≦KDVW)である場合、CPU40は、ステップS14にて検出した前輪FR,FLのスリップ率SLFがROM41に予め設定された第1のスリップ率閾値KSLF1以上であるか否かを判定する(ステップS20)。この点で、本実施形態では、CPU40が、制動力保持判定手段としても機能する。なお、第1のスリップ率閾値KSLF1は、前輪FR,FLに装着されるタイヤ(図示略)のμ値とスリップ率との関係を調査し、μ値が最大(いわゆるμピーク)となる直前のスリップ率に設定される。そのため、前輪FR,FLのスリップ率SLFが第1のスリップ率閾値KSLF1未満である場合には、リヤリフトアップ現象(後輪RR,RLが持ち上がる現象)が発生するおそれもなく、車両における走行の安定性が充分に確保される。
【0038】
そして、ステップS20の判定結果が肯定判定(SLF≧KSLF1)である場合、CPU40は、前輪FR,FLの制動力を保持させるために前輪制動力保持制御を行う(ステップS21)。具体的には、CPU40は、前輪FR,FLに制動力を付与するホイールシリンダ18a,18b内のブレーキ液圧を保圧(保持)するために、右前輪用経路15a上の電磁弁25及び左前輪用経路16a上の電磁弁29の各ソレノイドを通電状態とすることにより、各電磁弁25,29を閉じ状態とする。その後、CPU40は、その処理を後述するステップS22に移行する。一方、ステップS20の判定結果が否定判定(SLF<KSLF1)である場合、CPU40は、ステップS21を実行することなく、その処理をステップS22に移行する。
【0039】
ステップS22において、CPU40は、ステップS14にて検出した前輪FR,FLのスリップ率SLFがROM41に予め設定された第2のスリップ率KSLF2(<第1のスリップ率閾値KSLF1)未満であるか否かを判定する。この点で、本実施形態では、CPU40が、制動力増加判定手段としても機能する。なお、この第2のスリップ率閾値KSLF2は、前輪FR,FLのスリップ率SLFが第2のスリップ率閾値KSLF2以上である場合に車両の制動力が充分に確保されるような値であって、実験やシミュレーションなどによって設定される。
【0040】
そして、ステップS22の判定結果が肯定判定(SLF<KSLF2)である場合、CPU40は、前輪FR,FLの制動力を増加させるために前輪制動力増加制御を行う(ステップS23)。具体的には、CPU40は、前輪FR,FLに制動力を付与するホイールシリンダ18a,18b内のブレーキ液圧を増圧するために、右前輪用経路15a上の電磁弁25及び左前輪用経路16a上の電磁弁29の各ソレノイドを非通電状態とすることにより、各電磁弁25,29を開き状態とする。その後、CPU40は、アンチロックブレーキ制御処理ルーチンを終了する。一方、ステップS22の判定結果が否定判定(SLF≧KSLF2)である場合、CPU40は、ステップS23を実行することなく、アンチロックブレーキ制御処理ルーチンを終了する。
【0041】
ここで、CPU40は、ステップS17,S18のうち何れか一方が否定判定である場合、図5(b)に示すように、前輪FR,FLの制動力の保持及び増加が行われるようにホイールシリンダ18a,18b内のブレーキ液圧の保圧及び増加を繰り返し実行する。すなわち、CPU40は、ブレーキスイッチSW1からの信号をCPU40が受信してからの時間(以下、「経過時間」という。)t1を経過したときに前輪制動力保持制御を開始し、経過時間t2(>t1)を経過したときに前輪制動力増加制御を開始する。そして、CPU40は、経過時間t3(>t2)を経過したときに前輪制動力保持制御を開始し、経過時間t4(>t3)を経過したときに前輪制動力増加制御を開始し、経過時間t5(>t4)を経過したときに前輪制動力保持制御を開始する。
【0042】
このように制御を行うと、図5(a)に実線で示すように、車両の荷重が後輪RR,RLから前輪FR,FL側に移動し、前輪FR,FLの接地荷重が次第に増加する。そして、従来の制動制御方法の場合(図5(a)にて一点鎖線で示す)における前輪FR,FLの接地荷重に比して、充分に大きな値の前輪FR,FLの接地荷重が得られる。すなわち、本実施形態の制動制御方法では、前輪FR,FLに装着されたタイヤがμピークとなる際の前輪FR,FLの接地荷重よりも大きな値の接地荷重を得ることができる。
【0043】
一方、ステップS18の判定結果が肯定判定である場合、CPU40は、上述したようにステップS19を実行した後に、アンチロックブレーキ制御を実行する(ステップS24)。すなわち、CPU40は、図5(b)(e)に示すように、前輪FR,FLの制動力の減少及び保持を繰り返すと共に、後輪RR,RLの制動力の増加、保持及び減少を順次行う。その後、CPU40は、アンチロックブレーキ制御処理ルーチンを終了する。
【0044】
ここで、アンチロックブレーキ制御の開始条件が成立した直後においては、図5(a)に実線で示すように、前輪FR,FLの接地荷重が最大となる。そのタイミングで、各車輪FR,FL,RR,RLのロックを回避するために、CPU40は、図5(b)(c)に示すように、アンチロックブレーキ制御の開始に基づき各車輪FR,FL,RR,RLの制動力を減少させるために各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧を減圧させる。すると、図5(a)(d)に示すように、前輪FR,FLの接地荷重が減少し始めると共に、後輪RR,RLの接地荷重は増加(復帰)し始める。そして、その後も引き続きアンチロックブレーキ制御を実行することにより、各車輪FR,FL,RR,RLの接地荷重が略安定状態となる。
【0045】
一方、ステップS16の判定結果が否定判定である場合、CPU40は、ABSフラグABSFが「ON」にセットされてから初めての後輪制動力増加制御(後輪RR,RLの制動力を増加させる制御)が実行中であるか否かを判定する(ステップS25)。具体的には、CPU40は、ABSフラグABSFが「ON」にセットされてから初めて後輪RR,RL用の電磁弁26,28,30,32が全て非通電状態になったか否かを判断する。すなわち、ABSフラグABSFが「ON」にセットされてから初めて後輪RR,RL用の電磁弁26,28,30,32が全て非通電状態となった場合には、判定用フラグが「ON」に設定され、CPU40は、判定用フラグが「ON」であるか否かを判定する。そして、ステップS25の判定結果が否定判定(判定用フラグ=「OFF」)である場合、CPU40は、その処理をステップS24に移行する。
【0046】
一方、ステップS25の判定結果が肯定判定(判定用フラグ=「ON」)である場合、CPU40は、後輪制動力増加補助制御を実行する(ステップS26)。具体的には、CPU40は、後輪制動力増加制御を終了するタイミングを所定時間T1だけ遅らせる。すなわち、CPU40は、左後輪用経路15b上の電磁弁26、及び右後輪用経路16b上の電磁弁30を通電状態とするタイミングを所定時間T1だけ遅らせる。その後、CPU40は、アンチロックブレーキ制御処理ルーチンを終了する。
【0047】
ここで、アンチロックブレーキ制御が開始すると、上述したように、後輪RR,RLの接地荷重が増加(復帰)する。そこで、本実施形態では、後輪制動力増加補助制御を実行することにより、ABSフラグABSFが「ON」にセットされてから初めての後輪制動力増加制御を終了するタイミングを、従来の制動制御方法の場合(図5(e)では破線で示す。)に比して所定時間T1だけ遅らせる。そのため、後輪RR,RL用のホイールシリンダ18c,18d内のブレーキ液圧が増圧する。
【0048】
なお、本実施形態では、CPU40は、ブレーキスイッチSW1からの信号を受信しなくなった場合、ABSフラグABSFを「OFF」に設定すると共に、アンチロックブレーキ制御を停止させる。
【0049】
次に、本実施形態における車両の制動制御方法について、図6に基づき以下説明する。
さて、車両の走行中に搭乗者がブレーキペダル20を踏込むと、各車輪FR,FL,RR,RLには各ホイールシリンダ18a〜18dから制動力が付与される。しかも、高G制動(車両の車体減速度DVS≧車体減速度閾値KG)である場合には、車両の制動力の増加に伴い、車両の荷重が後輪RR,RL側から前輪FR,FL側に移動する。すなわち、前輪FR,FLの接地荷重が増加すると共に、後輪RR,RLの接地荷重が減少する(図5(a)(d)参照)。また、図6に実線で示すように、車両の制動力の増加に伴い、前輪FR,FLのスリップ率SLFが増加する。
【0050】
そして、前輪FR,FLのスリップ率SLF≧第1のスリップ率閾値KSLF1となった場合には、車両の制動力を保持すべく、前輪FR,FLの制動力が保持される。すなわち、前輪FR,FL用のホイールシリンダ18a,18b内のブレーキ液圧を保圧するように、各電磁弁25,29が閉じ状態とされる。すると、前輪FR,FLのスリップ率SLFが低下すると共に(図6参照)、前輪FR,FLの接地荷重が増加する(図5(a)参照)。
【0051】
そして、前輪FR,FLのスリップ率SLF<第2のスリップ率閾値KSLF2となった場合には、車両の制動力を増加させるべく、前輪FR,FLの制動力を増加させる。すなわち、前輪FR,FL用のホイールシリンダ18a,18b内のブレーキ液圧を増圧させるように、各電磁弁25,29が開き状態とされる。すると、前輪FR,FLのスリップ率SLFが上昇すると共に(図6参照)、前輪FR,FLの接地荷重が増加する(図5(a)参照)。
【0052】
このように前輪制動力保持制御及び前輪制動力増加制御を繰り返し実行すると、前輪FR,FLの接地荷重が最大限に増加し、その結果、図6に示すように、前輪FR,FLの制動力は、上記各制御を実行しなかった場合に比して増加する。そして、前輪FR,FLのスリップ率SLF>制御開始スリップ率閾値KSLFとなると共に、車輪減速度DVW>車輪減速度閾値KDVWとなった場合には、アンチロックブレーキ制御が開始される。
【0053】
すなわち、まず、各車輪FR,FL,RR,RLのロックを抑制するために、各車輪FR,FL,RR,RLの制動力が減少される。すると、車両の荷重移動の方向が逆転し、後輪RR,RLの接地荷重が増加し始める。そして次に、各車輪FR,FL,RR,RLの制動力を保持するように、各ホイールシリンダ18a〜18d内のブレーキ液圧が保持(保圧)され、その後、後輪RR,RLの制動力を増加させるために、後輪RR,RL用のホイールシリンダ18c,18d内のブレーキ液圧が増圧される。すなわち、後輪RR,RL側では、アンチロックブレーキ制御が開始されてから初めての後輪制動力増加制御が行われる。この際に、本実施形態の制動力制御方法では、従来の制動制御方法に比して所定時間T1だけ長く後輪制動力増加制御を行う。そのため、アンチロックブレーキ制御の開始に基づき後輪RR,RLの接地荷重が増加(復帰)した際において、後輪RR,RLの制動力が良好に確保される。
【0054】
そして次に、後輪RR,RL側においては、後輪RR,RLの制動力を保持するために、後輪RR,RL用のホイールシリンダ18c,18d内のブレーキ液圧が保圧される。その後、各車輪FR,FL,RR,RLに対するアンチロックブレーキ制御が引き続き実行される。この際において、本実施形態におけるアンチロックブレーキ制御開始時の車両の制動力は、従来の制動制御方法におけるアンチロックブレーキ制御開始時の車両の制動力に比して、充分に増加している(図6参照)。そのため、本実施形態の制動制御方法では、従来の制動制御方法の場合に比して、搭乗者がブレーキペダル20を踏込んでから車両が停止するまでの距離(いわゆる停止距離)が良好に短縮される。
【0055】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)車両制動時において、ステップS17,18のうち何れか一方の判定結果が否定判定である場合には、前輪FR,FLの制動力の保持及び増加が繰り返されるため、車両の荷重が前輪FR,FL側に移動することにより前輪FR,FLの接地荷重が増加する結果、車両の制動力(特に、前輪FR,FLの制動力)が増加する。そして、このように車両の制動力が増加した状態でステップS17,18の判定結果が共に肯定判定となり、アンチロックブレーキ制御が開始されるため、このアンチロックブレーキ制御による車両の制動力が確保される。したがって、アンチロックブレーキ制御が行われた場合において、車両に制動力が付与されてから車両が停止するまでの距離を良好に短縮させることができる。
【0056】
(2)ステップS17,18のうち何れか一方の判定結果が否定判定である場合、前輪FR,FLのスリップ率SLFが第2のスリップ率閾値KSLF2以上であって且つ第1のスリップ率閾値KSLF1未満となるように各ホイールシリンダ(制動手段)18a,18b内のブレーキ液圧が制御される。そのため、車両の制動に基づく車両の荷重移動により、前輪FR,FLの接地荷重を最大限増加させる結果、車両の制動力を最大限増加させることができる。すなわち、前輪FR,FLの制動力が最大値となった状態でアンチロックブレーキ制御が開始されるため、車両の制動力を充分に確保することができる。
【0057】
(3)ステップS17,S18の判定結果が共に肯定判定になり、アンチロックブレーキ制御が開始されると、車両の荷重が前輪FR,FL側から後輪RR,RL側に移動する結果、後輪RR,RLの接地荷重が増加(復帰)する。そして、この後輪RR,RLの接地荷重の復帰に対応するために、CPU(制御手段)40は、アンチロックブレーキ制御が開始されてから初めて行う後輪制動力増加制御を終了させるタイミングを所定時間T1だけ遅らせるようにした。すなわち、後輪RR,RLの接地荷重の復帰に対応するために、後輪RR,RLの制動力を増加させるようにした。そのため、後輪RR,RLの接地荷重が復帰した際に、後輪RR,RLの制動力を確保することができる。
【0058】
(4)ステップS13の判定結果が肯定判定となった場合に、前輪FR,FLの接地荷重を増加させるための制御やアンチロックブレーキ制御が行われる。すなわち、上記の各制御は、車両の車体減速度DVSが高い場合(すなわち、高G制動の場合)に行われる。したがって、本実施形態は、高G制動の場合に、車両に制動力が付与されてから車両が停止するまでの距離を良好に短縮させることができる。
【0059】
なお、実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・実施形態において、重心が比較的高い位置にある車両(例えば1BOX車等の高重心車両)に制動制御装置11が搭載されている場合、ステップS13を省略してもよい。すなわち、高重心車両は、車両の車体減速度DVSが小さい場合(すなわち、低G制動の場合)でも、車両制動時に車両の荷重が前輪FR,FL側に大きく移動する場合がある。そのため、低G制動の場合であっても、車両に制動力が付与されてから車両が停止するまでの距離を短縮させることができる。
【0060】
・実施形態において、後輪制動力増加補助制御(ステップS26)は必ずしも実行しなくてよい。
・実施形態において、ROM41に第1のスリップ率閾値KSLF1及び第2のスリップ率閾値KSLF2を記憶させなくてもよい。この場合、ステップS13にて高G制動であると判定された場合に、前輪FR,FLの制動力の保持及び増加を繰り返すように各ホイールシリンダ18a,18b内のブレーキ液圧を制御してもよい。
【0061】
・実施形態において、ステップS17,S18のうち何れか一方が肯定判定である場合に、アンチロックブレーキ制御が開始されるようにしてもよい。
・実施形態において、車体に車体減速度センサ(「Gセンサ」ともいう。)を配設し、この車体減速度センサによって車両の車体減速度DVSを検出するようにしてもよい。
【0062】
・実施形態において、第1液圧回路15には右前輪FR用のホイールシリンダ18aと左前輪FL用のホイールシリンダ18bとが接続されると共に、第2液圧回路16には右後輪RR用のホイールシリンダ18cと左後輪RL用のホイールシリンダ18dとが接続されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態における車両の制動制御装置のブロック図。
【図2】本実施形態における電子制御装置のブロック図。
【図3】アンチロックブレーキ制御処理ルーチンを示すフローチャート(前半部分)。
【図4】アンチロックブレーキ制御処理ルーチンを示すフローチャート(後半部分)。
【図5】(a)は前輪の接地荷重の変化を示すタイミングチャート、(b)は前輪の制動力の変化を示すタイミングチャート、(c)はABSフラグのON/OFFの切り替えを示すタイミングチャート、(d)は後輪の接地荷重の変化を示すタイミングチャート、(e)は後輪の制動力の変化を示すタイミングチャート。
【図6】前輪のスリップ率と車両の制動力の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0064】
11…車両の制動制御装置、18a〜18d…ホイールシリンダ(制動手段)、40…CPU(制御開始判定手段、制御手段、スリップ率検出手段、制動力保持判定手段、制動力増加判定手段、車体減速度検出手段、車体減速度判定手段)、DVS…車体減速度、FR,FL…前輪(車輪)、KG…車体減速度閾値、KSLF1…第1のスリップ率閾値、KSLF2…第2のスリップ率閾値、SE1〜SE4…車輪速度センサ(車体減速度検出手段)、SLF…前輪のスリップ率、SLR…後輪のスリップ率、RR,RL…後輪(車輪)。




 

 


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