米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 車両 -> 富士重工業株式会社

発明の名称 電動パーキングブレーキ制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−203861(P2007−203861A)
公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
出願番号 特願2006−24396(P2006−24396)
出願日 平成18年2月1日(2006.2.1)
代理人 【識別番号】100123696
【弁理士】
【氏名又は名称】稲田 弘明
発明者 巻島 孝治 / 内村 容基也 / 市川 勝文
要約 課題
路面の摩擦係数に関わらず動的制動時における車両の操縦安定性を確保する電動パーキングブレーキ制御装置を提供する。

解決手段
パーキングブレーキ10の制動力を変更する電動アクチュエータ20を制御する電動パーキングブレーキ制御装置40,60を、車両の走行状態に基づいて路面の推定摩擦係数を算出する摩擦係数推定部61と、パーキングブレーキ10が解除された状態において、推定摩擦係数に応じてパーキングブレーキ10の目標減速度を設定する目標減速度設定部41bと、パーキングブレーキ10の制動時に、目標減速度に応じて電動アクチュエータ20を制御する制御部41cとを備える構成とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
パーキングブレーキの制動力を変更する電動アクチュエータを制御する電動パーキングブレーキ制御装置において、
車両の走行状態に基づいて路面の推定摩擦係数を算出する摩擦係数推定部と、
前記パーキングブレーキが解除された状態において、前記推定摩擦係数に応じて前記パーキングブレーキの目標減速度を設定する目標減速度設定部と、
前記パーキングブレーキの制動時に、前記目標減速度に応じて前記電動アクチュエータを制御する制御部と
を備えることを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、
前記目標減速度設定部は、前記推定摩擦係数が所定の摩擦係数判定値よりも小さい場合は、前記推定摩擦係数に応じて設定される変数を目標減速度とすること
を特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、
前記目標減速度設定部は、前記推定摩擦係数が所定の摩擦係数判定値よりも大きい場合は、所定の定数を目標減速度とすること
を特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、
前記パーキングブレーキによって制動される制動対象輪の前記路面に対するスリップを検出するスリップ検出部を備え、
前記制御部は、前記スリップ検出部がスリップを検出した場合に前記電動パーキングブレーキを解除すること
を特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、
前記制御部は、前記目標減速度設定部が設定する前記目標減速度の低下に応じて、前記パーキングブレーキの制動開始から前記目標減速度が得られる制動力の発生までの所要時間を増加させることを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置である。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に備えられる電動パーキングブレーキ装置の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動パーキングブレーキは、車両の駐停車時等に制動を行うパーキングブレーキを、例えばモータ等の電動アクチュエータを用いて駆動するものである。
このような電動パーキングブレーキは、運転者が電気的なスイッチによって操作できるから、一般的な手動レバーや足踏みペダルによる操作に対して労力が低減され、また、車両の状態に応じて自動的に作動させることによって、ATクリープや坂道の傾斜等に起因する運転者の意図しない車両の動き出しを防止することができ、安全性の向上にも寄与するものである。
【0003】
また、電動パーキングブレーキは、フットブレーキ(サービスブレーキ)を補助し、また、バックアップするため、車両が走行中に制動(動的制動)させることが知られている。
ここで、電動パーキングブレーキは、後輪を制動することが一般的であるが、電動パーキングブレーキの制動力が過大なことに起因してホイールロックが生じると、車両の操縦安定性が損なわれる。従来、電動パーキングブレーキは、車両の減速度に応じて制動力を制御するとともに、前後輪間において所定の速度差が生じた場合に制動力を低減してホイールロックを防止したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−142516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の電動パーキングブレーキは、路面の摩擦係数が設計時に想定された値よりも小さい場合には、路面の摩擦係数に対して初期制動力が過大となってホイールロックが発生し、その後の制御によってホイールロック状態が解消されるまでの間は操縦安定性が低下する。
本発明の課題は、路面の摩擦係数に関わらず動的制動時における車両の操縦安定性を確保する電動パーキングブレーキ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1の発明は、パーキングブレーキの制動力を変更する電動アクチュエータを制御する電動パーキングブレーキ制御装置において、車両の走行状態に基づいて路面の推定摩擦係数を算出する摩擦係数推定部と、前記パーキングブレーキが解除された状態において、前記推定摩擦係数に応じて前記パーキングブレーキの目標減速度を設定する目標減速度設定部と、前記パーキングブレーキの制動時に、前記目標減速度に応じて前記電動アクチュエータを制御する制御部とを備えることを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、前記目標減速度設定部は、前記推定摩擦係数が所定の摩擦係数判定値よりも小さい場合は、前記推定摩擦係数に応じて設定される変数を目標減速度とすることを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、前記目標減速度設定部は、前記推定摩擦係数が所定の摩擦係数判定値よりも大きい場合は、所定の定数を目標減速度とすることを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、前記パーキングブレーキによって制動される制動対象輪の前記路面に対するスリップを検出するスリップ検出部を備え、前記制御部は、前記スリップ検出部がスリップを検出した場合に前記電動パーキングブレーキを解除することを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、前記制御部は、前記目標減速度設定部が設定する前記目標減速度の低下に応じて、前記パーキングブレーキの制動開始から前記目標減速度が得られる制動力の発生までの所要時間を増加させることを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)電動パーキングブレーキの動的制動を開始する前に路面の推定摩擦係数を算出し、この推定摩擦係数に基づいて目標減速度を設定することによって、摩擦係数が低い路面において、制動初期に制動力が過大となってホイールロックが発生することを未然に防止し、動的制動における車両の操縦安定性を確保することができる。
(2)推定摩擦係数が所定の摩擦係数判定値よりも小さい場合に、推定摩擦係数に応じて設定される変数を目標減速度とすることによって、路面の摩擦係数に対応して適切な目標減速度をきめ細かく設定することができる。
(3)推定摩擦係数が所定の摩擦係数判定値よりも大きい場合に、所定の定数を目標減速度とすることによって、比較的高摩擦係数の路面においては、パーキングブレーキによる減速度を常に略一定にすることができ、運転者が車両の減速度合いを予期しやすくすることができる。
(4)制動対象輪のスリップを検出した場合に、パーキングブレーキを解除することによって、ホイールがロックし、又は、ロック傾向が発生した場合であっても直ちに回復させることができる。
(5)目標減速度の低下に応じて、制動力の立ち上がりを遅くすることによって、摩擦係数が低い路面において制動力が急激に立ち上がって車両が不安定になることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、路面の摩擦係数に関わらず動的制動時における車両の操縦安定性を確保する電動パーキングブレーキ制御装置を提供するという課題を、車両のステアリング入力に対するヨー応答の遅れ等に基づいて路面の推定摩擦係数を算出し、この推定摩擦係数に応じて目標減速度を設定することによって解決した。
【実施例】
【0009】
以下、本発明を適用した電動パーキングブレーキ制御装置を含む電動パーキングブレーキ装置の実施例について説明する。
図1は、本実施例の電動パーキングブレーキ装置の機械的構成を示す概略図である。図2は、電動パーキングブレーキ装置の回路構成を示すブロック図である。
電動パーキングブレーキ装置は、パーキングブレーキ10、アクチュエータユニット20、バッテリ30、コントローラ40、操作スイッチ50、車両側ユニット60を備えている。
【0010】
パーキングブレーキ10は、車両の車輪を制動することによって、例えば駐停車時等における車両の移動を防止するとともに、後述する動的制動を行う制動装置であって、車両の左右後輪のホイールハブ部にそれぞれ設けられている。パーキングブレーキ10は、フットブレーキ(サービスブレーキ)として用いられるディスクブレーキのロータの内径側に配置された図示しないブレーキドラムと、制動時にこのブレーキドラムの内径側に加圧接触する図示しないブレーキシューとを備えたいわゆるドラムインディスクタイプのものである。
【0011】
アクチュエータユニット20は、パーキングブレーキ10のシューを駆動し、パーキングブレーキ10が制動力を発生する制動状態と、実質的に制動力を発生しない解除状態との間の移行を行うものである。アクチュエータユニット20は、パーキングブレーキケーブル21を備え、車両の例えばフロアパネル部に固定されている。
アクチュエータユニット20は、例えば直流(DC)モータの回転力を減速ギア列によって減速してリードスクリュを回転させ、このリードスクリュにネジ結合されたイコライザによってパーキングブレーキケーブル21を牽引し又は弛緩させるものである。
【0012】
パーキングブレーキケーブル21は、左右のパーキングブレーキ10に対応してそれぞれ設けられ、図示しないリアサスペンションのストロークに応じて変形するよう可撓性を備えている。パーキングブレーキケーブル21は、牽引されることによってパーキングブレーキ10を制動状態とし、また弛緩されることによってパーキングブレーキ10を解除状態とするものである。
ここで、アクチュエータユニット20は、パーキングブレーキケーブル21に負荷される牽引力を調整することによって、制動状態におけるパーキングブレーキ10の制動力を調整する機能を備えている。この牽引力の調整は、アクチュエータユニット20がパーキングブレーキケーブル21を牽引するストロークを変化させることによって行われ、このためアクチュエータユニット20は、このストロークを検出する図示しないストロークセンサが設けられている。
【0013】
バッテリ30は、車両の電装系の主電源として用いられる二次電池であって、例えば直流12Vの端子電圧を発生するものである。バッテリ30は、プラス端子31、マイナス端子32を備えている。
プラス端子31は、コントローラ40に配線(ハーネス)を介して接続されている。このプラス端子31からコントローラ40に電力を供給する配線は、図2に示すように、イグニッション配線31a、常時接続配線31bが設けられている。イグニッション配線31aは、その中間部にイグニッションスイッチのオンオフと連動して導通、遮断が切換えられるイグニッションリレーIが挿入され、車両の走行用動力源であるエンジンのオン時に通電されるものである。また、常時接続配線31bは、イグニッションスイッチの操作に関わらず、常時通電されているものである。
また、マイナス端子32は、車両の車体(ボディ)に対して接地されている。
【0014】
コントローラ40は、操作スイッチ50からの入力等に応じてアクチュエータユニット20を制御し、パーキングブレーキケーブル21の牽引力を変化させることによってパーキングブレーキ10の制動力を変化させるものであって、図2に示すように、ECU41、リレー42、前後Gセンサ43を備えている。
【0015】
ECU41は、操作スイッチ50、車両側ユニット60からの入力に応じて、パーキングブレーキ10の制動要否を判断するとともに、後述する動的制動における制御を行うCPUを備えている。ECU41は、統合コントローラ41a、目標減速度設定部41b、駆動制御部41cを備えている。
統合コントローラ41aは、目標減速度設定部41b、駆動制御部41cを統括的に制御するものである。
目標減速度設定部41bは、後述する車両側ユニット60の摩擦係数推定部61から入力される路面の推定摩擦係数に基づいて、動的制動時にパーキングブレーキ10の制動力によって発生させる目標減速度を設定するものである。この動的制動の制御については、後に詳しく説明する。
駆動制御部41cは、目標減速度設定部41bが設定した目標減速度と、前後Gセンサ43が検出する実際の減速度(減速方向の加速度)とに基づいて、例えば公知のフィードバック制御等を行うことによって、動的制動時における車両の減速度が目標減速度と略一致するように、リレー42を介してアクチュエータユニット20を制御するものである。
【0016】
リレー42は、ECU41の駆動制御部41cが出力する制御信号に応じて、アクチュエータユニット20に対してその駆動電力を供給するものであって、パーキングブレーキ10の制動状態から解除状態への移行、及び、解除状態から制動状態への移行を行うため、駆動電力の極性を反転させる機能を備えるとともに、アクチュエータユニット20の駆動時以外は、アクチュエータユニット20との導通を遮断した中立状態となっている。
【0017】
前後Gセンサ43は、車両の前後方向における加速度を検出する加速度センサを備え、その出力をECU41に入力するものである。
【0018】
操作スイッチ50は、運転者等のユーザがパーキングブレーキ10の制動状態、解除状態のマニュアルによる選択操作、及び、制動状態において制動力を増加させる増し引き操作等を入力する操作部であって、例えば車両の図示しないインストルメントパネルに装着された押しボタンスイッチを備えている。
【0019】
車両側ユニット60は、コントローラ40と協働して本発明を適用した電動パーキングブレーキ制御装置を構成するものであって、例えば、車両のエンジンを制御するエンジン制御ユニット(ECU)、トランスミッション(変速機)を制御するトランスミッション制御ユニット(TCU)、ABS制御を含むVDC制御を行うVDC制御ユニット、車両のその他の電装品を統括的に制御する車両統合ユニットを備え、コントローラ40と車載LANの一種であるCAN通信システムを介して通信するものである。
また、車両側ユニット60は、摩擦係数推定部61、スリップ検出部62、ヨーレートセンサ63、横Gセンサ64、前輪速度センサ65、後輪速度センサ66、前輪舵角センサ67を備えている。
【0020】
摩擦係数推定部61は、車両が走行している路面の摩擦係数を、車両の走行状態に基づいて推定するものであって、例えば、ヨーレートセンサ63、横Gセンサ64、前輪舵角センサ67の出力等を用いて公知の摩擦係数推定演算を行うものである。
具体的には、摩擦係数推定部61は、運転者のステアリング操作入力を前輪舵角センサ67によって検出し、これに対する車両挙動の応答遅れをヨーレートセンサ63、横Gセンサ64によって検出し、応答遅れ時間等に基づいて路面の摩擦係数を推定する。このような摩擦係数の推定方法は、例えば、特開2001−39289号公報等に記載されている。
【0021】
スリップ検出部62は、パーキングブレーキ10の制動対象輪である後輪と路面との間において、パーキングブレーキ10の制動力が過大なことに起因して発生するスリップを検出するものであって、前輪速度センサ65、後輪速度センサ66の出力差(前後輪の回転速度差)が所定の閾値以上となった際にスリップが発生したと判定するものである。
【0022】
ヨーレートセンサ63は、車両が旋回等によって鉛直方向の軸回りに回転(ヨーイング)する際の角速度を検出するものである。
横Gセンサ64は、例えば旋回時における求心加速度のように、車両の車幅方向に作用する加速度を検出するものである。
前輪速度センサ65、後輪速度センサ66は、それぞれ前後輪のホイールハブ部に備えられ、車輪の回転速度に応じた車速パルス信号を出力するものである。
前輪舵角センサ67は、ステアリング操作に伴う前輪の舵角を検出するものであって、例えばステアリングコラムに装着された位置エンコーダを備えている。
【0023】
本実施例の電動パーキングブレーキ装置は、フットブレーキ(サービスブレーキ)の補助又はバックアップ用として、車両が走行中に制動力を発生する動的制動を行う機能を備えている。
図3は、本実施例の電動パーキングブレーキ装置における動的制動の制御を示すフローチャートである。以下、ステップ毎に順を追って説明する。
【0024】
<ステップS01:推定摩擦係数算出>
車両側ユニット60の摩擦係数推定部61は、上述したようにステアリング入力に対するヨー応答遅れ等に基づいて、車両が現在走行中の路面の推定摩擦係数μを算出してコントローラ40のECU41に伝達し、ステップS02に進む。
<ステップS02:推定摩擦係数判断>
ECU41は、推定摩擦係数μを、所定の摩擦係数判定値(閾値)である0.4と比較し、推定摩擦係数μが0.4以上である場合はステップS03に進み、0.4未満である場合はステップS08に進む。
【0025】
<ステップS03:目標減速度設定>
ECU41の目標減速度設定部41bは、パーキングブレーキ10の動的制動における目標減速度Gを、所定の定数である0.4(G(ここで、1G=9.8m/s2))に設定してステップS04に進む。
<ステップS04:必要制動力、制動到達時間設定>
ECU41の駆動制御部41cは、ステップS03において設定された目標減速度0.4(G)に基づいて、必要制動力F0.4及び制動到達時間T0.4を設定し、ステップS05に進む。
ここで、必要制動力F0.4は、動的制動による減速度として目標減速度と同じ0.4Gが得られるように設定された制動力であり、また、制動到達時間T0.4は、アクチュエータユニット20に通電を開始することによって制動を開始してから、パーキングブレーキ10の制動力が必要制動力F0.4となるまでの所要時間である。
【0026】
図4は、推定摩擦係数と制動到達時間との相関を示すグラフである。
制動到達時間は、推定摩擦係数が0.4を超える領域、及び、0.15未満の領域においては、それぞれ1秒及び3秒で一定に設定され、推定摩擦係数が0.4以下であって0.15以上の領域においては、推定摩擦係数の低下量に比例した時間だけ制動到達時間が長くなるようになっている。
【0027】
<ステップS05:パーキングブレーキ駆動>
ECU41の駆動制御部41cは、ステップS04において設定した必要制動力F0.4及び制動到達時間T0.4を用いて、アクチュエータユニット20にパーキングブレーキ10を駆動させる。
このとき、駆動制御部41cは、リレー42を制御してアクチュエータユニット20に通電し、パーキングブレーキ10を解除状態から必要制動力F0.4が発生する状態まで、制動到達時間T0.4がかかるように連続的に制動力を増加させ、ステップS06に進む。
【0028】
<ステップS06:実減速度判断>
ECU41の目標減速度設定部41bは、前後Gセンサ43が検出した車両の実際の減速加速度(実減速度)が、目標減速度である0.4(G)以上であるか否かを判断し、実減速度が0.4(G)以上である場合は、現在の制動力が目標制動力F0.4に到達したものと判定してステップS07に進み、0.4(G)未満である場合は、制動力をさらに増加させる必要があると判定し、ステップS05に戻ってそれ以降の処理を繰返す。
<ステップS07:制動力維持>
ECU41の駆動制御部41cは、リレー42を介してアクチュエータユニット20を制御し、パーキングブレーキ10の制動力が現在の制動力F0.4を維持するようにする。
【0029】
<ステップS08:目標減速度設定>
ECU41の目標減速度設定部41bは、パーキングブレーキ10の動的制動における目標減速度Gを、推定摩擦係数μと同じ値(μ(G))に設定してステップS09に進む。
【0030】
<ステップS09:必要制動力、制動到達時間設定>
ECU41の駆動制御部41cは、ステップS08において設定された目標減速度に基づいて、必要制動力Fμ及び制動到達時間Tμを設定し、ステップS10に進む。
ここで、必要制動力Fμは、動的制動による減速度として目標減速度μ(G)と同じ減速Gが得られるように設定された制動力であり、また、制動到達時間Tμは、アクチュエータユニット20に通電を開始することによって制動を開始してから、パーキングブレーキ10の制動力が必要制動力Fμとなるまでの所要時間である。
【0031】
<ステップS10:パーキングブレーキ駆動>
ECU41の駆動制御部41cは、ステップS09において設定した必要制動力Fμ及び制動到達時間Tμを用いて、アクチュエータユニット20にパーキングブレーキ10を駆動させる。
このとき、駆動制御部41cは、リレー42を制御してアクチュエータユニット20に通電し、パーキングブレーキ10を解除状態から必要制動力Fμが発生する状態まで、制動到達時間Tμがかかるように連続的に制動力を増加させ、ステップS11に進む。
【0032】
<ステップS11:実減速度判断>
ECU41の目標減速度設定部41bは、前後Gセンサ43が検出した車両の実際の減速加速度(実減速度)が、目標減速度であるμ(G)以上であるか否かを判断し、実減速度がμ(G)以上である場合は、現在の制動力が目標制動力Fμに到達したものと判定して判定してステップS12に進み、μ(G)未満である場合は、制動力をさらに増加させる必要があるか、又は、スリップが発生しているおそれがあると判定してステップS13に進む。
<ステップS12:制動力維持>
ECU41の駆動制御部41cは、リレー42を介してアクチュエータユニット20を制御し、パーキングブレーキ10の制動力が現在の制動力Fμを維持するようにする。
【0033】
<ステップS13:前後輪速度差判断>
スリップ検出部62は、前輪速度センサ65、後輪速度センサ66それぞれの出力に基づいて、前後輪の速度差が所定の電動パーキングブレーキ解除閾値であるa%以上であるか否かを判断し、その判断結果をECU41に伝達する。
そして、前後輪の速度差がa%以上である場合は、後輪がロックし、又は、ロック傾向にあるものと判定してステップS14に進み、a%未満である場合は、制動力をさらに増加させるためにステップS10に戻ってそれ以降の処理を繰返す。
ここで、電動パーキングブレーキ解除閾値aは、パーキングブレーキ10の制動力によって後輪の路面に対するスリップ率が増加し、後輪の動摩擦係数が低下して車両の安定性に支障をきたす程度のスリップを検出することを考慮して設定される。
<ステップS14:電動パーキングブレーキ解除>
ECU41の駆動制御部41cは、リレー42に対して制御信号を出力し、アクチュエータユニット20を駆動してパーキングブレーキ10を制動状態から解除状態へ移行させ、ステップS01に戻る。
【0034】
以上のように、本実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)パーキングブレーキ10の動的制動を開始する前に、路面の推定摩擦係数μを算出し、この推定摩擦係数μが摩擦係数判定値である0.4よりも小さい場合に、目標減速度を推定摩擦係数に応じた変数であるμ(G)に設定することによって、比較的摩擦係数が低く滑り易い路面の場合であっても、摩擦係数に応じた適切な目標減速度を設定することができ、初期制動力が過大なことによるホイールロックを防止することができる。
(2)推定摩擦係数が摩擦係数判定値である0.4以上である場合に、目標減速度を定数である0.4(G)に設定することによって、比較的摩擦係数が高い路面においては、パーキングブレーキ10による制動力を常に略一定にすることができ、運転者が車両の減速度合いを予期しやすくすることができる。
(3)前後輪の速度差に基づいて後輪のスリップを検出した場合に、パーキングブレーキ10を解除することによって、ホイールがロックし、又は、ロック傾向が発生した場合であっても直ちに回復させることができる。
(4)目標減速度の低下に応じて必要制動力が発生するまでの制動到達時間を長くすることによって、摩擦係数が低く滑りやすい路面を走行中に、制動力が急激に立ち上がって車両が不安定になることを防止できる。
【0035】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)電動パーキングブレーキ制御装置の構成は、実施例の構成に限らず適宜変更することができる。例えば、摩擦係数推定部、目標減速度設定部、制御部等の各構成要素は、その2つ以上を一体化して構成してもよい。
(2)路面の摩擦係数を推定する方法は、実施例の方法に限らず、他の方法を用いてもよい。例えば、車体すべり角の操舵に対する応答遅れに基づいて摩擦係数を推定するようにしてもよい。
(3)制動対象輪のスリップを検出する方法は、実施例のように前後輪の速度差を検出する方法に限らず、他の方法を用いてもよい。例えば、車両の前後加速度に基づいてスリップを検出したり、後輪の回転速度が0となったときにホイールロックによるスリップが生じているものと判定するようにしてもよい。また、前後輪の速度差を検出する場合であっても、実施例のように比率によって検出するものに限らず、速度差の絶対値によって検出するようにしてもよい。
(4)電動パーキングブレーキ装置の構成は、実施例のものに限らず、適宜変更することができる。
例えば、実施例のパーキングブレーキは、フットブレーキ用のブレーキディスクの内径側に配置されたドラムを用いるものであるが、パーキングブレーキの形式は他の形式であってもよく、例えば、フットブレーキ用のディスクブレーキ又はドラムブレーキとその摩擦材を共用し、パーキングブレーキと一体化したものであってもよい。
また、実施例のパーキングブレーキは、ボディ側に固定された電動アクチュエータを用い、パーキングブレーキケーブルを介してパーキングブレーキを駆動するものであったが、本発明はこれに限らず、例えば電動アクチュエータをホイールハブ側に設けてパーキングブレーキと一体化したいわゆるビルトイン型の電動パーキングブレーキにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明を適用した電動パーキングブレーキ制御装置を含む電動パーキングブレーキ装置の実施例における機械的構成を示す概略図である。
【図2】図1の電動パーキングブレーキ装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図1の電動パーキングブレーキ装置における動的制動の制御を示すフローチャートである。
【図4】図1の電動パーキングブレーキ装置における推定摩擦係数と目標到達時間との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
【0037】
10 パーキングブレーキ
20 アクチュエータユニット
21 パーキングブレーキケーブル
30 バッテリ
40 コントローラ
41 ECU
41b 目標減速度設定部
41c 駆動制御部
43 前後Gセンサ
50 操作スイッチ
60 車両側ユニット
61 摩擦係数推定部
62 スリップ検出部






 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013