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発明の名称 ステアリング装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−69800(P2007−69800A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−260444(P2005−260444)
出願日 平成17年9月8日(2005.9.8)
代理人 【識別番号】100108730
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 正景
発明者 下田 光夫
要約 課題
摩擦板を使用してコラムを車体取付けブラケットに強固にクランプするクランプ装置を備えたステアリング装置において、車両の衝突時に所定値以上の衝撃力が作用すると、コラムがテレスコピック方向またはチルト方向に移動して、衝突時の衝撃を緩和するようにしたステアリング装置を提供する。

解決手段
自動車が他の自動車等に衝突した時の衝撃力によって、アウターコラム11にチルト方向上側への所定値以上の衝撃力が作用すると、チルト用摩擦板61にチルト方向上側への衝撃力が伝わる。この衝撃力によって、チルト用摩擦板61の爪部69、69が変形して外側に開き、ボルト63に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される。その結果、アウターコラム11がチルト用摩擦板61と共に、車体取付けブラケット3に対して、チルト方向上側へ移動し、運転者に対する衝突時の衝撃を緩和する。
特許請求の範囲
【請求項1】
車体に取付け可能な車体取付けブラケット、
上記車体取付けブラケットにチルト位置が調整可能に支持されると共に、ステアリングホイールを装着したステアリングシャフトを回動可能に軸支したコラム、及び、
上記コラムを所望のチルト位置で上記車体取付けブラケットにクランプするために、上記コラムをチルト用摩擦板を介して車体取付けブラケットに締付けるクランプ装置
を備えたステアリング装置において、
上記チルト用摩擦板は上記車体取付けブラケットに連結部材によって連結され、
衝突時に所定値以上の衝撃力が作用すると、上記車体取付けブラケットに対する上記チルト用摩擦板の連結が解除されて、上記コラムがチルト用摩擦板と共に上記車体取付けブラケットに対してチルト方向に移動すること
を特徴とするステアリング装置。
【請求項2】
車体に取付け可能な車体取付けブラケット、
上記車体取付けブラケットにテレスコピック位置が調整可能に支持されると共に、ステアリングホイールを装着したステアリングシャフトを回動可能に軸支したコラム、及び、
上記コラムを所望のテレスコピック位置で上記車体取付けブラケットにクランプするために、上記コラムをテレスコ用摩擦板を介して車体取付けブラケットに締付けるクランプ装置
を備えたステアリング装置において、
上記テレスコ用摩擦板は上記コラムに連結部材によって連結され、
衝突時に所定値以上の衝撃力が作用すると、上記コラムに対する上記テレスコ用摩擦板の連結が解除されて、上記コラムが上記車体取付けブラケットに対してテレスコピック方向に移動すること
を特徴とするステアリング装置。
【請求項3】
車体に取付け可能な車体取付けブラケット、
上記車体取付けブラケットにチルト位置及びテレスコピック位置の両方が調整可能に支持されると共に、ステアリングホイールを装着したステアリングシャフトを回動可能に軸支したコラム、及び、
上記コラムを所望のチルト位置及びテレスコピック位置で上記車体取付けブラケットにクランプするために、上記コラムをチルト用摩擦板及びテレスコ用摩擦板を介して車体取付けブラケットに締付けるクランプ装置
を備えたステアリング装置において、
上記チルト用摩擦板は上記車体取付けブラケットに連結部材によって連結されると共に、上記テレスコ用摩擦板は上記コラムに連結部材によって連結され、
衝突時に所定値以上の衝撃力が作用すると、上記車体取付けブラケットに対する上記チルト用摩擦板の連結が解除されて、上記コラムがチルト用摩擦板と共に上記車体取付けブラケットに対してチルト方向に移動すると共に、上記コラムに対する上記テレスコ用摩擦板の連結が解除されて、上記コラムが上記車体取付けブラケットに対してテレスコピック方向に移動すること
を特徴とするステアリング装置。
【請求項4】
車体に取付け可能な車体取付けブラケット、
上記車体取付けブラケットにチルト位置及びテレスコピック位置の両方が調整可能に支持されると共に、ステアリングホイールを装着したステアリングシャフトを回動可能に軸支したコラム、及び、
上記コラムを所望のチルト位置及びテレスコピック位置で上記車体取付けブラケットにクランプするために、上記コラムをチルト用摩擦板及びテレスコ用摩擦板を介して車体取付けブラケットに締付けるクランプ装置
を備えたステアリング装置において、
上記チルト用摩擦板は上記車体取付けブラケットに連結部材によって連結されると共に、上記テレスコ用摩擦板は上記コラムに連結部材によって連結され、
衝突時に所定値以上の衝撃力が作用すると、上記車体取付けブラケットに対する上記チルト用摩擦板の連結、または上記コラムに対する上記テレスコ用摩擦板の連結の少なくともいずれか一方が解除されて、
上記コラムがチルト用摩擦板と共に上記車体取付けブラケットに対してチルト方向に移動するか、または上記コラムが上記車体取付けブラケットに対してテレスコピック方向に移動すること
を特徴とするステアリング装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載されたステアリング装置において、
上記衝突時の車体取付けブラケットに対するチルト用摩擦板の連結解除、または上記衝突時のコラムに対するテレスコ用摩擦板の連結の解除は、チルト用摩擦板またはテレスコ用摩擦板の変形によって行われること
を特徴とするステアリング装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載されたステアリング装置において、
上記衝突時の車体取付けブラケットに対するチルト用摩擦板の連結解除、または上記衝突時のコラムに対するテレスコ用摩擦板の連結の解除は、上記連結部材の変形によって行われること
を特徴とするステアリング装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載されたステアリング装置において、
上記車体取付けブラケットは、二次衝突時に所定値以上の衝撃力が作用すると、車体前方側に移動可能に車体に取付け可能なこと
を特徴とするステアリング装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はステアリング装置、特に、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールのテレスコピック位置(前後方向位置)やチルト位置(傾斜角度)を調整できるステアリング装置であって、複数の摩擦板を使用して、コラムが前後方向や傾斜方向に移動しないように強固にクランプするクランプ装置を備えたステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリングホイールのテレスコピック位置やチルト位置を調整できるステアリング装置では、ステアリングホイールのテレスコピック位置やチルト位置を調整した後、その位置から動かないように、コラムを車体取付けブラケットに強固にクランプする必要がある。そのために、複数の摩擦板を使用したクランプ装置を備え、コラムのクランプ時の摩擦力を大きくし、コラムを車体取付けブラケットに強固にクランプするようにしている。
【0003】
このような摩擦板を使用したクランプ装置を備えたステアリング装置として、特許文献1及び特許文献2に示すステアリング装置がある。特許文献1及び特許文献2のステアリング装置では、摩擦板と車体取付けブラケットとの連結、及び摩擦板とコラムとの連結は、ボルトやピン等によって行われている。
【0004】
コラムは摩擦板の摩擦力によって車体取付けブラケットに強固にクランプされているため、車両の衝突時にコラムに衝撃力が加わっても、摩擦板とボルトやピン等との間の微小な隙間分だけしかコラムは移動できないため、衝突時の運転者に対する衝撃力が大きくなる恐れがあった。
【0005】
【特許文献1】実公昭62−19483号公報
【特許文献2】特開平10−35511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、摩擦板を使用してコラムを車体取付けブラケットに強固にクランプするクランプ装置を備えたステアリング装置において、車両の衝突時に所定値以上の衝撃力が作用すると、コラムがテレスコピック方向またはチルト方向に移動して、衝突時の衝撃を緩和するようにしたステアリング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、第1番目の発明は、車体に取付け可能な車体取付けブラケット、上記車体取付けブラケットにチルト位置が調整可能に支持されると共に、ステアリングホイールを装着したステアリングシャフトを回動可能に軸支したコラム、及び、上記コラムを所望のチルト位置で上記車体取付けブラケットにクランプするために、上記コラムをチルト用摩擦板を介して車体取付けブラケットに締付けるクランプ装置を備えたステアリング装置において、上記チルト用摩擦板は上記車体取付けブラケットに連結部材によって連結され、衝突時に所定値以上の衝撃力が作用すると、上記車体取付けブラケットに対する上記チルト用摩擦板の連結が解除されて、上記コラムがチルト用摩擦板と共に上記車体取付けブラケットに対してチルト方向に移動することを特徴とするステアリング装置である。
【0008】
第2番目の発明は、車体に取付け可能な車体取付けブラケット、上記車体取付けブラケットにテレスコピック位置が調整可能に支持されると共に、ステアリングホイールを装着したステアリングシャフトを回動可能に軸支したコラム、及び、上記コラムを所望のテレスコピック位置で上記車体取付けブラケットにクランプするために、上記コラムをテレスコ用摩擦板を介して車体取付けブラケットに締付けるクランプ装置を備えたステアリング装置において、上記テレスコ用摩擦板は上記コラムに連結部材によって連結され、衝突時に所定値以上の衝撃力が作用すると、上記コラムに対する上記テレスコ用摩擦板の連結が解除されて、上記コラムが上記車体取付けブラケットに対してテレスコピック方向に移動することを特徴とするステアリング装置である。
【0009】
第3番目の発明は、車体に取付け可能な車体取付けブラケット、上記車体取付けブラケットにチルト位置及びテレスコピック位置の両方が調整可能に支持されると共に、ステアリングホイールを装着したステアリングシャフトを回動可能に軸支したコラム、及び、上記コラムを所望のチルト位置及びテレスコピック位置で上記車体取付けブラケットにクランプするために、上記コラムをチルト用摩擦板及びテレスコ用摩擦板を介して車体取付けブラケットに締付けるクランプ装置を備えたステアリング装置において、上記チルト用摩擦板は上記車体取付けブラケットに連結部材によって連結されると共に、上記テレスコ用摩擦板は上記コラムに連結部材によって連結され、衝突時に所定値以上の衝撃力が作用すると、上記車体取付けブラケットに対する上記チルト用摩擦板の連結が解除されて、上記コラムがチルト用摩擦板と共に上記車体取付けブラケットに対してチルト方向に移動すると共に、上記コラムに対する上記テレスコ用摩擦板の連結が解除されて、上記コラムが上記車体取付けブラケットに対してテレスコピック方向に移動することを特徴とするステアリング装置である。
【0010】
第4番目の発明は、車体に取付け可能な車体取付けブラケット、上記車体取付けブラケットにチルト位置及びテレスコピック位置の両方が調整可能に支持されると共に、ステアリングホイールを装着したステアリングシャフトを回動可能に軸支したコラム、及び、上記コラムを所望のチルト位置及びテレスコピック位置で上記車体取付けブラケットにクランプするために、上記コラムをチルト用摩擦板及びテレスコ用摩擦板を介して車体取付けブラケットに締付けるクランプ装置を備えたステアリング装置において、上記チルト用摩擦板は上記車体取付けブラケットに連結部材によって連結されると共に、上記テレスコ用摩擦板は上記コラムに連結部材によって連結され、衝突時に所定値以上の衝撃力が作用すると、上記車体取付けブラケットに対する上記チルト用摩擦板の連結、または上記コラムに対する上記テレスコ用摩擦板の連結の少なくともいずれか一方が解除されて、上記コラムがチルト用摩擦板と共に上記車体取付けブラケットに対してチルト方向に移動するか、または上記コラムが上記車体取付けブラケットに対してテレスコピック方向に移動することを特徴とするステアリング装置である。
【0011】
第5番目の発明は、第1番目から第4番目までのいずれかの発明のステアリング装置において、上記衝突時の車体取付けブラケットに対するチルト用摩擦板の連結解除、または上記衝突時のコラムに対するテレスコ用摩擦板の連結の解除は、チルト用摩擦板またはテレスコ用摩擦板の変形によって行われることを特徴とするステアリング装置である。
【0012】
第6番目の発明は、第1番目から第4番目までのいずれかの発明のステアリング装置において、上記衝突時の車体取付けブラケットに対するチルト用摩擦板の連結解除、または上記衝突時のコラムに対するテレスコ用摩擦板の連結の解除は、上記連結部材の変形によって行われることを特徴とするステアリング装置である。
【0013】
第7番目の発明は、第1番目から第4番目までのいずれかの発明のステアリング装置において、上記車体取付けブラケットは、二次衝突時に所定値以上の衝撃力が作用すると、車体前方側に移動可能に車体に取付け可能なことを特徴とするステアリング装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のステアリング装置では、テレスコ用摩擦板またはチルト用摩擦板のいずれか一方、または、テレスコ用摩擦板とチルト用摩擦板の両方が、所定値以上の衝撃力が作用した時に、コラムまたは車体取付けブラケットとの間の連結が解除されて、コラムがテレスコピック方向またはチルト方向に移動可能となるため、運転者に対する衝突時の衝撃力を緩和することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明のステアリング装置を車両に取り付けた状態を示す全体斜視図である。
【0016】
図1に示すように、中空円筒状のコラム1が車体に取付けられ、このコラム1にはステアリングシャフト12が回動可能に軸支されている。ステアリングシャフト12には、その右端(車体後方側)にステアリングホイール121が装着され、ステアリングシャフト12の左端(車体前方側)には、自在継手21を介して中間シャフト22が連結されている。
【0017】
中間シャフト22は、雄スプラインが形成された中実の中間インナーシャフト221と、雌スプラインが形成された中空円筒状の中間アウターシャフト222で構成され、中間インナーシャフト221の雄スプラインが、中間アウターシャフト222の雌スプラインに伸縮可能(摺動可能)に、かつ回転トルクを伝達可能に嵌合している。
【0018】
そして、中間アウターシャフト222の車体後方側が上記自在継手21に連結され、中間インナーシャフト221の車体前方側が自在継手23に連結されている。自在継手23には、ステアリングギヤ24の図示しないラックに噛合うピニオンが連結されている。
【0019】
運転者がステアリングホイール121を回転操作すると、ステアリングシャフト12、自在継手21、中間シャフト22、自在継手23を介して、その回転力がステアリングギヤ24に伝達され、ラックアンドピニオン機構を介して、タイロッド25を移動し、車輪の操舵角を変えることができる。
【0020】
図2は、発明の第1の実施形態のステアリング装置を示し、(1)は要部を示す正面図であり、(2)はチルト用摩擦板とボルトとの連結部を示す拡大正面図である。図3は図2(1)のA−A拡大断面図である。図2及び図3に示すように、コラム1は、中空円筒状のアウターコラム(アッパーコラム)11と、このアウターコラム11の左側(車体前方側)に軸方向に摺動可能に内嵌したインナーコラム(ロアーコラム)10で構成されている。
【0021】
アウターコラム11には、ステアリングシャフト12が回転可能に軸支され、ステアリングシャフト12の右端(車体後方側)に、上記したステアリングホイール121(図1参照)が固定されている。
【0022】
本発明の実施形態では、アウターコラム11は、アルミダイカスト製の一体成型品であるが、鋼管にディスタンスブラケットを溶接したものであってもよい。また、軽量化を目的として、マグネシウムダイカスト製であってもよい。
【0023】
アウターコラム11の左側(車体前方側)には、アウターコラム11を左右両側から挟み込むようにして、車体取付けブラケット3が取付けられている。車体取付けブラケット3は、車体41に固定されたアルミ合金製等のカプセル42を介して、車体前方側に離脱可能に取付けられている。
【0024】
アウターコラム11は、二次衝突時にステアリングホイール121に運転者が衝突して大きな衝撃力が作用すると、カプセル42から車体取付けブラケット3が車体前方側に離脱し、インナーコラム10に案内されて車体前方側にコラプス移動し、衝突時の衝撃エネルギーを吸収する。インナーコラム10の車体前方側(左側)は、図示しない枢動ピンを介して、車体41にチルト可能に支持されている。
【0025】
図3に示すように、車体取付けブラケット3は、上板32と、この上板32から下方に延びる側板33、34を有している。上記アウターコラム11には、アウターコラム11の下方に突出して、ディスタンスブラケット13が一体的に形成されている。ディスタンスブラケット13の側面14、15は、車体取付けブラケット3の側板33、34の内側面331、341に摺動可能に接している。
【0026】
また、アウターコラム11には、ディスタンスブラケット13の側面14、15の上部外周に、アウターコラム11の軸心方向に延びるリブ181、182が形成されている。リブ181、182の左右方向の幅は、側面14、15の左右方向の幅と同一に設定されている。従って、このリブ181、182も側板33、34の内側面331、341に摺動可能に接し、アウターコラム11を車体取付けブラケット3の側板33、34で強固に締付けることができるようにしている。
【0027】
車体取付けブラケット3の側板33、34には、チルト調整用長溝35、36が形成されている。ディスタンスブラケット13には、図3の左右方向に延びると共に、アウターコラム11の軸心方向に長く延びるテレスコ調整用長溝16、17が形成されている。
【0028】
丸棒状の締付けロッド5が、上記チルト調整用長溝35、36及びテレスコ調整用長溝16、17を通して、図3の右側から挿入されている。締付けロッド5の右端には円筒状の頭部51が形成されている。
【0029】
各側板33、34の外側面332、342には、前記締付けロッド5が貫通するチルト調整用長溝62(図2参照)が形成された複数(本実施形態では2枚)のチルト用摩擦板(摩擦板)61、61が、チルト方向(図2及び図3の上下方向)に延在して配置されている。チルト用摩擦板61、61のチルト調整用長溝62のチルト方向の長さは、上記側板33、34のチルト調整用長溝35、36のチルト方向の長さよりも長く形成されている。
【0030】
側板34の外側面342側の2枚のチルト用摩擦板61のうち、締付けロッド5の頭部51と接する右側のチルト用摩擦板61には、頭部51側に突出する回り止め突起(図示せず)が形成されている。この回り止め突起が、頭部51の左端面に形成された凹溝(図示せず)に係合して、締付けロッド5をチルト用摩擦板61に対して回り止めをするとともに、アウターコラム11のチルト位置調整時に、回り止め突起に沿って、締付けロッド5を摺動させる。
【0031】
各チルト用摩擦板61、61は、その上端が、連結部材としてのボルト63によって、それぞれ各側板33、34に対して固定されている。各チルト用摩擦板61、61は、その下方が自由端になっており、チルト締付時の締付ズレを許容するように構成されている。
【0032】
又、同様に、アウターコラム11のディスタンスブラケット13の側面14、15には、前記締付けロッド5が貫通するテレスコ調整用長溝65(図2参照)が形成された複数(本実施形態では2枚)のテレスコ用摩擦板(摩擦板)64が、前記各チルト用摩擦板61、61と互い違いになるように、テレスコ方向(図2の左右方向)に延在して配置されている。
【0033】
各テレスコ用摩擦板64、64は、その左端が、連結部材としてのボルト66によって、それぞれ各側面14、15に対して固定されている。各テレスコ用摩擦板64、64は、その右方が自由端になっており、テレスコ締付時の締付ズレを許容するように構成されている。本発明の実施形態では、チルト用摩擦板61及びテレスコ用摩擦板64は各々2枚配置されているが、1枚でもよく、また3枚以上でもよい。また、本発明の実施形態では、チルト用摩擦板61及びテレスコ用摩擦板64は、側板33側及び34側の両方に配置されているが、どちらか一方でもよい。
【0034】
各テレスコ用摩擦板64、64のテレスコ調整用長溝65のテレスコ調整方向の長さは、ディスタンスブラケット13のテレスコ調整用長溝16、17のテレスコ調整方向の長さよりも長く設定されている。そのように設定すれば、テレスコ方向の調整端で、締付けロッド5の外周が、ディスタンスブラケット13のテレスコ調整用長溝16、17の溝端部側に当接して停止するため、停止端での剛性感と耐久性が向上して好ましい。
【0035】
図2(2)にチルト用摩擦板61とボルト63との連結部を拡大して示す。図2(2)に示すように、チルト用摩擦板61の上端には、ボルト63の軸部631の直径よりも若干大径で下方が開口した連結孔67が形成され、この連結孔67にボルト63の軸部631が嵌合している。
【0036】
連結孔67の下方の開口部671の幅B1は、軸部631の直径よりも小さい。また、連結孔67の下方には、軸部631の直径よりも幅W1が大きい逃がし溝68が形成され、逃がし溝68の上端と連結孔67の開口部671との間には、幅の狭い爪部69、69が形成されている。
【0037】
チルト用摩擦板61は、この爪部69、69によってボルト63の軸部631を連結孔67内に保持している。そして、衝突時にアウターコラム11に図2の上方への所定値以上の衝撃力が作用すると、チルト用摩擦板61にも図2の上方への衝撃力が作用する。
【0038】
すると、爪部69、69が変形して外側に開き、開口部671の幅B1が軸部631の直径よりも大きくなり、軸部631に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される。その結果、アウターコラム11がチルト用摩擦板61と共に、車体取付けブラケット3に対して、図2の上方(チルト方向上側)へ移動可能となる。
【0039】
図3に示すように、締付けロッド5の左端外周には、ワッシャ52、固定カム53、可動カム54、操作レバー55、スラスト軸受56、ナット57が、この順で外嵌され、ナット57の内径部に形成された雌ねじ(図示せず)が、締付けロッド5の左端に形成された雄ねじ58にねじ込まれている。締付けロッド5の左端外周には、矩形断面の回り止め部(図示せず)が形成されており、この回り止め部によって、固定カム53が、締付けロッド5に対して回り止めされる。
【0040】
固定カム53と可動カム54の対向する端面には、相補的な傾斜カム面が形成され、互いに噛み合っている。可動カム54の左側面に連結された操作レバー55を手で操作すると、可動カム54が固定カム53に対して回動する。
【0041】
操作レバー55をクランプ方向に回動すると、固定カム53の傾斜カム面の山に可動カム54の傾斜カム面の山が乗り上げ、締付けロッド5を図3の左側に引っ張ると同時に、固定カム53を図3の右側に押す。
【0042】
右側の側板34側のチルト用摩擦板61、61、テレスコ用摩擦板64、64は、締付けロッド5の頭部51の左端面によって左側に押され、側板34を内側に変形させ、側板34の内側面341を、ディスタンスブラケット13の側面15及びリブ182に強く押しつける。
【0043】
同時に、左側の側板33側のチルト用摩擦板61、61、テレスコ用摩擦板64、64は、ワッシャ52の右端面によって右側に押され、側板33を内側に変形させ、側板33の内側面331を、ディスタンスブラケット13の側面14及びリブ181に強く押しつける。
【0044】
このようにして、チルト用摩擦板61、61とテレスコ用摩擦板64、64の両側面の間に働く大きな摩擦力によって、アウターコラム11のディスタンスブラケット13及びリブ181、182を、車体取付けブラケット3に、チルト締付け及びテレスコ締付けすることができる。上記したチルト用摩擦板61、61、テレスコ用摩擦板64、64、固定カム53、可動カム54、締付けロッド5、操作レバー55等によって、本発明の実施形態のクランプ装置が構成されている。
【0045】
従って、車体取付けブラケット3に対してアウターコラム11が固定され、アウターコラム11のチルト方向の変位及びテレスコ方向の変位が阻止される。アウターコラム11は車体取付けブラケット3に対して、テレスコ用摩擦板64、64及びチルト用摩擦板61、61との間に働く大きな摩擦力によって、大きな保持力で締付けられる。
【0046】
次に、運転者が操作レバー55を締付解除方向に回動すると、フリーな状態における間隔がディスタンスブラケット13の側面14、15の外側の幅より広く設定された車体取付けブラケット3の側板33、34が、挟持方向と反対の方向へそれぞれ弾性復帰する。これによって、テレスコ用摩擦板64、64及びチルト用摩擦板61、61との間の摩擦力も解除される。
【0047】
そのため、前記アウターコラム11は、車体取付けブラケット3の側板33、34に対してフリーな状態となる。この状態で、前記締付けロッド5をチルト用摩擦板61、61のチルト調整用長溝62に案内させつつチルト方向に変位させて、ステアリングホイール121のチルト方向の調整を任意に行うことができる。
【0048】
また、前記締付けロッド5に沿って、テレスコ用摩擦板64のテレスコ調整用長溝65、及び、ディスタンスブラケット13のテレスコ調整用長溝16、17を案内させつつ、アウターコラム11をテレスコ方向に変位させることで、ステアリングホイール121のテレスコ方向の調整を任意に行うことができる。
【0049】
図3に示すように、車体取付けブラケット3には、上板32から左右方向に延びるフランジ部37、38が形成され、このフランジ部37、38には、車体後方側が開放された略U字形状の切欠き溝39、39が形成されている。カプセル42は、この切欠き溝39の左右両側縁部を挟持する上挟持板421と下挟持板422を有し、ボルト43によって車体41の取付け面411に固定される。
【0050】
カプセル42とフランジ部37、38は、図示しない複数の樹脂ピンを射出成形することで連結され、二次衝突時にこの樹脂ピンを剪断することにより、離脱荷重を発生させ、フランジ部37、38(すなわち車体取付けブラケット3)が、車体に固定されたカプセル42から車体前方側に抜け出すようにしている。
【0051】
自動車が他の自動車等に衝突した時、運転者が慣性でステアリングホイール121に衝突する、いわゆる二次衝突時の衝撃力によって、アウターコラム11に、図2の上方(チルト方向上側)への所定値以上の衝撃力が作用する場合がある。この衝撃力によって、テレスコ調整用長溝16、17、締め付けロッド5、ワッシャ52を介して、チルト用摩擦板61に、図2の上方(チルト方向上側)への衝撃力が伝わる。
【0052】
この衝撃力によって、チルト用摩擦板61の爪部69、69が変形して外側に開き、連結孔67の開口部671の幅B1がボルト63の軸部631の直径よりも大きくなり、ボルト63に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される。その結果、図4に示すように、アウターコラム11がチルト用摩擦板61と共に、車体取付けブラケット3に対して、図4の上方(チルト方向上側)へ移動し、運転者に対する衝突時の衝撃を緩和する。
【0053】
第1の実施形態では、アウターコラム11がチルト用摩擦板61と共に、車体取付けブラケット3に対して、図4の上方(チルト方向上側)へ移動して、衝突時の衝撃を緩和しているが、図4の下方(チルト方向下側)へ移動可能な構造にして、チルト方向下側への衝突時の衝撃力を緩和するようにしてもよい。
【0054】
図5はチルト用摩擦板61の変形例を示す正面図である。第1の実施形態のチルト用摩擦板61は、チルト方向上側への衝撃力が作用した時だけ、連結部材としてのボルト63に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される構造であった。図5(1)及び図5(2)は、チルト方向上側への衝撃力が作用した時だけではなく、チルト方向下側への衝撃力が作用した時にも、ボルト63に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される構造を採用している。
【0055】
すなわち、図5(1)に示すように、チルト用摩擦板61の上端には、ボルト63の軸部631の直径よりも若干大径の連結孔67が形成され、この連結孔67にボルト63の軸部631が嵌合している。この連結孔67の上方と下方には、各々開口部671A、671Bが形成されている。
【0056】
開口部671A、671Bの幅B2は、軸部631の直径よりも小さい。また、連結孔67の上方と下方には、軸部631の直径よりも幅W2が大きい逃がし溝68A、68Bが形成されている。この上方の逃がし溝68Aの下端と連結孔67の開口部671Aとの間、及び、下方の逃がし溝68Bの上端と連結孔67の開口部671Bとの間には、三角形の爪部69A、69A、69B、69Bが各々形成されている。
【0057】
この爪部69A、69A、69B、69Bには、三角形孔691A、691A、691B、691Bが明けられていて、所定の衝撃力で爪部69A、69A、69B、69Bが変形して外側に開くように設定している。
【0058】
チルト用摩擦板61は、この爪部69A、69A、69B、69Bによってボルト63の軸部631を連結孔67内に保持している。そして、衝突時にアウターコラム11に図5(1)の上方への所定値以上の衝撃力が作用すると、チルト用摩擦板61にも図5(1)の上方への衝撃力が作用する。
【0059】
すると、下方の爪部69B、69Bが変形して外側に開き、下方の開口部671Bの幅B2が軸部631の直径よりも大きくなり、軸部631に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される。その結果、アウターコラム11がチルト用摩擦板61と共に、車体取付けブラケット3に対して、図5(1)の上方(チルト方向上側)へ移動して、衝突時の衝撃を緩和する。
【0060】
また、衝突時にアウターコラム11に図5(1)の下方への所定値以上の衝撃力が作用すると、チルト用摩擦板61にも図5(1)の下方への衝撃力が作用する。すると、上方の爪部69A、69Aが変形して外側に開き、上方の開口部671Aの幅B2が軸部631の直径よりも大きくなり、軸部631に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される。
【0061】
その結果、アウターコラム11がチルト用摩擦板61と共に、車体取付けブラケット3に対して、図5(1)の下方(チルト方向下側)へ移動して、衝突時の衝撃を緩和する。このように、チルト方向上側とチルト方向下側のどちらの方向の衝撃力に対しても、軸部631に対するチルト用摩擦板61の連結が解除されて、衝突時の衝撃を緩和することが可能となる。
【0062】
図5(2)は図5(1)の変形例であって、爪部と逃がし溝の形状を変えた例である。すなわち、連結孔67の上方と下方には、図5(1)と同様に各々開口部671C、671Dが形成されている。
【0063】
開口部671C、671Dの幅B3は、軸部631の直径よりも小さい。また、連結孔67の上方と下方には、軸部631の直径よりも幅W3が大きく、図5(1)の逃がし溝68A、68Bの幅W2よりも幅W3が大きい逃がし溝68C、68Dが形成されている。この上方の逃がし溝68Cの下端と連結孔67の開口部671Cとの間、及び、下方の逃がし溝68Dの上端と連結孔67の開口部671Dとの間には、幅の狭い爪部69C、69C、69D、69Dが各々形成されている。
【0064】
この爪部69C、69C、69D、69Dの幅は、図5(1)の爪部69A、69A、69B、69Bの幅よりも狭く形成されているので、三角形孔691A、691A、691B、691Bが無くても、所定の衝撃力で爪部69C、69Dが変形して外側に開くように設定されている。
【0065】
チルト用摩擦板61は、この爪部69C、69C、69D、69Dによって、ボルト63の軸部631を連結孔67内に保持している。そして、衝突時にアウターコラム11に図5(2)の上方への所定値以上の衝撃力が作用すると、チルト用摩擦板61にも図5(2)の上方への衝撃力が作用する。
【0066】
すると、下方の爪部69D、69Dが変形して外側に開き、下方の開口部671Dの幅B3が軸部631の直径よりも大きくなり、軸部631に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される。その結果、アウターコラム11がチルト用摩擦板61と共に、車体取付けブラケット3に対して、図5(2)の上方(チルト方向上側)へ移動して、衝突時の衝撃を緩和する。
【0067】
また、衝突時にアウターコラム11に図5(2)の下方への所定値以上の衝撃力が作用すると、チルト用摩擦板61にも図5(2)の下方への衝撃力が作用する。すると、上方の爪部69C、69Cが変形して外側に開き、上方の開口部671Cの幅B3が軸部631の直径よりも大きくなり、軸部631に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される。
【0068】
その結果、アウターコラム11がチルト用摩擦板61と共に、車体取付けブラケット3に対して、図5(2)の下方(チルト方向下側)へ移動して、衝突時の衝撃を緩和する。このように、チルト方向上側とチルト方向下側のどちらの方向の衝撃力に対しても、軸部631に対するチルト用摩擦板61の連結が解除可能で、衝突時の衝撃を緩和することが可能となる。
【0069】
第1の実施形態及び図5(1)、(2)の逃がし溝とチルト調整用長溝は、チルト方向に分断して形成されているが、図5(3)及び図5(4)は、ボルト63用の逃がし溝とチルト調整用長溝を連続して形成した例である。
【0070】
すなわち、図5(3)、図5(4)に示すように、チルト用摩擦板61の上端には、ボルト63の軸部631の直径よりも若干大径の連結孔67が形成され、この連結孔67にボルト63の軸部631が嵌合している。この連結孔67の下方には、図5(3)では開口部671Eが形成され、図5(4)では開口部671Fが各々形成されている。
【0071】
開口部671Eの幅B4、開口部671Fの幅B5は、軸部631の直径よりも小さい。また、図5(3)では、連結孔67の下方には、軸部631の直径よりも幅W4が大きい逃がし溝68Eが形成され、この逃がし溝68Eの下方に、幅W5のチルト調整用長溝62Eが連続して形成されている。逃がし溝68Eの上端と連結孔67の開口部671Eとの間には、三角形の爪部69E、69Eが形成されている。
【0072】
この爪部69E、69Eには、三角形孔691E、691Eが明けられていて、所定の衝撃力で爪部69E、69Eが変形して外側に開くように設定している。また、逃がし溝68Eの下端とチルト調整用長溝62Eの上端との間には、三角形のチルトストッパ70E、70Eが形成されて、チルト調整時に締付けロッド5に当接することで、チルト調整時のチルト方向上側のストッパとして機能する。
【0073】
また、図5(4)では、連結孔67の下方には、軸部631の直径よりも幅W6が大きい逃がし溝68Fが形成され、この逃がし溝68Fの下方に、逃がし溝68Fと幅W6が同一のチルト調整用長溝62Fが連続して形成されている。逃がし溝68Fの上端と連結孔67の開口部671Fとの間には、三角形の爪部69F、69Fが形成されている。
【0074】
この爪部69F、69Fには、三角形孔691F、691Fが明けられていて、所定の衝撃力で爪部69F、69Fが変形して外側に開くように設定している。また、逃がし溝68Fの下端とチルト調整用長溝62Fの上端との間には、三角形のチルトストッパ70F、70Fが形成されている。
【0075】
チルト用摩擦板61は、これらの爪部69E、69E、69F、69Fによってボルト63の軸部631を連結孔67内に保持している。そして、衝突時にアウターコラム11に図5(3)、図5(4)の上方への所定値以上の衝撃力が作用すると、チルト用摩擦板61にも上方への衝撃力が作用する。
【0076】
すると、これらの爪部69E、69E、69F、69Fが変形して外側に開き、下方の開口部671E、671Fの幅B4、B5が軸部631の直径よりも大きくなり、軸部631に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される。その結果、アウターコラム11がチルト用摩擦板61と共に、車体取付けブラケット3に対して、図5(3)、(4)の上方(チルト方向上側)へ移動して、衝突時の衝撃を緩和する。
【0077】
このように、図5(3)、図5(4)の例では、ボルト63用の逃がし溝68E、68Fとチルト調整用長溝62E、62Fを連続して形成しているため、形状が簡素になり、製造コストを低減することができる。また、図5(4)の例では、逃がし溝68Fの幅とチルト調整用長溝62Fの幅を同一にしているので、形状がより簡素になる。
【0078】
図5(3)、図5(4)の例では、逃がし溝68Eの下端とチルト調整用長溝62Eの上端との間に形成されたチルトストッパ70E、70E、及び、逃がし溝68Fの下端とチルト調整用長溝62Fの上端との間に形成されたチルトストッパ70F、70Fは、幅方向が分断されているが、幅方向をつなぐようにしてもよい。
【0079】
上記した第1の実施形態及び図5の変形例では、チルト用摩擦板61に適用した例について説明したが、テレスコ用摩擦板64に適用してもよく、また、チルト用摩擦板61とテレスコ用摩擦板64の両方に適用してもよい。
【0080】
* 第2の実施形態
次に本発明の第2の実施形態について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態のステアリング装置の要部を示す正面図である。以下の説明では、上記実施形態と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
【0081】
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であって、衝突時の衝撃で、チルト用摩擦板61と車体取付けブラケット3との連結の解除、及び、テレスコ用摩擦板64とアウターコラム11との連結の解除の両方を可能にした例である。
【0082】
すなわち、図6に示すように、チルト用摩擦板61とボルト63との連結部の構造は第1の実施形態と同一なので説明を省略し、テレスコ用摩擦板64とボルト66との連結部の構造について説明する。テレスコ用摩擦板64の右端(車体後方側)には、ボルト66の軸部661の直径よりも若干大径で左方(車体前方側)が開口した連結孔71が形成され、この連結孔71にボルト66の軸部661が嵌合している。
【0083】
連結孔71の左方の開口部711の幅B6は、軸部661の直径よりも小さい。また、連結孔71の左方には、軸部661の直径よりも幅W7が大きい逃がし溝72が形成され、逃がし溝72の右端と連結孔71の開口部711との間には、幅の狭い爪部73、73が形成されている。
【0084】
テレスコ用摩擦板64は、この爪部73、73によってボルト66の軸部661を連結孔71内に保持している。そして、衝突時にアウターコラム11に図6の左方への所定値以上の衝撃力が作用すると、ボルト66の軸部661にも図6の左方への衝撃力が作用する。
【0085】
すると、爪部73、73が変形して外側に開き、開口部711の幅B6が軸部661の直径よりも大きくなり、軸部661に対するテレスコ用摩擦板64の連結(アウターコラム11とテレスコ用摩擦板64との連結)が解除される。その結果、アウターコラム11が車体取付けブラケット3に対して、図6の左方(テレスコ方向前方)へ移動可能となる。
【0086】
自動車が他の自動車等に衝突した時、運転者が慣性でステアリングホイール121に衝突する、いわゆる二次衝突時の衝撃力によって、アウターコラム11に、図6の上方(チルト方向上側)及び図6の左方への所定値以上の衝撃力が作用する場合がある。この衝撃力によって、テレスコ調整用長溝16、17、締め付けロッド5、ワッシャ52を介して、チルト用摩擦板61に、図6の上方(チルト方向上側)への衝撃力が伝わる。同時に、ボルト66の軸部661にも図6の左方への衝撃力が伝わる。
【0087】
この衝撃力によって、チルト用摩擦板61の爪部69、69が変形して外側に開き、ボルト63に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される。ほぼ同時に、テレスコ用摩擦板64の爪部73、73が変形して外側に開き、軸部661に対するテレスコ用摩擦板64の連結が解除される。
【0088】
その結果、アウターコラム11がチルト用摩擦板61と共に、車体取付けブラケット3に対して、図6の上方(チルト方向上側)へ移動すると共に、アウターコラム11が車体取付けブラケット3に対して、図6の左方(テレスコ方向前方)へ移動して、運転者に対する衝突時の衝撃を緩和する。
【0089】
この結果、第2の実施形態では、チルト方向及びテレスコ方向の両方の衝撃力に対して、衝突時の衝撃を緩和することができる。
【0090】
* 第3の実施形態
次に本発明の第3の実施形態について説明する。図7は、本発明の第3の実施形態のステアリング装置の要部を示す正面図である。以下の説明では、上記実施形態と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
【0091】
第3の実施形態は、第2の実施形態と同様に、衝突時の衝撃で、チルト用摩擦板61と車体取付けブラケット3との連結の解除、及び、テレスコ用摩擦板64とアウターコラム11との連結の解除の両方を可能にした例である。第2の実施形態との差異は、テレスコ用摩擦板64とアウターコラム11との連結構造が異なることである。
【0092】
すなわち、図7に示すように、チルト用摩擦板61とボルト63との連結部の構造は第1の実施形態及び第2の実施形態と同一なので説明を省略し、テレスコ用摩擦板64とボルト66との連結部の構造について説明する。テレスコ用摩擦板64の左端(車体前方側)には、ボルト66の軸部661の直径よりも若干大径で左方(車体前方側)が開口した連結孔71が形成され、この連結孔71にボルト66の軸部661が嵌合している。
【0093】
連結孔71の左方の開口部711の幅B7は、軸部661の直径よりも小さい。また、連結孔71の周囲には、テレスコ用摩擦板64の左端と連結孔71の開口部711との間に、幅の狭い爪部73、73が形成されている。
【0094】
テレスコ用摩擦板64は、この爪部73、73によってボルト66の軸部661を連結孔71内に保持している。そして、衝突時にアウターコラム11に図7の左方への所定値以上の衝撃力が作用すると、ボルト66の軸部661にも図7の左方への衝撃力が作用する。
【0095】
すると、爪部73、73が変形して外側に開き、開口部711の幅B7が軸部661の直径よりも大きくなり、軸部661に対するテレスコ用摩擦板64の連結(アウターコラム11とテレスコ用摩擦板64との連結)が解除される。その結果、アウターコラム11が車体取付けブラケット3に対して、図7の左方(テレスコ方向前方)へ移動可能となる。
【0096】
自動車が他の自動車等に衝突した時、運転者が慣性でステアリングホイール121に衝突する、いわゆる二次衝突時の衝撃力によって、アウターコラム11に、図7の上方(チルト方向上側)及び図7の左方への所定値以上の衝撃力が作用する場合がある。この衝撃力によって、テレスコ調整用長溝16、17、締め付けロッド5、ワッシャ52を介して、チルト用摩擦板61に、図7の上方(チルト方向上側)への衝撃力が伝わる。同時に、ボルト66の軸部661にも図7の左方への衝撃力が伝わる。
【0097】
この衝撃力によって、チルト用摩擦板61の爪部69、69が変形して外側に開き、ボルト63に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される。ほぼ同時に、テレスコ用摩擦板64の爪部73、73が変形して外側に開き、軸部661に対するテレスコ用摩擦板64の連結が解除される。
【0098】
その結果、アウターコラム11がチルト用摩擦板61と共に、車体取付けブラケット3に対して、図7の上方(チルト方向上側)へ移動すると共に、アウターコラム11が車体取付けブラケット3に対して、図7の左方(テレスコ方向前方)へ移動して、運転者に対する衝突時の衝撃を緩和する。
【0099】
第3の実施形態では、チルト方向及びテレスコ方向の両方の衝撃力に対して、衝突時の衝撃を緩和することができると共に、逃がし溝が不要となるので、テレスコ用摩擦板64の形状がより簡素になる。
【0100】
上記第2の実施形態及び第3の実施形態では、二次衝突時にカプセル42から車体取付けブラケット3が車体前方側に離脱するようにしているが、カプセル42からの車体取付けブラケット3の離脱は、あってもよいし、なくてもよい。カプセル42からの車体取付けブラケット3の離脱がある場合には、軸部661に対するテレスコ用摩擦板64の連結の解除が先に行われ、その後で、カプセル42からの車体取付けブラケット3の離脱が行われる。
【0101】
* 第4の実施形態
次に本発明の第4の実施形態について説明する。図8は、本発明の第4の実施形態のステアリング装置の要部を示す正面図である。以下の説明では、上記実施形態と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
【0102】
第4の実施形態は、チルト位置の調整だけが可能なステアリング装置に適用した例であって、テレスコ用摩擦板は無く、衝突時の衝撃で、チルト用摩擦板61と車体取付けブラケット3との連結の解除だけを行うようにした例である。
【0103】
すなわち、図8に示すように、チルト用摩擦板61とボルト63との連結部の構造は第1の実施形態と同一であり、第1の実施形態のテレスコ用摩擦板64は無く、その代りとして、複数(本実施形態では3枚)のワッシャ52が、チルト用摩擦板61、61と互い違いになるように配置されている。
【0104】
自動車が他の自動車等に衝突した時、運転者が慣性でステアリングホイール121に衝突する、いわゆる二次衝突時の衝撃力によって、アウターコラム11に、図8の上方(チルト方向上側)への所定値以上の衝撃力が作用する場合がある。この衝撃力によって、テレスコ調整用長溝16、17、締め付けロッド5、ワッシャ52を介して、チルト用摩擦板61に、図8の上方(チルト方向上側)への衝撃力が伝わる。
【0105】
この衝撃力によって、チルト用摩擦板61の爪部69、69が変形して外側に開き、ボルト63に対するチルト用摩擦板61の連結が解除される。その結果、アウターコラム11がチルト用摩擦板61と共に、車体取付けブラケット3に対して、図8の上方(チルト方向上側)へ移動して、運転者に対する衝突時の衝撃を緩和する。
【0106】
第4の実施形態では、チルト位置の調整のみが可能なステアリング装置に適用した例について説明したが、テレスコ位置の調整のみが可能なステアリング装置に適用してもよい。
【0107】
上記実施形態では、摩擦板と連結部材としてのボルトとの間の衝突時の連結の解除は、摩擦板側の爪部の変形によって行われるが、連結部材の変形によって行うようにしてもよい。また、摩擦板と連結部材との間の衝突時の連結の解除は、摩擦板側の爪部の変形後の破断、または、連結部材の変形後の破断によって行うようにしてもよい。
【0108】
さらに、上記実施形態では、チルト/テレスコ式ステアリング装置に本発明を適用した例について説明したが、チルト位置、またはテレスコ位置のいずれか一方だけの調整が可能なステアリング装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明のステアリング装置を車両に取り付けた状態を示す全体斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のステアリング装置を示し、(1)は要部を示す正面図、(2)はチルト用摩擦板とボルトとの連結部を示す拡大正面図である。
【図3】図2(1)のA−A拡大断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のステアリング装置の二次衝突時の状態を示す正面図である。
【図5】チルト用摩擦板の変形例を示す正面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態のステアリング装置の要部を示す正面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態のステアリング装置の要部を示す正面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態のステアリング装置の要部を示す正面図である。
【符号の説明】
【0110】
1 コラム
10 インナーコラム
11 アウターコラム
12 ステアリングシャフト
121 ステアリングホイール
13 ディスタンスブラケット
14、15 側面
16、17 テレスコ調整用長溝
181、182 リブ
21 自在継手
22 中間シャフト
221 中間インナーシャフト
222 中間アウターシャフト
23 自在継手
24 ステアリングギヤ
25 タイロッド
3 車体取付けブラケット
32 上板
33、34 側板
331、341 内側面
332、342 外側面
35、36 チルト調整用長溝
37、38 フランジ部
39 切欠き溝
41 車体
411 取付け面
42 カプセル
421 上挟持板
422 下挟持板
43 ボルト
5 締付けロッド
51 頭部
52 ワッシャ
53 固定カム
54 可動カム
55 操作レバー
56 スラスト軸受
57 ナット
58 雄ねじ
61 チルト用摩擦板
62 チルト調整用長溝
62E、62F チルト調整用長溝
63 ボルト
631 軸部
64 テレスコ用摩擦板
65 テレスコ調整用長溝
66 ボルト
661 軸部
67 連結孔
671 開口部
671A、671B、671C、671D、671E、671F 開口部
68 逃がし溝
68A、68B、68C、68D、68E、68F 逃がし溝
69 爪部
69A、69B、69C、69D、69E、69F 爪部
691A、691B、691E、691F 三角形孔
70E、70F チルトストッパ
71 連結孔
711 開口部
72 逃がし溝
73 爪部




 

 


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