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発明の名称 制動力配分方法および車両用ブレーキ制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30797(P2007−30797A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−220236(P2005−220236)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
代理人 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
発明者 成田 哲博 / 高橋 進 / 小島 武志
要約 課題
前輪側の制動力と後輪側の制動力を配分する制動力配分方法であって、前輪の回転速度と後輪の回転速度とに不可避的な差が存在する場合であっても、前輪側の制動力と後輪側の制動力の配分を適切に調節することが可能な制動力配分方法および車両用ブレーキ制御装置を提供することを課題とする。

解決手段
左右の後輪Rの実際の車輪速度が各々の目標車輪速度に追従するように各後輪Rに対する制動力を制御することで、後輪R側の制動力と前輪F側の制動力の配分を調節するブレーキ制御方法であって、前輪Fの実際の減速量GFR(n)と前回使用した目標車輪速度TVRR(n−1)とに基づいて今回使用する目標車輪速度TVRR(n)を算出する。
特許請求の範囲
【請求項1】
左右の後輪の実際の車輪速度が各々の目標車輪速度に追従するように前記各後輪に対する制動力を制御することで、後輪側の制動力と前輪側の制動力の配分を調節する制動力配分方法であって、
前輪の実際の減速量と前回使用した目標車輪速度とに基づいて今回使用する目標車輪速度を算出することを特徴とする制動力配分方法。
【請求項2】
左右の後輪の実際の車輪速度が各々の目標車輪速度に追従するように前記各後輪に対する制動力を制御することで、後輪側の車輪ブレーキの制動力と前輪側の車輪ブレーキの制動力の配分を調節する制動力配分方法であって、
前輪の実際の減速量を前記後輪の目標減速量とし、前回使用した目標車輪速度から前記目標減速量を減算したものを今回使用する目標車輪速度とすることを特徴とする制動力配分方法。
【請求項3】
左右の前輪の少なくとも一方の実際の減速量が閾値よりも大きい場合には、予め規定された減速量を前記目標減速量とすることを特徴とする請求項2に記載の制動力配分方法。
【請求項4】
後輪側の車輪ブレーキの制動力と前輪側の車輪ブレーキの制動力の配分を調節可能な車両用ブレーキ制御装置であって、
左右の後輪の実際の車輪速度が各々の目標車輪速度に追従するように前記各後輪に対する制動力を制御する制動力配分制御部と、
前輪の実際の減速量に基づいて前記各後輪の目標減速量を設定する目標後輪減速量設定部と、
前記目標後輪減速量設定部により設定された目標減速量と前回使用した目標車輪速度とに基づいて今回使用する目標車輪速度を算出する目標車輪速度算出部とを備えることを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。
【請求項5】
前記目標後輪減速量設定部は、前輪の実際の減速量を前記各後輪の目標減速量として設定し、
前記目標車輪速度算出部は、前記目標後輪減速量設定部により設定された目標減速量を前回使用した目標車輪速度から減算して今回使用する目標車輪速度を算出することを特徴とする請求項4に記載の車両用ブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記目標後輪減速量設定部は、左右の前輪の少なくとも一方の実際の減速量が閾値よりも大きい場合には、予め規定された減速量を前記各後輪の目標減速量とすることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の車両用ブレーキ制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動力配分方法および車両用ブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動四輪車等において前輪の車輪ブレーキと後輪の車輪ブレーキとに制動力を与えると、車両の重心が前方へ移動して後輪の接地荷重が小さくなるので、後輪の方がロック傾向になり易いという問題がある。
【0003】
このような問題に対処するために、積載状態の変化や減速度による荷重移動に合わせて前輪側の車輪ブレーキの制動力と後輪側の車輪ブレーキの制動力を適切に配分することで、ブレーキの利きを安定させる制動力配分方法が提案されている。
【0004】
このような制動力配分方法は、ブレーキ配管中に比例液圧弁(プロポーショニングバルブ)を設けることにより実現されていたが、近年では、アンチロックブレーキ制御が可能な車両用ブレーキ制御装置に制動力を配分するための制御ロジックを搭載することで実現されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、前輪の車輪速度から後輪の車輪速度を減算した値が第一の規定値を超える場合に後輪のブレーキ液圧を減圧することで前輪側の制動力に対する後輪側の制動力の比率を低下させ、第一の規定値よりも小さい第二の規定値を下回る場合に後輪のブレーキ液を増圧することで前輪側の制動力に対する後輪側の制動力の比率を増加させる制動力配分方法が開示されている。つまり、特許文献1の制動力配分方法においては、後輪が目標とする目標車輪速度は、前輪の実際の車輪速度であり、後輪の実際の車輪速度が前輪の車輪速度に追従するように当該後輪に対する制動力を制御することで、後輪側の制動力と前輪側の制動力の配分を調節するものである。なお、車輪速度は、車輪に付設された車輪速度センサで検出された車輪の回転速度(角速度)に車輪の半径(以下、「タイヤ半径」という。)を乗算することで得ることができる。
【特許文献1】特開2003−118552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前後輪に異径タイヤを装着した場合はもちろんのこと、前輪と後輪とで摩耗度合いが異なっている場合や空気圧が異なっている場合など前輪のタイヤ半径と後輪のタイヤ半径とに差がある場合には、ロックの有無にかかわらず、前輪の回転速度と後輪の回転速度とに不可避的な差が生じてしまう。このため、各車輪の実際のタイヤ半径を把握しておかないと、回転速度にタイヤ半径を乗算することで得られる車輪速度に差が生じることになる。
【0007】
また、前後輪のタイヤ半径が同一であったとしても、旋回中においては、前輪と後輪とで旋回半径が異なることから、やはり前輪の回転速度(車輪速度)と後輪の回転速度(車輪速度)とに不可避的な差が生じてしまう。
【0008】
つまり、前輪の車輪速度から後輪の車輪速度を減算した値には、前後輪のタイヤ半径の差等に起因する誤差が含まれることになるので、このような値に基づいて後輪の制動力を増減させると、ブレーキ液圧回路中に設けられた電磁弁が必要以上に作動することになり、その結果、その作動音により搭乗者に不快感を与え、さらには、運転者の制動フィーリングを損なう虞がある。
【0009】
このような観点から、本発明は、前輪側の制動力と後輪側の制動力を配分する制動力配分方法であって、前輪の回転速度と後輪の回転速度とに不可避的な差が存在する場合であっても、前輪側の制動力と後輪側の制動力の配分を適切に調節することが可能な制動力配分方法を提供することを課題とし、さらには、このような制動力配分方法を実現することが可能な車両用ブレーキ制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決する本発明に係る制動力配分方法は、左右の後輪の実際の車輪速度が各々の目標車輪速度に追従するように前記各後輪に対する制動力を制御することで、後輪側の制動力と前輪側の制動力の配分を調節するブレーキ制御方法であって、前輪の実際の減速量と前回使用した目標車輪速度とに基づいて今回使用する目標車輪速度を算出することを特徴とする。
【0011】
要するに、本発明に係る制動力配分方法は、後輪の今回の目標車輪速度を設定する際に、前輪の実際の車輪速度を基準にせずに、後輪の前回の目標車輪速度を基準にするとともに、当該前回の目標車輪速度と前輪の実際の減速量とに基づいて後輪の今回の目標車輪速度を算出するところに特徴がある。このようにすると、前輪の回転速度(車輪速度)と後輪の回転速度(車輪速度)とに不可避的な差が存在する場合であっても、前輪に対する制動力と後輪に対する制動力の配分を適切に調節することが可能となる。なお、減速量とは、演算周期(すなわち、「前回」から「今回」までの時間)の間に減速した量を意味する。
【0012】
なお、前輪の実際の減速量を前記各後輪の目標減速量とし、前回使用した目標車輪速度から前記目標減速量を減算したものを今回使用する目標車輪速度としてもよい。このようにすると、後輪の目標車輪速度が前輪の実際の車輪速度と同じ割合で減少することになる。
【0013】
また、左右の前輪の少なくとも一方の実際の減速量が閾値よりも大きい場合には、予め規定された減速量を前記目標減速量とするとよい。このようにすると、例えば、前輪がロック傾向にあるような場合など前輪の実際の減速量が閾値よりも大きくなった場合に、閾値よりも大きい前輪の減速量を用いて後輪の目標車輪速度を設定してしまうという不具合がなくなる。
【0014】
また、前記した課題を解決する本発明に係る車両用ブレーキ制御装置は、後輪側の車輪ブレーキの制動力と前輪側の車輪ブレーキの制動力の配分を調節可能な車両用ブレーキ制御装置であって、左右の後輪の実際の車輪速度が各々の目標車輪速度に追従するように前記各後輪に対する制動力を制御する制動力配分制御部と、前輪の実際の減速量に基づいて前記各後輪の目標減速量を設定する目標後輪減速量設定部と、前記目標後輪減速量設定部により設定された目標減速量を前回使用した目標車輪速度から減算して今回使用する目標車輪速度を算出する目標車輪速度算出部とを備えることを特徴とする。
【0015】
このような車両用ブレーキ制御装置によると、後輪の車輪速度前輪の回転速度と後輪の回転速度とに不可避的な差が存在する場合であっても、前輪に対する制動力と後輪に対する制動力の配分を適切に調節することが可能となる。
【0016】
なお、前記目標後輪減速量設定部は、前輪の実際の減速量を前記後輪の目標減速量として設定するものであってもよい。また、前記目標車輪速度算出部は、前記目標後輪減速量設定部により設定された目標減速量を前回使用した目標車輪速度から減算して今回使用する目標車輪速度を算出するものであってもよい。
【0017】
また、前記目標後輪減速量設定部は、左右の前輪の少なくとも一方の実際の減速量が閾値よりも大きい場合には、予め規定された減速量を前記各後輪の目標減速量とするものであってもよい。このようにすると、例えば、前輪がロック傾向にあるような場合など前輪の実際の減速量が閾値よりも大きくなった場合に、閾値よりも大きい前輪の減速量を用いて後輪の目標車輪速度を設定してしまうという不具合がなくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る制動力配分方法によると、前輪の回転速度(車輪速度)と後輪の回転速度(車輪速度)とに不可避的な差が存在する場合であっても、前輪の制動力と後輪の制動力の配分を適切に調節することが可能となる。
【0019】
同様に、本発明に係る車両用ブレーキ制御装置によると、前輪の回転速度と後輪の回転速度とに不可避的な差が存在する場合であっても、前輪の制動力と後輪の制動力の配分を適切に調節することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
本実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置U1は、図1に示すように、左右の前輪F,Fを制動する車輪ブレーキFR,FLおよび左右の後輪R,Rを制動する車輪ブレーキRL,RRに作用するブレーキ液圧の大きさを制御することによって、車輪ブレーキFR,RL,RR,FLの独立したアンチロックブレーキ制御(以下、「ABS制御」という。)や後輪R側の車輪ブレーキRR,RLの制動力と前輪F側の車輪ブレーキFR,FLの制動力の配分を調節する制動力配分制御(以下、「EBD制御」という。)を実行するものであり、電磁弁やポンプ等の各種部品やブレーキ液の流路が設けられた液圧ユニット10と、この液圧ユニット10の各種部品を制御するための制御装置20とを備えている。
【0022】
液圧ユニット10は、液圧源であるマスタシリンダMと車輪ブレーキFR,RL,RR,FLとの間に介設されるものであり、図2に示すように、四つの車輪ブレーキFR,RL,RR,FLのうちの二つの車輪ブレーキFR,RLに制動力を付与するためのブレーキ系統K1および残り二つの車輪ブレーキRR,FLに制動力を付与するためのブレーキ系統K2を備えている。
【0023】
なお、マスタシリンダMは、ブレーキ操作子であるブレーキペダルPに加える踏力に応じた液圧を発生するものであり、二つのブレーキ系統K1,K2に対応して二つの出力ポートM1,M2を備えている。
【0024】
なお、ブレーキ系統K1,K2は、実質的に同一の構成であるので、以下においては主としてブレーキ系統K1について説明し、適宜ブレーキ系統K2について説明する。
【0025】
ブレーキ系統K1には、車輪ブレーキFR,RLに対応する二つの制御弁手段V,V、リザーバ4、ポンプ5、モータ6、ダンパ7、オリフィス8が設けられている。
【0026】
なお、以下では、マスタシリンダMから制御弁手段V,Vに至る流路(油路)を「出力液圧路A」と称し、制御弁手段V,Vから車輪ブレーキFR,RLに至る流路を「車輪液圧路B」と称する。また、ポンプ5から出力液圧路Aに至る流路を「吐出液圧路C」と称し、さらに、制御弁手段V,Vからポンプ5に至る流路を「開放路D」と称する。
【0027】
制御弁手段Vは、出力液圧路Aから車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入を許容しつつ開放路Dへの流出を遮断する増圧状態、出力液圧路Aから車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入を遮断しつつ開放路Dへの流出を許容する減圧状態および出力液圧路Aから車輪液圧路Bへのブレーキ液の流入を遮断しつつ開放路Dへの流出を遮断する保持状態を切り換える機能を有しており、入口弁1、出口弁2およびチェック弁3を備えて構成されている。
【0028】
入口弁1は、出力液圧路Aから車輪液圧路Bに至る流路に介設された常開型の電磁弁からなり、開弁状態にあるときに出力液圧路A側から車輪液圧路B側へのブレーキ液の流入を許容し、閉弁状態にあるときに遮断する。入口弁1を構成する常開型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルが制御装置20と電気的に接続されており、制御装置20からの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると閉弁し、消磁すると開弁する。
【0029】
出口弁2は、車輪液圧路Bから開放路Dに至る流路に介設された常閉型の電磁弁からなり、閉弁状態にあるときに車輪液圧路B側から開放路D側へのブレーキ液の流入を遮断し、開弁状態にあるときに許容する。出口弁2を構成する常閉型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルが制御装置20と電気的に接続されており、制御装置20からの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると開弁し、消磁すると閉弁する。
【0030】
チェック弁3は、その車輪液圧路B側から出力液圧路A側へのブレーキ液の流入のみを許容する一方向弁であり、各入口弁1と並列に接続されている。
【0031】
リザーバ4は、開放路Dに設けられており、各出口弁2が開放されることによって逃がされるブレーキ液を一時的に貯留する機能を有している。
【0032】
ポンプ5は、出力液圧路Aに通じる吐出液圧路Cと開放路Dとの間に介設されており、モータ6の回転力によって駆動し、リザーバ4に一時的に貯留されたブレーキ液を吸入して吐出液圧路Cに吐出する。これにより、リザーバ4に貯留されたブレーキ液が出力液圧路A等に還流される。
【0033】
モータ6は、ブレーキ系統K1にあるポンプ5およびブレーキ系統K2にあるポンプ5の共通の動力源であり、制御装置20からの指令に基づいて作動する。
【0034】
ダンパ7およびオリフィス8は、その協働作用によってポンプ5から吐出されたブレーキ液の脈動を減衰させている。
【0035】
制御装置20は、各前輪F(図1参照)に付設された前輪速度センサSFおよび各後輪R(図1参照)に付設された後輪速度センサSRからの出力に基づいて、入口弁1および出口弁2の開閉、並びに、モータ6の作動を制御するものであり、図示は省略するが、CPU(中央演算処理装置)、RAM、ROMおよび入出力回路を備えていて、前輪速度センサSFおよび後輪速度センサSRからの入力と、ROMに記憶された制御プログラムや各種の閾値(基準値)等とに基づいて各種演算処理を行うことによって、図3に示すように、前輪速度算出部21、後輪速度算出部22、前輪減速量算出部23、後輪減速量算出部24、目標後輪減速量設定部25、目標車輪速度算出部26、目標車輪速度記憶部27、判定部28、制動力配分制御部29およびアンチロック制御部30として機能する。なお、前輪速度センサSF,SFは、それぞれ回転速度ωFR,ωFLに応じた電気信号を前輪速度算出部21に出力する。同様に、後輪速度センサSR,SRは、それぞれ回転速度ωRR,ωRLに応じた電気信号を後輪速度算出部22に出力する。
【0036】
前輪速度算出部21は、演算周期Δt(「前回」の演算から「今回」の演算までの時間)ごとに、右側の前輪Fの前輪速度センサSFから出力された電気信号に基づいて右側の前輪Fの車輪速度VFRを算出するとともに、左側の前輪Fの前輪速度センサSFから出力された電気信号に基づいて左側の前輪Fの車輪速度VFLを算出し、得られた車輪速度VFR,VFLを前輪減速量算出部23と判定部28とアンチロック制御部30とに出力する。なお、右側の前輪Fの車輪速度VFRは、右側の前輪速度センサSFから出力された電気信号に所定の校正係数を乗じて右側の前輪Fの回転速度ωFRを算出した上で、回転速度ωFRに図示せぬROMに予め記憶されたタイヤ半径rを乗じることで算出される。左側の前輪Fの車輪速度VFLについても同様である。
【0037】
後輪速度算出部22は、演算周期Δtごとに、右側の後輪速度センサSRから出力された電気信号に基づいて右側の後輪Rの車輪速度VRRを算出するとともに、左側の後輪速度センサSRから出力された電気信号に基づいて左側の後輪Rの車輪速度VRLを算出し、得られた車輪速度VRR,VRLを後輪減速量算出部24、目標車輪速度算出部26、判定部28およびアンチロック制御部30に出力する。なお、右側の後輪Rの車輪速度VRRは、右側の後輪速度センサSRから出力された電気信号に所定の校正係数を乗じて後輪Rの回転速度ωRRを算出したうえで、回転速度ωRRに図示せぬROMに予め記憶されたタイヤ半径rを乗じることで算出される。左側の後輪Rの車輪速度VRLについても同様である。
【0038】
前輪減速量算出部23は、左右の前輪F,Fの各々について、演算周期Δtごとに実際の減速量GFR,GFLを算出し、得られた減速量GFR,GFLを目標後輪減速量設定部25に出力する。時刻t(n−1)における右側の前輪Fの車輪速度(前回の車輪速度)をVFR(n−1)とし、演算周期Δt後の時刻t(n)における右側の前輪Fの車輪速度(今回の車輪速度)をVFR(n)とすると、右側の前輪の減速量GFR(n)は次式で算出することができる(図4参照)。
FR(n)=VFR(n)−VFR(n−1)
同様に、左側の前輪Fの減速量GFL(n)は、次式で算出することができる。
FL(n)=VFL(n)−VFL(n−1)
【0039】
なお、以下の説明においては、「n−1」は「前回」であることを意味し、「n」は「今回」であることを意味する。
【0040】
後輪減速量算出部24は、左右の後輪R,Rの各々について、演算周期Δtごとに実際の減速量GRR,GRLを算出し、得られた減速量GRR,GRLを判定部28に出力する。時刻t(n−1)における右側の後輪Rの車輪速度(前回の車輪速度)をVRR(n−1)とし、演算周期Δt後の時刻t(n)における右側の後輪Rの車輪速度(今回の車輪速度)をVRR(n)とすると、右側の後輪の減速量GRR(n)は次式で算出することができる。
RR(n)=VRR(n)−VRR(n−1)
同様に、左側の後輪Rの減速量GRL(n)は、次式で算出することができる。
RL(n)=VRL(n)−VRL(n−1)
【0041】
目標後輪減速量設定部25は、左右の後輪R,Rの各々について、前輪減速量算出部23から出力された前輪F,Fの実際の減速量GFR,GFLに基づいて各後輪Rの今回の目標減速量TGRR,TGRLを設定し、得られた目標減速量TGRR,TGRLを目標車輪速度算出部26に出力するものである。なお、時刻t(n−1)から時刻t(n)までにおける右側の後輪Rの目標減速量TGRR(n)は、例えば、同時間における同側(すなわち、右側)の前輪Fの実際の減速量GFR(n)に基づいて、次式で算出することができる。
TGRR(n)=k・GFR(n)
ここで、kは定数であり、例えば、k=1とすると、右側の後輪Rの目標減速量TGRR(n)は、右側の前輪Fの実際の減速量GFR(n)と等しくなる。
同様に、左側の後輪Rの目標減速量TGRL(n)は、次式で算出することができる。
TGRL(n)=k・GFL(n)
ここで、kは定数であり、例えば、k=1とすると、左側の後輪Rの目標減速量GRL(n)は、左側の前輪Fの実際の減速量GFL(n)と等しくなる。
【0042】
なお、後輪Rの目標減速量TGRR(n),TGRL(n)は、左右の前輪F,Fの実際の減速量GFR(n),GFL(n)の平均値に基づいて次式により算出してもよい。
TGRR(n)=TGRL(n)=k・{GFR(n)+GFL(n)}/2
ここで、kは定数であり、k=1とすると、後輪Rの目標減速量TGRR(n),TGRL(n)は、左右の前輪F,Fの実際の減速量GFR(n),GFL(n)の平均値と等しくなる。
【0043】
また、後輪Rの目標減速量TGRR(n),TGRL(n)は、左右の前輪F,Fの実際の減速量GFR(n),GFL(n)の小さいほうに基づいて次式により算出してもよい。
TGRR(n)=TGRL(n)=k・min{GFR(n),GFL(n)}
ここで、kは定数であり、k=1とすると、後輪Rの目標減速量TGRR(n),TGRL(n)は、左右の前輪F,Fの実際の減速量GFR(n),GFL(n)の小さいほうと等しくなる。
【0044】
なお、目標後輪減速量設定部25は、左右の前輪F,Fの少なくとも一方の実際の減速量GFR(n),GFL(n)が予め設定された閾値αよりも大きい場合には、予め規定された減速量G’を目標減速量TGRR(n),TGRL(n)に設定する。
【0045】
目標車輪速度算出部26は、左右の後輪R,Rの各々について、目標後輪減速量設定部25により設定された目標減速量TGRR(n),TGRL(n)と前回使用した目標車輪速度TVRR(n−1),TVRL(n−1)とに基づいて今回使用する目標車輪速度TVRR(n),TVRL(n)を算出し、得られた目標車輪速度TVRR(n),TVRL(n)を目標車輪速度記憶部27に出力する。本実施形態においては、目標車輪速度算出部26は、前回使用した目標車輪速度TVRR(n−1),TVRL(n−1)から目標減速量TGRR(n),TGRL(n)を減算して今回使用する目標車輪速度TV(n),TVRL(n)を算出する。より具体的に説明すると、目標車輪速度算出部26は、後記する目標車輪速度記憶部27に記憶されている前回使用した目標車輪速度TVRR(n−1),TVRL(n−1)を読み出し、読み出した前回の目標車輪速度TV(n−1),TVRL(n−1)に基づいて次式により今回使用する目標車輪速度TVRR(n),TVRL(n)を算出する(図4参照)。
TVRR(n)=TVRR(n−1)−TGRR(n)
TVRL(n)=TVRL(n−1)−TGRL(n)
【0046】
また、目標車輪速度算出部26は、図4に示すように、今回(時刻t(n))検出された右側の後輪Rの実際の車輪速度VRR(n)から後輪Rの今回の目標車輪速度TVRR(n)を減算して速度差ΔVRR(n)を算出し、判定部28に出力する。同様に、左側の後輪Rについても速度差ΔVRL(n)を算出し、判定部28に出力する。
【0047】
目標車輪速度記憶部27は、目標車輪速度算出部26から出力された目標車輪速度TVRR(n),TVRL(n)を次回使用する目標車輪速度として記憶する。
【0048】
なお、目標車輪速度記憶部27は、判定部28においてEBD制御を実行すると判定されるまでは、後輪速度算出部22で算出された後輪R,Rの実際の車輪速度VRR,Vを後輪R,Rの目標車輪速度の初期値(すなわち、初回の目標車輪速度TVRR(1),TVRL(1)を算出する際の前回の目標車輪速度TVRR(0),TVRL(0))として記憶する。なお、目標車輪速度TVRR(0),TVRL(0)は、EBD制御が開始されるまでは、演算周期Δtごとに書き換えられる。
【0049】
判定部28は、前後の車輪ブレーキの制動力のEBD制御を実行するか否かを判定する。本実施形態では、判定部28は、目標車輪速算出部26で算出された目標車輪速度TVRR(TVRL)と後輪速度算出部22で算出された後輪Rの実際の車輪速度VRR(VRL)との差が所定値以上であり、かつ、後輪減速量算出部24で算出された後輪Rの実際の減速量GRR(GRL)が所定値以上であるときに、EBD制御を開始する条件が成立したと判定し、目標車輪速度算出部26で算出された速度差ΔVRR(n),ΔVRL(n)を制動力配分制御部29に出力する。
【0050】
制動力配分制御部29は、左右の後輪R,Rの実際の車輪速度VRR,VRLが各々の目標車輪速度TVRR(n),TVRL(n)に追従するように各後輪R,Rに対する制動力を制御するものである。
【0051】
右側の後輪Rを例にして説明すると、制動力配分制御部29は、速度差ΔVRR(n)の大小に応じて右側の後輪R(車輪ブレーキRR)に対応する制御弁手段V(図2に参照)を制御する。具体的には、速度差ΔVRR(n)が予め設定された増圧基準値β以上である場合(β≦ΔVRR(n))には、制御弁手段Vの入口弁1を開弁させるとともに、出口弁2を閉弁させる制御を実行し、速度差ΔVRR(n)が予め設定された減圧基準値βよりも大きく且つ増圧基準値β未満である場合(β<ΔVRR(n)<β)には、制御弁手段Vの入口弁1を閉弁させるとともに、出口弁2を閉弁させる制御を実行することで、車輪ブレーキRRに作用するブレーキ液圧を保持し、速度差ΔVRR(n)が減圧基準値β以下である場合(ΔVRR(n)≦β)には、制御弁手段Vの入口弁1を閉弁させるとともに、出口弁2を開弁させる制御を実行することで、車輪ブレーキRRに作用するブレーキ液圧を減圧する。
【0052】
なお、入口弁1を開弁し、出口弁2を閉弁すると、マスタシリンダMから車輪ブレーキRRに至る流路が連通することになるので、ブレーキペダルPの操作力に起因して発生したブレーキ液圧がそのまま車輪ブレーキRRに作用し、その結果、車輪ブレーキRRに作用するブレーキ液圧が増圧されることになる。また、入口弁1および出口弁2を閉弁すると、入口弁1および出口弁2で閉じられた流路内にブレーキ液が閉じ込められるので、車輪ブレーキRRに作用しているブレーキ液圧が一定に保持される。また、入口弁1を閉弁し、出口弁2を開弁すると、車輪ブレーキRRに作用していたブレーキ液が開放路Dを通ってリザーバ4に流入するので、車輪ブレーキRRに作用していたブレーキ液圧が減圧される。
【0053】
なお、制動力配分制御部29は、後記するアンチロック制御部30においてABS制御が実行された場合には、EBD制御を終了する。
【0054】
アンチロック制御部30は、ロック状態に陥りそうな前輪F,Fの車輪ブレーキFR,FLに対応する制御弁手段Vあるいはロック状態に陥りそうな後輪R,Rの車輪ブレーキRR,RLに対応する制御弁手段Vを制御するものである。より具体的に説明すると、アンチロック制御部30は、車体速度と各車輪の車輪速度とに基づいて、各車輪がロック状態に陥りそうであるか否かを判断し、ロック状態に陥りそうであると判断された車輪の車輪ブレーキに対応する制御弁手段Vの入口弁1および出口弁2の開閉を制御するものであり、このような制御を実行することにより、車輪ブレーキに作用するブレーキ液圧が減圧、増圧あるいは保持される。
【0055】
なお、アンチロック制御部30は、前輪F,Fおよび後輪R,Rの少なくとも一つがロック状態に陥りそうであると判断した場合には、ABS制御を実行中であることを示すフラグを「1」に設定する。
【0056】
以上のように構成された車両用ブレーキ制御装置U1は、図示せぬイグニッションスイッチをオンにしたときに、図5に示すフローチャートに対応する制御プログラムが実行されるように設定されていて、所定の条件を満足したときに左右の後輪R,Rの実際の車輪速度VRR,VRLが各々の目標車輪速度TVRR,TVRLに追従するように後輪R,Rに対する制動力を制御することで、後輪R,R側の制動力と前輪F,F側の制動力の配分を調節する。
【0057】
図3に示すブロック構成図と図5に示すフローチャートとを参照して車両用ブレーキ制御装置U1の動作をより詳細に説明する。制御プログラムが実行されると、まず、ステップ101に示すように、前輪速度算出部21により二つの前輪F,Fの各々について車輪速度VFR,VFLが算出され、後輪速度算出部22により二つの後輪R,Rの各々について車輪速度VRR,VRLが算出される。
【0058】
次に、ステップ102へ進み、前輪減速量算出部23により二つの前輪F,Fの各々について実際の減速量GFR,GFLが算出され、後輪減速量算出部24により二つの後輪R,Rの各々について実際の減速量GRR,GRLが算出される。
【0059】
続いて、ステップ103へ進み、ABS制御が実行されているか否かが判定され、ABS非制御中である(Yes)と判定された場合には、ステップ104へ進む。すなわち、アンチロック制御部30により設定されたフラグが「0」であれば、ABS非制御中である(Yes)と判定し、フラグが「1」であれば、ABS非制御中でない(No)と判定(すなわち、ABS制御中であると判定)する。なお、ステップ103において、ABS非制御中でない(No)と判定された場合には、ABS制御を優先するために、目標車輪速度記憶部27に記憶されている目標車輪速度TVRR(n−1),TVRL(n−1)をリセットしたうえで、ステップ101へ戻る。
【0060】
なお、ステップ104以降については、右側の後輪Rを制御する場合を例示し、左側の後輪Rについては、右側の後輪Rの場合と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0061】
ステップ104では、目標後輪減速量設定部25により、前輪減速量算出部23から出力された前輪Fの実際の減速量GFR(n)に基づいて右側の後輪Rの今回の目標減速量TGRR(n)が設定される。
【0062】
なお、図示は省略するが、ステップ104では、目標後輪減速量設定部25により、前輪Fの実際の減速量GFR(n)が予め設定された閾値αよりも大きいか否かが判定され、減速量GFR(n)が閾値αよりも大きいと判定された場合には、予め規定された減速量G’が目標減速量TGRR(n)として設定される。
【0063】
次に、ステップ105に進み、目標車輪速度算出部26により、目標車輪速度記憶部27に記憶されている前回使用した目標車輪速度TVRR(n−1)が読み出される。
【0064】
続いて、ステップ106に進み、目標車輪速度算出部26により、今回使用する目標車輪速度TVRR(n)が算出される。今回使用する目標車輪速度TVRR(n)は、例えば、前回使用した目標車輪速度TVRR(n−1)から目標後輪減速量設定部25により設定された目標減速量TGRR(n)を減算することにより得られる。今回使用する目標車輪速度TVRR(n)は、目標車輪速度記憶部27に一時的に格納される。
【0065】
なお、EBD制御の初回(図6において時刻T)に使用する目標車輪速度TVRR(1)は、時刻(T−Δt)に後輪速度算出部22で算出された後輪Rの実際の車輪速度VRR(0)から目標後輪減速量設定部25により設定された目標減速量TGRR(1)を減算することにより得られた値とする。つまり、制御対象となる後輪R自身の実際の車輪速度VRR(0)から目標減速量TGRR(1)を減算して初回の目標車輪速度TV(1)を算出し、二回目以降は、前回の目標車輪速度TRR(n−1)から今回の目標減速量TGRR(n)を減算して今回の目標車輪速度TRR(n)を算出する。
【0066】
ステップ107では、目標車輪速度算出部26により、後輪Rの今回の目標車輪速度TVRR(n)から同時刻に検出された右側の後輪Rの実際の車輪速度VRR(n)を減算して速度差ΔVRR(n)が算出される。
【0067】
続いて、ステップ108へ進み、判定部28によりEBD制御の開始条件が成立するか否かが判定され、EBD制御の開始条件が成立する(Yes)と判定された場合には、ステップ109に進む。なお、ステップ108において、EBD制御の実行条件が成立しない(No)と判定された場合には、目標車輪速度記憶部27に記憶されている目標車輪速度TVRR(n−1),TVRL(n−1)をリセットしたうえで、ステップ101へ戻る。
【0068】
続いて、ステップ109に進み、制動力配分制御部29により、速度差ΔVRR(n)が増圧基準値β以上(β≦ΔVRR(n))であるか否かが判定され、速度差ΔV(n)が増圧基準値β以上である(Yes)と判定された場合には、ステップ110に進み、制御弁手段Vの入口弁1を開弁させるとともに、出口弁2を閉弁させる制御が実行される。なお、入口弁1を開弁させ、出口弁2を閉弁させると、マスタシリンダMで発生したブレーキ液圧が車輪ブレーキRRに作用するので(図2参照)、車輪ブレーキRRに作用するブレーキ液圧は増圧される。
【0069】
ステップ109において、速度差ΔVRR(n)が増圧基準値β以上でない(No)と判定された場合には、ステップ111に進み、速度差ΔVRR(n)が減圧基準値β以下(ΔVRR(n)≦β)であるか否かが判定され、速度差ΔVRR(n)が減圧基準値β以下である(Yes)と判定された場合には、ステップ112に進み、制御弁手段Vの入口弁1を閉弁させるとともに、出口弁2を開弁させる制御が実行される。なお、入口弁1を閉弁させ、出口弁2を開弁させると、リザーバ4にブレーキ液が流入するので(図2参照)、車輪ブレーキRRに作用するブレーキ液圧は減圧される。
【0070】
ステップ111において、速度差ΔVRR(n)が減圧基準値β以下でない(No)と判定された場合(すなわち、速度差ΔVRR(n)が減圧基準値βよりも大きく且つ増圧基準値β未満である場合(β<ΔVRR(n)<β))には、ステップ113に進み、制御弁手段Vの入口弁1を閉弁させるとともに、出口弁2を閉弁させる制御が実行される。なお、入口弁1と出口弁2を閉弁させると、車輪ブレーキRRに作用するブレーキ液圧が保持される。
【0071】
ステップ110、112,113が実行された後は、ステップ101に戻り、前記した各ステップが繰り返される。
【0072】
図6を参照して、本実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置U1による制動力配分方法を説明する。ここで、図6の(a)は、前輪および後輪の車輪速度の時間変化を示すグラフ、図6の(b)は、後輪の実際の車輪速度と目標車輪速度との差の時間変化を示すグラフ、図6の(c)は、車輪ブレーキに作用するブレーキ液圧の時間変化を示すグラフである。
【0073】
なお、図6では、右側の前輪Fの減速量に基づいて右側の後輪Rを制御する場合を例示する。また、図6は、前輪Fのタイヤ半径と後輪Rのタイヤ半径とに差があるか、あるいは、旋回中であることに起因して前輪Fの車輪速度VFR(回転速度)と後輪Rの車輪速度VRR(回転速度)とに不可避的な差が生じている場合を例示するが、前輪Fの車輪速度VFRと後輪Rの車輪速度VRRとに差がない場合であっても、本実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置U1および制動力配分方法を適用することができることは言うまでもない。
【0074】
時刻Tでブレーキを開始(ブレーキペダルP(図2参照)を操作)すると、目標車輪速度TVRRと後輪Rの実際の車輪速度VRRとの差が所定値以上、かつ、後輪の実際の減速量GRRが所定値以上であるというEBD制御の開始条件が成立するまでは、後輪Rの車輪ブレーキRRのブレーキ液圧は、ブレーキペダルPの踏力に応じて増圧される。なお、EBD制御およびABS制御が実行されていない状態においては、制御弁手段Vの入口弁1が開弁し、出口弁2が閉弁しているので、マスタシリンダMで発生したブレーキ液圧は、そのまま車輪ブレーキRRに作用する(図2参照)。
【0075】
本実施形態では、時刻TにおいてEBD制御の開始条件が成立するが、実際の車輪速度VRR(n)と今回の目標車輪速度TVRR(n)との速度差ΔVRR(n)が増圧基準値βを下回るまでは、入口弁1が開弁され、出口弁2が閉弁されるので(図5のステップ109,110参照)、車輪ブレーキRRのブレーキ液圧は、引き続きブレーキペダルPの踏力に応じて増圧される。
【0076】
速度差ΔVRR(n)が増圧基準値βを下回る時刻Tから、減圧基準値βを下回る時刻Tまでは、入口弁1と出口弁2が閉弁されるので(図5のステップ111,113参照)、車輪ブレーキRRのブレーキ液圧は、保持される。
【0077】
速度差ΔVRR(n)が減圧基準値β以下になる時刻Tから、減圧基準値βを上回る時刻Tまでは、入口弁1が閉弁され、出口弁2が開弁されるので(図5のステップ111,112参照)、車輪ブレーキRRのブレーキ液圧は、減圧される。
【0078】
速度差ΔVRR(n)が減圧基準値βを上回る時刻Tから、増圧基準値β以上になる時刻Tまでは、入口弁1と出口弁2が閉弁されるので(図5のステップ111,113参照)、車輪ブレーキRRのブレーキ液圧は、保持される。
【0079】
速度差ΔVRR(n)が増圧基準値β以上になる時刻T以降は、入口弁1が開弁され、出口弁2が閉弁されるので(図5のステップ109,110参照)、車輪ブレーキRRのブレーキ液圧は、増圧される。
【0080】
このようなフローに従って制御弁手段Vの入口弁1および出口弁2を開閉すると、前輪Fの車輪ブレーキFRに作用するブレーキ液圧と後輪Rの車輪ブレーキRRに作用するブレーキ液圧とが適切に配分され(図6の(c)参照)、後輪Rの実際の車輪速度VRR(n)が目標車輪速度TVRR(n)に追従するようになる(図6の(a)参照)。
【0081】
なお、後輪Rの実際の減速量GRR(n)が所定値よりも小さくなってEBD制御の開始条件が不成立となると(図5のステップ108参照)、EBD制御は一旦終了する(時刻T)。EBD制御が実行されていない状態においては、入口弁1が開弁し、出口弁2が閉弁しているので、車輪ブレーキRRのブレーキ液圧は、ブレーキペダルPの踏力に応じて増圧される。
【0082】
なお、前輪Fの実際の車輪速度VFRと後輪Rの実際の車輪速度VRRとの差が所定値以上、かつ、後輪の実際の減速量GRRが所定値以上になってEBD制御の開始条件が成立すると(時刻T)、EBD制御が再開される(図5のステップ109〜113が実行される)。
【0083】
以上説明したように、本実施形態に係るブレーキ制御方法は、前輪F,Fの実際の減速量VFR(n),VFL(n)と前回使用した目標車輪速度TVRR(n−1),TV(n−1)とに基づいて今回使用する目標車輪速度TVRR(n),TVRL(n)を算出するものである。すなわち、本実施形態に係るブレーキ制御方法は、後輪Rの制動力を増減させる際の基準となる目標車輪速度TVRR(n),TVRL(n)を、前輪Fの実際の車輪速度VFR(n),VFL(n)を基準にして設定するのではなく、後輪Rが前回目標とした目標車輪速度TVRR(n−1),TVRL(n−1)を基準にして設定するので、前輪F,Fの回転速度ωFR(n),ωFL(n)と後輪R,Rの回転速度ωRR(n),ωRL(n)とに不可避的な差が存在する場合であっても、前輪Fに対する制動力と後輪Rに対する制動力の配分を適切に調節することが可能となる。
【0084】
また、目標後輪減速量設定部25は、前輪F,Fの少なくとも一方の実際の減速量G(n),GFL(n)が閾値αよりも大きい場合には、予め規定された減速量G’を目標減速量TGRR(n),TGRL(n)に設定するので、例えば、前輪F,Fがロック傾向にあるような場合など前輪F,Fの実際の減速量GFR(n),GFL(n)が閾値αよりも大きくなった場合に、閾値αよりも大きい前輪F,Fの減速量GFR(n),GFL(n)を用いて後輪R,Rの目標車輪速度TVRR(n),TVRL(n)を設定してしまうという不具合がなくなる。
【0085】
なお、本実施形態では、ブレーキ液圧を利用して車輪ブレーキに制動力を付与する形式の車両用ブレーキ制御装置U1を例示したが、これに限定されることはなく、電気の力を利用して車輪ブレーキに制動力を付与する形式の車両用ブレーキ制御装置であっても勿論よい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置を搭載した車両を示す模式図である。
【図2】本実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置の液圧回路図である。
【図3】本実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置の制御装置のブロック構成図である。
【図4】目標車輪速度の算出方法を説明するためのグラフである。
【図5】本実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】(a)は前輪および後輪の車輪速度の時間変化を示すグラフ、(b)は後輪の実際の車輪速度と目標車輪速度との差の時間変化を示すグラフ、(c)は車輪ブレーキに作用するブレーキ液圧の時間変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0087】
U1 車両用ブレーキ制御装置
1 入口弁
2 出口弁
10 液圧ユニット
20 制御装置
24 後輪減速量算出部
25 目標後輪減速量設定部
26 目標車輪速度算出部
29 制動力配分制御部




 

 


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