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発明の名称 衝突物保護装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30644(P2007−30644A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−215224(P2005−215224)
出願日 平成17年7月26日(2005.7.26)
代理人 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
発明者 岡本 豊 / 菊池 裕二
要約 課題
本発明では、略コ字形状のエアバッグの各ピラー部のバタつきを防止して、各ピラー部を確実に所定位置へ安定させることができる衝突物保護装置を提供することを目的とする。

解決手段
衝突物保護装置1は、衝突物と車両2との衝突を検知または予知したときに、車両2の表面に膨張展開させるエアバッグ20を備えている。そして、このエアバッグ20は、車両2のフロントウインドガラス2aの下部に沿って膨張展開する本体部21と、本体部21の両端部21aから車両2のフロントピラー2bに沿って膨張展開する一対のピラー部22とを有し、本体部21とピラー部22との境界には、本体部21からピラー部22へのガスの移動を本体部21の膨張展開が完了するまで規制する縫製部23が設けられている。
特許請求の範囲
【請求項1】
衝突物と車両との衝突を検知または予知したときに、前記車両の表面にエアバッグを膨張展開させる衝突物保護装置であって、
前記エアバッグは、前記車両のフロントウインドガラスの下部に沿って膨張展開する本体部と、前記本体部の両端部から前記車両のフロントピラーに沿って膨張展開する一対のピラー部とを有し、
前記本体部と前記ピラー部との境界に、前記本体部から前記ピラー部へのガスの移動を前記本体部の膨張展開が完了するまで規制する規制部を設けることを特徴とする衝突物保護装置。
【請求項2】
前記本体部の両端部を左右方向に蛇腹折りして、前記エアバッグを前記フロントウインドガラスの下部に配設されるカウルトップ内に収容させることを特徴とする請求項1に記載の衝突物保護装置。
【請求項3】
前記規制部は、前記境界を縫製することにより形成された縫製部であり、
前記縫製部を前記本体部の膨張展開が完了した際の圧力で切断させることで、前記ピラー部へのガスの移動規制を解除することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衝突物保護装置。
【請求項4】
前記縫製部は、前記ピラー部の下側から上側へ向かって所定間隔を空けて複数設けられ、下側から順に切れていくように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の衝突物保護装置。
【請求項5】
前記縫製部は、その一部に前記縫製部で仕切られた空間を繋ぐための連通部を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の衝突物保護装置。
【請求項6】
前記規制部が、所定のガス流通部を有する隔壁であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衝突物保護装置。
【請求項7】
前記本体部の中央部が、前記ピラー部の伸展方向に沿って蛇腹折りされていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の衝突物保護装置。
【請求項8】
前記ピラー部が、その先端を中心としたロール状に巻かれていることを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の衝突物保護装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が衝突物に衝突したときに、衝撃を吸収して衝突物を保護する衝突物保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両が衝突物に衝突するのを検知または予知したときに、車両の表面にエアバッグを膨張展開させることにより、衝突物に加えられる衝撃力を吸収緩和する衝突物保護装置がある。そして、この衝突物保護装置としては、従来、フロントウインドガラスの下部を覆う本体部と、フロントウインドガラスの左右両側部(フロントピラー等)を覆うピラー部とによって略コ字形状に形成されるエアバッグを、フードの後端側の隙間から膨張展開させるものが知られている(特許文献1参照)。なお、このような衝突物保護装置では、設置スペースの関係から、前記した大型のエアバッグをコンパクトに収容する必要があるため、その方法として、エアバッグの各ピラー部を適宜折り畳むとともに本体部の左右端を中央へ折り返すことで、エアバッグをフロントウインドガラスの下部の中央部にコンパクトに収容させる方法が考えられている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−264146号公報(段落0015、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した方法でエアバッグを収容した衝突物保護装置では、エアバッグをフロントウインドガラス上に膨張展開させる際において、折り返されて収容されている本体部にエアが供給されると、その左右端部が元に戻るように揺動している最中に、各ピラー部にもエアが入って各ピラー部が膨らむことがあった。そして、このように、本体部の左右端部の揺動動作と各ピラー部の膨張動作が同時に行われると、各ピラー部が車体に接触しないうちに膨らむこととなるので、この膨張した各ピラー部が、本体部の左右端部の揺動動作や横風等の影響によってバタつき、所定位置に安定し難いといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明では、略コ字形状のエアバッグの各ピラー部のバタつきを防止して、各ピラー部を確実に所定位置へ安定させることができる衝突物保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明のうち請求項1に記載の発明は、衝突物と車両との衝突を検知または予知したときに、前記車両の表面にエアバッグを膨張展開させる衝突物保護装置であって、前記エアバッグは、前記車両のフロントウインドガラスの下部に沿って膨張展開する本体部と、前記本体部の両端部から前記車両のフロントピラーに沿って膨張展開する一対のピラー部とを有し、前記本体部と前記ピラー部との境界に、前記本体部から前記ピラー部へのガスの移動を前記本体部の膨張展開が完了するまで規制する規制部を設けることを特徴とする。
【0007】
ここで、「本体部の膨張展開が完了するまで」とは、厳密に完了した時点(本体部が完全に膨張展開しきった時点)だけを意味するのではなく、多少の時間のずれを含むことも意味する。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、衝突物と車両とが衝突した際には、本体部がフロントウインドガラスの下部に沿って膨張展開している間、規制部によってピラー部へのガスの移動が規制される。そのため、本体部の膨張展開中にピラー部が膨らむことがなく、本体部の膨張展開が完了した後に、フロントピラーに沿って膨張展開していくこととなる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衝突物保護装置であって、前記本体部の両端部を左右方向に蛇腹折りして、前記エアバッグを前記フロントウインドガラスの下部に配設されるカウルトップ内に収容させることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、本体部の両端部が左右方向に蛇腹折りされて縮められるので、フロントウインドガラスの下側中央部のカウルトップ内に、エアバッグをコンパクトに収容することができる。また、本体部の両端部が、ガスを迅速に伝達させることができる形状(蛇腹折り形状)で形成されるので、本体部にガスが注入されると、その両端部が左右方向に沿って迅速に伸展し、本体部が迅速に安定することとなる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の衝突物保護装置であって、前記規制部は、前記境界を縫製することにより形成された縫製部であり、前記縫製部を前記本体部の膨張展開が完了した際の圧力で切断させることで、前記ピラー部へのガスの移動規制を解除することを特徴とする。
【0012】
ここで、「本体部の膨張展開が完了した際」とは、前記と同様に、厳密に完了した時点(本体部が完全に膨張展開しきった時点)だけを意味するのではなく、多少の時間のずれを含むことも意味する。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、本体部とピラー部の境界を縫うだけで、簡単に規制部を製造できるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の衝突物保護装置であって、前記縫製部は、前記ピラー部の下側から上側へ向かって所定間隔を空けて複数設けられ、下側から順に切れていくように構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、縫製部がピラー部の下側から順に切れていくので、ピラー部をフロントピラーに沿って安定して伸展させることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の衝突物保護装置であって、前記縫製部は、その一部に前記縫製部で仕切られた空間を繋ぐための連通部を有することを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、衝突物と車両とが衝突した際には、本体部がフロントウインドガラスの下部に沿って膨張展開している間、本体部の膨張に寄与するガスは、連通部を介してピラー部に多少流入するが、そのほとんどは縫製部によってピラー部への移動が規制される。そのため、本体部の膨張展開中にピラー部はほとんど膨らまず、本体部の膨張展開が完了した後に、連通部から流入してくるガスによってピラー部がフロントピラーに沿って膨張展開していくこととなる。また、このピラー部の膨張展開においては、連通部を押し広げるようにガスが作用するので、縫製部の切断を促進させることが可能となっている。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の衝突物保護装置であって、前記規制部が、所定のガス流通部を有する隔壁であることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、衝突物と車両とが衝突した際には、本体部がフロントウインドガラスの下部に沿って膨張展開している間、本体部の膨張に寄与するガスは、ガス流通部を介してピラー部に多少流入するが、そのほとんどは隔壁によってピラー部への移動が規制される。そのため、本体部の膨張展開中にピラー部はほとんど膨らまず、本体部の膨張展開が完了した後に、ガス流通部から流入してくるガスによってピラー部がフロントピラーに沿って膨張展開していくこととなる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の衝突物保護装置であって、前記本体部の中央部が、前記ピラー部の伸展方向に沿って蛇腹折りされていることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、本体部の中央部が、ガスを迅速に伝達させることができる形状(蛇腹折り形状)で形成されるので、本体部の中央部の幅(ピラー部の伸展方向における幅)が広い場合であっても、本体部の中央部を迅速に伸展させることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の衝突物保護装置であって、前記ピラー部が、その先端を中心としたロール状に巻かれていることを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、長尺部材を一定速度で展開できる形状(ロール状)でピラー部が形成されるので、ピラー部を一定速度で伸展させることができる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載の発明によれば、本体部の膨張展開が完了するまでの間、規制部によってピラー部へのガスの移動が規制されるので、本体部の膨張展開中にピラー部が膨らむことによるピラー部のバタつきが防止され、各ピラー部を確実に所定位置へ安定させることができる。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、両端部が左右方向に蛇腹折りされた本体部にガスが注入されると、その両端部が左右方向に沿って迅速に伸展するので、本体部を迅速に安定させることができる。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、本体部とピラー部の境界を縫うだけで、簡単に規制部を製造できるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0027】
請求項4に記載の発明によれば、縫製部がピラー部の下側から順に切れていくので、ピラー部をフロントピラーに沿って安定して伸展させることができる。
【0028】
請求項5に記載の発明によれば、特に、ピラー部を膨張展開させる際に、連通部を押し広げるようにガスが作用するので、縫製部の切断を促進させることができる。
【0029】
請求項6に記載の発明によれば、本体部の膨張展開が完了するまでの間、隔壁によってピラー部へのガスの移動が規制されるので、本体部の膨張展開中にピラー部が膨らむことによるピラー部のバタつきが防止され、各ピラー部を確実に所定位置へ安定させることができる。
【0030】
請求項7に記載の発明によれば、本体部の中央部が蛇腹折りされているので、本体部の中央部の幅が広い場合であっても、本体部の中央部を迅速に伸展させることができる。
【0031】
請求項8に記載の発明によれば、ピラー部がロール状に形成されるので、ピラー部を一定速度で伸展させることができ、特に、車体を背にして巻いていくような内巻きロール状にすることにより、ピラー部が車体に押し付けられながら伸展していくので、立ち上がりを抑えることができ、さらに本体部展開中のピラー部へのガスの流入が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は本発明の一実施形態に係る衝突物保護装置を示す図であり、エアバッグが収容された状態を示す平面図(a)と、エアバッグが開いた状態を示す平面図(b)である。また、図2はエアバッグのピラー部の詳細を示す要部拡大断面図である。
【0033】
図1(a)および(b)に示すように、衝突物保護装置1は、衝突物と車両2との衝突を検知または予知する衝突判定装置(図示せず)と、前記衝突判定装置が衝突物と車両2との衝突を検知または予知したときにガスを発生させるインフレータ10,10と、前記インフレータ10で発生したガスにより車両2の前部の表面に膨張展開するエアバッグ20とを主に備えている。
【0034】
前記衝突判定装置は、車両2に搭載されたセンサやレーダ(図示せず)からの信号に基づいて車両2と衝突物との衝突を検知または予知するECU(Electronic Control Unit)によって主に構成されており、車両2と衝突物との衝突を検知または予知したときに、インフレータ10,10を作動させてエアバッグ20を膨張展開させるように構成されている。なお、衝突判定装置は、既存の装置を用いて構成されており、その構成は限定されるものではない。
【0035】
インフレータ(ガス発生器)10は、前記衝突判定装置からの衝突検知信号または衝突予知信号に基づいて火薬を爆発させることで、大量のガスを瞬時にエアバッグ20へ送り込むものである。
【0036】
エアバッグ20は、フロントウインドガラス2aの下部に沿って膨張展開する本体部21と、本体部21の両端部21a,21aからフロントピラー2b,2bに沿って膨張展開する一対のピラー部22,22とを有している。そして、この各ピラー部22には、その長手方向に所定間隔で配置された縫製部(規制部)23が設けられている。なお、以下の説明においては、便宜上、エアバッグ20が膨張展開した状態での本体部21の長手方向を左右方向と呼び、ピラー部22の長手方向(伸展方向)を上下方向と呼ぶこととする。
【0037】
具体的に、縫製部23は、図2に示すように、本体部21とピラー部22との境界を所定強度の糸で縫うことによって形成される第1縫製部23Aと、この第1縫製部23Aから上側に向かって順次所定間隔で形成される第2縫製部23B、第3縫製部23C、第4縫製部23D、・・・、第7縫製部23Gとで構成されている。各縫製部23A〜23Gには、一部だけ縫製が施されない部分(本実施形態では中央部)があり、その部分が各縫製部23A〜23Gで仕切られた空間を繋ぐためのガス通路(連通部)23aとなっている。
【0038】
そして、各縫製部23A〜23Gは、その糸強度、縫製ピッチ、本数等が適宜設定されることで、本体部21の膨張展開が完了するまで、本体部21からピラー部22へのガスの移動を規制する役目を果たし、本体部21の膨張展開の完了後は、本体部21の両端部21a,21aの膨張力(膨張により縫製部23を引っ張る力)等により下側の第1縫製部23Aから順に切断されていくようになっている。また、各縫製部23A〜23Gの切断は、本体部21の膨張展開の完了後に所定圧のガスが前記ガス通路23aを押し広げるように通過することによって、促進されるようになっている。
【0039】
また、ピラー部22の先端には、衝撃エネルギを吸収するためのベントホールVHが形成されており、これにより衝突時においてベントホールVHから適宜ガス抜きが行われて衝突物への衝撃を和らげられるようになっている。なお、このベントホールVHは、本体部21の裏側につけることも考えられる。
【0040】
続いて、エアバッグ20の収納方法について説明する。参照する図面において、図3は、エアバッグの折り畳み方を示す図であり、ピラー部をロール状に巻く工程を示す説明図(a)と、本体部の両端部を蛇腹折りする工程を示す説明図(b)と、本体部の中央部の上部を蛇腹折りする工程を示す説明図(c)と、本体部の中央部の蛇腹折りした部分をテープで留める工程を示す説明図(d)と、本体部の両端部を中央へスライドさせる工程を示す説明図(e)である。また、図4は、エアバッグの収容状態および展開状態を示す図であり、図1(a)のA−A断面図(a)と、図1(b)のB−B断面図(b)である。
【0041】
図3(a)に示すように、まず、ピラー部22を、その先端が中心となり、かつ車体を背にして巻いていくような内巻きのロール状に巻く。なお、このようにピラー部22をロール状に巻くことによって、ピラー部22を一定速度で伸展させることができるようになっている。また、ピラー部22を車体を背にした内巻きロール状にすることにより、ピラー部22が車体に押し付けられながら伸展していくので、ピラー部22の立ち上がりを抑えることができ、さらには本体部21の展開中のピラー部22へのガスの流入が抑制される。次に、図3(b)に示すように、本体部21の両端部21a(ピラー部22の左右の幅内にある部分)を左右方向に蛇腹折りし、このように蛇腹折りした部分を図3(c)に示すような破断しやすいテープTで保持する。
【0042】
ここで、「蛇腹折り」とは、図3(b)の吹き出し部(イ)で示すように、本体部21の表面SFと裏面BFを重ねた状態でこれらを波状に交互に折り返していく折り方と、吹き出し部(ロ)に示すように、本体部21の表面SFと裏面BFを重ねずに、それぞれを波状に交互に折り返していく折り方の両方を含んでいる。また、このような折り方(蛇腹折り)は、ガスを迅速に伝達させることができるといった効果を有するとともに、一方向に真っ直ぐ伸展させることができるといった効果も有している。
【0043】
続いて、図3(c)に示すように、本体部21の中央部21b(両端部21a以外の部分)のうちの上部を、上下方向に沿って蛇腹折りし、このように蛇腹折りした部分を図3(d)に示すような破断しやすいテープTで保持する。そして、図3(e)に示すように、本体部21の両端部21aを中央へスライドさせて重ねることによって、図1(a)に示すように、フロントウインドガラス2aの下部に配設されるカウルトップ2d内にエアバッグ20が中央に寄った状態で収容されることとなる。詳しくは、図4(a)に示すように、フード2cの後端の下方に配置されているリテーナ2e内に、エアバッグ20が収容されるようになっており、このようにエアバッグ20を収容したリテーナ2eの開口は、カウルトップ2dと面一となる蓋体2fによって塞がれている。
【0044】
次に、衝突物保護装置1の動作について説明する。参照する図面において、図5は、本体部の膨張展開が完了するまでの動作を示す平面図(a)と、ピラー部が膨張展開していく動作を示す平面図(b)である。
【0045】
図4(a)および(b)に示すように、衝突物保護装置1は、車両2と衝突物との衝突を検知または予知すると、インフレータ10を作動させて、まず、エアバッグ20の本体部21の膨張展開を開始させる。なお、膨張展開する本体部21は、適宜形状保持用のストラップSTが設けられることによって、膨張展開後の形状が所定の形状に保たれるようになっており、後記するピラー部22にも同様にストラップSTが適宜設けられるようになっている。また、ストラップSTの形状は、紐や隔壁のいずれであってもよいが、本体部21の長手方向(図では奥または手前に向かう方向)に延在する隔壁である場合には、適宜孔を形成することで、車両後方へのガスの移動を許容するのが望ましい。
【0046】
そして、本体部21は、図5(a)に示すように、フロントウインドガラス2aの下部に沿って膨張展開していくが、この間は、縫製部23によってピラー部22へのガスの移動が規制されているため、本体部21の膨張展開中におけるピラー部22の膨張展開が抑制されることとなる。特に、本体部21のうちスライドさせて重ねた部分となる両端部21a(図3(e)参照)が、元に戻るように展開する際においても、ピラー部22の膨張展開が抑制されているので、両端部21aの展開中にピラー部22が膨張展開することによるピラー部22のバタつきが防止されるようになっている。その後、本体部21の膨張展開が完了すると、本体部21の両端部21aの膨張力や、所定圧のガスがガス通路23aの通過時にこのガス通路23aを押し広げることによって縫製部23が下側から順に切断されていく。これにより、ピラー部22へのガスの移動規制が下側から順に解除されていき、図5(b)に示すように、ピラー部22がフロントピラー2b(図5(a)参照)に沿って膨張展開していくこととなる。
【0047】
以上によれば、本実施形態において、次のような効果を得ることができる。
本体部21の膨張展開が完了するまでの間、縫製部23によってピラー部22へのガスの移動が規制されるので、スライドさせて重ねた状態となっている本体部21の両端部21aの展開中にピラー部22が膨らむことによるピラー部22のバタつきが防止され、各ピラー部22を確実に所定位置へ安定させることができる。
【0048】
両端部21aが左右方向に蛇腹折りされているので、両端部21aが迅速に伸展して、本体部21を迅速に安定させることができる。また、本体部21が迅速に安定することで各ピラー部22の基部の剛性が確保され、各ピラー部22が一方向(フロントピラー2bに沿った方向)に伸展していくので、ピラー部22のバタつきを確実に抑えることができる。
【0049】
本体部21とピラー部22の境界を縫うだけで、簡単にピラー部22へのガスの移動を規制できるので、製造コストの低減を図ることができる。また、糸の強度や縫い方を適宜変更するだけで、ピラー部22へのガスの流入のタイミングを簡単に調整できるので、車種等に応じたエアバッグ20の種類に適宜対応することができる。
【0050】
縫製部23がピラー部22の下側から順に切れていくので、ピラー部22をフロントピラー2bに沿って安定して膨張展開させることができる。
縫製部23にガス通路23aを設けることによって、ピラー部22を膨張展開させる際にガス通路23aを押し広げるようにガスが作用するので、縫製部23の切断を促進させて、ピラー部22の膨張展開を迅速に行うことができる。
【0051】
本体部21の中央部21bが上下方向に蛇腹折りされているので、本体部21の中央部21bの幅(上下方向における幅)が広い場合であっても、本体部21の中央部21bを迅速に膨張展開させることができる。
ピラー部22がロール状に形成されるので、ピラー部22を一定速度で膨張展開させることができる。
【0052】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
前記実施形態では、規制部として縫製部23を採用したが、本発明はこれに限定されず、本体部21の膨張展開が完了するまでの間、ピラー部22へのガスの移動を規制するものであればどのようなものであってもよい。例えば、図6(a)および(b)に示すように、本体部21とピラー部22の境界に、所定のガス流通孔(ガス流通部)31aを有する隔壁31を設け、この隔壁31によってピラー部22へのガスの移動を規制するようにしてもよい。なお、この場合において、ピラー部22内が、その長手方向に沿って設けられる隔壁状のストラップSTによって2つの空間に仕切られているときには、その各空間に均等にガスが供給されるように、その空間ごとにガス流通孔31aを形成するのが望ましい。また、このようなガス流通孔31aを有する隔壁31を設ける代わりに、図6(c)に示すように、ピラー部22の左右方向の幅に満たない幅の隔壁32をピラー部22の左右方向における中央部に配置することで、この隔壁32でガスの移動を規制し、その両側縁側の隙間Sをガス流通部として作用させてもよい。
【0053】
また、規制部は、本体部21とピラー部22の境界を所定圧で剥離可能な接着剤で結合させることで構成してもよいし、前記境界を所定圧で切断、破断または脱落する紐やテープ等で絞っておくことで構成してもよいし、また、スリットやミシン目などの破断しやすい部分(破断促進部)を有した隔壁を前記境界に設けることで構成してもよい。
なお、本実施形態では、本体部21の両端部21aを中央へスライドさせて重ねるようにしたが、本発明はこれに限定されず、両端部21aを中央へ折り返すようにしてもよい。この場合であっても、両端部の揺動展開中にピラー部22が膨張展開することが防止されるので、ピラー部22のバタつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係る衝突物保護装置を示す図であり、エアバッグが収容された状態を示す平面図(a)と、エアバッグが開いた状態を示す平面図(b)である。
【図2】エアバッグのピラー部の詳細を示す要部拡大断面図である。
【図3】エアバッグの折り畳み方を示す図であり、ピラー部をロール状に巻く工程を示す説明図(a)と、本体部の両端部を蛇腹折りする工程を示す説明図(b)と、本体部の中央部の上部を蛇腹折りする工程を示す説明図(c)と、本体部の中央部の蛇腹折りした部分をテープで留める工程を示す説明図(d)と、本体部の両端部を中央へスライドさせる工程を示す説明図(e)である。
【図4】エアバッグの収容状態および展開状態を示す図であり、図1(a)のA−A断面図(a)と、図1(b)のB−B断面図(b)である。
【図5】本体部の膨張展開が完了するまでの動作を示す平面図(a)と、ピラー部が膨張展開していく動作を示す平面図(b)である。
【図6】規制部の他の実施形態を示す要部拡大断面図(a)と、図6(a)のC−C断面図(b)と、図6(b)に示す隔壁の変形例を示す断面図(c)である。
【符号の説明】
【0055】
1 衝突物保護装置
2 車両
2a フロントウインドガラス
2b フロントピラー
2d カウルトップ
20 エアバッグ
21 本体部
21a 両端部
21b 中央部
22 ピラー部
23 縫製部(規制部)
23a ガス通路
31 隔壁
31a ガス流通孔
32 隔壁




 

 


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