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発明の名称 二輪車用空気入りタイヤ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−55336(P2007−55336A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−240668(P2005−240668)
出願日 平成17年8月23日(2005.8.23)
代理人 【識別番号】100080540
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 敏雄
発明者 小出 征史 / 石山 誠 / 川井 崇 / 片山 辰作
要約 課題
成形が容易で製作コストも低減させながら旋回走行時における耐摩耗性を効果的に向上させる。

解決手段
少なくともトレッド両端部Bに位置するトレッドゴム26内に短繊維29を均一に含有させたので、短繊維29が含有されている部位のトレッドゴム26の剛性が該短繊維29により拘束されて向上し、この結果、旋回によってトレッド端部Bに幅方向力と周方向力との合力が作用したときの、該トレッド端部Bにおけるトレッドゴム26の変形が低減され、耐摩耗性が効果的に向上する。しかも、耐摩耗性を向上させるために短繊維29をトレッドゴム26内に含有させるだけでよいので、製作が容易となりコストも低減することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
一対のビードコア間をトロイダル状に延びるカーカス層と、カーカス層の半径方向外側に配置されたベルト層と、前記ベルト層の半径方向外側に配置されたトレッドゴムとを備えた二輪車用空気入りタイヤにおいて、少なくともトレッド両端部におけるトレッドゴム内に短繊維を均一に含有させたことを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項2】
トレッド両端部におけるトレッドゴム内に含有されている短繊維のタイヤ赤道Sに対する傾斜角Aを45度以上とした請求項1記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記短繊維が一方のトレッド端から他方のトレッド端に至るトレッドゴムの全域に亘って含有されているとき、トレッド中央部における短繊維のタイヤ赤道Sに対する傾斜角Aを45度未満とした請求項2記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項4】
トレッド端における短繊維の傾斜角Aを90度とする一方、タイヤ赤道S上における短繊維の傾斜角Aを0度とし、さらに、短繊維のタイヤ赤道Sに対する傾斜角Aをタイヤ赤道Sからトレッド端に至る途中で増大させた請求項3記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記短繊維が一方のトレッド端から他方のトレッド端に至るトレッドゴムの全域に亘って含有されているとき、短繊維の含有密度をタイヤ赤道Sからトレッド端に至る途中で増大させた請求項1〜4のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記短繊維が一方のトレッド端から他方のトレッド端に至るトレッドゴムの全域に亘って含有されているとき、短繊維の長さをタイヤ赤道Sからトレッド端に至る途中で長くした請求項1〜5のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記短繊維が一方のトレッド端から他方のトレッド端に至るトレッドゴムの全域に亘って含有されているとき、短繊維の材質をタイヤ幅方向位置に応じて変更することで、該短繊維のヤング率をタイヤ赤道Sからトレッド端に至る途中で増大させた請求項1〜6のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項8】
ヤング率が大である短繊維の材質は芳香族ポリアミドである請求項7記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記トレッドゴムの材質をタイヤ幅方向位置に応じて変更することで、該トレッドゴムのモジュラスをタイヤ赤道Sからトレッド端に至る途中で低減させた請求項1〜8のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記ベルト層を、内部に実質上周方向に延びる補強素子が埋設された少なくとも1枚の周方向プライから構成した請求項1〜9のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、旋回走行によるトレッド端部の摩耗を効果的に抑制することができる二輪車用空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、二輪車の旋回走行時には車体が路面に対して傾斜するため、二輪車用空気入りタイヤには大きなキャンバー角が付与されてそのトレッド端部のみが路面に接地するが、このような二輪車用空気入りタイヤのトレッド端部は乗用車用空気入りタイヤに比較して比較的早期に摩耗する。このように二輪車用空気入りタイヤのトレッド端部が比較的早期に摩耗する理由としては、種々のものがあり、その1つとして、以下のようなものが知られている。
【0003】
即ち、通常、トレッド端部を含むトレッドゴム全体の分子配向方向はほぼ周方向となっているが、このようなゴムの分子配向方向に外力の作用方向が平行であるときはトレッドゴムは強力な耐摩耗性能を発揮する。このため、トレッド中央部に周方向の力が作用する直進走行に対してトレッドゴムは強力な耐摩耗性を発揮するが、旋回走行によってトレッド端部に路面から幅方向(横方向)の力あるいは幅方向と周方向の力の合力(周方向に対して傾斜した力)が作用する場合には、トレッドゴムの耐摩耗性が低下し、摩耗が早期に進行するのである。
【0004】
このような事態を抑制するため、例えば、以下の特許文献1に記載されているようなものが提案されている。
【特許文献1】特開2004−34942号公報
【0005】
このものは、クラウン域に配設されてトレッド踏面を区画するトレッドゴムの分子配向方向を、ゴムストリップの小片をタイヤ赤道Sを境としてほぼV字状もしくは逆V字状に延在させて貼付けることにより、トレッド踏面が路面から受ける力の作用方向にほぼ対応させたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のような二輪車用空気入りタイヤは、トレッドゴムの分子配向方向に基づく摩耗の早期進行を効果的に抑制することができるが、他の理由によってトレッド端部の摩耗が早期に進行するという事態に対しては何らの作用・効果も奏することができないという課題があった。前述した他の理由としては、例えば、以下のようなものがある。
【0007】
即ち、二輪車用空気入りタイヤは、多くの場合、旋回時に減速あるいは加速が同時に行われるが、このとき、接地領域(トレッド端部)には幅方向力と周方向力との合力が作用するとともに、該合力の分布が直進走行時に比較して不均一となるため、接地領域(トレッド端部)のトレッドゴムが、周方向力のみが作用するトレッド中央部のトレッドゴムに比較して、大きく変形することである。
【0008】
しかも、前述の二輪車用空気入りタイヤは、ゴムストリップの小片をタイヤ赤道Sを境としてほぼV字状もしくは逆V字状に貼付け、これにより、トレッド端部におけるトレッドゴムの分子配向方向を路面から受ける力の作用方向とほぼ平行になるようにしているため、成形作業が面倒となり、製作コストが高価となってしまうという課題もあった。
【0009】
この発明は、成形が容易で製作コストも低減させながら旋回走行時における耐摩耗性を効果的に向上させることができる二輪車用空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的は、一対のビードコア間をトロイダル状に延びるカーカス層と、カーカス層の半径方向外側に配置されたベルト層と、前記ベルト層の半径方向外側に配置されたトレッドゴムとを備えた二輪車用空気入りタイヤにおいて、少なくともトレッド両端部におけるトレッドゴム内に短繊維を均一に含有させることにより、達成することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明においては、少なくともトレッド両端部におけるトレッドゴム内に短繊維を均一に含有させるようにしたので、短繊維が含有されている部位(少なくともトレッド両端部)のトレッドゴムが該短繊維により拘束されて剛性が向上し、この結果、旋回によって接地領域(トレッド端部)に幅方向力と周方向力との合力が作用したときの、該接地領域(トレッド端部)におけるトレッドゴムの変形が抑制され、耐摩耗性が効果的に向上する。なお、トレッド中央部にも短繊維が含有されている場合には、トレッド中央部の耐摩耗性も同様に向上する。しかも、耐摩耗性を向上させるために短繊維をトレッドゴム内に含有させるだけでよいので、成形が容易となり製作コストも低減することができる。
【0012】
また、請求項2に記載のように構成すれば、旋回走行時にトレッド端部に作用する幅方向(横方向)力に対し、どちらかといえば幅方向に延びる短繊維が突っ張りとして機能するため、横グリップが向上して旋回走行性能が良好となる。
さらに、請求項3に記載のように構成すれば、直進走行時の加減速によりトレッド中央部に作用する周方向力に対し、どちらかといえば周方向に延びる短繊維が突っ張りとして機能するため、縦グリップが向上して直進走行性能が良好となる。
【0013】
また、請求項4に記載のように構成すれば、旋回走行時および直進走行時におけるグリップが共に大きく向上し、いずれの場合の操縦安定性も良好となる。
さらに、請求項5、6、7に記載のように構成すれば、トレッド中央部に比較してより厳しい摩耗となるトレッド両端部、即ち、旋回走行時に摩耗する部位に対する短繊維の拘束が強力となり、この結果、トレッド両端部における耐摩耗性が効果的に向上してトレッドゴム全体での耐摩耗性が均一化される。
【0014】
また、請求項8に記載のように構成すれば、軽量でありながら高温まで加熱されてもトレッドゴムを強力に拘束することができる。
さらに、請求項9に記載のように構成すれば、旋回時においてトレッド端部のトレッドゴムが路面に容易に追従変形して接地領域内における力の分布が均一化し、これにより、旋回時における横グリップが向上して旋回走行性能がさらに良好となる。
また、請求項10に記載のように構成すれば、高いたが効果によって高速走行時の遠心力によるトレッド部の径成長を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
図1において、11は高速走行に適する二輪車用空気入りタイヤであり、このタイヤ11は子午線断面が略弧状を呈しながら半径方向外側に向かって凸状に滑らかに湾曲するトレッド部13と、このトレッド部13の幅方向両端からほぼ半径方向内側に向かって延びる一対のサイドウォール部14と、これらサイドウォール部14の半径方向内側端に連続しビードコア16がそれぞれ埋設された一対のビード部15とを備え、トレッド端E間の幅がタイヤ最大幅となるよう成形されている。
【0016】
また、前記タイヤ11は一対のビードコア16間をトロイダル状に延びてサイドウォール部14、トレッド部13を補強するカーカス層20を有し、このカーカス層20の両端部は前記ビードコア16の回りを内側から外側に向かって折り返されることで、これらビードコア16に係止されている。前記カーカス層20は少なくとも1枚、ここでは2枚のカーカスプライ21から構成され、これらのカーカスプライ21の内部にはタイヤ赤道Sに対して70度のコード角で交差する補強コードが多数本埋設されている。
【0017】
そして、これらの補強コードは2枚のカーカスプライ21において子午線方向に対し逆方向に傾斜し、互いに交差している。なお、前述の補強コードはタイヤ赤道Sに対して70度を超えるコード角、例えば90度で実質上ラジアル方向(子午線方向)に延びていてもよい。また、前記補強コードとしては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル等の有機繊維を用いることができる。
【0018】
24はカーカス層20の半径方向外側に配置されたベルト層であり、このベルト層24は少なくとも1枚、ここでは1枚の周方向プライ25から構成されている。各周方向プライ25は1本または複数本の補強素子を被覆ゴム中に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿って螺旋状に多数回巻回することで構成されており、この結果、該周方向プライ25内に埋設されている補強素子はタイヤ赤道Sに実質上平行に延びることとなって、強力なたが効果を発揮する。これにより、高速走行時の遠心力によるトレッド部13の径成長および接地形状の変化が強力に抑制され、直進走行時の操縦安定性および高速耐久性が向上する。
【0019】
ここで、前述のようにストリップを螺旋状に多数回巻回することで周方向プライ25を構成するようにすれば、周方向プライ25を簡単かつ安価に製造することができる。また、前述の補強素子としては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミド等の有機繊維またはスチールを用いることができるが、高温時においても殆ど伸張することのない非伸張性材料、例えば芳香族ポリアミド、スチールを用いるようにすれば、ベルト層24のたが効果を効果的に向上させることができる。
【0020】
26は前記ベルト層24の半径方向外側に配置されたトレッドゴムであり、このトレッドゴム26の外表面27には、通常、図示してない幅広の溝が多数形成されている。また、前記トレッドゴム26のうち、少なくともトレッド両端部Bに位置するトレッドゴム26内には、ここでは一方のトレッド端E1から他方のトレッド端E2に至るトレッドゴム26の全域に亘って短繊維29が均一に含有されている。
【0021】
ここで、前述のように少なくともトレッド両端部Bに位置するトレッドゴム26内に短繊維29を均一に含有させるようにすれば、短繊維29が含有されている部位(少なくともトレッド両端部B)のトレッドゴム26が該短繊維29により拘束されて剛性が向上し、この結果、旋回によって接地領域(トレッド端部B)に幅方向力と周方向力との合力が作用したときの、該接地領域(トレッド端部B)におけるトレッドゴム26の変形が抑制され、耐摩耗性が効果的に向上する。
【0022】
なお、この実施形態のようにトレッド中央部Cにも短繊維29が含有されることで、トレッドゴム26の全域に亘って短繊維29が含有されている場合には、トレッド中央部Cの耐摩耗性も同様に向上する。しかも、耐摩耗性を向上させるために短繊維29をトレッドゴム26内に含有させるだけでよいので、成形が容易となり製作コストも低減することができる。
【0023】
ここで、前述の短繊維29としては、直径が 0.1〜 100μm、長さが 2〜20mmの範囲内のものを使用することができ、また、トレッドゴム成分 100重量部に対して短繊維29を 5〜50重量部だけ含有させることが好ましい。これは、短繊維29の含有量が 5重量部未満であると、トレッドゴム26の変形を充分に抑制することができず、一方、50重量部を超えると、発熱性が悪化するからである。さらに、前述した短繊維29の材質としては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等を挙げることができる。
【0024】
また、前述のように短繊維29がトレッド両端部Bのみ、または、トレッドゴム26の全域に亘って含有されているとき、トレッド両端部Bにおける短繊維29のタイヤ赤道Sに対する傾斜角Aを45度以上とすることが好ましい。その理由は、前記傾斜角Aを45度以上とすると、旋回走行時にトレッド端部Bに作用する幅方向(横方向)力に対し、どちらかといえば幅方向に延びる短繊維29が突っ張りとして機能するため、横グリップが向上して旋回走行性能(操縦安定性)が良好となるからである。
【0025】
一方、短繊維29が前述のようにトレッドゴム26の全域に亘って含有されているとき、トレッド中央部Cにおける短繊維29のタイヤ赤道Sに対する傾斜角Aは45度未満とすることが好ましい。その理由は、直進走行時の加減速によりトレッド中央部Cに作用する周方向力に対し、どちらかといえば周方向に延びる短繊維29が突っ張りとして機能するため、縦グリップが向上して直進走行性能(操縦安定性)が良好となるからである。
【0026】
また、前述のように短繊維29がトレッドゴム26の全域に亘って含有されているとき、トレッド端Eにおける短繊維29の傾斜角Aを90度とする一方、タイヤ赤道S上における短繊維29の傾斜角Aを0度とし、さらに、短繊維29のタイヤ赤道Sに対する傾斜角Aをタイヤ赤道Sからトレッド端Eに至る途中で急激に、ここではトレッド中央部Cとトレッド両端部Bとの境界Kにおいて0度から90度まで増大させている。
【0027】
このようにすれば、トレッド中央部Cのトレッドゴム26に含有された周方向に延びる短繊維29が突っ張りとして機能して、直進走行時における縦グリップが大きく向上するとともに、トレッド両端部Bのトレッドゴム26に含有された幅方向に延びる短繊維29が突っ張りとして機能して、旋回走行時における横グリップも共に大きく向上し、この結果、旋回走行、直進走行時のいずれの場合の操縦安定性も良好となる。なお、短繊維29のタイヤ赤道Sに対する傾斜角Aはタイヤ赤道Sからトレッド端Eに至る途中で徐々に、例えば段階的あるいは連続的に増大させてもよい。
【0028】
また、前述したトレッドゴム26の材質をタイヤ幅方向位置に応じて変更することで、該トレッドゴム26のモジュラス、ここでは 100%モジュラスをタイヤ赤道Sからトレッド端Eに至る途中で低減させることが好ましい。その理由は、このようにすると、旋回時においてトレッド端部Bのトレッドゴム26が路面に容易に追従変形して接地領域内における力の分布が均一化し、これにより、旋回時における横グリップが向上して旋回走行性能がさらに良好となるからである。ここで、 100%モジュラスとは、 100%伸び時における引張り応力(MPa)を試験温度30度Cにて測定した値である。
【0029】
次に、この発明の実施形態2について説明する。この実施形態においては、前記短繊維29をトレッドゴム26の全域に亘って含有させるとともに、短繊維29の含有密度をタイヤ赤道Sからトレッド端Eに至る途中、ここではトレッド中央部Cとトレッド両端部Bとの境界Kにおいて大幅に増大させている。このようにすれば、トレッド中央部Cに比較してより厳しい摩耗となるトレッド両端部B、即ち、旋回走行時に摩耗する部位に対する短繊維29の拘束が強力となり、この結果、トレッド両端部Bにおける耐摩耗性が効果的に向上してトレッドゴム26全体での耐摩耗性を均一化することができる。なお、前記実施形態1と同様に、短繊維29の含有密度をタイヤ赤道Sからトレッド端Eに至る途中で徐々に、例えば段階的あるいは連続的に増大させてもよい。
【0030】
次に、この発明の実施形態3について説明する。この実施形態においては、前記短繊維29をトレッドゴム26の全域に亘って含有させるとともに、短繊維29の長さをタイヤ赤道Sからトレッド端Eに至る途中、ここではトレッド中央部Cとトレッド両端部Bとの境界Kにおいて大幅に長くしている。このようにすれば、トレッド中央部Cに比較してより厳しい摩耗となるトレッド両端部B、即ち、旋回走行時に摩耗する部位に対する短繊維29の拘束が強力となり、この結果、トレッド両端部Bにおける耐摩耗性が効果的に向上してトレッドゴム26全体での耐摩耗性を均一化することができる。なお、前記実施形態1と同様に、短繊維29の長さをタイヤ赤道Sからトレッド端Eに至る途中で徐々に、例えば段階的あるいは連続的に長くしてもよい。
【0031】
次に、この発明の実施形態4について説明する。この実施形態においては、前記短繊維29をトレッドゴム26の全域に亘って含有させるとともに、短繊維29の材質をタイヤ幅方向位置に応じて変更、例えば、タイヤ中央部Cにおける短繊維29をナイロンから構成し、タイヤ両端部Bにおける短繊維29を芳香族ポリアミドから構成することで、該短繊維29のヤング率をタイヤ赤道Sからトレッド端Eに至る途中で、ここではトレッド中央部Cとトレッド両端部Bとの境界Kにおいて大幅に増大させている。
【0032】
このようにすれば、トレッド中央部Cに比較してより厳しい摩耗となるトレッド両端部B、即ち、旋回走行時に摩耗する部位に対する短繊維29の拘束が強力となり、この結果、トレッド両端部Bにおける耐摩耗性が効果的に向上してトレッドゴム26全体での耐摩耗性を均一化することができる。また、前述のようにヤング率が大である短繊維29の材質を芳香族ポリアミドとすれば、軽量でありながら高温まで加熱されてもトレッドゴム26を強力に拘束することができる。なお、短繊維29の材質をトレッド端Eに向かって次々に変更することで、短繊維29のヤング率をタイヤ赤道Sからトレッド端Eに至る途中で段階的に増大させてもよい。
【0033】
なお、前述の実施形態においては、ベルト層24を1枚の周方向プライ25から構成したが、この発明においては、2枚以上の周方向プライから構成したり、あるいは、タイヤ赤道に対して傾斜した補強素子が埋設されている傾斜プライを周方向プライに追加積層したり、さらに、タイヤ赤道に対して傾斜した補強素子が埋設されている傾斜プライを2枚以上補強素子が逆方向に傾斜した状態で積層することにより、構成してもよい。
【実施例1】
【0034】
次に、試験例1について説明する。この試験に当たっては、トレッドゴムに短繊維が含有されていない従来タイヤと、トレッド中央部のトレッドゴムにタイヤ赤道に対する傾斜角が0度である短繊維が、トレッド両端部のトレッドゴムにタイヤ赤道に対する傾斜角が90度である短繊維がそれぞれ含有された図1に示すような構造の実施タイヤ1と、トレッド中央部のトレッドゴムにトレッドゴム成分 100重量部に対し8重量部の短繊維が、トレッド両端部のトレッドゴムにトレッドゴム成分 100重量部に対し12重量部の短繊維がそれぞれ含有された図1に示すような構造の実施タイヤ2とを準備した。
【0035】
さらに、前記試験に当たっては、トレッド中央部のトレッドゴムに長さが4mmの短繊維が、トレッド両端部のトレッドゴムに長さが8mmの短繊維がそれぞれ含有された図1に示すような構造の実施タイヤ3と、トレッド中央部のトレッドゴムにナイロンからなる短繊維が、トレッド両端部のトレッドゴムに芳香族ポリアミドからなる短繊維がそれぞれ含有された図1に示すような構造の実施タイヤ4と、トレッド中央部のトレッドゴムにナイロンからなる短繊維が、トレッド両端部のトレッドゴムに芳香族ポリアミドからなる短繊維がそれぞれ含有されるとともに、トレッド中央部のトレッドゴムを 100%モジュラス値が0.65MPaのゴムから、トレッド両端部のトレッドゴムを 100%モジュラス値が0.44MPaのゴムからそれぞれ構成した図1に示すような構造の実施タイヤ5とを準備した。
【0036】
ここで、前記各タイヤの子午線断面において一方のトレッド端から他方のトレッド端までのトレッド外表面上での距離は 240mmであったが、両トレッド端からタイヤ赤道に向かって60mmまでの範囲をトレッド端部と、両トレッド端部間の 120mmの範囲をトレッド中央部とした。また、前記従来タイヤおよび実施タイヤ1〜4においてはトレッドゴムを 100%モジュラス値が0.65MPaのゴムから構成し、前記実施タイヤ1〜3における短繊維はいずれもナイロンから構成した。
【0037】
また、実施タイヤ1、2、4、5においては短繊維の長さをいずれも4mmとし、さらに、実施タイヤ1、3、4、5においてはトレッドゴム成分 100重量部に対し8重量部の短繊維を含有させ、また、実施タイヤ2、3、4、5においてはトレッドゴム全域に亘って短繊維をタイヤ赤道に対し90度の傾斜角で傾斜させた。また、前記実施タイヤ1〜5における短繊維の直径はいずれも約50μmであった。
【0038】
さらに、前記各タイヤはサイズがいずれも190/50ZR17であり、各タイヤのカーカス層は、2枚のカーカスプライ内にタイヤ赤道に対して70度で逆方向に傾斜したナイロンからなる補強コードをそれぞれ埋設することで構成する一方、ベルト層(周方向プライ)は、直径が0.21mmのフィラメントを1×3タイプで撚った2本のスチールコードを被覆ゴム中に埋設することで形成したストリップを、タイヤ赤道にほぼ沿って螺旋状に多数回巻回することで構成し、打ち込み間隔を30本/50mmとした。
【0039】
次に、前記各タイヤを排気量が1000cm3(cc)であるスポーツタイプの二輪車に装着したが、ここで、前記各タイヤはリア用のタイヤであったため、二輪車のリアタイヤのみ交換し、フロントタイヤについては同一タイヤを使用した。次に、熟練したテストドライバーによって前記二輪車をテストコースにおいて実車走行させ、直進走行時のブレーキ・トラクション性能、車体を大きく倒した旋回時の操縦安定性(コーナリング性能)、操縦安定性全般の総合性能を、満点を10点として評価した。その結果をそれぞれ直進性能、旋回性能、総合性能として表1に示す。
【0040】
また、前記テストコースを 120km走行した後の各タイヤのタイヤ赤道における摩耗量(中央摩耗)およびトレッド端部(トレッド端から 5mmタイヤ赤道側に離れた点)における摩耗量(端部摩耗)を測定したが、その結果を従来タイヤのタイヤ赤道における摩耗量を 100として指数表示で表1に示す。ここで、指数が小であるほど摩耗が少なく、耐摩耗性が良好である。
【0041】
【表1】


【0042】
そして、テストドライバーからは、従来タイヤについては、タイヤが柔らかく感じられ、トラクション時にタイヤが潰れる感じがある。車体後方が沈むが気にならないレベルであり、トラクション、ブレーキも良い。旋回時はタイヤの横方向の剛性が不足気味でタイヤの弱さを感じる。大きく横力を掛けたときに腰砕け感がある。また、旋回時にスロットルを開けると、滑る感じがするとのコメントがあった。
【0043】
また、実施タイヤ1については、トラクション時にタイヤがしっかりしており、駆動力を感じる。旋回時にも剛性が感じられ安定していると、さらに、実施タイヤ2については、タイヤが少し硬く感じるが、トラクション時のグリップがよい。特に応答性が良くなっているような気がする。旋回時はしっかり感があり、実施タイヤ1と比較すると、グリップがやや向上していると、また、実施タイヤ3については、全般に良い。トラクション、旋回時とも安定しており、グリップを感じる。トラクションは実施タイヤ1と比較するとやや弱く感じるが、十分なレベルである。非常にバランスがとれているタイヤだと思うとのコメントがあった。
【0044】
さらに、実施タイヤ4については、実施タイヤ3と共に非常にバランスが良い。特に旋回時に非常に安定しており、安心してスロットルを開けることができる。トラクションも充分なレベルだと思う。バランス的には一番良いと感じると、また、実施タイヤ5については、非常に良い。特に旋回時に非常に安定しており、実施タイヤ4よりも安心してスロットルを開けることができる。剛性感があるにも拘わらず、粘りも感じる。旋回時のグリップは非常に高い。トラクションも十分なレベルだと思う。全体的なグリップは一番良いと感じる。最も早く走れるとのコメントがあった。
【0045】
前述の結果およびコメントを総括すると、短繊維をトレッドゴムに含有させたタイヤはトレッド端部での摩耗が大きく改善されるとともに、トレッド中央部での摩耗も改善され、幅方向でのほぼ均一な摩耗が達成できるようになった。また、直進時の性能に関しては、いずれも剛性感を感じ、特に応答性が良くなってトラクション性能が向上していた。さらに、トレッド端部に短繊維が含有されていると、剛性感を感じ旋回時の安定性が向上している。特に、トレッド端部における短繊維の密度、長さ、材質が強化されたものは、より安定性が向上し、旋回時途中からスロットルを開けて加速することが可能となっている。また、トレッド端部のゴムモジュラスを低くすると、旋回時のグリップが向上した。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、二輪車用空気入りタイヤの産業分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施形態1を示す子午線断面図である。
【符号の説明】
【0048】
11…空気入りタイヤ 16…ビードコア
20…カーカス層 24…ベルト層
25…周方向プライ 26…トレッドゴム
29…短繊維 B…トレッド端部
E…トレッド端




 

 


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