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発明の名称 車輪の異径率計算方法および異径率計算装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30749(P2007−30749A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−218820(P2005−218820)
出願日 平成17年7月28日(2005.7.28)
代理人 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
発明者 成田 哲博 / 高橋 進 / 小島 武志 / 池田 透 / 大野 康昭 / 吉田 達 / 本庄 史明
要約 課題
車両の旋回に伴う車輪の異径率の誤計算を極力抑制する。

解決手段
同軸に配置された左右の各車輪の車輪速度を検出する車輪速センサが継続的に検出した左右の車輪速度に基づいて、左右の各車輪の異径率を計算する。この計算方法は、左右の各車輪の車輪速度を取得する過程と、左右の各車輪の車輪速度の比に基づき異径率を算出する過程とを有し、左右の各車輪の車輪速度の差または差の変化率が所定の値より大きくなった場合には、前回計算した異径率の値に対する今回計算した異径率の変化量を制限する。
特許請求の範囲
【請求項1】
同軸に配置された左右の各車輪の車輪速度を検出する車輪速センサが継続的に検出した左右の車輪速度に基づいて、前記左右の各車輪の異径率を計算する方法であって、
前記左右の各車輪の車輪速度を取得する過程と、
前記左右の各車輪の車輪速度の比に基づき異径率を算出する過程とを有し、
前記左右の各車輪の車輪速度の差または差の変化率が所定の値より大きくなった場合には、前回計算した異径率の値に対する今回計算した異径率の変化を制限することを特徴とする車輪の異径率計算方法。
【請求項2】
同軸に配置された左右の各車輪の車輪速度を検出する車輪速センサが継続的に検出した左右の車輪速度に基づいて、前記左右の各車輪の異径率を計算する装置であって、
前記左右の各車輪の車輪速度の比に基づき異径率を算出する異径率計算部を有し、
前記異径率計算部は、左右の車輪速度の差または差の変化率が所定の値より大きくなった場合には、前回計算した異径率の値に対する今回計算した異径率の変化を制限することを特徴とする車輪の異径率計算装置。
【請求項3】
前記異径率計算部は、前記車輪速度の比の安定時間が長いときより、短いときに異径率の変化の制限を厳しくすることを特徴とする請求項2に記載の車輪の異径率計算装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右の車輪の間での異径率計算方法および異径率計算装置に関し、詳しくは、旋回時における異径率を正しく計算できる車輪の異径率計算方法および異径率計算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンチロックブレーキ制御などの車両の挙動制御をする場合には、車体の横方向にかかる加速度(本明細書において「横加速度」という)を検出ないし推定して制御のための情報に用いられることがある。この場合の横加速度は、加速度センサを用いることで直接検出することもできるが、加速度センサを設けるのはコスト面で不利であることから、左右の車輪速度の差を用いて計算により横加速度を計算することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
ところが、車輪速度は、車輪に設けた回転パルス発生器の信号に基づく車輪の回転数および設定車輪径、すなわち設定された車輪の周長から計算するのが一般的である。そのため、車輪速度は、車輪の周長、つまり車輪の直径に依存することになる。そのため、左右の車輪の大きさが異なる場合にも正しく車輪速度を推定できるように左右の車輪の直径の比率である異径率を適宜計算し、横加速度を計算する場合にも、この異径率に基づく補正を行っている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−26089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、異径率自体も左右の車輪速度から推定するのが一般的であるところ、車両が旋回している最中は、外輪と内輪の旋回半径の差により左右の車輪速度が変化し、そのままでは異径率の値が実際と異なってしまうという問題がある。
このような背景に鑑みて本発明がなされたものであって、本発明は、車両の旋回に伴う車輪の異径率の誤計算を極力抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決するため、本発明は、同軸に配置された左右の各車輪の車輪速度を検出する車輪速センサが継続的に検出した左右の車輪速度に基づいて、前記左右の各車輪の異径率を計算する方法であって、前記左右の各車輪の車輪速度を取得する過程と、前記左右の各車輪の車輪速度の比に基づき異径率を算出する過程とを有し、前記左右の各車輪の車輪速度の差または差の変化率が所定の値より大きくなった場合には、前回計算した異径率の値に対する今回計算した異径率の変化を制限することを特徴とする。
【0006】
このように、左右の各車輪の車輪速度の差が所定の値より大きくなった場合には、異径率の計算結果に影響を与えにくいように、前回計算した異径率の値に対する今回計算した異径率の変化を制限していることで、旋回動作により異径率を誤って算出することがなくなり、この算出した異径率を用いて正しく横加速度を計算するなどして、車両を適切に制御することができる。
なお、左右の各車輪の車輪速度の差が所定の値より大きいか否かの判断は、数値の取り扱い上は、左右の各車輪の車輪速度の比率を求めて行っても構わない。同様に、差の変化率が所定の値より大きいか否かを判断する場合も、左右の車輪の差の前回値と今回値の比をとって判断する場合に限られず、前回値と今回値の差をとって判断しても構わない。
【0007】
また、前記した課題を解決する本発明の装置は、同軸に配置された左右の各車輪の車輪速度を検出する車輪速センサが継続的に検出した左右の車輪速度に基づいて、前記左右の各車輪の異径率を計算する装置であって、前記左右の各車輪の車輪速度の比に基づき異径率を算出する異径率計算部を有し、前記異径率計算部は、左右の車輪速度の差または差の変化率が所定の値より大きくなった場合には、前回計算した異径率の値に対する今回計算した異径率の変化を制限することを特徴とする。
【0008】
そして、このような装置においては、前記異径率計算部は、前記車輪速度の比の安定時間が長いときより、短いときに異径率の変化の制限を厳しくするのが望ましい。
【0009】
ここでの安定時間とは、左右の各車輪の車輪速度の比の変動が、所定範囲に収まっている時間をいう。所定範囲の決め方は任意であり、可変としてもよい。また、車輪速度の比が所定範囲に収まっているか否かの判断は、数値の取り扱い上は、左右の各車輪の車輪速度の差が所定範囲か否かで判断しても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の旋回中における左右の各車輪の車輪速度の差が、異径率の計算結果に与える影響を少なくし、正確に異径率を計算することができる。また、この計算した異径率を用いて車両用ブレーキの液圧を制御することで、車両の適切な制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1実施形態]
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
参照する図面において、図1は、第1実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を備えた車両の構成図であり、図2は、第1実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置のブレーキ液圧回路図である。
図1に示すように、本発明の異径率計算方法を適用した車両用ブレーキ液圧制御装置100は、車両CRの各車輪Tに付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御するためのものであり、油路や各種部品が設けられた液圧ユニット10と、液圧ユニット10内の各種部品を適宜制御するための制御装置20とを主に備えている。また、この車両用ブレーキ液圧制御装置100の制御装置20には、車両CRの各車輪Tの車輪速度、詳細には車輪Tの回転速度を検出するための車輪速センサ91が接続されている。
制御装置20は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、車輪速センサ91からの入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。また、ホイールシリンダHは、マスタシリンダMおよび車両用ブレーキ液圧制御装置100により発生されたブレーキ液圧を各車輪Tに設けられた車輪ブレーキFL,RL,FR,RRの作動力に変換する液圧装置であり、それぞれ配管を介して車両用ブレーキ液圧制御装置100の液圧ユニット10に接続されている。
【0012】
図2に示すように、車両用ブレーキ液圧制御装置100は、運転者がブレーキペダルPに加える踏力に応じたブレーキ液圧を発生するマスタシリンダMと、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとの間に配置されている。マスタシリンダMの二つの出力ポートM1,M2は、基体であるポンプボディ10aの入口ポート121に接続され、ポンプボディ10aの出口ポート122が、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに接続されている。そして、通常時は車両用ブレーキ液圧制御装置100内の入口ポート121から出口ポート122までが連通した油路となっていることで、ブレーキペダルPの踏力が各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達されるようになっている。
【0013】
車両用ブレーキ液圧制御装置100には、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに対応して四つの入口弁1、四つの出口弁2、および四つのチェック弁1aが設けられる。また、出力ポートM1,M2に対応した各出力液圧路81,82に対応して二つのリザーバ3、二つのポンプ4、二つのダンパ5、二つのオリフィス5aが設けられ、二つのポンプ4を駆動するための電動モータ6を備えている。
【0014】
入口弁1は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとマスタシリンダMとの間に配置された常開型の電磁弁である。入口弁1は、通常時に開いていることで、マスタシリンダMから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRへブレーキ液圧が伝達するのを許容している。また、入口弁1は、車輪がロックしそうになったときに制御装置20により閉塞されることで、ブレーキペダルPから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達する液圧を遮断する。
【0015】
出口弁2は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRと各リザーバ3との間に配置された常閉型の電磁弁である。出口弁2は、通常時に閉塞されているが、車輪がロックしそうになったときに制御装置20により開放されることで、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに加わるブレーキ液圧を各リザーバ3に逃がす。
【0016】
チェック弁1aは、各入口弁1に並列に接続されている。このチェック弁1aは、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、ブレーキペダルPからの入力が解除された場合に入口弁1を閉じた状態にしたときにおいても、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入を許容する。
【0017】
リザーバ3は、各出口弁2が開放されることによって逃がされるブレーキ液を吸収する機能を有している。
ポンプ4は、リザーバ3で吸収されているブレーキ液を吸入し、そのブレーキ液をダンパ5やオリフィス5aを介してマスタシリンダMへ戻す機能を有している。これにより、リザーバ3によるブレーキ液圧の吸収によって減圧された各出力液圧路81,82の圧力状態が回復される。
【0018】
入口弁1および出口弁2は、制御装置20により開閉状態が制御されることで、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRのホイールシリンダHにおける液圧を制御する。例えば、入口弁1が開、出口弁2が閉となる通常状態では、ブレーキペダルPを踏んでいれば、マスタシリンダMからの液圧がそのままホイールシリンダHへ伝達して増圧状態となり、入口弁1が閉、出口弁2が開となれば、ホイールシリンダHからリザーバ3側へブレーキ液が流出して減圧状態となり、入口弁1と出口弁2が共に閉となれば、ホイールシリンダHの液圧が保持される。制御装置20は、各ホイールシリンダHで目標とするブレーキ液圧に応じて、これらの3つの状態を切り換えるべく、各入口弁1および各出口弁2に制御信号を出力する。
【0019】
図3は、第1実施形態に係るブレーキ液圧制御装置のブロック構成図であり、図4は、異径率計算部の詳細を示すブロック構成図である。
図3に示すように、制御装置20は、各輪の車輪速センサ91が検出した車輪Tの回転速度に基づき、液圧ユニット10内の各入口弁1および出口弁2(図2参照)の開閉動作を制御して、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの動作を制御するものである。
制御装置20は、機能部として異径率計算部21、目標液圧設定部22、弁駆動部23および記憶部29を有する。なお、以下の機能部は、計算、判断などの処理をする際に、適宜、データを記憶部29へ記憶する。
【0020】
異径率計算部21は、本発明の異径率計算方法を実施する異径率計算装置に相当するものである。本実施形態の異径率計算部21は、左後輪の車輪速度と右後輪の車輪速度とに基づいて異径率を推定する。異径率を計算するのに用いる車輪速度は、路面への追従性が良い従動輪のものがよいが、必ずしもその必要はなく、駆動輪や、4輪の車輪速度を用いてもよい。
異径率計算部21は、図4に示すように、さらに詳細な機能部として、車輪速度計算部21a、左右速度比率計算部21b、安定時間計算部21c、変化量制限値設定部21dおよび左右異径比率計算部21eを備える。
【0021】
車輪速度計算部21aは、左後輪、右後輪の車輪速センサ91がそれぞれ出力した車輪の回転速度ωL,ωRに基づき、車輪の半径を乗じて車輪速度VL,VRを計算する。計算した車輪速度VL,VRは、左右速度比率計算部21bに出力される。
【0022】
左右速度比率計算部21bは、左右の車輪速度VL,VRの比である左右速度比率RVRLを下記式(1)により計算する。
RVRL=VR/VL ・・・(1)
計算された左右速度比率RVRLは、安定時間計算部21cおよび左右異径比率計算部21eへ出力される。
この左右速度比率RVRLは、車両CRが直進している状態であれば、左右の各車輪の直径の比率を意味する。なぜなら、左右の各車輪の直径が異なる場合には、車輪の回転速度に違いが出るので、車輪速度の比率は、すなわち直径の比率となるからである。一方、車両CRが旋回している場合には、左右速度比率RVRLは、左右の車輪の直径の比率を意味するのに加え、その値は、車輪の旋回半径の差に大きく影響される。そのため、本発明においては、左右速度比率RVRLの値が大きい場合には、異径率R(n)を算出する際に、異径率R(n)の変化を制限する。なお、本明細書において、各変数における(n)は、今回の計算値を示し、(n−1)は、前回の計算値を示す。また、前回の計算値を計算に用いず、今回の計算値のみを用いる場合には、特に(n)を示さないことにする。
【0023】
安定時間計算部21cは、左右速度比率RVRLの変動の度合いを計算する機能部である。具体的には、左右速度比率RVRLの値が、記憶している安定度基準値RVHOLDを中心に所定範囲内、例えば図6(a)に示すように、安定時間基準値RVHOLDから安定範囲閾値THV1の範囲で変動している時間を安定時間STとしてカウントしている。仮に、安定時間基準値RVHOLDから所定範囲を超えて左右速度比率RVRLの値が変動した場合には、安定時間STを0にリセットして、カウントし直す。また、その場合には、安定時間基準値RVHOLDを、その時点の左右速度比率RVRLに置き換える。安定時間基準値RVHOLDは、変化量制限値設定部21dへ出力される。
【0024】
変化量制限値設定部21dは、算出する異径率R(n)の過大な変動を防止するために、異径率の変化量の上限値である変化量制限値αを設定する。この設定は、左右速度比率RVRLと安定時間STに基づき、記憶部29に記憶しているマップを参照して設定する。変化量制限値αは、安定時間STが大きいほど、制限値を大きく、安定時間STが小さいほど制限値を小さく設定するのがよい。一例を示せば、変化量制限値αは、安定時間STが安定時間閾値THST(例えば、図6(b)に示す大きさ)より大きい場合には、車両CRが直進している可能性が高いので、一定値α1を取り、安定時間STが安定時間閾値THSTより小さい場合には、車両CRが旋回している可能性が高いので0をとる。
もちろん、安定時間STに応じて、より細かく値を設定してもよい。また、安定時間STだけでなく、後輪の左右速度差dVRRLと前輪の左右速度差dVFRLに基づき、変化量制限値αをより詳細に設定してもよい。例えば、安定時間STに応じた変化量制限値αの基準値をα1とし、補正係数kα1、kα2を、dVRRL,dVFRLに応じたマップとして用意しておき、次式(2)により求めるとよい。なお、式(2)において、A[B]は、AがBの値に基づきマップまたは関数などにより定まることを示し、例えばα1[ST]は、α1の値がSTに基づき関数などにより定まることを示す。
α=α1[ST]×kα1[dVRRL]×kα2[dVFRL] ・・・(2)
設定された変化量制限値αは、左右異径比率計算部21eへ出力される。
【0025】
左右異径比率計算部21eは、左右速度比率RVRL、変更量制限値αおよび記憶部29に記憶していた前回の異径率R(n−1)より、今回の異径率R(n)を計算する。具体的には、|RVRL―R(n−1)|とαのうち、小さい方を異径率R(n)の異径率R(n−1)に対する変化量として決定し、R(n−1)に|RVRL―R(n−1)|またはαを増減する。
言い換えれば、前回の異径率R(n−1)と、左右速度比率RVRLの差が大きい場合には、前回の異径率R(n−1)に変更量制限値αの値だけ増減するようにして、旋回時の異径率R(n)の変化を小さくしている。
算出された異径率R(n)は、目標液圧設定部22へ出力される。
なお、左右速度比率RVRLと前回計算した異径率R(n−1)の差が大きいほど、異径率R(n)が早く左右速度比率RVRLに追従するように異径率の変化量を決定してもよい。例えば、変化量制限値αを係数として利用して、下記式(3)により異径率R(n)を計算してもよい。
R(n)=R(n−1)+α×(RVRL―R(n−1)) ・・・(3)
【0026】
目標液圧設定部22は、異径率計算部21が計算した異径率R(n)および車輪速センサ91が検出した車輪Tの回転速度ωに基づき各車輪ブレーキFL,RL,FR,RRの目標液圧を設定する。この設定の方法は、従来公知の方法により行えばよく、特に限定されない。一例をあげれば、4つの車輪の回転速度ωから、各車輪Tの車輪速度Vを計算し、この車輪速度Vから車体速度を推定する。そして、車体速度と車輪速度Vからスリップ率を計算する。さらに、横加速度Gyと前後の車体加速度に基づき、合成加速度を演算し、この合成加速度から路面の摩擦係数を推定する。この横加速度Gyの計算の際に、異径率R(n)を用いて計算する。そして、この摩擦係数、スリップ率、および現在のホイールシリンダHの液圧に基づいて各車輪ブレーキFL,RL,FR,RRの目標液圧を設定することができる。
【0027】
弁駆動部23は、各車輪ブレーキFL,RL,FR,RRのホイールシリンダHの液圧が目標液圧設定部22の設定した目標液圧に一致するように、従来公知の方法により液圧ユニット10内の各入口弁1および出口弁2を作動させるパルス信号を液圧ユニット10へ出力する。このパルス信号は、例えば、現在のホイールシリンダHの液圧と目標液圧との偏差が大きいほど、ブレーキ液圧を増圧または減圧すべく多くのパルスを出力するようにする。また、現在のホイールシリンダHの液圧と目標液圧との偏差が小さい場合には、ホイールシリンダHの液圧を保持状態にする。なお、現在のホイールシリンダHの液圧は、センサにより測定してもよいし、計算により推定してもよい。
【0028】
以上のような車両用ブレーキ液圧制御装置100の動作について、図5および図6を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の異径率の計算の処理を説明するフローチャートであり、図6は、第1実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を搭載した車両の旋回走行時の左右速度比率RVRL(a)、安定時間ST(b)および変化量制限値(c)の時間的変化を示したタイミングチャートである。なお、図6(a)のチャートには、左右速度比率RVRLの変化に重ねて異径率R(n)の変化を示している。
【0029】
図5に示すように、まず、車輪速度計算部21aは、車輪速センサ91が検出した左右の後輪の回転速度ωL,ωRから、車輪速度VL,VRを計算する(S101)。そして、左右速度比率計算部21bは、前記式(1)に基づき、左右速度比率RVRLを計算する(S102)。この左右速度比率は、図6(a)に示すように、車両CRの旋回動作に応じて1から離れるように変化する。そして、1より大きくなったときは、右の車輪が左の車輪よりも早く回転しているのであるから、左へ旋回しており、1より小さくなったときは、逆に右へ旋回していることになる。
【0030】
次に、左右速度比率RVRLと安定時間基準値RVHOLDの差の絶対値が、安定範囲閾値THV1より小さいかどうか判断する(S103)。RVHOLDの差が、安定範囲閾値THV1より小さかった場合には(S103,Yes)、左右速度比率RVRLがあまり変動していないということであり、安定時間をインクリメントして更新する(S106)。RVHOLDの差が、安定範囲閾値THV1より大きかった場合には(S103,No)、左右速度比率RVRLが安定時間基準値RVHOLDから大きく変動したということであり、安定時間基準値RVHOLDを現在の左右速度比率RVRLに置き換えて更新する(S104)。そして、安定時間STを0にしてクリアする(S105)。以上のステップS103からS106が安定時間STの計算処理である。
このように計算される安定時間STは、図6(b)に示すように、左右速度比率RVRLが急に変化している間は、大きな値になる前にクリアされ、左右速度比率RVRLが余り変化していない間は、大きな値までインクリメントされる。
【0031】
そして、変化量制限値設定部21dにより、前記式(2)などに基づいて変化量制限値αが設定される(S107)。この変化量制限値αは、安定時間STの値に応じて変化するもので、単純な例を示せば、図6(c)に示すように、安定時間STが安定時間閾値THSTを超えたときのみ一定値α1をとる。
【0032】
次に、左右異径比率計算部21eにより、RVRL,R(n−1)およびαに基づいて異径率R(n)が計算される。具体的には、RVRL−R(n−1)の絶対値がαより大きいか否か判断し、大きい場合には(S108,Yes)、次式(4)により異径率R(n)が計算される。
R(n)=R(n−1)+RVRL−R(n−1) ・・・(4)
一方、RVRL−R(n−1)の絶対値がαより大きくない場合には(S108,No)、RVRLがR(n−1)より大きいか否か判断し、大きい場合には(S110,Yes)、R(n−1)にαを足すことでR(n)を計算し(S111)、小さい場合には(S110,No)、R(n−1)からαを引くことでR(n)を計算する(S112)。
【0033】
このように、左右異径比率計算部21eは、前回の異径率R(n−1)と左右速度比率RVRLの差が大きい場合には、前回の異径率R(n−1)に変更量制限値αの値だけ、増減するようにする。そのため、図6(a)に示すように、時刻t0〜t1の間は、安定時間STが小さいため、変更量制限値αが0をとり、R(n)も前回の値R(n−1)を維持し続ける。そして、時刻t1〜t2の間は、変化量制限値αが一定値α1をとる一方、左右速度比率RVRLと前回の異径率R(n−1)の差は大きいので、R(n)は、前回の値R(n−1)にαを足した値となる。同様に、時刻t2〜t3では、時刻t0〜t1と同様、R(n)は前回の値R(n−1)を維持し、時刻t3〜t5では、R(n)は前回の値R(n−1)からα1を減じた値となる。また、時刻t6から後において、R(n)を前回の値R(n−1)にα1を足した値として左右速度比率RVRLに異径率R(n)を追従させる。
【0034】
以上のように、本実施形態の異径率計算部21では、車両CRが旋回したとしても、異径率R(n)の値は、さほど影響を受けないため、制御装置20は、比較的正確な異径率R(n)の値を得ることができる。そのため、異径率R(n)の値に基づき、目標液圧を設定して入口弁1および出口弁2が制御される車両用ブレーキ液圧制御装置100も、車両CRの旋回動作に関わらず、設定通りの制御を行うことが可能となる。
【0035】
以上に本発明の第1実施形態について説明したが、本発明は、適宜変更して実施することが可能である。例えば、第1実施形態においては、左右速度比率RVRLに基づいて、異径率R(n)の変化量に制限を掛けたが、左右速度差dVRRLまたは左右速度差dVFRLの値が所定の値より大きくなった場合に異径率R(n)の変化量に制限を掛けてもよい。左右速度比率RVRLを用いることも、左右速度差dVRRLまたは左右速度差dVFRLを用いることも、数値の取り扱いの違いだけで、技術的な意味の差異はほとんどないが、左右速度差dVRRLまたは左右速度差dVFRLの値を用いると、車輪速度VR,VLの大きさに関わらず左右速度差が大きくなったことをはっきりと判断できる。なぜなら、同じ左右速度差dVRRLまたは左右速度差dFRRLでも、高速になると左右速度比率RVRLが小さくなるため、計算上の桁数が多くなるなど、計算処理上不利な面があるからである。そのため、実際上は、左右速度差dVRRLまたは左右速度差dVFRLに基づいて異径率R(n)の変更に制限を掛けるのが望ましい。
なお、ここでの所定の値は、車輪速度VR,VLに応じて可変であってもよい。前記した第1実施形態においても同様に、所定の値は、車輪速度VR,VLに応じて可変であってもよい。
【0036】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第1実施形態は、左右速度比率RVRLと前回の異径率R(n−1)の差が大きい場合または左右速度比率RVRLの安定時間STが低い場合に、前回の異径率R(n−1)に対する今回の異径率R(n)の変化量に制限を掛けたが、本実施形態では、左右速度比率RVRLの値を重視して、左右速度比率RVRLが所定の値より大きい場合には、前回の異径率R(n−1)に対する今回の異径率R(n)の変化量に制限を掛ける場合について説明する。
【0037】
参照する図において、図7は、第2実施形態に係るブレーキ液圧制御装置の異径率計算部の詳細を示すブロック構成図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様な部分は同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態のブレーキ液圧制御装置は、第1実施形態の図3に示した構成における異径率計算部21以外は、第1実施形態と同様であるので、異径率計算部21(図7においては異径率計算部21′と表示)を中心に説明する。
【0038】
異径率計算部21′は、図7に示すように、詳細な機能部として、車輪速度計算部21a、左右速度比率計算部21b、変化量制限値設定部21d′、および左右異径比率計算部21eを備える。
【0039】
車輪速度計算部21aおよび左右速度比率計算部21bは、第1実施形態と同様である。
【0040】
変化量制限値設定部21d′は、算出する異径率R(n)の過大な変動を防止するために、異径率の変化量の上限値である変化量制限値αを設定する。
変化量制限値設定部21d′は、RVRL−1の大きさ(絶対値)が所定の値以下の場合には、変化量制限値αとして大きい値α1を設定し、所定の値より大きい場合には、α1より小さい値α2を設定する。この所定の値としては、例えば図9に示すように一定の左右速度比閾値THV2をとることができる。もちろん、左右速度比閾値THV2は、必ずしも一定でなくてもよく、車輪速度VR,VLに応じて変化させたり、安定時間STにより変化させたりしてもよい。変化量制限値αは、異径率計算部21eへ出力される。
なお、RVRL−1の“−1”は、左右の両輪が同じ大きさである場合の左右速度比率の値“1”を引いたものである。
また、変化量制限値設定部21d′は、RVRL−1の大きさ(絶対値)がR(n−1)−1の大きさ(絶対値)よりも大きい場合には、異径率R(n−1)を、両輪の径の差が大きい側に推定しすぎている可能性があるので、変化量制限値αを比較的大きな値であるα1に設定する。
【0041】
左右異径比率計算部21eは、第1実施形態と同様に、左右速度比率RVRL、変更量制限値αおよび記憶部29に記憶していた前回の異径率R(n−1)より、今回の異径率R(n)を計算する。
【0042】
以上のような第2実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置100の動作について、図8および図9を参照しながら説明する。図8は、第2実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の異径率の計算の処理を説明するフローチャートであり、図9は、第2実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を搭載した車両の旋回走行時の左右速度比率RVRL(a)および変化量制限値(b)の時間的変化を示したタイミングチャートである。なお、図9(a)のチャートには、左右速度比率RVRLの変化に重ねて異径率R(n)の変化を示している。
【0043】
図8に示すように、まず、車輪速度計算部21aは、車輪速センサ91が検出した左右の後輪の回転速度ωL,ωRから、車輪速度VL,VRを計算する(S201)。そして、左右速度比率計算部21bは、前記式(1)に基づき、左右速度比率RVRLを計算する(S202)。
【0044】
次に、変化量制限値設定部21d′は、左右速度比率RVRLの絶対値が左右速度比閾値THV2より大きいか否か判断し、大きくない場合には(S203,No)、車両CRが旋回中である可能性が低いので、変化量制限値αを比較的大きな値であるα1に設定する(S204)。一方、左右速度比率RVRLの絶対値が左右速度比閾値THV2より大きい場合には(S203,Yes)、さらに、左右速度比率RVRLの絶対値が前回計算した異径率R(n−1)より大きいか否か判断する(S205)。左右速度比率RVRLの絶対値が前回計算した異径率R(n−1)より大きくない場合には(S205,No)、車両CRが旋回中に誤って異径率R(n)の大きさを大きい値に推定してしまった可能性があるので、変化量制限値αを比較的大きな値であるα1に設定する(S204)。一方、左右速度比率RVRLの絶対値が前回計算した異径率R(n−1)より大きい場合には(S205,Yes)、車両CRが旋回中である可能性が高いので、変化量制限値αをα1より小さい値のα2に設定する(S206)。
【0045】
そして、左右異径比率計算部21eは、第1実施形態のステップS108〜S112と同様に、ステップS206〜S210にしたがって異径率R(n)を計算する。
そのため、図9(a),(b)に示すように、時刻t0〜t1の間は、左右速度比率RVRLの大きさが左右速度比閾値より小さいため、変化量制限値αはα1をとる。そして、R(n)は、最初は、左右速度比率RVRLに倣って追従し、左右速度比率RVRLの傾きが変化量制限値α(=α1)による増加より早く増加するようになった時点から、R(n−1)に一定値α1を足すことで増加していく。
【0046】
そして、時刻t1〜t2の間は、左右速度比率RVRLの大きさが左右速度比閾値THV2より大きいので、変化量制限値αを、α1より小さいα2に設定し、R(n−1)にα2を足していくことでR(n)が増加していく。
さらに、時刻t2〜t3の間は、異径率R(n−1)の大きさより、左右速度比率RVRLの大きさが小さいので、変化量制限値αをα1に戻し、R(n−1)からα1を引いていくことでR(n)が減少していく。
時刻t3〜t4のように、左右速度比率RVRLと異径率R(n−1)が一致しているときには、R(n)は、前記式(3)によりR(n)が計算される結果、R(n)は変化しない。以下、同様にして、時刻t4〜t5,t5〜t6,t6〜t7においても、αがα1またはα2に設定され、R(n−1)にαを増減することでR(n)が計算され、図6(a)に示すように異径率R(n)が計算される。
【0047】
以上のように、本実施形態の異径率計算部21′では、車両CRが旋回したとしても、異径率R(n)の値は、さほど影響を受けないため、制御装置20は、比較的正確な異径率R(n)の値を得ることができる。そのため、異径率R(n)の値に基づき、目標液圧を設定して入口弁1および出口弁2が制御される車両用ブレーキ液圧制御装置100も、車両CRの旋回動作に関わらず、設定通りの制御を行うことが可能となる。
【0048】
以上に本発明の第2実施形態について説明したが、本発明は、適宜変更して実施することが可能である。例えば、変化量制限値設定部21d′は、ステップS205のように、RVRL−1の大きさが、R(n−1)−1の大きさより大きくない場合に変化量制限値αをα2より大きなα1としたが、このような判断をせずに、変化量制限値αをα2に設定してもよい。
また、第2実施形態においても、左右速度比率RVRLに基づいて、異径率R(n)の変化量に制限を掛ける代わりに、左右速度差dVRRLまたは左右速度差dVFRLの値に基づいて異径率R(n)の変化量に制限を掛けてもよい。
【0049】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第1実施形態は、左右速度比率RVRLと前回の異径率R(n−1)の差が大きい場合または左右速度比率RVRLの安定時間STが低い場合に、前回の異径率R(n−1)に対する今回の異径率R(n)の変化量に制限を掛けたが、本実施形態では、左右速度比率RVRLの変化を重視して、左右速度比率RVRLの変化率の大きさが所定の値より大きい場合には、前回の異径率R(n−1)に対する今回の異径率R(n)の変化量に制限を掛ける場合について説明する。
【0050】
参照する図において、図10は、第3実施形態に係るブレーキ液圧制御装置の異径率計算部の詳細を示すブロック構成図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様な部分は同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態のブレーキ液圧制御装置は、第1実施形態の図3に示した構成における異径率計算部21以外は、第1実施形態と同様であるので、異径率計算部21(図10においては異径率計算部21″と表示)を中心に説明する。
【0051】
異径率計算部21″は、図10に示すように、詳細な機能部として、車輪速度計算部21a、左右速度比率計算部21b、変化率計算部21f、変化係数設定部21gおよび左右異径比率計算部21e″を備える。
【0052】
車輪速度計算部21aおよび左右速度比率計算部21bは、第1実施形態と同様である。
【0053】
変化率計算部21fは、左右速度比率RVRLの変化率を計算する。すなわち、左右速度比率RVRLを微分して左右速度比の変化率dRVRLを算出する。例えば、今回算出した左右速度比率RVRL(n)と前回算出した左右速度比率RVRL(n−1)の差をとることで、左右速度比率RVRLの変化率を得ることができる。
【0054】
変化係数設定部21gは、算出する異径率R(n)の過大な変動を防止するために、異径率の変化量の上限値である変化係数kを設定する。
変化係数設定部21gは、変化率dRVRLの大きさが所定の値以下の場合には、変化係数kとしてk1を設定し、所定の値より大きい場合には、0を設定する。この所定の値としては、例えば、図12に示すように一定の変化率閾値THdRVをとることができる。もちろん、変化率閾値THdRVは、必ずしも一定でなくてもよく、車輪速度VR,VLに応じて変化させたり、安定時間STにより変化させたりしてもよい。変化係数kは、異径率計算部21e″へ出力される。
【0055】
左右異径比率計算部21e″は、左右速度比率RVRLと異径率R(n−1)の差に変化係数kを乗じて、つまり、次式(5)により異径率R(n)を算出する。
R(n)=R(n−1)+k×(RVRL―R(n−1)) ・・・(5)
言い換えれば、左右速度比率RVRLの変化率が大きいときには、異径率R(n)は、前回の値R(n−1)を維持し、左右速度比率RVRLの変化率が小さいときには、異径率R(n)は、前回の値R(n−1)を維持し、左右速度比率RVRLと異径率R(n−1)の差に応じて左右速度比率RVRLに追従していく。
【0056】
以上のような第3実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置100の動作について、図11および図12を参照しながら説明する。図11は、第3実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の異径率の計算の処理を説明するフローチャートであり、図12は、第3実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を搭載した車両の旋回走行時の左右速度比率RVRL(a)、変化係数(b)および左右速度比率の変化率(c)の時間的変化を示したタイミングチャートである。なお、図12(a)のチャートには、左右速度比率RVRLの変化に重ねて異径率R(n)の変化を示している。
【0057】
図11に示すように、まず、車輪速度計算部21aは、車輪速センサ91が検出した左右の後輪の回転速度ωL,ωRから、車輪速度VL,VRを計算する(S301)。そして、左右速度比率計算部21bは、前記式(1)に基づき、左右速度比率RVRLを計算する(S302)。
【0058】
そして、変化率計算部21fは、今回の左右速度比率RVRL(n)から前回の左右速度比率RVRL(n−1)を引いて変化率dRVRL(n)を計算する(S303)。
【0059】
次に、変化係数設定部21gは、変化率dRVRL(n)の大きさ(絶対値)が変化率閾値THdRVよりも大きいか否か判断し、大きい場合には(S304,Yes)、車両CRが旋回中である可能性が高いので、変化係数kを0に設定する(S305)。一方、変化率dRVRL(n)の大きさ(絶対値)が変化率閾値THdRVよりも大きくない場合には(S304,No)、車両CRが旋回中である可能性が低いので、変化係数kをk1に設定する(S306)。
【0060】
そして、左右異径比率計算部21e″は、前記式(5)により、異径率R(n)を計算する。
このようにして、本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置100では、図12(b)に示すように、時刻t0〜t1,t2〜t3,t4〜t5,t6〜t7,t8以降では、変化量dRVRLの大きさが変化量閾値THdRVより小さいため、変化係数kはk1をとる。しかし、時刻t1〜t2,t3〜t4,t5〜t6,t7〜t8では、変化率dRVRLの大きさが変化量閾値THdRVより小さいため、変化係数kは0をとる
したがって、異径率R(n)は、変化係数kがk1のときには、左右速度比率RVRLにゆっくりと追従し、変化係数kが0のときは、前回の値R(n−1)を維持して変化しない。
【0061】
以上のように、本実施形態の異径率計算部21″では、車両CRが旋回したとしても、異径率R(n)の値は、さほど影響を受けないため、制御装置20は、比較的正確な異径率R(n)の値を得ることができる。そのため、異径率R(n)の値に基づき、目標液圧を設定して入口弁1および出口弁2が制御される車両用ブレーキ液圧制御装置100も、車両CRの旋回動作に関わらず、設定通りの制御を行うことが可能となる。
【0062】
以上に本発明の第3実施形態について説明したが、本発明は、適宜変更して実施することが可能である。例えば、変化係数設定部21gは、変化率dRVRLの大きさが変化率閾値THdRVよりも大きいときに、変化係数kを0に設定したが、k1より小さいk2に設定してもよい。
また、変化係数kを第1実施形態および第2実施形態の変化量制限値αのように変化量制限値として利用して、例えば図5のステップS107〜S112にしたがって、異径率R(n)を計算することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を備えた車両の構成図である。
【図2】第1実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置のブレーキ液圧回路図である。
【図3】第1実施形態に係るブレーキ液圧制御装置のブロック構成図である。
【図4】異径率計算部の詳細を示すブロック構成図である。
【図5】第1実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の異径率の計算の処理を説明するフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を搭載した車両の旋回走行時の左右速度比率RVRL(a)、安定時間ST(b)および変化量制限値(c)の時間的変化を示したタイミングチャートである。
【図7】第2実施形態に係るブレーキ液圧制御装置の異径率計算部の詳細を示すブロック構成図である。
【図8】第2実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の異径率の計算の処理を説明するフローチャートである。
【図9】第2実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を搭載した車両の旋回走行時の左右速度比率RVRL(a)および変化量制限値(b)の時間的変化を示したタイミングチャートである。
【図10】第3実施形態に係るブレーキ液圧制御装置の異径率計算部の詳細を示すブロック構成図である。
【図11】第3実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の異径率の計算の処理を説明するフローチャートである。
【図12】第3実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を搭載した車両の旋回走行時の左右速度比率RVRL(a)、変化係数(b)および左右速度比率の変化率(c)の時間的変化を示したタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 入口弁
2 出口弁
THV1 安定範囲閾値
THV2 左右速度比閾値
10 液圧ユニット
10a ポンプボディ
20 制御装置
21 異径率計算部
91 車輪速センサ
100 車両用ブレーキ液圧制御装置
CR 車両
FL 車輪ブレーキ
k 変化係数
R 異径率
RVHOLD 安定時間基準値
RVRL 左右速度比率
ST 安定時間
THST 安定時間閾値
THdRL 変化量閾値
THdRV 変化率閾値
V 車輪速度
dRVRL 変化率
dVFRL,dVRRL 左右速度差
α 変化量制限値




 

 


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