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発明の名称 自動車のフード構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−22204(P2007−22204A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−204456(P2005−204456)
出願日 平成17年7月13日(2005.7.13)
代理人 【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
発明者 新保 雄二
要約 課題
走行時の空気抵抗の増大防止と横風を受けたときの回頭現象の解消を図った自動車のフード構造の提供。

解決手段
自動車の走行中に横風を受けたときに、車体前部が受ける空気の圧力差を圧力センサ42、42’で検出し、両者の圧力差が所定値より大きいときには、アクチュエータ11、11’とが切換弁33を作動させ、バキュームタンク34内部と左右縁部のウェザーストリップ11、11’の中空部29とが切換弁33を介して連通させ、左右のフード2の縁部2L、2Rと車体5の間に隙間13を生させて、エンジンルーム1の空気を風下のフェンダーの上に吐出させ、車体の前部が風下側に回ろうとする回頭現象を解消する。
特許請求の範囲
【請求項1】
自動車の運転席前方の設備空間部を閉鎖するフードを備え、該フードと前記設備空間部周縁部の車体との間にウェザーストリップを配置してシールした自動車のフード構造において、走行中の車体前側の左右部位が受ける空気の圧力差を検出し、この圧力差が所定値以上であるときに、圧力の低い方のフードの縁部と車体と間に、前記設備空間部内の空気を吐出させる吐出通路を開閉可能に形成する回頭制御装置を設けたことを特徴とする自動車のフード構造。
【請求項2】
前記回頭制御装置は、前記フードと前記車体の間隔を一定に保つ高さ調整部材と、前記ウェザーストリップに設けられた厚さ調整部と、走行中に車体前側左右部位が受ける空気の圧力を検出する検出部と、該検出部により検出した圧力が所定値以上であるときに、前記厚さ調整部の厚さを薄くする駆動装置とを備えていることを特徴とする請求項1記載の自動車のフード構造。
【請求項3】
前記駆動装置は、前記検出手段が車体前側左右部位において受けた空気の圧力差が所定値以上であるときに、前記厚さ調整部の厚さを薄くして前記吐出通路を形成するものであることを特徴とする請求項2記載の自動車のフード構造。
【請求項4】
前記厚さ調整部は、前記ウェザーストリップの前記フードの左右の縁部に対応して少なくとも左右に形成される中空部により構成され、前記駆動装置は、空気の負圧を発生させる負圧源と、前記負圧源の負圧を少なくとも前記左右の中空部のいずれかに加える切換装置と、前記検出部により検出した圧力が所定値以上であるときに、前記厚さ調整部の厚さを薄くする制御装置とを備え、前記検出部は圧力センサで構成されることを特徴とする請求項2、3に何れか記載の自動車のフード構造。
【請求項5】
前記切換装置はスロットルバルブよりもエアクリーナ側の吸気ダクトと接続されると共に、前記制御手段は、前記左右の圧力センサの圧力差が所定値より小さい場合に、前記吸気ダクトと前記左右の中空部とを接続し、前記左右の圧力センサの圧力差が所定値より大きい場合に、前記負圧源と前記圧力の低いほうの中空部とを接続するように、前記切換装置を制御することを特長とする請求項4記載の自動車のフード構造。
【請求項6】
前記左右の中空部を第1のホースにより前記切換装置にそれぞれ接続し、前記切換装置に第2のホースにより前記負圧源と前記吸気ダクトとを接続し、
前記制御装置は、前記左右何れか一方の圧力センサの圧力が、他方の圧力センサの圧力よりも、所定値以上大きい場合には、前記負圧源と圧力の低い圧力センサ側の中空部とを接続し、前記左右何れか一方の圧力センサの圧力が、他方の圧力センサの圧力よりも、所定値より小さい場合には、前記吸気ダクトと左右の中空部とを接続するように、前記切換装置を制御することを特徴とする請求項4記載の自動車のフード構造。
【請求項7】
前記設備空間部は車体前部のエンジンルームであることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか記載の自動車のフード構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のフード構造に関し、更に詳しくは、フードと車体との間に配設されるシールの構造を改良した自動車のフード構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般的な自動車では、エンジンルームの上部後縁には、フードの後縁と車体の隙間に介在し、両者にぞれぞれ弾力性を有してシールするウェザーストリップが配設されている。
【0003】
また、エンジンルームの両側縁及び前縁にもウェザーストリップが配設されており、エンジンルームを平面視した場合に、エンジンルームをウェザーストリップによって取り囲むように構成されたものもある。フードでエンジンルームを閉じたときには、フードと車体の間には形成される隙間はウェザーストリップによってシールされている。
【特許文献1】実公平6−5961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動車が直進走行している場合、フードの上面は後端部を除いて一般に大きな負圧となるため、エンジンルーム内の圧力とフードの上面の圧力とでは大きな圧力差が生じる。
【0005】
しかし、フードの周縁部とエンジンルームの周縁部との隙間がシールされていないと、直進性を維持する横風走行性は向上するが、空気抵抗が悪化する。他方、フードの縁部とエンジンルームの周縁部との隙間がウェザーストリップでシールされていると、空気抵抗は低減されるが、横風を受けたときに風下側のフェンダーに生じる負圧が大となるため、車体前部が風下側に回り込もうとする回頭現象が生じ、横風安定性が低下する。このため、空気抵抗の低減化と横風安定性の向上とを的確に両立させることが出来なかった。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたものであり、走行時の空気抵抗の低減と横風安定性向上とを的確に両立させることが出来る自動車のフード構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願の自動車のフード構造は、自動車の運転席前方の設備空間部を閉鎖するフードを備え、該フードと前記設備空間部周縁部の車体との間にウェザーストリップを配置して隙間を塞いだ自動車のフード構造において、走行中の車体前側の左右部位が受ける横風の圧力差を検出し、この圧力差が所定値以上であるときに、圧力の低い方のフードの縁部と車体と間に、前記設備空間部内の空気を吐出させる通路を形成する回頭調整手段を設けた。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動車のフード構造によれば、自動車の直進走行時等において横風を受けたときに、回頭調整手段が、その横風から受ける左右の圧力差の大きさによって、左右何れか圧力の少ない方のフードと車体との隙間を開けることにより、この隙間から設備空間部内の空気が吹き出すので、横風を受けて走行するときにフードから車体側部に流れる空気が下流側の車体側部表面に付着することを防止できる。
【0009】
これによって、特に高速走行などにおいて横風を受けたときでも、風圧を受けた車体前部が気流の下流側に方向を変えようとする回頭現象を少なくして横風走行安定性を向上でき、しかも、空気抵抗を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1(a)はこの実施の形態の自動車のフード構造を示す。図1(a)に示す自動車のフード構造において符号1は車体前部の設備空間部としてのエンジンルーム、符号2はフードである。
【0011】
この自動車のフード構造においては、エンジンルーム1の上方を覆うフード2と、エンジンルーム1を区画形成する車体5との間に、ウェザーストリップ8、11、11’、12を介在させているものである。フード2の車体後方側となる後部両側には、フード2の開閉用ヒンジ3が車体5に軸止されている。フード2は、ヒンジ3によって車体5の前側が開くように、車体5に対して所定角度で回動可能とされている。
【0012】
フード2の車体前方側の前部中央部には、フード2を閉じた状態でロックするロック機構4が設けられている。また、フード2の裏面の前縁両側部には、フード2を閉じたときに車体5に当接して、フード2が車体5のエンジンルーム1の上縁部より維持すべき所定の高さを保持するフードバンパ6が、フード2と車体5の隙間13を一定に保つ高さ調整部材として設けられている。これらの位置関係によって、エンジンルーム1をフード2で閉鎖したとき、フード2下面と車体5の間には隙間13が形成される。
【0013】
エンジンルーム1の周囲は、車体5上面の前縁10と、右縁9’と、左縁9と、後縁7とが形成されている。これら車体5の前縁10と、右縁9’と、左縁9と、後縁7には、ウェザーストリップ12、11’、11、8がクリップ28(図1(b)参照)等によって固定されている。ウェザーストリップ12、11’、11、8は、エンジンルーム1を取り囲むように取り付けられており、フード2を閉じたときに、フード2と車体5の隙間13を閉鎖可能とされている。
【0014】
この実施の形態では、ウェザーストリップ12、11’、11、8のうち、少なくとも右縁部及び左縁部のウェザーストリップ11、11’は中空断面とされている。このウェザーストリップ11、11’の中空断面を形成する中空部29は、左右縁部のウェザーストリップ11、11’の各々の全体に渉って形成されている。
【0015】
図1(a)、図2に示すように、ウェザーストリップ11、11’の左右縁部の中空部29は、ホース30、31に連通する穴以外に他の穴等が形成されておらず、それぞれ独立した閉ざされた空間とされている。左右縁部の中空部29のホース30、31の他端は一箇所に纏められており、他のホース32の一端が接続されている。ホース32の他端は切換装置としての切換弁33に連結されている。
【0016】
エンジンルーム1内のブレーキ用バキュームタンク34等の負圧源には、ホース35の一端が接続されており、ホース35の他端は切換弁33に接続されている。切換弁33はアクチュエータ40によって制御され、通路をバキュームタンク34側のホース35と吸気側のホース36のどちらかに切り換えるように作動する。
【0017】
図1及び図2に示すように、フロントバンパ41の両端部付近には、空気圧を検出するための圧力センサ42、42’が配設されている。センサ42、42’の信号線43、43’はアンプ44を介してアクチュエータ40に接続されている。ここで、左右の圧力の差の絶対値が所定の値より大きい場合は、アクチュエータ40は切換弁33の通路をバキューム34側のホース35に切り換えるように、構成されている。逆に、左右の圧力の差が所定値より小さい場合には、アクチュエータ40は切換弁33の通路を吸気ダクト37側のホース36に切り換えるように構成されている。
【0018】
車体5の前側左右部位であるフロントバンパ41には、走行中の車体5が受ける空気の圧力を検出する検出部としてのセンサ42、42’が設置されている。アクチュエータ40は、センサ42、42’により検出した圧力が所定値以上であるときに、厚さ調整部である中空部29の厚さを薄くするように制御する。
【0019】
回頭制御装置100は、高さ調整部材を構成するフードバンパ6と、ウェザーストリップ11、11’に設けられた厚さ調整部を構成する中空部29と、走行中の車体前方の空気の圧力を検出する検出部を構成するセンサ42、42’と、センサ42、42’で検出した圧力が所定値以上であるときに、中空部29の厚さを薄くするように制御する駆動装置110とを有する。
【0020】
回頭制御装置100の駆動装置110(図2参照)は、切換弁33(切換装置)と、中空部29と切換弁33とを接続するホース30、31、32と、負圧源となるバキュームタンク34と、バキュームタンク34と切換弁33とを接続するホース35と、切換弁33を制御するアクチュエータ40と、センサ42、42’の検出信号を増幅するアンプ44とで構成されている。
【0021】
アクチュエータ40は、例えば、マイクロコンピュータ及びインターフェース回路を備えた電磁バルブ等で構成される。マイクロコンピュータは、センサ42、42’の出力する圧力を示す電気信号から両者の検出した空気圧の差を算出し、この空気圧の差から予めメモリに記憶した所定値と減算する演算を行い、圧力差が所定値以上の場合には、差が所定値以下になるまで切換弁33の接続流路を制御する。
【0022】
左右縁部のウェザーストリップ11、11’は、例えば、発泡ゴム等の弾性体でつくられており、その変形特性は、図3、図4に示すように、中空部29にバキュームタンク34内の負圧が働くと、潰れるように変形してフード縁部2L、2Rと車体5との間に隙間13を生ずるように、断面形状や材質がチューニングされている。
【0023】
隙間13は、中空部29を薄く潰してエンジンルーム1の空気をフェンダーの上に吐出する吐出通路となる。即ち、フード2に設けられたフードバンパ6が、フード2を閉じたときに車体5の縁部に当接して、フード2が車体5のエンジンルーム1の上縁部より維持すべき所定の高さを保持しているので、中空部29を収縮して薄くさせると、フード2と車体5の間に隙間13が形成され、エンジンルーム1の空気をフェンダーの上に吐出する。
【0024】
次に第1の実施の形態の作用を説明する。自動車が直進走行している場合、図5に示したように、自動車表面の圧力分布14は、ほぼ左右対称と考えて良いので、フロントバンパ41の両端部の圧力センサ42、42’で計測される圧力差は少ない。
【0025】
従って、図2で示すアクチュエータ40によって切換弁33の通路は、吸気ダクト37側のホース36に接続され、吸気ダクト37と、左右縁部のウェザーストリップ11、11’の中空部29とが、切換弁33を経由して連通する。吸気ダクト37のホース36の接続位置は、スロットルバルブ38よりエアクリーナ39側にあるので、ほぼ大気圧と同じ圧力がウェザーストリップ11、11’の中空部29に作用する。
【0026】
そのため、ウェザーストリップ11、11’の変形は、ほとんど無く、フード縁部2L、2Rと車体5の間に隙間13が発生しない。その結果、エンジンルーム1から隙間13を通じて車外に空気が吹き出すことは生じないので、車体表面に沿う付着流が乱されることなく、空気抵抗が低減する。
【0027】
次に、自動車の進行方向右側(運転席から見て)から横風を受けた場合、図6の圧力分布で示したように、フロントバンパ41の右圧力センサ42’の圧力値が高く、左圧力センサ42の圧力値が低くなる。この圧力差が所定値より大きいときには、図3で示すように、アクチュエータ40とが切換弁33を作動し、バキュームタンク34内部と左右縁部のウェザーストリップ11、11’の中空部29とが切換弁33を介して連通する。
【0028】
この場合、バキュームタンク34の負圧がウェザーストリップ11、11’の中空部29に作用するため、ウェザーストリップ11、11’は変形して潰れ、左右のフード2の縁部2L、2Rと車体5の間に隙間13を生じる。
【0029】
前述のように、横風を受けたとき、風下側ではエンジンルーム1とフェンダー20表面の間の圧力差が非常に大きくなるので、図4に示すように、風下側の隙間13を通じてエンジンルーム1から車外へと空気が吹き出し、フード1を乗り越えて流れる走行風24を上方向に向ける。
【0030】
このため、図7に示すように、フード2を乗り越えてくる流れ24、及び、フェンダー20前方を通ってくる流れ26が、左側フェンダー20側面に再付着することが出来なくなって剥離する。その結果、左側フェンダー20の負圧が低下して、車体を左側(風下側)に回頭するモーメント22が減少し、横風安定性が向上する。
【0031】
尚、上記の説明は、運転者側から見て進行方向の右側から左側に向かって流れる横風を受けたときの作用を説明したが、運転者側から見て進行方向の左側から横風を受けたときは上記と左右を逆にした作用となる。
【0032】
以上のように、第1の実施の形態では、直進走行中はフード2と車体5の隙間13は塞がれる。このため、空気抵抗が減少する。横風を受けたときにはフード縁部2Lと車体5の隙間13、若しくは、フード縁部2Rと車体5の隙間13が生じ、エンジンルーム1の空気が隙間13を通して風下側フェンダー20の上に吐出される。このため、図7(b)に示すような風下側フェンダー20表面に沿う流れが、図4に示すように剥離して負圧が抑制され、風下側へと回頭するモーメント22(図6参照)が低減する。よって、直進走行時の空気抵抗の低減と、横風を受けたときの走行安定性とを両立できる。
【0033】
尚、左右の圧力センサ42、42’の圧力差がない場合に、ホース36の一端を吸気ダクト37に連通させているが、大気圧に近い圧力の場所であれば、必ずしも吸気ダクト37でなくても構わない。なお、吸気ダクト37に接続することにより、外気に含まれている粉塵等を吸い込むことがなくなり、ホース内の詰まりや汚れを防止できる。また、切換弁33を動作させるための所定値は、車の形状、大きさ、重量等によって適宜設定され、軽量車や背高車等の横風に弱い車については比較的低めに設定する。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図8(a)、図8(b)は本発明の第2の実施の形態を示したものである。この第2の実施の形態では第1の実施の形態のものに比べてフード2の裏面の前後左右の縁に、ウェザーストリップ45、46、46’、47が配設されており、ウェザーストリップ45、46、46’、47は、クリップ28等によってフード2に固定されている。左右縁部のウェザーストリップ46、46’の断面の中空部は、第1の実施の形態と同様に、切換弁33に接続されている。その他の構成は第1の実施の形態のものと同様であるので、その説明を援用する。
【0035】
また、第2の実施の形態の作用も、第1の実施の形態の作用と同じであるので、その説明を援用する。尚、ウェザーストリップ45、46、46’、47がフード2の裏面に配設されているため、フード2を開けてエンジンルーム内の整備をするなどの際に、油の垂れや工具の落下などによるウェザーストリップの劣化、損傷を防止できるという利点がある。
【0036】
更に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図9、図10は本発明の第3の実施の形態を示したものである。第3の実施の形態では、車体5に固定された左右縁部のウェザーストリップ11、11’の中空部29にはホース48、49の一端が接続されており、ホース48、49の他端は、切換装置50(一例として切換弁)に接続されている。
【0037】
第3の実施の形態において、回頭制御装置100は、高さ調整部材を構成するフードバンパ6と、ウェザーストリップ11、11’に設けられた厚さ調整部を構成する中空部29と、走行中の車体前方の空気の圧力を検出する検出部を構成するセンサ42、42’と、センサ42、42’で検出した圧力が所定値以上であるときに、中空部29の厚さを薄くなるように制御する駆動装置110とを有する。
【0038】
回頭制御装置100の駆動装置110は、切換装置50と、中空部29と切換装置50とを接続するホース48、49と、負圧源となるバキュームタンク34と、バキュームタンク34と切換装置50とを接続するホース51と、切換装置50を制御するアクチュエータ40と、センサ42、42’の検出信号を増幅するアンプ44とで構成されている。
【0039】
エンジンルーム1内の例えばブレーキ用バキュームタンク34等の負圧源には、ホース51の一端が接続されており、ホース51の他端は切換装置50に接続されている。また、他のホース52の一端が、エンジン吸気ダクト37のスロットルバルブ38よりエアクリーナ39側のダクト37に接続されている。ホース52の他端は切換装置50に接続されている。
【0040】
フロントバンパ41の両端部近傍には、走行時に前方から受ける空気の圧力を検出する圧力センサ42、42’が取り付けられている。それらのセンサ42、42’の信号線43、43’はアンプ44を経由してアクチュエータ40に電気的に接続されている。
【0041】
アクチュエータ40のプログラムは、圧力差=(右圧力センサの空気圧−左圧力センサの空気圧の値)が所定値より大きい場合には、切換装置50の通路がバキュームタンク34と、左縁部のウェザーストリップ11の中空部29と連通するように、構成されている。
【0042】
また、圧力差=(左圧力センサの空気圧−右圧力センサの空気圧の値)が所定値より大きい場合には、アクチュエータ40のプログラムは、切換装置50の通路をバキュームタンク34と、右縁部のウェザーストリップ11の中空部29とを連通するように、構成されている。
【0043】
アクチュエータ40のプログラムは、左右の圧力センサ42、42’の圧力差の絶対値が所定値より小さい場合には、吸気ダクト37と両方のウェザーストリップ11、11’の中空部29とが連通するように、アクチュエータ40を駆動して切換装置50を切り換える。
【0044】
第3の実施の形態では、自動車が直進走行している場合、フロントバンパ41(図1参照)両端部の圧力センサ42、42’で計測される圧力差は少ない。よって、アクチュエータ40によって切換装置50の通路は、吸気ダクト37と左右縁部のウェザーストリップ11、11’の中空部29とが連通するように、切り替わる。
【0045】
吸気ダクト37のホース52の連結位置は、スロットルバルブ38よりエアクリーナ39側に設置されているので、ほぼ大気圧と同じ圧力がウェザーストリップ11、11’の中空部29に作用する。
【0046】
そのため、ウェザーストリップ11、11’の変形はほとんど無く、フード縁部2L、2Rと車体5の間に隙間13は形成されない。その結果エンジンルーム1から車外へ空気が吹き出すことはないので、車体表面に沿う付着流が乱されることはなく、空気抵抗が低減する。
【0047】
第3の実施の形態のフード構造において、自動車が直進走行している場合、フロントバンパ41の両端部の圧力センサ42、42’で計測される圧力差は少ない。
【0048】
従って、アクチュエータ40によって切換装置50は、吸気ダクト37と、左右縁部のウェザーストリップ11、11’の中空部29と連通させる。吸気ダクト37のホース52の接続位置は、スロットルバルブ38よりエアクリーナ39側にあるので、ほぼ大気圧と同じ圧力がウェザーストリップ11、11’の中空部29に作用する。
【0049】
そのため、ウェザーストリップ11、11’の変形は、ほとんど無く、フード縁部2L、2Rと車体5の間に隙間13が形成されない。その結果、エンジンルーム1から隙間13を通じて車外に空気が吹き出すことは生じないので、車体表面に沿う付着流が乱されることなく、空気抵抗が低減する。
【0050】
次に、自動車の進行方向右側(運転席から見て)から横風を受けたときを説明する。この場合、図6の圧力分布で示したように、フロントバンパ41の右圧力センサ42’の圧力値が高く、左圧力センサ42の圧力値が低くなる。
【0051】
ここで、(右圧力センサの圧力−左圧力センサの圧力)の圧力差の値が、所定値より大きいときには、図11に示すように、アクチュエータ40が切換装置50を駆動し、バキュームタンク34内部と左右縁部の中空部29とを連通させる。この場合、バキュームタンク34の負圧がウェザーストリップ11、11’の中空部29に作用するため、ウェザーストリップ11、11’は変形して薄くなるように潰れ、左右のフード2の縁部2L、2Rと車体5の間に隙間13が生じる。
【0052】
前述のように、横風を受けたときは、風下側ではエンジンルーム1とフェンダー20表面の間の圧力差が非常に大きくなるので、図4に示すように、風下側の隙間13を通じてエンジンルーム1から車外へと空気が吹き出し、フード1を乗り越えて流れる走行風24を上方向に向ける。
【0053】
このため、図7(b)に示すように、フード2を乗り越えてくる流れ24、及び、フェンダー20前方を通ってくる流れ26が、図4に示すように、左側フェンダー20側面に再付着することが出来なくなって剥離する。その結果、左側フェンダー20の負圧が低下して、車体を左側(風下側)に回頭するモーメント22(図6参照)が減少し、横風安定性が向上する。
【0054】
尚、上記の説明は、運転者側から見て進行方向の右側から左側に向かって流れる横風を受けたときの作用を説明したが、運転者側から見て進行方向の左側から横風を受けたときは上記と左右を逆にした作用となる。
【0055】
第3の実施の形態では、直進走行中はフード2と車体5の間の隙間は塞がれるため、空気抵抗が低減される。横風を受けたときは、風下側のフード2の縁部と車体5の間に隙間13が出来るため、風下側のフェンダー表面から空気が剥離するので、負圧が抑制され、風下側へと回頭するモーメントが低減する。従って、直進走行時の空気抵抗の低減と、横風を受けたときの走行安定性とが両立できることとなる。また、横風の風上側ではシールされているため、エンジンルーム1内と車外との空気の流通が無いので、車体表面に沿う流れが乱されることが無く、空気抵抗を低く維持できる。
【0056】
以上、本発明の自動車のフード構造の実施の形態においては、車体前部のエンジンルームのフード構造について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限るものではなく、エンジンルームが車体の中間部や後部等に配置され、フード2が車体前方に設けられる自動車であっても良い。また、フード2で閉鎖する空間内部の空気の吐出通路は、ウェザーストリップ11、11’等の中空部29の膨張収縮で開閉制御しているが、ウェザーストリップ11、11’等の肉厚を変えたり、変形させたりして吐出通路を形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1(a)は本発明の第1実施の形態にかかる自動車のフード構造の斜視図、(b)は図1中のC−C断面図である。
【図2】図2は直進走行時や圧力差が所定値以下のときの切換弁33の接続状態を示す図である。
【図3】図3は横風を受けたときに左右の圧力差が所定値以上のときの切換弁の接続状態を示す図である。
【図4】ウェザーストリップの中空部を潰して空気の吐出通路である隙間を形成した状態の断面図である。
【図5】直進走行時の平面的な圧力分布状態を示す図である。
【図6】横風を受けたときの平面的な圧力分布状態を示す図である。
【図7】図7(a)は横風を受けたときのフード上からフェンダーに流れる気流状態を示す図であり、図7(b)は図7(a)のB−B断面図であり、フェンダー側面に気流が付着する状態を示す図である。
【図8】図8(a)は第2の実施の形態にかかるウェザーストリップ及びホースの接続状態を示す斜視図である。図8(b)は図8(a)のフード端部とフェンダーの近傍における断面図である。
【図9】図9は第3の実施の形態にかかるウェザーストリップ及びホースの接続状態であって、左右のウェザーストリップの中空部を大気圧状態に維持している状態を示す図である。
【図10】図10は第3の実施の形態において、左のウェザーストリップの中空部を潰して吐出通路を形成している状態を示す図である。
【図11】図11は第3の実施の形態において、右のウェザーストリップの中空部を潰して吐出通路を形成している状態を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 エンジンルーム(設備空間部)
2 フード
5 車体
6 フードバンパ(高さ調整部材)
7、9、9’、10 エンジンルームの縁部
11、11’ 左右のウェザーストリップ
8、12 前後のウェザーストリップ
13 隙間(吐出通路)
29 中空部(厚さ調整部)
30、31、32 ホース
33 切換弁(切換装置)
34 バキュームタンク(負圧源)
35、36 ホース
39 エアクリーナ
40 アクチュエータ
41 フロントバンパ
42、42’ 圧力センサ(検出部)
100 回頭制御装置
110 駆動装置




 

 


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