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発明の名称 車両用操舵装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15631(P2007−15631A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−201140(P2005−201140)
出願日 平成17年7月11日(2005.7.11)
代理人 【識別番号】100119644
【弁理士】
【氏名又は名称】綾田 正道
発明者 佐久間 壮 / 坂井 秀則
要約 課題
高精度の舵角制御を実現できる車両用操舵装置を提供する。

解決手段
舵角比可変装置1は、舵角アシストモータ7のモータ出力角度θmを検出するモータ角度センサ11と、モータ出力角度θmに対する舵角比可変装置1の理想出力角度θout*と、舵角比可変装置1の実出力角度θoutとに基づき、舵角比可変装置1の速度変化誤差Δmを無くすように舵角アシストモータ7を補償制御するコントロールユニット8と、を備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
操舵入力軸と操舵出力軸との間に介装された変速機と、この変速機に連結された舵角比可変モータとを有する舵角比可変手段を備えた車両用操舵装置において、
前記舵角比可変モータのモータ出力角度を検出するモータ角度検出手段と、
前記モータ出力角度に対する前記舵角比可変手段の理想出力角度と、前記舵角比可変手段の実出力角度とに基づき、舵角比可変手段の速度変化誤差を無くすように前記舵角比可変モータを補償制御する舵角比制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用操舵装置において、
前記舵角比可変モータは、モータ出力を減速して前記変速機へ伝達するウォームギア機構を備え、
前記舵角比制御手段は、前記モータ出力角度に対する前記舵角比可変手段の理想出力角度と、実出力角度との偏差から、前記ウォームギア機構の噛み合い誤差による速度変化誤差を推定し、この噛み合い誤差による速度変化誤差を補償することを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用操舵装置において、
前記変速機は、遊星ローラ機構であり、
前記舵角比制御手段は、前記入力角度に対する前記舵角比可変手段の理想出力角度と、前記実出力角度との偏差から、前記遊星ローラ機構のすべりによる速度変化誤差を推定し、このすべりによる速度変化誤差を補償することを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記舵角比制御手段は、前記モータ出力角度を入力とし、前記モータ出力角度に対する前記舵角比可変手段の理想出力角度を出力するモータ規範モデルを備えることを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用操舵装置において、
前記舵角比制御手段は、前記入力角度を入力とし、前記入力角度に対する前記舵角比可変手段の理想出力角度を出力する入出力規範モデルを備えることを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用装置装置において、
前記舵角比制御手段は、前記モータ規範モデルに入力するモータ出力角度を、前記入出力規範モデルの出力と前記実出力角度との偏差を、前記モータ出力角度に加算した値とすることを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記舵角比制御手段は、初回起動時、前記モータ出力角度に対する前記舵角比可変手段の理想出力角度と、前記舵角比可変手段の実出力角度との偏差を定常速度変化誤差として記憶し、舵角制御の際に補償を行うことを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記舵角比制御手段は、初回起動時、前記入力角度に対する前記舵角比可変手段の理想出力角度と、前記舵角比可変手段の実出力角度との偏差を定常速度変化誤差として記憶し、舵角制御の際に補償を行うことを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項9】
操舵入力軸と操舵出力軸との間に介装された変速機と、この変速機に連結された舵角比可変モータとを有する舵角比可変手段を備えた車両用操舵装置において、
前記舵角比可変モータのモータ出力角度を検出し、前記モータ出力角度に対する前記舵角比可変手段の理想出力角度と、前記舵角比可変手段の実出力角度とに基づき、舵角比可変手段の速度変化誤差を無くすように前記舵角比可変モータを補償制御することを特徴とする車両用操舵装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルの操舵角に対する操向輪の転舵角の比である舵角比を可変する舵角比可変手段を備えた車両用操舵装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用操舵装置は、遊星歯車機構とモータとからなる舵角比可変手段を用い、遊星歯車機構の減速比にモータ回転数をかけて出力することで、操向輪の転舵角を制御している。モータ回転数は、ウォームギア機構により減速され、遊星歯車機構に入力されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−200666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術にあっては、ウォームギア機構に設けられたバックラッシ調整代により、モータ回転時にウォームギア機構の噛み合い状態が変化するため、回転伝達特性が変化し、舵角精度の悪化を招くという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、高精度の舵角制御を実現できる車両用操舵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明では、
操舵入力軸と操舵出力軸との間に介装された変速機と、この変速機に連結された舵角比可変モータとを有する舵角比可変手段を備えた車両用操舵装置において、
前記舵角比可変モータのモータ出力角度を検出するモータ角度検出手段と、
前記モータ出力角度に対する前記舵角比可変手段の理想出力角度と、前記舵角比可変手段の実出力角度とに基づき、舵角比可変手段の速度変化誤差を無くすように前記舵角比可変モータを補償制御する舵角比制御手段と、
を備えることを特徴とする。
ここで、「理想出力角度」とは、モータ出力角度に対し、速度変化誤差が生じない場合の理想的な舵角比可変手段の出力角度をいう。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、理想出力角度に対する速度変化誤差を無くすように舵角比可変モータが補償制御されるため、モータ出力から舵角比可変手段の出力までの速度変化誤差に伴う舵角制御の乱れを抑制でき、制御精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の車両用操舵装置を実施するための最良の形態を、図面に基づく実施例1,2により説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は、本発明の車両用操舵装置を適用した車両用操舵装置の構成を示すシステムブロック図である。
【0009】
実施例1の舵角比可変装置(舵角比可変手段)1は、ハンドル2の操舵角に対する操向輪3の転舵角の比である舵角比を可変するもので、ハンドル2に連結した入力軸(操舵入力軸)4と、操向輪3に連結した転舵装置5を駆動する出力軸(操舵出力軸)6の経路の途中に設けられている。
【0010】
この舵角比可変装置1は、舵角アシストモータ(舵角比可変モータ)7を備え、この舵角アシストモータ7の回転数および回転方向を制御することにより、入力軸4への入力を変速して出力軸6に出力する。舵角アシストモータ7に供給される電流は、コントロールユニット(舵角比制御手段)8により制御されている。
【0011】
コントロールユニット8は、入力軸4の回転角度であるハンドル(入力)角度を検出するハンドル角度センサ9の出力と、出力軸6の回転角度である出力角度を検出する出力角度センサ10の出力と、舵角アシストモータ7の回転角であるモータ角度を検出するモータ角度センサ(モータ角度検出手段)11と、車速を検出する車速センサ12とから目標転舵角を演算し、実転舵角が目標転舵角と一致するように、舵角アシストモータ7をサーボ制御する。
【0012】
図2は、実施例1の舵角比可変装置1の構成図であり、舵角比可変装置1は、入力軸4からの入力を減速し、出力軸6へ出力する遊星ローラ機構(変速機)13と、舵角アシストモータ7の出力を減速して遊星ローラ機構13へ出力するウォーム軸14aとウォームホイール14bとからなるウォームギア機構14と、を備えている。
【0013】
遊星ローラ機構13は、図3の模式図に示すように、ピニオンローラ13bを支持するキャリア13dと、サンローラ13aと、リングローラ13cとから構成されている。そして、ピニオンローラ13bは、サンローラ13aとリングローラ13cとに噛み合いながら接している。サンローラ13aは、入力軸4と連結され、キャリア13dは、出力軸6と連結されている。また、リングローラ13cは、舵角アシストモータ7とウォームギア機構14を介して連結されている。
【0014】
図4は、コントロールユニット8の可変舵角比制御ロジックを示すブロック図である。
乗算器20aは、入力軸4からの入力角度θhに対し、遊星ローラ速比KR1を乗算した値を出力する。乗算器20bは、入力角度θhに対し、遊星ローラすべりΔR1を乗算した値を出力する。加算器20cは、乗算器20aと乗算器20bの出力を加算した値を出力する。
【0015】
入出力規範モデル20dは、ハンドル入力から出力への理想モデルが記憶され、入力角度θhを入力し、理想出力角度θout*を出力する。オブザーバ(観測器)20eは、実出力角度θoutから、モデル化誤差やパラメータ変動などの外乱を取り除いた値θout'を出力する。比較器20fは、理想出力角度θout*と実出力角度θout'の差を取り、ハンドル2から出力軸7までの回転誤差成分(速度変化誤差)ΔR1を出力する。
【0016】
乗算器20gは、舵角アシストモータ7からの入力角度θmに対し、ウォームギア比KWを乗算した値を出力する。乗算器20hは、乗算器20gの出力に対し、遊星ローラ速比KR2を乗算した値を出力する。乗算器20iは、舵角アシストモータ7からの入力角度θmに対し、ウォーム回転乱れおよび遊星ローラすべりの両方を含む成分(速度変化誤差)Δmを乗算した値を出力する。加算器20jは、乗算器20hと乗算器20iの出力を加算した値を出力する。加算器20kは、加算器20cと加算器20jの出力を加算した値、すなわち出力角度θoutを出力する。
【0017】
モータ規範モデル20mは、モータ入力から出力への理想モデルが記憶され、舵角アシストモータ7からの入力角度θmを入力し、理想出力角度θout*を出力する。オブザーバ(観測器)20eは、実出力角度θoutから、モデル化誤差やパラメータ変動などの外乱を取り除いた値θout'を出力する。オブザーバ(観測器)20nは、オブザーバ20eと同様に、実出力角度θoutから、モデル化誤差やパラメータ変動などの外乱を取り除いた値θout'を出力する。
【0018】
比較器20pは、理想出力角度θout*と実出力角度θout'の差を取り、舵角アシストモータ7から出力軸7までの回転誤差成分Δmを出力する。アシスト量計算+モータ出力部20qは、ハンドル2からの入力角度θhと、ハンドル2から出力軸7までの回転誤差成分ΔR1と、舵角アシストモータ7から出力軸7までの回転誤差成分Δmとを入力し、両回転誤差成分ΔR1,Δmを補償するモータ出力角度θmを出力する。
【0019】
次に、作用を説明する。
[モータ出力角度算出方法]
実施例1の舵角比可変装置1では、ハンドル2からの操舵入力を、遊星ローラ機構13の一要素(サンローラ13a)に接続し、他の要素(キャリア13d)に出力軸6を接続している。そして、残りの要素(リングローラ13c)に舵角アシストモータ7からの入力を接続することで、入力軸4からの入力角度θhと舵角比可変装置1の舵角アシストモータ7からの入力角度θmを足し合わせ、出力角度θoutを制御することができる。
θout = Kh×θh + Km×θm …(1)
但し、Kh:入力軸−出力軸間角度伝達比
Km:モータ-出力軸間角度伝達比
【0020】
このような車両用操舵装置1において、遊星ローラ機構13の各回転要素の設計伝達比を、入力軸4から出力軸6への伝達比をKR1、舵角アシストモータ7から遊星ローラ機構13までの伝達比をKW、遊星ローラ機構13のモータ入力から出力軸6への伝達比をKR2とすると、各入出力の理想的な関係は、図5に示すようになる。ここで、式(1)との関係は、下記の式(2)で表される。
Kh = KR1 , Km = KW × KR2 …(2)
ただし、ここでモータ回転角度はハンドル入力角度および複数の車両状態の情報に基づいて決定し制御することとする。
【0021】
ここで、実施例1のように、舵角アシストモータ7から遊星ローラ機構13までの減速にウォームギア機構14を用いる場合、ウォームギア機構14の噛み合いの揺らぎにより、ウォーム軸14aが一定回転をしていても、ウォームホイール14bの回転が安定しない。そのため、厳密な角度出力を行うためには、ウォームギア機構14にて発生する回転揺らぎ成分を推定する必要がある。
【0022】
また、遊星ローラ機構13は、トラクション伝達であり、伝達トルクや回転速度、潤滑状態などによって伝達面のすべり率が変化するため、状況によって見た目の減速比が変化する。
【0023】
図6に示すように、各要素のもつ速比変化分をΔで表すと、
θout = (KR1+ΔR1)×θh + (KW+ΔW)×(KR2+ΔR2)×θm
= KR1×θh + KW×KR2×θm+ΔR1×θh+(KWΔR2+KR2ΔW+ΔWΔR2)×θm
= KR1×θh + KW×KR2×θm+ΔR1×θh+Δm×θm …(3)
となる。よって、安定した舵角アシストを行うためには、回転誤差成分ΔR1,Δmを推定することが必要である。そこで、ハンドル2からの入力角度θhと舵角比可変装置1の出力角度θoutに加え、モータ回転角度θmを計測することで、式(3)の回転誤差成分を推定する手法を、図6に示す。
【0024】
すなわち、ハンドル入力から出力への理想モデル(入出力規範モデル20d)の出力θout*と、実出力角度θoutとの比較から、舵角アシストモータ7がアシストすべき角度を決定する。この際、ハンドル角度θhと出力角度θoutを計測し、出力角度θoutを目標値に追従するよう制御することで、ハンドル入力からの回転誤差成分ΔR1の影響を特に意識することなく、舵角アシストモータ7のアシスト角度θmによって回転誤差成分ΔR1を補償することができる。
【0025】
また、モータ角度θmを計測し、モータ入力から出力への理想モデル(モータ規範モデル20m)を用い比較を行うことで、舵角アシストモータ7から出力軸6までの回転誤差成分Δmを推定することができる。この誤差成分Δmを補償するよう、舵角アシストモータ7への回転指令に補償を加えることで、目標追従性を向上させることができる。
【0026】
図6および式(3)において、Δmはトラクションドライブ(遊星ローラ機構13のすべり)とウォームギア機構14の回転乱れとの両方の影響を合わせた誤差成分であり、それぞれを分けて推定する必要がないことを示している。
【0027】
また、遊星ローラ機構13の伝達比は、各ローラの径の比によって決まる。そのため、製造時に生じる直径の加工精度や、リングローラ13cの締め代によって伝達比が設計値からわずかにずれてしまう。また、ウォームギア機構14は歯面のすべりによって力を伝達しているため、歯面の精度によって伝達比が揺らいでしまうことがある。このように、個体によって製造段階で生じる誤差については、初回起動時にキャリブレーション動作を行い、その結果をコントロールユニットに記憶することで、個体特有の定常誤差を補償することができる。
【0028】
[バックラッシによる舵角制御悪化について]
減速機構としてウォームギア機構を用いた車両用操舵装置(例えば、特開2001−200666号公報)では、モータ回転数に減速比を掛けて出力角度を算出し、操向輪の転舵角を制御しているが、ウォームギア機構は歯車の噛み合い精度の要件が厳しく、ガタやフリクションを発生しやすい。そのため、ウォーム軸の位置を微調整することで歯車のバックラッシ量を調節する複リードウォームギア機構など、噛み合いを調整可能なものが多く用いられている。ところが、噛み合い調整可能な構造のウォームギア機構には、バックラッシ量の調節代が設定されているため、回転に伴いウォーム軸とウォームホイールの噛み合い状態が変化する。これにより、減速比などの回転伝達状態が変化し、舵角制御の精度悪化を招くという問題があった。
【0029】
[ローラのすべりによる舵角制御悪化について]
一方、特開平8−291848号公報に記載の車両用操舵装置では、車両用操舵装置の減速機として遊星ローラ機構を用いることで、操舵感を向上させるとともに回転時の騒音を小さくしているが、回転に伴い発生するローラ面のすべりによって、動的に減速比が変化してしまう。遊星ローラによる減速比変化量は、回転速度や潤滑状態、周辺温度など、様々な要因によって変化するため、正確な減速比が計算できないという問題点があった。
【0030】
[実施例1の舵角制御作用]
これに対し、実施例1の車両用操舵装置では、入力角度θhと出力角度θoutに加え、モータ回転角度θmを直接計測し、モータ回転角度θmとモータ規範モデル20mにより得られる理想値θout*と実出力角度θoutとの比較を行うことで、舵角アシストモータ7から出力軸6までの回転誤差成分Δmを推定する。また、入力角度θhと入出力規範モデル20dにより得られる理想値θout*と実出力角度θoutとの比較を行うことで、入力軸4から出力軸6までの回転誤差成分ΔR1を推定する。
【0031】
すなわち、入力角度θh、出力角度θoutに加え、モータ回転角度θmを検出することで、舵角比可変装置1におけるモータ回転の伝達経路上で生じる回転誤差成分Δmと、ハンドル回転の伝達経路上で生じる回転誤差成分ΔR1とを、精度良く推定できる。
【0032】
そして、2つの回転誤差成分Δm,ΔR1を打ち消すように、舵角アシストモータ7への回転指令に補償を加えることで、ウォームギア機構14のセルフロック特性によるモータ故障時の操舵機能維持、および遊星ローラ機構13のトルク伝達特性による滑らかな操舵感の実現を図りつつ、遊星ローラすべりおよびウォーム回転乱れに伴う舵角制御の精度悪化を抑制でき、舵角制御の精度を高めることができる。
【0033】
次に、実施例1の効果を説明する。
実施例1の車両用操舵装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
【0034】
(1) 舵角アシストモータ7のモータ出力角度θmを検出するモータ角度センサ11と、モータ出力角度θmに対する舵角比可変装置1の理想出力角度θout*と、舵角比可変装置1の実出力角度θoutとに基づき、舵角比可変装置1の速度変化誤差Δmを無くすように舵角アシストモータ7を補償制御するコントロールユニット8と、を備える。よって、理想出力角度θout*に対する速度変化誤差Δmを無くすように舵角アシストモータ7が補償制御されるため、モータ出力から出力軸6までの速度変化誤差Δmに伴う舵角制御の乱れを抑制でき、制御精度を高めることができる。
【0035】
(2) 舵角アシストモータ7は、モータ出力を減速して変速機(遊星ローラ機構13)へ伝達するウォームギア機構14を備え、コントロールユニット8は、モータ出力角度θmに対する舵角比可変装置1の理想出力角度θout*と、実出力角度θout'との偏差から、ウォームギア機構14の噛み合い誤差による速度変化誤差Δmを推定し、この噛み合い誤差による速度変化誤差Δmを補償する。よって、ウォームギア機構14のセルフロック特性によりモータ故障時における通常の操舵機能の維持を図りつつ、ウォームギア機構14の噛み合い精度によって回転伝達に誤差が生じる場合にも目標角度に対する出力軸角度の追従性を向上させることができる。
【0036】
(3) 変速機は、遊星ローラ機構13であり、コントロールユニット8は、入力角度θhに対する舵角比可変装置1の理想出力角度θout*と、実出力角度θout'との偏差から、遊星ローラ機構13のすべりによる速度変化誤差ΔR1を推定し、このすべりによる速度変化誤差ΔR1を補償する。よって、操舵感の向上を図りつつ、ローラのすべりに起因する出力軸6の回転遅れを補償でき、目標角度に対する出力軸角度の追従性を向上させることができる。
【0037】
(4) コントロールユニット8は、モータ出力角度θmを入力とし、モータ出力角度θmに対する舵角比可変装置1の理想出力角度θout*を出力するモータ規範モデル20mを備えるため、ウォームギア機構14による減速比誤差と遊星ローラ機構13のすべりに起因する伝達誤差を区別することなく推定できる。
【0038】
(5) コントロールユニット8は、入力角度θhを入力とし、入力角度θhに対する舵角比可変装置1の理想出力角度θout*を出力する入出力規範モデル20dを備えるため、遊星ローラ機構13のすべりによる減速比誤差をより正確に推定できる。
【0039】
(6) コントロールユニット8は、モータ規範モデル20mに入力するモータ出力角度θmを、入出力規範モデル20dの出力θout*と実出力角度θoutとの偏差ΔR1を、モータ出力角度θmに加算した値とする。よって、ウォームギア機構14による減速比誤差を、遊星ローラ機構13のすべりに起因する減速比誤差と区別して推定でき、減速比誤差Δmの推定精度を高めることができる。
【0040】
(7) コントロールユニット8は、初回起動時、モータ出力角度θmに対する舵角比可変装置1の理想出力角度θout*と、舵角比可変装置1の実出力角度θoutとの偏差を定常速度変化誤差として記憶し、舵角制御の際に補償を行う。よって、ウォームギア機構14の個体差によって製造段階で生じる定常誤差を補償でき、制御精度をより高めることができる。
【0041】
(8) コントロールユニット8は、初回起動時、入力角度θhに対する舵角比可変装置1の理想出力角度θout*と、舵角比可変装置1の実出力角度θoutとの偏差を定常速度変化誤差として記憶し、舵角制御の際に補償を行う。よって、遊星ローラ機構13の各ローラ径やリングローラ13cの締め代のばらつきによって生じる定常誤差を補償でき、制御精度をより高めることができる。
【実施例2】
【0042】
実施例2は、舵角比可変装置の変速機を、2つの遊星ローラ機構で構成した例である。
図7は、実施例2の舵角比可変装置30の構成を示す模式図である。なお、実施例1と同一の構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
実施例2の舵角比可変装置は、図3に示した実施例1の構成に対し、入力軸4と遊星ローラ機構13との間に、遊星ローラ機構31が介装されている。この遊星ローラ機構31は、遊星ローラ機構13と同一形状であり、キャリア31dが入力軸4と連結され、サンローラ31aが回転メンバ32を介して遊星ローラ機構13のサンローラ13aと連結されている。また、リングローラ13cは、ハウジング33に固定されている。
【0044】
このように、2つの遊星ローラ機構13,31を対向して配置した舵角比可変装置30を用いることで、舵角アシストモータ7の故障時、舵角比可変装置30の入出力比を1:1とすることができ、舵角比可変装置を搭載していない通常の車両用操舵装置と同一の操舵特性が得られる。
【0045】
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1,2に基づいて説明したが、具体的な構成については、各実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の車両用操舵装置を適用した車両用操舵装置の構成を示すシステムブロック図である。
【図2】実施例1の舵角比可変装置1の構成図である。
【図3】実施例1の舵角比可変装置1の模式図である。
【図4】実施例1のコントロールユニット8の舵角制御ロジックを示すブロック図である。
【図5】実施例1の舵角比可変装置1における各入出力の理想的な関係を示す説明図である。
【図6】実施例1の回転誤差成分推定方法を示す説明図である。
【図7】実施例2の舵角比可変装置1の模式図である。
【符号の説明】
【0047】
1 舵角比可変装置
2 ハンドル
3 操向輪
4 入力軸
5 転舵装置
6 出力軸
7 舵角アシストモータ
8 コントロールユニット
9 ハンドル角度センサ
10 出力角度センサ
11 モータ角度センサ
12 車速センサ
13 遊星ローラ機構
14 ウォームギア機構
20d 入出力規範モデル
20m モータ規範モデル




 

 


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