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発明の名称 スイングアーム式懸架装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30826(P2007−30826A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−220899(P2005−220899)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 飯塚 ちかし / 前田 忠幸
要約 課題
装置自体のコンパクト化を図って周辺部品のレイアウト自由度を向上できるスイングアーム式懸架装置を提供する。

解決手段
自動二輪車の車体に、後輪9を軸支するスイングアーム25を上下に揺動可能に軸支すると共に、前記スイングアーム25の揺動を減衰させるクッションユニット30を、前記車体とスイングアーム25との間に取り付けてなるスイングアーム式懸架装置32において、クッションユニット30を左右に延在させて設けると共に、該クッションユニット30とスイングアーム25との間に、該スイングアーム25の揺動変位をクッションユニット30のストロークに変換するリンク機構31を設けた。
特許請求の範囲
【請求項1】
自動二輪車の車体に、車輪を軸支するスイングアームを上下に揺動可能に軸支すると共に、前記スイングアームの揺動を減衰させるクッションユニットを、前記車体とスイングアームとの間に取り付けてなるスイングアーム式懸架装置において、
前記クッションユニットを左右に延在させて設けると共に、該クッションユニットとスイングアームとの間に、該スイングアームの揺動変位を前記クッションユニットのストロークに変換する作用方向変換機構を設けたことを特徴とするスイングアーム式懸架装置。
【請求項2】
前記クッションユニットを、車両前後方向と直交するように配置したことを特徴とする請求項1に記載のスイングアーム式懸架装置。
【請求項3】
前記クッションユニットを、前記スイングアームの左右幅内に配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスイングアーム式懸架装置。
【請求項4】
前記作用方向変換機構が、リンク部材とベルクランクとを連結してなることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のスイングアーム式懸架装置。
【請求項5】
前記スイングアームが、左右アーム部材をクロスメンバで連結してなり、前記クッションユニットを、前記クロスメンバの上方又は下方に配置したことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のスイングアーム式懸架装置。
【請求項6】
前記左右アーム部材の一方が、車両側面視で直線的に設けられると共に、その周囲には前記車体側のエンジンと車輪との間に渡る動力伝達帯が配置され、前記左右アーム部材の他方が、車両側面視で湾曲するガル形状とされ、前記クッションユニットの一端部が、前記一方のアーム部材に取り付けられると共に、該クッションユニットの他端部が、前記他方のアーム部材の湾曲部内周側にて前記作用方向変換機構に取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のスイングアーム式懸架装置。
【請求項7】
前記スイングアームが、左右アーム部材をクロスメンバで連結してなり、前記クッションユニットを、前記クロスメンバの内部に配置したことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のスイングアーム式懸架装置。
【請求項8】
前記クッションユニットの上下幅を、車両側面視で前記スイングアームの上下幅以内としたことを特徴とする請求項4から請求項7の何れかに記載のスイングアーム式懸架装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動二輪車に好適なスイングアーム式懸架装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記スイングアーム式懸架装置において、スイングアームの前部を上下に貫通するようにクッションユニットを配置し、該クッションユニットの下部をスイングアームの下部に取り付ける一方、クッションユニットの上部はスイングアームの上部にアッパリンクを介して取り付け、アッパリンクと車体におけるスイングアームピボットの下方とをリンク部材で連結したものがある(例えば、特許文献1参照。)。リンク部材は、クッションユニットに沿ってスイングアームを上下に貫通するように配置される。
【特許文献1】特開2004−26154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記スイングアーム式懸架装置は、リンク機構を用いたプログレッシブな減衰を可能とし、かつスイングアーム、クッションユニット、及びリンク機構をユニット化することで車体に対する着脱を容易にしたものであるが、装置自体のクッションユニット周りの上下厚さ及び前後長さが増加し易く、かつスイングアームとリンク部材との隙も十分確保する必要があり、装置自体が大型化して周辺部品のレイアウト自由度に影響することがあるため、このような点の改善が要望されている。
そこでこの発明は、装置自体のコンパクト化を図って周辺部品のレイアウト自由度を向上できるスイングアーム式懸架装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、自動二輪車(例えば実施例の自動二輪車1)の車体(例えば実施例の変速機ケース18)に、車輪(例えば実施例の後輪9)を軸支するスイングアーム(例えば実施例のスイングアーム25,125)を上下に揺動可能に軸支すると共に、前記スイングアームの揺動を減衰させるクッションユニット(例えば実施例のクッションユニット30)を、前記車体とスイングアームとの間に取り付けてなるスイングアーム式懸架装置(例えば実施例のスイングアーム式懸架装置32,132)において、前記クッションユニットを左右に延在させて設けると共に、該クッションユニットとスイングアームとの間に、該スイングアームの揺動変位を前記クッションユニットのストロークに変換する作用方向変換機構(例えば実施例のリンク機構31)を設けたことを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載した発明は、前記クッションユニットを、車両前後方向と直交するように配置したことを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載した発明は、前記クッションユニットを、前記スイングアームの左右幅内に配置したことを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載した発明は、前記作用方向変換機構が、リンク部材(例えば実施例のリンク部材90)とベルクランク(例えば実施例のベルクランク80)とを連結してなることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載した発明は、前記スイングアーム(例えば実施例のスイングアーム25)が、左右アーム部材(例えば実施例の左右アーム部材27,28)をクロスメンバ(例えば実施例のクロスメンバ29)で連結してなり、前記クッションユニットを、前記クロスメンバの上方又は下方に配置したことを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載した発明は、前記左右アーム部材の一方(例えば実施例の左アーム部材27)が、車両側面視で直線的に設けられると共に、その周囲には前記車体側のエンジンと車輪との間に渡る動力伝達帯(例えば実施例のドライブチェーン36)が配置され、前記左右アーム部材の他方(例えば実施例の右アーム部材28)が、車両側面視で湾曲するガル形状とされ、前記クッションユニットの一端部が、前記一方のアーム部材に取り付けられると共に、該クッションユニットの他端部が、前記他方のアーム部材の湾曲部(例えば実施例の湾曲部28b)内周側にて前記作用方向変換機構に取り付けられることを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載した発明は、前記スイングアーム(例えば実施例のスイングアーム125)が、左右アーム部材(例えば実施例の左右アーム部材127,128)をクロスメンバ(例えば実施例のクロスメンバ129)で連結してなり、前記クッションユニットを、前記クロスメンバの内部に配置したことを特徴とする。
【0011】
請求項8に記載した発明は、前記クッションユニットの上下幅を、車両側面視で前記スイングアームの上下幅以内としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載した発明によれば、クッションユニットを左右に延在させてスイングアームの上下の揺動に伴い作用方向変換機構を介してストロークさせることで、クッションユニットを上下や前後に延在させる場合と比べて装置自体の上下厚さや前後長さを抑えることができるため、周辺部品のレイアウト自由度を向上できる。
【0013】
請求項2に記載した発明によれば、装置自体の前後長さをより一層抑えることができる。
【0014】
請求項3に記載した発明によれば、装置自体の左右幅を抑えることができる。
【0015】
請求項4に記載した発明によれば、作用方向変換機構を簡単な構成として信頼性の向上及びコストダウンを図ることができる。
【0016】
請求項5に記載した発明によれば、スイングアームにおけるクロスメンバ近傍の剛性の高い部位にクッションユニットが配置されることとなり、該クッションユニットの取り付け剛性を高めることができる。
【0017】
請求項6に記載した発明によれば、車両側面視で直線状をなす一方のアーム部材からガル形状をなす他方のアーム部材に渡ってクッションユニットが配置され、前記他方のアーム部材の湾曲部内周側にてクッションユニットと作用方向変換機構とが連結されることで、スイングアーム周りの空間を有効利用してクッションユニットを効率良く配置でき、装置自体のコンパクトなユニット化を図ることができる。
【0018】
請求項7に記載した発明によれば、スイングアームにおけるクロスメンバの内部空間を有効利用してクッションユニットを効率良く配置でき、装置自体のコンパクトなユニット化を図ることができる。
【0019】
請求項8に記載した発明によれば、装置自体の上下厚さをより一層抑えることができ、周辺部品のレイアウト自由度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
【実施例1】
【0021】
図1に示す自動二輪車1は、乗員用の足載せ部である低床部2を有するスクータ型車両であり、その前輪3は左右のフロントフォーク4に軸支され、各フロントフォーク4はハンドルステム5を介して車体フレーム6の前端上部のヘッドパイプ7に操舵可能に枢支され、ハンドルステム5の上部には転舵用のハンドル8が取り付けられる。
【0022】
車体フレーム6は、複数種の鋼材を溶接等により一体的に結合してなるもので、ヘッドパイプ7から斜め下後方に延びるダウンフレーム11と、ダウンフレーム11下部から後方に延びて低床部2内側のエンジン15の上方を通過するメインフレーム12と、メインフレーム12の後部から斜め上後方に延びるシートフレーム13とを主としてなる。
【0023】
自動二輪車1の原動機である前記エンジン15は、例えば水冷4ストローク単気筒エンジンであり、クランク軸を左右方向と平行にして配置され、クランクケース16の前端部から略前方にシリンダ17を立設させた構成を有する。クランクケース16の後方には変速機ケース18が連設され、該変速機ケース18の後端部には、後輪(車輪)9を軸支するスイングアーム25の前端部が左右方向に沿うピボット軸26を介して上下に揺動可能に軸支される。
【0024】
スイングアーム25は、左右のアーム部材27,28の前部内側をクロスメンバ29で連結してなり、その後端部に後輪9が軸支される。クロスメンバ29の直ぐ下方には、後輪9の上下動を伴う振動や衝撃を吸収(減衰)するクッションユニット30が配置される。クッションユニット30は、緩衝用のコイルスプリング30a及びその内側に配されるチューブ式のダンパー30bを主としてなり(図3参照)、その長手方向(ストローク方向)を車幅方向と略平行にして配される。このクッションユニット30に、スイングアーム25の上下の揺動変位がリンク機構(作用方向変換機構)31を介して左右の変位に変換されて入力される。これらスイングアーム25、クッションユニット30、及びリンク機構31を主として、自動二輪車1におけるスイングアーム式懸架装置32が構成されている。
【0025】
変速機ケース18内には、クランクシャフトと同軸配置されたドライブプーリ21と、クランクシャフト後方の伝動軸と同軸配置されたドリブンプーリ22と、これら両プーリに巻き掛けられた無端状のドライブベルト23とを主とする無段変速機20が収容される。この無段変速機20を介して、クランクシャフトの回転動力が無段階に変速され、かつ遠心クラッチ(不図示)及び最終減速機構76(図3参照)を介した後、変速機ケース18後端部左側のドライブスプロケット34に出力される。
【0026】
ドライブスプロケット34と後輪9左側のドリブンスプロケット35とには無端状のドライブチェーン(動力伝達帯)36が巻き掛けられ、該ドライブチェーン36を介してエンジン15と後輪9との間での動力伝達が可能とされる。なお、ドライブスプロケット34はスイングアーム25のピボット軸26と同軸配置されている。
【0027】
シリンダヘッド17aの前方にはラジエータ39が配置され、ラジエータ39の上方にはエアクリーナケース40が配置され、該エアクリーナケース40後部に接続されたスロットルボディ41から斜め下後方に延びる吸気管42が、シリンダヘッド17a上部の吸気ポートに接続される。また、シリンダヘッド17a下部の排気ポートには排気管43が接続され、該排気管43がシリンダヘッド17a下方で湾曲してクランクケース16の下方を後方に向けて通過した後、エンジン15後方にて斜め上後方に立ち上がって車体後部右側に配されたサイレンサ44に接続される。
【0028】
車体フレーム6及びエンジン15は、合成樹脂製の車体カバー46で覆われている。車体カバー46は、ヘッドパイプ7の前方から両側方に渡る範囲を覆うフロントカウル47と、ヘッドパイプ7の後方を覆うインナーカバー48と、フロントカウル47の下方に連なってエンジン15の下部両側を覆うアンダーカウル49と、インナーカバー48の下方に連なってエンジン15上部を覆うフロアカバー50と、シート53の下方両側に設けられて車体後部両側を覆うリアサイドカバー51とを主としてなる。
【0029】
シートフレーム13及びリアサイドカバー51には、運転者用の前着座部と後部搭乗者用の後着座部とを一体に設けたシート53が支持される。このシート53は、その前端部のヒンジ軸54を中心に上下に回動することで、前着座部下方の物品収容ボックス55を開閉すると共に、後着座部下方の燃料タンク56へのアクセスを可能とする。物品収容ボックス55は、その前部がクランクケース16の後部上方に、後部がスイングアーム25の前部上方に位置しており、その底部の後側は、スイングアーム25の揺動時における隙間を確保するべく後上がりに傾斜して設けられる。
【0030】
車体フレーム6におけるダウンフレーム11は、ヘッドパイプ7の上部から左右に分岐して斜め下後方に延びるアッパダウンパイプ58と、ヘッドパイプ7の下部から左右に分岐してアッパダウンパイプ58よりもやや急傾斜で斜め下後方に延びるロアダウンパイプ59とを主としてなる。
【0031】
ヘッドパイプ7の下部とアッパダウンパイプ58の上部中間部との間には、略水平に配されたガセットパイプ60が渡設されており、このガセットパイプ60を介して、ロアダウンパイプ59の上端部がヘッドパイプ7の下部に接合される。なお、図中符号61は、ロアダウンパイプ59の上部、ガセットパイプ60の前部、及びヘッドパイプ7の下部に跨るガセットプレートを示す。
【0032】
ロアダウンパイプ59の下方には、同じく斜め下後方に延びる前エンジンハンガブラケット62が連なり、該前エンジンハンガブラケット62の下端部には、前部下側エンジンハンガ63が締結され、該前部下側エンジンハンガ63の後端部が、エンジン15のクランクケース16の前部下側に締結されてこれを支持する。
【0033】
メインフレーム12は、左右アッパダウンパイプ58及びロアダウンパイプ59に対応する左右一対のメインパイプ65を主としてなる。メインパイプ65は、車体中央部にて略水平に配されるもので、その中間部が車両側面視で上方に凸となるように若干湾曲して設けられる。このメインパイプ65の前端部がロアダウンパイプ59の下部に後方から接合されると共に、その前部にはアッパダウンパイプ58の下端部が上方から接合される。
【0034】
メインパイプ65(メインフレーム12)は、エンジン15のシリンダヘッド17a上方から変速機ケース18後端部のスイングアーム軸支部18a上方まで延在しており、該メインパイプ65の後端部には、これに連なるように後方に延びる後エンジンハンガブラケット66が設けられる。この後エンジンハンガブラケット66の下部には、下方に突出する後部上側エンジンハンガ67が設けられ、該後部上側エンジンハンガ67の下端部が、変速機ケース18の後部上側に連結されてこれを支持する。
【0035】
また、メインパイプ65の前部であってアッパダウンパイプ58との接合部には、前部上側エンジンハンガ68が締結され、該前部上側エンジンハンガ68の下端部が、エンジン15のクランクケース16の前部上側に締結されてこれを支持する。この前部上側エンジンハンガ68及び前記各エンジンハンガ63,67を用いて、エンジン15が車体フレーム6に懸架されている。
【0036】
シートフレーム13は、左右メインパイプ65の湾曲部近傍から斜め上後方に延びる左右シートパイプ70と、左右メインパイプ65の後端部から斜め上後方に延びる左右リアパイプ71とを主としてなる。シートパイプ70は、その中間部が車両側面視で斜め前上方に凸となるように屈曲して設けられ、かつその後端部が連なることで左右一体に設けられる。このシートパイプ70の後部とリアパイプ71の後部とは、リアサイドプレート72を介して結合されている。また、シートパイプ70の屈曲部には、メインパイプ65の後端部から斜め上後方に急傾斜で延びるリアがセットパイプ73の上端部が下方から接合される。
【0037】
図2に示すように、スイングアーム式懸架装置32は、車体側であるエンジン15の変速機ケース18に後輪9を軸支するスイングアーム25の前端部を上下に揺動可能に取り付け、このスイングアーム25の揺動を減衰させるクッションユニット30の一側をスイングアーム25に取り付けると共に他側をリンク機構31を介してエンジン15の後端部下側(ピボット軸26よりも下方)に取り付けてなる。
【0038】
図3を併せて参照して説明すると、変速機ケース18の後端部内における車幅方向中央部には、無段変速機20の出力を減速するリダクションギヤ対としての最終減速機構76が収容される。変速機ケース18の後端部左側には、スイングアーム25の左アーム部材27の先端部を回転自在に軸支する円筒状の左ピボット軸26Lが突設される一方、変速機ケース18の後端部右側には、スイングアーム25の右アーム部材28の先端部を回転自在に軸支する右ピボット軸26Rが固定される。
【0039】
左ピボット軸26L内には、最終減速機構76の出力軸(エンジン出力軸)77が回転自在に軸支されており、この出力軸77の車幅方向内側(変速機ケース18内への突出部分)には、最終減速機構76の最終伝動部材であるファイナルギヤ78が取り付けられ、車幅方向外側(変速機ケース18外への突出部分)には、前記ドライブスプロケット34が取り付けられる。この出力軸77(ひいては左ピボット軸26L)の車幅方向外側端部が、ホルダ37を介して変速機ケース18の後端部左側に支持されている。
【0040】
左アーム部材27の後端部とその車幅方向内側の後輪9のハブ部との間には、前記ドリブンスプロケット35が配置され、このドリブンスプロケット35と左アーム部材27前端部の車幅方向外側のドライブスプロケット34とに、前記ドライブチェーン36が巻き掛けられる。このため、スイングアーム平面視において、左アーム部材27は、その先端部である左ピボット挿通部27aの後方においてドライブチェーン36を避けるように車幅方向外側に変位した後、ドリブンスプロケット35の車幅方向外側に延びて後輪9左側を軸支する。一方、右アーム部材28は、その先端部である右ピボット挿通部28aからほぼ直線的に後方に延びて後輪9右側を軸支する。
【0041】
また、スイングアーム側面視(車両側面視)においては、左アーム部材27は、左ピボット挿通部27aから後輪9の車軸位置までほぼ直線的に延びる。これにより、ドライブチェーン36を介して左アーム部材27に入力される圧縮荷重に対する剛性を確保している。一方、右アーム部材28は、変速機ケース18後端部と後輪9前端部との間(自身の長手方向中央部よりも前寄り)に位置する部位を上方に突出させるように、側面視への字状に湾曲した所謂ガル形状とされている。
【0042】
図4を併せて参照して説明すると、右アーム部材28における変速機ケース18と後輪9との間に位置する湾曲部28bの車幅方向内側には、左右アーム部材27,28を一体に連結するクロスメンバ29が配置される。このクロスメンバ29は、その右端部を湾曲部28bの車幅方向内側に結合し、スイングアーム側面視で湾曲部28bと概ね重なる形状のまま左アーム部材27近傍まで延びた後、下方に緩やかに変化して左アーム部材27の前部車幅方向内側に左端部を結合する。このようなクロスメンバ29は、左右アーム部材27,28と同様に例えばアルミニウム合金からなる中空構造物とされ、その両端部は、左右アーム部材27,28との結合部における応力集中を緩和するべく、スイングアーム平面視で特に後側を湾曲させて後方へ延ばすことで末広がりとなるように形成されている。
【0043】
クッションユニット30は、変速機ケース18と後輪9との間であってスイングアーム25のクロスメンバ29の直ぐ下方において左右方向に延在するように配置され、その左端部がスイングアーム25の左アーム部材27の車幅方向内側に突き当たるようにして取り付けられると共に、右端部がリンク機構31を介して変速機ケース18の後端部下側に取り付けられる。この状態で、クッションユニット30の全長は、概ねスイングアーム25の左右幅内に収まっている。
【0044】
このようなクッションユニット30の右端部に、後輪9の上下動すなわちスイングアーム25の上下の揺動変位を、リンク機構31を介して左右の変位に変換して入力することで、クッションユニット30がストロークして後輪9の上下動を伴う衝撃や振動がコイルスプリング30aの伸縮に変化されると共にダンパー30bの伸縮により減衰されて緩やかに吸収される。
【0045】
リンク機構31は、スイングアーム25に揺動可能に支持されるベルクランク80と、該ベルクランク80と変速機ケース18との間に渡るリンク部材90とを有してなる。
ベルクランク80は、右アーム部材28における右ピボット挿通部28aの斜め下後方に形成されたベルクランク支持部28cに軸支されるもので、上側ほど前方に位置するように傾斜した揺動軸81回りに揺動可能とされる。
【0046】
ベルクランク80は、前記揺動軸81が挿通される軸挿通部82から斜め後方かつ車幅方向内側に延びる第一腕部83と、軸挿通部82から斜め後方かつ車幅方向外側に延びる第二腕部84とを有する。各腕部83,84は、揺動軸81に沿う平面視で概ね直角をなすように設けられ、かつ第二腕部84は第一腕部83よりも長く設けられる。
【0047】
第一腕部83の先端部である第一連結部85には、前下がりに傾斜するリンク部材90の後端部が、前記揺動軸81と平行な第一連結軸87を介して揺動自在に連結される。一方、第二腕部84の先端部である第二連結部86には、クッションユニット30の右端部が、前記揺動軸81と平行な第二連結軸88を介して揺動自在に連結される。
【0048】
ここで、第二腕部84及びクッションユニット30の右端部は、右アーム部材28の湾曲部28bの内周側(下側)に位置している。換言すれば、右アーム部材28は、クッションユニット30及びベルクランク80を避けるべくガル形状をなしている。この状態で、クッションユニット30は、車両側面視で左アーム部材27の上下幅内に収まり、またベルクランク80も、車両側面視で左アーム部材27の上下幅内に概ね収まっている。
【0049】
リンク部材90の前端部は、変速機ケース18の後端部下側(ピボット軸26よりも下方)に設けられたアーム連結部90aに、車幅方向と平行なアーム連結軸90bを介して揺動自在に連結される。
そして、後輪9の上下動に伴いスイングアーム25が上下に揺動すると、車体側に連結されたリンク部材90からの入力によりベルクランク80が揺動軸81を中心に揺動してクッションユニット30をストロークさせる。なお、リンク部材90の前後端部は、第一連結部85及びアーム連結軸90bと直交する方向にも揺動可能に構成されている。
【0050】
このとき、クッションユニット30のストローク時の反力(クッション荷重)を受けるリンク部材90が、車体側におけるピボット軸26よりも下方となる位置に連結される。したがって、ピボット軸26の上方にクッション荷重を受けるフレーム部材等が不要である。
【0051】
また、クッションユニット30をその長手方向を車幅方向に沿わせてスイングアーム25のクロスメンバ29の下方に配置したことで、該クッションユニット30をその長手方向を上下方向や前後方向に沿わせて配置した場合と比べて、スイングアーム懸架装置のクッションユニット30回りの前後長及び上下厚さを抑えることができる。
【0052】
これにより、スイングアーム式懸架装置32の揺動スペースが確保し易くなり、その周辺部品のレイアウト自由度を向上できる。特に、自動二輪車1の如くシート53下に大型の物品収容ボックス55を有するような車両においては、該物品収容ボックス55の容積の拡大を図ることができるため好ましい。
【0053】
以上説明したように、上記実施例におけるスイングアーム式懸架装置32は、自動二輪車1の車体(変速機ケース18)に、後輪9を軸支するスイングアーム25を上下に揺動可能に軸支すると共に、前記スイングアーム25の揺動を減衰させるクッションユニット30を、前記車体とスイングアーム25との間に取り付けてなるものであって、クッションユニット30を左右に延在させて設けると共に、該クッションユニット30とスイングアーム25との間に、該スイングアーム25の揺動変位をクッションユニット30のストロークに変換するリンク機構31を設けたものである。
【0054】
この構成によれば、クッションユニット30を左右に延在させてスイングアーム25の上下の揺動に伴いリンク機構31を介してストロークさせることで、クッションユニット30を上下や前後に延在させる場合と比べて装置自体の上下厚さや前後長さを抑えることができるため、周辺部品のレイアウト自由度を向上でき、特にシート53下に大型の物品収容スペースを有するような自動二輪車1への適用に好適である。
【0055】
また、上記スイングアーム式懸架装置32においては、クッションユニット30を車両前後方向と直交するように配置したことで、装置自体の前後長さをより一層抑えることができる。
【0056】
さらに、上記スイングアーム式懸架装置32においては、クッションユニット30をスイングアーム25の左右幅内に配置したことで、装置自体の左右幅を抑えることができる。
【0057】
さらにまた、上記スイングアーム式懸架装置32においては、リンク機構31がリンク部材90とベルクランク80とを連結してなることで、該リンク機構31を簡単な構成として信頼性の向上及びコストダウンを図ることができる。
【0058】
しかも、上記スイングアーム式懸架装置32においては、スイングアーム25が左右アーム部材27,28をクロスメンバ29で連結してなり、クッションユニット30をクロスメンバ29の下方に配置したことで、スイングアーム25におけるクロスメンバ29近傍の剛性の高い部位にクッションユニット30が配置されることとなり、該クッションユニット30の取り付け剛性を高めることができる。
【0059】
ここで、上記スイングアーム式懸架装置32は、左アーム部材27が車両側面視で直線的に設けられると共に、その周囲には車体側のエンジン15と後輪9との間に渡るドライブチェーン36が配置される一方、右アーム部材28が車両側面視で湾曲するガル形状とされ、クッションユニット30の左端部が左アーム部材27に取り付けられると共に、該クッションユニット30の右端部が右アーム部材28の湾曲部28b内周側にてリンク機構31に取り付けられるものでもある。
【0060】
この構成によれば、車両側面視で直線状をなす左アーム部材27からガル形状をなす右アーム部材28に渡ってクッションユニット30が配置され、右アーム部材28の湾曲部28b内周側にてクッションユニット30とリンク機構31とが連結されることで、スイングアーム25周りの空間を有効利用してクッションユニット30を効率良く配置でき、装置自体のコンパクトなユニット化を図ることができる。
【0061】
また、上記スイングアーム式懸架装置32においては、クッションユニット30及びベルクランク80の上下幅を、車両側面視でスイングアーム25の左アーム部材27の上下幅以内としたことで、装置自体の上下厚さをより一層抑えることができ、周辺部品のレイアウト自由度をさらに高めることができる。
【実施例2】
【0062】
次に、この発明の第二実施例について説明する。
この第二実施例は、前記第一実施例に対して、スイングアームの左右アーム部材を共に車両側面視で直線的に設け、これら左右アーム部材を連結するクロスメンバ内に、車幅方向に延在するクッションユニットを配置した点を主に異なるもので、第一実施例と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図5に示すように、スイングアーム式懸架装置132は、車体側であるエンジン15の変速機ケース18に後輪9を軸支するスイングアーム125の前端部を上下に揺動可能に取り付け、このスイングアーム125の揺動を減衰させるクッションユニット30の一側をスイングアーム125に取り付けると共に他側をリンク機構31を介してエンジン15の後端部下側に取り付けてなる。
【0064】
図6を併せて参照して説明すると、スイングアーム125は、左右のアーム部材127,128の前部内側をクロスメンバ129で連結してなる。左アーム部材127の先端部(左ピボット挿通部127a)は変速機ケース18後端部左側の左ピボット軸26Lに回転自在に軸支される一方、右アーム部材128の先端部(右ピボット挿通部128a)は変速機ケース18後端部右側の右ピボット軸26Rに回転自在に軸支される。これら左右アーム部材127,128は、スイングアーム平面視及び側面視において、左右ピボット挿通部127a,128aから後輪9の車軸位置までほぼ直線的に後方に延びて後輪9を軸支する。
【0065】
変速機ケース18と後輪9との間には、左右アーム部材127,128を一体に連結するクロスメンバ129が配置される。このクロスメンバ129は、スイングアーム側面視で左右アーム部材127,128と概ね重なる形状を保つようにしてこれらの間に渡って設けられるもので、左右アーム部材127,128と同様に例えばアルミニウム合金からなる中空構造物とされる。このようなクロスメンバ129の両端部は、スイングアーム平面視で特に後側を湾曲させて後方へ延ばすことで末広がりとなるように形成されている。
【0066】
図7を併せて参照して説明すると、クッションユニット30は、クロスメンバ129の内部にて左右方向に延在するように配置され、その左端部が左アーム部材127内に入り込むようにして取り付けられると共に、右端部がリンク機構31を介して変速機ケース18の後端部下側に取り付けられる。この状態で、クッションユニット30及びリンク機構31は、第一実施例に対してやや左側に位置しており、かつクッションユニット30の全長は、スイングアーム125の左右幅内に収まっている。
【0067】
右アーム部材128における右ピボット挿通部128aの斜め下後方かつやや車幅方向内側には、リンク機構31のベルクランク80を上側ほど前方に位置するように傾斜した揺動軸81を介して軸支するベルクランク支持部128cが形成される。このベルクランク支持部128c及び右アーム部材128の車幅方向外側には、クッションユニット30及びリンク機構31の着脱用の開口128dが形成されている。
【0068】
そして、後輪9の上下動に伴いスイングアーム125が上下に揺動すると、車体側に連結されたリンク部材90からの入力によりベルクランク80が揺動軸81を中心に揺動してクッションユニット30をストロークさせ、後輪9の上下動を伴う衝撃や振動が減衰されて緩やかに吸収される。
【0069】
以上説明したように、上記第二実施例におけるスイングアーム式懸架装置132においては、左右に延在するクッションユニット30を、スイングアーム125におけるクロスメンバ129の内部に配置したことで、装置自体のクッションユニット30回りの前後長を抑えると共に上下厚さも抑えることができ、かつスイングアーム125におけるクロスメンバ129の内部空間を有効利用してクッションユニット30を効率良く配置できるため、装置自体の揺動スペースをより一層確保し易く、その周辺部品のレイアウト自由度をさらに向上できると共に、該装置自体のコンパクトなユニット化を図ることができる。
【0070】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば第一実施例において、左右に延在するクッションユニット30をスイングアーム25のクロスメンバ29の下方ではなく上方に配置した構成であってもよい。このとき、スイングアーム25の右アーム部材28を下方に凸となるように湾曲させてその湾曲部内周側(上方)にクッションユニット30を配置した構成であってもよい。この場合、クロスメンバ29によってクッションユニット30が保護されるという効果がある。
また、左右に延在するクッションユニット30を変速機ケース18の上方又は下方に配置し、その一側を変速機ケース18に取り付けると共に他側をリンク機構31を介してスイングアーム25に取り付けた構成であってもよい。
さらに、スイングアーム25,125を、エンジン15ではなく車体フレーム6で揺動可能に軸支したり、あるいはエンジン15及び車体フレーム6の両方で軸支したりする構成であってもよい。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、エンジン形式や車体フレームの細部構成が上記各実施例に限定されないことはもちろん、該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明の第一実施例における自動二輪車の側面図である。
【図2】上記自動二輪車におけるスイングアーム式懸架装置の側面図である。
【図3】上記スイングアーム式懸架装置の平面説明図である。
【図4】上記スイングアーム式懸架装置の前部を斜め下から見た斜視図である。
【図5】この発明の第二実施例におけるスイングアーム式懸架装置の側面図である。
【図6】図5におけるスイングアーム式懸架装置の平面説明図である。
【図7】図5におけるスイングアーム式懸架装置の前部を斜め下から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1 自動二輪車
9 後輪(車輪)
18 変速機ケース(車体)
25,125 スイングアーム
27,127 左アーム部材
28,128 右アーム部材
28b 湾曲部
29,129 クロスメンバ
30 クッションユニット
31 リンク機構(作用方向変換機構)
32,132 スイングアーム式懸架装置
36 ドライブチェーン(動力伝達帯)
80 ベルクランク
90 リンク部材





 

 


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