米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 車両 -> 株式会社日立製作所

発明の名称 電動ブレーキおよびその制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−45271(P2007−45271A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−230239(P2005−230239)
出願日 平成17年8月9日(2005.8.9)
代理人 【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
発明者 鈴木 尊文
要約 課題

電動ブレーキに異常が生じても、必要な制動力を可能な限り確保する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
電動ブレーキの所定の構成部品群のうち、異常が生じた構成部品を検出する検出部と、
前記検出部で検出した構成部品の種に応じて、前記電動ブレーキの制動力発生機能の維持または停止を判断する判断部と、
前記判断部が制動力発生機能の停止を判断した場合には、前記電動ブレーキの動作を停止し、前記判断部が前記制動力発生機能を維持すると判断した場合には、前記検出部で検出した前記異常構成部品とは異なる他の構成部品によって前記電動ブレーキの制動力発生機能を維持する制御部と、を有する電動ブレーキの制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の電動ブレーキの制御装置であって、
前記異常構成部品が、制動力を制御するモータ駆動回路の電流値を測定する電流センサであった場合には、前記モータにより駆動されるブレーキパッドの推力を測定する推力センサの出力値、または前記モータの回転角センサの出力値に応じて前記電流値を推定し、当該推定電流測定値に基づいて前記モータを制御する電動ブレーキの制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の電動ブレーキの制御装置であって、
前記異常構成部品が、制動力を制御するモータの駆動回路の電流値を測定する電流センサであった場合には、前記モータへの駆動信号をオープンループで制御するとともに、前記モータへの駆動電流を制限する制御装置。
【請求項4】
請求項1記載の電動ブレーキの制御装置であって、
前記異常構成部品が、制動力を制御する3相交流モータの駆動回路の電流値を測定する電流センサであった場合には、前記モータへの駆動信号をオープンループで制御するとともに、3相電流のうち特定の相に連続で通電する時間を制限する電動ブレーキの制御装置。
【請求項5】
請求項1記載の電動ブレーキの制御装置であって、
前記異常構成部品が、制動力を制御するモータの回転角センサであった場合には、前記モータの駆動回路に設けられた電流センサの測定値から推定した前記回転角に基づいて前記モータを制御する電動ブレーキの制御装置。
【請求項6】
請求項1記載の電動ブレーキの制御装置であって、
前記異常構成部品が、制動力を制御するモータの推力を測定する推力センサであった場合には、前記モータの回転角センサの出力値から推定した前記推力に基づいて前記モータを制御する電動ブレーキの制御装置。
【請求項7】
請求項1記載の電動ブレーキの制御装置であって、
前記判断部は、前記検出部で検出した異常構成部品と、車両状態を検知するセンサの出力信号に応じて、前記電動ブレーキ装置の制動力発生機能の維持または停止を判断する電動ブレーキの制御装置。
【請求項8】
請求項7記載の電動ブレーキの制御装置であって、
前記センサの出力信号は、運転者のブレーキ操作信号である電動ブレーキの制御装置。
【請求項9】
請求項1記載の電動ブレーキの制御装置であって、
前記判断部は、前記検出部で検出した異常構成部品と、車両の周囲の状況を検知するレーダ,カメラ,雨滴センサ、及びナビゲーションシステムの少なくともいずれか一つの検知結果に応じて、前記電動ブレーキの制動力発生機能の維持または停止を判断する電動ブレーキの制御装置。
【請求項10】
請求項9記載の電動ブレーキの制御装置であって、
前記判断部は、前記検知結果が車両前方に障害物がない場合には、前記電動ブレーキの制動力発生機能の停止を判断する電動ブレーキの制御装置。
【請求項11】
請求項1記載の電動ブレーキの制御装置であって、
前記判断部の判断結果に応じて、運転者への警報装置へ出力する信号の内容を変化させる電動ブレーキの制御装置。
【請求項12】
電動ブレーキの所定の構成部品に異常が生じたことを検出する検出部と、
前記検出部で検出した異常構成部品の種に応じて、前記電動ブレーキの動作モードを変更する動作モード変更手段と、を有し、
前記動作モードは、前記異常構成部品とは異なる他の構成部品を用いて前記電動ブレーキを制御する制動力発生モードと、前記電動ブレーキ装置の動作を停止する制動力停止モードの少なくとも2つのモードを含む電動ブレーキの制御装置。
【請求項13】
請求項12記載の電動ブレーキの制御装置であって、
前記制動力発生モードは、制動力を制御するモータの駆動回路の電流値を測定する電流センサに異常が生じた場合の電流センサ異常モードと、前記モータの回転角センサに異常が生じた場合の回転角センサ異常モード、または前記モータの推力センサに異常が生じた場合の推力センサ異常モードのうち、少なくともいずれか一つを含む電動ブレーキの制御装置。
【請求項14】
制動部材と、
前記制動部材を押し付けるモータと、
前記モータを制御する駆動回路と、
前記駆動回路の電流値を測定する電流センサと、
前記モータの回転角を検出する回転角センサと、
前記制動部材の推力を測定する推力センサと、
前記電流センサ,前記回転角センサ、及び前記推力センサの出力値と、ブレーキペダル操作信号を入力し、当該出力値とブレーキペダル操作信号に基づいて前記駆動回路を制御する駆動回路制御装置と、を有する電動ブレーキであって、
前記電流センサ,前記回転角センサ、または前記推力センサのうち少なくともいずれか一つに異常が発生したことを検出する検出部と、
前記検出部で検出した異常センサの種に応じて、制動力発生機能の維持または停止を判断する判断部と、
前記判断部が前記制動力発生機能を維持すると判断した場合には、前記検出部で検出した異常センサとは異なる他のセンサによって制動力発生機能を維持する制御部と、を有する電動ブレーキ。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ブレーキおよびその制御装置に関し、特にその異常発生時における動作に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のブレーキを電気的に制御する、いわゆる電動ブレーキにより、運転者の操作に限らず、制御装置が必要に応じてブレーキを作動させ、さらに安全性の高い車両を提供する技術が開発されている。
【0003】
しかし、そのようなブレーキの電気系に異常が発生した場合には、制動力が低減する可能性があるため、一部のブレーキに異常が発生した場合であっても車両全体として制動力を得るように、制御方式を切り替える技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
この技術は、電動ブレーキ装置の異常発生に際し、自車の操舵状態および走行速度に応じて、異常が発生した電動ブレーキ装置以外の正常な車輪のうち特定の車輪の電動ブレーキ装置の制動力あるいは制動力の変化勾配を小さくするものである。
【0005】
【特許文献1】特開2001−158336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術によれば、異常が生じた電動ブレーキ以外の正常な伝動ブレーキについても、制動力を低下させることになるため、車両全体として制動力が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、電動ブレーキに異常が生じても、必要な制動力を可能な限り確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
異常が生じた電動ブレーキの構成部品とは異なる他の正常な構成部品によって、電動ブレーキの制動力発生機能を維持するように制御する。
【0009】
また、車両内外の状態によって、制動力発生機能を維持するか停止するかを決定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電動ブレーキに異常が生じても、必要な制動力を可能な限り確保することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
本実施形態は、ブレーキ装置であって、特にモータのトルクを回転直動機構により変換し、パッドをロータに押し付けることにより制動力を発生する電動ブレーキ装置の異常発生時における制御方式及び警報方式の切り替えを行う方法、および装置に関する。
【0013】
本実施形態では、電動ブレーキ装置の異常発生中に、制動力をゼロとする制御方式と制動力を発生させる制御方式を選択して用いる。あるいは、制動力の異なる二つの制御方式を選択して用いる。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態をなす電動ブレーキ装置の構成図を示す。尚、構成部品としては、図1に記載されている全ての要素を必ずしも有する必要はない。
【0015】
制動装置14は車両の車輪と一体に回転する回転体20に、制動部材19を押し付け、制動力を発生する。本実施形態では、制動装置14の制動部材19を動かすアクチュエータとしてモータ16を用いる。このような制動装置が自動車の各輪または一部の車輪に設けられている。
【0016】
図1において、車両のバッテリ11は、電動ブレーキ装置を駆動するのに十分な電圧を発生するものであり、12Vあるいは36V電源系が好適である。
【0017】
駆動回路12は例えばインバータやHブリッジ回路であり、制御手段13からのモータ駆動信号101、例えばPWM波により駆動され、モータ16の回転を制御するための電圧を出力する。図1に示す実施例は3相モータを駆動するインバータ回路であり、PWM制御を行っている。
【0018】
制御手段13は、電動ブレーキ装置の制動力および制動装置14のモータ16を制御するためにモータ駆動信号101を出力し、この時の制動装置14の状態の推定値を指令信号105として出力する。指令信号105は、例えばモータ16の回転角度,角速度,角加速度、およびモータ電流ならびに制動部材19の推力である。また、電動ブレーキ装置の制動力を制御するために複数の制御方式をもち、電動ブレーキ装置の異常時には制御方式を切り替えて制御を行う。
【0019】
制動装置14は、モータ16をアクチュエータとし、回転体20に制動部材19を押し付けて車両に制動力を発生させる。制動装置14は、フェールオープンな構造になっており、モータ16がトルクを発生しない場合は車両に対する制動力を発生しない。
【0020】
モータ16は、例えば3相DCブラシレスモータやDCモータ,ACモータである。
【0021】
回転角センサ17は、例えばレゾルバやホール素子であり、モータ16の回転量を検出し、回転角信号103を制御手段13および異常検出手段21に出力する。回転角信号
103は、アナログ信号あるいは矩形波信号あるいは時多重通信信号である。
【0022】
推力センサ18は、例えばひずみゲージや圧電素子であり、制動装置14の制動部材
19を回転体20に押し付ける推力を検出し、推力信号104を制御手段13および異常検出手段21に出力する。推力信号104は、アナログ信号あるいは矩形波信号あるいは時多重通信信号である。
【0023】
制動部材19は、例えばブレーキパッドであり、回転体20は例えばブレーキディスクである。
【0024】
電流センサ15は、例えばホール型電流センサやサーボ式DC電流センサ,シャント抵抗であり、モータ16の各相に流れる電流を検出するためにモータ16と駆動回路12の間に配置され、モータ電流信号102を制御手段13および異常検出手段21に出力する。モータ電流信号102は、アナログ信号あるいは矩形波信号あるいは時多重通信信号である。
【0025】
異常検出手段21は、モータ電流信号102,回転角信号103,推力信号104および指令信号105を監視し、駆動回路12,電流センサ15,回転角センサ17および推力センサ18の異常を検出し、異常検出信号106を出力する。例えば、指令信号105の回転角の推定値に対し回転角信号103が閾値以上ずれている場合、回転角センサ17の異常と判断する。異常検出信号106は、アナログ信号あるいは矩形波信号あるいは時多重通信信号である。
【0026】
リレー22はバッテリ11と駆動回路12の間に配置され、駆動回路12への電力供給をスイッチングする。制御手段13がリレー操作信号107によりリレー22を制御する。リレー操作信号107がOFFとなるとリレー22がOFFになり、駆動回路12に電力が供給されなくなり、モータ16はトルクを発生しない。このため、制動装置14は制動力を発生しなくなる。
【0027】
図2は、図1の構成における、異常時の電動ブレーキ装置の状態を示す。
【0028】
図2において、異常時201は、異常検出手段21により異常が検出され、異常検出信号106が出力されている状態、あるいは異常検出信号106が出力されたことを制御手段13が検出し異常時の制御に遷移した状態である。
【0029】
異常時201において、電動ブレーキ装置は制動力発生不可状態202(制動力停止モード)と制動力発生可能状態203(制動力発生モード)の二つの状態(モード)をもつ。制動力発生不可状態202は、制動部材19と回転体20が離れているために制動力を発生しない状態である。あるいは、制動部材19と回転体20が接触していても、車両に対し減速度を与えない状態である。例えば、リレー22をOFFにする、あるいは推力信号104あるいは回転角信号103に応じてモータ16を制御することにより制動力発生不可状態202の状態とする。制動力発生可能状態203は、制御手段13が代替の制御方式を用いることにより制動力を発生する状態である。異常時201の開始時に、車両の走行状態,運転者のブレーキ要求あるいは自車の状況により遷移する状態を選択する。
【0030】
図3は、図1の構成における、異常時の電動ブレーキ装置の状態を示す。このように制動力発生不可状態202の状態と制動力発生可能状態203の状態を切り替えることも可能である。
【0031】
図4は、図1に示す電動ブレーキ装置に環境情報検出装置31,ブレーキ操作量検出装置32および自車状況検出装置33を備えた電動ブレーキシステムを示す。
【0032】
環境情報検出装置31は、例えばミリ波レーダやレーザレーダや雨滴センサ,ナビゲーションシステムであり、自車の前方や後方の障害物情報および走行環境の情報を取得し、環境情報信号301を送信する。
【0033】
ブレーキ操作量検出装置32は、例えばペダルストロークシミュレータやジョイスティックであり、運転者の操作量をブレーキ操作信号302に変換する。
【0034】
自車状況検出装置33は、例えばヨーレートセンサや車輪速センサであり、車両の速度や方向を検出し、自車状況信号303として出力する。
【0035】
図5は、図3における状態の切り替えを行う場合に、ブレーキ要求501に応じて状態を切り替える場合の状態遷移図を示す。
【0036】
ブレーキ要求501は運転者からのブレーキ要求であり、例えば、運転者がブレーキ操作量検出装置32の操作量が閾値以上となる操作をした場合に制動力発生不可状態202から制動力発生可能状態203の状態に遷移し、ブレーキ操作量検出装置32の操作量が閾値以下となる操作をした場合に制動力発生可能状態203から制動力発生不可状態202に遷移する。あるいは、ブレーキ操作量検出装置32の操作量の変化量が閾値以上となるような急峻な操作をした場合に、制動力発生不可状態202から制動力発生可能状態203の状態、あるいは制動力発生可能状態203から制動力発生不可状態202の状態に遷移してもよい。
【0037】
または、ブレーキ操作量検出装置32の操作が連続して行われるような特定のパターンで操作された場合に状態を遷移してもよい。
【0038】
図6は、図3における状態の切り替えを行う場合に、走行状況601に応じて状態を切り替える場合の状態遷移図を示す。
【0039】
走行状況601は環境情報検出装置31から取得する。例えば、レーダにより、前方に障害物を検出した場合に制動力発生不可状態202の状態から制動力発生可能状態203の状態に遷移し、前方の障害物を検出しなくなった場合に制動力発生可能状態203の状態から制動力発生不可状態202の状態に遷移する。あるいは、ナビゲーションシステムにより、下り坂または急なカーブ路と判断される場合は制動力発生不可状態202の状態から制動力発生可能状態203の状態に遷移し、直線であると判断される場合は、制動力発生可能状態203の状態から制動力発生不可状態202の状態に遷移する。または、雨滴検出センサにより、雨と判断される場合は制動力発生不可状態202の状態から制動力発生可能状態203の状態に遷移する。
【0040】
図7に、図3における状態の切り替えを行う場合に、自車状況701に応じて状態を切り替える場合の状態遷移図を示す。
【0041】
走行状況701は自車状況検出装置33から取得する。例えば、電動ブレーキ装置の状態を制動力発生可能状態203に切り替えたことにより、車両が横滑りを起こしたことを検出した場合、制動力発生不可状態202の状態に遷移する。あるいは、自車の車速が閾値以上の場合に制動力発生不可状態202の状態から制動力発生可能状態203の状態に遷移する。
【0042】
図8は、図1の制御手段13が状態遷移を行うためのソフトウェアのフローチャートを示す。電動ブレーキ装置の異常が発生した場合に図8の処理を行う。ステップ801で状態遷移を行うブレーキ要求501あるいは走行状況601または自車状況701を診断し、状態遷移が要求されている場合はステップ802に進み状態遷移を行い、要求されていない場合は、ステップ803に進み状態を現在のまま保持する。
【0043】
図9は、図3に示す電動ブレーキ装置に警報装置91を備えた電動ブレーキ装置を示す。
【0044】
警報装置は異常時の電動ブレーキ装置の状態を運転者に通知するために用い、例えば、ランプや警報器,液晶画面である。警報装置91は制動装置11が出力する警報装置駆動信号901により駆動され、警報装置駆動信号901に応じて複数の警報方式を選択して用いる。
【0045】
例えば、警報装置91は制動力発生不可状態202と制動力発生可能状態203で警報方式の区別をする。警報方式としては、例えば、ワーニングランプの点灯方法,ワーニングランプの色,警報音の周波数,パターン,音色,ステアやペダルの振動パターン,液晶画面への表示,音声による警告などが挙げられる。
【0046】
図10は、図9の警報装置のワーニングランプの点灯方法の一例を示す。例えば、制動力発生不可状態202の時、点灯方法1001のように周期的に点滅させ、制動力発生可能状態203の時、点灯方法1002のように常に点灯させる。
【0047】
つぎに、異常検出手段21が異常を検出した際における制御手段13の制御方式の選択方法について示す。
【0048】
表1に電動ブレーキ装置異常時の状態遷移表を示す。
【0049】
【表1】


【0050】
異常検出信号106,環境情報信号301による前方障害物の有無およびブレーキ操作信号302による運転者のブレーキ要求の有無に応じて、警報装置91の警報方式と制御手段13のブレーキ制御方式を選択する。
【0051】
異常検出信号106より電動ブレーキ装置が正常であると判断される場合、環境情報信号301およびブレーキ操作信号302によらず、異常警報は行わず、正常時制御でブレーキ制御を行う。
【0052】
異常検出信号106より電流センサ15の異常と検出された場合、環境情報信号301およびブレーキ操作信号302に応じて異常警報および制御方式(電流センサ異常モード)を選択する。前方に障害物がないため追突の危険がなく、運転者がブレーキ操作を行っていないときに制御を停止し、異常警報1を行う。それ以外の場合には電流を推力信号104および回転角信号103から推定して電流推定制御を行い、異常警報2を行う。
【0053】
異常検出信号106より回転角センサ17の異常と検出された場合、環境情報信号301に応じて異常警報および制御方式(回転角センサ異常モード)を選択する。前方に障害物がないため追突の危険がないときに制御を停止し、異常警報1を行う。前方に障害物がある場合には回転角をモータ電流信号102から推定してセンサレス制御を行い、異常警報2を行う。
【0054】
異常検出信号106より推力センサ24の異常と検出された場合、環境情報信号301およびブレーキ操作信号302に応じて異常警報および制御方式(推力センサ異常モード)を選択する。前方に障害物がないため追突の危険がなく、運転者がブレーキ操作を行っていないときに制御を停止し、異常警報1を行う。それ以外の場合には推力を回転角信号
103から推定して位置制御を行い、異常警報2を行う。
【0055】
このように、異常構成部品の種に応じて、電動ブレーキの動作モードを変更する。
【0056】
図11は、図1の実施形態における、正常時の制御構成を示す。
【0057】
推力指令1220は運転者のブレーキ要求に対し、制動部材19を回転体20に押し付ける推力の指令値である。
【0058】
制御切替器1201は、異常検出信号106に応じて、推力制御器および電流制御器の切り替え判断を行い、推力制御器切替信号1221および電流制御器切替信号1222を出力する。
【0059】
推力制御切替スイッチ1202は、推力制御器切替信号1221に応じて正常時推力制御器1203と異常時推力制御器1204を選択する。正常時は正常時推力制御器1203を選択する。
【0060】
正常時推力制御器1203および異常時推力制御器1204は、たとえばPI制御器であり、推力指令1220と実推力104の偏差に処理を行う。正常時推力制御器1203と異常時推力制御器1204の差は、例えば、ゲインが異なる、あるいはリミッタを付加する、もしくはPID制御とすることである。
【0061】
正常時推力制御器1203および異常時推力制御器1204は電流指令信号1223を出力し、電流指令信号1223と実電流信号1224との差を電流制御器の入力とする。
【0062】
実電流信号1224は、モータ電流信号102および回転角信号103から算出される。
【0063】
電流制御切替スイッチ1205は、電流制御器切替信号1222に応じて正常時電流制御器1206と電流制限器1207および異常時電流制御器1208を選択する。正常時は正常時電流制御器1206を選択する。
【0064】
正常時電流制御器1206および異常時電流制御器1208は、たとえばPI制御器である。
【0065】
正常時電流制御器1203と異常時電流制御器1204の差は、例えば、ゲインが異なる、あるいはリミッタを付加する、もしくはPID制御とすることである。
【0066】
3相電流算出処理1209は、電流制御器の出力と回転角信号103からモータ駆動信号101を算出する。
【0067】
図12は、図11において電流センサ15に異常が発生した場合の制御構成を示す。
【0068】
電流制御についてはモータ電流信号102を用いずに制御を行うオープンループ制御とする。電流制御切替スイッチ1205により、電流制限器1207および異常時電流制御器1208を選択する。
【0069】
このとき、異常時電流制御器1208はベクトル制御を行ってもよいし、120°通電制御や180°通電制御を行ってもよい。
【0070】
図13は、図12において、120°通電制御とした場合の通電パターンを示す。
【0071】
120°通電制御では、回転角が30°毎に電流を流す相を切り替えるため、モータの回転量が30°以内だと特定の相に電流が流れ続ける。これにより、モータ駆動回路12の駆動素子が熱により破損する可能性があるため、電流制限器1207により電流に制限を加える。例えば、電流の最大値を制限したり、特定の相に連続で通電する時間を制限したりする。これにより、不正に大きな電流を流すことはなく、さらなる異常の拡大を防止できる。
【0072】
図14は、図11において推力センサに異常が発生した場合の制御構成を示す。
【0073】
推力センサに異常が発生した場合は、モータ16の回転量である回転角信号103から推力推定処理1301により推力信号104を推定した推定推力信号1401を用いて制御を行う。
【0074】
また、制御切替器1201により推力制御切替スイッチ1202を切り替え、推力制御器を異常時推力制御器1204とする。
【0075】
あるいは、制動部材19の推力である推力信号104を制御する推力制御からモータ
16の回転量である回転角信号103を制御する位置制御に切り替える。
【0076】
図15は、図11において回転角センサに異常が発生した場合の制御構成を示す。
【0077】
回転角センサに異常が発生した場合は、回転角信号103をモータ電流信号102から推定して制御するセンサレス制御に切り替える。フィルタ1501および信号変換器1502を用いて、モータ電流信号102から回転角信号103を推定する。また、制御切替器
1201により電流制御切替スイッチ1205を切り替え、電流制御器を異常時電流制御器1208とする。
【0078】
上述したように、電動ブレーキ装置の異常を検出する異常検出部の出力と車両の走行状況を知るための環境情報を取得する環境情報検出装置の出力から、電動ブレーキ装置の異常時において、前方に障害物がある場合や路面の摩擦係数が小さいと判断される場合は制動力を発生する代替の制御方式を選択し、前方に障害物がない場合や路面の摩擦係数が大きいと判断される場合は制動力を発生しない制御方式を選択して制御を継続あるいは制御停止とする。
【0079】
また、電動ブレーキ装置の異常を検出する異常検出部の出力と運転者のブレーキ要求を検出するブレーキ操作量検出装置の出力から、電動ブレーキ装置の異常時において運転者のブレーキ操作の有無を判断し、ブレーキ操作中の場合は制動力を発生する代替の制御方式を選択し、ブレーキ操作中でない場合は制動力を発生しない制御方式を選択して制御を継続あるいは制御停止とする。
【0080】
また、電動ブレーキ装置の構成部品に異常が発生した状態において、電動ブレーキ装置が車両に制動力を発生する状態と発生しない状態の少なくとも二つの状態をもつ。これにより、異常した場合に制動力を発生して車両の速度を減らす状態と、制動力を発生せず車両の安定性を確保し易くする状態をもつ電動ブレーキ装置を提供することができ、安全性が向上する。
【0081】
また、電動ブレーキ装置が車両に制動力を発生する状態と発生しない状態の少なくとも二つの状態のうち一つの状態を選択する。また、電動ブレーキ装置が車両に制動力を発生する状態と発生しない状態の少なくとも二つの状態のうち、一方の状態からもう一方の状態に切り替える。また、二つの状態を運転者の制動力要求に応じて選択する。これにより、異常した場合に制動力を発生して車両の速度を減らす状態と、制動力を発生せず車両の安定性を確保し易くする状態を選択する電動ブレーキ装置を提供することができ、安全性が向上する。
【0082】
また、上述の二つの状態を走行状況に応じて選択する。これにより、異常した場合に制動力を発生して車両の速度を減らす状態と、制動力を発生せず車両の安定性を確保し易くする状態を運転者の制動力要求に応じて選択する電動ブレーキ装置を提供することができ、運転者の安心感が向上する。
【0083】
また、二つの状態を自車の状況に応じて選択する。これにより、異常した場合に制動力を発生して車両の速度を減らす状態と、制動力を発生せず車両の安定性を確保し易くする状態を自車の状態に応じて選択する電動ブレーキ装置を提供することができ、安全性が向上する。
【0084】
また、電流センサに異常が発生した場合、電流センサの信号を使用せずに推力センサあるいは回転角センサの信号を使用する制御方式を選択する。また、モータ回転角センサに異常が発生した場合、モータ回転角センサの信号を使用せずに電流センサの信号を使用する制御方式を選択する。また、推力センサに異常が発生した場合、推力センサの信号を使用せずにモータ回転角センサの信号を使用する制御方式を選択する。これにより、電動ブレーキ装置に異常が発生した場合に継続して電動ブレーキ装置を作動させることが可能になる。
【0085】
また、電動ブレーキ装置と異常を運転者に通知する複数の警報方式を有する警報装置を備え、電動ブレーキ装置の制御方式に応じていずれか一方式の警報方式を選択する。これにより、ブレーキ制御の状態を警報装置で運転者に通知するため、異常の認識度が向上する。
【0086】
また、電動ブレーキ装置の制御方式を切り替えた際にアクチュエータに供給する電流を制限する。これにより、電動ブレーキ装置の異常時においても不当に大きな電流を流すことはなく、異常のさらなる拡大を防止できる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲で、さまざまな態様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施形態をなす電動ブレーキ装置の構成図を示す。
【図2】図1の構成の異常時における電動ブレーキ装置の状態を示す。
【図3】図1の構成の異常時における電動ブレーキ装置の状態を示す。
【図4】図1に示す電動ブレーキ装置に環境情報検出装置31,ブレーキ操作量検出装置32および自車状況検出装置33を備えた電動ブレーキシステムを示す。
【図5】図3における状態の切り替えを行う場合に、ブレーキ要求501に応じて状態を切り替える場合の状態遷移図を示す。
【図6】図3における状態の切り替えを行う場合に、走行状況601に応じて状態を切り替える場合の状態遷移図を示す。
【図7】図3における状態の切り替えを行う場合に、自車状況701に応じて状態を切り替える場合の状態遷移図を示す。
【図8】図1の制御手段13が状態遷移を行うためのソフトウェアのフローチャートを示す。
【図9】図3に示す電動ブレーキ装置に警報装置91を備えた電動ブレーキ装置を示す。
【図10】図9の警報装置のワーニングランプの点灯方法の一例を示す。
【図11】図1の実施形態における、正常時の制御構成を示す。
【図12】図11において電流センサ15に異常が発生した場合の制御構成を示す。
【図13】図12において、120°通電制御とした場合の通電パターンを示す。
【図14】図11において推力センサに異常が発生した場合の制御構成を示す。
【図15】図11において回転角センサに異常が発生した場合の制御構成を示す。
【符号の説明】
【0089】
12…駆動回路、13…制御手段、15…電流センサ、16…モータ、17…回転角センサ、18…推力センサ、19…制動部材。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013