米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 車両 -> 本田技研工業株式会社

発明の名称 車両操作支援装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−22232(P2007−22232A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−205145(P2005−205145)
出願日 平成17年7月14日(2005.7.14)
代理人 【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
発明者 照田 八州志 / 藤原 幸広 / 大島 健一
要約 課題
衝突回避のためのドライバーのステアリング操作をアシストする目標ヨーモーメントを左右の車輪の制動力差により発生させる際に、目標ヨーモーメントが算出されるまでのタイムラグを補償して応答性良く衝突回避を行えるようにする。

解決手段
目標ヨーモーメント補正手段M7は、衝突回避操作判定手段M2がドライバーによる衝突回避操作を判定してから車両横方向運動制御手段M6が目標ヨーモーメントを出力するまでの間、ステアリングホイールの操作量に応じた補正ヨーモーメントを出力し、この補正ヨーモーメントに基づいて左右の車輪に制動力差を発生させる。従って、衝突回避操作判定手段M2がドライバーによる衝突回避操作を判定すると、ステアリングホイールの操作量に応じた補正ヨーモーメントを用いて直ちに左右の車輪に制動力差を発生させることができ、応答性良くヨーモーメントを発生させて障害物を確実に回避することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
車両の走行時に障害物(O)との衝突を回避すべくドライバーが行う衝突回避操作を支援する車両操作支援装置において、
ドライバーによる衝突回避操作を判定する衝突回避操作判定手段(M2)と、
自車が衝突する可能性のある障害物(O)を検知する障害物検知手段(M3)と、
衝突回避操作判定手段(M2)がドライバーによる衝突回避操作を判定したときに、障害物検知手段(M3)で検知した障害物(O)を回避するのに必要な回避運動量を算出する回避運動量算出手段(M4)と、
ドライバーのステアリング操作に基づく目標運動量(γt)を回避運動量算出手段(M4)で算出した回避運動量で修正する目標運動量修正手段(M5)と、
修正した目標運動量(γt)に基づいて車両を回頭させる目標ヨーモーメントを算出する車両横方向運動制御手段(M6)と、
車両横方向運動制御手段(M6)で算出した目標ヨーモーメントを補正する目標ヨーモーメント補正手段(M7)とを備え、
衝突回避操作判定手段(M2)がドライバーによる衝突回避操作を判定したときに、目標ヨーモーメント補正手段(M7)は、車両横方向運動制御手段(M6)が出力する目標ヨーモーメントがステアリング操作量に応じた補正ヨーモーメントおよび障害物回避に必要な回避運動量に応じた補正ヨーモーメントよりも大きくなるまで、ステアリング操作量に応じた補正ヨーモーメントまたは障害物回避に必要な回避運動量に応じた補正ヨーモーメントに基づいて左右の車輪に制動力差を発生させることを特徴とする車両操作支援装置。
【請求項2】
車両の走行時に障害物(O)との衝突を回避すべくドライバーが行う衝突回避操作を支援する車両操作支援装置において、
ドライバーによる衝突回避操作を判定する衝突回避操作判定手段(M2)と、
自車が衝突する可能性のある障害物(O)を検知する障害物検知手段(M3)と、
衝突回避操作判定手段(M2)がドライバーによる衝突回避操作を判定したときに、障害物検知手段(M3)で検知した障害物(O)を回避するのに必要な回避運動量を算出する回避運動量算出手段(M4)と、
操舵角(δ)からステアリング操作量を算出するステアリング操作量算出手段(M10)と、
衝突回避操作判定手段(M2)がドライバーによる衝突回避操作を判定したときに、ステアリング操作量算出手段(M10)で算出したステアリング操作量に応じた指示ヨーモーメント又は回避運動量算出手段(M4)で算出した回避運動量に応じた指示ヨーモーメントを算出する指示ヨーモーメント算出手段(M7′)とを備え、
この指示ヨーモーメントに基づいて左右の車輪に制動力差を発生させることを特徴とする車両操作支援装置。
【請求項3】
操舵角(δ)の微分値を算出する操舵角微分値算出手段(M11)を備え、操舵角微分値算出手段(M11)で算出した操舵角(δ)の微分値の符号が反転したときに、指示ヨーモーメント算出手段(M7′)は指示ヨーモーメントの出力を停止することを特徴とする、請求項1に記載の車両操作支援装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行時に障害物との衝突を回避すべくドライバーが行う衝突回避操作を支援する車両操作支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバーが障害物との衝突を回避するためにステアリングホイールを急操作したことが検出されると、電子制御負圧ブースタにより発生したブレーキ油圧を油圧制御手段を介して旋回内輪のブレーキキャリパに供給することで、旋回外輪の制動力よりも旋回内輪の制動力を高くしてドライバーのステアリング操作をアシストするヨーモーメント発生させるものが、下記特許文献1により公知である。
【特許文献1】特開平9−142272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来のものは、障害物との衝突を回避するのに必要な回避運動量(必要横移動距離)について考慮していないため、左右の車輪の制動力差により発生するヨーモーメントが過大になって車両挙動を乱す可能性があった。そこで、自車および障害物の相対的な位置関係から障害物との衝突を回避するのに必要な回避運動量を算出し、この回避運動量に基づいて衝突回避のためのヨーモーメントを算出することが考えられる。
【0004】
しかしながら、このようにするとドライバーが衝突回避のためのステアリング操作を開始してから回避運動量の算出が完了するまでにタイムラグが発生するため、左右の車輪の制動力差に基づくヨーモーメントを素早く発生させることができなくなり、制御の応答性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、衝突回避のためのドライバーのステアリング操作をアシストする目標ヨーモーメントを左右の車輪の制動力差により発生させる際に、目標ヨーモーメントが算出されるまでのタイムラグを補償して応答性良く衝突回避を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車両の走行時に障害物との衝突を回避すべくドライバーが行う衝突回避操作を支援する車両操作支援装置において、ドライバーによる衝突回避操作を判定する衝突回避操作判定手段と、自車が衝突する可能性のある障害物を検知する障害物検知手段と、衝突回避操作判定手段がドライバーによる衝突回避操作を判定したときに、障害物検知手段で検知した障害物を回避するのに必要な回避運動量を算出する回避運動量算出手段と、ドライバーのステアリング操作に基づく目標運動量を回避運動量算出手段で算出した回避運動量で修正する目標運動量修正手段と、修正した目標運動量に基づいて車両を回頭させる目標ヨーモーメントを算出する車両横方向運動制御手段と、車両横方向運動制御手段で算出した目標ヨーモーメントを補正する目標ヨーモーメント補正手段とを備え、衝突回避操作判定手段がドライバーによる衝突回避操作を判定したときに、目標ヨーモーメント補正手段は、車両横方向運動制御手段が出力する目標ヨーモーメントがステアリング操作量に応じた補正ヨーモーメントおよび障害物回避に必要な回避運動量に応じた補正ヨーモーメントよりも大きくなるまで、ステアリング操作量に応じた補正ヨーモーメントまたは障害物回避に必要な回避運動量に応じた補正ヨーモーメントに基づいて左右の車輪に制動力差を発生させることを特徴とする車両操作支援装置が提案される。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、車両の走行時に障害物との衝突を回避すべくドライバーが行う衝突回避操作を支援する車両操作支援装置において、ドライバーによる衝突回避操作を判定する衝突回避操作判定手段と、自車が衝突する可能性のある障害物を検知する障害物検知手段と、衝突回避操作判定手段がドライバーによる衝突回避操作を判定したときに、障害物検知手段で検知した障害物を回避するのに必要な回避運動量を算出する回避運動量算出手段と、操舵角からステアリング操作量を算出するステアリング操作量算出手段と、衝突回避操作判定手段がドライバーによる衝突回避操作を判定したときに、ステアリング操作量算出手段で算出したステアリング操作量に応じた指示ヨーモーメント又は回避運動量算出手段で算出した回避運動量に応じた指示ヨーモーメントを算出する指示ヨーモーメント算出手段とを備え、この指示ヨーモーメントに基づいて左右の車輪に制動力差を発生させることを特徴とする車両操作支援装置が提案される。
【0008】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、操舵角の微分値を算出する操舵角微分値算出手段を備え、操舵角微分値算出手段で算出した操舵角の微分値の符号が反転したときに、指示ヨーモーメント算出手段は指示ヨーモーメントの出力を停止することを特徴とする車両操作支援装置が提案される。
【0009】
尚、実施例の規範ヨーレート修正手段M5は本発明の目標運動量修正手段に対応し、実施例の規範ヨーレートγtは本発明の目標運動量に対応する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の構成によれば、衝突回避操作判定手段がドライバーによる衝突回避操作を判定すると、回避運動量算出手段が障害物を回避するのに必要な回避運動量を算出し、ドライバーのステアリング操作に基づく目標運動量を目標運動量修正手段が回避運動量で修正し、修正した目標運動量に基づいて目標ヨーレート算出手段が車両を回頭させる目標ヨーモーメントを算出するので、左右の車輪の制動力差により発生するヨーモーメントが過大に算出されるのを防止して車両挙動を乱れを回避することができる。
【0011】
また目標ヨーモーメント補正手段は、衝突回避操作判定手段がドライバーによる衝突回避操作を判定したときに、車両横方向運動制御手段が出力する目標ヨーモーメントが小さい間、ステアリング操作量に応じた補正ヨーモーメント又は障害物回避に必要な回避運動量に応じた補正ヨーモーメントを出力し、この補正ヨーモーメントに基づいて左右の車輪に制動力差を発生させる。従って、車両横方向運動制御手段が出力する目標ヨーモーメントが小さい間でも、ステアリングホイールの操作量に応じた補正ヨーモーメント又は障害物回避に必要な回避運動量に応じた補正ヨーモーメントにより左右の車輪に制動力差を発生させることができ、応答性良く補正ヨーモーメントを出力して障害物を確実に回避することができる。
【0012】
請求項2の構成によれば、衝突回避操作判定手段がドライバーによる衝突回避操作を判定すると、回避運動量算出手段が障害物を回避するのに必要な回避運動量を算出する。指示ヨーモーメント算出手段は、衝突回避操作判定手段がドライバーによる衝突回避操作を判定したときに、ステアリング操作量に応じた指示ヨーモーメント又は障害物回避に必要な回避運動量に応じた指示ヨーモーメントを出力し、この指示ヨーモーメントに基づいて左右の車輪に制動力差を発生させる。ステアリング操作量に応じた指示ヨーモーメントや障害物回避に必要な回避運動量に応じた指示ヨーモーメントは短時間で算出可能なため、応答性良く指示ヨーモーメントを出力して障害物を確実に回避することができる。
【0013】
請求項3の構成によれば、操舵角微分値算出手段で算出した操舵角の微分値の符号が反転したときに指示ヨーモーメント算出手段が前記制動力差の発生を停止するので、ドライバーがステアリングハンドルの戻し操作を開始した時点でタイミング良く左右の車輪の制動力差を消滅させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図7は本発明の第1実施例を示すもので、図1は操作支援装置を搭載した自動車の全体構成を示す図、図2は制動装置の構成を示すブロック図、図3は操舵装置の構成を示す図、図4は操作支援装置の制御系のブロック図、図5は目標横移動距離の説明図、図6は目標ヨーモーメント補正手段のブロック図、図7は車速から目標減速度を検索するマップを示す図である。
【0016】
図1および図2に示すように、本実施例の操作支援装置を搭載した四輪の車両は、エンジンEの駆動力がトランスミッションTを介して伝達される駆動輪たる左右の前輪WFL,WFRと、車両の走行に伴って回転する従動輪たる左右の後輪WRL,WRRとを備える。ドライバーにより操作されるブレーキペダル1は、本発明の制動装置の一部を構成する電子制御負圧ブースタ2を介してマスタシリンダ3に接続される。電子制御負圧ブースタ2は、ブレーキペダル1の踏力を機械的に倍力してマスタシリンダ3を作動させるとともに、自動制動時にはブレーキペダル1の操作によらずに電子制御ユニットUからの制動指令信号によりマスタシリンダ3を作動させる。ブレーキペダル1に踏力が入力され、かつ電子制御ユニットUから制動指令信号が入力された場合、電子制御負圧ブースタ2は両者のうちの何れか大きい方に合わせてブレーキ油圧を出力させる。尚、電子制御負圧ブースタ2の入力ロッドはロストモーション機構を介してブレーキペダル1に接続されており、電子制御負圧ブースタ2が電子制御ユニットUからの信号により作動して前記入力ロッドが前方に移動しても、ブレーキペダル1は初期位置に留まるようになっている。
【0017】
マスタシリンダ3の一対の出力ポート3a,3bは本発明の制動装置の一部を構成する油圧制御装置4を介して前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRにそれぞれ設けられたブレーキキャリパ5FL,5FR,5RL,5RRに接続される。油圧制御装置4は4個のブレーキキャリパ5FL,5FR,5RL,5RRに対応して4個の圧力調整器6…を備えており、それぞれの圧力調整器6…は電子制御ユニットUに接続されて前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRに設けられたブレーキキャリパ5FL,5FR,5RL,5RRの作動を個別に制御する。
【0018】
従って、車両の旋回時に圧力調整器6…によって各ブレーキキャリパ5FL,5FR,5RL,5RRに伝達されるブレーキ油圧を独立に制御すれば、左右の車輪の制動力に差を発生させて車両のヨーモーメントを任意に制御し、旋回時の車両挙動を安定させることができる。また制動時に各ブレーキキャリパ5FL,5FR,5RL,5RRに伝達されるブレーキ油圧を独立に制御すれば、車輪のロックを抑制するアンチロックブレーキ制御を行うことができる。
【0019】
図3は車両の操舵装置の構造を示すもので、ステアリングホイール11の回転はステアリングシャフト12、連結軸13およびピニオン14を介してラック15に伝達され、更にラック15の往復動が左右のタイロッド16,16を介して左右の前輪WFL,WFRに伝達される。操舵装置10に設けられたパワーステアリング装置17は、ステアリングアクチュエータ18の出力軸に設けた駆動ギヤ19と、この駆動ギヤ19に噛み合う従動ギヤ20と、この従動ギヤ20と一体のスクリューシャフト21と、このスクリューシャフト21に噛み合うとともに前記ラック15に連結されたナット22とを備える。従って、ステアリングアクチュエータ18を駆動すれば、その駆動力を駆動ギヤ19、従動ギヤ20、スクリューシャフト21、ナット22、ラック15および左右のタイロッド16,16を介して左右の前輪WFL,WFRに伝達することができる。
【0020】
電子制御ユニットUには、車体前方に向けてミリ波等の電磁波を発信し、その反射波に基づいて障害物と自車とのオフセット距離、障害物の横幅、障害物と自車との相対速度、障害物と自車との相対位置および障害物の大きさを検知するレーダー装置Saと、前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRの回転数をそれぞれ検知する車輪速センサSb…と、ステアリングホイール11の操舵角δを検知する操舵角センサScと、車両のヨーレートγを検知するヨーレートセンサSeと、ブレーキペダル1の操作を検知するブレーキ操作センサSfとが接続される。
【0021】
尚、ミリ波レーダーよりなる前記レーダー装置Saに代えてレーザーレーダーを採用することができる。
【0022】
電子制御ユニットUは、レーダー装置Saからの信号と、各センサSb…〜Sfからの信号とに基づいて、電子制御負圧ブースタ2、油圧制御装置4およびステアリングアクチュエータ18の作動を制御する。
【0023】
図4に示すように、電子制御ユニットUは、規範ヨーレート算出手段M1と、衝突回避操作判定手段M2と、障害物検知手段M3と、回避運動量算出手段M4と、規範ヨーレート修正手段M5と、車両横方向運動制御手段M6と、目標ヨーモーメント補正手段M7と、目標減速度算出手段M8と、車両前後方向運動制御手段M9と、ステアリング操作量算出手段M10とを備える。車両横方向運動制御手段M6はステアリングアクチュエータ18に接続される。目標ヨーモーメント補正手段M7および車両前後方向運動制御手段M9は電子制御負圧ブースタ2および油圧制御装置4に接続される。
【0024】
次に、ドライバーが障害物の回避操作を行わない通常時の作用を説明する。
【0025】
規範ヨーレート算出手段M1は、操舵角センサScで検出した操舵角δと車輪速センサSb…の出力から算出した自車の車速Vとに基づいて規範ヨーレートγtを算出する。車両横方向運動制御手段M6は、ヨーレートセンサSeで検出した実ヨーレートγと規範ヨーレートγtとの偏差に基づいて補正操舵角を算出する。実ヨーレートγが規範ヨーレートγtよりも大きいときに車両はオーバーステア状態にあり、また実ヨーレートγが規範ヨーレートγtよりも小さいときに車両はアンダーステア状態にあるが、前記補正操舵角はこれらのオーバーステア状態およびアンダーステア状態を解消すべく、ドライバーが実際にステアリングホイール11を操作する操舵角δに対してパワーステアリング装置17が付加する操舵角に対応する。パワーステアリング装置17のステアリングアクチュエータ18を駆動して補正操舵角を発生させることにより、車両がオーバーステア傾向にあるときにはステアリングホイール11を切り戻し方向に軽くし、車両がアンダーステア傾向にあるときにはステアリングホイール11を切り込み方向に重くして、ドライバーのステアリング操作を補助することができる。また車両がオーバーステア傾向にあるときには旋回外輪を制動して過剰なヨーレートを抑制し、車両がアンダーステア傾向にあるときには旋回内輪を制動して旋回方向のヨーレートを増加させる。
【0026】
次に、ドライバーが障害物の回避操作を行う回避時の作用を説明する。
【0027】
衝突回避操作判定手段M2は、操舵角センサScで検出したステアリングホイール11の操舵角δに基づいて、ドライバーが障害物を回避するための操作を行ったか否かを判定する。具体的には、操舵角δを時間微分した操舵角速度dδ/dtが所定値(例えば0.85rad/sec)以上、または操舵角センサScが出力する操舵角δが所定値(例えば0.3rad)以上のときに、ドライバーが障害物を回避するための操作を行ったと判定する。
【0028】
図5に示すように、レーダー装置Saは、障害物Oと自車との相対速度および相対距離に加えて、障害物Oの横幅wと、自車の中心線に対する障害物Oの中心のずれ、つまりオフセット距離Doを検出する。
【0029】
障害物検知手段M3は、レーダー装置Saによる検知結果に基づいて自車の予想進路上にある障害物Oを判定する。回避運動量算出手段M4は、衝突回避操作判定手段M2がドライバーによる回避操作を判定したときに、障害物Oの横幅wと、既知である自車の横幅Wと、所定のマージンαとにより、自車が障害物Oを回避するのに必要な回避運動量(目標横移動距離)Dtを、
Dt=(w/2)+(W/2)+α−Do
により算出する。
【0030】
自車と障害物Oとの衝突を回避するのが最も困難なのは、自車の中心線上に障害物Oの中心がある場合、つまり自車の真正面に障害物Oがある場合であり、このような場合でも自車が上記目標横移動距離Dtだけ横方向に移動すれば、マージンαに相当する余裕を残して障害物Oの横をすり抜けることができる。
【0031】
規範ヨーレート修正手段M5は、規範ヨーレート算出手段M1で算出した規範ヨーレートγtを、回避運動量算出手段M4で算出した回避運動量Dtによって修正する。その結果、操舵角δおよび車速Vから算出した規範ヨーレートγtが、自車が障害物Oを回避するのが困難なときほど大きくなるように修正される。これにより、ドライバーが障害物Oとの衝突を回避するためのステアリング操作を行ったときに、そのステアリング操作をパワーステアリング装置17でアシストして衝突回避を効果的に行うことができる。
【0032】
障害物Oの回避時には、ドライバーの回避操作をパワーステアリング装置17によりアシストすると同時に、電子制御負圧ブースタ2および油圧制御装置4を制御して左右の車輪に制動力差を発生することで車両を回頭させるヨーモーメントを発生させたり、全ての車輪に制動力を発生させて制動距離を短縮したりする制御が行われる。
【0033】
先ず、左右の車輪の制動力差により障害物Oを回避するヨーモーメントを発生させる制御について説明する。
【0034】
図6に示すように、目標ヨーモーメント補正手段M7は、第1ハイセレクト手段m1と、第2ハイセレクト手段m2と、車輪ブレーキ圧換算手段m3とを備える。第1ハイセレクト手段m1にはステアリング操作量算出手段M10で算出したステアリング操作量、つまり操舵角δおよびその時間微分値である操舵角速度δ′の線型和aδ+bδ′(a,bは定数)に所定のゲインK1を乗算した値と、回避運動量算出手段M4で算出した目標横移動距離Dtに所定のゲインK2を乗算した値とが入力され、第1ハイセレクト手段m1はK1×(aδ+bδ′)およびK2×Dtの何れか大きい方を出力する。衝突回避操作判定手段M2がドライバーの衝突回避操作を判定していないときには、第1ハイセレクト手段m1の出力は0になる。
【0035】
第2ハイセレクト手段m2は、第1ハイセレクト手段m1の出力と、車両横方向運動制御手段M6が出力する目標ヨーモーメントとのうち、何れか大きい方を出力する。車両横方向運動制御手段M6が出力する目標ヨーモーメントが第1ハイセレクト手段m1の出力を一旦上回り、第2ハイセレクト手段m2が大きい方の目標ヨーモーメントを出力すると、その後は目標ヨーモーメントおよび第1ハイセレクト手段m1の出力の大小に関わらず、第2ハイセレクト手段m2は目標ヨーモーメントだけを出力する。
【0036】
そして車輪ブレーキ圧換算手段m3は、第2ハイセレクト手段m2の出力を、各車輪のブレーキ圧に換算して電子制御負圧ブースタ2および油圧制御装置4を制御し、左右の車輪に制動力差を発生させる。例えば、右車輪の制動力が左車輪の制動力を上回ると車両を右に回頭させるヨーモーメントが発生し、左車輪の制動力が右車輪の制動力を上回ると車両を左に回頭させるヨーモーメントが発生し、このヨーモーメントにより障害物Oの回避がアシストされる。
【0037】
ところで、目標ヨーモーメント補正手段M7に入力される操舵角δおよび操舵角速度δ′の線型和aδ+bδ′と、目標横移動距離Dtと、目標ヨーモーメントとのうち、線型和aδ+bδ′は衝突回避操作判定手段M2がドライバーの衝突回避操作を判定すると略同時に出力されるのに対し、目標横移動距離Dtは回避運動量算出手段M4の演算時間の分だけ出力が遅れ、目標ヨーモーメントは更に規範ヨーレート修正手段M5および車両横方向運動制御手段M6の演算時間の分だけ出力が遅れることになる。即ち、ドライバーの衝突回避操作が判定されると、先ず線型和aδ+bδ′が出力され、続いて目標横移動距離Dtが出力され、最後に目標ヨーモーメントが出力されることになり、線型和aδ+bδ′の出力と目標横移動距離Dtの出力との間には、例えば100msec程度のタイムラグが発生し、また目標横移動距離Dtの出力と目標ヨーモーメントの出力との間には、例えば100msec程度のタイムラグが発生する。
【0038】
従って、ドライバーの衝突回避操作が判定された瞬間から100msecが経過するまでの間は、目標横移動距離Dtも目標ヨーモーメントも出力されていないため、線型和aδ+bδ′に基づいて補正ヨーモーメントが算出されることになる。また目標横移動距離Dtが出力された瞬間から更に100msecが経過するまでの間は、目標ヨーモーメントが出力されていないため、線型和aδ+bδ′および目標横移動距離Dtの何れか大きい方に基づいて補正ヨーモーメントが算出されることになる。
【0039】
以上のように、衝突回避操作判定手段M2がドライバーによる衝突回避操作を判定したときに、車両横方向運動制御手段M6が出力する目標ヨーモーメントが充分に大きくなるまでの間は、目標ヨーモーメント補正手段M7がステアリング操作量に応じた補正ヨーモーメント又は回避運動量に応じた補正ヨーモーメントを出力するので、衝突回避操作が判定されるとほぼ同時に補正ヨーモーメントを出力して制御の応答性を高めることができる。
【0040】
続いて、四輪を自動制動して障害物Oとの衝突を回避する制御について説明する。
【0041】
目標減速度算出手段M8は、障害物検知手段M3で検知した障害物Oの状況に基づいてTTC(衝突余裕時間 time to collision )を算出する。TTCは自車が障害物Oに衝突するまでの実際の時間に対応するもので、自車の前後加速度が0であると見なした上で、レーダー装置Saで検知した障害物Oとの相対距離を相対速度で除算することにより算出される。
【0042】
TTCが閾値未満であって自車が障害物Oに衝突する可能性があるときに、目標減速度算出手段M8は車速Vをパラメータとするマップ(図7参照)に基づいて目標減速度を算出する。そして車両前後方向運動制御手段M9は、電子制御負圧ブースタ2および油圧制御装置4の作動を制御して四輪を自動制動することで障害物Oとの衝突を回避する。このように、自車が障害物Oに接近したときに自動制動による減速を行うことで、障害物Oとの接触を回避するステアリング操作を容易にすることができる。
【0043】
自動制動により車速が減少すると、車速の減少に応じて自動制動の制動力を減少させるので、その後にドライバーがステアリング操作による衝突回避を行った場合に、急激なヨーレートの発生を抑えて車両挙動の乱れを防止することができる。
【0044】
図8〜図10は本発明の第2実施例を示すもので、図8は操作支援装置の制御系のブロック図、図9は指示ヨーモーメント算出手段のブロック図、図10は指示ヨーモーメント算出手段の作用を説明するタイムチャートである。
【0045】
図8に示すように、第2実施例は、第1実施例の目標ヨーモーメント補正手段M7の代わりに、指示ヨーモーメント算出手段M7′を備える。第1実施例の目標ヨーモーメント補正手段M7には車両横方向運動制御手段M6から目標ヨーモーメントが入力されるが、第2実施例の指示ヨーモーメント算出手段M7′には車両横方向運動制御手段M6から目標ヨーモーメントが入力されず、その代わりに、操舵角微分値算出手段M11で算出した操舵角微分値が入力される。
【0046】
図9に示すように、指示ヨーモーメント算出手段M7′は、ハイセレクト手段m4と、指示ヨーモーメント演算回路m5と、車輪ブレーキ圧換算手段m3とを備える。ハイセレクト手段M4の機能は、第1実施例の第1ハイセレクト手段m1の機能と同じである。即ち、ハイセレクト手段m4には、ステアリング操作量算出手段M10で算出したステアリング操作量、つまり操舵角δおよび操舵角速度δ′の線型和aδ+bδ′(a,bは定数)に所定のゲインK1を乗算した値と、回避運動量算出手段M4で算出した目標横移動距離Dtに所定のゲインK2を乗算した値とが入力され、K1×(aδ+bδ′)およびK2×Dtの何れか大きい方を出力する。衝突回避操作判定手段M2がドライバーの衝突回避操作を判定していないときには、ハイセレクト手段m4の出力は0になる。
【0047】
指示ヨーモーメント演算回路m5は、ハイセレクト手段m4の出力を指示ヨーモーメントに変換する。この指示ヨーモーメント演算回路m5には、操舵角微分値算出手段M11で算出した操舵角微分値δ′が入力され、操舵角微分値δ′の符号が0を挟んで入れ代わったとき、つまりステアリングホイール11の回転方向が右から左に切り換わったとき、あるいは左から右に切り換わったときに、指示ヨーモーメントの出力を停止する。
【0048】
そして車輪ブレーキ圧換算手段m3は、ハイセレクト手段m4の出力を、各車輪のブレーキ圧に換算して電子制御負圧ブースタ2および油圧制御装置4を制御し、左右の車輪に制動力差を発生させる。例えば、右車輪の制動力が左車輪の制動力を上回ると車両を右に回頭させるヨーモーメントが発生し、左車輪の制動力が右車輪の制動力を上回ると車両を左に回頭させるヨーモーメントが発生し、このヨーモーメントにより障害物Oの回避がアシストされる。
【0049】
しかして。図10に示すように、衝突回避操作判定手段M2がドライバーによる衝突回避操作を判定した直後の期間(1)では、K1×aδ+bδ′(以下Aという)がK2×Dt(以下B)よりも大きいため、指示ヨーモーメント演算回路m5が出力する指示ヨーモーメントDとして、大きい方のAが採用される。続く期間(2)ではBがAよりも大きくなるため、指示ヨーモーメント演算回路m5が出力する指示ヨーモーメントDとして、大きい方のBが採用される。
【0050】
操舵角微分値Cが負から正に切り換わるとき、つまりステアリングホイール11の回転方向が切り換わったとき、期間(2)が終わって期間(3)に移行する。期間(3)では,AおよびBの大小関係に関わらずに指示ヨーモーメントDは0に保持され、従って左右の車輪に制動力差は発生しない。つまり、障害物Oの回避のためのステアリングホイール11の切り込みが終わると、それ以上車両の回頭性を高める必要がないと判断して左右の車輪の制動力差によるヨーモーメントの発生を停止するため、過剰なヨーモーメントの発生を防止することができる。
【0051】
この第2実施例によれば、ステアリングホイール11の操作開始から極めて微小なタイムラグで指示ヨーモーメントを出力可能なため、左右の車輪の制動力差によるヨーモーメントを速やかに発生させて車両を回頭性を高め、障害物Oを確実に回避することができる。
【0052】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0053】
例えば、実施例のパワーステアリング装置17は、ステア・バイ・ワイヤ装置に置き換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】操作支援装置を搭載した自動車の全体構成を示す図
【図2】制動装置の構成を示すブロック図
【図3】操舵装置の構成を示す図
【図4】操作支援装置の制御系のブロック図
【図5】目標横移動距離の説明図
【図6】目標ヨーモーメント補正手段のブロック図
【図7】車速から目標減速度を検索するマップを示す図
【図8】第2実施例に係る操作支援装置の制御系のブロック図
【図9】指示ヨーモーメント算出手段のブロック図
【図10】指示ヨーモーメント算出手段の作用を説明するタイムチャート
【符号の説明】
【0055】
M2 衝突回避操作判定手段
M3 障害物検知手段
M4 回避運動量算出手段
M5 規範ヨーレート修正手段(目標運動量修正手段)
M6 車両横方向運動制御手段
M7 目標ヨーモーメント補正手段
M7′ 指示ヨーモーメント算出手段
M10 ステアリング操作量算出手段
M11 操舵角微分値算出手段
O 障害物
γt 規範ヨーレート(目標運動量)




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013