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発明の名称 駆動装置の搭載構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−22163(P2007−22163A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−203650(P2005−203650)
出願日 平成17年7月12日(2005.7.12)
代理人 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
発明者 横手 正継 / 鎌田 鉄郎
要約 課題
ドライブシャフトの許容切れ角度が小さい場合にも、最小旋回半径を小さくすることのできる搭載構造及び車両を提供する。

解決手段
左右の駆動モータ1L,1Rは、連結部材7によって両駆動軸が車両前後方向後方に向かって互いの間隔が広くなるハの字状に連結されており、駆動軸14L,14Rのドライブシャフト5L,5Rとの接続端が他方の端部よりも車両前後方向後方に位置するように配される。さらに、左右のドライブシャフト5L,5Rは、直進状態において、駆動モータとの接続端よりも車輪との接続端の方が車両前後方向後方に位置するように(車両平面視で車両前後方向後方が広いハの字状)、駆動モータ1L,1R及び左右前輪6L,6Rに接続されている。これにより、特にアッカーマンジオメトリを適用した車両においてドライブシャフトの切れ角が最大限利用され、最小旋回半径が小さくなる。
特許請求の範囲
【請求項1】
左右の駆動ユニットの駆動軸にドライブシャフトを介して左右輪がそれぞれ接続し、左右輪が独立して駆動可能に構成されたモータ駆動車両における駆動装置の搭載構造であって、
前記ドライブシャフトは、前記車輪との接続端が前記駆動軸との接続端よりも車両前後方向後方に位置する状態で傾いて配置されると共に、前記駆動軸は、車幅方向外側部分が車幅方向内側部分よりも車両前後方向後方に位置する状態で傾いて配置されることを特徴とする駆動装置の搭載構造。
【請求項2】
前記駆動軸と前記ドライブシャフトとは同軸になっていることを特徴とする請求項1に記載の搭載構造。
【請求項3】
前記駆動ユニットは、車両方向外側端部が車体側部材よりも下方に位置する状態で傾いて配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の搭載構造。
【請求項4】
左右の駆動ユニットの間に配され、かつ、両駆動ユニットの駆動軸が車両前後方向後方に向かうほど互いの間隔の広くなるハの字を形成する状態で両駆動ユニット同士を連結する連結部材を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の搭載構造。
【請求項5】
前記連結部材は、車体側部材に支持されることを特徴とする請求項4に記載の搭載構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動車両における駆動軸、ドライブシャフト及び車輪の搭載構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動車は排気ガスを出さないことから、特に市街地での輸送手段として期待されており、市街地での輸送手段として考えた場合、小回りが利く中・小型車両から普及していくことが予想される。
ところで、電動車は、駆動モータの変速機能、前進・後退機能を電気的に行えることから、駆動系を構成するためには駆動モータの軸と同軸上に遊星歯車式の減速機を構成するだけでよい。従って、搭載性、軽量化、前後重量配分などに優れており、例えば特許文献1に記載されているようなシステムが既に知られている。
【0003】
また、電動車において駆動モータを左右独立に配置したものが知られる。これは、駆動モータを車体に搭載し、当該駆動モータからの出力をドライブシャフトを介してタイヤに伝える構成にしたものであり、取り回しを含む旋回性能の向上を目的としたものである。さらに、駆動モータを左右独立に配置することで、駆動力を独立に配分制御することが可能になる他、駆動モータを物理的に独立に配置できるという効果も得られ、駆動モータ車載上のレイアウト自由度が向上する。
【特許文献1】特開平5−162542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、上記駆動モータと減速機とを同軸上に配置した場合には、駆動ユニット(駆動モータ+減速機)の車幅方向寸法が長くなり易いという短所もある。このことは、駆動ユニットの駆動軸とタイヤとを連結するドライブシャフトが、短くなることを意味し、ドライブシャフトの許容切れ角度が減少することに繋がる。ドライブシャフトは、タイヤの路面との接触による上下動や、操舵によるタイヤの左右の動きに応じて駆動軸とタイヤの軸との連結角度を変化させつつ駆動ユニットの駆動力を伝達しており、この許容切れ角が小さいと転舵角や上下動を制限する必要が生じる。
【0005】
しかしながら、上記のような問題点があるにもかかわらず、特許文献1に示すように駆動ユニット及びドライブシャフトを車幅方向に平行に配置してしまうと、ドライシャフトの許容角を最大限利用できていなかった。
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、ドライブシャフトの許容角を最大限使用することで、ドライブシャフトの許容切れ角度が小さい場合にも、最小旋回半径を小さくすることのできる駆動装置の搭載構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1による駆動装置の搭載構造は、左右の駆動ユニットの駆動軸にドライブシャフトを介して左右輪がそれぞれ接続し、左右輪が独立して駆動可能に構成されたモータ駆動車両における駆動装置の搭載構造であって、前記ドライブシャフトは、前記車輪との接続端が前記駆動軸との接続端よりも車両前後方向後方に位置する状態で傾いて配置されると共に、前記駆動軸は、車幅方向外側部分が車幅方向内側部分よりも車両前後方向後方に位置する状態で傾いて配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、左右が独立に駆動されるモータ駆動車において、最小旋回半径をより小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電動車の車両前部を示す平面図である。図1に車両では、前後方向の骨格部材である左右のサイドメンバ4L,4Rが、車幅方向の骨格部材であるクロスメンバ4Fにより連結されており、このサイドメンバ4L,4Rの上に、左右のサイドメンバ31L,31R及び前後のクロスメンバ31F,31Rよりなるモータマウントメンバ3が取り付けられている。そして、このモータマウントメンバ3に、連結部材7により相互に連結された状態の左右の駆動ユニット1L,1Rが、モータマウント2を介して弾性支持されている。この左右の駆動ユニット1L,1Rは、左右のドライブシャフト5L,5Rを介して、夫々左右前輪6L,6Rに接続されている。
【0009】
ここで、左右の駆動ユニット1L,1Rは、電動式の駆動モータ11の出力軸側に減速機12を、夫々の軸が同軸となるように結合したものであり、駆動モータ11の駆動力は、減速機12を介してドライブシャフトに伝達される。この駆動ユニットが、本発明の駆動ユニットに相当する。なお、本発明において駆動ユニットは、駆動モータの駆動力を出力するものであって、ドライブシャフトに接続する装置を意味し、駆動モータ11及び減速機12が組み合わされる場合に限られず、例えば駆動モータから直接ドライブシャフトに接続する場合も含む。
【0010】
駆動ユニットは、駆動軸の車幅方向外側部分が車幅方向内側部分よりも車両前後方向後方に位置するように傾いて配される。したがって、左右の駆動ユニット1L,1Rは、両方の駆動軸が車両平面視で、車両前後方向後方に向かうほど軸方向の間隔が広くなるハの字状に配置され、即ち両駆動軸14L,14Rの延長線が車両前後方向後方に向かって開いた角θMが180°未満となるように設置される。
さらに、左右のドライブシャフト5L,5Rは、直進状態において、駆動ユニットとの接続端よりも車輪との接続端の方が車両前後方向後方に位置するように傾いて(車両平面視で車両前後方向後方が広いハの字状)、駆動ユニット1L,1R及び左右前輪6L,6Rに接続されている。
【0011】
なお、これら駆動軸14L,14Rと左右のドライブシャフト5L,5Rとはインナージョイント51を用いて、左右のドライブシャフト5L,5Rと左右前輪6L,6Rとはアウタージョイント52を用いて接続されている。このインナージョイント51及びアウタージョイント52は、タイヤの上下動や操舵による左右の動きにも対応して、接続する軸同士のなす角が変化しても駆動力を伝達する連結部材である。多くは等速ジョイントが用いられ、例えば、インナージョイント51にはサスペンションの上下動による軸間長さの変化を吸収するために軸方向にもスライド可能なスライド式トリポード型等速ジョイント、アウタージョイント52にはバーフィールド型等速ジョイントを用いることができる。
【0012】
次に、図2〜図4を用いて連結部材7及びモータマウント2の具体的な構成について説明する。図2は駆動ユニットの取り付け状態を示す平面図、図3は図2を矢印Aの方向から見た図、図4は図3を矢印Bの方向から見た図である。
連結部材7は、車両平面視で車両前後方向両端部により形成される対辺が平行な台形状の平板部76と、この平板部76の車幅方向両端部に連続して上方に立ち上がった1対のフランジ71,71と、後側端部に一体的に形成されたブラケット16(後述する)と、を備える。このとき、1対のフランジ71,71は、左右対称に、車両平面視で車両前後方向前方に向かって互いの間隔が広くなるハの字状に形成される。そして、連結部材7は、左右の駆動ユニット1L,1Rの間に配されており、左右の駆動ユニット1L,1Rの背面に夫々形成された駆動ユニット側のフランジ13,13及び連結部材7,7側のフランジ71,71が夫々ボルト72及びナット73で締結されている。これにより、左右の駆動ユニット1L,1Rが、互いの駆動軸のなす角θMを所定の角度に保った状態で連結される。
【0013】
なお、図4に示すように、駆動ユニットの背面には、突出したインロー部15が設けられると共に、駆動ユニットの背面に対向する連結部材7の端面には、インロー部15と同形状の凹部75が設けられている。連結部材7の取り付け時には、このインロー部15と凹部75とが嵌合する位置でボルト72を締結する。
なお、この連結部材7の材質は特に限定されるものではないが、鋼などの剛性を有する材料を用いることが好ましい。
【0014】
なお、図2中符号21はブッシュ、22はブラケット、16は駆動ユニット側のブラケットである。駆動ユニットのブラケット16は、モータマウントメンバ3に固着されたモータマウント2側のブラケット22に、ブッシュ21を介して結合しており、駆動ユニットはモータマウント2を介してモータマウントメンバ3に弾性支持される。
なお、本実施形態におけるモータマウントメンバ3が、本発明の車体側部材に相当する。
【0015】
次に、上記構成の作用及び効果について説明する。
まず、ドライブシャフト5L,5Rを、前輪6L,6Rとの接続端が駆動軸14L,14Rとの接続端よりも車両前後方向後方に位置するように配すと共に、駆動軸14L,14Rを、ドライブシャフト5L,5Rとの接続端が他方の端部よりも車両前後方向後方に位置するように配したことの作用及び効果について説明する。これの目的はドライブシャフトの許容切れ角を最大限使い切ることで、車輪の切れ角を最大にして車両の最小回転半径を小さくし取りまわし性能を向上させようとするところにある。
【0016】
ところで、図10に示すエンジン駆動車にあっては、車両平面視でパワープラント110(ここではエンジン112とトランスミッション111を組み合わせた状態をいう)を傾けて搭載することは、ドライブシャフト113L,113Rの許容切れ角の関係及びパワープラント110′とサイドメンバ130L,130Rとの干渉の関係から不可能であった(図10参照)。一方、本発明にあっては前述のように駆動ユニットが独立に配置できるため、搭載の自由度が高い。このため、ドライブシャフトの許容切れ角を最大限使い切ることができるように、駆動ユニットの配置の最適化することができる。
【0017】
以下にそれを詳述する。
まず、図11に示す本発明とは異なる車両におけるドライブシャフトの配置について説明する。ドライブシャフト94は車幅方向に略平行に配置される(図11)。アッカーマンジオメトリ(旋回内輪の切れ角(転舵角)θi>旋回外輪の切れ角θo)を適用した車両では、タイヤが転舵された場合、旋回内輪側のドライブシャフト94′の切れ角が旋回外輪側の切れ角よりも大きくなる。特に、旋回内輪側のドライブシャフト94′のアウタージョイント92′の切れ角θidは大きいため、アウタージョイント92の許容切れ角の制限がタイヤの最大切れ角を決定する場合が多く、最小旋回半径の律則になっている。
【0018】
しかし、図11では、旋回内輪側のドライブシャフト94′も旋回外輪側のドライブシャフト94″も同じ角度だけ、すなわち片側許容最大切れ角θ1/2fMAX(=(1/2)×許容最大切れ角θfMAX)だけ屈曲可能に配置されている。上記のようにアッカーマンジオメトリを適用する場合には、タイヤの最大切れ角時において、旋回内輪側ではドライブシャフト(アウタージョイント)の直進状態からの切れ角θidMAXが片側許容最大切れ角θ1/2fMAXと略同等となるものの、旋回外輪側では直進状態からの切れ角θodMAXはそれよりも小さい。したがって、ドライブシャフト単体でみると、まだ許容最大切れ角θfMAXに対して余裕を持っているにもかかわらず、この状態がタイヤの最大切れ角を決定していた(図5(a)参照)。なお、図11中、符号93はタイヤ中心、WLはタイヤ中心線を示す。また、94′、92′、93′、WL′はタイヤ最大切れ角時の旋回内輪側のドライブシャフト、アウタージョイント、タイヤ中心、タイヤ中心線の各位置を示し、94″、92″、93″、WL″はタイヤ最大切れ角時のドライブシャフト、アウタージョイント、タイヤ中心、タイヤ中心線の各位置を示す。
【0019】
これに対し、本実施形態のようにドライブシャフト5Lを、タイヤとの接続端が駆動ユニットとの接続端よりも後方に位置するように配すことが考えられる。このように配すと、旋回外輪側のドライブシャフトの切れ方向に初期角θが設けられるため、略初期角θ分だけタイヤを大きく切ることが可能になる。
これを、以下に具体的な動作と共に説明する。
【0020】
車両が直進しているときの左ドライブシャフト5Lと前左輪6L(の軸線62)との関係を図6(a)に示す。同図に示すように、前左輪6Lの軸線62とドライブシャフト5Lの軸とは、初期角θをなす。アウタージョイント52は、ドライブシャフト5L軸を境に車両前後方向前方及び後方に向かって夫々片側許容切れ角θ1/2fMAX分屈曲可能であり、以下ドライブシャフト5Lよりもタイヤの軸線が車両前後方向後方に位置するように屈曲することを後方に屈曲、逆にタイヤの軸線が車両前後方向前方に位置するように屈曲することを前方に屈曲するという。車両が旋回する際には、旋回内輪側のドライブシャフトのアウタージョイント52が後方に、旋回外輪側のドライブシャフトのアウタージョイント52が前方に屈曲する。直進状態では初期角θ分前方に屈曲しており、したがってタイヤの最大切れ角時における旋回外輪側のドライブシャフトのアウタージョイント52の直進状態からの切れ角θodMAXは、片側許容切れ角θ1/2fMAXよりも初期角θ分だけ小さく設定される。一方、タイヤの最大切れ角時における旋回内輪側のアウタージョイント52の直進状態からの切れ角θidMAXは、片側許容切れ角θ1/2fMAXよりも初期角θ分だけ大きく設定される。すなわち、本発明では、旋回内輪側のドライブシャフトのアウタージョイント52が、前方に屈曲することも可能にし、従来余裕角となっていた部分を旋回内輪側にも配分することで、アウタージョイント52の許容切れ角を最大限に使用可能な構成となっている(図5(b)参照)。
【0021】
図1(b)に示すように、操舵者のステアリング操作により前左輪6Lが左に転舵されると、この前左輪6Lが旋回内輪となって車両が直進状態から左に旋回し、前左輪6Lの左転舵に従いドライブシャフト5Lも、直進状態の位置からインナージョイント51を中心に車両前後方向前方に向かって移動する。このときの左ドライブシャフト5L′と前左輪6L′との関係を図6(b)に示す。アウタージョイント52′は、直進状態では前方に初期角θ分屈曲していたが、ドライブシャフト5Lの移動に従い徐々に切れ角が小さくなりやがて屈曲方向が反転し、ドライブシャフト5Lが移動角θdd′分移動してタイヤの切れ角が最大となったときには、後方に片側許容角θ1/2fMAX分屈曲した状態となる。したがって、直進状態からのアウタージョイント52′の切れ角θidは、上記のように(θ1/2fMAX+θ)であり、図11に示す車両に比べて初期角θ分大きい。そして、このタイヤの最大切れ角時の旋回内輪(前左輪5L′)の切れ角θiMAXは、同図にも示すようにおおよそ下記式(1)で表される。
θiMAX = θ1/2fMAX − θdd′+ θ …(1)
【0022】
(ドライブシャフト5L′のタイヤとの接続端が車両前側に傾いてる場合)
図11に示す車両では、初期角θを設けていないので式(1)の右辺のθがない。したがって、ドライブシャフト5Lの直進状態からの移動角θdd′が同じであれば、図11の車両に比べて初期角θ分、最大の旋回内輪の切れ角θiMAXも大きくなる。
一方、前左輪6Lが右に転舵されると、この前左輪6Lが旋回外輪となって車両が直進状態から右に旋回し、前左輪6Lの右転舵に従いドライブシャフト5Lも、直進状態の位置からインナージョイントを中心に車両前後方向後方に向かって移動する。このときの左ドライブシャフト5L″と前左輪6L″との関係を図6(c)に示す。アウタージョイント52″は、ドライブシャフト5Lの移動に従い直進状態における屈曲方向はそのままにさらに切れ角が増し、前方に片側許容角θ1/2fMAX分まで屈曲可能である。ところで、上記のように図11に示す車両では、旋回内輪側のアウタージョイントの片側許容切れ角の制限により旋回内輪の最大切れ角が決定されたため、アッカーマンジオメトリの適用により旋回外輪側のアウタージョイントに余裕角を残しつつも旋回外輪の切れ角がそれより小さく設定されていた。本発明では、初期角θを所定よりも小さい範囲で設定すれば、上記のように旋回内輪の最大の切れ角が大きくなった分、もともと制限のなかった旋回外輪の切れ角も大きくすることができる。
【0023】
なお、旋回内輪の切れ角との関係を無視し、旋回外輪の切れ角を最大にする場合を考えると、ドライブシャフト5Lが移動角θdd″分移動し、アウタージョイント52″が前方に片側許容角θ1/2fMAX分屈曲した状態が旋回外輪の取りうる最大の切れ角である。この旋回外輪の切れ角θoMAXは(θ1/2fMAX−θdd″−θ)であるから、この値がアッカーマンジオメトリの適用により決定される旋回外輪の切れ角の大きさよりも小さくならないように、初期値θを設定することが好ましい。この場合には旋回外輪側のアウタージョイント52′の切れ角が制限になってしまうためである。即ち、初期角θの値は、旋回内輪の切れ角の増大による旋回外輪の切れ角の増大も考慮して設定する。
【0024】
以上のように、ドライブシャフトを車両前側が広いハの字状に配置することで、アウタージョイントの切れ角を最大限使用することができ、これによりアウタージョイントの許容最大切れ角の範囲内で、図11に示す車両よりもタイヤの最大切れ角を大きくすることができる。その結果、最小旋回半径を小さくすることができる。
【0025】
次に、駆動軸のドライブシャフト5Lとの接続端が車幅方向内側部分よりも車両前後方向後方に位置するように傾けて駆動ユニット1Lを配置したことの作用及び効果について説明する。
図7に駆動ユニット1Lの駆動軸とドライブシャフト5Lとの関係を示す。(a)、(b)共にドライブシャフト5Lとタイヤとの配置関係は本発明に係る配置関係であるが、(a)は駆動軸が車幅方向と平行になるように駆動ユニット1Lを配置した場合を示し、(b)は本発明に係る配置とした場合を示す。
【0026】
本実施形態において、ドライブシャフト5Lとタイヤとは、上記のように初期角θをもって配置される。このため、ドライブシャフト5Lの直進状態からの上記移動角θdd′及びθdd″は、図11に示す車両と同じ大きさであったとしても、車幅方向に平行な線HLとなす角が、図7に示す場合では前方にθ分小さく、後方にθ分大きくなる。このような状態で、図7(a)に示すように、ドライブシャフト5Lに初期角θがついたまま駆動軸を車幅方向に平行に配置してしまうと、インナージョイント51の前方への切れ角と後方への切れ角との間に2θ分の差が生じる。θdd′やθdd″は比較的小さな値なので、インナージョイント51の切れ角におけるθの影響は大きく、アッカーマンジオメトリの適用によるθdd′とθdd″との差分では補いきれない。したがって、今度はインナージョイントの許容切れ角がタイヤの切れ角の制限要因となってしまう。
【0027】
一方、本実施形態では、図7(b)に示すように、駆動ユニット1Lも、駆動軸のドライブシャフト5Lとの接続端が車幅方向内側部分よりも車両前後方向後方に位置するように、即ち駆動軸も初期角θ分傾けてドライブシャフト5Lと同軸上に配置する。これにより、初期角θを設けたことによる上記インナージョイントの片側切れ角の不均衡も解消し、上記ドライブシャフト5lを傾けて配置することによる効果を最大限発揮することができる。即ち、ドライブシャフトを最大限屈曲させて使うことができるので、旋回内外輪の最大切れ角を大きくし、車両の最小回転半径を小さくすることができる。
【0028】
図8に、図11に示す車両及び図1に示す本実施形態に係る車両の最小旋回半径Rの比較の結果を示す。図中、αは旋回内輪の切れ角を示し、βは旋回外輪の切れ角を示し、Lはホイールベースを示し、Tfは前輪のトレッドを示し、Rは最小旋回半径を示す。同図に示すように、旋回内輪の切れ角α及び旋回外輪の切れ角βが共に従来よりも大きくなり、したがって下記式(4)により求められる最小旋回半径も小さくなることが確認された。
【0029】
【数1】


【0030】
なお、上記のように駆動軸のドライブシャフトとの接続端が車両前後方向後方に位置するように駆動ユニットを傾けて配すと、図11に示す車両に比べ駆動ユニット1Lが、長さL1分前方に配置されることになる。したがって、大きな径の駆動ユニット、即ち出力のより大きな駆動ユニットもステアリングギヤなどの後方に配置される部材と干渉することなく配すことができるという効果も得られる(図7(b)参照)。
【0031】
さらに、本発明において必須ではないが、本実施形態では連結部材7を用いて左右の駆動ユニット1L,1Rを連結している。これにより、左右の駆動ユニット1L,1R同士の配置角度を確実に管理でき、車体取り付け精度の向上が図れる。この結果連結状態のばらつき等を考慮することなく、ドライブシャフトの許容角を最大限大きく取れる。この効果は、インロー部を設けたことによって、さらに高められている。
【0032】
また、連結部材7を別体構成しているので、この連結部材7を組み替えることで、同一の駆動ユニットを、種々の車両、例えばタイヤの転舵角の異なる車両に適用することができる。
また、上記実施形態では、連結部材7にモータマウント2のブラケットを一体に形成し、これをモータマウントメンバ3に取り付けたモータマウント2に支持させている。これによって、部品点数が少なくなるため、コスト低減及び重量低減を可能にしている。
【0033】
(本発明の変形例)
次に、本発明の変形例について説明する。
図9に、左右のサイドメンバ32L,32Rが干渉する場合における駆動ユニット1L,1Rの配置例を示す。車両前後方向後方から見た図9(b)に示すように、駆動ユニット1R′(点線で示す)を水平に搭載した場合は車幅方向外側端部の上部でサイドメンバ32Rと干渉することから、駆動ユニット1Rが車幅方向外側端部を下方に傾けた状態で搭載されている。しかし、この場合にも、駆動ユニット1R,1Lはドライブシャフトとの接続端が他方の端よりも後方に配され、左右の駆動ユニット1L,1Rの両駆動軸は車両前後方向後方に向かって間隔が広くなるハの字を形成している。これにより、サイドメンバ32L,32Rの形状等を変化させることなく、干渉を回避でき、サイドメンバの断面積が確保されるため、衝突安全性が向上する。なお、図示しないが、この場合には前後のクロスメンバ31F,31Rに架橋するメンバを設けて、駆動ユニット1L,1Rを上方又は下方から支持してもよい。
【0034】
なお、連結部材7を設けずに、6個あるいはそれ以上のモータマウント2を設置することにより駆動ユニットをハの字状に固定してもよい。
また、図示しないが、本発明は後輪を操舵輪とする場合、前輪及び後輪の双方を操舵輪とする場合などにも適用可能である。
また、上記実施形態では電動駆動ユニットの場合で説明したが、油圧駆動ユニットなど左右が独立に配置可能な駆動装置であれば、本発明の要旨を外れない範囲で適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態に係る電動車の車両前部を示す平面図である。
【図2】駆動ユニットの取り付け状態を示す平面図である。
【図3】図2を矢印Aの方向から見た図である。
【図4】図3を矢印Bの方向から見た図である。
【図5】(a)はドライブシャフトの余裕角を説明する図であり、(b)は本発明におけるドライブシャフトの切れ角の配分について説明する図である。
【図6】(a)は直進状態でのドライブシャフト及び車輪との関係を説明する図であり、(b)は左旋回時のドライブシャフト及び車輪との関係を説明する図であり、(c)は右旋回時のドライブシャフト及び車輪との関係を説明する図である。
【図7】(a)は駆動軸が車幅方向に平行に配置される場合の駆動軸とドライブシャフトの関係を示す図であり、(b)は本実施形態に係る駆動軸とドライブシャフトの関係を示す図である。
【図8】図11に示す車両及び本実施形態に係る車両の最小旋回半径の比較の結果を示す図である。
【図9】左右のサイドメンバが干渉する場合における駆動ユニットの配置例を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は車両前後方向後方から見た図である。
【図10】エンジン駆動車におけるパワープラントの配置状態を示す図である。
【図11】従来の車両におけるドライブシャフトの配置を説明する図である。
【符号の説明】
【0036】
1L,1R 駆動ユニット、11 駆動モータ、12 減速機、13 フランジ、14L,14R 駆動軸、15 インロー部、16 ブラケット、2 モータマウント、21 ブッシュ、22 ブラケット、23 ボルト、24 ナット、3 モータマウントメンバ、31F,31R クロスメンバ、32L,32R サイドメンバ、4F クロスメンバ、4L,4R サイドメンバ、5L,5R ドライブシャフト、51 インナージョイント、52 アウタージョイント、6L,6R 前輪、62 (タイヤの)軸線、7 連結部材、71 フランジ、72 ボルト、73 ナット、75 凹部、76 平板部、HL 車幅方向に平行な線




 

 


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