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発明の名称 列車運行管理システムの試験方法及び装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−145156(P2007−145156A)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
出願番号 特願2005−341779(P2005−341779)
出願日 平成17年11月28日(2005.11.28)
代理人 【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
発明者 西田 憲一郎 / 花田 裕三 / 森 英明
要約 課題
オンライン稼働中の列車運行管理システムに影響を与えることなく、システムを更新するソフトウェアの評価試験の精度を向上する。

解決手段
列車運行管理システムと試験系システムをデータ転送装置を介して接続し、このデータ転送装置によって、列車運行管理システムからの通信データを、システム更新を行うソフトウェアを内在した試験系システムへ一方向のみ送信し、試験系システムから列車運行管理システムへの通信データを遮断するとともに、試験系システムによって、列車運行管理システムからの通信データに基づいて、列車運行管理システムの更新を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
列車運行管理システムと、この列車運行管理システムに接続される試験系システムとを備え、オンライン稼動中の前記列車運行管理システムからのデータを前記試験系システムに取り込んで試験を行う列車運行管理システムの試験方法において、前記列車運行管理システムと前記試験系システムとをデータ転送装置を介して接続し、このデータ転送装置によって、前記列車運行管理システムからの通信データを前記試験系システムへ一方向のみ送信し、前記試験系システムから列車運行管理システムへの通信データを遮断することを特徴とする列車運行管理システムの試験方法。
【請求項2】
列車運行管理システムと、この列車運行管理システムに接続される試験系システムとを備え、オンライン稼動中の前記列車運行管理システムからのデータを前記試験系システムに取り込んで試験を行う列車運行管理システムの試験方法において、前記列車運行管理システムと前記試験系システムとをデータ転送装置を介して接続し、このデータ転送装置によって、前記列車運行管理システムからの通信データを、システム更新を行うソフトウェアを内在した前記試験系システムへ一方向のみ送信し、前記試験系システムから列車運行管理システムへの通信データを遮断するとともに、前記試験系システムによって、前記列車運行管理システムからの通信データに基づいて、前記列車運行管理システムの更新を行うことを特徴とする列車運行管理システムの試験方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記列車運行管理システムと前記試験系システムのネットワークアドレス体系を同一としたことを特徴とする列車運行管理システムの試験方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、前記データ転送装置は、データバッファリング機能を備え、オンライン稼動中の前記列車運行管理システムの動作環境を、時間差をおいて前記試験系システムにおいて再現し、前記列車運行管理システムの試験を行うことを特徴とする列車運行管理システムの試験方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、前記データ転送装置を介して取得したデータを基に、オンライン稼動中の前記列車運行管理システムの動作環境を、遠隔地に構築した前記試験系システムへ送信して再現し、前記列車運行管理システムの試験を行うことを特徴とする列車運行管理システムの試験方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、前記データ転送装置を介して得られたオンライン稼働中の前記列車運行管理システムの出力結果と、前記列車運行管理システムを模擬する前記試験系システムの出力結果を取得し、各々の出力結果を比較して前記列車運行管理システムの試験を行うことを特徴とする列車運行管理システムの試験方法。
【請求項7】
列車運行管理システムと、この列車運行管理システムに接続される試験系システムとを備え、オンライン稼動中の前記列車運行管理システムからのデータを前記試験系システムに取り込んで試験を行う列車運行管理システムの試験装置において、前記列車運行管理システムと前記試験系システムとを接続し、前記列車運行管理システムからの通信データを前記試験系システムへ一方向のみ送信し、前記試験系システムから前記列車運行管理システムへの通信データを遮断するデータ転送装置を備えたことを特徴とする列車運行管理システムの試験装置。
【請求項8】
列車運行管理システムと、この列車運行管理システムに接続される試験系システムとを備え、オンライン稼動中の前記列車運行管理システムからのデータを前記試験系システムに取り込んで試験を行う列車運行管理システムの試験装置において、前記列車運行管理システムと前記試験系システムとを接続し、前記列車運行管理システムからの通信データを、システム更新用のソフトウェアを内在した前記試験系システムへ一方向のみ送信し、前記試験系システムから前記列車運行管理システムへの通信データを遮断するデータ転送装置と、前記試験系システムの前記システム更新用のソフトウェアを用い、前記列車運行管理システムからの通信データに基づいて、前記列車運行管理システムの更新を行う更新手段を備えたことを特徴とする列車運行管理システムの試験装置。
【請求項9】
請求項7又は8において、前記列車運行管理システムと前記試験系システムは、それらのネットワークアドレス体系を、互いに同一として構成したことを特徴とする列車運行管理システムの試験装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれかにおいて、前記データ転送装置に設けたデータバッファリング手段と、オンライン稼動中の前記列車運行管理システムの動作環境を、前記データバッファリング手段のバッファデータに基き、時間差をおいて前記試験系システムにおいて再現する動作環境再現手段を備えたことを特徴とする列車運行管理システムの試験装置。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれかにおいて、前記試験系システムは、前記列車運行管理システムの遠隔地に構築され、前記データ転送装置を介して取得したデータを遠隔地の前記試験系システムへ送信する手段を備えたことを特徴とする列車運行管理システムの試験装置。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれかにおいて、前記データ転送装置を介して前記試験系システムに転送されたオンライン稼働中の前記列車運行管理システムの出力結果と、前記列車運行管理システムを模擬する前記試験系システムの出力結果を取得し、各々の出力結果を比較する比較手段を備えたことを特徴とする列車運行管理システムの試験装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車運行管理システムにおいて、システムの検証や更新などを含めた試験を実施する際に、オンライン稼動中のシステムと等価な環境の試験系システムで、ソフトウェアの評価などを行う試験方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車運行管理システムの特徴として常時稼動している点が挙げられる。すなわち、一旦稼動すると保守やシステム更新が容易に実施できないシステムである。オンライン稼動中の列車運行管理システムの保守やシステム更新を実施する際は、列車間合いと呼ばれる列車の運行が無い約1〜2時間の時間内にシステムの停止/試験/更新作業/起動/健全性確認等を実施しなければならない。
【0003】
システム更新の際、オンライン系システムと独立した試験系システムと現場設備を模擬するシミュレータを用いて、ソフトウェアの評価を実施し、オンライン系システムに投入する方法が一般的である。しかし、シミュレータがオンライン系システム内の現場設備のシステム条件を完全に模擬することは不可能であるため、精度の高いソフトウェアの評価が実施可能とは言い難い。
【0004】
特許文献1には、オンライン稼動中の列車運行管理システムのデータを試験装置に格納し、このデータを工場内等の試験システムで再現させ、試験を行うことが開示されている。これにより、試験員の負担を軽減するとともに、実際の列車走行に対する運行管理システムの機能/性能試験が可能となる。また、障害発生時に、迅速な対応が期待できる。
【0005】
しかしながら、この技術は、リアルタイム性が無い欠点があり、また、運転整理に関するデータについての再現は不可能である。
【0006】
そこで、シミュレータの精度に左右されないソフトウェアの評価を行う方法として、平行モニタラン方式がある。これは、オンライン系システム内の現場設備からの通信データを試験系システムにて取得する方法である。オンライン系システムからの通信データを試験系システムに取り込む手段としては、ネットワークアナライザのようにローカルエリアネットワークから直接、通信データを取得する装置が用いられる。平行モニタラン方式の特徴として、列車間合いの時間の制約を受けず、1日中ソフトウェア評価試験が実施可能となる点がある。また、試験系システムにおいて、オンライン系の現場設備からの通信データを直に取得できる。このため、シミュレータでは再現できない制御のタイミング等を再現可能となり、オンライン系システムと等価なシステム条件下での精度の高いソフトウェア評価試験が実施可能となる。
【0007】
【特許文献1】特開2000−211517号公報(全体)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
オンライン稼働中の列車運行管理システムの稼動状況を模擬する際に大きな要素となるのが、現場設備からの表示情報と指令員の入力する運転整理情報である。現場設備からの表示情報については、背景技術に示した平行モニタラン方式により試験系システムにて活用が可能であった。一方、運転整理情報を平行モニタラン方式にて試験系システムで取得する際には、オンライン稼働中の列車運行管理システム内の装置を改修(通信定義を変更)する必要がある。システム更新時のソフトウェア評価のためにオンライン系を改修することはリスクが大きく、従来、運転整理情報の試験系システムへの取り込みは断念していた。このため、オンライン稼働中の列車運行管理システムの稼動状況を模擬するには、オンライン系で入力された運転整理情報を試験系システムで同じタイミングで入力する必要があり、実現不可能であった。
【0009】
背景技術に示した平行モニタラン方式における、ネットワークアナライザを使用したオンライン系システムの通信データを試験系システムに取り込む方法では、オンライン系システムと同様の通信が再現可能である。すなわち、UDP/IPを使用し、複数ノードにて通信データを受信する通信に関しては、オンライン系システムから取得した通信データを試験系システムへ送信することで、オンライン系システムと同様の通信を再現できる。この平行モニタラン方式により、オンライン稼働中の列車運行管理システムから通信データを試験系に取り込むことで、精度の高いソフトウェアの評価が可能となる。反面、試験系システムからの通信データがオンライン系システムに影響することや、通信データを試験系システムに取り込むためにオンライン系システムのノードの改修が必要となることは、非常にリスクが大きく避けなければならない。
【0010】
また、一般的に、同一システム内に同一のIPアドレスを保持したノードが存在することは不可能である。平行モニタラン方式により試験系システムでソフトウェアの評価を行う際には、オンライン系システムと試験系システムの各ノードのIPアドレスはそれぞれユニークなものにしなければならない。このため、試験系システム内の各ノードのIPアドレスを、オンライン系システム内の各ノードのIPアドレスとは別のものを設定する必要がある。このIPアドレスの変更は、評価したいシステム更新とは別の変更であり、目的としている評価試験とならない。
【0011】
さらに、UDP/IPでも1対1のノード間のみでの通信や、TCP/IPにて1対1のノード間におけるコネクションによる経路を元にする通信では、ネットワークアナライザと試験系システムのノード間において1対1の経路の確立ができない。このため、ネットワークアナライザを使用した通信の再現は不可能である。そこで、オンライン系システムにて動作する通信を行うアプリケーションプログラムに改造を加え、試験系システムのノード上で動作させ、ネットワークアナライザにて取得したデータを使う。これにより、試験系システムのノード上で動作するアプリケーションプログラムにより送信することで、オンライン系システムの通信を再現するしかない。この方法では、プログラム作成の負担も増加し、また、オンライン系システムと異なるアプリケーションプログラムが動作してしまうため、オンライン系システムの正確な模擬とはならない場合が多い。
【0012】
本発明の目的は、オンライン稼働中の列車運行管理システムに影響を与えることなく、オンライン系システムの通信データを試験系システムに取り込み、試験系システムにてオンライン系システムの環境を模擬した試験を実現することである。
【0013】
また、本発明の他の目的は、システム更新するソフトウェアの評価試験の精度を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の望ましい実施態様においては、列車運行管理システムと試験系システムとをデータ転送装置を介して接続し、このデータ転送装置によって、列車運行管理システムからの通信データを試験系システムへ一方向のみ送信し、試験系システムから列車運行管理システムへの通信データを遮断する。
【0015】
また、本発明の望ましい実施態様においては、列車運行管理システムと試験系システムとをデータ転送装置を介して接続し、このデータ転送装置によって、列車運行管理システムからの通信データを、システム更新を行うソフトウェアを内在した試験系システムへ一方向のみ送信し、試験系システムから列車運行管理システムへの通信データを遮断するとともに、試験系システムによって、列車運行管理システムからの通信データに基づいて、列車運行管理システムの更新を行う。
【発明の効果】
【0016】
本発明の望ましい実施態様によれば、オンライン系システムに影響を及ぼすことなく、オンライン系システムの通信を試験系システムで再現できる。
【0017】
また、本発明の望ましい実施態様によれば、オンライン系システムと等価な環境を試験系システムに模擬し、システム更新するソフトウェアの高精度の評価を実現できる。
【0018】
本発明のその他の目的と特徴は、以下に述べる実施形態の説明で明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置の全体システム構成図である。列車運行管理システム18は、指令管理系中央装置20A,制御CRT21A、運転整理GD(グラフィックディスプレイ)22A、制御系LAN(ローカルエリアネットワーク)23A、運転整理LAN24A、及び現場設備25から構成されている。一方、試験系システム19は、列車運行管理システム18を模擬するシミュレータとして、同様の構成を持つことが基本としている。図では、試験系システム19は、指令管理系中央装置20B,制御CRT21B、運転整理GD(グラフィックディスプレイ)22B、制御系LAN(ローカルエリアネットワーク)23B、及び運転整理LAN24Bから構成されている。試験系システム19内の指令管理系中央装置20B、制御CRT21B、運転整理GD22Bには、システム更新を行うソフトウェアを投入している。
【0021】
本発明により、列車運行管理システム18のオンライン系と、試験系システム19の間に、データ転送装置41及び42を接続する。データ転送装置41,42は、詳細を後述するように、本実施例では、OS(オペレーティングシステム)として、Linuxを使用し、その「プロミスカスモード」を利用している。Linuxでは、IP(Internet Protocol)と連携し、一方的な通信データ取得機能を実現する。この通信データ取得機能をLinuxでは「プロミスカスモード」と呼び、この機能によりネットワークを流れる通信データを一方的に取得することができる。すなわち、データ転送装置41,42は、列車運行管理システム18から試験系システム19への一方向のみ通信データを送信する。列車運行管理システム18のネットワークを流れる通信データとしては、現場設備25からの表示情報、指令員による運転整理GD22Aからの運転整理情報等がある。試験系システム19は、これらの通信データを入手することにより、指令管理系中央装置20B、制御CRT21B、及び運転整理GD22Bに、オンライン系システムの情報を反映した環境下で、システム更新等のソフトウェアの評価試験を実現できる。
【0022】
前述の「プロミスカスモード」を設定することにより、逆に、試験系システム19から列車運行管理システム18へのデータ伝送を遮断する。試験系システム19から発生する通信データは、データ転送装置41,42で遮断されるため、列車運行管理システム18には到達せず、オンライン稼動中のシステムに影響を与えることはない。また、「プロミスカスモード」を設定することで、列車運行管理システム18と試験系システム19をデータリンク層レベルで分離することとなる。これにより列車運行管理システム18と試験系システム19内の各ノードを同一IPアドレスとすることが可能となる。すなわち、列車運行管理システムと試験系システムは、それらのネットワークアドレス体系を、互いに同一として構成し、列車運行管理システム18のソフトウェアを、そのまま試験系システム19に投入することでソフトウェアの等価な評価が行える。
【0023】
図2は、本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置のデータ取得・蓄積時の一例機能構成図である。図において、複数のネットワーク1、2を介して、ノード3A、3Bが接続されており、ノード3A、3B間において、TCP/IP、UDP/IPを使用した通信が行われている。この環境下において、ノード3A、3Bが接続されているネットワークと同じネットワークにデータ転送装置4(図1の41,42)を接続する。データ転送装置4は、ハードウェア9として実装されるネットワークインタフェース5A、5B(図2,図3)を使用し、ネットワークに接続する。ネットワークインタフェース5A、5Bを動作させるために、オペレーティングシステム10の拡張機能として、通常、ネットワークインタフェース5A、5Bの開発元から提供されるドライバソフトウェア6A、6Bが必要である。本実施例では、ネットワークインタフェース5A、5B、ドライバソフトウェア6A、6Bは、何れも市般されているものを使用できる。オペレーティングシステム10としては、Linuxを使用している。Linux及びドライバソフトウェア6A、6BではIP(Internet Protocol)7と連携し、通信データ取得機能8を実現する。通信データ取得機能8を、Linuxでは「プロミスカスモード」と呼び、この機能によりネットワークインタフェース5A、5Bを流れる通信データを一方的に取得できる。この通信データ取得機能8を有するものであれば、本特許の実施例を構成できる。以上の構成に、オンライン併行通信プログラム部11として、通信シナリオ12、通信データ蓄積機能13、及びオンラインシステム通信再現手段14を備えることにより、オンライン系システムの通信データ取得・蓄積ができる。
【0024】
図3は、本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置と試験系システムとの間での通信再現機能の一例機能構成図である。データ転送装置4をオンライン系から、試験系システムネットワーク15、16に接続する。データ転送装置4は、オンライン系接続時に、通信データ取得機能8にて取得し、通信シナリオ12に基づいて通信データ蓄積機能13にて、オンラインシステムの通信データを蓄積している。オンラインシステム通信再現手段14は、通信シナリオ12に基づいて、試験系システムネットワーク15,16に接続するノード17との間で通信経路を確立する。ノード17は、試験系システムマンマシンを含む。データ転送装置4は、オンライン系より取得・蓄積しているデータにて、試験系システム19と通信することができる。
【0025】
図4は、本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置に設定する通信シナリオの一例構成図である。データ転送装置4の使用者は、オンライン系システムのローカルエリアネットワーク(LAN)1,2にデータ転送装置4を接続する前に、次のような業務に関する通信を行う際に必ず必要となるデータを設定する。すなわち、図に示すように、プロトコル102、送信元IPアドレス103、送信元ポート番号104、送信先IPアドレス105、送信先ポート番号106、ヘッダ識別子107、及び通信データ長110を設定する。これにより、該当するオンライン系システムのローカルエリアネットワーク(LAN)1,2を流れる通信データを、データ転送装置4にて識別でき、取得・蓄積が可能となる。また、データ転送装置4を試験系システム19に接続する前に、使用者が、転送先IPアドレス107及び転送先ポート番号108を設定する。これにより、オンライン系システム上の送信先IPアドレス105、送信先ポート106相手に流れる通信データを、試験系システム19に送信可能となる。すなわち、試験系システム19の転送先IPアドレス107で示すノードに置き換え、該当ノード内の転送先ポート番号108を使用するプログラムに対し、データが送信可能となる。各シナリオは、業務No.101にて示す番号毎に管理する。試験系システムにて取得データを送信する際、業務No.の一部、もしくは、全てを使用者にて選択することで、オンライン系システムと同様の通信データを再現する。
【0026】
図5は、本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置の通信データ蓄積機能の一例機能構成図である。通信データ取得機能8にて取得したデータを、通信データ蓄積機能13にて、通信データ蓄積領域200に格納する。格納する際、取得順番201、取得時刻202、及び取得ネットワーク種別203を、取得データ204に付与し格納する。取得時刻は、データ転送装置4にて保持するマシン時刻から取得し付与する。取得時刻202によって、取得データ204毎の取得時刻差分から通信間隔を求めることができ、試験系システムにオンライン系システムから取得したデータを送出する際に、オンライン系システムと同様の間隔での送出が再現可能となる。また、複数のローカルエリアネットワークより受信したデータを、1つの通信データ蓄積領域200にて管理することで、試験系システムに送出する際に、複数のローカルエリアネットワークにおいても通信順番を保証することが可能となる。また、使用者にて通信を再現するローカルエリアネットワークを選択すれば、選択したローカルエリアネットワークの通信のみを再現することが可能である。
【0027】
図6は、本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置のオンラインシステム通信再現手段の一例機能構成図である。オンラインシステム再現手段14は、オンラインシステム通信プログラム400にて実現する。オンライン通信プログラム400は、通信データ蓄積領域200に格納しているオンライン系システムから取得したデータを試験系システムに対し送出する。送出する際、使用者より業務No.101が選択されていれば、該当業務No.に対応する通信シナリオを基に、通信データ蓄積領域200より、通信シナリオに一致するデータを選択し、送出する。業務No.101を選択されていない場合は、オンライン系システムのネットワークから取得した全ての通信データを試験系システムのネットワークに、取得した順番・取得した通信データ毎の間隔で送出する。送出する時、オンライン系システムの送信相手から、使用者から通信シナリオに設定している転送先IPアドレス、転送先ポート番号で示す相手に変更後、転送相手に対し通信データを送出する。
【0028】
図7は、本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置のオンラインシステム通信再現プログラムの処理フロー図である。蓄積データの取り出し401にて、オンライン系システムから取得した通信データを取り出し、通信シナリオの取り出し402にて取り出したシナリオと通信データが一致するかを、通信シナリオと蓄積データの比較403にて比較する。条件が一致した場合、プロトコルチェック404にて、TCP/IPを使用する通信データかUDP/IPをチェックする。TCP/IPであれば、コネクション確立405にて該当通信シナリオの転送先IPアドレス、転送先ポート番号で示す試験系システムのノード内該当プログラムとコネクションによって経路を確立する。蓄積データには、業務に対応する通信データを分割して格納していたり、通信異常によってリトライ処理が動作し、同一の通信データが複数格納されている場合がある。このため、選択したシナリオに対応する業務メッセージに、メッセージ組立406にて組み立てる。組み立てが成功したか否かを組立完了407にてチェックし、成功していれば、転送相手に対しメッセージ送信408にてメッセージを送信する。
【0029】
図8は、本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置のメッセージ組立プログラムの詳細処理フロー図である。メッセージ先頭検索407Aにて、シナリオにて設定されている通信相手に対するコネクション接続要求や、通信データ先頭に格納される識別子を、蓄積データ内について検索し、通信データの先頭を検索する。先頭検索後、蓄積データ取り出し407Bにて、それ以降シナリオにて設定されている通信メッセージに該当するメッセージ長を基に、蓄積データ内を識別子にて検索し、該当データを取り出す。取り出したデータは、正常メッセージか否かを407Cにてチェックし、正常通信時のデータか異常通信時のデータかを判別する。異常メッセージの送信が必要か407Dにて、使用者が設定した通信データを判断し、異常内容についても再現するとすれば、異常メッセージも送出対象のデータとする。取り出した全てのデータは、データ結合407Eにて通信メッセージに組み立てる。上記チェックが完了したか否かのチェックを、通信データ対応メッセージ取り出し完了チェック407Fにて行う。チェックには、シナリオにて設定したメッセージ長分、通信データを取り出し組み立てたかにて判断する。
【0030】
この実施例によれば、データ転送装置4を介してオンライン系システムと試験系システム間でコネクションを確立することにより、コネクション確立方式の通信業務を列車運行管理システム18に改造を与えることなく等価な環境において評価可能となる。例えば、オンライン稼働中の列車運行管理システム18内の現場設備25から、指令管理系中央装置20Aに1対1通信で送信される列車走行実績情報を、データ転送装置4(41,42)を介して、試験系システム19内の指令管理系中央装置20Bに転送できる。したがって、試験系システム19内での、列車走行実績情報に関する機能確認を実現できる。
【0031】
また、データ転送装置4にデータバッファリング機能を持たせることで、現場設備の状態を時間差をおいて評価することができる。すなわち、データ転送装置に設けたデータバッファリング手段と、オンライン稼動中の列車運行管理システムの動作環境を、データバッファリング手段のバッファデータに基き、時間差をおいて試験系システムにおいて再現する動作環境再現手段を備えている。これにより、例えば、1年に数回しかないような現場の特殊な状態をデータバッファリングしておき、別の時間帯に試験を行うことができる。従来であれば、このような特殊条件の試験は、シミュレータで擬似的に行うしかなかった。データバッファリング機能を常に稼動させておけば、従来困難であった異常時の再現試験などを容易に実現できる。
【0032】
さらに、データ転送装置4(41,42)のデータバッファリング機能で取得したデータを遠隔地に転送することにより、遠隔地の試験システムで評価することができる。すなわち、試験系システムは、列車運行管理システムの遠隔地に構築され、データ転送装置を介して取得したデータを遠隔地の試験系システムへ送信する手段を備えている。これにより、現地に試験システムを常備する必要はなく、複数の現地環境を、工場内の1試験系システムで評価することができる。また、データ転送装置4(41,42)のデータバッファリング機能で取得したデータを基に、現場設備の特殊な条件、例えば、列車遅延や設備故障などの事故の、指令員体感訓練に応用することもできる。
【0033】
さらに、データ転送装置4でオンライン稼働中の列車運行管理システムの出力結果と試験系システムの出力結果を取得し、各々の出力結果を比較することでシステム更新を行うソフトウェアを内在した試験系システムの健全性確認を実現する。すなわち、データ転送装置を介して試験系システムに転送されたオンライン稼働中の列車運行管理システムの出力結果と、列車運行管理システムを模擬する試験系システムの出力結果を取得し、各々の出力結果を比較する比較手段を備えている。そして、データ転送装置4(41,42)に、各々の出力結果に差異があった場合や、出力タイミングに大差があった場合は、アラームを出力し異常を知らせる仕組みを持たせる。これにより、従来の目視確認など、人による出力結果比較よりも精度が高く、効率よい健全性確認を実現できる。
【0034】
以上の実施例によれば、従来時間的にも機能的にも制約を多く受けていた列車運行管理システムのシステム更新等のソフトウェア評価試験を24時間いつでも実施可能である。
【0035】
また、列車運行管理システムの全ての機能に対する評価を、オンライン系と等価な環境で評価可能となり、品質及びコストにおいて、著しい改善が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置の全体システム構成図。
【図2】本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置のデータ取得・蓄積時の一例機能構成図。
【図3】本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置と試験系システムとの間での通信再現機能の一例機能構成図。
【図4】本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置に設定する通信シナリオの一例構成図。
【図5】本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置の通信データ蓄積機能の一例機能構成図。
【図6】本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置のオンラインシステム通信再現手段の一例機能構成図。
【図7】本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置のオンラインシステム通信再現プログラムの処理フロー図。
【図8】本発明の一実施例による列車運行管理システムの試験装置におけるデータ転送装置のメッセージ組立プログラムの処理フロー図。
【符号の説明】
【0037】
1,2…オンライン系システムネットワーク、3A,3B…ノード、4,4A,4B…データ転送装置、5A,5B…ネットワークインタフェース、6A,6B…ドライバソフトウェア、7…IP(Internet Protocol)、8…通信データ取得機能、9…ハードウェア、10…OS(オペレーティングシステム)、11…オンラインシステム併行通信再現プログラム部、12…通信シナリオ、13…通信データ蓄積機能、14…オンラインシステム通信再現手段、15,16…試験系システムネットワーク、17…ノード(試験系システムマンマシン含む)、18…列車運行管理システム、19…試験系システム、20A,20B…指令管理系中央装置、21A,21B…制御CRT、22A,22B…運転整理GD、23A,23B…制御系LAN、24A,24B…運転整理LAN、25…現場設備、200…通信データ蓄積領域、400…オンラインシステム通信再現プログラム。




 

 


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