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発明の名称 運転姿勢調節装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1499(P2007−1499A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−186001(P2005−186001)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】100119644
【弁理士】
【氏名又は名称】綾田 正道
発明者 佐藤 晴彦 / 西岡 慎一
要約 課題
運転に対する熟練の度合いにかかわらず、精度良くアイポイントを一定化できる運転姿勢調節装置を提供する。

解決手段
運転者の体格に応じた基準アイポイントを設定し、運転者のアイポイントが基準アイポイントと一致するように運転姿勢を調節する姿勢調節手段21を備えた運転姿勢調節装置において、運転者の初心者度を推定する初心者度推定手段を備え、姿勢調節手段21は、推定された運転者の初心者度に基づいて、基準アイポイントを補正する。
特許請求の範囲
【請求項1】
運転者の体格に応じた基準アイポイントを設定し、運転者のアイポイントが基準アイポイントと一致するように運転姿勢を調節する姿勢制御手段を備えた運転姿勢調節装置において、
運転者の初心者度を推定する初心者度推定手段を備え、
前記姿勢制御手段は、推定された運転者の初心者度に基づいて、前記基準アイポイントを補正することを特徴とする運転姿勢調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転姿勢調節装置において、
前記姿勢制御手段は、前記初心者度が大きいほど、シート位置をより後方に移動する補正を行うことを特徴とする運転姿勢調節装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の運転姿勢調節装置において、
前記初心者度検出手段は、運転者のステアリング操作のふらつき量、ステアリング操作時に運転者が発揮している余分な力の量、運転暦または運転頻度の少なくとも一つに基づいて、前記初心者度を推定することを特徴とする運転姿勢調節装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の運転姿勢調節装置において、
前記姿勢制御手段は、基準アイポイントを、運転者がフード先端を見える位置に設定することを特徴とする運転姿勢調節装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の運転姿勢調節装置において、
前記姿勢制御手段は、前記初心者度が大きいほど、ステアリング操作面の中心位置を後方に移動する補正を行うことを特徴とする運転姿勢調節装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の運転姿勢調節装置において、
前記姿勢制御手段は、チルトステアリング位置に応じて、ステアリング操作面の中心位置を変化させる補正を行うことを特徴とする運転姿勢調節装置。
【請求項7】
運転者のアイポイントが体格に応じた基準アイポイントとなるように運転姿勢を調節する運転姿勢調節装置において、
推定した運転者の初心者度に基づいて、前記基準アイポイントを補正することを特徴とする運転姿勢調節装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者のアイポイントを調節する運転姿勢調節装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来の運転姿勢調節装置としては、ペダルの位置を前後方向に可動とし、体格が小さいほどシートを前上方向に動かし、かつペダルを後方に移動させることにより、体格差にかかわらず、運転者の目の位置(アイポイント)を、常に適正な前後および上下位置とする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−69784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術にあっては、走行時におけるシートとの接触状態は、運転に対する熟練の度合いで運転者毎に異なり、例えば、初心者は熟練者と比較して前傾姿勢、体幹を垂直に保持しようとする傾向にあるため、体格のみに基づいてアイポイントを設定すると、適正なアイポイントからずれが生じるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来技術が抱える問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、運転に対する熟練の度合いにかかわらず、精度良くアイポイントを一定化できる運転姿勢調節装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明では、
運転者の体格に応じた基準アイポイントを設定し、運転者のアイポイントが基準アイポイントと一致するように運転姿勢を調節する姿勢制御手段を備えた運転姿勢調節装置において、
運転者の初心者度を推定する初心者度推定手段を備え、
前記姿勢制御手段は、推定された運転者の初心者度に基づいて、前記基準アイポイントを補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にあっては、初心者度に応じて基準アイポイントを補正するため、運転に対する熟練の度合いにかかわらず、精度良くアイポイントを一定化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の運転姿勢調節装置の構成を示す図、図2は実施例1の運転姿勢調節装置の構成を示す平面図である。
【0009】
アクセルペダル1とブレーキペダル2は、車体フロア24に対し車両前後方向(以下、前後方向と略記する。)に相対移動可能な可動フロア3に固定されており、ブレーキペダル2はフレキシブルなケーブルであるブレーキ伝達手段4でブースタ5、マスタシリンダ6と繋がっている。アクセルペダル1は電子スロットルであり、図外のエンジンとは機械的に繋がっていない。
【0010】
可動フロア3はシートクッション7a下に設置した可動フロアスライドレール8上に係合しており、可動フロアスライドレール8のスライド方向(勾配を持った前後方向)に動くことができる。そのため、可動フロア3に固定されているペダル1,2の位置(以下、ペダル位置の代表値として運転者の踵の位置を想定したヒールポイントを用いる)は、可動フロアスライドレール8と同じ勾配を持った前後方向に動くことになる。これを動かす手段はモータである可動フロア駆動手段9とする。
【0011】
図2に示すように、ステアリングホイール10と転舵ロッド11はフレキシブルなケーブルであるステアリング伝達手段12で繋がっており、ステアリング位置は自由に動かすことができる。ステアリングは図中のステアリングポスト13で片持ち的に支持されており、ステアリングポスト13はシート横下のステアリングポスト支点13aを中心に、前後方向に回転して、ステアリングの位置調節を行うことができる。位置調節の方向、範囲は図1中のステアリング位置移動範囲とする。位置調節はステアリングポスト支点13aに同軸に設置したモータであるステアリング位置駆動手段14で行う。また、ステアリングポスト13上にステア前後荷重検出手段15を設けており、ステアリングを持った運転者が、前後方向にどれ位、力を掛けているかを検出することができる。
【0012】
実施例1では、シートクッション7aの高さを調節する機構を設けている。図1に示すように、シートクッション7aの下にXリンク16を設けており、Xリンク後部支点16aはXリンク後部支点スライドレール17上を動くことができる。Xリンク後部支点16aには同軸上のモータであるシート高さ駆動手段18を設けており、これを駆動することでXリンク後部支点16aはXリンク後部支点スライドレール17上をスライドし、Xリンク16の角度が変わって、シートクッション7aは斜め上下方向に移動することになる。この上下移動時の斜め度合いは、体格が異なる運転者のアイポイントが一定になるよう、体格違いによる体の厚みを補正するように決定しているものとする。
【0013】
運転者のヒップポイント近傍の点(ここでは、シートクッションとシートバックの付け根)をシート基準点とすると、この高さ調節機構により、シート基準点は図1のシート基準点上昇移動範囲の範囲、方向に移動する。なお、可動フロアスライドレール8はシートクッション7aと結合しているため、シート基準点が上下に動くと、可動フロア3も同時に上下に動くことになる。
【0014】
さらに、実施例1では、シート7を上昇調節するXリンク機構の上に、シート7を前後に位置移動するための機構を持っている。シート7は、図1中のシート前後スライドレール19上を動き、この動きの調節はシート側に設置しているモータであるシート前後駆動手段20にて行う。この前後位置移動は、後述するように運転者の属性に合わせて、アイポイントの前後位置を補正するものであり、一般的なシートの前後スライドの移動範囲に比べて、実施例1の移動範囲は1/3程度と極めて小さい量である。
【0015】
ヒールポイント、ステアリング位置、シート基準点の位置調節は、それぞれ可動フロア駆動手段9、ステアリング位置駆動手段14、シート高さ駆動手段18、シート前後駆動手段20を介して姿勢調節手段(姿勢制御手段)21で行う。姿勢調節手段21は、個人情報記憶手段22により得られる運転者の個人情報、キー位置検出手段23により得られる車両の始動状態、および車速、操舵角、ブレーキ量等の運転者の操作状態、走行距離の読み込みによる走行頻度情報に基づいて、運転者の最適姿勢と最適なアイポイント(基準アイポイント)を予測する。そして、予測した運転者の最適姿勢、最適なアイポイントが得られるような各駆動手段9,14,18,20の目標値を算出し、各駆動手段9,14,18,20に対し駆動命令を行う。
【0016】
ここで、個人情報記憶手段22は、例えば運転者の個人情報が保存されているキーであり、個人情報は運転者の身長、座高、運転暦を含む。
【0017】
また、姿勢調節手段21は、運転者の操作におけるふらつき量、操作において発揮している余分な力の量、運転暦および運転頻度の4つの面から後述する初心者度を求め、初心者度に応じて基準アイポイントの前後位置を補正する。
【0018】
次に、作用を説明する。
[運転姿勢調節ロジック]
以下、実施例1の運転姿勢調節方法を説明する。
図3に、体格が大きな運転者と体格が小さな運転者の運転姿勢を示す。ここでは、アイポイントがどの体格でも一定であり、かつ体の角度がどの体格でも一定となるように調節している。ステアリング位置は体格最小の場合は位置P1であり、体格最大の場合はP2となる。図5に体格(ここでは体格の代表値として身長を用いている)とステアリング位置(代表値としてステアリングポストの角度)の関係を示す。身長が1,450mmから1,900mmの間では、ステアリング位置は身長に比例するように制御する。
【0019】
次に、シートの高さ方向の調節方法を説明する。図3に示すように、体格の大小にかかわらず、ヒップポイントはアイポイントのほぼ真下にくる。しかしながら、体格が異なるとヒップポイントからシートまでの距離、つまり体の厚さが異なるため、アイポイントを一定にするには、上下垂直方向に動かすのでは無く、その体の厚さを補正するよう、シートクッション7aを上に動く場合は若干前に動かさなくてはならない。
【0020】
図3を用いて説明すると、シート基準点位置がS2からS1に動く軌道である。この軌道にするため、前述のように、シート高さを調節するXリンク16は、Xリンク前部支点16bの位置を固定し、Xリンク後部支点16aの位置を動かす構造としている。図6に、座高とシート基準点位置の関係を示す。体格情報として、ここでは身長ではなく、座高を用いている。ヒップポイントとアイポイントとの距離は、身長よりも座高の方がより相関が高いと考えられるためである。座高が750mmから1,000mmの間では、シート基準点位置は身長に負の方向に比例するよう制御する。身長が小さい場合は上方へ、小さい場合は下方へ動かす。
【0021】
次に、可動フロア3の調節方法を説明する。前述のように、可動フロア3はシート基準点が上下に動くと、可動フロア3も同時に上下に動く構造になっているため、図4で、シート基準点に対する前後の動きを説明する。体格が小さい場合、大きい場合で同じ下肢姿勢を取った場合のヒールポイント(それぞれH1、H2)は、図4に示すように、シート基準点とヒールポイントを結んだ線上に置くことができる。そのため可動フロアスライドレール8の角度はこの線の角度と同一角度としている。そして、体格が小さい場合はこの線上でヒールポイント位置を後ろに、体格が大きい場合はこの線上で前に動かす。図7に、身長とヒールポイント位置の関係を示す。身長が1,450mmから1,900mmの間では、ヒールポイント位置は身長に比例して制御を行う。
【0022】
[初心者度に応じたアイポイント補正ロジック]
以上述べた考え方は、身長・座高で表す体格により、アイポイントが一定位置になるように制御している。しかしながら、シートバック7bの角度が同じ場合で、体格が同じであっても、アイポイントは人により大きく異なる。これは、シートバック7bに対する体幹上部の浮かせ方が異なるためで、アイポイントの高さはほとんど変化しないが、前後位置は大きくばらつく。実施例1では、前述のシート前後駆動手段20を用いて、このアイポイントの前後位置をあるロジックに基づき補正し、アイポイント前後位置のばらつきを低減させる。
【0023】
運転者によりアイポイント前後位置のばらつきが発生する主要な要因として、運転者の運転に対する熟練の度合いが考えられる。図8に示すように、アイポイントを前方にずらして運転姿勢を取る運転者は、初心者ほど多い。この原因として、少しでも前を見たいという前方視界の要因、体を縮ませて全身のスティフネスを上げて安心感を得たい等の要因が考えられる。また、アイポイントを前方にずらす量は、運転経験が少なく、運転技量が未熟な初心者ほど大きいと考えられる。
【0024】
そこで、実施例1では、運転者の初心者の程度(以下、初心者度とし、初心者度が大きいほど運転に対する熟練度合いが低い初心者とする。)を予測し、この程度が大きいほどシート基準点に対するアイポイントは前方になることを考慮し、シート前後駆動手段20を用いて、逆にシート7を後方へ移動させる調整を行う。これにより、アイポイントの前後ばらつきを大幅に低減できる。
【0025】
図9に示すように、初心者度Bが大きくなるほどシート基準点前後位置F'の目標値を車両後方にする特性とする。ただし、この図の特性では体格の影響を考慮していないので、体格に応じた補正を行う。図10に示すように、体格(前述のようにアイポイントと相関の高い座高を用いる)に応じて前後位置体格補正係数Ksを求め、下記の式(1)にて最終的なシート基準点前後位置Fを求める。
シート基準点前後位置F=F'×Ks …(1)
なお、F'およびFの値は、シート位置が最前方のときゼロ、前方向がプラス方向とする。
【0026】
[初心者度算出ロジック]
次に、初心者度Bの求め方について説明する。初心者度Bは、運転者の操作におけるふらつき量、操作において発揮している余分な力の量、運転暦および運転頻度の4つの面から求める。運転者の操作におけるふらつき量は、操舵角、ブレーキ操作、車速の各信号パターンから求める。
【0027】
図11に、操舵角から初心者度を求めるフローを示す。ステップS1では、操舵角の信号にハイパスフィルター(ここでは0.2Hz)を掛けて運転のふらつきに起因する高周波成分だけを抽出し、ステップS2では、Tt秒間の絶対値和を算出し、これを初心者度判定量A1とする。
【0028】
図12は、ブレーキ操作から初心者度を求めるフローである。これは、ステップS3において、車速がほぼ一定車速の場合の一定時間Tbにおけるブレーキを踏んだ回数をカウントし、これを初心者度判定量A2とする。
【0029】
図13は、車速のふらつきから初心者度を求めるフローである。車速のふらつきは、アクセル操作自体のふらつきと、道路環境(例えば勾配)に対する予測の悪さの両要因を表していると考えられる。ステップS4では、車速の信号をハイパスフィルター(ここでは0.1Hz)を掛けて運転のふらつきに起因する高周波成分だけを抽出し、ステップS5では、Tv秒間の絶対値和を算出し、これを初心者度判定量A3とする。
【0030】
次に、操作において発揮している余分な力の量から初心者度を求める方法を説明する。初心者ほど安心感や咄嗟の操作に対する身構えを得るため、ステアリングを車両前方へ押し出す力を出すと考えられる。そこで、実施例1では、図14に示すように、ステア前後荷重検出手段15により検出したステア前後力に応じて初心者度判定量(A4)を求める。
【0031】
ここまでで求めた初心者度判定量A1〜A4は、初心者の度合いを表す量であるが、各々を掛け合わせて総合的な初心者度を算出するには、数字の正規化が必要である。そのため、図15〜18のマップから、それぞれA1、A2、A3、A4を用いて初心者度が低い場合は1.0になり、初心者度が高くなるほど大きな値となるような初心者度係数Kf1,Kf2,Kf3,Kf4を求める。
【0032】
次に、図19に示す特性により、個人情報記憶手段22より得た運転暦から初心者度係数Kf5を求める。また、運転頻度から初心者度を求める場合は、図20に示すように、その運転者の一週間の運転距離を用いる。これにより求めた初心者度係数をKf6とする。
【0033】
以上により、運転者の操作におけるふらつき量、操作において発揮している余分な力の量、運転歴および運転頻度の4つの面から、初心者度係数Kf1、Kf2、Kf3、Kf4、Kf5、Kf6を求めた。これらから、総合的な初心者度Bを下記の式(2)を用いて算出する(初心者度推定手段に相当)。
初心者度B=Kf1×Kf2×Kf3×Kf4×Kf5×Kf6 …(2)
【0034】
前述のように、この値から、図9によりシート基準点前後位置F'を求め、シート基準点前後位置Fを式1から算出する。そしてシート基準点前後位置がFとなるよう、シート前後駆動手段20を駆動する。このシート前後位置の補正により、運転者のアイポイントのばらつきを低減させることができる。
【0035】
また、実施例1では、チルト機構によりステアリング角度が変化している場合、ステアリング操作面が水平(地面と垂直)に近いほど、ステアリング中心を前方に移動させる。これにより、初心者のアイポイントをより効果的に基準アイポイントに近づけることができる。
【0036】
[初心者の姿勢傾向に応じたアイポイントの補正]
初心者の運転姿勢は、以下の3つの傾向を有している。
(a) 下方視界を確保するため前傾させる姿勢
(b) 体幹を垂直に保持しようとする姿勢
(c) ステアリング前下方向に力をかけやすい腕の角度を取る姿勢
【0037】
まず、(a)の下方視界を確保するための前傾分について説明すると、初心者は下方視界を確保しようとするため、フードの先端が見えるようになるまで前傾する。ここで、フードの先端が見えたらそれ以上は前傾しない。
【0038】
したがって、実施例1では、初心者、熟練者にかかわらず、基準アイポイントをフード先端が見える位置に(車種に応じて)設定しておいた上でシート基準位置を後方にずらし、肩〜ステアリング中心の位置を近づけることで、下方視界を確保するために前傾しようとする分をあらかじめ無くしておく。これにより、より効果的にアイポイントを基準アイポイントに近づけることができる。
【0039】
次に、(b)の体幹を垂直に保持しようとする姿勢について説明する。初心者はステアリング操作しやすい姿勢をとろうとするため、体幹上部をシートから浮かせる傾向がある。ここで初心者は、まず、体幹上部の筋力を全体的に(腹筋、背筋、三角筋等)を使って体幹をひねることでステアリング操作をサポートしようとするため、シートバックから体幹を離した状態を取る。次に体幹上部をシートから浮かせた時に前方に傾きすぎていると腹部圧迫感があり、逆に後方に傾きすぎていると腹筋が疲れるため、初心者は体を垂直に近い状態に保とうとするのである。
【0040】
したがって、実施例1では、初心者が体幹を垂直に近い状態に保とうとする分だけシートの基準位置を後方に移動させることで、アイポイントを基準アイポイントに合わせられる。
【0041】
最後に、(c)のステアリング前下方向に力をかけやすい腕の角度を取る姿勢について説明する。初心者は、力をステアリングホイールに前下方向に伝えやすくしようとするために上腕を体に近づける。ここで、力とは、前述の体幹をひねるためのものに加え、後広筋により腕を押し下げる力も加わる。この姿勢を取ろうとする傾向があるため、上記のようにシートの基準位置を移動させても、腕の角度を体幹に近づけようとするため、再び体幹が前方に移動する場合がある。
【0042】
実施例1では、この初心者の傾向を無くすために、初心者であることを判定した場合に、ステアリングの操作面中心位置が後方に(運転者側)に来るように移動する。これにより、アイポイントをより基準アイポイントに近づけることができる。
【0043】
[従来技術の問題点]
体格が異なった場合に運転者の視界、姿勢を補正するものとしては、特開平7−96784号公報に記載の技術が知られている。この技術は、ペダルの位置を前後方向に可動として、体格が小さい場合はシートを前上方向に動かし、かつペダルを後ろ方向に移動させる。これにより運転者のアイポイントが、どの体格でも適正な高さになることを狙っている。
【0044】
しかし、従来の実施例では、小さい人の場合にシートの高さを高くするため、運転者のヒップポイント(下肢の付け根。大腿骨上の大転子。)とフロア上の踵位置(以下ヒールポイント)との高さは、小さい人の方が大きい人より高くなってしまう。最適な運転姿勢を考えた場合、ヒップポイント〜ヒールポイント高さは、小さい人の方が大きい人よりも小さくすべきである。
【0045】
また、従来技術では、運転者のアイポイントの高さは適正化できるものの、前後方向は体格により異なるという問題点がある。アイポイントを決める要因として、前方の見え方(アイポイント高さに起因)の他に、ルーフ前端のサンバイザ付近のうっとおしさ、メータとアイポイントとの視距離等があるため、最適なアイポイント(高さ、前後共)は体格によらず一定であることがベストだと考えられる。また、将来的にはヘッドアップディスプレィ上に、前方道路視界に重ねるように注意情報や経路情報の表示を出す技術が可能になると考えられる。この場合、運転者のアイポイントが異なる場合、前方道路視界に対する表示の位置がずれてしまうという問題点があり、アイポイントを精度良く合わせる必要がある。
【0046】
また、アイポイントを一定位置に合わせるシステムを考えた場合、カメラで目の位置を検出し、その位置を合わせるような制御も考えられるが、この場合には、カメラを用いるのでコストが高くなる、上下位置は検出しやすいが前後位置の検出はカメラ2台を用いても精度良く検出できない、運転者が走行前や走行中に体を動かしている場合は正確な制御はできない、等の問題点がある。さらに、体格やシートバック角度が同じであっても、シートバックに対する体の浮かせ方でアイポイントは大きく異なる。
【0047】
[初心者度に応じたアイポイント補正作用]
これに対し、実施例1の運転姿勢調節装置では、基準アイポイントをフード先端が見える位置に設定した上で、初心者の場合にシート基準位置を後方へずらすと同時に、ステアリングの操作面中心位置を後方に移動させるため、アイポイントをより正確に基準アイポイントに設定できる。
【0048】
また、チルト機構によりステアリング角度が変化している場合、ステアリング操作面が水平に近づくほど、ステアリングを下に押し下げる力から後方に引き付ける力に変わるため、初心者はより後方に引き付け易くしようとして体幹と上腕の角度を確保しようとする。よって、実施例1では、ステアリング操作面が水平に近いほどステアリング中心を前方に移動させるため、初心者のアイポイントを基準アイポイントに近づけるのにより効果的である。
【0049】
次に、効果を説明する。
実施例1の運転姿勢調節装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
【0050】
(1) 運転者の体格に応じた基準アイポイントを設定し、運転者のアイポイントが基準アイポイントと一致するように運転姿勢を調節する姿勢調節手段21を備えた運転姿勢調節装置において、運転者の初心者度を推定する初心者度推定手段を備え、姿勢調節手段21は、推定された運転者の初心者度に基づいて、基準アイポイントを補正する。よって、運転に対する熟練の度合いにかかわらず、精度良くアイポイントを一定化できる。
【0051】
(2) 姿勢調節手段21は、初心者度が大きいほど、シート位置をより後方に移動する補正を行うため、初心者ほど前傾が大きくなるのに対し、シート位置をより後方に移動させることで、アイポイントの一定化を図ることができる。
【0052】
(3) 初心者度検出手段は、運転者のステアリング操作のふらつき量、ステアリング操作時に運転者が発揮している余分な力の量、運転暦または運転頻度に基づいて、初心者度を推定するため、初心者度をより正確に推定できる。
【0053】
(4) 姿勢調節手段21は、基準アイポイントを、運転者がフード先端を見える位置に設定するため、運転姿勢調節後に運転者が下方視界を確保するために前傾し、アイポイントが適正な位置からずれるのを抑制できる。
【0054】
(5) 姿勢調節手段21は、初心者度が大きいほど、ステアリング操作面の中心位置を後方に移動する補正を行うため、アイポイントをより基準アイポイントに近づけることができる。
【0055】
(6) 姿勢調節手段21は、チルトステアリング位置に応じて、ステアリング操作面の中心位置を変化させる補正を行う、アイポイントをより基準アイポイントに近づけることができる。
【0056】
(他の実施例)
以上、本発明の運転姿勢調節装置を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0057】
例えば、実施例1では、ステアリングホイール、ペダルの位置、シートの高さおよびシートの前後位置を調節する例を示したが、本発明は、運転者のアイポイントが基準アイポイントと一致するように運転姿勢を調節する運転姿勢調節装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施例1の運転姿勢調節装置の構成を示す図である。
【図2】実施例1の運転姿勢調節装置の構成を示す平面図である。
【図3】運転者の体格と運転姿勢との関係を示す図である。
【図4】運転者の体格と下肢姿勢との関係を示す図である。
【図5】身長とステアリング位置との関係を示す図である。
【図6】身長とシート基準点位置との関係を示す図である。
【図7】身長とヒールポイントとの関係を示す図である。
【図8】初心者の運転姿勢を示す図である。
【図9】初心者度とシート基準点前後位置との関係を示す図である。
【図10】座高と前後位置体格補正係数との関係を示す図である。
【図11】操舵角に応じた初心者度判定量A1の算出方法を示す図である。
【図12】ブレーキ操作に応じた初心者度判定量A2の算出方法を示す図である。
【図13】車速のふらつきに応じた初心者度判定量A3の算出方法を示す図である。
【図14】ステア前後力と初心者度判定量A4との関係を示す図である。
【図15】初心者度判定量A1と初心者度係数Kf1との関係を示す図である。
【図16】初心者度判定量A2と初心者度係数Kf2との関係を示す図である。
【図17】初心者度判定量A3と初心者度係数Kf3との関係を示す図である。
【図18】初心者度判定量A4と初心者度係数Kf4との関係を示す図である。
【図19】運転歴と初心者度係数Kf5との関係を示す図である。
【図20】一週間の運転距離と初心者度係数Kf6との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 アクセルペダル
2 ブレーキペダル
3 可動フロア
4 ブレーキ伝達手段
5 ブースタ
6 マスタシリンダ
7 シート
7a シートクッション
7b シートバック
8 可動フロアスライドレール
9 可動フロア駆動手段
10 ステアリングホイール
11 転舵ロッド
12 ステアリング伝達手段
13 ステアリングポスト
13a ステアリングポスト支点
14 ステアリング位置駆動手段
15 ステア前後荷重検出手段
16 Xリンク
16a Xリンク後部支点
16b Xリンク前部支点
17 Xリンク後部支点スライドレール
18 シート高さ駆動手段
19 シート前後スライドレール
20 シート前後駆動手段
21 姿勢調節手段
22 個人情報記憶手段
23 キー位置検出手段
24 車体フロア




 

 


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