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発明の名称 安全タイヤ用空気のう、安全タイヤ、及び安全タイヤ用空気のうの製造方法、
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−22411(P2007−22411A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−209430(P2005−209430)
出願日 平成17年7月20日(2005.7.20)
代理人 【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作
発明者 田中 善隆
要約 課題
製造効率の向上を前提に、空気のうの耐久性を向上させた安全タイヤ用空気のうの製造方法、かかる製造方法への適用に好適な安全タイヤ用空気のう、及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供する。

解決手段
中空円管状の空気のう1は、タイヤ2に収納されて安全タイヤを構成している。空気のう1及びタイヤ2のそれぞれに所定の内圧で空気を充填すると、空間部S及びSが形成される。空気のう1は、空気のうの内圧を保持する気体不透過層6と、気体不透過層6の外面上に配設され、空気のうに加わる張力を負担する張力支持層7と、空気のうのクラウン部3に配設され、タイヤの内圧が正常な状態での空気のうの径拡張を抑制するクラウン補強層8を具える。張力支持層7は、空気のうのベース部4及び両サイド部5、5を連続して延び、クラウン部3の両幅端部域9、9で終端する繊維部材10を有する。
特許請求の範囲
【請求項1】
タイヤに収納され、該タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧で空気が充填され、タイヤの内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧の低下に伴って拡径変形して、荷重の支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の安全タイヤ用空気のうにおいて、
空気のうの幅方向断面にて、該空気のうは、空気のうの内圧を保持する気体不透過層と、該気体不透過層の外面上に配設され、空気のうに加わる張力を負担する張力支持層と、空気のうのクラウン部に配設され、タイヤの内圧が正常な状態での空気のうの径拡張を抑制するクラウン補強層とを具え、
前記張力支持層は、空気のうのベース部及び両サイド部を連続して延び、クラウン部の両幅端部域で終端する繊維部材を有することを特徴とする安全タイヤ用空気のう。
【請求項2】
前記繊維部材の各端部は、クラウン補強層と10mm以上80mm以下の範囲にわたって重なり合う、請求項1に記載の空気のう。
【請求項3】
前記繊維部材の両端部の幅方向離間距離がクラウン補強層の幅の0.75倍以上0.98倍以下の範囲にある、請求項1又は2に記載の空気のう。
【請求項4】
前記繊維部材はポリエチレンテレフタレート不織布である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気のう。
【請求項5】
前記クラウン補強層はアラミド不織布とゴムの複合体で構成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気のう。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の安全タイヤ用空気のうを有する安全タイヤ。
【請求項7】
空気のうのベース部、両サイド部及びクラウン部の両幅端部域に相当する部分に繊維部材を有する第1のリング状シートを準備し、
前記第1リングシートよりも大径の第2のリング状シートを準備し、
前記第1リング状シートの上方に前記第2リング状シートをセットした後、第1リング状シートの中央部を半径方向外側に膨出変形させ、第1リング状シートと第2リング状シートを接合し、
前記第1リング状シートの中央部の半径方向内側に、所定の内圧で気体を充填した気体不透過性のチューブを挿入し、
チューブの外面に沿わせながら前記第1リング状シートを折り曲げ、チューブを第1リング状シートで密着包囲してなる円管状体を形成し、
この円管状体を加硫成型して空気のうを得ることを特徴とする安全タイヤ用空気のうの製造方法。
【請求項8】
気体不透過層と、該気体不透過層の外面上に配設され、ベース部及び両サイド部を連続して延び、クラウン部の両幅端部域で終端する繊維部材を具える張力支持層とで構成される中空円管状のケース部材を準備し、
前記ケース部材よりも大径のリング状シートを準備し、
前記ケース部材の上方に前記リング状シートをセットした後、ケース部材内に気体を充填してその中央部を半径方向外側に膨出変形させ、
前記ケース部材とリング状シートを接合し、円管状体を形成し、
この円管状体を加硫成型して空気のうを得ることを特徴とする安全タイヤ用空気のうの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、タイヤに収納され、該タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧で空気が充填され、タイヤの内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧の低下に伴って拡径変形して、荷重の支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の安全タイヤ用空気のう、かかる空気のうのの製造方法、及びかかる空気のうを有する安全タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
パンク等によってタイヤ内圧が急激に低下したランフラット状態においてもある程度の距離の走行が可能である安全タイヤとしては、補強チューブ、補強ゴム、補強ベルト等の補強部材、又は発泡体、弾性体、中子等にタイヤ負荷を肩代わり支持させるタイヤや、シーラント剤を塗布又は充填してタイヤに生じた孔等の損傷部を塞いで内圧低下を防止したタイヤ等が知られている。しかし、これら従来の安全タイヤは、製造方法が複雑なため、不良率が高くなったり、製造効率が低下したりする場合が多かった。
【0003】
かかる問題を解消するため、例えば特許文献1には、チューブの外周面に張力支持部材を配設してなり、安全タイヤの内部に収納されて、タイヤの内圧が低下するランフラット状態では、タイヤ内圧の低下に伴って拡張変形して荷重支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の空気のうが記載されている。このような空気のうの製造に当っては、未加硫のチューブの外周面に、そのチューブの形状を所期した通りに制御しながら張力支持部材を貼り付けた後、両者を加硫して接合させている。しかし、チューブは柔軟であり、その形状は不安定であることから、張力支持部材を正確に配設することは困難であった。
【0004】
かかる製造上の問題点を解決するため、特許文献2には、繊維部材とゴムとの複合材料からなる狭幅ストリップを、所要の外輪郭形状を有する硬質支持体上に貼り付けて補強層を成型し、これをチューブ上に貼り付ける方法が記載されている。これによれば、硬質支持体上の形状が安定しているので、所期した通りの高い精度をもって簡易に張力支持部材を成型することができる。
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/43975号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/96678号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載された空気のうでは、張力支持部材には強力の高い繊維、例えばアラミド繊維を用いることが好適とされている。しかし、かかる強力の高い繊維は伸長性が低く、硬質支持体のように径差のあるものへの貼り付け作業には時間を要することから、より迅速な成型方法の開発が望まれている。
【0007】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、空気のうの耐久性の維持を前提に、製造効率を向上させた安全タイヤ用空気のうの製造方法、かかる製造方法への適用に好適な安全タイヤ用空気のう、及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、第1発明は、タイヤに収納され、該タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧で空気が充填され、タイヤの内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧の低下に伴って拡径変形して、荷重の支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の安全タイヤ用空気のうにおいて、空気のうの幅方向断面にて、該空気のうは、空気のうの内圧を保持する気体不透過層と、該気体不透過層の外面上に配設され、空気のうに加わる張力を負担する張力支持層と、空気のうのクラウン部に配設され、タイヤの内圧が正常な状態での空気のうの径拡張を抑制するクラウン補強層とを具え、前記張力支持層は、空気のうのベース部及び両サイド部を連続して延び、クラウン部の両幅端部域で終端する繊維部材を有することを特徴とする安全タイヤ用空気のうである。
【0009】
なお、ここでいう「タイヤの所定の内圧」とは、空気のうを収納する安全タイヤに対して、JATMA、TRA、ETRTO等の、タイヤが製造、販売、又は使用される地域において有効な工業基準、規格等に規定され、負荷能力に応じて特定される内圧をいうものとする。また、「所定の内圧との関係で設定された内圧」とは、タイヤに所定の内圧を適用した気体充填状態では、空気のうの外面とタイヤの内面との間に空間を形成することができ、一方、タイヤの内圧が低下したランフラット状態では、タイヤ内圧の低下に伴って空気のうが拡張変形して荷重支持をタイヤから肩代わりすることができる内圧をいい、好適にはタイヤの所定の内圧+0〜20%の範囲とする。
【0010】
また、張力支持層を構成する繊維部材の各端部は、クラウン補強層と10mm以上80mm以下の範囲にわたって重なり合うことが好ましい。
【0011】
さらに、張力支持層を構成する繊維部材の両端部の幅方向離間距離がクラウン補強層の幅の0.75倍以上0.98倍以下の範囲にあることが好ましい。
【0012】
さらにまた、張力支持層を構成する繊維部材はポリエチレンテレフタレート不織布であることが好ましい。
【0013】
加えて、クラウン補強層はアラミド不織布とゴムの複合体で構成されることが好ましい。
【0014】
また、第2発明は、前記のいずれかの空気のうを有する安全タイヤである。
【0015】
第3発明は、空気のうのベース部、両サイド部及びクラウン部の両幅端部域に相当する部分に繊維部材を有する第1のリング状シートを準備し、前記第1リングシートよりも大径の第2のリング状シートを準備し、前記第1リング状シートの上方に前記第2リング状シートをセットした後、第1リング状シートの中央部を半径方向外側に膨出変形させ、第1リング状シートと第2リング状シートを接合し、前記第1リング状シートの中央部の半径方向内側に、所定の内圧で気体を充填した気体不透過性のチューブを挿入し、チューブの外面に沿わせながら前記第1リング状シートを折り曲げ、チューブを第1リング状シートで密着包囲してなる円管状体を形成し、この円管状体を加硫成型して空気のうを得ることを特徴とする安全タイヤ用空気のうの製造方法である。
【0016】
第4発明は、気体不透過層と、該気体不透過層の外面上に配設され、ベース部及び両サイド部を連続して延び、クラウン部の両幅端部域で終端する繊維部材を具える張力支持層とで構成される中空円管状のケース部材を準備し、前記ケース部材よりも大径のリング状シートを準備し、前記ケース部材の上方に前記リング状シートをセットした後、ケース部材内に気体を充填してその中央部を半径方向外側に膨出変形させ、前記ケース部材とリング状シートを接合し、円管状体を形成し、この円管状体を加硫成型して空気のうを得ることを特徴とする安全タイヤ用空気のうの製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、製造効率を向上させつつ、空気のうの耐久性を向上させた安全タイヤ用空気のう、安全タイヤ、及びかかる安全タイヤ用空気のうの製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、図面を参照しつつこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明に従う代表的な安全タイヤ用空気のう(以下「空気のう」という。)の幅方向断面を示す。
【0019】
図1に示す空気のう1は、中空円管状をなしており、タイヤ2に収納されて安全タイヤを形成している。この安全タイヤをリムRに装着してタイヤ組立体を形成する。そして、タイヤ2には空気充填バルブ(図示せず)を介して所定の空気圧を充填し、空気のう1には他の空気充填バルブ(図示せず)を介してタイヤ2の所定の空気圧との関係で設定された内圧で空気を充填し、その結果、図1に示すように、タイヤ2内には空間Sが、空気のう1内には空間Sがそれぞれ形成される。一方、パンク等によりタイヤ2の空間Sの内圧が急激に低下すると、空間Sと空間Sとの内圧差が大きくなる結果、空気のう1が拡径変形して最終的にはタイヤ2の内面に達し、荷重の支持をタイヤ2から肩代わりする。また、図示のようにタイヤ内に収納された姿勢にて、空気のう1は、タイヤ2のトレッド部内面に対向するクラウン部3と、リムRに対向するベース部4と、クラウン部3とベース部4の間に延びるサイド部5に区分される。
【0020】
そして、この発明の構成上の主な特徴は、空気のう1は、空気のう1内の空間Sの圧力を保持する気体不透過層6と、気体不透過層6の外面上に配設され、空気のう1に加わる張力を負担する張力支持層7と、空気のう1のクラウン部3に配設され、タイヤ2内の空間Sの圧力が正常な状態での空気のう1の径拡張を抑制するクラウン補強層8とを具えること、張力支持層7は、空気のうのベース部4及び両サイド部5、5を連続して延び、クラウン部3の両幅端部域9、9で終端する繊維部材10を有することにある。
【0021】
空気のうを収納した安全タイヤにおいては、空気のうの内圧はタイヤの内圧に対して高く設定されており、この差圧により空気のうに生ずる張力を、クラウン補強層と張力支持層で負担することによって、タイヤ内圧正常時に空気のうが拡張変形するのを防止している。従来の空気のうにおいては、張力に加えてタイヤの転動による遠心力が作用した場合にも良好に拡張変形防止効果を発揮するために、クラウン補強層と張力支持部材をアラミド繊維等の高強力繊維で構成している。かかる高強力繊維は伸長性が低く、貼り付け後に変形させることが困難であることから、従来の空気のうの製造においては、内圧を適用したチューブ、又は空気のうの最終形状に近い外面形状を有する硬質支持体上に、狭幅のストリップをらせん巻回して貼り付けることが行われていた。しかし、チューブ及び硬質支持体のサイド部は径差が大きく、これに低伸長性のストリップを貼り付けるには、貼り付け姿勢及び位置を随時に制御する必要があるため、貼り付け作業に時間を要するという問題があった。
【0022】
発明者は、かかる貼り付け作業に要する時間を短縮するには、一般的な空気入りタイヤのように、フラットなドラム上に構成部材を順次貼り付けてケース部材を形成し、これを膨出拡張させクラウン補強層と接合することで所要の製品を得る、いわゆるシェーピング製法を適用することが有効との着想を得た。シェーピング製法では、貼り付け姿勢の制御が不要で貼り付け位置の制御も容易であり、かつ狭幅のストリップだけでなく、広幅のシートを用いることができるからである。しかし、実際にシェーピング製法で空気のうを製造してみると、ケース部材とクラウン補強層との間にベアが発生し易く、これが故障の核となって所期した耐久性を得られない場合があることが分かった。この原因につき発明者が鋭意研究を重ねたところ、張力支持層のクラウン部にまで繊維部材を延ばすと、ケース部材とクラウン補強層の接合後加硫までの間に、繊維部材の収縮に起因してケース部材のクラウン部にしわが発生することを突き止めた。さらに、空気のうのクラウン部は、クラウン補強層で十分に補強されているので、張力支持層のクラウン部に繊維部材を配設しなくとも、空気のうの耐久性には影響がなく、むしろクラウン部に繊維部材を配設しないことで、コストを低減でき、かつ軽量化を達成できるというメリットすら生ずるとの知見を得た。そこで発明者は、繊維部材を張力支持層のベース部、両サイド部及びクラウン部の両幅端部域に限って配設することで、シェーピング製法への適正を高めつつ、ケース部材とクラウン補強層の間のベアの発生を有効に防止できることを見出し、この発明を完成させるに至ったのである。
【0023】
繊維部材10の各端部とクラウン補強層8とが重なり合っている部分の幅wは10mm以上80mm以下であることが好ましい。タイヤ内圧が低下し、空気のうが急速に拡張変形する際に、ケース部材とクラウン補強層8とが分離しないように、これらの部材は相互に強力に接合される必要があり、この観点からはこれらが重なり合っている部分の幅は少なくとも10mmであることが好ましい。しかし、重なり合っている部分が大きくなると、接合後の繊維部材の収縮の影響が大きくなりベアが発生する可能性が高くなることから、幅wは80mm以下とすることが好ましい。また、繊維部材10の両端部同士が近すぎる場合、すなわちこれら両端部の間を幅方向に沿って測定した距離である幅方向離間距離dが小さすぎる場合にも、接合後の繊維部材10の収縮の影響が大きくなりベアが発生する可能性が高くなりやすいことから、幅方向離間距離dを少なくともクラウン補強層8の幅の0.75倍以上0.98倍以下の範囲とすることが好ましい。
【0024】
張力支持層7はゴムと繊維部材の複合体で構成されるが、この繊維部材10としては不織布が好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂から構成することができ、特にPET不織布が好適である。PET不織布はある程度の弾性変形が可能であり、かつ比較的低い応力でも伸長可能であるので、シェーピング製法への適合性が高いからである。また、クラウン部3に比べると割合が少ないものの、サイド部5もタイヤ内圧正常時の空気のうの形状保持に寄与しているので、張力支持層7を構成するゴムがある程度硬いことが好ましく、具体的にはかかるゴムの200%モジュラスが少なくとも2.5MPaであることが好ましい。しかし、200%モジュラスが7.0MPaを超えることは、張力支持層が硬くなりすぎシェーピング製法への適合性が低下するので、好ましくない。
【0025】
前記の通り、空気のう1の内圧はタイヤ2の内圧に対して高く設定されており、主としてクラウン補強層8がこの差圧により生ずる張力を負担することによって、タイヤ内圧正常時に空気のう1とタイヤ2の間の空間Sを維持している。かかる張力を十分に負担させる観点からは、クラウン補強層8をゴムと強力の高い繊維部材で構成することが好ましい。この繊維部材としては、繊維が配向性を有しない不織布が好ましく、特に剛性補強効果の高いアラミド不織布を使用することが好ましい。同様に、クラウン補強層8に剛性を付与する観点からはクラウン補強層を構成するゴムの200%モジュラスが7.0MPa以上であることが好ましく、コスト抑制の観点からはこれが15MPa以下であることが好ましい。
【0026】
張力支持層7及びクラウン補強層8に用いる不織布の目付量は、小さすぎるとタイヤ内圧正常時の剛性の確保が困難となる場合があり、大きすぎると不織布内部の空隙にゴムが浸透しにくくなり、層の均質性が損なわれ易くなる。したがって、アラミド不織布としては目付量が10g/m以上80g/mのものが好ましく、PET不織布としては目付量が50g/m以上200g/mのものが好ましい。
【0027】
図1には張力支持層7が気体不透過層6の外面全体を覆う態様を示したが、空気のう1のクラウン部3にはクラウン補強層8が配設され、またタイヤ内圧正常時にはベース部4の変形はほとんどないことから、張力支持層7は少なくともサイド部5を覆い、その一部がクラウン補強層8とオーバーラップしていればよい。かかる実施態様の一例を図2に示す。
【0028】
このようにして形成された空気のうをタイヤに収納すると、この発明の安全タイヤが得られる。空気のうを収納するタイヤの種類は特に限定されず、ラジアルタイヤであってもバイアスタイヤであってもよい。
【0029】
次に、この発明に従う空気のうの代表的な製造方法について説明する。
第1の製造方法では、図3に示すように、円筒状の第1成型ドラム11の上に、広幅のゴムと繊維部材の複合体を巻き付け、周方向両端部を相互に接合し、第1リング状シート12を形成する。この第1リング状シート12は、空気のうを形成した際のベース部、両サイド部及びクラウン部の両幅端部域に相当する部分に繊維部材13を有する。必要に応じて、空気のうをリムに固定するためのビード部材や、空気のうのサイド部及びベース部を構成するゴム部材等の付加部材(図示せず)をさらに貼り付けてもよい。これとは別に、円筒状をなし、第1成型ドラム11よりも大径の第2成型ドラム14の上に、広幅のゴムと繊維部材の複合体15を少なくとも1枚、図4に示す態様では5枚貼り付けて、第2リング状シート16を形成する。次いで、成型ドラムから第1リング状シート12及び第2リング状シート16を取外し、図5に示すように、第1リング状シート12の上方に第2リング状シート16をセットする。この状態で、第1リング状シート12の内側にブラダ等の拡張手段(図示せず)を入れ、第1リング状シート12の中央部分を半径方向外側に膨出変形させ、第1リング状シート12の外面を第2リング状シート16の内面に当接させる。そして、第2リング状シート16をステッチャー等の接合手段(図示せず)により第1リング状シート12に接合させ、図6に示すような状態とする。膨出した第1リング状シート12の中央部の半径方向内側に、図7に示すように、所定の内圧で気体を充填して膨張させた気体不透過性のチューブ17を挿入する。次いで、第1リング状シート12をチューブ17の外面に沿わせながら折り曲げ、その両幅端18a、18bを互いにオーバーラップさせ、これらを接合して、チューブ17を第1リング状シート12で密着包囲し、図9に示すような未加硫の円管状体19を形成する。この円管状体19を加硫成型すると、図1に示したような、この発明の空気のう1が得られる。この製造方法は、既存のタイヤ製造設備を流用できるという点で特に有利である。
【0030】
第2の製造方法では、図9に示すように、円筒状の第1成型ドラム20の上に、広幅のゴムと繊維部材のシート状複合体21、気体不透過性シート22を順に貼り付け、第1リング状シート形成する。シート状複合体21は、空気のうを形成した際のベース部、両サイド部及びクラウン部の両幅端部域に相当する部分に繊維部材23を有する。必要に応じて、空気のうをリムに固定するためのビード部材や、空気のうのサイド部及びベース部を構成するゴム部材等の付加部材(図示せず)をさらに貼り付けてもよい。次いで、第1リング状シート24の両端部を径方向外側に折り返し、図10に示すように相互に接合すると、気体不透過層の外面を張力支持層で覆ってなる中空円管状のケース部材25が形成される。これとは別に、図4を参照しつつ第1の製造方法で説明したと同様にして、第2リング状シートを形成する。その後、図11に示すように、ケース部材25の上方に第2リング状シート26をセットする。この状態で、ケース部材25の内部に気体を充填し、ケース部材25の中央部分を半径方向外側に膨出変形させ、ケース部材25の外面を第2リング状シート26の内面に当接させる。そして、第2リング状シート26をステッチャー等の接合手段(図示せず)によりケース部材25に接合して、図12に示すような未加硫の円管状体27を形成する。この円管状体27を加硫成型すると、図1に示したような、この発明の空気のう1が得られる。この製造方法は、一度の加硫工程で気体不透過層と張力支持層を同時に加硫成型できることから生産効率に優れているという点で特に有利である。
【0031】
このようにシェーピング製法では、サイド部を構成する部材が径方向外向きに大きく膨出変形する必要がある。しかし、従来構造の空気のうでは、アラミド不織布等の比較的強力の高い繊維部材を用いて張力補強層を構成しているため、かかる膨出変形に追従できず製造中に繊維部材が破断したり、追従できたとしても、膨出変形後に繊維部材が元の形状に復元しようとしクラウン部が縮径する結果、クラウン補強層とケースの間にベアが発生したりすることがあった。これに対し、この発明では、空気のうのクラウン部に配設する繊維部材が最小限となるように空気のう構成部材を構成することによって、膨出変形後の繊維部材の復元がクラウン部の形状に及ぼす影響を排除し、ベアの発生を有効に防止することできるのである。
【0032】
この発明の空気のうの製造方法に用いる設備は、一般的な空気入りタイヤのシェーピング製法に用いられている設備と基本的に同一とすることができ、当業者には、その具体的な構成は自明である。しかし、この発明の製造方法は、図示の態様に限定されるものではなく、他の設備によっても実施可能であることは言うまでもない。また、図示の態様では広幅のシート状材料を用いているが、第1リング状シート及び/又は第2リング状シートは狭幅ストリップをつるまきらせん巻回して形成することもできる。さらに、図示の態様では、ゴムと繊維部材が既に複合体となった状態のシート状材料を用いているが、成型ドラムに繊維部材と未加硫ゴムを順次積層し、成型ドラム上でゴムと繊維部材の複合体を形成してもよい。気体不透過性層の材質及び構成は、タイヤ内圧が低下するランフラット状態にて拡張変形可能なものであれば特に限定されず、第1の製造方法においては、例えば従来のチューブ入りタイヤ用ゴムチューブや、前記の特許文献2に記載の空気のうに用いたチューブ等を用いることができ、第2の製造方法においては、タイヤのインナーライナーと同様に、ブチルゴム、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム等を用いることができる。
【0033】
また、図示の態様では、空気のうを形成した状態で張力支持層7が気体不透過層6の外面全体を覆っているが、クラウン部の一部に張力支持層を配設せず、いわば中抜きの状態とすることもできる。かかる中抜きの態様は軽量化の面では有利であるが、特に第1の製造方法において、リング状シートの膨出変形が困難となる。したがって、図示の態様のように、空気のうを形成した状態で張力支持層7のクラウン部を構成する部分をゴムのみで形成し、1枚の第1リング状シートから張力支持層を形成することが好ましい。
【0034】
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。
【実施例】
【0035】
次に、この発明に従う安全タイヤ用空気のうを試作し性能評価を行ったので、以下に説明する。
【0036】
実施例1〜4の空気のうは、タイヤサイズが495/45R22.5の安全タイヤに収納して用いられるものであり、図1に示す構造を有し、張力支持層をゴム(200%モジュラス:10MPa)とPET不織布(目付量:120g/m)の複合体で構成しており、クラウン補強層をゴムとアラミド不織布(目付量:70g/m)の複合体を5枚積層して構成しており、クラウン補強層の幅が360mmであり、表1に示す諸元を有する。なお、表1中の「オーバーラップ幅」とは、張力支持層を構成するPET不織布の各端部とクラウン補強層が重なり合っている幅をいうものとする。
【0037】
比較のため、実施例1〜4の空気のうと同様に、タイヤサイズが495/45R22.5の安全タイヤに収納して用いられるものであり、気体不透過層及びクラウン補強層が実施例1〜4と同じであり、張力支持層がクラウン部全体にも繊維部材を有することを除いて、実施例1〜4と同じである従来例及び比較例の空気のうについても併せて試作した。
【0038】
(製造効率)
これら実施例1〜4及び比較例の空気のうを第1の製造方法により製造し、従来例の空気のうを硬質支持体を用いて製造し、これらの成型作業に要した時間を調べ、これにより製造効率を評価した。その結果、従来例の製造効率の評価結果を100とし、これに対する指数比で実施例1〜4及び比較例の空気のうの製造効率の評価結果を表すと、いずれの評価結果も820であった。なお、この評価結果は数値が大きいほど優れている。したがって、シェーピング製法により製造効率が飛躍的に向上することが分かる。
【0039】
(ベア防止性)
比較例及び実施例1〜4の空気のうをそれぞれ100本製造し、クラウン補強層とケース部材との継ぎ目を目視観察し、ベアの発生した空気のうの割合を調べ、これによりベア防止性を評価した。その評価結果を表1に示す。
【0040】
(急速拡張性)
比較例及び実施例1〜4の空気のうを、タイヤサイズが495/45R22.5のタイヤに収納し、リムサイズが17.00×22.5のリムに装着してタイヤ車輪とし、これをテスト車両に取り付けた。次いで、空気のうを含むタイヤ(空間S)の内圧を900kPa(相対圧)とし、空気のう(空間S)の内圧を970kPa(相対圧)とし、タイヤ負荷荷重:56.88kN、走行速度:60km/hの条件下で75Rのコーナーを旋回中にバットレス部を爆破し、空気のうを急速拡張させた。この条件下では、0.3秒でタイヤ内圧が抜けランフラット走行状態となる。そして、ランフラット走行状態となった直後に急制動を行い、車両が安全に停止できるか否かにより急速拡張性を評価した。その評価結果を表1に示す。
【0041】
【表1】


【0042】
なお、表1に示すベア発生率の評価結果は、比較例の空気のうの評価結果を100としたときの指数比で示しており、数値が大きいほど性能は優れている。また、急速拡張性の評価結果中、「良」は空気のうが急速に拡張し、車両が安全に停止できたことを示す。
【0043】
表1に示す結果から、実施例1〜4の空気のうは、比較例の空気のうに比べて、ベア防止性及び急速拡張性に優れており、したがって耐久性が向上していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上の説明から明らかなように、この発明によって、製造効率を向上させつつ、空気のうの耐久性を向上させた安全タイヤ用空気のうの製造方法、かかる製造方法への適用に好適な安全タイヤ用空気のう、及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明に従う代表的な安全タイヤ用空気のうを収納した安全タイヤをリムに装着し、所定の内圧を充填した状態で示す幅方向断面図である。
【図2】この発明に従う他の安全タイヤ用空気のうを収納した安全タイヤをリムに装着し、所定の内圧を充填した状態で示す幅方向断面図である。
【図3】この発明に従う安全タイヤ用空気のうの代表な製造方法の一工程を示す斜視図である。
【図4】この発明に従う安全タイヤ用空気のうの代表な製造方法の一工程を示す斜視図である。
【図5】この発明に従う安全タイヤ用空気のうの代表な製造方法の一工程を示す幅方向断面図である。
【図6】この発明に従う安全タイヤ用空気のうの代表な製造方法の一工程を示す幅方向断面図である。
【図7】この発明に従う安全タイヤ用空気のうの代表な製造方法の一工程を示す幅方向断面図である。
【図8】この発明に従う安全タイヤ用空気のうの代表な製造方法により形成された未加硫円管状体の幅方向断面図である。
【図9】この発明に従う安全タイヤ用空気のうの他の製造方法の一工程を示す幅方向断面図である。
【図10】この発明に従う安全タイヤ用空気のうの他の製造方法の一工程を示す幅方向断面図である。
【図11】この発明に従う安全タイヤ用空気のうの他の製造方法の一工程を示す幅方向断面図である。
【図12】この発明に従う安全タイヤ用空気のうの他の製造方法により形成された未加硫円管状体の幅方向断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 空気のう
2 タイヤ
3 クラウン部
4 ベース部
5 サイド部
6 気体不透過層
7 張力支持層
8 クラウン補強層
9 クラウン部の幅端部域
10 繊維部材
11、20 第1成型ドラム
12、24 第1リング状シート
13、23 繊維部材
14 第2成型ドラム
15 ゴムと繊維部材の複合体
16、26 第2リング状シート
17 気体不透過性チューブ
18a、18b 第1リング状シートの幅端
19、27 未加硫円管状体
21 ゴムと繊維部材のシート状複合体
22 気体不透過性シート
25 ケース部材




 

 


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