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発明の名称 横加速度計算方法および横加速度計算装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30771(P2007−30771A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−219434(P2005−219434)
出願日 平成17年7月28日(2005.7.28)
代理人 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
発明者 黒崎 崇史 / 高橋 進 / 小島 武志 / 吉田 達 / 本庄 史明
要約 課題
車輪のスリップに起因する推定横加速度のずれを排除する。

解決手段
車輪速度から車両の仮横加速度を計算する仮横加速度計算部21bと、左側と右側の前後輪の車輪速度差を計算する車輪速度差計算部21cと、推定車体速度を計算する推定車体速度計算部21dと、推定車体速度により可能性の有り得る範囲内の推定車輪速度差を取得する推定車輪速度差取得部21eと、車輪速度差が取得した推定車輪速度差の範囲内のとき、仮横加速度を推定横加速度とし、車輪速度差が取得した推定車輪速度差の範囲内ではないとき、仮横加速度を減少方向に補正して車両の推定横加速度とする横加速度計算部21fとを具備した。
特許請求の範囲
【請求項1】
左右の車輪速度に基づいて、車両の推定横加速度を計算する方法であって、
車輪速度から車両の仮横加速度を計算する過程と、
車両の左側と右側とのそれぞれについて前後輪の車輪速度差を計算するとともに、車両の推定車体速度を計算する過程と、
計算された推定車体速度により、可能性の有り得る範囲内の推定車輪速度差を取得する過程と、
計算された車輪速度差が、取得した推定車輪速度差の範囲内に収まらないときに、計算された仮横加速度を減少方向に補正する過程と、を具備したことを特徴とする横加速度計算方法。
【請求項2】
車輪速度から車両の仮横加速度を計算する仮横加速度計算部と、
車両の左側と右側とのそれぞれについて前後輪の車輪速度差を計算する車輪速度差計算部と、
車両の推定車体速度を計算する推定車体速度計算部と、
計算された推定車体速度により、可能性の有り得る範囲内の推定車輪速度差を取得する推定車輪速度差取得部と、
計算された車輪速度差が、取得した推定車輪速度差の範囲内に収まるときに、計算された仮横加速度を前記車両の推定横加速度とし、計算された車輪速度差が、取得した推定車輪速度差の範囲内に収まらないときに、計算された仮横加速度を減少方向に補正して前記車両の推定横加速度とする横加速度計算部と、を具備したことを特徴とする横加速度計算装置。
【請求項3】
前記横加速度計算部は、車輪速度差が推定車輪速度差の範囲内に収まらないとき、前回の仮横加速度を前記車両の今回の推定横加速度とすることを特徴とする請求項2に記載の横加速度計算装置。
【請求項4】
前記推定車輪速度差取得部は、車体速度と車輪速度差との予め定められた関係を示すマップまたは関数に基づいて推定車輪速度差を取得することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の横加速度計算装置。
【請求項5】
前記マップは、前記車輪速度差計算部により計算された車輪速度差が、駆動輪側が大きい場合と従動輪側が大きい場合とで個別に設定され、前記推定車輪速度差取得部は、前記車輪速度差に基づき前記マップを選択して推定車輪速度差を取得することを特徴とする請求項4に記載の横加速度計算装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、横加速度計算方法および横加速度計算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンチロックブレーキ制御などの車両の挙動制御をする場合には、車体の横方向にかかる加速度(本明細書において「横加速度」という)を検出ないし推定して制御のための情報に用いることがある。この場合の横加速度は、加速度センサを用いることで直接検出することもできるが、加速度センサを設けるのはコスト面で不利であることから、左右の車輪速度の差を用いて計算により推定横加速度を得ることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−26089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、左右の車輪速度の差に基づいて推定横加速度を計算する場合、車輪が地面に追従していることを前提に、車体速度を考慮して推定横加速度を計算している。
しかし、車両の旋回走行中などに、左右の車輪がスリップして車輪が路面に追従しなくなることがあり、そのまま従来の方法で推定横加速度を計算すると、誤った値を計算することになる。
【0005】
そこで、本発明では、車輪のスリップに起因する推定横加速度のずれを排除することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明は、左右の車輪速度に基づいて、車両の推定横加速度を計算する方法を提供する。この方法は、車輪速度から車両の仮横加速度を計算する過程と、車両の左側と右側とのそれぞれについて前後輪の車輪速度差を計算するとともに、車両の推定車体速度を計算する過程と、計算された推定車体速度により、可能性の有り得る範囲内の推定車輪速度差を取得する過程と、計算された車輪速度差が、取得した推定車輪速度差の範囲内に収まらないときに、計算された仮横加速度を減少方向に補正する過程と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
このように、計算された車輪速度差が、取得した推定車輪速度差の範囲内に収まらない場合には、推定車輪速度差の範囲内からの差が大きい程、車輪がスリップしている可能性が高いといえる。そのため、計算された車輪速度差が、取得した推定車輪速度差の範囲内に収まらないときに、計算された仮横加速度を減少方向に補正することで、真の横加速度からのずれが小さくなる。
【0008】
また、本発明は、左右の車輪速度に基づいて、車両の推定横加速度を計算する装置を提供する。この装置は、車輪速度から車両の仮横加速度を計算する仮横加速度計算部と、車両の左側と右側とのそれぞれについて前後輪の車輪速度差を計算する車輪速度差計算部と、車両の推定車体速度を計算する推定車体速度計算部と、計算された推定車体速度により、可能性の有り得る範囲内の推定車輪速度差を取得する推定車輪速度差取得部と、計算された車輪速度差が、取得した推定車輪速度差の範囲内に収まるときに、計算された仮横加速度を前記車両の推定横加速度とし、計算された車輪速度差が、取得した推定車輪速度差の範囲内に収まらないときに、計算された仮横加速度を減少方向に補正して前記車両の推定横加速度とする横加速度計算部と、を具備したことを特徴とする。
【0009】
このような装置によっても、前記した方法と同様にして、計算された車輪速度差が、取得した推定車輪速度差の範囲内に収まらないときに、計算された仮横加速度を減少方向に補正して車両の推定横加速度とするので、車輪のスリップに起因する推定横加速度のずれを排除することができる。
【0010】
前記した装置においては、前記横加速度計算部は、車輪速度差が推定車輪速度差の範囲内に収まらないとき、前回の仮横加速度を車両の今回の推定横加速度とすることができる。また、車体速度と車輪速度差との予め定められた関係を示すマップまたは関数に基づいて推定車輪速度差を取得することができる。
さらに、マップは、車輪速度差計算部により計算された車輪速度差が、駆動輪側が大きい場合と従動輪側が大きい場合とで個別に設定され、推定車輪速度差取得部は、車輪速度差に基づきマップを選択して推定車輪速度差を取得することができる。
このような装置によっても、車輪のスリップに起因する推定横加速度のずれを排除することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車輪のスリップに起因する推定横加速度のずれを排除することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る横加速度計算装置が適用される車両用ブレーキ液圧制御装置を備えた車両のブレーキ系を示す構成図、図2は液圧ユニットの液圧回路図である。
【0013】
図1に示すように、車両用ブレーキ液圧制御装置100は、車両CRの各車輪Tに付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御するためのものであり、油路や各種部品が設けられた液圧ユニット10と、この液圧ユニット10内の各種部品を適宜制御するための制御装置20とを主に備えている。また、この車両用ブレーキ液圧制御装置100の制御装置20には、車両CRの各車輪Tの車輪速度、詳細には車輪Tの回転速度を検出するための車輪速センサ30が接続されている。なお、車両CRは、前輪側が駆動輪となる前輪駆動車として説明する。
液圧ユニット10から出力されるブレーキ液圧は、配管を介して各車輪Tに設けられたホイールシリンダHに供給されるようになっており、各ホイールシリンダHを介して各車輪Tに設けられた車輪ブレーキFL,RR,RL,FRにブレーキ液圧が付与されるようになっている。
また、制御装置20は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、各車輪速センサ30からの入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。また、ホイールシリンダHは、マスタシリンダMおよび車両用ブレーキ液圧制御装置100により発生されたブレーキ液圧を各車輪Tに設けられた車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの作動力に変換する液圧装置であり、それぞれ配管を介して車両用ブレーキ液圧制御装置100の液圧ユニット10に接続されている。
【0014】
車輪速センサ30は、各車輪Tの車輪速度を検出するセンサであり、各車輪Tのそれぞれに1つずつ設けられている。各車輪速センサ30は、前記のように制御装置20に接続されており、これにより制御装置20が4つの車輪(四輪)Tの全ての車輪速度を取得することが可能となっている。
【0015】
図2に示すように、車両用ブレーキ液圧制御装置100は、運転者がブレーキペダルPに加える踏力に応じたブレーキ液圧を発生するマスタシリンダMと、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとの間に配置されている。マスタシリンダMの二つの出力ポートM1,M2は、基体であるポンプボディ10aの入口ポート121に接続され、ポンプボディ10aの出口ポート122が、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに接続されている。そして、通常時は車両用ブレーキ液圧制御装置100内の入口ポート121から出口ポート122までが連通した油路となっていることで、ブレーキペダルPの踏力が各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達されるようになっている。
【0016】
車両用ブレーキ液圧制御装置100には、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに対応して四つの入口弁1、四つの出口弁2、および四つのチェック弁1aが設けられる。また、出力ポートM1,M2に対応した各出力液圧路81,82に対応して二つのリザーバ3、二つのポンプ4、二つのダンパ5、二つのオリフィス5aが設けられ、二つのポンプ4を駆動するための電動モータ6を備えている。
【0017】
入口弁1は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとマスタシリンダMとの間に配置された常開型の電磁弁である。入口弁1は、通常時に開いていることで、マスタシリンダMから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRへブレーキ液圧が伝達するのを許容している。また、入口弁1は、車輪Tがロックしそうになったときに制御装置20により閉塞されることで、ブレーキペダルPから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達する液圧を遮断する。
【0018】
出口弁2は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRと各リザーバ3との間に配置された常閉型の電磁弁である。出口弁2は、通常時に閉塞されているが、車輪Tがロックしそうになったときに制御装置20により開放されることで、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに加わるブレーキ液圧を各リザーバ3に逃がす。
【0019】
チェック弁1aは、各入口弁1に並列に接続されている。このチェック弁1aは、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、ブレーキペダルPからの入力が解除された場合に入口弁1を閉じた状態にしたときにおいても、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入を許容する。
【0020】
リザーバ3は、各出口弁2が開放されることによって逃がされるブレーキ液を吸収する機能を有している。
ポンプ4は、リザーバ3で吸収されているブレーキ液を吸入し、そのブレーキ液をダンパ5やオリフィス5aを介してマスタシリンダMへ戻す機能を有している。これにより、リザーバ3によるブレーキ液圧の吸収によって減圧された各出力液圧路81,82の圧力状態が回復される。
【0021】
図3は、実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置100の要部のブロック構成図であり、図4は、横加速度推定部の詳細を示すブロック構成図である。
図3に示すように、制御装置20は、各車輪速センサ30が検出した車輪Tの回転速度に基づき、液圧ユニット10内の各入口弁1および出口弁2(図2参照)の開閉動作を制御して、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの動作を制御するものである。
制御装置20は、機能部として横加速度推定部21、ブレーキ制御部24とを有する。また、横加速度推定部21はマップ記憶部21Aを有し、ブレーキ制御部24は、目標液圧設定部25および弁駆動部26を有する。
【0022】
横加速度推定部21は、4つの車輪の車輪速度を車輪速センサ30により入力し、車両CRの推定横加速度を計算する。横加速度推定部21は、図4に示すように、さらに詳細な機能部として、車輪速度計算部21a、仮横加速度計算部21b、車輪速度差計算部21c、推定車体速度計算部21d、推定車輪速度差取得部21e、推定横加速度計算部21fを備える。
【0023】
車輪速度計算部21aは、4つの車輪Tの各車輪速センサ30がそれぞれ出力した車輪Tの回転速度ωRL,ωRR,ωFL,ωFRに基づき、車輪Tの半径を乗じて車輪速度VRL,VRR,VFL,VFRを計算する。このうち計算した後輪側の車輪速度VRL,VRRは、仮横加速度計算部21bに出力される。また、4つの車輪Tの車輪速度V,VRR,VFL,VFRは、車輪速度差計算部21cおよび推定車体速度計算部21dに出力される。
【0024】
仮横加速度計算部21bは、従来と同じ方法により、車輪速度VRL,VRRから仮横加速度Gy′(n)を計算する。例えば、仮横加速度Gy′(n)を、次式
Gy′(n)=(VRL−VRR)×(VRL+VRR)/2×TR・・・(1)
により計算する。ここで、TRは後輪のトレッド(輪距)である。なお、本明細書において、Gy′などの変数に続けて記す(n)は、今回の計算結果を示し、(n−1)は、前回の計算結果を示す。
【0025】
車輪速度差計算部21cは、車両CRの左側と右側とのそれぞれについて前後輪の車輪速度差を計算する。左側の前後輪の車輪速度差ΔLVを、次式
ΔLV=VFL−VRL・・・(2)
により計算する。また、右側の前後輪の車輪速度差ΔRVを、次式
ΔRV=VFR−VRR・・・(3)
により計算する。
【0026】
推定車体速度計算部21dは、車両の推定車体速度を計算する。推定方法としては、従来公知の方法により行えばよく、特に限定されない。一例をあげれば、車輪速度計算部21aで計算した各車輪Tの車輪速度VRL,VRR,VFL,VFRを入力し、この車輪速度VRL,VRR,VFL,VFRから平均値を計算して、これを車体速度Vとする。
【0027】
推定車輪速度差取得部21eは、推定車体速度計算部21dで計算された車体速度Vを入力し、この車体速度Vに対する可能性の有り得る範囲内の推定車輪速度差ΔV、つまり、旋回走行中にスリップすることのない前輪と後輪との車輪速度差を取得する。推定車輪速度差ΔVは、マップ記憶部21Aに記憶されたマップを参照して取得する。取得された推定車輪速度差ΔVは、横加速度計算部21fに出力される。
【0028】
ここで、マップ記憶部21Aが記憶しているマップは、例えば図5に示すようなものである。図5に示すように、マップ記憶部21Aのマップは、車両CRの図示しないステアリングを少なくともはじめは最大に切っている状態で車体速度を上げていったときの車体速度と車輪速度差との関係から導き出したものであり、図中斜線で示した部分が、車両CRの旋回走行時に可能性の有り得る車輪速度差ΔVを示している。つまり、図中斜線で示した部分、例えば、車輪速度差の値が符号Aで示したポイントにあるときには、その車輪速度差は、車両CRの旋回走行時に通常有り得る車輪速度差で車輪Tが路面をグリップしている状態に該当する。また、図中斜線で示した部分から外れたところ、例えば、車輪速度差の値が符号Bで示したポイントにあるときには、その車輪速度差は、車両CRの車輪Tが旋回走行時にスリップしている状態に該当する。
図5のマップをより詳しく説明すると、車体速度Vが小さいとき、車体速度V1までの範囲では車輪速度差ΔV(絶対値)が大きく(前輪と後輪との車輪速度差が大きく)なる。一方、車体速度V1を境に車体速度Vが大きくなるほど、車輪速度差ΔV(絶対値)が小さくなる。これは、ハンドルを最大に切った状態で車体速度Vが次第に増加してくると、車輪Tがスリップする限界(車体速度V1)を超える前までは、ハンドルを最大に切った状態(車輪速度差ΔVの大きい状態)を維持することができるが、車輪Tがスリップする限界を超えた後は、ハンドルを少しずつ戻す(旋回半径が大きくなる)ことでグリップが維持されることとなり、これによって車輪速度差ΔV(絶対値)は、車体速度の増加とともに小さくなるからである。
【0029】
推定横加速度計算部21fは、仮横加速度計算部21b、車輪速度差計算部21c、推定車輪速度差取得部21eから各データを入力し、これに基づいて推定横加速度を計算する。具体的には、車輪速度差計算部21cで計算された車輪速度差ΔLV,ΔRVの両方が、推定車輪速度差取得部21eで取得した推定車輪速度差ΔVの範囲内に収まるか否かを判断し、両方とも収まるときに、仮横加速度計算部21bで計算された仮横加速度Gy′(n)を車両CRの推定横加速度Gy(n)として設定する。また、計算された車輪速度差ΔLV,ΔRVのいずれか一方が、取得した推定車輪速度差ΔVの範囲内に収まらないときに、計算された仮横加速度Gy′(n)を減少方向に補正して車両CRの推定横加速度Gy(n)として設定する。
【0030】
本実施形態では、計算された仮横加速度Gy′(n)を減少方向に補正する手法として、仮横加速度Gy′(n)を前回の仮横加速度Gy′(n−1)に設定し、これを今回の推定横加速度Gy(n)とする手法を採っている。
Gy(n)=Gy′(n−1)・・・(4)
これは、前回の仮横加速度Gy′(n−1)を計算した時点では、計算された車輪速度差ΔLV,ΔRVが、推定車輪速度差取得部21eで取得した推定車輪速度差ΔVの範囲内に収まる(スリップしていない状態の)ものであるからであり、推定横加速度を比較的正確に算出することができるからである。
なお、仮横加速度Gy′(n)を減少方向に補正する手法としては、前回の仮横加速度Gy′(n−1)から所定値を減算したものを車両CRの推定横加速度Gy(n)として設定することもできる。
Gy(n)=Gy′(n−1)−所定値・・・(5)
このように補正する手法は、例えば、ウエット路面における直線走行時に、4つの車輪Tのうち1つの車輪Tの車輪速度が他の車輪Tの車輪速度と異なる速度に計算されたような場合(1輪のみスリップしているような状況)に適用することができる。この場合においても、推定横加速度を比較的正確に算出することが可能となる。なお、車両CRの走行状況等に応じて、推定横加速度計算部21fが前記式(4)と前記式(5)とを選択して用いるように構成することもできる。
【0031】
推定横加速度計算部21fで計算された推定横加速度Gy(n)は、ブレーキ制御部24の目標液圧設定部25へ出力される。
【0032】
目標液圧設定部25は、横加速度推定部21が計算した推定横加速度Gy(n)および車輪速センサ30が検出した車輪Tの回転速度ωに基づき各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの目標液圧を設定する。この設定の方法は、従来公知の方法により行えばよく、特に限定されない。例えば、前記推定車体速度計算部21dで計算した車体速度Vと車輪速度VRL,VRR,VFL,VFRからスリップ率を計算する。さらに、推定横加速度Gy(n)と前後の車体加速度に基づき、合成加速度を演算し、この合成加速度から路面の摩擦係数を推定する。そして、この摩擦係数、スリップ率、および現在のホイールシリンダHの液圧に基づいて各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの目標液圧を設定することができる。
【0033】
弁駆動部26は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRのホイールシリンダHの液圧が目標液圧設定部25の設定した目標液圧に一致するように、従来公知の方法により液圧ユニット10内の各入口弁1および出口弁2を作動させるパルス信号を液圧ユニット10へ出力する。このパルス信号は、例えば、現在のホイールシリンダHの液圧と目標液圧との偏差が大きいほど多くのパルスを出力するようにする。なお、現在のホイールシリンダHの液圧は、センサにより測定してもよいし、計算により推定してもよい。
【0034】
以上のような車両用ブレーキ液圧制御装置100の動作について、図6を参照しながら説明する。図6は、横加速度推定部21の処理を示すフローチャートである。
【0035】
車両CRが旋回走行を開始したときの計算処理は、図6に示すように、まず、車輪速度VRL,VRRから、従来と同様にして仮横加速度Gy′(n)を計算し(S1)、車輪速度VRL,VRR,VFL,VFRから、左側と右側とのそれぞれについて前後輪の車輪速度差ΔLV,ΔRVを計算する(S2)。また、車輪速度VRL,VRR,VFL,VFRから、車両CRの車体速度Vを計算し、(S3)、この計算して推定した車体速度Vに基づいて推定車輪速度差ΔVをマップより取得する(S4)。そして、S2で計算した車輪速度差ΔLV,ΔRVが、S4で取得した推定車輪速度差ΔVに収まるか否かが判断され(S5)、収まる場合(Yes)には、仮横加速度Gy′(n)を推定横加速度Gy(n)として計算する(S6)。また、S5で車輪速度差ΔLV,ΔRVが、S4で取得した推定車輪速度差ΔVに収まらない場合(No)には、前回の仮横加速度Gy′(n−1)を今回の推定横加速度Gy(n)として計算する(S7)。これにより、車両CRが旋回走行時にスリップして推定横加速度が大きく推定され得る状況となっても、常に、推定横加速度の値が小さくなる方向に横加速度の計算が行われることとなり、推定横加速度Gy(n)を大きな値に計算してしまうという推定ミスを防ぐことができる。
【0036】
以上のように、本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置100によれば、例えば、旋回走行中に、一部の車輪Tがロックしそうになって、計算された車輪速度差ΔLV,ΔRVの両方が、取得した推定車輪速度差ΔVの範囲内に収まらない場合には、前回の仮横加速度Gy′(n−1)を今回の推定横加速度Gy(n)として推定横加速度Gy(n)を減少方向に補正するので、車輪Tのスリップに起因する推定横加速度Gy(n)のずれを排除することができる。そのため、この推定横加速度Gy(n)を用いたアンチロック制御においても、車両の状況を正確に予想して、適切な制御を行うことができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、適宜変更して実施することができる。
例えば、前記実施形態では、一つのマップに基づいて推定車輪速度差を推定したが、これに限られることはなく、駆動輪側が大きい場合と従動輪側が大きい場合とで個別にマップを設定して、推定車輪速度差取得部が、車輪速度差に基づいてマップを選択して推定車輪速度差を取得するように構成してもよい。このようにすることで、より一層車両の状況を正確に予想して推定横加速度を計算することができ、これに基づくより適切なブレーキ制御等を行うことができる。
また、例えば、本発明の横加速度計算方法(装置)は、アンチロック制御に適用されるばかりでなく、横加速度を用いる他の制御にも適用することができる。例えば、推定横加速度に応じて適宜一部の車輪ブレーキの制動力やエンジンの出力を制御して車両の姿勢を制御したり、車体の傾きを制御したり、サスペンションの強さを制御したりしてもよい。
また、推定車輪速度差を取得するのにマップを用いたが、関数により求めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を備えた車両のブレーキ系を示す構成図である。
【図2】液圧ユニットの液圧回路図である。
【図3】実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置のブロック構成図である。
【図4】横加速度推定部の詳細を示すブロック構成図である。
【図5】車体速度と車輪速度差との関係を示すマップである。
【図6】横加速度推定部の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
10 液圧ユニット
20 制御装置
21 横加速度推定部
21A マップ記憶部
21a 車輪速度計算部
21b 仮横加速度計算部
21c 車輪速度差計算部
21d 推定車体速度計算部
21e 推定車輪速度差取得部
21f 推定横加速度計算部
24 ブレーキ制御部
25 目標液圧設定部
26 弁駆動部
30 車輪速センサ
81 出力液圧路
100 車両用ブレーキ液圧制御装置




 

 


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