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発明の名称 低床式車両
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30824(P2007−30824A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−220897(P2005−220897)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 竹中 正彦 / 細谷 征央
要約 課題
旋回走行時等の車体のねじれによる後輪の進行方向と前輪の接地部との左右ずれを抑えることができる低床式車両を提供する。

解決手段
メインフレーム12が、低床部2近傍のエンジン15の前部上方からスイングアーム軸支部18a上方まで延在し、該メインフレーム12の後部に最後部のエンジンマウント部C2を設ける一方、ダウンフレーム11には最前部のエンジンマウント部C1を設け、該最前部のエンジンマウント部C1が、車両側面視で最後部のエンジンマウント部C2と前輪3の接地部FTとを結ぶ直線L上に位置する。
特許請求の範囲
【請求項1】
足載せ部である低床部の近傍に車体フレームに支持されたエンジンが配置され、該エンジンの後部には後輪を軸支するスイングアームが揺動可能に軸支され、前記車体フレームが、ヘッドパイプから斜め下後方に延びるダウンフレームと、該ダウンフレームの下部から前記エンジンの上方を後方に延びるメインフレームと、該メインフレームの後部から斜め上後方に延びるシートフレームとを有してなる低床式車両において、
前記メインフレームが、前記エンジンの前部上方から少なくともスイングアーム軸支部上方まで延在し、該メインフレームの後部に最後部のエンジンマウント部を設ける一方、前記ダウンフレームには最前部のエンジンマウント部を設け、該最前部のエンジンマウント部が、車両側面視で前記最後部のエンジンマウント部と前輪の接地部とを結ぶ線上に位置することを特徴とする低床式車両。
【請求項2】
車両側面視で前記線上に、前記エンジンのクランク軸部が位置することを特徴とする請求項1に記載の低床式車両。
【請求項3】
車両側面視で前記線上であって前記後輪の接地部の上方に、前記エンジンの排気マフラーの支持部が位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の低床式車両。
【請求項4】
前記ダウンフレームが、車両側面視で前記線と略直交するように設けられることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の低床式車両。
【請求項5】
車両側面視で前記線の上方又は下方に、前記エンジンの上部を支持する第三のエンジンマウント部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の低床式車両。
【請求項6】
前記ダウンフレームが、上下に並ぶように延びる上側フレーム部材及び下側フレーム部材を有してなり、前記第三のエンジンマウント部が、前記上側フレーム部材とメインフレームとの接合部近傍に設けられることを特徴とする請求項5に記載の低床式車両。
【請求項7】
前記エンジンが、前後シリンダを有するV型エンジンであり、前記第三のエンジンマウント部が、前記前後シリンダ間に配置されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の低床式車両。
【請求項8】
前記車体フレームは、前記ダウンフレームから前記エンジンの下方に延びるフレーム部材を有さず、かつ前記エンジン後側にて前記メインフレームから下方に延びるフレーム部材を有さないことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の低床式車両。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクータ型自動二輪車等の低床式車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記低床式車両においては、前輪転舵用のハンドルと乗員用のシートとの間に前記乗員用の足載せ部である低床部を有し、該低床部の近傍には車両駆動用のエンジンが車体フレームに支持され、かつ該エンジンの後部には後輪を軸支するスイングアームが揺動可能に軸支されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−301559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年の低床式車両においては、上記エンジンの排気量が増加傾向にあり、該エンジンや車体フレームが大型化したり重量増となる傾向にある。このような傾向に合わせて、車体剛性も高いものが求められている。他方で、エンジン駆動力の増加に伴い、車体全体のねじれも十分考慮する必要がある。すなわち、車体のねじれを適度に生じさせて良好な旋回性能を確保する一方、該車体のねじれによる後輪の進行方向と前輪の接地部との左右ずれを抑えて車体前後の一体感を得られるような構成が要望されている。
また、上記要望に対応するべく、一般的には車体フレームの形状やエンジンのラバーマウントで車体剛性とねじれの調整を図ることが多いが、このような構成では、前記調整が困難であると共に重量やコストの増加となる場合がある。
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車体のねじれによる後輪の進行方向と前輪の接地部との左右ずれを抑え、かつ車体重量及びコストを抑えることができる低床式車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、足載せ部である低床部(例えば実施例の低床部2)の近傍に車体フレーム(例えば実施例の車体フレーム6)に支持されたエンジン(例えば実施例のエンジン15,115)が配置され、該エンジンの後部には後輪(例えば実施例の後輪9)を軸支するスイングアーム(例えば実施例のスイングアーム25)が揺動可能に軸支され、前記車体フレームが、ヘッドパイプ(例えば実施例のヘッドパイプ7)から斜め下後方に延びるダウンフレーム(例えば実施例のダウンフレーム11)と、該ダウンフレームの下部から前記エンジンの上方を後方に延びるメインフレーム(例えば実施例のメインフレーム12)と、該メインフレームの後部から斜め上後方に延びるシートフレーム(例えば実施例のシートフレーム13)とを有してなる低床式車両(例えば実施例の自動二輪車1,101)において、前記メインフレームが、前記エンジンの前部上方から少なくともスイングアーム軸支部(例えば実施例のスイングアーム軸支部18a)上方まで延在し、該メインフレームの後部に最後部のエンジンマウント部(例えば実施例の最後部のエンジンマウント部C2)を設ける一方、前記ダウンフレームには最前部のエンジンマウント部(例えば実施例の最前部のエンジンマウント部C1)を設け、該最前部のエンジンマウント部が、車両側面視で前記最後部のエンジンマウント部と前輪(例えば実施例の前輪3)の接地部(例えば前輪接地部FT)とを結ぶ線(例えば実施例の直線L)上に位置することを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載した発明は、車両側面視で前記線上に、前記エンジンのクランク軸部(例えば実施例のクランク軸部CJ)が位置することを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載した発明は、車両側面視で前記線上であって前記後輪の接地部(例えば実施例の後輪接地部RT)の上方に、前記エンジンの排気マフラー(例えば実施例の排気マフラー44A)の支持部(例えば実施例の排気マフラー支持部C4)が位置することを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載した発明は、前記ダウンフレームが、車両側面視で前記線と略直交するように設けられることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載した発明は、車両側面視で前記線の上方又は下方に、前記エンジンの上部を支持する第三のエンジンマウント部(例えば実施例の第三のエンジンマウント部C3)を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載した発明は、前記ダウンフレームが、上下に並ぶように延びる上側フレーム部材(例えば実施例のアッパダウンパイプ58)及び下側フレーム部材(例えば実施例のロアダウンパイプ59)を有してなり、前記第三のエンジンマウント部が、前記上側フレーム部材とメインフレームとの接合部近傍に設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載した発明は、前記エンジン(例えば実施例のエンジン115)が、前後シリンダ(例えば実施例の前後シリンダ117f,117r)を有するV型エンジンであり、前記第三のエンジンマウント部が、前記前後シリンダ間に配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項8に記載した発明は、前記車体フレームは、前記ダウンフレームから前記エンジンの下方に延びるフレーム部材を有さず、かつ前記エンジン後側にて前記メインフレームから下方に延びるフレーム部材を有さないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載した発明によれば、当該車両の旋回走行時等に、エンジン及びスイングアームを介して懸架される後輪を含む車体後部と、車体フレーム及びこれに枢支される前輪操舵系を含む車体前部との間でねじれが生じる場合、メインフレームをエンジン前部上方からスイングアーム軸支部上方まで延在させてその剛性を確保させれば、前記ねじれはエンジンマウント間の距離が長い最前部のエンジンマウント部と最後部のエンジンマウント部との間を結ぶ線を中心に生じさせることができ、さらに該線上に前輪の接地部を位置させれば、該接地部に対する後輪の進行方向のずれを抑えることが可能となる。すなわち、旋回走行時等に車体のねじれを適度に生じさせて当該車両の旋回性を高めつつ、該車体のねじれにより前輪の接地部が後輪の進行方向からずれることを抑えることで、車体前後の一体感を高め、乗員に車体の剛性を感じさせると共に、車両が機敏な動きをした際等の手応えを自由にセッティングすることができる。
【0013】
請求項2に記載した発明によれば、車体のねじれ線とジャイロ効果の大きいクランクシャフトの回転中心とを近接させることにより、より無駄なく狙いのねじれ特性を出すことができる。
【0014】
請求項3に記載した発明によれば、車体のねじれがエンジンをその排気系まで含めて支持する前記線を中心に生じ易くなり、前輪接地部と後輪進行方向とのずれをさらに抑えることができる。
【0015】
請求項4に記載した発明によれば、ダウンフレームの長さが抑えられてそのたわみ量が少なくなり、前輪接地部と後輪進行方向とのずれをさらに抑えることができる。
【0016】
請求項5に記載した発明によれば、比較的車体剛性が高くかつ前記線から離れた位置においてもエンジンが支持されることとなり、排気量増加に伴いエンジン重量が増加した場合でも、前記線を中心としたねじれ量を容易に調整することができる。
【0017】
請求項6に記載した発明によれば、ダウンフレーム自体の剛性が高まると共にその下部がエンジンに結合されることとなり、車体前部を効率良く高剛性化できる。
【0018】
請求項7に記載した発明によれば、高性能かつ幅狭なV型エンジンを搭載した場合におけるエンジン支持剛性を効率良く確保することができる。
【0019】
請求項8に記載した発明によれば、エンジンの下方にフレーム部材を有さないことで、エンジンを下方に下げることができ、車両重心位置を低めに設定できる。また、ダウンフレーム及びメインフレームから下方に延びる各フレーム部材を無くすことで、重量及びコストを削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
【実施例1】
【0021】
図1に示す自動二輪車1は、乗員用の足載せ部である低床部2を有するスクータ型車両(低床式車両)であり、その前輪3は左右のフロントフォーク4に軸支され、各フロントフォーク4はハンドルステム5を介して車体フレーム6の前端上部のヘッドパイプ7に操舵可能に枢支され、ハンドルステム5の上部には転舵用のハンドル8が取り付けられる。ここで、前輪3の接地部(前輪接地部)を図中符号FTで示す。
【0022】
車体フレーム6は、複数種の鋼材を溶接等により一体的に結合してなるもので、ヘッドパイプ7から斜め下後方に延びるダウンフレーム11と、ダウンフレーム11下部から後方に延びて低床部2内側のエンジン15の上方を通過するメインフレーム12と、メインフレーム12の後部から斜め上後方に延びるシートフレーム13とを主としてなる。
【0023】
自動二輪車1の原動機である前記エンジン15は、例えば水冷4ストローク単気筒エンジンであり、クランク軸を左右方向と平行にして配置され、クランクケース16の前端部から略前方にシリンダ17を立設させた構成を有する。ここで、車両側面視におけるクランク軸部(クランクシャフトの回転中心)を図中符号CJで示す。クランクケース16の後方には変速機ケース18が連設され、該変速機ケース18の後端部には、後輪9を軸支するスイングアーム25の前端部が左右方向に沿うピボット軸26を介して上下に揺動可能に軸支される。
【0024】
スイングアーム25は、左右のアーム部材27,28の前部内側をクロスメンバ29で連結してなり、その後端部に後輪9が軸支される。ここで、後輪9の接地部(後輪接地部)を図中符号RTで示す。クロスメンバ29の上部にはクッション連結部29aが立設され、該クッション連結部29aとメインフレーム12の長手方向中間部との間には、緩衝用のコイルスプリング及びダンパーを一体に設けたクッションユニット30が、その長手方向(ストローク方向)を概ね前後方向に沿わせるようにして配置される。
【0025】
変速機ケース18内には、クランクシャフトと同軸配置されたドライブプーリ21と、クランクシャフト後方の伝動軸と同軸配置されたドリブンプーリ22と、これら両プーリに巻き掛けられた無端状のドライブベルト23とを主とする無段変速機20が収容される。この無段変速機20を介して、クランクシャフトの回転動力が無段階に変速され、かつ遠心クラッチ及び最終減速機構(何れも不図示)を介した後、変速機ケース18後端部左側のドライブスプロケット34に出力される。
【0026】
ドライブスプロケット34と後輪9左側のドリブンスプロケット35とには無端状のドライブチェーン36が巻き掛けられ、該ドライブチェーン36を介してエンジン15と後輪9との間での動力伝達が可能とされる。なお、ドライブスプロケット34はスイングアーム25のピボット軸26と同軸配置されている。
【0027】
シリンダヘッド17aの前方にはラジエータ39が配置され、ラジエータ39の上方にはエアクリーナケース40が配置され、該エアクリーナケース40後部に接続されたスロットルボディ41から斜め下後方に延びる吸気管42が、シリンダヘッド17a上部の吸気ポートに接続される。また、シリンダヘッド17a下部の排気ポートには排気管43が接続され、該排気管43がシリンダヘッド17a下方で湾曲してクランクケース16の下方を後方に向けて通過した後、エンジン15後方にて斜め上後方に立ち上がって車体後部右側に配されたサイレンサ44に接続される。以下、排気管43及びサイレンサ44を合わせて排気マフラー44Aということがある。
【0028】
車体フレーム6及びエンジン15は、合成樹脂製の車体カバー46で覆われている。車体カバー46は、ヘッドパイプ7の前方から両側方に渡る範囲を覆うフロントカウル47と、ヘッドパイプ7の後方を覆うインナーカバー48と、フロントカウル47の下方に連なってエンジン15の下部両側を覆うアンダーカウル49と、インナーカバー48の下方に連なってエンジン15上部を覆うフロアカバー50と、シート53の下方両側に設けられて車体後部両側を覆うリアサイドカバー51とを主としてなる。
【0029】
シートフレーム13及びリアサイドカバー51には、運転者用の前着座部と後部搭乗者用の後着座部とを一体に設けたシート53が支持される。このシート53は、その前端部のヒンジ軸54を中心に上下に回動することで、前着座部下方の物品収容ボックス55を開閉すると共に、後着座部下方の燃料タンク56へのアクセスを可能とする。物品収容ボックス55は、その前部がクランクケース16の後部上方に、後部がスイングアーム25の前部上方に位置しており、その底部が前記クッションユニット30を跨ぐように分岐して設けられると共に、該底部の後側は、スイングアーム25の揺動時における隙間を確保するべく後上がりに傾斜して設けられる。
【0030】
車体フレーム6におけるダウンフレーム11は、ヘッドパイプ7の上部から左右に分岐して斜め下後方に延びるアッパダウンパイプ(上側フレーム部材)58と、ヘッドパイプ7の下部から左右に分岐してアッパダウンパイプ58よりもやや急傾斜で斜め下後方に延びるロアダウンパイプ(下側フレーム部材)59とを主としてなる。
【0031】
ヘッドパイプ7の下部とアッパダウンパイプ58の上部中間部との間には、略水平に配されたガセットパイプ60が渡設されており、このガセットパイプ60を介して、ロアダウンパイプ59の上端部がヘッドパイプ7の下部に接合される。なお、図中符号61は、ロアダウンパイプ59の上部、ガセットパイプ60の前部、及びヘッドパイプ7の下部に跨るガセットプレートを示す。
【0032】
ロアダウンパイプ59の下方には、同じく斜め下後方に延びる前エンジンハンガブラケット62が連なり、該前エンジンハンガブラケット62の下端部には、前部下側エンジンハンガ63が締結され、該前部下側エンジンハンガ63の後端部が、エンジン15のクランクケース16の前部下側に締結されてこれを支持する。ここで、前部下側エンジンハンガ63とエンジン15とを締結する車幅方向に沿うボルトの軸中心(最前部のエンジンマウント部)を図中符号C1で示す。
【0033】
メインフレーム12は、左右アッパダウンパイプ58及びロアダウンパイプ59に対応する左右一対のメインパイプ65を主としてなる。メインパイプ65は、車体中央部にて略水平に配されるもので、その中間部が車両側面視で上方に凸となるように若干湾曲して設けられる。このメインパイプ65の前端部がロアダウンパイプ59の下部に後方から接合されると共に、その前部にはアッパダウンパイプ58の下端部が上方から接合される。
【0034】
メインパイプ65(メインフレーム12)は、エンジン15のシリンダヘッド17a上方から変速機ケース18後端部のスイングアーム軸支部18a上方まで延在しており、該メインパイプ65の後端部には、これに連なるように後方に延びる後エンジンハンガブラケット66が設けられる。この後エンジンハンガブラケット66の下部には、下方に突出する後部上側エンジンハンガ67が設けられ、該後部上側エンジンハンガ67の下端部が、変速機ケース18の後部上側に連結されてこれを支持する。ここで、後部上側エンジンハンガ67とエンジン15とを締結する車幅方向に沿うボルトの軸中心(最後部のエンジンマウント部)を図中符号C2で示す。
【0035】
また、メインパイプ65の前部であってアッパダウンパイプ58との接合部には、前部上側エンジンハンガ68が締結され、該前部上側エンジンハンガ68の下端部が、エンジン15のクランクケース16の前部上側に締結されてこれを支持する。ここで、前部上側エンジンハンガ68とエンジン15を締結する車幅方向に沿うボルトの軸中心(第三のエンジンマウント部)を図中符号C3で示す。この第三のエンジンマウント部C3、並びに前記最前部のエンジンマウント部C1及び最後部のエンジンマウント部C2の三箇所を用いて、エンジン15が車体フレーム6に懸架されている。
【0036】
シートフレーム13は、左右メインパイプ65の湾曲部近傍から斜め上後方に延びる左右シートパイプ70と、左右メインパイプ65の後端部から斜め上後方に延びる左右リアパイプ71とを主としてなる。シートパイプ70は、その中間部が車両側面視で斜め前上方に凸となるように屈曲して設けられ、かつその後端部が連なることで左右一体に設けられる。このシートパイプ70の後部とリアパイプ71の後部とは、リアサイドプレート72を介して結合されている。また、シートパイプ70の屈曲部には、メインパイプ65の後端部から斜め上後方に急傾斜で延びるリアがセットパイプ73の上端部が下方から接合される。
【0037】
ここで、本実施例においては、車体フレーム6は、エンジン15下方のフレーム部材を無くした所謂ダイヤモンド型フレームであり、エンジン15が車体フレーム6の補強部材を兼ねている。これにより、エンジン15位置を下げて低重心化を図ることが可能であると共に、フレーム部材の削減により車体フレーム6の重量及びコストを抑えることもできる。また、車体フレーム6は、エンジン15の後側にてメインフレーム12から下方に延びるフレーム部材(所謂ピボットプレート)も無くしており、その重量及びコストをさらに抑えている。
【0038】
車体後部右側のサイレンサ44は、後上がりの軸線に沿う例えば円筒状の外観をなし、車両側面視でシートフレーム13のリアパイプ71よりも下方となる位置に配置される。このサイレンサ44の長手方向中間部には、上方に突出する支持ブラケット44bが設けられ、該支持ブラケット44bがリアパイプ71後部に下方に突設されたマフラーハンガー74に締結されることで、サイレンサ44(排気マフラー44Aの後部)がシートフレーム13に支持される。ここで、シートフレーム13と排気マフラー44Aとを締結する車幅方向に沿うボルトの軸中心(排気マフラー44Aの支持部)を図中符号C4で示す。この支持部(排気マフラー支持部)C4は、概ね後輪接地部RTを通過する鉛直線上に位置している。
【0039】
ここで、自動二輪車1の車両側面視において、前輪接地部FT、前記前部下側エンジンハンガ63における最前部のエンジンマウント部C1、及び前記後部上側エンジンハンガ67における最後部のエンジンマウント部C2は、後上がりの直線L上に位置するように配置されている。
【0040】
また、マフラーハンガー74における排気マフラー支持部C4、及びエンジン15におけるクランク軸部CJも、車両側面視において概ね直線Lの延長上に位置している。このような直線Lに対し、ダウンフレーム11におけるロアダウンパイプ59は、車両側面視において略直交するように設けられている。
【0041】
図2は、自動二輪車1の旋回走行時等において生じる車体のねじれにより、前輪接地部FTに対して後輪接地部RTが左右にずれる様子を模式的に示す図であり、本図に示すように、例えば自動二輪車1が旋回しようとしたり、外乱によって車体前部と車体後部との間にねじれ力が加わった場合、そのねじれは直線Lを中心に生じるため、前輪接地部FTは常に後輪9の進行方向(図2中矢印Sで示す)上に位置することとなる。
【0042】
上述のような車体のねじれは、主として車体フレーム6における各エンジンマウント部C1,C2,C3の剛性を調整することでその特性を変えることができる。すなわち、各エンジンマウント部部C1,C2,C3をラバーマウント化したり各エンジンハンガ63,67,68の剛性を変化させることで、エンジン15及びこれに支持されるスイングアーム25を介した後輪懸架系を含む車体後部と、車体フレーム6及びこれに支持されるフロントフォーク4を介した前輪操舵系を含む車体前部との間で、ねじれ具合を変化させて操舵性を好みにセッティングすることができる。
【0043】
ここで、クランクケース16の下部前側を支持する最前部のエンジンマウント部C1と、クランクケース16の上部後側を支持する最後部のエンジンマウント部C2との間の距離は、これら各エンジンマウント部C1,C2と第三のエンジンマウント部C3との間の距離よりも長く、エンジンマウント間での曲げ剛性が確保されることから、前記車体のねじれは、最前部及び最後部のエンジンマウント部C1,C2を結んだ線、すなわち直線Lを中心として生じ易くなる。
【0044】
このとき、車両側面視において前記直線Lの上方に所定量離間する第三のエンジンマウント部C3の剛性を調整することで、前記車体のねじれ量を比較的容易に調整することが可能である。また、第三のエンジンマウント部C3に連なるロアダウンパイプ59が直線Lと略直交するように配置されることでも、該ロアダウンパイプ59の長さを抑えてそのたわみ量を少なくし、もって車体のねじれが直線Lを中心に生じ易くなっている。
【0045】
この結果、後輪9の進行方向は、該後輪9が前輪接地部FTを通過する直線Lを中心として揺動することから、該直線Lを中心に車体がねじれて後輪接地部RTが左右にずれた場合でも、該後輪9の進行方向が前輪接地部FTを指向するようになっている。すなわち、本発明の構成をとることにより、車体がねじれても前輪接地部FTが後輪9の進行方向からずれないよう車体剛性を調整することが容易になり、車体前後の旋回時の一体感を高めることが可能となるわけである。
【0046】
以上説明したように、上記実施例における自動二輪車1は、足載せ部である低床部2の近傍に車体フレーム6に支持されたエンジン15が配置され、該エンジン15の後部には後輪9を軸支するスイングアーム25が揺動可能に軸支され、車体フレーム6が、ヘッドパイプ7から斜め下後方に延びるダウンフレーム11と、該ダウンフレーム11の下部からエンジン15の上方を後方に延びるメインフレーム12と、該メインフレーム12の後部から斜め上後方に延びるシートフレーム13とを有してなる低床式車両であって、メインフレーム12が、エンジン15の前部上方からスイングアーム軸支部の18a上方まで延在し、該メインフレーム12の後部に最後部のエンジンマウント部C2を設ける一方、ダウンフレーム11には最前部のエンジンマウント部C1を設け、該最前部のエンジンマウント部C1が、車両側面視で最後部のエンジンマウント部C2と前輪3の接地部FTとを結ぶ直線L上に位置するものである。
【0047】
この構成によれば、当該自動二輪車1の旋回走行時等に、エンジン15及びスイングアーム25を介して懸架される後輪9を含む車体後部と、車体フレーム6及びこれに枢支される前輪操舵系を含む車体前部との間でねじれが生じる場合、メインフレーム12をエンジン15の前部上方からスイングアーム軸支部18aの上方まで延在させてその剛性を確保させれば、前記ねじれはエンジンマウント間の距離が長い最前部のエンジンマウント部C1と最後部のエンジンマウント部C2との間を結ぶ直線Lを中心に生じさせることができ、さらに該直線L上に前輪3の接地部FTを位置させれば、該接地部FTに対する後輪9の進行方向のずれを抑えることが可能となる。すなわち、旋回走行時等に車体のねじれを適度に生じさせて当該車両の旋回性を高めつつ、該車体のねじれにより前輪3の接地部FTが後輪9の進行方向からずれることを抑えることで、車体前後の一体感を高め、乗員に車体の剛性を感じさせると共に、車両が機敏な動きをした際等の手応えを自由にセッティングすることができる。
【0048】
また、上記自動二輪車1においては、車両側面視で直線L上に、エンジン15のクランク軸部CJが位置することで、車体のねじれ線とジャイロ効果の高いクランクシャフトの回転中心とを近接させることにより、より無駄なく狙いのねじれ特性を出すことができる。
【0049】
さらに、上記自動二輪車1においては、車両側面視で直線L上であって後輪9の接地部RTの上方に、エンジン15の排気マフラー44Aの支持部C4が位置することで、車体のねじれがエンジン15をその排気系まで含めて支持する直線Lを中心に生じ易くなり、前輪接地部FTと後輪進行方向とのずれをさらに抑えることができる。
【0050】
さらにまた、上記自動二輪車1においては、ダウンフレーム11が、車両側面視で直線Lと略直交するように設けられることで、ダウンフレーム11の長さが抑えられてそのたわみ量が少なくなり、前輪接地部FTと後輪進行方向とのずれをさらに抑えることができる。
【0051】
しかも、上記自動二輪車1においては、車両側面視で直線Lの上方に、エンジン15の上部を支持する第三のエンジンマウント部C3を設けたことで、比較的車体剛性が高くかつ直線Lから離れた位置においてもエンジン15が支持されることとなり、排気量増加に伴いエンジン重量が増加した場合でも、直線Lを中心としたねじれ量を容易に調整することができる。
【0052】
ここで、上記自動二輪車1においては、ダウンフレーム11が、上下に並ぶように延びるアッパダウンパイプ58及びロアダウンパイプ59を有してなり、第三のエンジンマウント部C3が、アッパダウンパイプ59とメインフレーム12との接合部近傍に設けられることで、ダウンフレーム11自体の剛性が高まると共にその下部がエンジン15に結合されることとなり、車体前部を効率良く高剛性化できる。
【0053】
さらに、上記自動二輪車1においては、車体フレーム6が、ダウンフレーム11からエンジン15の下方に延びるフレーム部材を有さず、かつエンジン15の後側にてメインフレーム12から下方に延びるフレーム部材を有さないことで、エンジン15を下方に下げることができ、車両重心位置を低めに設定できる。また、ダウンフレーム11及びメインフレーム12から下方に延びる各フレーム部材を無くすことで、重量及びコストを削減できる。
【実施例2】
【0054】
次に、この発明の第二実施例について説明する。
この第二実施例は、前記第一実施例に対してエンジン形式のみ異なるもので、第一実施例と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図3に示すように、自動二輪車101の原動機であるエンジン115は、例えば水冷4ストロークV型二気筒エンジンであり、クランク軸を左右方向と平行にして配置され、クランクケース116の前端部から略前方に前シリンダ117fを立設させると共に、クランクケース116の上部から略上方に後シリンダ117rを立設させた構成を有する。クランクケース116の後方には、前記変速機ケース18が連設されている。
【0056】
前シリンダヘッド117faの前方にはラジエータ39が配置され、ラジエータ39の上方にはエアクリーナケース40が配置され、該エアクリーナケース40後部に接続されたスロットルボディ41から分岐して延びる各吸気管142が、前シリンダヘッド117fa上部及び後シリンダヘッド117ra前部の吸気ポートにそれぞれ接続される。また、前シリンダヘッド117fa下部及び後シリンダヘッド117ra後部の排気ポートにはそれぞれ排気管143が接続され、該各排気管143がエンジン115後方にて一本に集合した後に斜め上後方に立ち上がってサイレンサ44に接続される。
【0057】
ロアダウンパイプ59下方の前部下側エンジンハンガ63は、エンジン115のクランクケース116の前部下側に最前部のエンジンマウント部C1にて締結されてこれを支持する。また、メインパイプ65後端部の後部上側エンジンハンガ67は、エンジン115の変速機ケース18の後部上側に最後部のエンジンマウント部C2にて連結されてこれを支持する。さらに、メインパイプ65前部の前部上側エンジンハンガ68は、エンジン115のクランクケース116の前部上側に第三のエンジンマウント部C3にて締結されてこれを支持する。ここで、前部上側エンジンハンガ68及び第三のエンジンマウント部C3は、車両側面視で前後シリンダ117f,117r間に位置している。
【0058】
そして、車両側面視において、自動二輪車101の前輪3の接地部FT、前記前部下側エンジンハンガ63における最前部のエンジンマウント部C1、及び前記後部上側エンジンハンガ67における最後部のエンジンマウント部C2は、概ね後上がりの直線L上に位置すると共に、前記マフラーハンガー74における排気マフラー支持部C4、及びエンジン15におけるクランク軸部CJも、車両側面視において概ね直線L上に位置している。また、前部上側エンジンハンガ68における第三のエンジンマウント部C3は、直線Lの上方に所定量離間して設けられる。
【0059】
以上説明したように、上記第二実施例における自動二輪車101は、車体フレーム6に支持されるエンジン115が、前後シリンダ117f,117rを有するV型エンジンであり、第三のエンジンマウント部C3が前後シリンダ117f,117r間に配置されることで、高性能かつ幅狭なV型エンジンを搭載した場合におけるエンジン支持剛性を効率良く確保することができる。
【0060】
なお、この発明は上記各実施例に限られるものではなく、例えば、第三のエンジンマウント部C3が直線Lの下方に配置される構成であってもよい。また、メインフレーム12をスイングアームピボットの後方まで延ばしてシートフレーム13の一部を構成するようにしてもよい。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、エンジン形式や車体フレーム6の細部構成が上記各実施例に限定されないことはもちろん、該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の第一実施例における自動二輪車の側面図である。
【図2】上記自動二輪車の作用説明図である。
【図3】この発明の第二実施例における自動二輪車の側面図である。
【符号の説明】
【0062】
1,101 自動二輪車(低床式車両)
2 低床部
3 前輪
6 車体フレーム
7 ヘッドパイプ
9 後輪
11 ダウンフレーム
12 メインフレーム
13 シートフレーム
15,115 エンジン
18a スイングアーム軸支部
25 スイングアーム
44A 排気マフラー
58 アッパダウンパイプ(上側フレーム部材)
59 ロアダウンパイプ(下側フレーム部材)
C1 最前部のエンジンマウント部
C2 最後部のエンジンマウント部
C3 第三のエンジンマウント部
C4 排気マフラー支持部
FT 前輪接地部
RT 後輪接地部
CJ クランク軸部
L 直線





 

 


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