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発明の名称 自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−45366(P2007−45366A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−233769(P2005−233769)
出願日 平成17年8月11日(2005.8.11)
代理人 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
発明者 寺田 浩司
要約 課題
直進時のグリップ力とバンク時の撓み吸収性及び接地性とを高いレベルで両立させた自動二輪車用空気入りラジアルタイヤを提供する。

解決手段
トレッドの踏面部3に方向性のある排水用パターン13を有し、パターン13の主溝15は中央部領域17から両側部領域19まで連続しており、周方向に対する主溝15の角度は中央部領域17で0〜50°であり、両側部領域19で50°以上であり、スパイラル状ベルト層を構成する非伸張性高弾性コードの平均打ち込み密度は、中央部領域17で40〜60本/50mmであり、両側部領域19で20〜40本/50mmであることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
左右一対のサイドウォールとトレッドとがトロイダル状に連なり、これら各部分をタイヤ赤道面に対して70°〜90°の角度範囲で、ゴム被覆してなる比較的高弾性テキスタイルコードを互いに平行に配列したプライの少なくとも1層からなるカーカスで補強し、前記カーカスプライの両端部を両サイドウォールの径方向内側に埋設された非伸張性環状ビードコアと、その上に隣接配置されるビードエペックスの周りにタイヤの内側から外側に向けて巻き上げ係止させ、前記カーカス及びトレッド間に、ゴム被覆してなる非伸張性高弾性コードを実質上タイヤ赤道面に平行にスパイラル状に巻き回して形成され、かつ実質上トレッド幅と同等の幅で配列したプライの1層からなるスパイラル状ベルト層を配列した自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記トレッドの踏面部に排水用の方向性のあるパターンを有し、
前記パターンの主溝はタイヤの中央部領域から両側部領域まで連続しており、
前記主溝の周方向に対する角度は中央部領域で0〜50°であり、両側部領域で50°以上であり、
前記スパイラル状ベルト層はトレッド内部に埋設されており、前記非伸張性高弾性コードの平均打ち込み密度は、中央部領域で40〜60本/50mmであり、両側部領域で20〜40本/50mmであることを特徴とする自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項2】
請求項1に記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
中央部領域における非伸張性高弾性コードの平均打ち込み本数が、両側部領域での平均打ち込み本数より50mmあたり5本以上多いことを特徴とする自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項3】
請求項2に記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
非伸張性高弾性コードの平均打ち込み密度が、中央部領域で45〜55本/50mmであり、両側部領域で25〜35本/50mmであることを特徴とする自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項4】
請求項1に記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
中央部領域をトレッド幅の0〜75%とし、両側部領域をトレッド幅の45〜100%としたことを特徴とする自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項5】
請求項4に記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
非伸張性高弾性コードの打ち込み密度を、中央部領域で一定にしたことを特徴とする自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤであって、
非伸張性高弾性コードの打ち込み密度を、中央部領域で最も密にし、両側部領域に向かって任意の段階で徐々に疎にしたことを特徴とする自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコードをタイヤ赤道面に対し実質上平行にスパイラル状に巻回形成したスパイラル状ベルト層をカーカスとトレッドの間に配置した自動二輪車用空気入りラジアルタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の各特許文献には二輪車用タイヤが記載されている。
【0003】
二輪車用のリアタイヤ(エンジンの駆動力を路面に伝達する駆動タイヤ)は、直進時には充分なグリップ力(路面把握力)と剛性を持ち、バンク時(コーナリング時:キャンバー時)には充分な撓みの吸収性及び接地性(これらを併せて得られるグリップ力)が要求されており、この要求は近年レース用オートバイのエンジンが高出力化され、レースが高速化するに従って厳しくなっている。
【0004】
オートバイレースでは、エンジンの高出力化に伴い、特に雨天時は、グリップ力の確保が難しくなっており、車体の直立中(直進走行時)に加速させたときホイルスピンが発生するとラップタイムが下がるから、ホイルスピンの抑制は大きな課題になっている。
【0005】
また、従来のタイヤには、クロスベルト構造と、ベルトコードをタイヤの赤道面に対してほぼ平行に配列させたスパイラルベルト構造がある。
【0006】
図4は従来のタイヤ501(従来のMSB構造タイヤ)を示しており、このタイヤ501はトレッド部503の内部に一層のスパイラル状ベルト層505が埋設されている。このベルト層505ではベルトコード507が中央部領域509とその両側部領域511,511に亘って一定の密度で配列されている。
【特許文献1】特開2003−211917号公報
【特許文献2】特開2000−1107号公報
【特許文献3】特願2004−3096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のタイヤ501は、表1に示すように、それ以前のクロスベルト構造のタイヤと較べると、直進域のグリップ力と直立部の耐摩耗性とトレッド部の両側部領域での耐摩耗性において優れているが、バンク時のグリップ力と撓みの吸収性では劣っている。
【0008】
このように、従来のスパイラルベルト構造タイヤ501は、直進域のグリップ力と直立部の耐摩耗性などに対する表1での評価が示すように、加速時のホイルスピンを低減するために効果的であることが分かるが、ベルトコード507をトレッド部503の幅全体に亘って一定の密度で打ち込んだ(配列させた)構造であるから、上記のようにトレッド部503(中央部領域509と両側部領域511)に車体直立時(直進走行時)に必要な剛性を与えると、バンク時には両側部領域511での剛性が高くなり過ぎてグリップ力と吸収性とが低下し、コーナリング走行時の操縦性と安定性(操安性)が悪化する結果になっている。
【0009】
また、トレッド部の剛性を適度に調整してバンク時の撓み吸収性と接地性を改善するためには、トレッドパターンの溝部面積を広くして(ネガティブ率を上げて)パターン剛性を下げることが有効なこともあるが、その場合は、溝部面積を広くしただけ陸部(トレッドの接地部)の面積が狭くなることに伴って、トレッドゴムの摩耗が早まるという問題(副作用)が生じる。
【0010】
そこで、本発明は、上記のような従来の課題に鑑みて成されたものであり、直進時のグリップ力とバンク時の撓み吸収性及び接地性とを両立させた自動二輪車用空気入りラジアルタイヤの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤは、左右一対のサイドウォールとトレッドとがトロイダル状に連なり、これら各部分をタイヤ赤道面に対して70°〜90°の角度範囲で、ゴム被覆してなる比較的高弾性のテキスタイルコードを互いに平行に配列したプライの少なくとも1層からなるカーカスで補強し、前記カーカスプライの両端部を両サイドウォールの径方向内側に埋設された非伸張性環状ビードコアと、その上に隣接配置されるビードエペックスの周りにタイヤの内側から外側に向けて巻き上げ係止させ、前記カーカス及びトレッド間に、ゴム被覆してなる非伸張性高弾性コードを実質上タイヤ赤道面に平行にスパイラル状に巻き回して形成され、かつ実質上トレッド幅と同等の幅で配列したプライの1層からなるスパイラル状ベルト層を配列した自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記トレッドの踏面部に排水用の方向性のあるパターンを有し、前記パターンの主溝はタイヤの中央部領域から両側部領域まで連続しており、前記主溝の周方向に対する角度は中央部領域で0〜50°であり、両側部領域で50°以上であり、前記スパイラル状ベルト層はトレッド内部に埋設されており、その前記非伸張性高弾性コードの平均打ち込み密度は、中央部領域で40〜60本/50mmであり、両側部領域で20〜40本/50mmであることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、中央部領域における非伸張性高弾性コードの平均打ち込み本数が、両側部領域での平均打ち込み本数より50mmあたり5本以上多いことを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、非伸張性高弾性コードの平均打ち込み密度が、中央部領域で45〜55本/50mmであり、両側部領域で25〜35本/50mmであることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1に記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、中央部領域をトレッド幅の0〜75%とし、両側部領域をトレッド幅の45〜100%としたことを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4に記載の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、非伸張性高弾性コードの打ち込み密度を、中央部領域で一定にしたことを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載された発明であって、非伸張性高弾性コードの打ち込み密度を、中央部領域で最も密にし、両側部領域に向かって任意の段階で徐々に疎にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤは、トレッド内部に埋設させたスパイラル状ベルト層における非伸張性高弾性コードの平均打ち込み(配列)密度を、タイヤの中央部領域で40〜60本/50mmにし、両側部領域ではそれより少ない20〜40本/50mmにしたことによって、直進時にトレッドの踏面部になる中央部領域では高い剛性が得られると共に、バンク時にトレッドの踏面部になる両側部領域ではそれより低い適度な剛性が得られるから、直進時のグリップ力とバンク時の撓み吸収性及び接地性という相反した特性を高いレベルで両立させることができる。
【0018】
また、トレッドの踏面部に設けた方向性のある排水用パターンの主溝を中央部領域から両側部領域まで連続させると共に、周方向に対する主溝の角度を中央部領域で0〜50°にし、両側部領域で50°以上にしたことにより、直進時でも中央部領域での主溝角度によって、また、バンク時でも両側部領域での主溝角度によってそれぞれ良好な排水性が得られる。
【0019】
従って、本発明の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤは、雨天時でも、直進時には大きなグリップ力と良好な排水性が得られ、バンク時には充分な吸収性及び接地性と良好な排水性が得られる。
【0020】
また、本発明によれば、タイヤ(トレッド幅)の中央部領域と両側部領域で非伸張性高弾性コードの平均打ち込み(配列)密度を、関連請求項で開示した範囲内で選択することにより、中央部領域でのグリップ力と両側部領域での吸収性及び接地性を広い範囲で任意に調整できるから、レース用オートバイの排気量(レースのカテゴリ)、レースの条件(天候条件、路面温度や路面グリップ力などの路面状況、左コーナリングと右コーナリングとの割合)などに広く対応することが可能であり、種々のレーシングシーンに対して、それぞれに適応した優秀なタイヤを、特に、優秀なレイン用タイヤを提供することができる。
【0021】
また、本発明を用いれば、バンク時の撓み吸収性と接地性を改善するためにトレッドパターンの溝部面積を広くしてパターン剛性を下げる(ネガティブ率を上げる)必要がなくなるから、ネガティブ率を上げることに伴う耐摩耗性の低下の問題が避けられる。
【0022】
さらに、本発明によりバンク時の撓み吸収性と接地性が改善されたことによって生じる余裕だけ、ネガティブ率を下げてブロック剛性を上げることも可能になり、耐磨耗性をそれだけ向上させることもできる。
【0023】
請求項2の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤは、請求項1の構成と同等の効果が得られる。
【0024】
また、タイヤの中央部領域における非伸張性高弾性コードの平均打ち込み本数を両側部領域での平均打ち込み本数より50mmあたり5本以上多くしたことにより、トレッド中央部領域では高い剛性が得られ、両側部領域ではそれより低い適度な剛性が得られるから、上記のように直進時のグリップ力とバンク時の撓み吸収性及び接地性とが高いレベルで両立する。
【0025】
請求項3の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤは、請求項2の構成と同等の効果が得られる。
【0026】
また、非伸張性高弾性コードの平均打ち込み密度をタイヤの中央部領域で45〜55本/50mmにし、両側部領域で、それより少ない25〜35本/50mmにしたことにより、直進時のグリップ力とバンク時の撓み吸収性及び接地性が高いレベルで両立する。
【0027】
請求項4の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤは、請求項1の構成と同等の効果が得られる。
【0028】
また、タイヤの中央部領域をトレッド幅の0〜75%の範囲に設定し、両側部領域をトレッド幅の45〜100%の範囲に設定する請求項4の構成によれば、中央部領域と両側部領域のそれぞれを上記の範囲内で選択することにより、非伸張性高弾性コードの平均打ち込み密度をトレッド幅の全体に亘って任意に調整することが可能になるから、異なった条件に対してさらに細かく対応した優秀なタイヤ(特に、優秀なレイン用タイヤ)を提供することができる。
【0029】
請求項5の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤは、請求項4の構成と同等の効果が得られる。
【0030】
また、タイヤの中央部領域で非伸張性高弾性コードの打ち込み密度を一定にする請求項5の構成では、中央部領域と両側部領域を広い範囲から選択できる請求項4の構成と相俟って、コードの打ち込み密度を一定にする範囲をトレッド幅の広い範囲で任意に調整可能になるから、異なった条件に対応した優秀なタイヤ(特に、優秀なレイン用タイヤ)を低コストで提供できる。
【0031】
請求項6の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤは、請求項1〜請求項5の構成と同等の効果が得られる。
【0032】
また、非伸張性高弾性コードの打ち込み密度をタイヤの中央部領域で最も密にし両側部領域に向かって任意の段階で徐々に疎にする請求項6の構成によれば、直進時のグリップ力とバンク時の吸収性及び接地性とのバランスを中央部領域から両側部領域にかけて多段階で細かく調整することが可能になり、異なった条件に対してさらに細かく対応することができるから、それだけ優秀なタイヤ(特に、優秀なレイン用タイヤ)を提供することが可能になる。
【0033】
(第1実施形態)
図1と図3と表1によって自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ1(本発明の第1実施形態)の説明をする。
【0034】
[自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ1の特徴]
図1は自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ1のトレッド部の踏み面3(踏面部:接地部)を示している。
【0035】
タイヤ1は、左右一対のサイドウォールとトレッドとがトロイダル状(ドーナツ状)に形成されており、ゴム被覆してなる比較的高弾性のテキスタイルコードを互いに平行に配列したプライの少なくとも1層からなるカーカスでこれら(サイドウォールとトレッド)の各部分をタイヤ1の赤道面5に対して70°〜90°の角度範囲で補強し、このカーカスプライの両端部を両サイドウォールの径方向内側に埋設された非伸張性環状ビードコアと、その上に隣接配置されたビードエペックスの周りにタイヤ1の内側から外側に向けて巻き上げ係止させると共に、カーカス及びトレッドの間に、ゴムで被覆した非伸張性高弾性コード7(図3)を赤道面5と実質上平行にスパイラル状に巻き回して形成されたプライの1層からなるスパイラル状ベルト層9(図3)をトレッド幅11と実質的に同等の幅で配置して構成されている。
【0036】
また、踏み面3には方向性のある排水用パターン13が形成されており、パターン13の主溝15は踏み面3(トレッド幅11)の中央部領域17から両側部領域19まで連続しており、周方向に対する主溝15の角度は中央部領域17で0〜50°であり、両側部領域19で50°以上である。
【0037】
また、スパイラル状ベルト層9はトレッドの内部に埋設されており、非伸張性高弾性コード7の平均打ち込み本数は、中央部領域17で46本/50mmであり、両側部領域19で30本/50mmである。
【0038】
また、非伸張性高弾性コード7の、中央部領域17での平均打ち込み本数46本/50mmは40〜60本/50mmの範囲内であり、両側部領域19での30本/50mmは20〜40本/50mmの範囲内であり(請求項1)、また、中央部領域17の平均打ち込み本数は両側部領域19より50mmあたり5本以上多く(請求項2の構成)、さらに、中央部領域17での平均打ち込み本数46本/50mmは45〜55本/50mmの範囲内であり、両側部領域19での平均打ち込み本数30本/50mmは25〜35本/50mmの範囲内である(請求項3の構成)。
【0039】
<実車評価>
表1に示すように、上記のようなタイヤ1の条件で構成した190/650 R 16 5のタイヤ(発明品1)を1000ccのロードレース用オートバイのリアに装着し、雨天時のサーキットで実車評価を行った。
【0040】
その結果、発明品1は、直進域のグリップ力(ハイドロプレーニング性)と直進時の路面の凹凸などの吸収性と直立部の耐摩耗性では従来品(従来のMSB構造タイヤ)と同等の優れた評価を得ながら、バンク時のグリップ力(接地性)及び撓みの吸収性では従来品を大幅に凌駕する高評価が得られた。このように発明品1はウェット条件の下でも、直進時とバンク時の両方で操縦性と安定性(操安性)が向上し、ラップタイムを大幅に短縮することができる。
【0041】
[自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ1の作用及び効果]
タイヤ1は、非伸張性高弾性コード7の平均打ち込み本数を、中央部領域17で46本/50mmにし、両側部領域19ではそれより5本以上少ない30本/50mmにしたことにより、直進時にトレッドの接地部になる中央部領域17で高い剛性を得ながら、バンク時にトレッドの接地部になる両側部領域19では剛性をそれより適度に低くすることができ、直進時のグリップ力とバンク時の撓み吸収性及び接地性という相反した特性が高いレベルで両立している。
【0042】
また、踏み面3に方向性のある排水用パターン13を設け、このパターン13の主溝15を中央部領域17から両側部領域19まで連続させると共に、周方向に対する主溝15の角度を中央部領域17で0〜50°にし、両側部領域19で50°以上にしたことにより、雨天時でも、直進中は中央部領域17での主溝15の角度付けによって、また、バンク時でも両側部領域19での主溝15の角度付けによってそれぞれ良好な排水性が得られる。
【0043】
上記のように、雨天時でも、直進時は大きなグリップ力と良好な排水性が得られ、バンク時は充分な吸収性及び接地性と良好な排水性が得られる本発明のタイヤ1はレイン用タイヤとして極めて優れた性能を備えており、例えば、大排気量エンジンを搭載したレース用オートバイに用いれば、表1での評価が示すように、雨天時でも車体直立時(直進走行時)に得られる大きなグリップ力によりホイルスピンが防止される上に、バンク時に大キャンバー角を与えても両側部領域19で得られる優れた吸収性とグリップ力とにより高速で安定したコーナリング走行が行えるから、ウェット走行時に限らず、種々の天候条件のレースにおいてラップタイムを大幅に短縮することができる。
【0044】
また、中央部領域17と両側部領域19とで非伸張性高弾性コード7の平均打ち込み本数(密度)を、本発明で開示した範囲内で選択することによって、直進時のグリップ力とバンク時の吸収性及び接地性を広い範囲で任意に調整できるから、レースのカテゴリ(レース用オートバイの排気量)、レースの条件(天候条件、路面温度や路面グリップ力などの路面状況、左コーナリングと右コーナリングとの割合)などに広く対応することが可能であり、種々のレーシングシーンに対して、それぞれに適応した優秀なタイヤを提供することができる。
【0045】
また、本発明によってバンク時の撓み吸収性と接地性が改善されたから、パターン13の主溝15(溝部)の面積を広くしてパターン剛性を下げる(ネガティブ率を上げる)必要がなくなり、ネガティブ率を上げることに伴う耐摩耗性低下を回避できる上に、バンク時の撓み吸収性と接地性が改善されたことによって生じる余裕だけ、パターン13のネガティブ率を下げてブロック剛性を上げることも可能になり、耐磨耗性をさらに向上させることができる。
【0046】
また、図1に示したように、両側部領域19をさらに領域21と領域23とに分けて、領域21の非伸張性高弾性コード7の平均打ち込み本数を中央部領域17より少なく(疎に)し、領域23の非伸張性高弾性コード7の平均打ち込み本数を領域21よりさらに少なく(さらに疎に)することにより、中央部領域17と領域21と領域23の各剛性1、剛性2、剛性3をこの順序で徐々に小さくすることも可能である。
【0047】
これは請求項6の構成であり、異なった条件に対してさらに細かく対応することができるから、それだけ優秀なタイヤ(特に、優秀なレイン用タイヤ)を提供することが可能になる。
【0048】
(第2実施形態)
図2と図3と表1によって自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ101(本発明の第2実施形態)の説明をする。
【0049】
[自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ101の特徴]
タイヤ101は、図1のタイヤ1において、パターン13の両側部領域19での溝部25を、矢印103のように、溝部面積が減少する(ネガティブ率が下がる)ように変更し、陸部面積の広いパターン105にしたものであり、他の構成はタイヤ1と同等である。
【0050】
<実車評価>
表1のように、タイヤ101の条件で構成した190/650 R 16 5のタイヤ(発明品2)を1000ccのロードレース用オートバイのリアに装着し、雨天時のサーキットで実車評価を行った。
【0051】
その結果、発明品2は両側部領域19のパターン105でネガティブ率を下げ、陸部面積を増加させたことにより、発明品1の高い性能(効果)を保持しながら、発明品1に較べて、両側部領域19の耐磨耗性が改善されている。
【表1】


【0052】
[本発明の範囲に含まれる他の態様]
また、本発明の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤは、請求項4の構成のように、中央部領域と両側部領域のそれぞれを開示した範囲内で選択することにより、非伸張性高弾性コードの平均打ち込み密度をトレッド幅の全体に亘って任意に調整することが可能になるから、異なった条件に対してさらに細かく対応した優秀なタイヤ(特に、優秀なレイン用タイヤ)を提供することができる。
【0053】
また、請求項5の構成のように、タイヤの中央部領域で非伸張性高弾性コードの打ち込み密度を一定にすることにより、中央部領域と両側部領域を広い範囲から選択できる請求項4の構成と相俟って、コードの打ち込み密度を一定にする範囲をトレッド幅の広い範囲で任意に調整可能になるから、異なった条件に対応した優秀なタイヤ(特に、優秀なレイン用タイヤ)を低コストで提供できる。
【0054】
また、上記のように請求項6の構成では、非伸張性高弾性コードの打ち込み密度をタイヤの中央部領域で最も密にし両側部領域に向かって任意の段階で徐々に疎にする請求項6の構成によれば、直進時のグリップ力とバンク時の吸収性及び接地性とのバランスを中央部領域から両側部領域にかけて多段階で細かく調整することが可能になり、異なった条件に対してさらに細かく対応することができるから、それだけ優秀なタイヤ(特に、優秀なレイン用タイヤ)を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ1を示す図面である。
【図2】第1実施形態及び第2実施形態の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ1,101の基本的構造を示す断面図である。
【図3】第2実施形態の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ101を示す図面である。
【図4】従来のMSB構造のタイヤを示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ
3 踏み面(踏面部)
5 赤道面
7 非伸張性高弾性コード
9 スパイラル状ベルト層
11 トレッド幅
13 排水用のパターン
15 主溝
17 中央部領域
19 両側部領域
101 自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ
105 両側部領域の排水用パターン




 

 


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