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発明の名称 ハイブリッド車両における変速制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−22148(P2007−22148A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−203276(P2005−203276)
出願日 平成17年7月12日(2005.7.12)
代理人 【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
発明者 塚田 善昭 / 綱島 功▲祐▼ / 田中 邦彦 / 小島 浩孝
要約 課題
ハイブリッド車両において、マニュアル操作により変速操作を行う場合に変速音を低減する。

解決手段
変速制御装置10は、クランク軸38を回転駆動し、回生発電を行うモータ・ジェネレータ36と、クランク軸38の回転速度を有段に変速して駆動輪に伝達する変速機42と、クランク軸38と変速機42との間に設けられ、シフトペダル33の操作に連動して動力の断接を行う変速用クラッチ44と、シフトスピンドル124の回転から変速機42の変速操作を検出する回転位置センサ130と、変速用クラッチ44の入力側及び出力側の回転速度Ni、Noを検出する入力回転センサ94及び出力回転センサ96とを有する。制御ユニット26では、スピンドル角度θ、入力回転速度Ni、出力回転速度Noに基づいてモータ・ジェネレータ36を制御し、変速時に入力回転速度Ni、出力回転速度Noを同期させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
走行状況に応じてエンジンとともに駆動輪を回転駆動し、又は前記駆動輪の回転動力に基づいて回生発電を行う回転電機を備えるハイブリッド車両における変速制御装置において、
前記回転電機の駆動軸の回転速度を有段に変速して駆動輪に伝達する変速機と、
マニュアル操作に連動して前記変速機を変速させる変速切換手段と、
前記回転電機と前記変速機との間に設けられ、所定のクラッチ操作手段により動力の断接を行うクラッチと、
前記変速切換手段の操作量を検出する変速検知手段と、
前記クラッチの入力側の回転数を検出するクラッチ入力回転検出手段と、
前記クラッチの出力側の回転数を検出するクラッチ出力回転検出手段と、
前記変速検知手段、前記クラッチ入力回転検出手段及び前記クラッチ出力回転検出手段から得られる信号に基づいて前記回転電機を制御し、前記クラッチの入力側回転数と出力側回転数を同期させる制御部と、
を有することを特徴とするハイブリッド車両における変速制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド車両における変速制御装置において、
前記制御部は、前記変速検知手段から得られる信号がシフトダウンを示すときに、前記回転電機を回転駆動することにより前記駆動軸を増速させることを特徴とするハイブリッド車両における変速制御装置。
【請求項3】
請求項1記載のハイブリッド車両における変速制御装置において、
前記制御部は、前記変速検知手段から得られる信号がシフトアップを示すときに、前記回転電機を回生発電させることにより前記駆動軸を減速させることを特徴とするハイブリッド車両における変速制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両における変速制御装置において、
前記クラッチ操作手段の操作量を検出する断接検知手段を備え、
前記制御部は、前記断接検知手段から得られる前記クラッチ操作手段の操作量に基づいて、前記クラッチが遮断された後に前記回転電機の同期制御を開始し、次に、前記クラッチが接続されるときまでに前記同期制御を行い、又は終了することを特徴とするハイブリッド車両における変速制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両における変速制御装置において、
前記変速切換手段は前記クラッチ操作手段に連結されており、前記変速切換手段の操作に応じて、前記クラッチの断接及び前記変速機の変速が順に行われることを特徴とするハイブリッド車両における変速制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行状況に応じてエンジンとともに駆動輪を回転駆動し、又は駆動臨の回転動力に基づいて回生発電を行う回転電機を備えるハイブリッド車両における変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、燃費及びエミッション性能の向上の観点からエンジンと協動して駆動力を発生するモータを搭載したハイブリッド車両が開発され、一部が実用化されている。このモータは減速時には発電機として作用して回生を行い、発生した電力を蓄電器に充電しておくことによりエネルギー効率を向上させることができる。ハイブリッド車両のシステムにはエンジンとモータの組み合わせにいくつかの方式があり、例えばパラレルハイブリッドシステムではエンジン及びモータにより所定の駆動軸を協動して駆動し、該駆動軸の回転駆動力が変速機を介して駆動輪に伝達される。
【0003】
ところで、変速機に有段式のものを用いる場合には変速切替時に多少の変速音が生じるが、この変速音はなるべく小さいことが望ましい。ハイブリッド車両においても有段式の変速機が用いられることがあり、変速音の一層の低減が望まれている。
【0004】
このような要望に対して、オートマチック式の有段変速機を搭載したハイブリッド車両における変速時に、モータによって所定のトルクを吸収し又は付加して、変速音の低減を図る回生装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この回生装置では、変速機における入力側と出力側の各回転数から求められる実変速比により変速がなされているか否かを検知し、変速が行われている場合にモータによるトルクの制御を行う。
【0005】
【特許文献1】特開2000−152407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記の特許文献1に記載された回生装置では、変速機にオートマチック式を用いており、車速等の走行状況と、記憶された変速線図における変速点とに基づいて自動的に変速判断がなされる。つまり、特許文献1記載の方式によれば、オートマチック式において変速の切り換え時期が予め規定されている場合には所定の対応を行うことにより変速音の低減を図ることができるが、マニュアル式の変速機に対しては適用が困難である。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、マニュアル操作により変速操作を行う場合に変速音を一層低減することのできるハイブリッド車両における変速制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るハイブリッド車両における変速制御装置は、走行状況に応じてエンジンとともに駆動輪を回転駆動し、又は前記駆動輪の回転動力に基づいて回生発電を行う回転電機を備えるハイブリッド車両における変速制御装置において、前記回転電機の駆動軸の回転速度を有段に変速して駆動輪に伝達する変速機と、マニュアル操作に連動して前記変速機を変速させる変速切換手段と、前記回転電機と前記変速機との間に設けられ、所定のクラッチ操作手段により動力の断接を行うクラッチと、前記変速切換手段の操作量を検出する変速検知手段と、前記クラッチの入力側の回転数を検出するクラッチ入力回転検出手段と、前記クラッチの出力側の回転数を検出するクラッチ出力回転検出手段と、前記変速検知手段、前記クラッチ入力回転検出手段及び前記クラッチ出力回転検出手段から得られる信号に基づいて前記回転電機を制御し、前記クラッチの入力側回転数と出力側回転数を同期させる制御部とを有することを特徴とする。
【0009】
このように、運転者によるマニュアル変速操作を変速検知手段により検知して回転電機を制御することにより、変速時のクラッチにおける入出力回転数差が小さくなり、変速に伴う変速音を低減することができる。また、入出力回転数差が小さくなることからクラッチの寿命が向上する。
【0010】
この場合、前記変速検知手段から得られる信号がシフトダウンを示すときに、前記回転電機を回転駆動することにより前記駆動軸を増速させるとよい。
【0011】
前記制御部は、前記変速検知手段から得られる信号がシフトアップを示すときに、前記回転電機を回生発電させることにより前記駆動軸を減速させるとよい。回生発電を行うことによりエネルギー効率の向上が図られる。
【0012】
また、前記クラッチ操作手段の操作量を検出する断接検知手段を備え、前記制御部は、前記断接検知手段から得られる前記クラッチ操作手段の操作量に基づいて、前記クラッチが遮断された後に前記回転電機の同期制御を開始し、次に、前記クラッチが接続されるときまでに前記同期制御を行い、又は終了するとよい。
【0013】
前記変速切換手段は前記クラッチ操作手段に連結されており、前記変速切換手段の操作に応じて、前記クラッチの断接及び前記変速機の変速が順に行われるように構成すると、クラッチ操作と変速操作を1つの動作で行うことができる。また、変速検知手段と断接検知手段の共通化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るハイブリッド車両における変速制御装置によれば、運転者によるマニュアル変速操作を変速検知手段により検知して回転電機を制御することにより、変速時のクラッチにおける入出力回転数差が小さくなり、変速に伴う変速音を低減することができる。また、入出力回転数差が小さくなることからクラッチの寿命が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係るハイブリッド車両における変速制御装置について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図7Bを参照しながら説明する。本実施の形態に係る変速制御装置10は、ハイブリッド式の自動二輪車12に搭載される。
【0016】
図1に示すように、自動二輪車12は、ヘッドパイプ13に回動可能に軸支されたハンドル14と、該ハンドル14により操舵される前輪16と、駆動輪である後輪18と、運転者が搭乗するシート20と、後輪18にチェーン22を介して駆動力を供給するパワーユニット24と、該パワーユニット24の制御を行う制御ユニット(制御部)26と、始動、駆動及び回生等に供されるバッテリ28とを有する。バッテリ28は鉛蓄電池に限らず、設計条件により種々の蓄電器が使用可能である。
【0017】
自動二輪車12は図示しないフレームをベースに構成されており、該フレームはカバー30により覆われている。制御ユニット26及びバッテリ28はシート20の下部で、カバー30の内部に配置されている。パワーユニット24は、前輪16と後輪18の略中間で、シート20の下方やや前方に設けられている。自動二輪車12の左側でパワーユニット24の近傍には、ステップ32及びシーソー形式のシフトペダル33が設けられている。
【0018】
自動二輪車12の変速方式はいわゆる4速ロータリ式であって、シフトペダル33の後方を踏み込む毎にシフトポジション値がニュートラル→1→2→3→4とシフトアップされ、逆にシフトペダル33の前方を踏み込む毎に4→3→2→1→ニュートラルとシフトダウンされる。なお、この4速ロータリ式では、変速時のクラッチ操作がシフトペダル33の操作によりシーケンス的、且つ自動的に行われ、クラッチレバー等は省略されている。
【0019】
自動二輪車12は概略的に以上のように構成されており、このうち、本実施の形態に係る変速制御装置10はパワーユニット24、制御ユニット26、バッテリ28から構成されている。
【0020】
次に、パワーユニット24の構成について図2を参照しながら説明する。なお、図2はパワーユニット24の断面平面図であり、左右方向が車幅方向、上方向が車両前方、下方向が車両後方に相当する。
【0021】
図2に示すように、パワーユニット24は、走行駆動力を発生するエンジン34及びモータ・ジェネレータ(回転電機)36と、エンジン34のクランク軸(駆動軸)38に設けられた発進クラッチ40と、該発進クラッチ40を介してクランク軸38の回転を有段変速する変速機42と、発進クラッチ40と変速機42との間に設けられた変速用クラッチ44とを有する。モータ・ジェネレータ36はエンジンの始動時においてはクランク軸38を回転駆動させるスタータモータとして機能する。パワーユニット24は、シリンダヘッド46a、シリンダ46b及びクランクケース46cが一体的に結合されて外延部を構成している。クランク軸38は複数のベアリング48a、48b、48cによって回転自在に軸支されている。
【0022】
エンジン34は、クランク軸38に連結されたコンロッド50と、該コンロッド50の先端に設けられ、シリンダ46b内を往復運動するピストン52と、シリンダ46b内端部の燃焼室34aに火花を供給する点火プラグ54と、図示しないバルブを開閉動作させて燃焼室34aに対する吸排気を行うカム機構56とを有する。カム機構56はクランク軸38からタイミングチェーン56aを介して駆動される。
【0023】
モータ・ジェネレータ36はクランク軸38の左端部に配置されており、クランクケース46cに設けられてクランク軸38と同軸状に構成されたステータ58と、クランク軸38の端部に固定されてステータ58を覆うように設けられたアウタロータ60とを有する。ステータ58には環状配置された複数のコイル61が設けられている。アウタロータ60にはコイル61に対して狭い隙間を形成するように配置された複数のマグネット62が固定されている。モータ・ジェネレータ36は、制御ユニット26の作用下に回転制御がなされる。
【0024】
発進クラッチ40は、発進時、停止時にクランク軸38とプライマリギア67との間を接続、遮断(以下、断接ともいう。)するものであり、クランク軸38の右端部に配置されている。この発進クラッチ40は、スリーブ64の一端に固定されたカップ状のアウタケース66と、他端に設けられたプライマリギア67と、クランク軸38の右端部に固定されたアウタプレート68と、アウタプレート68の外線部にウェイト70を介して半径方向外側を向くように取り付けられたシュー72と、シュー72半径方向内側に付勢するためのスプリング74とを有する。発進クラッチ40では、エンジン回転数Nが所定値以下の場合にアウタケース66とシュー72が離間しており、クランク軸38と変速用クラッチ44との間が遮断状態(動力が伝達されない切り離し状態)となっている。エンジン回転数Nが上昇して所定値を超えると、ウェイト70に働く遠心力がスプリング74により半径方向内側に働く弾性力に抗し、ウェイト70が半径方向外側に移動することによって、シュー72がアウタケース66の内周面を所定値以上の力で押圧する。これにより、クランク軸38の回転がアウタケース66を介してプライマリギア67に伝達され、動力が伝達される接続状態となる。
【0025】
変速用クラッチ44はプライマリギア67とメイン軸76とを断接するものであり、メイン軸76の右端部に配置されている。この変速用クラッチ44は、プライマリギア67に噛合するカップ形状のアウタハウジング78と、該アウタハウジング78の内側に設けられたボス80と、アウタハウジング78とボス80との間に交互に積層状に設けられた複数のフリクションディスク82及びクラッチディスク84と、プレッシャープレート86と、該プレッシャープレート86をボス80に密着させるように弾性付勢するクラッチスプリング88と、深溝玉型のベアリング90を介してボス80を軸方向に押圧操作するクラッチ操作機構(クラッチ操作手段)92とを有する。クラッチ操作機構92はシフトペダル33の操作に連動して動作する。
【0026】
積層状に設けられた複数のフリクションディスク82及びクラッチディスク84は、軸方向の一方がプレッシャープレート86に対面しており、他方がボス80の一部であるサポート面80aと対面している。クラッチ操作機構92がシフトペダル33によって操作されていないときには、フリクションディスク82及びクラッチディスク84はプレッシャープレート86とサポート面80aにより強く挟持されており、プライマリギア67から入力されたトルクはボス80に伝達され、さらにボス80のスプライン構成よってメイン軸76に伝達され、接続状態となる。
【0027】
ボス80がクラッチ操作機構92によって押圧されるときには、該ボス80はクラッチスプリング88を圧縮しながら軸方向に移動し、フリクションディスク82及びクラッチディスク84から離間することになる。したがって、プライマリギア67のトルクはメイン軸76に伝達されず、遮断状態となる。
【0028】
変速用クラッチ44には、アウタハウジング78の歯数に基づいて入力回転速度Niを検出するための入力回転センサ(クラッチ入力回転検出手段)94、及びメイン軸76の所定箇所の外周歯に基づいて出力回転速度Noを検出する出力回転センサ(クラッチ出力回転検出手段)96が設けられている。入力回転センサ94及び出力回転センサ96は非接触型であって、検出した速度信号を制御ユニット26に供給している。
【0029】
変速機42は、変速用クラッチ44から供給される回転を、シフトペダル33の操作に基づいて有段変速して後輪18に伝達する。この変速機42は、入力軸としての前記のメイン軸76と、該メイン軸76に対して平行配置されたカウンター軸100と、カウンター軸100に設けられた駆動ギア102a、102b、102c及び102dと、メイン軸76に設けられた従動ギア104a、104b、104c及び104dと、駆動ギア102aに係合するシフトフォーク106aと、従動ギア104cに係合するシフトフォーク106bと、シフトフォーク106a、106bを軸方向にライド自在に保持する支持軸108と、シフトフォーク106a、106bの端部を溝110a、110bに沿わせながらスライドさせるシフトドラム112とを有する。駆動ギア102a、102b、102c及び102dは、この順に従動ギア104a、104b、104c及び104dと噛合している。駆動ギア102bは左右にスライドしたとき、隣接する駆動ギア102a又は102cに側面のダボが係合し、従動ギア104cは左右にスライドしたとき、隣接する従動ギア104b又は104dに側面のダボが係合する。
【0030】
駆動ギア102a及び102cはメイン軸76に対して回転自在に保持され、従動ギア104b、104dはカウンター軸100に対して回転自在に保持されている。駆動ギア102b及び従動ギア104cはメイン軸76及びカウンター軸100に対してスプライン結合され軸方向にスライド可能である。駆動ギア102d及び従動ギア104aはメイン軸76及びカウンター軸100に固定されている。
【0031】
シフトドラム112の端部には回転機構122が設けられており、該回転機構122によってシフトペダル33の操作がシフトスピンドル(変速切換手段)124(図3参照)を介してシフトドラム112を回転駆動する。これにより、シフトフォーク106a、106bは溝110a、110bに沿って軸方向に移動し、駆動ギア102b及び従動ギア104cを変速段に応じてスライドさせる。
【0032】
駆動ギア102bが左方向にスライドしたときには、メイン軸76のトルクは駆動ギア102b、102a及び従動ギア104aを介してカウンター軸100に伝達される。駆動ギア102bが中立位置で従動ギア104cが左方向にスライドしたときには、メイン軸76のトルクは駆動ギア102b、従動ギア104b及び従動ギア104cを介してカウンター軸100に伝達される。従動ギア104cが中立位置で駆動ギア102bが右方向にスライドしたときには、メイン軸76のトルクは駆動ギア102b、102c及び従動ギア104cを介してカウンター軸100に伝達される。駆動ギア102bが中立位置で従動ギア104cが右方向に移動したときには、メイン軸76のトルクは駆動ギア102d、従動ギア104d及び従動ギア104cを介してカウンター軸100に伝達される。このようにして、メイン軸76の回転は4段階に変速されてカウンター軸100に伝達され、又はニュートラル状態となる。
【0033】
メイン軸76及びカウンター軸100は、ベアリング114a、114b、116a、116bによって回転自在に保持されている。カウンター軸100の端部にはスプロケット118が設けられ、該スプロケット118はチェーン22を介して後輪18に回転を伝達する。また、カウンター軸100の近傍には、非接触でカウンター軸100の回転速度を検出する車速センサ120が設けられており、検出した回転速度を制御ユニット26に供給している。車速センサ120が検出するカウンター軸100の回転速度は車速Vを示すことになる。
【0034】
図3に示すように、シフトペダル33はシフトスピンドル124の一端に設けられている。シフトスピンドル124の他端には回転位置センサ(変速検知手段、断接検知手段)130が設けられており、シフトスピンドル124の回転角度であるスピンドル角度θを検出可能である。また、シフトスピンドル124には、シフトペダル33を中立位置に弾性的に保持するトーションスプリング132と、前記の回転機構122に接続されるレバー134と、前記のクラッチ操作機構92を駆動する操作指示機構部136が設けられている。
【0035】
運転者が左足でシフトペダル33を操作する場合、先ず、所定の小さい角度だけ回動したときに操作指示機構部136がクラッチ操作機構92を駆動し、変速用クラッチ44を遮断する。シフトペダル33がさらに回動したときにレバー134が回転機構122をシフトアップ(シフトペダル33の後方の踏み込み)又はシフトダウン(シフトペダル33の前方の踏み込み)に応じた方向に駆動し、シフトドラム112が回動して変速がなされる。この後、トーションスプリング132の作用下にシフトペダル33が中立位置に復帰したときには、操作指示機構部136及びクラッチ操作機構92の動作が解除され、変速用クラッチ44は接続状態に復帰し、一連の変速処理が終了する。
【0036】
このように、シフトスピンドル124によればクラッチ操作と変速操作を1つの動作で行うことができる。また、回転位置センサ130はシフトスピンドル124の操作量から、変速検知の手段と、変速用クラッチ44の断接の検知手段として共通に用いられる。
【0037】
次に、変速制御装置10における電気的なシステムについて図4を参照しながら説明する。なお、図4において太線で示す接続線は機械的接続部であり、細線で示す接続線は電気的接続部である。
【0038】
図4に示すように、制御ユニット26はモータ・ジェネレータ36、入力回転センサ94、出力回転センサ96、車速センサ120及び回転位置センサ130に接続されている。モータ・ジェネレータ36はバッテリ28に接続されており、エンジン回転数N、入力回転速度Ni、出力回転速度No、車速V、スピンドル回転θを入力する。
【0039】
モータ・ジェネレータ36は、走行状況に応じ、制御ユニット26の回転制御作用下にバッテリ28から給電を受けてエンジン34とともにクランク軸38を回転駆動させ、又はクランク軸38の回転動力に基づいて回生発電を行い、発生した電力をバッテリ28に充電する。
【0040】
制御ユニット26は、スピンドル角度θに基づいて変速操作の開始及び終了を認識する変速タイミング検出部140と、モータ・ジェネレータ36の回転制御を行うドライバ142と、入力回転速度Ni及び出力回転速度Noに基づいてドライバ142を駆動する同期回転制御部144と、車速V、エンジン回転数N及びその他の所定信号に基づいて適宜モータ・ジェネレータ36の駆動状態を設定するモータ切替制御部146とを有する。モータ切替制御部146は、変速切り換え時には図5に示す処理にしたがってモータ・ジェネレータ36の制御切替を行い、変速切り替え時以外には車速V、エンジン回転数N及び所定のブレーキ信号等に基づいてモータ・ジェネレータ36の動作状態を規定し、モータ・ジェネレータ36によりトルクを発生させてエンジン34をアシストし若しくはモータ単独走行を行い、又は回生発電によりブレーキアシスト等を行う。
【0041】
次に、このように構成される自動二輪車12及び変速制御装置10の作用について説明する。自動二輪車12は運転者の所定操作によりエンジン34が始動され、アクセルの操作にともなってエンジン回転数Nが上昇すると、発進クラッチ40が遠心作用に基づいて接続状態に移行する。これにより、クランク軸38のトルクが発進クラッチ、変速用クラッチ44、メイン軸76、変速機42を介して後輪18に伝達され、自動二輪車12が発進する。
【0042】
一方、制御ユニット26においては、図5に示すようにパワーユニット24の制御処理を行う。先ず、ステップS1において、エンジン回転数N、入力回転速度Ni、出力回転速度No、車速V、スピンドル回転θの各信号の入力処理を行う。
【0043】
ステップS2(断接検知手段)において、変速タイミング検出部140によりスピンドル角度θと閾値θaとの比較処理を行う。ここで、閾値θaは操作指示機構部136がクラッチ操作機構92を駆動する角度と同じか又はやや大きい値として設定されており、変速用クラッチ44の遮断状態を示す角度である。つまり、スピンドル角度θがクラッチ遮断位置を超えているか否かの判断が行われ、遮断状態となっているときにはステップS3へ移り、接続状態であるときにはステップS1へ戻る。なお、この比較処理はスピンドル角度θ及び閾値θaの絶対値同士で比較し、シフトアップ及びシフトダウン時のいずれにも対応する。
【0044】
なお、図6A及び図7Aに示すように、スピンドル角度θが閾値θaを超えたときには、変速用クラッチ44が接続状態から遮断状態に移行済みであり、0〜θa及び0〜−θaに対応する時刻t1〜t2までの区間はクラッチ操作領域T1として規定される。図6A及び図7Aでは、理解が容易となるように変速用クラッチ44の接続又は遮断状態をグラフCとして併記し、遮断時刻t7及び接続時刻t8を示している。また、スピンドル角度θは運転者の操作により異なる波形を示すが、便宜的にシフトアップ時とシフトダウン時で対称な波形として図示している。
【0045】
スピンドル角度θは閾値θaを超えた後さらに絶対値が増加し、最大傾動角度θa及び−θaに達する。θa〜θb及び−θa〜−θbに対応する時刻t2〜t3までの区間では、シフトスピンドル124と連動するレバー134がシフトドラム112を回動させて変速がなされることから、シフト操作領域T2として規定される。
【0046】
シフト操作領域T2では、シフトアップ時における出力回転速度Noがステップ状に減少することになる。これは、後輪18が大きい慣性により略一定速度で回転していることに連動してカウンター軸100も略一定速度で回転を継続しており、シフトアップに伴って、後輪18と比較して慣性モーメントの小さいメイン軸76がそれまでよりも小さい変速比でカウンター軸100及び後輪18に接続されるため減速するのである。また、逆のシフトダウン時には、それまでよりも大きい変速比となることから出力回転速度Noはステップ状に増加することになる(図7B参照)。
【0047】
このようにシフトアップ及びシフトダウンにともなって変速機42のギア切替が行われた直後において、変速用クラッチ44は遮断状態となっていることから後輪18の回転が入力回転速度Niには影響を与えることがなく、入力回転速度Niと出力回転速度Noとの間には、差回転ΔN(=Ni−No)が生じることになる。
【0048】
なお、従来技術によれば入力回転速度Niは、図6B及び図7BにおけるグラフNi’で示すように一定速度で回転を継続することになり、差回転ΔNはほぼ一定のまま推移する。したがって、変速用クラッチ44が再接続される際に、フリクションディスク82及びクラッチディスク84において差回転ΔNに応じた滑り摩擦が生じ、変速音を発生することになる。これに対して、本実施の形態に係る変速制御装置10では、以下に説明するようにこの変速音の発生が抑制されるのである。
【0049】
ステップS3において、スピンドル角度θの符号からシフトアップ及びシフトダウンによる分岐処理を行う。つまり、スピンドル角度θが正値であるときにはシフトペダル33が引き上げられていることからシフトアップに相当し、ステップS4へ移る。逆に、スピンドル角度θが負値であるときにはシフトペダル33が押し下げられていることからシフトダウンに相当し、ステップS5へ移る。
【0050】
ステップS4(シフトアップ時)においては、モータ切替制御部146によりモータ・ジェネレータ36を回生発電させる状態にしておき、クランク軸38を減速させるとともに、発生した電力をバッテリ28に充電させ、エネルギー効率の向上を図る。
【0051】
この場合、同期回転制御部144により、差回転ΔNに基づいて該ΔNが0となるようにPID等のフィードバック制御を用いてモータ・ジェネレータ36の指令量を決定し、回生発電を行う。これによりクランク軸38及びアウタハウジング78には減速作用が生じ、図6Bに示すように、入力回転速度Niが減少して出力回転速度Noに一致又は略一致し、同期することになる。この後、ステップS6へ移る。
【0052】
ステップS5(シフトダウン時)においては、モータ切替制御部146によりモータ・ジェネレータ36を駆動状態にしておき、クランク軸38を増速させ、エンジン34のアシストを行う。この場合にも、同期回転制御部144の作用下に、差回転ΔNが0となるようにフィードバック制御を用い、モータ・ジェネレータ36の指令量を決定する。これによりクランク軸38及びアウタハウジング78には加速作用が生じ、図7Bに示すように、入力回転速度Niが増速して出力回転速度Noに一致又は略一致し、同期することになる。
【0053】
ステップS6において、差回転ΔNが0又は略0となり変速用クラッチ44の入力側と出力側の同期が成立していることを確認する。同期してると確認された場合には図5に示す処理を終了し、非同期である場合にはステップS7へ移る。
【0054】
ステップS7において、スピンドル角度θと閾値θaとの絶対値による比較処理を行い、θ<θaであるときには変速操作が終了すると認識して、同期回転制御部144による制御を終了するとともに、図5に示す処理を終了する。また、θ≧θaであるときには、変速操作中であると認識してステップS1へ戻り処理を続行する。
【0055】
ところで、変速操作を終了する場合、運転者はシフトペダル33に加えていた力を抜き、該シフトペダル33がトーションスプリング132の作用によって中立位置(θ=0の位置)に復帰する。つまり、図6A及び図7Aにおいては、運転者が時刻t4から力を抜くことによりスピンドル角度θが減少を開始し、時刻t6において中立位置に復帰することになる。
【0056】
この途中、スピンドル角度θが、|θ|<θaである時刻t5〜t6までのクラッチ操作領域T3において、シフトスピンドル124に連動して操作指示機構部136及びクラッチ操作機構92の動作が解除され、変速用クラッチ44は接続状態に復帰する。このとき、図6B及び図7Bから明らかなように、差回転ΔNは略0となっている。
【0057】
すなわち、本実施の形態に係る変速制御装置10によれば、運転者によるマニュアル変速操作の操作量が回転位置センサ130から得られるスピンドル角度θに基づいて認識され、これに基づいてモータ・ジェネレータ36を制御することにより、変速時の変速用クラッチ44における差回転ΔNが十分に小さくなり、マニュアル変速操作に伴う変速音を低減することができる。また、差回転ΔNが十分小さいことから、接続時の滑りがほとんど発生することなく、変速用クラッチ44におけるフリクションディスク82及びクラッチディスク84の寿命が向上する。
【0058】
さらに、スピンドル角度θに基づいて、変速用クラッチ44が遮断された後にモータ・ジェネレータ36の同期制御を開始し、ステップS7の判断によって、変速用クラッチ44が再接続されるときまでに同期制御を行い、又は終了するように構成されていることから、必要時にのみ同期制御が行われ、変速操作が終了した後には、適切なブレーキアシストやエンジンアシスト等の制御を行うことができる。
【0059】
さらにまた、エンジンブレーキが作用しているときには変速機42のダボにトルクがかかるため、変速用クラッチ44を遮断状態にしておかないとシフト操作ができないが、適切な制御によりモータ・ジェネレータ36の回転制御を行い入力回転速度Niと出力回転速度Noの同期を図ることにより、変速用クラッチ44がなくてもシフト操作が可能となる。
【0060】
本実施の形態に係る変速制御装置10は、クラッチ操作と変速操作がシフトペダル33の操作で兼用される型式に限らず、クラッチ操作をハンドル近傍に設けられたシフトレバーを用いる型式の車両においても適用可能である。この場合、シフトレバーの操作量を検出するセンサを設け、該操作量に応じて変速用クラッチ44の接続状態を検出するとよい。さらに、変速制御装置10は自動二輪車に限らず、ハイブリッド式の四輪車等に適用可能であることはもちろんである。
【0061】
本発明に係るハイブリッド車両における変速制御装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】ハイブリッド式の自動二輪車の側面図である。
【図2】パワーユニットの断面平面図である。
【図3】シフトスピンドル及びその周辺部の平面図である。
【図4】変速制御装置のシステムブロック図である。
【図5】制御ユニットで行われる処理のフローチャートである。
【図6】図6Aは、シフトアップ時のスピンドル角度を示すグラフであり、図6Bは、シフトアップ時の入力回転速度及び出力回転速度を示すグラフである。
【図7】図7Aは、シフトダウン時のスピンドル角度を示すグラフであり、図7Bは、シフトダウン時の入力回転速度及び出力回転速度を示すグラフである。
【符号の説明】
【0063】
10…変速制御装置 12…自動二輪車
18…後輪 24…パワーユニット
26…制御ユニット 28…バッテリ
33…シフトペダル 34…エンジン
36…モータ・ジェネレータ(回転電機)
38…クランク軸(駆動軸) 42…変速機
44…変速用クラッチ 86…プレッシャープレート
92…クラッチ操作機構 94…入力回転センサ
96…出力回転センサ 100…カウンター軸
124…シフトスピンドル(変速切換手段)
130…回転位置センサ 134…レバー
136…操作指示機構部




 

 


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