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発明の名称 乗員拘束装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30629(P2007−30629A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−214816(P2005−214816)
出願日 平成17年7月25日(2005.7.25)
代理人 【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
発明者 竹村 直敏
要約 課題
乗員の快適度を高めつつ、車両が横転することを予測及び検出し、これに基づいて、乗員をシートに拘束する乗員拘束装置を提供することにある。

解決手段
乗員拘束装置10は、車両Mのシート26に座っている乗員Pをシート26に拘束可能なシートベルト91と、車両Mの状態に基づいて、車両Mの横転を予測し、また、車両Mの横転を検出して横転予測検出装置20と、シートベルト91に張力を付与して乗員Pを拘束する第1及び第2のプリテンショナー装置50及び60と、横転予測に基づいて第1のプリテンショナー装置50を作動させ、また、横転検出に基づいて第2のプリテンショナー装置60を作動させる制御装置70とを備える。第2のプリテンショナー装置60の作動力は、第1のプリテンショナー装置50の作動力よりも強い。
特許請求の範囲
【請求項1】
車両のシートに座っている乗員を前記シートに拘束可能なシートベルトと、
前記車両の状態に基づいて、前記車両の横転を予測して横転予測信号を出力し、また、前記車両の横転を検出して横転検出信号を出力する横転予測検出装置と、
前記シートベルトに張力を付与して前記乗員を前記シートに拘束する第1及び第2のプリテンショナー装置と、
前記横転予測信号に基づいて前記第1のプリテンショナー装置を作動させ、また、前記横転検出信号に基づいて前記第2のプリテンショナー装置を作動させる制御装置と、を備え、
前記第2のプリテンショナー装置の作動力は、前記第1のプリテンショナー装置の作動力よりも強い乗員拘束装置。
【請求項2】
前記乗員の姿勢を検出して、前記乗員が前記シートに正規着座姿勢で座っていることを示す乗員姿勢信号を出力する乗員姿勢検知装置を備え、
前記制御装置は、前記横転予測信号及び前記乗員姿勢信号に基づいて前記第1のプリテンショナー装置を作動させる請求項1に記載の乗員拘束装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記乗員姿勢信号が入力されることを条件に、前記第2のプリテンショナー装置を作動させる請求項2に記載の乗員拘束装置。
【請求項4】
前記車両の衝突を検出して衝突信号を出力する衝突検出装置を備え、
前記制御装置は、前記横転予測信号及び前記衝突信号に基づいて、前記第2のプリテンショナー装置を作動させる請求項1から3のいずれかに記載の乗員拘束装置。
【請求項5】
前記車両の別のシートに座っている別の乗員を前記別のシートに拘束可能な別のシートベルトと、
前記別のシートベルトに張力を付与して前記別の乗員を拘束する第3及び第4のプリテンショナー装置と、を備え、
前記制御装置は、前記横転予測信号に基づいて前記第3のプリテンショナー装置を作動させ、また、前記横転検出信号に基づいて前記第4のプリテンショナー装置を作動させ、
前記第3のプリテンショナー装置の作動力は、前記第4のプリテンショナー装置の作動力よりも強く、
前記第4のプリテンショナー装置の作動のタイミングは、前記第2のプリテンショナー装置の作動のタイミングと異なる請求項1から4のいずれかに記載の乗員拘束装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が横転しようとするときに作動する乗員拘束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のような車両には、車両が前面衝突した場合に、シートに着座した乗員が慣性力により前方に移動することを防止するシートベルト等の乗員拘束装置の設置が義務付けられている。一般に、乗員拘束装置がこのシートベルトに張力を常に付与することにより、正面衝突による乗員の安全度は高くなるが、常にシートベルトに拘束されているので、乗員の快適度は悪くなる。そこで、車両の正面衝突を予測し、また、車両の正面衝突を検出する正面衝突予測装置を備えた乗員拘束装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7に示すように、そのような乗員拘束装置100は、車両のシート26に座っている乗員Pに装着可能なシートベルト91と、シートベルト91に張力を付与する可逆式プリテンショナー装置PT1及び非可逆式プリテンショナー装置PT2と、車両の状態を検出する車間センサ120及び加速度センサ110と、これらセンサ120、110から出力される信号に基づいて、車両の正面衝突の予測及び検出をし、正面衝突の予測に基づいて可逆式プリテンショナー装置を作動させ、また、正面衝突の検出に基づいて非可逆式プリテンショナー装置を作動させる制御装置170と、を備える。
【0004】
図8に示すように、車両M2が車両M1に正面衝突をする予測及びその検出は、例えば、車間センサ120によって検出される車間Lcと車両M2の加速度とに基づいて行われる。そのような乗員拘束装置100は、正面衝突が予測されるとき、及び、正面衝突が検出されるとき、正面衝突に備えて乗員をシートに拘束し、それ以外のとき、シートへの乗員の拘束は行わない。このため、正面衝突をするときは、すでに、シートの張力を高めて乗員をシートに拘束させているので、乗員の安全度は高まり、かつ、車両の正面衝突の危険性がないときは、シートの張力を弱めて、乗員をシートに拘束する拘束力を小さくし、乗員の快適度を高めることができる。
【特許文献1】特開平6−286581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の乗員拘束装置100は、車両が正面衝突することを予測、検出するセンサを備えているが、車両が横転することを直接に予測、検出することができるセンサ等を備えていない。このため、乗員拘束装置100は、車両が横転する早い段階で乗員をシートに拘束させるために、非可逆式プリテンショナー装置を作動させる。しかし、乗員拘束装置100が非可逆式プリテンショナー装置を作動させても、車両が横転しない場合がある。乗員は、そのような場合がある毎に、シートに拘束されてしまい、快適度を損なってしまうことがあるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、乗員の快適度を高めつつ、車両が横転することを予測及び検出し、これに基づいて、乗員をシートに拘束する乗員拘束装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 車両のシートに座っている乗員を前記シートに拘束可能なシートベルトと、前記車両の状態に基づいて、前記車両の横転を予測して横転予測信号を出力し、また、前記車両の横転を検出して横転検出信号を出力する横転予測検出装置と、前記シートベルトに張力を付与して前記乗員を前記シートに拘束する第1及び第2のプリテンショナー装置と、前記横転予測信号に基づいて前記第1のプリテンショナー装置を作動させ、また、前記横転検出信号に基づいて前記第2のプリテンショナー装置を作動させる制御装置と、を備え、前記第2のプリテンショナー装置の作動力は、前記第1のプリテンショナー装置の作動力よりも強い乗員拘束装置。
【0008】
(1)に記載の発明によれば、横転予測検出装置が車両の横転を予測する(例えば、車両のロール角が20°を超える)と、制御装置は、第1のプリテンショナー装置を作動させて、シートベルトに張力を付与させて、乗員をシートに対して拘束させることができ、シートベルトの張力が変化したことにより、乗員は、車両が横転しそうなことを知ることができる。さらに、第1のプリテンショナー装置の作動力を、乗員が車両を運転することが可能な程度にしてもよい。そのようにすることにより、乗員は、横転しそうな車両を運転することができ、乗員の運転操作により車両の横転を回避させることができる。さらに、乗員拘束装置は、車両の横転の危険性が殆どないとき、第1のプリテンショナー装置の作動を停止させて、シートベルトの張力を弱めて、乗員をシートに拘束する拘束力を小さくし、乗員の快適度を高めることができる。
【0009】
また、横転予測検出装置が車両の横転を検出する(例えば、車両のロール角が70°を超える)と、制御装置は第2のプリテンショナー装置を作動させて、着座姿勢をさせた乗員をシートにさらに拘束させて、車両の横転(すなわち、車両のロール角が180°になる状態)に備える。このため、車両が横転することを予測及び検出し、これに基づいて、乗員拘束装置は、乗員をシートに拘束させるので、車両が横転をするとき、すでに、乗員拘束装置は、シートベルトの張力を高めて乗員をシートに拘束させているので、乗員の安全度を高めることができる。
【0010】
(2) 前記乗員の姿勢を検出して、前記乗員が前記シートに正規着座姿勢で座っていることを示す乗員姿勢信号を出力する乗員姿勢検知装置を備え、前記制御装置は、前記横転予測信号及び前記乗員姿勢信号に基づいて前記第1のプリテンショナー装置を作動させる(1)に記載の乗員拘束装置。
【0011】
(2)に記載の発明によれば、乗員の姿勢に基づいて第1のプリテンショナー装置を作動させるので、乗員を車両の横転に備えた状態にさせることができる。
【0012】
(3) 前記制御装置は、前記乗員姿勢信号が入力されることを条件に、前記第2のプリテンショナー装置を作動させる(2)に記載の乗員拘束装置。
【0013】
(3)に記載の発明によれば、乗員の姿勢が正規着座姿勢であるときに、第2のプリテンショナー装置を作動させるので、乗員を確実にシートに拘束させることができる。
【0014】
(4) 前記車両の衝突を検出して衝突信号を出力する衝突検出装置を備え、前記制御装置は、前記横転予測信号及び前記衝突信号に基づいて、前記第2のプリテンショナー装置を作動させる請求項1から3のいずれかに記載の乗員拘束装置。
【0015】
(4)に記載の発明によれば、車両の衝突を検出することができる衝突検出装置を備えているので、車両の横転が予測される状態において、車両が衝突しても、乗員をシートに拘束させて、乗員の安全を図ることができる。
【0016】
(5) 前記車両の別のシートに座っている別の乗員を前記別のシートに拘束可能な別のシートベルトと、前記別のシートベルトに張力を付与して前記別の乗員を拘束する第3及び第4のプリテンショナー装置と、を備え、前記制御装置は、前記横転予測信号に基づいて前記第3のプリテンショナー装置を作動させ、また、前記横転検出信号に基づいて前記第4のプリテンショナー装置を作動させ、前記第3のプリテンショナー装置の作動力は、前記第4のプリテンショナー装置の作動力よりも強く、前記第4のプリテンショナー装置の作動のタイミングは、前記第2のプリテンショナー装置の作動のタイミングと異なる(1)から(4)のいずれかに記載の乗員拘束装置。
【0017】
車両の横転の検出から実際に横転するまでの時間は、正面衝突の検出から実際に正面衝突するまでの時間より、長い。そのため、(5)に記載の発明によれば、その車両の横転の検出から実際に横転するまでの時間内において、乗員をシートに拘束させるタイミングと、別の乗員を別のシートに拘束させるタイミングとを異なるようにすることができるので、第2及び第4のプリテンショナー装置を逐次作動させることができる。このため、制御装置は、同時に第2及び第4のプリテンショナー装置を作動させるための制御装置より小型化させることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の発明によれば、車両が横転することを予測及び検出し、これに基づいて、乗員をシートに拘束するので、車両が横転をするときは、すでに、シートの張力を高めて乗員をシートに拘束させているので、乗員の安全度は高まり、かつ、車両の横転の危険性がないときは、シートの張力を弱めて、乗員をシートに拘束する拘束力を小さくし、乗員の快適度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明に係る乗員拘束装置の一実施例を示す模式図である。図2は、図1に示す乗員拘束装置10の一制御方法を示すフローチャート図である。図3は、図1に示す乗員拘束装置の横転予測検出装置において、横転予測又は検出の閾値を示すグラフである。
【0020】
図1に示すように、乗員拘束装置10は、車両Mの状態を検出し、また、車両Mが横転するか否かの状態を予測する横転予測検出装置20と、車両Mのシート26に座っている乗員Pをシート26に拘束可能なシートベルト91を有するシートベルト装置90と、シートベルト91に張力を付与して乗員Pを拘束する可逆式プリテンショナー装置50及び非可逆式プリテンショナー装置60と、横転予測検出装置20による車両Mの状態及びそれが横転するか否かの予測に基づいて、可逆式プリテンショナー装置50及び非可逆式プリテンショナー装置60を作動させる制御装置70とを備える。
【0021】
横転予測検出装置20は、乗員Pが操作するハンドル21aの蛇角を検出する蛇角センサ21と、車両Mの加速度を検出するGセンサ22と、車両Mのロール角度を検出するロール角センサ23と、乗員Pが操作するブレーキペダル24aの操作量に応じて変化するマスタシリンダの液圧を検出するブレーキマスタシリンダ液圧センサ24とを含む。横転予測検出装置20は、ロールレートセンサとして作用する。横転予測検出装置20は、センサ21,22,23,24によって検出された蛇角、加速度、ロール角、ブレーキ力に基づいて、車両Mの横転の予測及び検出を行い、横転の予測をした場合に、横転予測信号を出力し、横転の検出をした場合に、横転検出信号を出力し、それら以外である場合に、正常運転である旨を示す正常信号を出力する。
【0022】
シートベルト装置90は、帯状のシートベルト91と、シートベルト91の一端をシート26ひいては車両に対して相対的移動不能に止めるアウトアンカー94と、シートベルト91の他端を巻き取る巻取装置80と、乗員Pの肩の近傍の位置に車両に対して相対的移動不能に取り付けられたショルダーアンカー92と、乗員Pの腰の近傍の位置に車両に対して相対的移動不能に取り付けられたバックル93と、シートベルト91におけるショルダーアンカー92とアウトアンカー94との間にスライド可能に設けられたタング93aとを有する。
【0023】
タング93aは、乗員によってバックル93に装着されると、タング93aはバックル93に堅固に連結される。これにより、巻取装置80から伸びるシートベルト91は、ショルダーアンカー92を介して乗員Pの肩の近傍から乗員Pの胸の前面を通りタング93aに伸びる。また、アウトアンカー94から伸びるシートベルト91は、乗員Pの腰の前面を通りタング93aに伸びる。これにより、シートベルト91は、シート26に着座している乗員Pをシート26から離れないように拘束することができる。
【0024】
巻取装置80は、可逆式プリテンショナー装置50及び非可逆式プリテンショナー装置60の出力軸の回転に伴ってシートベルト91の一端を巻き取り、また、巻き解く。
【0025】
可逆式プリテンショナー装置50は、モータのような駆動装置を備えており、可逆式プリテンショナー装置50の出力軸を正転及び逆転させることができる。また、可逆式プリテンショナー装置50は、制御装置70からの制御信号に応じて、可逆式プリテンショナー装置50の出力軸の回転力を変化させることができる。
【0026】
非可逆式プリテンショナー装置60は、例えば、火薬駆動を備えており、非可逆式プリテンショナー装置60の出力軸を正転させることができる。また、非可逆式プリテンショナー装置60は、火薬駆動を備えているので、非可逆式プリテンショナー装置60の出力軸を強力に正転させることができる。
【0027】
乗員拘束装置10は、さらに、乗員姿勢検知装置40を備えている。乗員姿勢検知装置40は、例えば、乗員Pの姿勢を撮影するカメラとこのカメラによって撮影された画像から、乗員Pの姿勢を判断する公知の画像認識システムとを備えたり、シート26の背もたれの位置に内蔵された静電容量センサとこの静電容量センサによって検出された静電容量に基づいて乗員Pの姿勢を判断する判断システムとを備えたりする。また、乗員拘束装置10は、車両Mの衝突を検出して衝突信号を出力する衝突検出装置45を備えている。衝突検出装置45としては、サイドインパクトセンサやフロント衝突センサやSRSユニット内に設置された加速度センサとされる。
【0028】
制御装置70は、横転予測検出装置20からの横転予測信号及び横転検出信号並びに乗員姿勢検知装置40からの乗員姿勢信号に基づいて、可逆式プリテンショナー装置50及び非可逆式プリテンショナー装置60を制御する。また、制御装置70は、衝突検出装置45からの衝突信号に基づいて、非可逆式プリテンショナー装置60を制御する。
【0029】
(第1の実施例)
図2に示すフローチャート図が対象とする乗員姿勢検知装置40は、乗員Pの姿勢をカメラ若しくは超音波による検出装置又はシートベルト91の張力検出装置を備えている。したがって、乗員Pの姿勢を検知するための時間は、図2に示すフローチャート図が対象とする乗員姿勢検知装置40より図3に示すフローチャート図が対象とする静電容量タイプの乗員姿勢検知装置の方が長い場合、車両Mの横転を予測してから乗員Pの姿勢を検知しても、車両Mが横転するまでに、乗員Pをシート26に拘束させることができないことがある。そこで、図2に示すフローチャート図が対象とする乗員姿勢検知装置40は、常に、乗員Pの姿勢を検知する。
【0030】
車両Mが走行している間、横転予測検出装置20は、車両Mの横転の予測や横転の検出を常に行っている。また、制御装置70は、可逆式プリテンショナー装置50及び非可逆式プリテンショナー装置60をいずれも作動させていない。
【0031】
<車両が正常に走行しているとき>
横転予測検出装置20は、センサ21,22,23,24によって検出された蛇角、加速度、ロール角、ブレーキ力に基づいて、車両Mの横転の予測及び検出を行う。
【0032】
横転予測検出装置20は、例えば、図3に示すような閾値に基づいて、車両Mの横転の予測及び検出を行う。具体的には、車両Mが領域A1の範囲にあるとき、横転予測検出装置20は、車両Mが安定(すなわち正常)した走行をしていると判断する。このとき、横転予測検出装置20は、車両Mが正常に走行している間、正常信号を出力する。車両Mが領域A2及びA3の範囲にあるとき、横転予測検出装置20は、車両Mが安定していない走行をしていると判断する。このとき、横転予測検出装置20は、車両Mが領域A2及びA3の状態を維持している間、横転予測信号を出力する。車両Mが領域A4の範囲にあるとき、横転予測検出装置20は、車両Mが横転する走行をしていると判断する。このとき、横転予測検出装置20は、横転検出信号を出力する。
【0033】
図2に示すように、制御装置70は、ステップS101及びS105を繰り返し実行する。具体的には、横転予測検出装置20からの信号に基づいて、横転の可能性があるか否かを判断する(ステップS101)。制御装置70は、車両Mが横転する可能性がないと判断するので、ステップS105を実行する。
【0034】
制御装置70は、可逆式プリテンショナー装置50が作動している場合、可逆式プリテンショナー装置50の作動を停止させる(ステップS105)。車両Mは正常に走行し、かつ、可逆式プリテンショナー装置50は作動していないので、制御装置70は、可逆式プリテンショナー装置50を作動していない状態を維持する。
【0035】
このように、車両Mが正常に走行している場合、制御装置70は可逆式プリテンショナー装置50を作動させない状態を維持させる。
【0036】
<車両が正常状態から横転の可能性を予測した場合>
横転予測検出装置20は、センサ21,22,23,24によって検出された蛇角、加速度、ロール角、ブレーキ力に基づいて、車両Mの横転の予測をすると、車両Mが横転すると予測される間、横転予測信号を制御装置70に出力する。車両Mの横転の可能性がある状態としては、例えば、車両Mがロールしている状態や、カーブを高速で走行している状態であり、より具体的には、車両Mの状態が図3(A)の領域A2及びA3の範囲である。
【0037】
先ず、制御装置70は、横転の可能性があるか否かの判断において、横転の可能性があると判断する(ステップS101)ので、可逆式プリテンショナー装置50を作動させて、シートベルト91を引き込む(ステップS102)。
【0038】
次に、制御装置70は、乗員Pのシートベルト91の弛みの量を検出し、弛みが多いか否かを判断する(ステップS103)。制御装置70は、例えば、巻取装置80に組み込まれたシートベルト91の張力を検出するロードセルからの張力値に基づいて、乗員Pのシートベルト91の弛みの量を判断する。制御装置70は乗員Pのシートベルト91の弛みの量が多いと判断した場合、さらに、シートベルト91を引き込むために、可逆式プリテンショナー装置50を作動させる(ステップS102)。
【0039】
そして、制御装置70は、横転予測検出装置20から横転検出信号が出力されているか否かを判断して(ステップS104)、車両Mの横転が確実ではないと判断した場合、再び、ステップS101を実行する。
【0040】
このように、制御装置70は、車両Mが正常状態から横転の可能性を有するようになると、可逆式プリテンショナー装置50を作動させて、乗員Pをシート26に正しい乗車姿勢で座るように促す。可逆式プリテンショナー装置50は、乗員Pを運転可能な程度に拘束することができる張力をシートベルト91に付与させる。
【0041】
<車両の横転の可能性の状態から正常状態に移行した場合>
車両が横転の可能性の状態を維持しているとき、制御装置70は、ステップS101、ステップS102、ステップS103及びステップS104を実行している。
【0042】
車両Mの状態が正常状態に移行したとき、すなわち、車両Mの状態が図3(A)の領域A2及びA3からA1に移行したとき、制御装置70は、ステップS101で、横転の可能性はないと判断し、ステップS105を実行する。
【0043】
制御装置70は、車両Mの状態が正常状態に移行したので、可逆式プリテンショナー装置50の作動を停止させて、シートベルト91に付与していた張力を弱める。これにより、乗員Pは、車両Mの状態が正常状態に移行したことを、シートベルト91を介して体感することができる。
【0044】
そうして、制御装置70は、横転予測検出装置20から横転予測信号が入力されるまで、ステップS101及びS105を実行する。
【0045】
<車両の横転の可能性の状態から横転した場合>
車両Mの状態が図3(A)の領域A2及び領域A3から領域A4に移行すると、横転予測検出装置20は、車両Mの横転を検出し(ステップS104)、横転検出信号を制御装置70に出力する。また、車両Mの状態が領域A3で維持されていても、図3(B)に示すように、横転予測検出装置20は、車両Mの加速度ΔVが所定の値L1を超えたと判断すると、車両Mの横転を検出し(ステップS104)、横転検出信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、横転検出信号を受信すると、非可逆式プリテンショナー装置60を作動させて、乗員Pをシート26に拘束させて、車両Mの横転に備える(ステップS106)。
【0046】
以上のように、乗員拘束装置10は、ロール角、ロール角速度及び車両Mの加速度に基づいて、車両Mが横転することを、予測及び検出し、これに基づいて、乗員Pをシート26に拘束するので、車両Mが横転をするときは、すでに、シート26の張力を高めて乗員Pをシート26に拘束させているので、乗員Pの安全度を高めることができ、かつ、車両Mの横転の危険性がないときは、シート26の張力を弱めて、乗員Pをシート26に拘束する拘束力を小さくし、乗員Pの快適度を高めることができる。
【0047】
なお、横転予測検出装置20は、ロール角、ロール角速度及び車両Mの加速度に基づいて、車両Mの横転を検出したが、これに限定されるものではなく、蛇角やブレーキ力に基づいて、車両Mの横転を予測及び検出してもよいし、車両の正面衝突に関する情報に基づいて、車両Mの横転を検出してもよい。
【0048】
(第2の実施例)
図4は、図1に示す乗員拘束装置10の別の制御方法を示すフローチャート図である。図5は、図4に示す制御方法において、乗員の姿勢と第2のプリテンショナー装置の作動タイミングの遅延時間との関係を示すグラフである。図4に示す乗員姿勢検知装置40は、シート26の背もたれの位置に内蔵された静電容量センサとこの静電容量センサによって検出された静電容量に基づいて乗員Pの姿勢を判断する判断システムとして作用する。そのような、乗員姿勢検知装置40は、乗員の姿勢を短時間で検知できるので、横転予測検出装置20が横転予測信号を出力した後に、乗員の姿勢を検出する。
【0049】
図4において、図2と同様の工程は、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0050】
<車両が正常に走行しているとき>
車両Mは正常に走行しているので、横転予測検出装置20は、車両Mが正常に走行している間、正常信号を出力する。
【0051】
したがって、図2に示すように、制御装置70は、ステップS101及びS105を繰り返し実行する。このように、車両Mが正常に走行している場合、制御装置70は可逆式プリテンショナー装置50を作動させない状態を維持させる。
【0052】
<車両が正常状態から横転の可能性を予測した場合>
横転予測検出装置20は、車両Mが横転すると予測される間、すなわち、車両Mの状態が図3(A)の領域A2の範囲の状態を維持している間、横転予測信号を制御装置70に出力する。
【0053】
先ず、制御装置70は、横転の可能性があるか否かの判断において、横転の可能性があると判断する(ステップS101)ので、乗員Pの初期の姿勢を乗員姿勢検知装置40によって検出し、可逆式プリテンショナー装置50の作動時間ΔTを算出し、決定する(ステップS202)。図5に示すように、可逆式プリテンショナー装置50の作動時間ΔTは、乗員Pの初期頭部位置に基づいて決定される。より具体的には、乗員Pの頭部の位置が正規着座における頭部の位置から離れているにつれて、可逆式プリテンショナー装置50の作動時間ΔTは長く設定される。
【0054】
次に、制御装置70は、決定された作動時間ΔTだけ可逆式プリテンショナー装置50を作動させる(ステップS203)。これにより、乗員Pはシート26に拘束される。
【0055】
そして、制御装置70は、横転予測検出装置20から横転検出信号が出力されているか否かを判断して(ステップS104)、車両Mの横転が確実ではないと判断した場合、再び、ステップS101を実行する。
【0056】
このように、制御装置70は、車両Mが正常状態から横転の可能性を有するようになると、可逆式プリテンショナー装置50を作動させて、乗員Pをシート26に正しい乗車姿勢で座るように促す。可逆式プリテンショナー装置50は、乗員Pを運転可能な程度に拘束することができる張力をシートベルト91に付与させる。
【0057】
<車両の横転の可能性の状態から正常状態に移行した場合>
車両が横転の可能性の状態を維持しているとき、制御装置70は、ステップS101、ステップS202、ステップS203及びステップS104を実行している。
【0058】
車両の状態が正常状態に移行したとき、制御装置70は、ステップS101で、横転の可能性はないと判断し、可逆式プリテンショナー装置50の作動を停止させて、シートベルト91に付与していた張力を弱める(ステップS105)。
【0059】
そうして、制御装置70は、横転予測検出装置20から横転予測信号が入力されるまで、ステップS101及びS105を実行する。
【0060】
<車両の横転の可能性の状態から横転した場合>
横転予測検出装置20が車両Mの横転を検出すると(ステップS104)、横転予測検出装置20は横転検出信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、横転検出信号を受信すると、非可逆式プリテンショナー装置60を作動させて、車両Mの横転に備えて、乗員Pをシート26に拘束させる(ステップS106)。
【0061】
(第3の実施例)
以上の第1及び第2実施例の乗員拘束装置10は、1組の可逆式プリテンショナー装置50及び非可逆式プリテンショナー装置60を備え、この組に対して制御をしたが、第3の実施例では、さらに、別の可逆式プリテンショナー装置50及び非可逆式プリテンショナー装置を備え、これらの装置も制御する乗員拘束装置の説明をする。
【0062】
具体的には、車両Mは、運転席用のシートと助手席用のシートとを備える。乗員拘束装置は、車両Mの助手席用のシートに座っている別の乗員を助手席用のシートに拘束可能な助手席用のシートベルトと、助手席用のシートベルトに張力を付与して別の乗員を拘束する助手席用の2つのプリテンショナー装置と、を備える。制御装置70は、横転予測信号に基づいて助手席用の一方のプリテンショナー装置を作動させ、また、横転検出信号に基づいて助手席用の他方のプリテンショナー装置を作動させる。助手席用の一方のプリテンショナー装置の作動力は、助手席用の他方のプリテンショナー装置の作動力よりも強い。助手席用の他方のプリテンショナー装置の作動のタイミングは、第2のプリテンショナー装置の作動のタイミングと異なる。例えば、助手席用の一方及び他方のプリテンショナー装置は、それぞれ、第1の実施例で示した可逆式及び非可逆式プリテンショナー装置と同一の可逆式及び非可逆式プリテンショナー装置である。
【0063】
以下、実施例1で示した可逆式プリテンショナー装置50及び非可逆式プリテンショナー装置60を、それぞれ、運転席用の可逆式プリテンショナー装置及び非可逆式プリテンショナー装置とする。また、助手席用の一方及び他方のプリテンショナー装置を、それぞれ、助手席用の可逆式プリテンショナー装置及び非可逆式プリテンショナー装置とする。
【0064】
図6は、可逆式プリテンショナー装置及び非可逆式プリテンショナー装置の作動とそのシートベルトの引き込み力との関係を示すグラフである。図6のグラフの縦軸は、可逆式プリテンショナー装置のみ又は非可逆式プリテンショナー装置のみが作動したときのシートベルトの引き込み力を示す。
【0065】
図6に示すように、先ず、時刻T1において、横転予測検出装置20が横転検出信号を出力すると、制御装置70は、運転席用及び助手席用の可逆式プリテンショナー装置PT11及びPT12を作動させ、これらのシートベルトに張力を付与させる。
【0066】
次に、時刻T2において、横転予測検出装置20は、車両Mの横転を検出すると、制御装置70は、横転の方向に応じて、運転席用の可逆式プリテンショナー装置PT11の作動を停止させるとともに、運転席用の非可逆式プリテンショナー装置PT21を作動させる。これにより、運転席用のシートに着座している乗員は、シート26に拘束され、車両Mの横転に備えることができる。また、制御装置70は、運転席用の非可逆式プリテンショナー装置を作動させるだけでよいので、運転席用のシート26に着座している乗員をシート26に確実に拘束させることができる。
【0067】
次に、時刻T3において、助手席用の可逆式プリテンショナー装置PT12の作動を停止させるとともに、運転席用の非可逆式プリテンショナー装置PT21を作動させる。これにより、助手席用のシートに着座している乗員は、シート26に拘束され、車両Mの横転に備えることができる。また、制御装置70は、運転席用の非可逆式プリテンショナー装置の作動が終了しているので、助手席用の非可逆式プリテンショナー装置のみを作動させるだけでよい。したがって、制御装置70は、運転席用のシート26に着座している乗員をシート26に確実に拘束させることができる。
【0068】
以上の第1から第3の実施形態の乗員拘束装置10は、以下のように変形することができる。例えば、非可逆式プリテンショナー装置60の代わりに、可逆式プリテンショナー装置50よりも強力なモータを備えた可逆式プリテンショナー装置であってもよい。
【0069】
横転予測検出装置20は、車両Mに備えられたセンサ21,22,23,24によって検出された値に基づいて、車両の横転の予測及び検出を行ったが、車両に備えられるカーテンタイプのエアーバックのセンサによって検出された値に基づいて、車両の横転の予測及び検出を行ってもよい。
【0070】
第3の実施形態では、制御装置70は、運転席用の非可逆式プリテンショナー装置PT21の作動のタイミングと助手席用の非可逆式プリテンショナー装置PT22の作動タイミングとを異なるようにしたが、これらを同一のタイミングで作動させてもよい。
【0071】
本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る乗員拘束装置の一実施例を示す模式図である。
【図2】図1に示す乗員拘束装置10の一制御方法を示すフローチャート図である。
【図3】図1に示す乗員拘束装置の横転予測検出装置において、横転予測又は検出の閾値を示すグラフである。(A)はロール角及びロール角速度と横転の予測及び検出の関係を示す。(B)は車両の加速度と横転の検出との関係を示す。
【図4】図1に示す乗員拘束装置10の別の制御方法を示すフローチャート図である。
【図5】図4に示す制御方法において、乗員の姿勢と第2のプリテンショナー装置の作動タイミングの遅延時間との関係を示すグラフ。
【図6】可逆式プリテンショナー装置及び非可逆式プリテンショナー装置の作動とそのシートベルトの引き込み力との関係を示すグラフである。
【図7】従来の乗員拘束装置の一実施例を示す模式図である。
【図8】従来の乗員拘束装置の車間センサの動作の説明図である。
【符号の説明】
【0073】
10 乗員拘束装置
20 横転予測検出装置
21 蛇角センサ
21a ハンドル
23 ロール角センサ
24 ブレーキマスタシリンダ液圧センサ
24a ブレーキペダル
26 シート
40 乗員姿勢検知装置
45 衝突検出装置
70 制御装置
90 シートベルト装置
91 シートベルト
50,PT11 可逆式プリテンショナー装置(第1のプリテンショナー装置)
PT12 可逆式プリテンショナー装置(第3のプリテンショナー装置)
60,PT21 非可逆式プリテンショナー装置(第2のプリテンショナー装置)
PT22 非可逆式プリテンショナー装置(第4のプリテンショナー装置)




 

 


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