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発明の名称 車軸式懸架装置およびそのロールエネルギー吸収方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15584(P2007−15584A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200092(P2005−200092)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
発明者 福島 達也
要約 課題
車輪に作用する横力がロールモーメントに大きく影響する車軸を、横力の入力により積極的に変形させて衝突エネルギーを吸収することにより、車両のロールを防止若しくは抑制できる車軸式懸架装置の提供を図る。

解決手段
アクスルハウジング2の内部に挿通したアクスルシャフト5によってホイールハブ3を回転するようにしてあって、アクスルハウジング2のホイールハブ3近傍には、車輪4の側面に過大な横力Fが作用した際に変形する易変形部10を形成する一方、アクスルシャフト5には、易変形部10の形成位置に対応した部位に屈曲許容部11を設けることにより、車両が走行中に車輪4の側面が路上の突起物に衝突した場合に易変形部10が変形して、車両の運動エネルギーの一部を吸収して車両がロールするのを防止、若しくはロール時の回転角速度を小さくして乗員への影響を低減する。
特許請求の範囲
【請求項1】
車幅方向に延在する車軸を備え、該車軸の両端部に回転自在に設けた車輪取付部に車輪を取り付けた車軸式懸架装置において、
前記車軸の車輪取付部近傍に、車輪の側面に過大な横力が作用した際に変形する易変形部を形成したことを特徴とする車軸式懸架装置。
【請求項2】
車幅方向に延在して内部に駆動軸を挿通する中空の車軸を備え、その中空の車軸の両端部に回転自在に設けた車輪取付部に車輪を取り付けるとともに、前記駆動軸で前記車輪取付部を回転する車軸式懸架装置において、
前記車軸の車輪取付部近傍に、車輪の側面に過大な横力が作用した際に変形する易変形部を形成するとともに、前記駆動軸の前記易変形部形成位置に対応した部位に屈曲許容部を設けたことを特徴とする車軸式懸架装置。
【請求項3】
車軸と車輪取付部との間に、キングピンを介して車軸に前後回動可能に取り付けられて車輪を転舵するナックルフランジを備え、前記易変形部を車軸のナックルフランジよりも車幅方向内側に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の車軸式懸架装置。
【請求項4】
易変形部は、前記横力が車輪の下側部に作用することにより車輪の下部が上部よりも車幅方向内方に変位するように変形することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車軸式懸架装置。
【請求項5】
屈曲許容部は、多自由度ジョイントであることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の車軸式懸架装置。
【請求項6】
屈曲許容部は、材料の塑性変形を利用した塑性変形部であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の車軸式懸架装置。
【請求項7】
塑性変形部は、その軸方向両側に大径部分を形成したことを特徴とする請求項6に記載の車軸式懸架装置。
【請求項8】
易変形部は、少なくとも上下方向に対向する2面を有する中空断面に形成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の車軸式懸架装置。
【請求項9】
易変形部は、その略上半分に、車軸の中心軸を中心とした周方向に延びる複数のビードを形成したことを特徴とする請求項8に記載の車軸式懸架装置。
【請求項10】
易変形部は、その略下半分に、車軸の長さ方向に延びる複数のビードを形成したことを特徴とする請求項8または9に記載の車軸式懸架装置。
【請求項11】
易変形部は、前後方向の変形を阻止して積極的に上下方向に変形させる矯正手段を設けたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の車軸式懸架装置。
【請求項12】
車幅方向に延在する車軸を備え、該車軸の両端部に回転自在に設けた車輪取付部に車輪を取り付けた車軸式懸架装置において、
車輪の側面に過大な横力が作用した際に、車軸の車輪取付部近傍を積極的に変形させることを特徴とする車軸式懸架装置のロールエネルギー吸収方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車軸式懸架装置およびその車軸式懸架装置の車輪に横力が作用した際のロールエネルギー吸収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両は、衝突した際の入力エネルギーを吸収できるように車体構造やサスペンションなどに工夫が凝らされる。
【0003】
例えば、車体前部の骨格構造を成すフロントサイドメンバの下側に、フロントサスペンションを取り付けるサブフレームを連結した車両にあって、そのサブフレームのサスペンション取付部分にノッチ(易変形部)を形成して、前方から衝突荷重が入力した場合にサブフレームが前記ノッチ部分から変形することにより衝突エネルギーを吸収できるようにし、また、このサブフレームの変形によりサスペンションに取り付けた車輪を後方に外転させてサイドシル前端部に干渉させて、この干渉によって衝突荷重を効率良くサイドシルに分散させてキャビン変形をも抑制できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−9893号公報(第4頁、第10,11図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の車両の衝突対策の多くは、前述したように前方から衝突荷重が入力される前面衝突に対してのものであるが、車両がコーナリング時などで横滑りして車輪の側面が縁石などの突起物に衝突すると、その車輪には突起物からの反力により横力が作用することになり、その横力により車両の重心に発生するロールモーメントが増大される。
【0005】
このように車輪に入力される横力が車体のロールモーメントに大きく影響するのは、特に車軸式の懸架装置を備えた車両にその傾向が大きくなる。
【0006】
ところが、このように車輪に作用する横力に対しては、前述した前面衝突時の衝突対策では対処することはできない。
【0007】
そこで、本発明は車輪に作用する横力がロールモーメントに大きく影響する車軸を、横力の入力により積極的に変形させて衝突エネルギーを吸収することにより、車両に作用するロールモーメントの増大を抑制できる車軸式懸架装置およびそのロールエネルギー吸収方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車軸式懸架装置は、車幅方向に延在する車軸を備え、該車軸の両端部に回転自在に設けた車輪取付部に車輪を取り付けてあり、その車軸の車輪取付部近傍に、車輪の側面に過大な横力が作用した際に変形する易変形部を形成したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両が走行中に車輪の側面が路上の突起物に衝突して車輪に過大な横力が作用すると、車軸に形成した易変形部が変形するため、その易変形部が変形する際に車両の運動エネルギーの一部を吸収して、車体のロールモーメントに影響するのを抑制することができ、ひいては、車両のロール時の回転角速度を小さく抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0011】
図1〜図6は本発明にかかる車軸式懸架装置の第1実施形態を示し、図1は車軸式懸架装置の左側半分を示す正面図、図2は車軸式懸架装置の車軸端部を示す断面図であり、図3は横力により易変形部が変形した状態を示す車軸式懸架装置の左側半分の正面図、図4は横力により易変形部が変形した状態を示す車軸端部の断面図である。
【0012】
また、図5は車輪の側面が路面の突起物に衝突した状態を概略的に示す正面図であり、図6は横力により易変形部が変形した状態を概略的に示す正面図である。
【0013】
本実施形態の車軸式懸架装置1は、図1に示すように車幅方向(図中左右方向)に延在する車軸2を備え、その車軸2の両端部に回転自在に設けた車輪取付部としてのホイールハブ3に車輪4を取り付ける構成となっており車軸2のホイールハブ3近傍に、車輪4の側面に過大な横力Fが作用した際に変形する易変形部10を形成してある。
【0014】
特に、本実施形態の前記車軸式懸架装置1は後輪側の懸架装置であって、前記車輪4が駆動輪となっており、図2に示すように前記車軸2が中空に形成されてアクスルハウジングを構成し、該アクスルハウジング2の内部に駆動軸としてのアクスルシャフト5を挿通して、そのアクスルシャフト5によって前記ホイールハブ3を回転するようにしている。そして、このアクスルシャフト5には、前記易変形部10の形成位置に対応した部位に屈曲許容部11を設けてある。
【0015】
前記アクスルハウジング2の車幅方向中央部には、図1に示すように減速ギア,差動ギアからなる終減速装置を収納するギアハウジング2Hが設けられ、その終減速装置で動力を左右の前記アクスルシャフト5に分配するとともに、前記アクスルハウジング2の両端部はリーフスプリング6およびショックアブソーバ7によって車体フレームに支持される。
【0016】
前記車輪4は、一般に知られるようにタイヤ4Tと、このタイヤTを保持するリム4Rおよび前記ホイールハブ3に取り付けるディスク4Dからなるホイール4Wと、によって構成される。
【0017】
前記屈曲許容部11は、図2に示すように多自由度ジョイントとしての球面ジョイント12によって構成してある。
【0018】
従って、アクスルシャフト5は、前記球面ジョイント12によって屈曲を可能としつつ動力(トルク)伝達が可能となっている。尚、屈曲許容部11は、球面ジョイント11に代えてユニバーサルジョイントを用いることもできる。
【0019】
また、前記アクスルハウジング2の両端部は、前記球面ジョイント12の配置部分で半球状に膨出しており、その膨出部2Sの先端に設けた環状部外周にベアリング8を介して前記ホイールハブ3が回転自在に取り付くとともに、該ホイールハブ3の内面に前記アクスルシャフト5の先端フランジ5Fが結合される。
【0020】
そして、前記易変形部10は、前記膨出部2Sの最大径部分に所定幅Wをもって全周に形成され、図3,図4に示すように車輪4の下側部に前記横力Fが作用すると、車輪4の下部が上部よりも車幅方向内方に変位するように変形される。
【0021】
前記易変形部10は、強度や剛性が低くなる構造として提供することができ、例えば、その部分の肉厚を薄くしたり、また、塑性に富む軟質部材で形成することができ、易変形部10が変形することにより前記横力Fのエネルギーを吸収するようになっている。
【0022】
そこで、本実施形態の車軸式懸架装置1のロールエネルギー吸収方法では、車輪4の側面に過大な横力Fが作用した際に、アクスルハウジング2のホイールハブ3近傍を積極的に変形させるようにしている。
【0023】
以上の構成により本実施形態の車軸式懸架装置1およびそのロールエネルギー吸収方法によれば、図5、図6に示すように車両Bが横方向の滑り速度を持った状態で車輪4の側面が路面Gの突起物Pと干渉すると、車両Bが持つ運動エネルギーによって突起部Pから反力を受けて車輪4の側方下部に横力Fが作用する。
【0024】
すると、車軸式懸架装置1は、ホイールハブ3とアクスルハウジング2の結合部付近には、車輪4の下部に作用する横力Fと、概ね車輪4の下部から車輪4の中心との間の距離rで決まる曲げモーメントMwが発生し、その曲げモーメントMwによって図3,図4に示すようにアクスルハウジング2に設けた易変形部10が曲げ変形される。
【0025】
また、前記曲げモーメントMwはアクスルハウジング2内のアクスルシャフト5にも作用するが、このアクスルシャフト5には前記易変形部10の形成位置に対応した部位に球面ジョイント12を設けてあるので、アクスルシャフト5は前記易変形部10の変形に追従して前記球面ジョイント12から容易に屈曲する。
【0026】
従って、前記易変形部10が大きく曲げ変形することに伴って、前記突起部Pに車輪4が干渉する前の車両Bの運動エネルギーの一部が吸収されて、車両Bをロール(ロールオーバー)しにくくするとともに、ロールした場合にもロール方向の回転角速度を小さく抑制して乗員への影響を低減することができる。
【0027】
また、図6に示すように前記易変形部10は、前記横力Fにより車輪4の下部が上部よりも車幅方向内方に変位、つまり車輪4をポジティブキャンバ方向に変位させるように変形することにより、前記突起部Pから受ける横力Fによって車体Mがロール方向に大きく傾斜する前に車輪4に大きなポジティブキャンバ角θが付くため、車輪4のディスク4D面に垂直に働く横力Fは車幅方向内方に向かって斜め上方に作用する。
【0028】
このとき、車両Bのロールを増長させる力は、図5に示すように前記横力Fにより車両重心Cに発生するロールモーメントMrであるが、本実施形態では前記横力Fが斜め上方に作用するため、図6に示すようにその横力Fによって発生するロールモーメントMr′のモーメントアームの長さR′は、図5に示した横力Fが車幅方向に作用する場合に発生するロールモーメントMrのモーメントアームの長さRに比べて短くなる(R′<R)。
【0029】
従って、車輪4がポジティブキャンバとなることにより車両BのロールモーメントMr′を小さくできるため、車両Bのロールをより効果的に抑えるとともに、ロールした場合のロール方向の回転角速度を更に小さくすることができる。
【0030】
ところで、図6に示すように前記横力Fが突起物Pとの間で発生する際に、車輪4のディスク4Dと突起部Pとの間に摩擦力fが発生して、その摩擦力fが車両重心Cまわりのロール方向のモーメントMr′を増加させる方向に働こうとするが、このとき前記ディスク4Dは金属であり、一方、前記突起部Pはコンクリートまたは金属であるため、それら両者間の摩擦係数は十分に小さい値、例えば、金属どうしの摩擦係数は0.3程度と小さくなる。
【0031】
このため、前記摩擦力fはディスク4D面に垂直に作用する力に摩擦係数を乗じた値であり、その値は小さくなるため前記ロールモーメントMr′に大きく影響することはない。
【0032】
また、本実施形態ではアクスルシャフト5に設けた屈曲許容部11を、球面ジョイント12によって構成したので、易変形部10の変形に伴うアクスルシャフト5の屈曲を抵抗無く円滑に行って、アクスルシャフト5を破断することなく安定して屈曲させることができる。
【0033】
図7,図8は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図7は車軸式懸架装置の車軸端部を示す断面図、図8は横力により易変形部が変形した状態を示す車軸端部の断面図である。
【0034】
本実施形態の車軸式懸架装置1Aは、図7に示すように操向機能を備えた前輪側の懸架装置であって、かつ、車輪4が駆動輪となっており、第1実施形態と同様に中空に形成されたアクスルハウジング2内にアクスルシャフト5を挿通してあり、該アクスルシャフト5に設ける屈曲許容部11を球面ジョイント12によって構成してある。
【0035】
そして、本実施形態ではアクスルハウジング2とホイールハブ3との間に、キングピン9Kを介してアクスルハウジング2に前後回動可能に取り付けられて車輪4を転舵するナックルフランジ9を備えており、易変形部10をアクスルハウジング2のナックルフランジ9よりも車幅方向内側に形成している。
【0036】
即ち、前記アクスルハウジング2の両端部には、第1実施形態と同様に膨出部2Sが形成されており、この膨出部2Sの先端部の上下対向部分に配置した一対のキングピン9Kを介して前記ナックルフランジ9が回動可能に取り付けられている。このナックルフランジ9の先端に設けた環状部外周にはベアリング8を介してホイールハブ3が回転自在に取り付いており、そして、前記易変形部10を前記膨出部2Sに形成してある。
【0037】
従って、本実施形態の操向機能を備えた車軸式懸架装置1Aによれば、第1実施形態の車軸式懸架装置1に対してキングピン9Kを介してナックルフランジ9を設けて車輪4を転舵できるようになっているが、基本的に第1実施形態と同様にアクスルハウジング2に易変形部10を形成し、かつ、アクスルシャフト5に球面ジョイント11を設けたことにより第1実施形態と同様の機能を奏する。
【0038】
つまり、車両Bが横方向の滑り速を持った状態で車輪4の側面が路面Gの突起物Pと干渉した場合に、図8に示すように車輪4の側方下部に作用した横力Fによってホイールハブ3とアクスルハウジング2の結合部付近に曲げモーメントMwが発生し、この曲げモーメントMwによって易変形部10が曲げ変形して車両Bの運動エネルギーの一部を吸収し、車両Bをロール(ロールオーバー)しにくくするとともに、ロールした場合にもロール方向の回転角速度を小さくして乗員への影響を低減することができる。
【0039】
また、前記易変形部10は、車輪4をポジティブキャンバ方向に変位させるように変形することにより、車両BのロールモーメントMr′を小さくして車両Bの横転をより効果的に抑えるとともに、ロールした場合のロール方向の回転角速度を更に小さくすることができる。
【0040】
図9,図10は本発明の第3実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図9は車軸式懸架装置の車軸端部を示す断面図、図10は横力により易変形部が変形した状態を示す車軸端部の断面図である。
【0041】
本実施形態の車軸式懸架装置1Bは、図9に示すように第1実施形態と同様に後輪側の懸架装置であって、かつ、車輪4が駆動輪となっており、中空に形成されたアクスルハウジング2内にアクスルシャフト5を挿通してあり、このアクスルハウジング2の両端部に設けた膨出部2Sに易変形部10を形成してある。
【0042】
ここで、本実施形態ではアクスルシャフト5に設ける屈曲許容部11を、材料の塑性変形を利用した塑性変形部13によって形成してある。
【0043】
そして、前記塑性変形部13の軸方向両側には、大径部分13a,13bを形成してある。
【0044】
前記大径部分13a,13bは、車幅方向内方に形成される大径部分13aを鍔状に形成する一方、車幅方向外方に形成される大径部分13bはホイールハブ3に結合する先端フランジ5Fに至るまで連続して同一径で形成してある。
【0045】
このとき、前記塑性変形部13は、前記鍔状の大径部分13aよりも車幅方向内方に配置されるアクスルシャフト5の一般部分5Nと同等以上として、その一般部分5Nよりも小径とならないようにしてある。
【0046】
従って、本実施形態の車軸式懸架装置1Bによれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのであるが、特に本実施形態では屈曲許容部11を塑性変形部13によって形成したので、ホイールハブ3とアクスルハウジング2の結合部付近に曲げモーメントMwが発生すると、塑性変形部13の両側の大径部分13a,13bとの間に応力が集中し、図10に示すようにその応力集中部分で塑性変形部13が屈曲して、易変形部10の曲げ変形が許容される。
【0047】
このとき、アクスルシャフト5は駆動力を車輪4に伝達しているため、塑性変形部13に十分な捻れ剛性を確保する必要があり、大径部分13a,13bを設けてそれらの間に応力集中を発生させた場合にも、少なくとも塑性変形部分13にはアクスルシャフト5の捻れ剛性を低下させない材質が選択される。
【0048】
また、屈曲許容部11を塑性変形部13とすることにより、車両の運動エネルギーを前記易変形部10のみに限らず前記塑性変形部13によっても吸収することができ、車両Bのロールの阻止効果をより高めることができる。
【0049】
図11は本発明の第4実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図11は易変形部の斜視図である。
【0050】
本実施形態の易変形部10Aは、図11に示すように少なくとも上下方向に対向する2面10U,10Lを有する中空断面に形成してある。
【0051】
即ち、本実施形態では前記易変形部10Aを断面矩形状に形成して、1組の前記対向面10U,10Lを上下方向に配置してある。
【0052】
勿論、前記易変形部10Aはアクスルハウジング2の端部に形成した膨出部2S(図1参照)に形成されるが、その膨出部2Sは前記矩形状の易変形部10に滑らかに連続するように断面円形状から断面矩形状へと徐々に変化させることになる。
【0053】
また、本実施形態では前記易変形部10の4面、つまり上面10U,下面10Lおよび前後両側面10F,10Rをアクスルハウジング2の軸方向に凹凸断面となる波形に形成してある。
【0054】
従って、本実施形態によれば易変形部10Aの2面10U,10Lを上下方向に対向配置したので、その易変形部10Aに曲げモーメントMwが入力した場合、上面10Uに引っ張り力が作用するとともに、下面10Lに圧縮力が作用するが、上,下面10U,10Lが大きな抵抗力を発揮するため、易変形部10Aの軸方向両端部が大きく変形するのを防止できる。
【0055】
そのため、易変形部10Aの中立軸C1に対して易変形部10Aの断面形状を上下方向に延ばした形状とすることで、易変形部10Aの反力、つまりエネルギー吸収量を増大することができる。
【0056】
従って、易変形部10Aの上,下面10U,10Lを水平面にして前記中立軸C1からより遠ざけることにより、易変形部10Aのエネルギー吸収量を大きくすることができ、ひいては車両BのロールモーメントMr′(図6参照)を小さくすることができる。
【0057】
図12は前記第4実施形態の第1変形例を示す易変形部の斜視図で、第4実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0058】
この第1変形例の易変形部10Bは、その略上半分に、アクスルハウジング2の中心軸、つまり前記中立軸C1を中心とした周方向に延びる複数のビード20を形成してある。
【0059】
即ち、本実施形態では第4実施形態と同様に易変形部10Bを断面矩形状に形成してあり、その上面10Uの全面と前後両側面10F,10Rの上半分とに亘って前記ビード20を形成してある。
【0060】
従って、この第1変形例では、易変形部10Bに曲げモーメントMwが入力すると、引張り力が作用する易変形部10Bの略上半分に形成したビード20が展開して、易変形部10Bの上部を引き延ばすことができる。
【0061】
このように易変形部10Bの上部が引き延ばされると、曲げモーメントMwが作用するときの易変形部10Bの曲げ角を大きくできるので、その曲げ変形によるエネルギー吸収量を大きくすることができる。
【0062】
また、曲げモーメントMwによって易変形部10Bの下部には圧縮力が作用するが、その下部にはビードを設けていないことにより曲げモーメントMwに対する抵抗力を高め、ひいてはエネルギー吸収量を増加することができる。
【0063】
図13は前記第4実施形態の第2変形例を示す易変形部の斜視図で、第4実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0064】
この第2変形例の易変形部10Cは、第4実施形態と同様に易変形部10Cを断面矩形状に形成してあり、その上面10Uの全面と前後両側面10F,10Rの上半分とに亘って複数のビード20を形成してある。
【0065】
そして、前記易変形部10Cの略下半分、詳細には下面10Lに、アクスルハウジング2の長さ方向、つまり前記中立軸C1方向に延びるビード21を形成してある。
【0066】
従って、この第2変形例では、易変形部10Cに曲げモーメントMwが入力すると、前記第1変形例と同様に引張り力が作用する易変形部10Cの略上半分に形成したビード20が展開して、易変形部10Cの上部を引き延ばすことができるため、エネルギー吸収量を大きくすることができる。
【0067】
また、曲げモーメントMwによって易変形部10Cの下部には圧縮力が作用するが、下面10Lに中立軸C1方向に延びるビード21を形成してあるので、曲げモーメントMwに対する抵抗力を更に高め、ひいてはエネルギー吸収量を更に増加することができる。
【0068】
図14は本発明の第5実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図14は易変形部の斜視図である。
【0069】
本実施形態の易変形部10Dは、図14に示すように断面円形状の筒状に形成され、その外周に中間軸C1方向に沿った断面を凹凸状に形成してある。
【0070】
そして、前記易変形部10Dの両端部間に、前後方向の変形を阻止して積極的に上下方向に変形させる矯正手段22を設けてある。
【0071】
前記矯正手段22は、易変形部10Dの前側の両端部から1組の矯正アーム22a,22bを互いに近接する方向に突設して、それら矯正アーム22a,22bの先端部を互いに重ね合わせて回動自在にピン23結合することにより構成される。
【0072】
従って、本実施形態によれば易変形部10Dは、曲げモーメントMwが入力された際に、易変形部10Dの上下方向(キャンバ角方向)の曲げ変形に対しては、ピン23を中心として前記矯正アーム22a,22bが自由に回動するため、易変形部10Dは上下方向の曲げ変形が許容される。
【0073】
一方、易変形部10Dの前後方向(トー角方向)の曲げ変形に対しては、前記矯正アーム22a,22bのピン23結合された先端重ね合わせ部で規制されるため、易変形部10Dの前後方向の曲げが阻止される。
【0074】
従って、易変形部10Dに曲げモーメントMwが入力された際に、その易変形部10Dの曲げ方向を上下方向に矯正し、車輪4をポジティブキャンバ方向に安定して変形させることができる。
【0075】
尚、前記1組の矯正アーム22a,22bは、易変形部10Dの前側に設けたが、後側に設けてもよく、また、前後両側にそれぞれ設けることもできる。
【0076】
ところで、本発明は前記第1〜第5実施形態および第1・第2変形例に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができ、例えば、アクスルシャフト5を設けた駆動輪側の車軸式懸架装置に限ることなく、アクスルシャフトを持たない遊動輪側の車軸式懸架装置にあっても本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1実施形態における車軸式懸架装置の左側半分を示す正面図。
【図2】本発明の第1実施形態における車軸式懸架装置の車軸端部を示す断面図。
【図3】本発明の第1実施形態における横力により易変形部が変形した状態を示す車軸式懸架装置の左側半分の正面図。
【図4】本発明の第1実施形態における横力により易変形部が変形した状態を示す車軸端部の断面図。
【図5】本発明の第1実施形態における車輪の側面が路面の突起物に衝突した状態を概略的に示す正面図。
【図6】本発明の第1実施形態における横力により易変形部が変形した状態を概略的に示す正面図。
【図7】本発明の第2実施形態における車軸式懸架装置の車軸端部を示す断面図。
【図8】本発明の第2実施形態における横力により易変形部が変形した状態を示す車軸端部の断面図。
【図9】本発明の第3実施形態における車軸式懸架装置の車軸端部を示す断面図。
【図10】本発明の第3実施形態における横力により易変形部が変形した状態を示す車軸端部の断面図。
【図11】本発明の第4実施形態における易変形部の斜視図。
【図12】本発明の第4実施形態の第1変形例を示す易変形部の斜視図。
【図13】本発明の第4実施形態の第2変形例を示す易変形部の斜視図。
【図14】本発明の第5実施形態における易変形部の斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
1,1A,1B 車軸式懸架装置
2 アクスルハウジング(車軸)
3 ホイールハブ(車輪取付部)
4 車輪
5 アクスルシャフト(駆動軸)
9 ナックルフランジ
9K キングピン
10,10A,10B,10C,10D 易変形部
11 屈曲許容部
12 球面ジョイント
13 塑性変形部
13a,13b 大径部分
20,21 ビード
22 矯正手段
F 横力
Mw 曲げモーメント





 

 


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