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発明の名称 車両制御装置および車両制振方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8422(P2007−8422A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−195128(P2005−195128)
出願日 平成17年7月4日(2005.7.4)
代理人 【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
発明者 及川 善貴 / 高松 秀樹 / 稲垣 匠二 / 河原 研司 / 中井 康裕
要約 課題
ドライバーの要求等に応じて車両諸元が変化しても、車両を良好に制振することを目的とする。

解決手段
車両1は、目標駆動力Ptに基づいて内燃機関や変速機を制御する駆動制御ECU10を有し、駆動制御ECU10は、ドライバーの要求等に基づいて目標駆動力を設定する第1調停器114と、それぞれ異なる減衰特性を有し、第1調停器114からの目標駆動力Ptを車両1のバネ上振動が抑制されるように補正する複数のフィルタF1〜FnおよびFeと、スイッチング部116aとフィルタ設定部117とを含む切換器116とを備え、フィルタ設定部117は、ピッチング共振周波数が変化したか否かを判定し、ピッチング共振周波数が変化したと判断すると、それまで目標駆動力Ptの補正に用いられていたフィルタを変化後のピッチング共振周波数に対応したフィルタに切り換える。
特許請求の範囲
【請求項1】
車両の走行に関連する所定の目標制御量を設定し、この目標制御量に基づいて少なくとも前記車両を制御する車両制御装置において、
少なくともドライバーの要求に基づいて前記目標制御量を設定する目標制御量設定手段と、
少なくともドライバーの要求に応じて変化する車両諸元が変化したか否かを判定する諸元判定手段と、
それぞれ異なる減衰特性を有しており、前記目標制御量設定手段により設定された前記目標制御量を前記車両のバネ上振動が抑制されるように補正する複数の補正手段と、
前記諸元判定手段によって前記車両諸元が変化したと判断された場合に、それまで前記目標制御量の補正に用いられていた補正手段を変化後の車両諸元に対応した補正手段に切り換える切換手段とを備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記諸元判定手段によって前記車両諸元が変化したと判断されてから前記切換手段によって前記補正手段が切り換えられるまでの待機時間を設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記待機時間は、それまで前記目標制御量の補正に用いられていた補正手段の出力値と、変化後の車両諸元に対応した補正手段の出力値との偏差に応じて定められることを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記切換手段は、前記諸元判定手段によって前記車両諸元が変化したと判断された場合、それまで前記目標制御量の補正に用いられていた補正手段の出力値と、変化後の車両諸元に対応した補正手段の出力値との偏差が所定値以下で安定した際に前記補正手段を切り換えることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の車両制御装置。
【請求項5】
少なくとも車両の走行状態から判断され得る緊急度の度合いを判定する緊急度判定手段を更に備え、前記補正手段には、前記緊急度判定手段により緊急度が高いと判断された場合に前記目標制御量の補正に用いられる緊急時用補正手段が含まれていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記切換手段は、前記緊急度判定手段により緊急度が高いと判断された場合に、それまで前記目標制御量の補正に用いられていた補正手段を前記緊急時用補正手段に速やかに切り換えることを特徴とする請求項5に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記目標制御量は前記車両の目標駆動力であると共に、前記複数の補正手段はそれぞれ2次のノッチフィルタであり、これら複数の補正手段間では、それぞれの減衰特性を定めるためのパラメータが異なっていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の車両制御装置。
【請求項8】
車両の走行に関連する所定の目標制御量を設定すると共に、それぞれ異なる減衰特性をもった複数の補正手段の何れかにより前記目標制御量を前記車両のバネ上振動が抑制されるように補正して前記車両を制振する車両制振方法であって、
(a)少なくともドライバーの要求に基づいて前記目標制御量を設定するステップと、
(b)少なくともドライバーの要求に応じて変化する車両諸元が変化したか否かを判定するステップと、
(c)ステップ(b)で前記車両諸元が変化したと判断された場合に、それまで前記目標制御量の補正に用いられていた補正手段を変化後の車両諸元に対応した補正手段に切り換えるステップとを含む車両制振方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行に関連する所定の目標制御量を設定し、この目標制御量に基づいて少なくとも車両を制御する車両制御装置および車両のバネ上振動を低減させるための車両制振方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両を制振するための装置として、ドライバーによるアクセル操作、ステアリング操作およびブレーキ操作の少なくとも一つに対応する物理量を入力指令として、当該入力指令に対応するエンジンおよびブレーキの少なくとも何れかを制御する車両制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この車両制御装置は、車両を制振するために、ドライバーによる入力指令に起因して発生する振動、すなわち、タイヤが受ける路面反力による上下あるいは/および捻りの振動、サスペンションにおける車体バネ下の振動、および車体自体が受ける車体バネ上の振動の少なくとも1つに関する運動モデルを用いてドライバーによる入力指令を補正する。
【特許文献1】特開2004−168148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の車両制御装置では、ドライバーによる入力指令を補正するために単一の運動モデルが用いられている。このため、ドライバー等の嗜好に応じて走行特性を変化させることができる車両では、例えばドライバーによって車両の減衰特性が変化させられると、車両のピッチング共振周波数等の車両諸元が変化するので、上記従来の車両制御装置を用いても車両を良好に制振し得なくなることがある。また、車両諸元は、ドライバーの要求によって車両の特性が変更される場合以外でも、車両の走行状態や走行環境の変化といったような様々な要因によって変化する。
【0004】
そこで、本発明は、ドライバーの要求等に応じて車両諸元が変化しても、車両を良好に制振することができる車両制御装置および車両制振方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による車両制御装置は、車両の走行に関連する所定の目標制御量を設定し、この目標制御量に基づいて少なくとも車両を制御する車両制御装置において、少なくともドライバーの要求に基づいて目標制御量を設定する目標制御量設定手段と、少なくともドライバーの要求に応じて変化する車両諸元が変化したか否かを判定する諸元判定手段と、それぞれ異なる減衰特性を有しており、目標制御量設定手段により設定された目標制御量を車両のバネ上振動が抑制されるように補正する複数の補正手段と、諸元判定手段によって車両諸元が変化したと判断された場合に、それまで目標制御量の補正に用いられていた補正手段を変化後の車両諸元に対応した補正手段に切り換える切換手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
この車両制御装置は、目標制御量設定手段と、諸元判定手段と、複数の補正手段と、切換手段とを備えるものである。目標制御量設定手段は、例えばアクセルペダルやブレーキペダル、操舵ハンドルといった操作手段を介したドライバーの要求に基づいて目標制御量を設定する。また、諸元判定手段は、例えばドライバーにより設定される車両の走行モード等に応じて変化する車両のピッチング共振周波数といったような少なくともドライバーの要求に応じて変化する車両諸元が変化したか否かを判定する。更に、複数の補正手段は、それぞれ異なる減衰特性を有しており、目標制御量設定手段により設定された目標制御量を車両のバネ上振動が抑制されるように補正する。そして、この車両制御装置では、諸元判定手段によって車両諸元が変化したと判断された場合、切換手段によって、それまで目標制御量の補正に用いられていた補正手段が変化後の車両諸元に対応した補正手段に切り換えられる。このように、それぞれ異なる減衰特性を有する補正手段を複数用意しておき、変化する車両諸元に応じて補正手段を切り換えていくことにより、ドライバーの要求等に応じて車両諸元が変化しても、車両を良好に制振することが可能となる。
【0007】
また、諸元判定手段によって車両諸元が変化したと判断されてから切換手段によって補正手段が切り換えられるまでの待機時間を設定可能であると好ましい。
【0008】
一般に、ある時点まで目標制御量の補正に用いられていた補正手段の出力値と、切換手段による切り換え後に用いられる補正手段の出力値とは、減衰特性の相違等により不連続となることが多い。従って、この車両制御装置のように、諸元判定手段によって車両諸元が変化したと判断されてから切換手段によって補正手段が切り換えられるまでの待機時間を設定できるようにしておけば、待機時間の設定により切換前の補正手段と切換後の補正手段との出力値の連続性を概ね確保することができるので、補正手段の切換により車両の振動を助長させてしまったり、乗員に不快感を与えてしまったりすることを抑制することが可能となる。
【0009】
更に、上記待機時間は、それまで目標制御量の補正に用いられていた補正手段の出力値と、変化後の車両諸元に対応した補正手段の出力値との偏差に応じて定められると好ましい。
【0010】
この態様によれば、切換前の補正手段と切換後の補正手段との出力値の連続性を良好に確保することが可能となり、補正手段の切換により車両の振動を助長させてしまったり、乗員に不快感を与えてしまったりすることを良好に抑制することが可能となる。
【0011】
この場合、切換手段は、諸元判定手段によって車両諸元が変化したと判断された場合、それまで目標制御量の補正に用いられていた補正手段の出力値と、変化後の車両諸元に対応した補正手段の出力値との偏差が所定値以下で安定した際に補正手段を切り換えると好ましい。
【0012】
また、本発明による車両制御装置は、少なくとも車両の走行状態から判断され得る緊急度の度合いを判定する緊急度判定手段を更に備えるとよく、補正手段には、緊急度判定手段により緊急度が高いと判断された場合に目標制御量の補正に用いられる緊急時用補正手段が含まれていると好ましい。
【0013】
この態様のように、例えば緊急停止時や車両の挙動が不安定になった場合といったような少なくとも車両の走行状態から判断され得る緊急度が高い場合に専ら用いられる緊急時用補正手段を用意しておくことにより、緊急度が高い場合に目標制御量の適切な制振補正を実行することが可能となる。この場合、緊急時用補正手段は、緊急度が高い場合を想定して実験、解析により定められた減衰特性を有するものであってもよく、また、減衰比=1の実質的な補正を実行しないものであってもよい。
【0014】
更に、切換手段は、緊急度判定手段により緊急度が高いと判断された場合に、それまで目標制御量の補正に用いられていた補正手段を緊急時用補正手段に速やかに切り換えると好ましい。
【0015】
このように、緊急度が高い場合には、補正手段の切換を速やかに実行することにより、車両走行時の安全性を良好に確保することが可能となる。
【0016】
そして、目標制御量は車両の目標駆動力であると共に、複数の補正手段はそれぞれ2次のノッチフィルタであり、これら複数の補正手段間では、それぞれの減衰特性を定めるためのパラメータが異なっていると好ましい。
【0017】
一般に、車両の目標駆動力を入力とし、車両のサスペンションストローク(例えばリヤサスペンションのストローク)を出力とする伝達関数は、2次/4次伝達関数として表わすことができる。かかる2次/4次伝達関数には、2つの2次伝達関数が含まれるが、それらの一方は振動を誘発するものとはならないのに対して、他方は振動を誘発するものとなる。従って、当該2次/4次伝達関数に含まれる振動を誘発する2次伝達関数の極をキャンセルする2次のノッチフィルタを用いて目標制御量としての目標駆動力を補正することにより、車両を制振することが可能となる。そして、それぞれの減衰特性を定めるためのパラメータが異なっている補正手段を複数用意し、変化する車両諸元に応じて補正手段を切り換えていくことにより、ドライバーの要求等に応じて車両諸元が変化しても、車両を良好に制振することが可能となる。
【0018】
本発明による車両制振方法は、車両の走行に関連する所定の目標制御量を設定すると共に、それぞれ異なる減衰特性をもった複数の補正手段の何れかにより目標制御量を車両のバネ上振動が抑制されるように補正して車両を制振する車両制振方法であって、
(a)少なくともドライバーの要求に基づいて目標制御量を設定するステップと、
(b)少なくともドライバーの要求に応じて変化する車両諸元が変化したか否かを判定するステップと、
(c)ステップ(b)で車両諸元が変化したと判断された場合に、それまで目標制御量の補正に用いられていた補正手段を変化後の車両諸元に対応した補正手段に切り換えるステップとを含むものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ドライバーの要求等に応じて車両諸元が変化しても、車両を良好に制振することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明による車両制御装置が適用された車両を示すブロック構成図である。同図に示される車両1は、走行駆動源として、ガソリンエンジンあるいはディーゼルエンジン等の図示されない内燃機関を含むものである。この内燃機関は、燃料噴射装置2、点火装置3、電子制御式スロットルバルブ4(以下、単に「スロットルバルブ4」という)等の機器を含む。また、車両1には、内燃機関が発生した動力を駆動輪に伝達する自動変速機または無段変速機といった変速機5が備えられている。更に、車両1には、ブレーキペダルの操作量に応じて電子制御されるブレーキアクチュエータ6等を含む電子制御式ブレーキシステムや、操舵ハンドルの操作量に応じて電子制御される可変ギヤ機構や電動アシストユニットといった操舵用アクチュエータ7等を含む操舵装置、更には、電子制御されて減衰力を変化させる複数のショックアブソーバ8等を含む電子制御式サスペンションが備えられている。
【0022】
車両1の内燃機関および変速機5は、駆動制御用電子制御ユニット(以下、「駆動制御ECU」といい、電子制御ユニットはすべて「ECU」と称される。)10により制御される。本実施形態の駆動制御ECU10は、例えばマルチプロセッサユニットとして構成されており、各種演算処理を実行する複数のCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース、記憶装置等(何れも図示省略)を備えるものである。そして、駆動制御ECU10には、アクセルセンサ11、ブレーキセンサ12、および舵角センサ14が接続されている。
【0023】
アクセルセンサ11は、ドライバーによるアクセルペダルの操作量を検知し、検知した値を示す信号を駆動制御ECU10に与える。また、ブレーキセンサ12は、ドライバーによるブレーキペダルの操作量を検知し、検知した値を示す信号を駆動制御ECU10に与える。更に、舵角センサ14は、ドライバーによる操作ハンドルの操舵量たる操舵角を検知し、検知した値を示す信号を駆動制御ECU10に与える。駆動制御ECU10は、各センサ11〜14からの信号に示されるドライバーの要求や図示されない他のセンサの検出値に応じて、ドライバーの要求が満たされるように上述の燃料噴射装置2、点火装置3、スロットルバルブ4および変速機5を制御する。
【0024】
加えて、駆動制御ECU10には、走行特定(走行モード)決定手段としてのモードスイッチ15が接続されている。モードスイッチ15は、上述の電子制御式サスペンションシステムに含まれる複数のショックアブソーバ8の減衰力を切り換える際に用いられ、モードスイッチ15を操作することにより、車両1の走行特性すなわち走行モードを変化させることができる。本実施形態において、モードスイッチ15がドライバーによりOFFされた状態では、各ショックアブソーバ8の減衰力が標準に設定され、これにより、車両1の走行特性がノーマルモードに設定される。また、モードスイッチ15がONされると共に「モード1」に設定されると、各ショックアブソーバ8の減衰力が標準よりも硬めに設定され、これにより、車両1の走行特性がパワーモードに設定される。パワーモードのもとでは、車両1の制振よりも加速性能が優先される。更に、モードスイッチ15がONされると共に「モード2」に設定されると、各ショックアブソーバ8の減衰力が標準よりも柔らかめに設定され、これにより、車両1の走行特性がコンフォートモードに設定される。コンフォートモードのもとでは、車両1の加速性能よりも制振が優先される。
【0025】
そして、駆動制御ECU10は、車内LANを介してあるいは無線通信により、ECBECU20、操舵ECU30、サスペンションECU40およびDSSECU50と接続されている。ECBECU20は、上述の電子制御式ブレーキシステムを制御するものであり、ブレーキセンサ12を始めとする各種センサの検出値に基づいてブレーキアクチュエータ6等を制御する。また、本実施形態のECBECU20は、駆動制御ECU10、操舵ECU30およびサスペンションECU40と協調しながら、車両1の挙動が安定するように車両1の駆動、操舵および制動の統合制御(VDIM:Vehicle Dynamics Integrated Management)を実行可能に構成されている。
【0026】
操舵ECU30は、車両1の操舵装置を制御するものであり、舵角センサ14を始めとする各種センサの検出値に基づいて操舵用アクチュエータ7等を制御する。サスペンションECU40は、上述の電子制御式サスペンションを制御するものであり、ドライバーによるモードスイッチ15の操作に応じて各ショックアブソーバ8の減衰力を切換制御する。また、DSSECU50は、ドライバーに対する運転支援・代行を統括的に制御するものであり、クルーズコントローラ、ブレーキアシストユニット、および衝突予防システム(プリクラッシュセイフティ・システム)として機能するものである。なお、上述の駆動制御ECU10、ECBECU20、操舵ECU30、サスペンションECU40およびDSSECU50には、例えばスロットル開度センサ、車速センサ、前後加速度センサ、ヨーレートセンサ、レーダユニット、例えば車間距離を検出するためのモニタシステム、更には、ナビゲーションシステム、道路交通情報通信システム(VICS)、車間距離を取得する撮像ユニットまたは車間センサ等の車両1の走行環境を取得するための手段(環境情報取得手段)といった各種センサ等から制御に必要な情報が与えられることはいうまでもない。
【0027】
図2は、上述の駆動制御ECU10による駆動装置としての内燃機関および変速機の制御手順を説明するための制御ブロック図である。同図に関連する制御は、基本的に駆動制御ECU10(それに含まれる何れかのプロセッサ)により実行される。すなわち、駆動制御ECU10には、図2に示されるように、目標加速度取得部111、目標駆動力取得部112、第1調停器114、フィルタ群115、切換器116、第2調停器118および制御量設定部119が構築されている。
【0028】
目標加速度取得部111は、ドライバーによるアクセル操作量と車両1の目標加速度との関係を規定するマップ等を用いてアクセルセンサ11からの信号に示されるアクセル操作量に応じた車両1の目標加速度を取得し、取得した値を示す信号を目標駆動力取得部112に与える。目標駆動力取得部112は、車両1の目標加速度と内燃機関の目標駆動力との関係を規定するマップ等を用いて目標加速度取得部111により取得された目標加速度すなわちアクセル操作量に応じた内燃機関の目標駆動力を取得する。そして、目標駆動力取得部112は、取得した値を示す信号を第1調停器114に与える。
【0029】
第1調停器114は、目標駆動力取得部112からの信号と、車両1に含まれる他の制御装置であるDSSECU50からの要求との少なくとも何れか一方に基づいて内燃機関の目標駆動力Ptを設定する。すなわち、本実施形態のDSSECU50は、ドライバーによる車両1の運転を支援・代行するいわゆるクルーズコントローラとしても機能することから、ドライバーによりクルーズコントロールの実行要求がなされた場合、第1調停器114に対してDSSECU50からクルーズコントロールに必要な駆動力の要求がなされる。このような場合、第1調停器114は、基本的に、目標駆動力取得部112からの目標駆動力にクルーズコントローラとしてのDSSECU50からの要求駆動力を加算することにより、内燃機関の目標駆動力Ptを設定する。また、本実施形態のDSSECU50は、上述のようにブレーキアシストユニットや衝突予防システムとしても機能することから、DSSECU50からブレーキアシスト要求や衝突予防要求がなされた場合、第1調停器114は、基本的に、DSSECU50の要求を優先してDSSECU50からの要求駆動力を内燃機関の目標駆動力Ptとして設定(選択)する。
【0030】
フィルタ群115は、それぞれ第1調停器114により設定された最終的な目標駆動力Ptを車両1のバネ上振動が抑制されるように補正可能な複数のフィルタF1,F2,F3…Fn(ただし、nは1以上の正の整数であり、例えば車両1の走行モード数以上の整数である。)と、1体の緊急時用フィルタFeとを含む。本実施形態では、フィルタ群115を構成するフィルタF1〜Fnとして、互いに異なる減衰特性を有する2次のノッチフィルタが用いられる。第1調停器114からの信号は、フィルタ群115の各フィルタF1〜Fnに与えられ、各フィルタF1〜Fnは、それぞれ目標駆動力Ptに対する制振補正処理を実行する。
【0031】
同様に、フィルタ群115に含まれる緊急時用フィルタFeも、2次のノッチフィルタとして構成されており、第1調停器114からの目標駆動力Ptに対する制振補正処理を実行する。緊急時用フィルタFeは、例えば緊急停止時や車両の挙動が不安定になった場合といったような少なくとも車両の走行状態から判断され得る緊急度が高い場合に専ら用いられるものであり、その減衰特性は、例えば緊急度が高い場合を想定して実験、解析により定められる。なお、緊急時用フィルタFeは、2次のノッチフィルタではなくてもよく、減衰比=1の実質的な補正を実行しないものであってもよい。
【0032】
切換器116は、フィルタ群115の各フィルタF1〜FnおよびFeに接続されており、図2に示されるように、スイッチング部116aと、スイッチング部116aを制御して目標駆動力Ptの補正に用いられるフィルタを切り換えるフィルタ設定部117とを含む。フィルタ設定部117には、図2からわかるように、車両1の走行モード(走行特性)を設定するためのモードスイッチ15や、車両の走行状態を検出する舵角センサ14等のセンサ類、更には、車両1の走行環境を取得するナビゲーションシステム等の環境情報取得手段等が接続されている。そして、フィルタ設定部117は、モードスイッチ15等から得られる車両1の走行モードや走行状態、走行環境に基づいて、フィルタ群115を構成するフィルタF1〜Fnの中から最適なフィルタを選択し、選択されたフィルタからの出力すなわち補正後の目標駆動力Ptcがスイッチング部116aを介して第2調停器118に与えられるように、スイッチング部116aに指令信号を与える。
【0033】
また、フィルタ設定部117は、レーダユニットやモニタシステムからの信号やECBECU20やDSSECU50からの信号に示される少なくとも車両の走行状態を含む情報に基づいて車両1の安全性に関連する緊急度の高低を判定する。フィルタ設定部117は、緊急度が高いと判断した場合、目標制御量の補正に用いられる補正手段として緊急時用フィルタFeを選択し、緊急時用フィルタFeの出力すなわち補正後の目標駆動力Ptcがスイッチング部116aを介して第2調停器118に与えられるように、スイッチング部116aに指令信号を与える。
【0034】
第2調停器118は、切換器116からの補正後の目標駆動力Ptcと、車両1に含まれる他の制御装置であるECBECU20からの要求との少なくとも何れか一方に基づいて目標駆動力Ptc’を設定する。すなわち、本実施形態のECBECU20は、車両1の挙動を安定化させるための制御をも実行することから、車両1の挙動が不安定になった場合、第2調停器118に対してECBECU20から車両1の挙動を安定化させるのに必要な駆動力の要求がなされる。このような場合、第2調停器118は、車両1の挙動に応じて、切換器116からの目標駆動力PtとECBECU20からの要求駆動力とのうちの大きい方あるいは小さい方をその出力値として設定(いわゆるミニマムセレクトあるいはマックスセレクト)する。なお、DSSECU50から衝突予防要求がなされると共に、ECBECU20から挙動安定化要求がなされた場合には、第2調停器118において、DSSECU50からの衝突予防要求が優先されると好ましい。
【0035】
制御量設定部119は、第2調停器118の出力値に基づいて内燃機関の燃料噴射装置2、点火装置3、スロットルバルブ4および変速機5の制御量を定める。そして、駆動制御ECU10は、制御量設定部119により定められた制御量に基づいて燃料噴射装置2、点火装置3、スロットルバルブ4および変速機5に対する制御信号を生成し、各機器に与える。これにより、車両1の内燃機関および変速機5は、ドライバーやECBECU20およびDSSECU50の要求に応じるように制御されることになる。
【0036】
ここで、本実施形態の駆動制御ECU10に対して上述のような2次のノッチフィルタからなるフィルタF1〜FnおよびFeを含むフィルタ群115が設けられているのは次のような理由による。すなわち、例えば車両1が後輪駆動車両である場合、車両の目標駆動力を入力とし、車両のリヤサスペンションストロークを出力とする伝達関数は、一般に、次の(1)式に示される2次/4次伝達関数として表わすことができる。
【0037】
【数1】


【0038】
かかる2次/4次伝達関数には、2つの2次伝達関数G(s)およびG(s)が含まれるが、(1)式を同定すると、左項の2次伝達関数G(s)の減衰比ζの値が振動的なものとなるのに対して右項の2次伝達関数G(s)の減衰比ζの値は非振動的なものとなる。このため、(1)式の右項の2次伝達関数G(s)は振動を誘発するものとならないが、左項の2次伝達関数G(s)は振動を誘発するものとなる。従って、(1)式の2次/4次伝達関数に含まれる振動を誘発する2次伝達関数G(s)の極をキャンセルする2次のノッチフィルタとして構成されたフィルタF1〜FnおよびFeの何れかを用いて目標制御量としての目標駆動力Ptを補正することにより、車両1を制振することが可能となる。
【0039】
(1)式の2次伝達関数G(s)の極をキャンセルする2次のノッチフィルタは、2次/2次伝達関数の形をとり、規範周波数をωmとし、規範減衰比をζmとし、プラントたる車両1の駆動系統のプラント周波数をωpとし、プラント減衰比をζpとすれば、次の(2)式のように表される。このため、駆動制御ECU10には、(2)式の補正式を用いて目標駆動力Ptを補正するように構成されたフィルタF1〜FnおよびFeが設けられる。
【0040】
【数2】


【0041】
この場合、(2)式の規範周波数ωm、規範減衰比ζm、プラント周波数ωp、プラント減衰比ζpといったパラメータは、例えばピッチング共振周波数(他に具体例があれば、ご追記ください)といった車両1の諸元の変化に応じて異なる値となるものであり、当該車両1の諸元は、ドライバーの要求(選択)に応じて定まる車両1の走行特性すなわち走行モードや、車両1の走行環境や走行状態といった要因(外乱)が変化すれば、その変化に応じて異なる値となるものである。このため、本実施形態の車両1では、車両諸元の変化に対応できるように、フィルタ群115を構成する複数のフィルタF1〜Fn間で規範周波数ωm、規範減衰比ζm、プラント周波数ωpおよびプラント減衰比ζpの値が異なっており、各フィルタF1〜Fnの減衰特性が互いに異なるように定められている。
【0042】
そして、上述の切換器116に含まれるフィルタ設定部117は、予め定められているマップ等を用いて、ドライバーにより設定された走行モードや、各種センサやナビゲーションシステム等から得られる車両の走行状態や走行環境に応じた例えばピッチング共振周波数等の車両諸元を取得すると共に、当該車両諸元が変化しているか否かを判定する。車両諸元が変化していると判断すると、フィルタ設定部117は、予め定められた条件に従ってその時点の車両諸元に応じたフィルタをフィルタ群115のフィルタF1〜FnおよびFeの中から選択し、選択したフィルタと制御量設定部119とが接続されるようにスイッチング部116aに指令信号を与える。これにより、車両諸元に応じて選択されたフィルタF1〜FnまたはFeから出力される補正後の目標駆動力Ptcが制御量設定部119に与えられることになる。
【0043】
このように、それぞれの減衰特性を定めるためのパラメータが異なっている複数のフィルタF1〜FnおよびFeを用意し、走行中に変化するピッチング共振周波数等の車両諸元に応じてフィルタF1〜FnおよびFeを切り換えていくことにより、ドライバーの要求や様々な外因等に応じて車両諸元が変化しても、車両1を常時良好に制振することが可能となる。また、本実施形態のように、それぞれ異なる減衰特性を有する複数のフィルタF1〜FnおよびFeを車両諸元に応じて切り換えていけば、例えば1体のフィルタのパラメータを走行モード等に応じて変更していく場合に比較して、車両諸元の変化に対する良好な応答性を確保することが可能となる。
【0044】
ところで、上述のようにして複数のフィルタF1〜Fnを変化する車両諸元に応じて切り換えていく場合、一般に、ある時点まで目標駆動力Ptの補正に用いられていたフィルタの出力値と、切換器116による切り換え後に用いられるフィルタの出力値とは、減衰特性の相違等により不連続となることが多い。そして、それぞれの出力値が不連続な状態にあるフィルタ同士の切換が実行されてしまうと、フィルタF1〜Fnの切換により車両1の振動を助長させてしまったり、乗員に不快感を与えてしまったりするおそれもある。
【0045】
このため、車両1では、振動を抑制して車両1の乗り心地を良好に保つべく、図3に示される手順に従ってフィルタF1〜Fnの切換が実行される。図3に示されるルーチンは、車両1の走行中に駆動制御ECU10によって所定時間おきに繰り返し実行されるものである。本ルーチンの実行タイミングになると、まず、切換器116のフィルタ設定部117により、上述の緊急度の高低が判定される(S10)。本実施形態において緊急度が高いと判断されるのは、次の(1)〜(5)に例示されるような場合である。
(1)ECBECU20から緊急制動要求がなされた場合
(2)ECBECU20から挙動安定化要求がなされた場合
(3)DSSECU50からブレーキアシスト要求や衝突予防要求がなされた場合
(4)レーダユニットやモニタシステム等の監視システムにより衝突等の緊急事態の発生可能性が検出された場合
(5)制御係のフェール監視システムによりフェール信号が発せられた場合(演算異常や制御モジュールの異常発生時を含む)
【0046】
フィルタ設定部117は、上記(1)〜(5)のケースに該当せず、緊急度が低いと判断すると(S10におけるYes)、所定のマップ等を用いると共に、モードスイッチ15等から得られる車両1の走行モードや走行状態、走行環境に基づいて、車両諸元としてその時点のピッチング共振周波数を取得すると共に、ドライバーの要求や外因等によってピッチング共振周波数が前回値(車両始動直後は、予め定められた初期値)から変化しているか否かを判定する(S12)。車両諸元としてのピッチング共振周波数が前回値から変化していると判断した場合(S12におけるYes)、フィルタ設定部117は、予め定められた条件に従ってその時点のピッチング共振周波数に応じたフィルタをフィルタ群115のフィルタF1〜Fnの中から選択・決定する(S14)。次いで、フィルタ設定部117は、上記緊急度が低いか否か再度判定する(S16)。S16にて緊急度が高いと判断された場合(S16におけるNo)、図3に示されるように、再度S10の判定処理が実行されることになる。
【0047】
これに対して、S16にて緊急度が低いと判断した場合(S16におけるYes)、フィルタ設定部117は、それまで目標駆動力Ptの補正に用いられていた(スイッチング部116aを介して第2調停器118と接続されていた)フィルタ(以下「フィルタFb」という)の出力値Ubと、S14にて決定された新たなフィルタ(以下「フィルタFa」という)の出力値Uaとの偏差の絶対値を求めると共に、当該偏差の絶対値が予め定められている閾値K以下であるか否かを判定する(S18)。当該偏差の絶対値が上記閾値K以下であると判断すると(S18におけるYes)、フィルタ設定部117は、図示されない所定のカウンタを「1」だけインクリメントした上で(S20)、当該カウンタのカウント値が予め定められている閾値N以下であるか否かを判定する(S22)。また、上記偏差の絶対値が閾値Kを上回っていると判断した場合(S18におけるNo)、フィルタ設定部117は、上記カウンタをインクリメントすることなく、S22の判定処理を実行する。
【0048】
上記カウンタのカウント値が閾値N以下であると判断された場合(S22におけるYes)、上述のS16移行の処理が繰り返し実行されることになる。そして、S16からS22までの処理が繰り返し実行される間に、上記カウンタのカウント値が閾値Nを上回ったと判断すると(S22におけるNo)、フィルタ設定部117は、上記カウンタをリセットすると共に、S14にて決定された新たなフィルタFaからの出力すなわち補正後の目標駆動力Ptcがスイッチング部116aを介して第2調停器118に与えられるように、スイッチング部116aに指令信号を与える(S24)。これにより、第1調停器114から出力される目標駆動力Ptを制振補正するためのフィルタがそれまでのフィルタFbから新たなフィルタFaへと切り換えられることになる。
【0049】
上述のように、車両1では、ドライバーの要求や外因等によって車両諸元としてのピッチング共振周波数が変化した場合、フィルタ群115を構成するフィルタF1〜Fnの中から変化後のピッチング共振周波数に応じたフィルタFaが決定され、その後、S16からS22までの処理がある程度の回数だけ繰り返された後、それまでのフィルタFbから新たなフィルタFaへと切り換えられる。すなわち、車両1では、例えば図4に示されるように時刻tの時点で車両諸元としてのピッチング共振周波数が変化したと判定されても、上述のS16からS22までの処理が繰り返し実行されることから、実際にフィルタ切換が実行されるのは、時刻tからある程度時間が経過した時刻tとなる。
【0050】
すなわち、本実施形態において切換器116のフィルタ設定部117は、ピッチング共振周波数が変化したと判断すると、それまで目標駆動力Ptの補正に用いられていたフィルタFbの出力値Ubと、変化後のピッチング共振周波数に対応したフィルタFaの出力値Uaとの偏差の絶対値が所定値K以下で安定した際にフィルタ切換実行することにより、スイッチング部116aによってフィルタ切換が実行されるまでの待機時間tを設定する。これにより、時間の経過と共に切換前のフィルタFbの出力値と切換後のフィルタFaの出力値とがドライバーの要求駆動力に概ね収束していくことから、図4に示されるように、切換前のフィルタFbと切換後のフィルタFaとの出力値の連続性を良好に確保することができる。従って、車両1では、フィルタ切換により車両1の振動を助長させてしまったり、乗員に不快感を与えてしまったりすることを抑制することが可能となる。
【0051】
一方、上記(1)〜(5)のケースに該当しており、緊急度が高いと判断した場合(S10におけるNo)、フィルタ設定部117は、図5に示されるように、目標駆動力Ptの補正に用いられるフィルタとして緊急時用フィルタFeを選択すると共に、上述のS16からS22までの処理を実行することなく、直ちに緊急時用フィルタFeと制御量設定部119とが接続されるようにスイッチング部116aに指令信号を与える(S30)。
【0052】
すなわち、本実施形態において切換器116のフィルタ設定部117は、緊急度が高いと判断した場合に、緊急度が低い場合に設定される待機時間tを設定することなく、それまで用いられていたフィルタFbを直ちに緊急時用フィルタFeへと切り換える。なお、ここでいう「直ちに」には、多少のバッファ時間が存在する場合が含まれるものとする。これにより、緊急度が高いと判断された時刻がt´であるとすると、図6に示されるように、概ね時刻t´から緊急時用フィルタFeが目標駆動力Ptの補正に用いられる。この場合、図6に示されるように、切換前のフィルタFbと切換後のフィルタFaとの出力値の連続性は基本的に確保されないことになるが、緊急度が高いと判断された時点で速やかにフィルタ切換を実行することにより、緊急時用フィルタFeを用いて緊急度が高い場合に応じた目標制御量の適切な制振補正を実行し、車両走行時の安全性を良好に確保することが可能となる。
【0053】
図5に示されるように、目標駆動力Ptの補正に用いられるフィルタを緊急時用フィルタFeに切り換えると、フィルタ設定部117は、車両1の走行モードを変更させるべくドライバーによりモードスイッチ15が操作された否かを判定する。(S32)。本実施形態の車両1では、緊急度が高い状態でモードスイッチ15を介したドライバーによる走行モードの変更要求がなされても、その時点では、走行モードが変更されることはないが、S32にてドライバーによりモードスイッチ15が操作されたと判断した場合(S32におけるYes)、フィルタ設定部117は、緊急度が高い状態でドライバーによりモードスイッチ15が操作された旨を示す緊急時モード変更フラグをONすると共に、ドライバーにより意図された走行モードを示す情報を所定の記憶領域に格納する(S34)。なお、S32においてドライバーによりモードスイッチ15が操作されていないと判断された場合(S32におけるNo)、S34の処理はスキップされる。
【0054】
S34の処理を実行した後、あるいはS32にて否定判断を行った場合、フィルタ設定部117は、上記緊急度が高いか否かを判定する(S36)。S36にて緊急度が高いと判断された場合(S36おけるYes)、S32からS36の処理が繰り返し実行される。これにより、緊急度が高いと判断される場合には、目標駆動力Ptの制振補正に緊急時用フィルタFeが継続して使用されることになるので、目標駆動力Ptの適切な制振補正を実行して車両走行時の安全性を良好に確保することが可能となる。一方、S36にて緊急度が低いと判断された場合には(S36におけるNo)、再度S10の判定処理が実行されることになる。
【0055】
上述のようにして、S10以降の処理が繰り返し実行されていくことになるが、緊急度が低いと判断すると共に(S10におけるYes)、車両諸元としてのピッチング共振周波数が変化していないと判断した場合(S12におけるNo)、フィルタ設定部117は、緊急時モード変更フラグがONされているか否かを判定する(S26)。緊急時モード変更フラグがONされていないと判断された場合には(S26におけるNo)、再度S10の判定処理が実行されることになる。
【0056】
これに対して、緊急時モード変更フラグがONされていると判断した場合(S26におけるYes)、フィルタ設定部117は、所定の記憶領域からドライバーが意図した走行モードに関する情報を読み出すと共に、緊急時モード変更フラグをOFFする(S28)。そして、フィルタ設定部117は、S28にて読み出した情報を用いて目標駆動力Ptを補正するための新たなフィルタを決定する(S14)。これにより、仮に緊急度が高い場合にドライバーにより走行モードの変更要求がなされたとしても、ドライバーの意図を反映させつつ、車両1を良好に制振することが可能となる。
【0057】
なお、上記実施形態は、上述の待機時間t、すなわちフィルタ切換のタイミングを定める際に用いられる閾値Kや閾値Nが何れも一つであるものとして説明されたが、これに限られるものではない。すなわち、切換前後におけるフィルタの出力値の偏差と比較される閾値Kと、当該偏差が閾値Kを以下となった回数と比較される閾値Nとはそれぞれ複数定められてもよい。この場合、それぞれ複数の閾値Kおよび閾値Nの中から、ドライバーにより指定された走行モード、車両1の走行状態や走行環境といった要因に応じた閾値Kおよび閾値Nを選択し、選択された閾値Kおよび閾値Nを用いてフィルタ切換のタイミングを定めるとよい。
【0058】
また、上記待機時間tは定数とされてもよく、これにより、フィルタ切換に伴う制御を簡略化することが可能となる。更に、予め複数の待機時間tを定めておき、複数の待機時間tの中から、ドライバーにより指定された走行モード、車両1の走行状態や走行環境といった要因に応じた待機時間tを選択し、選択された待機時間tに従ってフィルタ切換が実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による車両制御装置が適用された車両を示すブロック構成図である。
【図2】本発明による車両制御装置による内燃機関および変速機の制御手順を説明するための制御ブロック図である。
【図3】図1の車両において目標駆動力の補正に用いられるフィルタの切換手順を説明するためのフローチャートである。
【図4】フィルタ切換の前後における補正後の目標駆動力の出力状態を説明するためのタイムチャートである。
【図5】図1の車両において目標駆動力の補正に用いられるフィルタの切換手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】フィルタ切換の前後における補正後の目標駆動力の出力状態を説明するためのタイムチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 車両、2 燃料噴射装置、3 点火装置、4 電子制御式スロットルバルブ、5 変速機、6 ブレーキアクチュエータ、7 操舵用アクチュエータ、8 ショックアブソーバ、10 駆動制御ECU、11 アクセルセンサ、12 ブレーキセンサ、14 舵角センサ、15 モードスイッチ、20 ECBECU、30 操舵ECU、40 サスペンションECU、50 DSSECU、111 目標加速度取得部、112 目標駆動力取得部、114 第1調停器、115 フィルタ群、116 切換器、116a スイッチング部、117 フィルタ設定部、118 第2調停器、119 制御量設定部、F1〜Fn、Fe フィルタ。




 

 


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