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発明の名称 車両用乗員保護装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8208(P2007−8208A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188283(P2005−188283)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
発明者 竹村 直敏
要約 課題
車両用シートベルト装置を備えた車両用乗員保護装置において、車両が横転した場合の保護性能を、より高めること。

解決手段
車両用乗員保護装置50は、車両10にシートベルト装置40を備えるとともに、車両の横転又は横転の可能性を検出する横転検出手段51と、乗員Mnが着座中のシート20における着座面21aの高さを横転検出手段の検出信号に応じて下げる着座面下降手段32と、横転検出手段の検出信号に応じてシートを車両前方にスライドさせる、シートスライド手段31と、横転検出手段の検出信号に応じてシートにおけるシートバック22を起立させる、シートバック起立手段33とを備える。着座面下降手段は、シートにおけるシートクッション21の高さを調節するシート高さ調整機構からなる。
特許請求の範囲
【請求項1】
車両にシートベルト装置を備えた車両用乗員保護装置において、この車両用乗員保護装置は、前記車両の横転又は横転の可能性を検出する横転検出手段と、乗員が着座中のシートにおける着座面の高さを前記横転検出手段の検出信号に応じて下げる着座面下降手段とを備えたことを特徴とする車両用乗員保護装置。
【請求項2】
前記着座面下降手段は、前記シートにおけるシートクッションの高さを調節するシート高さ調節機構からなることを特徴とした請求項1記載の車両用乗員保護装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の車両用乗員保護装置は、前記横転検出手段の検出信号に応じて前記シートを車両前方にスライドさせる、シートスライド手段を備えていることを特徴とした車両用乗員保護装置。
【請求項4】
請求項1、請求項2又は請求項3記載の車両用乗員保護装置は、前記横転検出手段の検出信号に応じて前記シートにおけるシートバックを起立させる、シートバック起立手段を備えていることを特徴とした車両用乗員保護装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートベルト装置を備えた車両に関し、特に、車両の横転時(横転の可能性のときを含む)における車両用乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の乗員を保護するために車両用シートベルト装置を備えた、車両用乗員保護装置の開発が進められている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−58552公報
【0003】
特許文献1による従来の車両用乗員保護装置を、次の図11に基づいて説明する。図11(a),(b)は従来の車両用乗員保護装置の模式図であり、(a)はパワーシート及びシートベルト装置を備えた車両の模式的構成を示し、(b)はパワーシートの模式的構成を示す。
【0004】
従来の車両用乗員保護装置100は、非接触式物体検出手段101で車両102に対する障害物103の距離を検出し、この距離に基づいて障害物103への衝突を制御手段104で予知して、シート105に着座している乗員106の着座姿勢を補正するとともにシートベルト装置107のプリテンショナ108によってシートベルト109を引き込むというものである。着座している乗員106の拘束性を高めることができる。
【0005】
シート105は、シートアジャスト機構111を有するパワーシートである。シートアジャスト機構111は、シート105を前後にスライドさせるシートスライド機構112、シート105を昇降させるシートハイト機構113、シートバック114を前後に傾斜させるリクライニング機構115を備える。
着座姿勢の補正は、乗員106がシート105に好ましくない着座をしているときに、シート105を最後端までスライドさせ、リクライニング状態にあるシートバック114を直立させ、前傾状態の座面116を後へ傾けることによって行う。
【0006】
ところで、乗員106の保護を考える上では、上述の衝突時の他に、車両102の横転時についても配慮をすることが更に好ましい。つまり、シートベルト109によって乗員106を拘束することで、乗員106を保護しているが、保護性能をより一層高めるためには、シートベルト109に加えて、横転時の乗員の挙動をより配慮した対策が好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、車両用シートベルト装置を備えた車両用乗員保護装置において、車両が横転した場合の保護性能を、より高めることができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、車両の突発的なアクシデントについて種々研究をした結果、車両の衝突時とは異なり、車両が横転し始めた時点から車体が地面に接触するまでの時間が、比較的長いことに着目し、この時間を利用して、乗員の保護性能を高める方向にシートを移動させればよいことに想到した。
そこで本発明者は、車両が横転し始めた時点又は横転の可能性があると判断した時点で、乗員が着座しているシートを下げることにより、車体のルーフと乗員との間の隙間を大きく開けることができ、この結果、乗員の保護性能を一層高められることに想到した。
【0009】
詳しくは、請求項1に係る発明は、車両にシートベルト装置を備えた車両用乗員保護装置において、この車両用乗員保護装置に、車両の横転又は横転の可能性を検出する横転検出手段と、乗員が着座中のシートにおける着座面の高さを横転検出手段の検出信号に応じて下げる着座面下降手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、着座面下降手段が、シートにおけるシートクッションの高さを調節するシート高さ調整機構からなることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、横転検出手段の検出信号に応じてシートを車両前方にスライドさせる、シートスライド手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、横転検出手段の検出信号に応じてシートにおけるシートバックを起立させる、シートバック起立手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、車両の横転又は横転の可能性を横転検出手段が検出したときに、乗員が着座中のシートにおける着座面の高さを、着座面下降手段で下げることによって、車体のルーフと乗員との間の隙間を大きく開けることができる。この結果、乗員をより一層十分に保護することができる。
従って、車両用シートベルト装置を備えた車両用乗員保護装置において、車両の横転又は横転の可能性が発生した場合の保護性能を、より一層高めることができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、シートクッションの高さを調節するシート高さ調整機構によって、着座面下降手段を兼ねるようにしたものである。従って、別個の着座面下降手段を設ける必要がないので、車両の横転又は横転の可能性が発生したときに乗員を保護する車両用乗員保護装置を、簡単な構成にすることができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、横転検出手段の検出信号に応じて、シートスライド手段がシートを車両前方にスライドさせることで、シートベルトのショルダベルト部に、乗員の上半身を押しつけることができる。この結果、シートベルトの張力(ベルト張力)が高まる。ベルト張力が大きくなることで、シートベルトによる乗員の前後、左右、上下の全方向での拘束力も高まる。従って、車両の横転又は横転の可能性が発生した場合の保護性能を、より一層高めることができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、横転検出手段の検出信号に応じて、シートバック起立手段がシートバックを起立させることで、シートバックを乗員の上半身に密接させることができる。この結果、シートベルトによる乗員の拘束力を高めることができる。従って、車両の横転又は横転の可能性が発生した場合の保護性能を、より一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を、添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従う。
図1は本発明に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両の模式図である。図2は本発明に係る車両用乗員保護装置の模式図である。
【0018】
図1に示すように、車両10はルーフ11の前部をやや前下がりに形成した車体12を有し、車室13の前部に、運転者Mn(乗員Mn)が着座するシート20及び乗員Mnを拘束するシートベルト装置40を備える。
【0019】
図2に示すように、シート20は、床14に前後スライド可能に設けたシートクッション21と、シートクッション21に対して起倒可能な(スイング可能な)シートバック22と、シートバック22の上部に昇降可能に設けたヘッドレスト23とからなる。このシート20は、着座した乗員Mnがシート操作スイッチ24を操作することによって作動する、シートアジャスト機構30を有するパワーシートである。
シートバック22は、シートクッション21に直接又はシートクッション21を設置するスライドフレーム25に、起倒可能に取り付ける構成である。
【0020】
シートアジャスト機構30は、シート20全体を車両前後にスライドさせて前後位置を調節するシート位置調節機構31、シートクッション21の高さを調節するシート高さ調節機構32、シートバック22を車両前後に傾斜させて傾斜角を調節するリクライニング機構33、シートバック22に対するヘッドレスト23の高さを調節するヘッドレスト高さ調節機構34を備える。
【0021】
シート位置調節機構31は、第1電動モータ31aを駆動源とし、シート20の前後の位置を検出する位置検出センサ31bを備えた、シートスライド手段である。
シート高さ調節機構32は、第2電動モータ32aを駆動源とし、シート20の高さ、つまり着座面21aの高さを検出する座面高さ検出センサ32bを備えた、着座面下降手段である。
リクライニング機構33は、第3電動モータ33aを駆動源とし、シートバック22の傾斜角θr(リクライニング角θr)を検出する傾斜角検出センサ33bを備えた、シートバック起立手段である。なお、傾斜角θrは鉛直線に対する後方への角度である。傾斜角θr=0°のときにシートバック22は垂直状態になり、傾斜角θrが大きいほどシートバック22は後へ傾斜した状態になる。
ヘッドレスト高さ調節機構34は、第4電動モータ34aを駆動源とし、ヘッドレスト23の高さを検出するヘッドレスト高さ検出センサ34bを備えた、ヘッドレスト上昇手段である。
【0022】
シートベルト装置40は、シート20に着座した乗員Mnをシートベルト41で拘束するものであり、乗員Mnの一方の肩部及び腰部を同時に拘束するシートベルト41を、車体12の側部下部に固定されたリトラクタ42(ベルト巻取り器42)にて巻き取ることができる。
シートベルト41は、乗員Mnの一方の肩部を拘束するショルダベルト部41aと、乗員Mnの腰部を拘束するラップベルト部41bとからなる。
【0023】
このようなシートベルト装置40は、例えば、シートベルト41を車体12の側部上部のアッパアンカ43、シート20に対しアッパアンカ43とは反対側の下部のセンタアンカ44、アッパアンカ43側の下部のロアアンカ(図示せず)の、3点で支持するようにした3点式の構成である。センタアンカ44は、車体側のバックルに対してタングを取外し可能にワンタッチで装着する、掛け止め機構からなる。
【0024】
リトラクタ42は、車両10の運転状態(衝突時又は衝突予知時)に応じて、シートベルト41の緩み部分を巻き取るプリテンショナ45を備える。プリテンショナ45は、車両10の運転状態に応じて電動モータが発生した駆動力により、シートベルト41に拘束力を付加することによって、シートベルト41の緩み部分を巻き取る、電動式プリテンショナである。さらにリトラクタ42は、シートベルト41の張力を検出するベルト張力センサ46を備える。
【0025】
この車両10は車両用乗員保護装置50を搭載したことを特徴とする。車両用乗員保護装置50は、上記のシートアジャスト機構30及びシートベルト装置40と、車両10の横転又は横転の可能性を検出する横転検出手段51と、乗員Mnの着座状態を検出する着座状態検出手段52と、乗員Mnがシート20に着座していることを検出する着座検出手段53と、各検出手段(シートアジャスト機構30の各センサ31b、32b、33b、34b、ベルト張力センサ46、検出手段51〜53)の検出信号を受けてシートアジャスト機構30及びシートベルト装置40を制御する制御部54とからなる。
【0026】
横転検出手段51は、車両10の走行中又は停止中に発生した横転又は横転の可能性を検出するものであり、例えば、車両10に発生したロール角速度(ω)を検出する角速度センサと、車両10に対する重力及びその作用方向(車両上下方向Gz,車幅方向Gy)を検出する重力センサと、これらの検出値に基づいて車両10に発生した横転又は横転の可能性を判定する横転判定部とからなる。車両10が横転した場合に重力の作用方向が大きく変化するので、これを重力センサにて検出すればよい。
【0027】
この横転判定部は、例えば、ロール角速度(ω)及びロール角速度の時間積分により求められたロール角(φ=∫ωdt)が、二次元マップ上の閾値を越えたという条件と、重力及びその作用方向が二次元マップ上の閾値(車両上下方向Gzの閾値と車幅方向Gyの閾値の両方)を越えたという条件との、2つの条件を満たした場合に、横転又は横転の可能性有りと判断する。
さらに横転検出手段51は、車両10が横転した後に静止したことを検出することができる。
【0028】
着座状態検出手段52は、例えば乗員Mnを撮影するカメラ等の撮像器52aと、撮像器52aの信号を画像処理して乗員Mnの着座状態を判定しその結果を検出信号として発する判定部52bとからなる。
着座状態検出手段52によれば、乗員Mnの頭部Hdの位置(平面視における頭部Hdの位置や、頭頂までの高さ)を検出することができる。この検出データに基づいて乗員Mnの腰から頭部Hdまでの座高を推定することができる。制御部54は、推定した座高に基づいて、横転時における最適なシート20の前方移動量を算出することができる。さらに着座状態検出手段52によれば、シート20に対する乗員Mnの着座姿勢を検出することができる。
以上の説明からも明らかなように、着座状態検出手段52は、次の図3〜図5に示すような、乗員Mnの着座状態を検出することができる。
【0029】
図3は本発明に係る車両用乗員保護装置においてシートバックから乗員が離れている状態の作用図である。
シートバック22が後方へ多少倒れた後傾状態にあり、且つ、着座している乗員Mnの上半身が前傾姿勢又は垂直な姿勢であるときには、乗員Mnの背中とシートバック22との間に隙間がある。このままでは、シートベルト41による拘束力は小さい。車両10が横転したときには、制御部54(図2参照)は、シートバック22を乗員Mnの背中に密接するまで起こすように制御する。
【0030】
図4は本発明に係る車両用乗員保護装置においてシートバックが倒れている状態の作用図である。
シートバック22が後方へ大きく倒れたリクライニング状態にあり、且つ、着座している乗員Mnが上半身をシートバック22に寝ているときには、上半身に対してシートベルト41のショルダベルト部41aが密接しない。このままでは、シートベルト41による拘束力は小さい。車両10が横転したときには、制御部54(図2参照)は、シートバック22を起こして上半身がショルダベルト部41aに密接して一定の拘束力で拘束されるように制御する。
なお、ショルダベルト部41aで上半身を拘束できるための、シートバック22の傾斜角θrは、シート20の前後方向の位置に依存する。
【0031】
図5は本発明に係る車両用乗員保護装置において横転時にシートによって乗員の姿勢を変えるための作用図である。
図5で実線にて示すM1は通常状態における乗員Mnを示す。この状態では車両10のルーフ11から乗員Mnまでの隙間は比較的大きい。ところで、一般にルーフ11の前部は、やや前下がり形状を呈する。車両10の横転時にシート20(図1参照)を単に前方へ移動させたのでは、乗員Mnは細い想像線にて示すM2に示す前進位置へ移動する。
【0032】
これに対して、図1及び図5に示すように、制御部54は、車両10の横転時にシート20の高さ、つまり着座面21aの高さを下げつつシート20を前進させるように制御する。この結果、着座している乗員Mnは座高を下げつつ前方へ移動して、太い想像線にて示すM3に示す位置になる。このため、ルーフ11から乗員Mnまでの隙間を、より一層大きく開けることができる。
このようにして、シート20の前進量が大きいほど、ルーフ11から乗員Mnまでの隙間が大きくなるように、制御部54で制御するようにした。
【0033】
次に、上記図2に示す制御部54をマイクロコンピュータとした場合の制御フローについて、図6〜図8に基づき説明する。この制御フローは、例えばイグニッションスイッチ(図示せず)をオンにしたときに制御を開始し、イグニッションスイッチをオフにしたときに制御を終了する。図中、ST××はステップ番号を示す。特に説明がないステップ番号については、番号順に進行する。以下、図2を参照しつつ説明する。
【0034】
図6は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その1)であり、シート位置制御のためのメインルーチンを示す。
ST01;乗員・シート関係のセンサ(シートアジャスト機構30の各センサ31b、32b、33b、34b、ベルト張力センサ46、着座状態検出手段52、着座検出手段53)のセンサ信号を読み込む。
ST02;シート20に乗員Mnが着座しているか否かを調べ、YESならST03に進み、NOならST01に戻る。着座検出手段53が乗員Mnの着座を検出しているときにYESの判断となる。
【0035】
ST03;車両10が横転したと仮定したときの、シート20の最適位置を算出する。つまり、シートアジャスト機構30の各センサ31b、32b、33b、34b、ベルト張力センサ46、着座状態検出手段52の各検出信号(検出データ)に基づいて、次の(1)〜(4)の値を求める。
(1)横転時にシート20の高さを下げたときの最適な基準高さHs。
(2)横転時にシート20を前方へ移動させたときの最適な基準前進位置Ss。
(3)横転時にシートバック22を前方へ傾けた(起立方向へ戻した)ときの最適な基準傾斜角θsf。
(4)横転時にヘッドレスト23の高さを上げたときの最適な基準上昇位置Rs。
なお、基準傾斜角θsfは鉛直線に対する後方への角度である。基準傾斜角θsf=0°のときにシートバック22は垂直状態になり、基準傾斜角θsfが大きいほどシートバック22は後へ傾斜した状態になる。また、基準上昇位置Rsはヘッドレスト23を最大高さまで上昇させる値である。
【0036】
ST04;横転検出関係(横転検出手段51)のセンサ信号を読み込む。
ST05;車両10が横転したか又は横転する可能性が有るか否かを調べ、YESならST06に進み、NOならST01に戻る。横転検出手段51が横転又は横転の可能性を検出したときに、YESの判断となる。
ST06;上記ST03で求めたシート20の最適移動量に基づいて、シート20を最適位置に制御する。なお、このST06を具体的に実行するためのサブルーチンについては、後述する図7及び図8にて示す。
【0037】
ST07;横転検出関係(横転検出手段51)のセンサ信号を読み込む。
ST08;車両10が静止した状態になったか否かを調べ、YESならST09に進み、NOならST07に戻る。車両10が横転した後に静止したことを横転検出手段51が検出したときに、YESの判断となる。
ST09;シートバック22の現実の傾斜角θrを読み込む。傾斜角θrについては傾斜角検出センサ33bで検出すればよい。
ST10;現実の傾斜角θrが、予め設定された基準後傾角θsrよりも前方へ傾いているか否かを調べ、YESならST11に進み、NOならST12に進む。
ST11;第3電動モータ33aを駆動させることで、シートバック22を後方へ倒した後に、ST09に戻る。
ST12;第3電動モータ33aを停止させた、つまり、シートバック22を後方へ倒す後傾駆動を停止させた後に、この制御フローによる制御を終了する。
【0038】
このようにST07〜ST12によれば、車両10が横転した後に静止した時点で、シートバック22を後方へ基準後傾角θsrまで、又は一定角度だけ倒すことで、シートベルト41による乗員Mnへの圧迫状態を緩和することができる。
【0039】
次に、上記図6のステップST06に示すシート最適位置制御を具体的に実行するためのサブルーチンを図7及び図8に基づいて説明する。
図7は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その2)であり、シート最適位置制御の前半のフローを示す。図8は本発明に係る制御部の制御フローチャート(その3)であり、シート最適位置制御の後半のフローを示す。
【0040】
ST101;フラグF1,F2,F3,F4を全て「0」にセットする。
ST102;ベルト張力センサ46で検出されたシートベルト41の現実の張力が、予め設定された一定値未満であるか否かを調べ、YESなら張力が適切であると判断してST103に進み、NOなら張力が過大であると判断してST104に進む。
ST103;シート移動負荷が一定値未満であるか否かを調べ、YESなら正常な負荷状態であると判断して図8のST105に進み、NOなら過負荷であると判断してST104に進む。第1〜第4電動モータ31a,32a,33a,34aが過負荷状態ではないときに、YESの判断となる。
ST104;シート20の全ての移動を停止させた後に、上記図6のステップST06に戻る。つまり、第1〜第4電動モータ31a,32a,33a,34aを停止させる。
【0041】
ST105;図7のST103でYESの判断だったので、座面高さ検出センサ32bで検出したシート20の現実の高さ、つまり着座面21aの高さHrが基準高さHsまで下がっていないか(Hr>Hs)否かを調べ、YESならST106に進み、NOならST107に進む。
【0042】
ST106;シート高さ調節機構32を駆動させることでシート20、つまりシートクッション21を下降させる。
なお、このST106において、シートクッション21を下降させつつ、さらに、シートクッション21の前端部を一定量だけ上昇させることで、着座面21aが前上がりに傾斜するように、シート高さ調節機構32を制御することができる。このようにすることで、ラップベルト部41bで乗員Mnの腰部の拘束性をより高めることができる。
【0043】
ST107;フラグF1を「1」に反転させる。
ST108;シート高さ調節機構32を停止させることで、シートクッション21の下降を停止させる。
【0044】
ST109;位置検出センサ31bで検出したシート20の現実の前後方向の位置Srが基準前進位置Ssまで前進していないか(Sr<Ss)否かを調べ、YESならST110に進み、NOならST111に進む。
ST110;シート位置調節機構31を駆動させることで、シート20を前進させる。
ST111;フラグF2を「1」に反転させる。
ST112;シート位置調節機構31を停止させることで、シート20の前進を停止させる。
【0045】
ST113;傾斜角検出センサ33bで検出したシートバック22の現実の傾斜角(リクライニング角)θrが基準傾斜角θsfまで起立していないか(θr>θsf)否かを調べ、YESならST114に進み、NOならST115に進む。
ST114;リクライニング機構33を駆動させることで、シートバック22を前傾方向に作動させる。
ST115;フラグF3を「1」に反転させる。
ST116;リクライニング機構33を停止させることで、シートバック22を停止させる。
【0046】
ST117;ヘッドレスト高さ検出センサ34bで検出したヘッドレスト23の現実の高さRrが基準上昇位置Rsよりも低いか(Rr<Rs)否かを調べ、YESならST118に進み、NOならST119に進む。
ST118;ヘッドレスト高さ調節機構34を駆動させることで、ヘッドレスト23を上昇させる。
ST119;フラグF4を「1」に反転させる。
ST120;ヘッドレスト高さ調節機構34を停止させることで、ヘッドレスト23の上昇を停止させる。
【0047】
ST121;フラグF1,F2,F3,F4が全て「1」であるか否かを調べ、YESなら上記図6のステップST06に戻り、NOなら上記図7のステップST102に戻る。
【0048】
以上の説明から明らかなように、次の(1)〜(5)のシート最適位置制御を実行することができる。
(1)ST105〜ST108を繰り返すことにより、着座面21aの高さHrを最適な基準高さHsまで下げることができる。基準高さHsまで下がったときにフラグF1=1となる。
(2)ST109〜ST112を繰り返すことにより、シート20の前後方向の位置Srを最適な基準前進位置Ssまで前進させることができる。基準前進位置Ssまで前進したときにフラグF2=1となる。
【0049】
(3)ST113〜ST116を繰り返すことにより、シートバック22の傾斜角(リクライニング角)θrを最適な基準傾斜角θsfまで前傾作動させて、起立させることができる。基準傾斜角θsfまで前傾したときにフラグF3=1となる。
(4)ST117〜ST120を繰り返すことにより、ヘッドレスト23の現実の高さRrを最適な基準上昇位置Rsまで上昇させることができる。基準上昇位置Rsまで上昇したときにフラグF4=1となる。
(5)フラグF1,F2,F3,F4が全て「1」になると、シート最適位置制御が完了する。
【0050】
なお、シート高さ調節機構32は、シート20全体の高さを電動モータ32aによって下降する構成に限定されるものではない。例えば、次の変形例のように着座面21aだけを下降させる構成にすることができる。次に、シート高さ調節機構32の各変形例について、図9及び図10に基づき説明する。なお、各変形例は、上記図1〜図8に示す実施例の車両用乗員保護装置50と基本的な構成が同じであり、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
図9は本発明に係る第1変形例のシート高さ調節機構の模式図である。
第1変形例のシート高さ調節機構32Aは、シートクッション21にエアバッグ71を内蔵し、通常はこのエアバッグ71にエアタンク72から圧縮空気を供給することで、着座面21aの高さを一定にしておくというものである。
車両10(図1参照)の横転又は横転の可能性があることを横転検出手段51が検出したときに、制御部54は第1電磁弁73及び第2電磁弁74に制御信号を発する。この結果、第1電磁弁73が閉じることでエアバッグ71への圧縮空気の供給を停止するとともに、第2電磁弁74が開くことでエアバッグ71内の圧縮空気を大気に放散させる。従って、エアバッグ71が想像線に示すように収縮するので、着座面21aを一定の高さまで下げることができる。
【0052】
図10は本発明に係る第2変形例のシート高さ調節機構の模式図である。
第2変形例のシート高さ調節機構32Bは、シートクッション21に内蔵し、通常時に着座面21aの高さを保持する保持板81を昇降させるようにした構成である。横転検出手段51の検出信号に応じて制御部54が制御信号を発することにより、シート高さ調節機構32が保持板81を下降させることで、着座面21aを一定の高さまで下げることができる。なお、第2変形例のシート高さ調節機構32Bは、ダンパであってもよい。
【0053】
以上の説明をまとめると、次の通りである。
本発明の車両用乗員保護装置50は、車両10の横転又は横転の可能性を横転検出手段51が検出したときに、乗員Mnが着座中のシート20における着座面21aの高さを、着座面下降手段32,32A,32Bで下げることによって、車体12のルーフ11と乗員Mnとの間の隙間を、より一層大きく開けることができる。この結果、乗員Mnを十分に保護することができる。
従って、車両用シートベルト装置40を備えた車両用乗員保護装置50において、車両10の横転又は横転の可能性が発生した場合の保護性能を、より一層高めることができる。
【0054】
さらに本発明の車両用乗員保護装置50は、シートクッション21の高さを調節するシート高さ調整機構32によって、着座面下降手段を兼ねるようにしたものである。従って、別個の着座面下降手段を設ける必要がないので、車両10の横転又は横転の可能性が発生したときに乗員Mnを保護する車両用乗員保護装置50を、簡単な構成にすることができる。
【0055】
さらに本発明の車両用乗員保護装置50は、横転検出手段51の検出信号に応じて、シートスライド手段31(シート位置調節機構31)がシート20を車両前方にスライドさせることで、シートベルト41のショルダベルト部41aに、乗員Mnの上半身を押しつけることができる。この結果、シートベルト41の張力(ベルト張力)が高まる。
【0056】
ベルト張力が大きくなることで、シートベルト41による乗員Mnの前後、左右(横方向。つまり車幅方向)、上下の全方向での拘束力も高まる。つまり、シートベルト41による乗員Mnの拘束力はシート20の形状、シート20の前後方向の位置、シートバック22の傾斜角θr、乗員Mnの体格等の影響を受けるものの、ベルト張力が大きくなることによって、相対的な拘束力は増大する。
従って、車両10の横転又は横転の可能性が発生した場合の保護性能を、より一層高めることができる。
【0057】
さらに本発明の車両用乗員保護装置50は、横転検出手段51の検出信号に応じて、シートバック起立手段33(リクライニング機構33)がシートバック22を起立させることで、シートバック22を乗員Mnの上半身に密接させることができる。この結果、シートベルト41による乗員Mnの拘束力を高めることができる。従って、車両10の横転又は横転の可能性が発生した場合の保護性能を、より一層高めることができる。
【0058】
なお、本発明の実施の形態において、着座面21aの高さを下げる範囲は、シート高さ調節機構32,32A,32Bで下げることが可能な最低高さであってもよい。
また、図6に示すステップST03において、横転時にシート20を前方へ移動させたときの最適な基準前進位置Ssは、ベルト張力センサ46で検出されたベルト張力だけによって、決定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の車両用乗員保護装置50は、車両10の横転又は横転の可能性が発生した場合の保護性能を、より高めるものであるから、シートベルト装置40を備えた車両10、例えば乗用車等の自動車に極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る車両用乗員保護装置を搭載した車両の模式図である。
【図2】本発明に係る車両用乗員保護装置の模式図である。
【図3】本発明に係る車両用乗員保護装置においてシートバックから乗員が離れている状態の作用図である。
【図4】本発明に係る車両用乗員保護装置においてシートバックが倒れている状態の作用図である。
【図5】本発明に係る車両用乗員保護装置において横転時にシートによって乗員の姿勢を変えるための作用図である。
【図6】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その1)である。
【図7】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その2)である。
【図8】本発明に係る制御部の制御フローチャート(その3)である。
【図9】本発明に係る第1変形例のシート高さ調節機構の模式図である。
【図10】本発明に係る第2変形例のシート高さ調節機構の模式図である。
【図11】従来の車両用乗員保護装置の模式図である。
【符号の説明】
【0061】
10…車両、20…シート、21…シートクッション、21a…着座面、22…シートバック、31…シートスライド手段(シート位置調節機構)、32,32A,32B…着座面下降手段(シート高さ調整機構)、33…シートバック起立手段(リクライニング機構)、40…シートベルト装置、50…車両用乗員保護装置、51…横転検出手段、54…制御部。




 

 


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