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発明の名称 車両用通信システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30714(P2007−30714A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−217904(P2005−217904)
出願日 平成17年7月27日(2005.7.27)
代理人 【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
発明者 加藤 光敏 / 古田 克彦
要約 課題
通信システム全体として、高電力消費動作モードから低電力消費動作モードへの移行タイミングを管理すること。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
車両に搭載された複数の制御ユニットを少なくとも3つ以上の複数のグループに分け、そのグループごとに前記制御ユニットをデータ通信用の通信線を介して相互に接続して複数のネットワークを形成するとともに、当該複数のネットワーク間を接続して、データの中継を行なうゲートウェイユニットを複数設けることにより、前記複数のネットワークに接続された制御ユニット間でデータの送受信を可能とした車両用通信システムであって、
前記制御ユニットは、動作モードとして、高電力消費動作モードと低電力消費動作モードとを有し、当該動作モードに関する動作モードデータを前記通信線を介して自身が接続されたネットワーク内の他のユニットに送信し、かつ、他のユニットから高電力消費動作モードデータを受信した際に、自身の動作モードを高電力消費動作モードに設定するものであり、
前記複数のゲートウェイユニットの1つのゲートウェイユニットは、集中管理ゲートウェイユニットとして、接続された全てのユニットから低電力消費動作モードに移行可能である旨のデータを受信しても、所定の条件が成立するまで、自身が接続された複数のネットワークに対して、高電力消費動作モードデータを送信し、前記所定の条件の成立時に、低電力消費動作モードデータを送信し、
前記複数のゲートウェイユニットの他のゲートウェイユニットは、自身が接続された複数のネットワークの中の一のネットワークに接続されたユニットから動作モードデータを受信した場合、その一のネットワークを除く他のネットワークに接続されたユニットに対して、その動作モードデータを送信することを特徴とする車両用通信システム。
【請求項2】
前記集中管理ゲートウェイユニットは、接続された全てのユニットから低電力消費動作モードデータを受信してからの経過時間が所定時間に達したとき、前記所定の条件が成立したと判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用通信システム。
【請求項3】
前記集中管理ゲートウェイユニットは、車両の状態を検出する検出手段からの検出信号に基づいて、前記車両の状態が、全ての制御ユニットを低電力消費動作モードに移行させるべき状態であるとみなされるときに、前記所定の条件が成立したと判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用通信システム。
【請求項4】
前記集中管理ゲートウェイユニットは、前記車両のエンジンが停止中であって、かつ所定の制御ユニットから高電力消費動作モードデータを受信した場合に、その制御ユニットに対応付けられた特定のネットワークに対して高電力消費動作モードデータを送信し、他のネットワークに対して低電力消費動作モードデータを送信することを特徴とする請求項1に記載の車両用通信システム。
【請求項5】
前記制御ユニットは、車両のイグニッションスイッチがオフされている間、その動作モードが前記低電力消費動作モードになるとともに、所定の起動条件が成立すると前記高電力消費動作モードにて動作することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両用通信システム。
【請求項6】
前記他のゲートウェイユニットも、動作モードとして、高電力消費動作モードと低電力消費動作モードとを有し、自身が接続されたネットワーク内の全ての制御ユニットが低電力消費動作モードとなったときに、前記他のゲートウェイユニットは、低電力消費動作モードとなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車両用通信システム。
【請求項7】
前記他のゲートウェイユニットが、車両における所定の制御対象機器に対して制御を行なう制御ユニットとしての機能も兼ね備える場合、当該制御ユニットとして、その動作モードを低電力消費動作モードとすることができることを条件として、前記ゲートウェイユニットは、その動作モードが低電力消費動作モードになることを特徴とする請求項6に記載の車両用通信システム。
【請求項8】
前記他のゲートウェイユニットは、動作モードデータを送信したユニットが制御ユニットであれば、その制御ユニットを含むネットワークにも動作モードに関するデータを送信するが、ゲートウェイユニットであれば、そのゲートウェイユニットを含むネットワークに動作モードデータを送信しないことを特徴とする請求項1に記載の車両用通信システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された複数の制御ユニット間において、データの送受信を行なう車両用通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の搭載機器を電子的に制御する制御ユニットが多数採用されるに従い、その制御ユニット間においてデータを共有化し、各制御ユニットにおいて分散制御や協調制御を行なう要求が高まっている。例えば、車両において、シートやドア等のボディ系、エンジン、電子スロットル等のパワートレイン系、さらにナビゲーション,VICS,ETC等の情報系といった区分けでそれぞれの制御ユニットをネットワーク化し、さらに各ネットワーク間をデータ中継が可能なゲートウェイユニットを介して接続するといったことが検討されている。
【0003】
ここで、イグニッションスイッチがオフされて車両が駐車されている場合には、車両としての基本的な機能を発揮する必要がないため、一般的に、各制御ユニットは、その動作モードが低電力消費動作モードに移行される。この低電力消費動作モードとは、通常の動作モードよりも動作周波数を低下させたり、所定のトリガ信号が入力されるまでは動作を停止させたり、あるいは、完全にその動作を停止させることによって、各制御ユニットにおける消費電力の低減を図ることが可能な動作モードのことである。
【0004】
各制御ユニットが上述したようにネットワーク化された場合には、各制御ユニットの協調動作のため、一の制御ユニットの動作モードが高電力消費動作モードであると、それに合わせて他の制御ユニットの動作モードも高電力消費動作モードに設定される。各制御ユニットが複数のグループに分かれてネットワーク化される場合には、ゲートウェイユニットが、それら複数のネットワークに属する制御ユニットの動作モードを管理することもある。すなわち、データを送受信する必要がある複数の制御ユニットが異なるネットワークに分かれている場合、一の制御ユニットから高電力消費動作モードである旨のデータを受信すると、ゲートウェイユニットは、それら複数の制御ユニットが属するネットワークに対して、高電力消費動作モードにて動作するようにモード管理を行なう。なお、ゲートウェイユニットは、動作モード管理が煩雑となることを避けるため、通常、個別の制御ユニットを対象とするのではなく、各ネットワーク単位で動作モードを管理する。
【0005】
このようなゲートウェイユニットが1つのみ設けられた通信システムでは、ゲートウェイユニットにより、各ネットワークの動作モードが一括して管理でき、高電力消費動作モードと低電力消費動作モード間の動作モードの移行もスムーズに行なうことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ネットワーク化される制御ユニットの数や通信データ量は増加の一途を辿っており、ネットワークの規模が大きくなると、1つのゲートウェイユニットでは対応しきれなくなることが考えられる。つまり、制御ユニット間におけるデータ送受信速度の観点から、1つのネットワークに接続される制御ユニットの数はおのずと制限される。そして、ネットワークの数が増えれば、そのネットワーク間の通信を1つのゲートウェイユニットで賄うことは困難になる。そのため、複数のネットワーク間を複数のゲートウェイユニットを介して接続することが考えられる。
【0007】
この場合、1つのネットワークが複数のゲートウェイユニットを介して複数のネットワークに接続されることになり、この構成に起因して、動作モード管理に不具合が生じることが考えられる。つまり、ゲートウェイユニットは、いずれかの制御ユニットから高電力消費動作モードデータを受信すると、データ中継のために接続されている全てのネットワークに対して、高電力消費動作モードデータを送信する。これによって、ゲートウェイユニットに接続された全てのネットワークの動作モードを、高電力消費動作モードに管理する。従って、上述したように、1つのネットワークに複数のゲートウェイユニットが接続されると、そのゲートウェイユニット間で、高電力消費動作モードデータを交換し合う状況が発生し得る。その結果、各制御ユニットは、低消費電力動作モードへの移行ができなくなってしまう。
【0008】
このような問題点を解決すべく、本出願人は、特願2005−141550を出願した。この出願に係わる車両用通信システムでは、ゲートウェイユニットが、動作モードに関するデータを受信した場合に、その動作モードに関するデータを送信したユニットを含むネットワークには送信しないようにしている。これにより、ゲートウェイユニット間で、高電力消費動作モードに関するデータを交換し合う状況の発生を回避して、各ユニットを低電力消費動作モードへ移行させることが可能になる。
【0009】
ただし、上記のように構成した場合、通信システムにおける低電力消費動作モードへの移行タイミングは、高電力消費動作モードから低電力消費動作モードへの移行を最後に許可する任意のユニットによる許可タイミングに依存することになる。すなわち、通信システム全体として、低電力消費動作モードへの移行タイミングを管理することができない。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、システム全体として、高電力消費動作モードから低電力消費動作モードへの移行タイミングを管理することが可能な車両用通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車両用通信システムは、車両に搭載された複数の制御ユニットを少なくとも3つ以上の複数のグループに分け、そのグループごとに制御ユニットをデータ通信用の通信線を介して相互に接続して複数のネットワークを形成するとともに、当該複数のネットワーク間を接続して、データの中継を行なうゲートウェイユニットを複数設けることにより、複数のネットワークに接続された制御ユニット間でデータの送受信を可能としたものであって、
制御ユニットは、動作モードとして、高電力消費動作モードと低電力消費動作モードとを有し、当該動作モードに関する動作モードデータを通信線を介して自身が接続されたネットワーク内の他のユニットに送信し、かつ、他のユニットから高電力消費動作モードデータを受信した際に、自身の動作モードを高電力消費動作モードに設定するものであり、
複数のゲートウェイユニットの1つのゲートウェイユニットは、集中管理ゲートウェイユニットとして、接続された全てのユニットから低電力消費動作モードに移行可能である旨のデータを受信しても、所定の条件が成立するまで、自身が接続された複数のネットワークに対して、高電力消費動作モードデータを送信し、所定の条件の成立時に、低電力消費動作モードデータを送信し、
複数のゲートウェイユニットの他のゲートウェイユニットは、自身が接続された複数のネットワークの中の一のネットワークに接続されたユニットから動作モードデータを受信した場合、その一のネットワークを除く他のネットワークに接続されたユニットに対して、その動作モードデータを送信することを特徴とする。
【0012】
このように、請求項1に記載の車両用通信システムでは、複数のゲートウェイユニットの1つのゲートウェイユニットが、集中管理ゲートウェイユニットとして、接続された全てのユニットから低電力消費動作モードに移行可能である旨のデータを受信しても、所定の条件が成立するまで、自身が接続された複数のネットワークに対して、高電力消費動作モードデータを送信し、所定の条件の成立時に、低電力消費動作モードデータを送信する。このため、集中管理ゲートウェイユニットが、所定の条件の成立に基づいて、通信システム全体の、高電力消費動作モードから低電力消費動作モードへの移行タイミングを管理することができる。
【0013】
なお、複数のゲートウェイユニットの他のゲートウェイユニットは、動作モードデータを送信したユニットが属するネットワークを除く残りのネットワークにのみ、動作モードデータを送信する。このため、同一のネットワークに接続されたゲートウェイユニット間で、高電力消費動作モードデータを交換し合う状況の発生を回避できる。
【0014】
請求項2に記載したように、集中管理ゲートウェイユニットは、接続された全てのユニットから低電力消費動作モードへ移行可能である旨のデータを受信してからの経過時間が所定時間に達したとき、所定の条件が成立したと判定するように構成することができる。
【0015】
例えば、ある制御ユニットが、対応する制御対象機器の制御を終了し、低電力消費動作モードへの移行が可能と判定した場合であっても、その直後に、制御の再開が必要となる場合がある。このような場合に、通信システム全体が低電力消費動作モードへ移行済みであると、各制御ユニットを高電力消費動作モードへ復帰させるための処置が必要となるので、上述した制御の再開を迅速に行い得ないことが考えられる。
【0016】
これに対して、請求項2に記載のシステムでは、集中管理ゲートウェイユニットが、全てのユニットから低電力消費動作モードへ移行可能である旨を示すデータを受信しても、即座に低電力動作モードへの移行を許可するのではなく、その時点からの経過時間を計時し、その経過時間が所定時間に達したときに、各ユニットに低電力消費動作モードデータを出力して、低電力消費動作モードに移行させる。このようにすれば、通信システム全体を無駄に低電力消費動作モードに移行させることが防止できるので、制御を再開する必要が生じたとき、迅速に対応することが可能となる。
【0017】
また、請求項3に記載したように、集中管理ゲートウェイユニットは、車両の状態を検出する検出手段からの検出信号に基づいて、車両の状態が、全ての制御ユニットを低電力消費動作モードに移行させるべき状態であるとみなされるときに、所定の条件が成立したと判定するように構成しても良い。
【0018】
例えば、イグニッションスイッチがオフされて、車両のエンジンが停止した場合であっても、車両に乗員が乗車している状態では、車両に搭載された各種の制御対象機器を作動させる必要が生じる可能性がある。逆に、全ての乗員が車両から降りて、車両が駐車されている状態では、頻繁に各種の制御対象機器を作動させる必要が生じることはない。従って、例えば、車両状態として、乗員が車両に乗車していることを検出したときには、低電力消費動作モードへの移行を禁止し、全ての乗員が車両から降りたときに、全ての制御ユニットを低電力消費動作モードに移行させることにより、適切なタイミングで、低電力消費動作モードに移行させることができる。
【0019】
請求項4に記載したように、集中管理ゲートウェイユニットは、車両のエンジンが停止中であって、かつ所定の制御ユニットから高電力消費動作モードデータを受信した場合に、その制御ユニットに対応付けられた特定のネットワークに対して高電力消費動作モードデータを送信し、他のネットワークに対して低電力消費動作モードデータを送信するように構成しても良い。
【0020】
車両のエンジンが停止中である場合には、車載バッテリへの充電が行われないので、極力、車載バッテリの電力の消費を抑制することが好ましい。このため、車両のエンジンが停止中において、高電力消費動作モードにて動作する所定の制御ユニットに関して、その制御ユニットと必ずデータ通信を行う必要がある制御ユニットを集めて特定のネットワークを構成し、上記所定の制御ユニットから高電力消費動作モードデータを受信した場合には、その特定のネットワークに対してのみ高電力消費動作モードデータを送信する。これにより、他のネットワークに接続された制御ユニットは低電力消費動作モードに維持されるので、電力消費の抑制を図ることが可能になる。
【0021】
請求項5に記載したように、制御ユニットは、車両のイグニッションスイッチがオフされている間、その動作モードが低電力消費動作モードになるとともに、所定の起動条件が成立すると高電力消費動作モードにて動作するように構成できる。車両のイグニッションスイッチがオフされている間は車両は停止しており、基本的に、各種の車載機器を制御する制御ユニットを車両の走行時と同様に機能させる必要がないためである。従って、イグニッションスイッチのオフに応じて制御ユニットの動作モードを低電力消費動作モードに移行させて、消費電力の低減を図ることが好ましい。
【0022】
ただし、少なくとも一部の制御ユニットに関しては、例えば一定時間経過したことを条件としてウェイクアップし、高電力消費動作モード(通常動作モード)にて動作することが好ましい場合がある。例えば、携帯キーとの相互通信によって、メカニカルキーを用いることなくドアロックを解除可能な、いわゆるスマートキーシステムの場合など、車両の停車時に定期的に、制御ユニットとしてのスマートキーECUから質問信号を送信するとともに、携帯キーからの応答信号を受信する等の処理を行う必要があるためである。
【0023】
請求項6に記載したように、他のゲートウェイユニットも、動作モードとして、高電力消費動作モードと低電力消費動作モードとを有し、自身が接続されたネットワーク内の全ての制御ユニットが低電力消費動作モードとなったときに、他のゲートウェイユニットは、低電力消費動作モードとなることが好ましい。ネットワーク内の全ての制御ユニットが低消費電力動作モードとなると、迅速に中継すべきデータも発生しない。このため、他のゲートウェイユニットも低電力消費動作モードに移行させて、消費電力の低減を図ることが好ましいためである。
【0024】
ただし、請求項7に記載したように、他のゲートウェイユニットが、車両における所定の制御対象機器に対して制御を行う制御ユニットとしての機能も兼ね備える場合、当該制御ユニットとして、その動作モードを低電力消費動作モードとすることができることを条件として、その動作モードを低電力消費動作モードに移行させることが好ましい。
【0025】
請求項8に記載したように、他のゲートウェイユニットは、動作モードデータを送信したユニットが制御ユニットであれば、その制御ユニットを含むネットワークにも動作モードに関するデータを送信するが、ゲートウェイユニットであれば、そのゲートウェイユニットを含むネットワークに動作モードデータを送信しないように構成しても良い。動作モードデータの送信元が制御ユニットであれば、その動作モードデータを、他のゲートウェイユニットが接続された全てのネットワークに送信しても、上述したようなゲートウェイユニット間での高電力消費動作モードデータを交換し合う状況は発生しないためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における車両用通信システムの全体構成を示すブロック図である。本車両用通信システムは、車両の搭載機器を電子的に制御する各種の制御ユニットが、通信線、さらにはゲートウェイユニットを介して相互に接続されたネットワーク構成を備えている。なお、エンジン、変速機、ブレーキ等のパワートレイン系機器、エアコン、シート、ドアロック等のボディ系機器、ナビ、ETC、ラジオ等の情報系、及びエアバック等のセイフティ系機器を制御する種々の制御ユニットが、ネットワーク化の対象となりえる。
【0027】
これらの制御ユニットは、イグニッションスイッチがオンされている間は、各種の演算を高速に行なって車両搭載機器を最適に制御する必要がある。このため、各ユニットの動作モードは、基本的に通常動作モード(高電力消費動作モード)に設定される。一方、イグニッションスイッチがオフされて車両が駐車されている場合には、車両としての基本的な機能を発揮する必要がないため、各制御ユニットは、その動作モードが低電力消費動作モードに移行される。低電力消費動作モードでは、通常の動作モードよりも動作周波数を低下させたり、外部回路等から所定のトリガ信号が入力されるまでは動作を停止させたり、あるいは、完全にその動作を停止させる。これにより、各制御ユニットにおける消費電力の低減を図ることができる。
【0028】
本実施形態では、そのような各制御ユニットの中で、車両停車中においても車両搭載機器に対する制御処理を実行するため所定のウェイクアップ条件が成立したときに、低電力消費動作モードから通常動作モードに移行する制御ユニット、及びネットワーク接続された他の制御ユニットの通常動作モードへの移行に伴なって通常動作モードに移行する必要がある制御ユニットを対象としたネットワーク構成について説明する。
【0029】
そのような制御ユニットの具体例としては、例えば、携帯キーとスマートキーECUとの相互通信により、メカニカルなキーを用いることなく、ドアロックを解除するいわゆるスマートキーシステムにおける各種の制御ユニット(ECU)が挙げられる。スマートキーシステムにおいては、スマートキーECUが、ウェイクアップ条件として所定時間が経過するごとに低電力消費動作モードから通常動作モードに切り換えられ、送受信機に対して、質問信号の送信及び携帯キーからの応答信号の受信を指示する。ユーザが保持する携帯キーが質問信号を受信すると応答信号を返送するため、応答信号の受信により、ユーザが車両に接近していることが認識できる。
【0030】
スマートキーECUは、その応答信号に基づいて、携帯キーの保持者が正規のユーザであるか否かを判定する。その判定結果は、各ドアECUに送信され、ドアの状態が、ロック、アンロックスタンバイ、あるいはアンロックの各状態に制御される。例えば、携帯キーの保持者が正規のユーザであり、そのユーザが車両に接近している場合には、各ドアECUは、車両の各ドアの状態を、ユーザがドアハンドルに設けられたスイッチを操作することによってドアがアンロックとなるアンロックスタンバイ状態に制御する。このように、スマートキーECUと各ドアECUとは協調して動作する必要があるので、各ドアECUの動作モードは、スマートキーECUの通常動作モードへの移行に伴なって、低電力消費動作モードから通常動作モードに切り換えられる。
【0031】
さらに、車両によっては、イモビECUが設けられ、このイモビECUは、ユーザによってエンジンの始動操作が行なわれたとき、スマートキーECUと通信を行ない、その通信結果に基づいて、エンジンの始動許可・禁止を切り換える。すなわち、スマートキーECUにおいて、正規のユーザとの判定が行なわれている場合に限り、イモビECUは、エンジンの始動を許可するのである。従って、イモビECUの動作モードも、スマートキーECUの通常動作モードへの移行に伴ない、低電力消費動作モードから通常動作モードに切り換えられることが好ましい。あるいは、エンジンの始動操作によってイモビECUが通常動作モードとなり、そのイモビECUからの通信をトリガとしてスマートキーECUを通常動作モードに切り換えることも可能である。
【0032】
このように、車両搭載機器の制御ユニットの中には、車両停車中においても所定のウェイクアップ条件が成立することによって通常動作モードとなったり、他の制御ユニットの通常動作モードへの移行に伴なって低電力消費動作モードから通常動作モードに切り換えられる制御ユニットがある。本実施形態によるネットワーク構成においては、このような制御ユニットを少なくとも3つ以上の複数のグループに分け、そのグループごとにデータ通信用の通信線を介して相互に接続して複数のネットワークを形成する。さらに、この複数のネットワーク間をデータ中継のための複数のゲートウェイユニットを介して接続し、複数のネットワークに接続された制御ユニット間でデータの送受信を可能としている。
【0033】
なお、制御ユニットを少なくとも3つ以上の複数のグループに分けて複数のネットワークを形成するのは、各ネットワークに接続される制御ユニット数を抑えて各制御ユニットのデータ送信の待ち時間を短くしたり、ネットワークを形成する際の配線長が長くなると送信信号の波形の乱れ等が生じ易くなるため、その配線長を短縮したりするためである。
【0034】
図1に示す例では、第1ネットワークに制御ユニットA〜Dが接続され、第2ネットワークに制御ユニットE〜Hが接続され、第3ネットワークに制御ユニットI〜Lが接続され、さらに、第4ネットワークに制御ユニットM〜Pが接続されている。また、第1ネットワークと第2ネットワークとの間には、ゲートウェイ(GW)ユニットXが接続され、第2ネットワークと第3ネットワークとの間には、集中管理ゲートウェイユニットであるゲートウェイユニットYが接続され、第3ネットワークと第4ネットワークとの間には、ゲートウェイ(GW)ユニットZが接続されている。
【0035】
以下の説明においては、上述したネットワーク構成において、通信プロトコルとして公知のトークンパッシング方式を採用した場合について説明する。しかしながら、通信プロトコルとしては、トークンパッシング方式以外の、CSMA/CR(carrier sense multiple access with collision resolution)方式やTDMA(time division multiple access)方式等、公知の各種プロトコルを採用しても良い。さらに、ゲートウェイユニットにプロトコル変換機能を持たせることにより、各ネットワークで、異なる通信プロトコルを採用することも可能である。
【0036】
図2(a)は、制御ユニット間において分散制御や協調制御を行なうため、制御ユニット間でデータを送受信する際に用いられる通信データ構造の一例を示している。図2(a)に示すように、通信データは、ヘッダーフィールドとデータフィールドを有し、データフィールドにはデータ本体が書き込まれている。ヘッダーフィールドには、各ユニットに固有なコードであるIDと、データ本体の長さを示すデータレングスコード(DLC)とが含まれる。
【0037】
図2(b)は、制御ユニットの動作モードを管理するためのモード管理データ構造の一例を示している。図2(b)に示すように、モード管理データは、アドレッシングフィールド、コントロールフィールド、及びデータフィールドを有している。但し、モード管理データにおいては、データフィールドを用いてデータを送信することはなく、このデータフィールドは、データ長を図2(a)の通信データと合わせるために便宜的に設けられている。
【0038】
アドレッシングフィールドには、データ送信元のユニットを示すID、モード管理データの長さを示すDLC、及びデータの送信権であるトークンを渡すユニットを示すディスティネーションID(DID)が含まれる。なお、通信データとモード管理データは、それぞれのIDを異ならせることによって区別可能である。また、コントロールフィールドには、動作モードを示すオペレーションコード(OpCode)が含まれる。このオペレーションコードは、インジケータコードIndとアクノリッジコードAckとからなる。
【0039】
インジケータコードIndは、モード管理データを送信する制御ユニット自身が、所定の制御処理を実行する必要がなく、低電力消費動作モードに移行可能か否かを示すものであり、例えば低電力消費動作モードに移行可能な場合、インジケータコードInd=1、移行不可の場合、インジケータコードInd=0を出力する。また、アクノリッジコードAckは、ネットワーク内の全制御ユニットに対して低電力消費動作モードへの移行の許可・禁止を指示するものであり、例えば移行許可の場合、アクノリッジコードAck=1、移行禁止の場合、アクノリッジコードAck=0を出力する。
【0040】
各制御ユニットは、自身がデータの送信権(トークン)を得たタイミングで、上述した通信データ及びモード管理データを、ネットワーク内の制御ユニット及びゲートウェイユニットに向けて送信する。ネットワーク内の制御ユニットが、その通信データを受信すると、データ送信元のユニットを示すIDから、自身の制御に必要なデータか否かを判定し、必要なデータのみ保持する。さらに、モード管理データに基づいて、他の制御ユニットの動作モードを保持するとともに、自身がトークンを獲得したか否かを判定する。ゲートウェイユニットが通信データ及びモード管理データを取得すると、その通信データ及びモード管理データを、図1に示すように、データ中継部及びモード管理部によって、必要なネットワークに送信するようにデータ中継を行なう。
【0041】
ここで、1つのネットワーク内において、モード管理データを用いた各制御ユニットの動作モードの遷移について、第1ネットワークに接続された制御ユニットA〜Dを例にとり図3を用いて説明する。図3は、制御ユニットAが通常動作モードから低電力消費動作モードに移行可能となったときにおける、第1ネットワーク内の各制御ユニットで送受信されるオペレーションコードの変化を示している。
【0042】
制御ユニットAの動作モードが通常動作モードであるときには、オペレーションコードにおけるインジケータコードIndaは0となる。従って、各制御ユニットに低電力消費動作モードへの移行禁止を指示する必要があるため、アクノリッジコードAckも0となる。これに対して、制御ユニットB,C,Dは、低電力消費動作モードへの移行が可能な状態であるため、それそれ、インジケータコードIndb,Indc,Indd=1を出力するが、制御ユニットAからインジケータコードInd=0が送信されたので、アクノリッジコードAckは、低電力消費動作モードへの移行禁止を示す0を出力する。
【0043】
その後、制御ユニットAが所定の制御処理を完了して通常動作モードから低電力消費動作モードへの移行が可能となると、インジケータコードInda=1を出力する。これによって、制御ユニットA〜Cから送信されたインジケータコードInda〜Inddが全て1となったので、制御ユニットBは、モード管理データにおいて、全制御ユニットA〜Dに対して低電力消費動作モードへの移行の許可を指示するため、アクノリッジコードAck=1を出力する。これにより、各制御ユニットA〜Dは、通常動作モードから低電力消費動作モードに移行する。
【0044】
なお、ゲートウェイユニットX〜Zも、通常動作モードと低電力消費動作モードとを有しており、ネットワーク内の全制御ユニットの動作モードが低電力消費動作モードとなると、ゲートウェイユニットも、低電力消費動作モードに移行する。ネットワーク内の全ての制御ユニットが低消費電力動作モードとなると、迅速に中継すべきデータも発生しない。このため、ゲートウェイユニットX〜Zも低電力消費動作モードに移行して、消費電力の低減を図ることが好ましいためである。
【0045】
ただし、ゲートウェイユニットX〜Zは、車両における所定の制御対象機器に対して制御を行う制御ユニットとしての機能も兼ね備えることが可能である。このような場合には、当然ではあるが、制御ユニットとして、その動作モードを低電力消費動作モードに移行させることができることを条件として、その動作モードを低電力消費動作モードに移行させる。
【0046】
次に、ゲートウェイユニットX,Zと集中管理ゲートウェイユニットYにおけるモード管理処理について説明する。まず、ゲートウェイユニットX,Zのモード管理処理について、図4のフローチャートに基づいて説明する
まず、ステップS10において、他の制御ユニットもしくはゲートウェイユニットから送信されたデータを受信したか否かを判定する。このステップS10の判定処理において、「No」と判定されると、ステップS70に進む。一方、ステップS10の判定処理において、「Yes」と判定されると、ステップS20に進む。
【0047】
ステップS20では、受信したデータがモード管理データであるか否かを、受信したデータのIDに基づいて判定する。このステップS20の判定処理において、「No」と判定された場合、つまり、図2(a)に示す通信データを受信した場合には、ステップS70に進む。一方、ステップS20の判定処理において、「Yes」と判定された場合、ステップS30に進む。
【0048】
ステップS30では、受信したモード管理データのインジケータコードIndの内容により、送信元の制御ユニット等が通常動作モードにて動作しているか否かを判定する。このステップS30の判定処理において「Yes」と判定されると、ステップS40に進み、接続されたネットワークごとに設けられた、各制御ユニット等の動作モードの履歴を管理するための情報であるモード管理履歴情報に通常動作モードをセットする。すなわち、ゲートウェイユニットには、複数のネットワークが接続されているが、そのネットワークの各々に対応して複数のモード管理履歴情報が設定され、各モード管理履歴情報には、対応するネットワーク内の各制御ユニット等の動作モードに対応するモードがセットされる。
【0049】
一方、ステップS30の判定処理において、「No」と判定された場合には、ステップS50に進む。ステップS50では、モード管理データを送信したユニットを含むネットワークに対応するモード管理履歴情報を参照して、これまでに通常動作モードを示すモード管理データを送信した制御ユニット等があるか否かを判定する。すなわち、いずれかの制御ユニット等から通常動作モードを示すモード管理データがすでに送信されている場合、モード管理履歴情報には通常動作モードがセットされている。従って、モード管理履歴情報を参照することにより、これまでに通常動作モードを示すモード管理データを送信した制御ユニット等があるか否かを判定できる。
【0050】
ステップS50の判定処理にて「Yes」と判定された場合には、上述したステップS40に進む。これは、いずれかの制御ユニットの動作モードが通常動作モードである場合、他の制御ユニットの動作モードも通常動作モードにする必要があるからである。一方、ステップS50の判定処理において、「No」と判定された場合には、各制御ユニットの動作モードを低電力消費動作モードに移行できる条件が成立したので、ステップS60において、モード管理履歴情報に、低電力消費動作モードをセットする。
【0051】
ステップS70では、ゲートウェイユニットX,Zが、モード管理履歴情報に基づくモード管理データを送信すべきタイミングであるか否かを判定する。すなわち、ゲートウェイユニットX,Zは自身に送信権が回ってきたタイミングで、モード管理データの送信(データ中継)を行うので、自身が接続されたネットワークのいずれかにおいて、送信権を獲得したか否かの判定を行う。このステップS70において「No」と判定されると、一旦、本処理を終了し、「Yes」と判定されると、ステップS80に進む。
【0052】
ステップS80では、自身の動作モードをモード管理履歴情報に反映させる。具体的には、モード管理履歴情報が低電力消費動作モードに設定されていても、自身が通常動作モードで動作する必要がある場合には、モード管理履歴情報に通常動作モードをセットする。
【0053】
そして、ステップS90では、モード管理データの送信タイミングと判定されたネットワークに対して、そのネットワーク以外のネットワークに対応するモード管理履歴情報に基づいてモード管理データが作成され、送信される。ゲートウェイユニットは、上述したように、各ネットワークごとに、それぞれのネットワーク内に接続された制御ユニット等の動作モードを表すモード管理履歴情報を有する。そのモード管理履歴情報に基づいてモード管理データが作成されるが、その作成されたモード管理データは、そのデータ作成の基になったモード管理履歴情報に対応付けられるネットワーク以外のネットワークに送信されるのである。
【0054】
このステップS90のモード管理データ送信処理について、図5に基づいて説明する。図5は、ゲートウェイ(GW)ユニットXが、第2ネットワークに接続された制御ユニットから通常動作モードを示すモード管理データを受信し、それを第1ネットワークに向けて中継し、さらに、第1ネットワークに接続された制御ユニットから低電力消費動作モードを示すモード管理データを受信した状況を示している。
【0055】
従来のGWユニットは、接続されたいずれかのネットワークから通常動作モードを示すモード管理データを受信すると、そのモード管理データを受信したネットワークを含め、接続されている全てのネットワークに対して、各制御ユニットを通常動作モードとするためのモード管理データを送信する。図5に示す状況において、GWユニットXが、従来のGWユニットと同様に、接続された全てのネットワークに対して、各制御ユニットを通常動作モードとするためのモード管理データを送信したと仮定する。
【0056】
すると、第2ネットワークに接続された集中管理GWユニットYは、GWユニットXから送信されたモード管理データに基づいて、やはり接続された全てのネットワークに対して通常動作モードとするためのモード管理データを送信する。この結果、GWユニットXと集中管理GWユニットY間で、各制御ユニットを通常動作モードとするためのモード管理データを交換し合う状況が発生し、各制御ユニットは、低消費電力動作モードへの移行ができなくなってしまう。
【0057】
そのため、本実施形態においては、GWユニットX,Zは、モード管理データを、その作成の基となったモード管理履歴情報に対応付けられるネットワーク以外のネットワークのみに送信するように構成される。これにより、GWユニットXと集中管理GWユニットYとの間で、通常動作モードとするためのモード管理データを交換し合う状況が発生することを回避できる。
【0058】
なお、ステップS100では、次回のモード管理データの送信処理の準備のため、モード管理履歴情報をクリア(低電力消費動作モード)し、処理を終了する。
【0059】
ただし、全てのGWユニットX〜Zを、上述したように、モード管理データを、その作成の基となったモード管理履歴情報に対応付けられるネットワーク以外のネットワークのみに送信するように構成すると、低電力消費動作モードへの移行タイミングは、通常動作モードから低電力消費動作モードへの移行を最後に許可する任意の制御ユニットによる許可タイミングに依存することになる。すなわち、システム全体として、低電力消費動作モードへの移行タイミングを管理することができなくなってしまう。
【0060】
このため、本実施形態では、集中管理GWユニットYを設け、この集中管理GWユニットYが、システム全体の低電力消費動作モードへの移行タイミングを管理できるようにしている。以下に、集中管理GWユニットYによるモード管理処理について詳しく説明する。
【0061】
図6は、集中管理GWユニットYが実行するモード管理処理を示すフローチャートである。集中管理GWユニットYも、基本的には、GWユニットX,Zと同様に、ネットワークに接続された制御ユニットやGWユニットX,Zからのモード管理データを受信し、そのモード管理データによって、各ユニットが通常動作モードであるのか、低電力消費動作モードへ移行可能であるのかを判定する(ステップS110〜S130)。そして、通常動作モードを示すモード管理データを受信した場合には、ステップS140にて、モード管理履歴情報に通常動作モードをセットし、低電力消費動作モードへの移行が可能であることを示すモード管理データを受信した場合には、ステップS150にて、モード管理履歴情報に通常動作モードがすでにセットされているか否かを判定する。
【0062】
ただし、集中管理GWユニットYでは、上述したGWユニットX,Zとは異なり、いずれかのネットワークのユニットから受信したモード管理データに基づいて、送信すべきモード管理データを生成するとともに、この生成したモード管理データを、接続された全てのネットワークに対して送信する。このため、モード管理履歴情報は、各々のネットワークに対応して設定されるのではなく、全てのネットワークに接続されたユニットの動作モードの履歴を単一のモード管理履歴情報にて一括して管理する。
【0063】
また、集中管理GWユニットYでは、ネットワークに接続された全てのユニットが低電力消費動作モードへの移行が可能となっても、その時点で、低電力消費動作モードへの移行を指示するモード管理データを送信するのではなく、低電力消費動作モードへの移行が可能となった時点から所定時間が経過するまでは、各ユニットに対して、通常動作モードにて動作するように指示するモード管理データを送信する。
【0064】
例えば、ある制御ユニットが、対応する制御対象機器の制御を終了し、低電力消費動作モードへの移行が可能と判定した場合であっても、その直後に、制御の再開が必要となる場合がある。このような場合に、通信システム全体が低電力消費動作モードへ移行済みであると、各制御ユニットを通常動作モードへ復帰させるための処置が必要となるので、上述した制御の再開を迅速に行い得ないことが考えられる。そのため、上述したように、集中管理GWユニットYは、全てのユニットが低電力消費動作モードへ移行可能となった時点から、ステップS180の処理により、所定時間が経過したか否かを判定する。そして、所定時間が経過するまでは、各ユニットに通常動作モードで動作するように指示すべく、ステップS140にてモード管理履歴情報に通常動作モードをセットする。一方、所定時間が経過したときには、ステップS190に進んで、モード管理履歴情報に低電力消費動作モードをセットする。
【0065】
なお、全てのユニットが低電力消費動作モードへの移行が可能となった時点は、ステップS160にて、モード管理履歴情報に低電力消費動作モードがセットされていると判定されたときに実行されるステップS170において、低電力消費動作モードへの移行タイミングとして記憶される。そして、この移行タイミングが記憶されると、ステップS150での判定が「Yes」となるので、その移行タイミングからの経過時間がステップS180にて判定されることになる。
【0066】
そして、ステップS200にて、集中管理GWユニットYが、モード管理データを送信すべきタイミングであるか否かを判定する。送信すべきタイミングであると判定されると、ステップS210に、自身の動作モードをモード管理履歴情報に反映させた後、ステップS220で、接続された全てのネットワークに対して、モード管理履歴情報に基づいて作成されるモード管理データを送信する。そして、ステップS230では、次回のモード管理データの送信処理の準備のため、モード管理履歴情報をクリア(低電力消費動作モード)し、処理を終了する。
【0067】
これにより、集中管理GWユニットYは、全てのユニットが低電力消費動作モードへの移行が可能となった時点から、所定時間経過したときに、通信システム全体を一括して、通常動作モードから低電力消費動作モードへ移行させることができる。従って、即座に制御を再開する必要が生じる場合に通信システム全体を無駄に低電力消費動作モードに移行させることが防止できるので、制御を再開する必要が生じたとき、迅速に対応することが可能となる。
【0068】
(その他の実施形態)
上述した第1実施形態による車両用通信システムにおいては、集中管理GWユニットYが、全てのユニットが低電力消費動作モードへの移行が可能となった時点から、所定時間経過したときに、通信システム全体を一括して、通常動作モードから低電力消費動作モードへ移行させるものであった。
【0069】
しかしながら、全てのユニットが低電力消費動作モードへの移行が可能となった時点からの経過時間の他に、例えば、乗員の乗車状況などの車両状況を、低電力消費動作モードへ移行させるための条件としても良い。
【0070】
例えば、イグニッションスイッチがオフされて、車両のエンジンが停止した場合であっても、車両に乗員が乗車している状態では、車両に搭載された各種の制御対象機器を作動させる必要が生じる可能性がある。逆に、全ての乗員が車両から降りて、車両が駐車されている状態では、頻繁に各種の制御対象機器を作動させる必要が生じることはない。従って、車両状態として、乗員が車両に乗車していることを検出したときには、低電力消費動作モードへの移行を禁止し、全ての乗員が車両から降りたときに、全ての制御ユニットを低電力消費動作モードに移行させることにより、適切なタイミングで、低電力消費動作モードに移行させることができる。
【0071】
なお、低電力消費モードへの移行を判定する条件に用いる車両状況として、直接的に乗員が車両に乗車していることを着座センサなどによって検出する以外に、例えば各ドアのロック状態やドアの開閉の有無などを検出しても良い。
【0072】
図7は、上述した変形実施形態における、集中管理GWユニットYのモード管理処理を示すフローチャートである。図7に示すように、ステップS185において、車両状況に基づいて、低電力消費モードへの移行許可条件が成立したか否かが判断される。その他の処理は、図6のフローチャートと同様である。
【0073】
このようにしても、集中管理ユニットYは、適切なタイミングで、通信システム全体を一括して、通常動作モードから低電力消費動作モードへ移行させることができる。
【0074】
また、一旦、通信システム全体が低電力消費動作モードへ移行した後に、一部の制御ユニットのウェイクアップ条件が成立した場合、集中管理GWユニットYは、システム全体を通常動作モードへ移行させるのではなく、その一部の制御ユニットが属する特定のネットワークのみ通常動作モードにて動作させるようにしても良い。
【0075】
車両のエンジンが停止中である場合には、車載バッテリへの充電が行われないので、極力、車載バッテリの電力の消費を抑制することが好ましい。このため、車両のエンジンが停止中であるときに、通常動作モードにて動作する一部の制御ユニットに関して、その制御ユニットと必ずデータ通信を行う必要がある制御ユニットを集めて特定のネットワークを構成し、その一部の制御ユニットから通常動作モードデータを受信した場合には、その特定のネットワークに対してのみ通常動作モードデータを送信するようにしても良い。これにより、他のネットワークに接続された制御ユニットの動作モードは低電力消費動作モードに維持されるので、電力消費の抑制を図ることが可能になる。
【0076】
集中管理GWユニットYが、このようなモード管理制御を行うためのフローチャートを図8に示す。図8のステップS310〜S330では、図4に示すステップS10〜S30と同様に、モード管理データを受信したか否か、及び、そのモード管理データは、通常動作モードと低電力消費動作モードのいずれを示すかを判定する。
【0077】
モード管理データが通常動作モードであることを示すときに実行されるステップS340では、データ送信元の制御ユニットは、特定のネットワークに属するか否かを判定する。この判定処理において、特定のネットワークに属するとの判定がなされると、ステップS350において、その特定のネットワークに対してのみ、通常動作モードにて動作することを指示するモード管理データをセットする。一方、データ送信元の制御ユニットが、特定のネットワークに属さないと判定されると、ステップS360にて、全てのネットワークに対して、通常動作モードにて動作することを指示するモード管理データをセットする。
【0078】
そして、ステップS370にて、モード管理データの送信タイミングであると判定されると、ステップS380にて、そのモード管理データの送信を行う。
【0079】
このような処理により、特定のネットワークに属する制御ユニットのみを通常動作モードにて動作させ、他のネットワークに属する制御ユニットの動作モードは低電力消費動作モードに維持することができるので、必要な通信処理等を行いつつ、消費電力を抑制することができる。
【0080】
また、上述した第1実施形態では、GWユニットX,Zが、モード管理データを、その作成の基となったモード管理履歴情報に対応付けられるネットワーク以外のネットワークのみに送信するように構成した。しかしながら、GWユニットX,Zは、以下に説明するようなモード管理処理を行っても良い、すなわち、モード管理データを受信した際に、そのモード管理データを送信したのが、制御ユニットであるか、それとも他のGWユニットであるかを判定する。そして、データ送信元が制御ユニットである場合には、受信したモード管理データに基づいて生成したモード管理データを、データ送信元の制御ユニットが接続されたネットワークを含む、全てのネットワークに対して送信する。一方、データ送信元が他のGWユニットである場合には、データ送信元のGWユニットが接続されたネットワークに送信するモード管理データに、送信元ゲートウェイユニットのモード管理データを反映させないようにする。
【0081】
このようにしても、2つのGWユニット間で、通常動作モードを示すモード管理データを交換し合う状況の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第1の実施形態における車両用通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、制御ユニット間において分散制御や協調制御を行なうため、制御ユニット間でデータを送受信する際に用いられる通信データ構造の一例を示す説明図であり、(b)は、制御ユニットの動作モードを管理するためのモード管理データ構造の一例を示す説明図である。
【図3】制御ユニットAが通常動作モードから低電力消費動作モードに移行可能となったときにおける、第1ネットワーク内の各制御ユニットで送受信されるオペレーションコードの変化を示す説明図である。
【図4】第1実施形態のGWユニットX,Zにおけるモード管理処理を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態のGWユニットX,Zのモード管理処理を説明するための説明図である。
【図6】第1実施形態の集中管理ユニットYのモード管理処理を示すフローチャートである。
【図7】変形実施形態の集中管理ユニットYのモード管理処理を示すフローチャートである。
【図8】その他の変形実施形態の集中管理ユニットYのモード管理処理を示すフローチャートである。




 

 


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