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走行支援装置及び走行支援方法 - 日産自動車株式会社
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発明の名称 走行支援装置及び走行支援方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1383(P2007−1383A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−182198(P2005−182198)
出願日 平成17年6月22日(2005.6.22)
代理人 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
発明者 山村 吉典 / 瀬戸 陽治 / 嶺岸 巧樹
要約 課題
自車両の運転者が、自車両に加減速度が発生する根拠を把握していない状態で、自車両に加減速が発生することによって運転者に違和感を与えることを回避する。

解決手段
自車両の運転者が先々行車を把握することができるか、先行車が減速する状態にあるかどうか等、運転者が自車両に加減速度が発生した場合の根拠を把握することが可能であるかどうかを推定し(ステップS5)、加減速度の根拠を把握することが可能と推定したときには自車両前方の複数の車両と自車両との相対関係が適切な相対関係となるように制駆動力制御を行い、根拠を把握することができないと推定されるときには、自車両のドライバが加減速の根拠を把握しやすい自車両直前を走行する先行車と自車両との相対関係に重みをおいて、制駆動力制御を行う(ステップS6、S7)。
特許請求の範囲
【請求項1】
自車両の制駆動力を制御する制駆動力制御手段を備え、自車両前方の複数の車両と自車両との相対関係が目標とする相対関係となるように自車両の制駆動力を制御する走行支援装置において、
自車両の運転者が、前記制駆動力制御手段による制御によって自車両に生じる加減速度の根拠を把握することが可能かどうかを推定し、
自車両の運転者が、加減速度の根拠を把握することが不可と推定されるときには、自車両直前の先行車と自車両との相対関係に重みをおいて、自車両の制駆動力を制御することを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
入力される目標制駆動力に応じて自車両の制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、
自車両前方の複数の車両についてその走行状況を表す走行情報を獲得する走行情報獲得手段と、
前記複数の車両と自車両との相対関係が、目標とする相対関係となり得る目標制駆動力を算出する第1の目標制駆動力算出手段と、
前記複数の車両と自車両との相対関係が、自車両直前の先行車と自車両との相対関係に重みをおいた相対関係となり得る目標制駆動力を算出する第2の目標制駆動力算出手段と、
自車両の運転者が、前記制駆動力制御手段による制御によって自車両に生じる加減速の根拠を把握することが可能かどうかを推定する加減速根拠把握推定手段と、
当該加減速根拠把握推定手段での推定結果に応じて、前記第1の目標制駆動力算出手段で算出される第1の目標制駆動力及び前記第2の目標制駆動力算出手段で算出される第2の目標駆動力の何れかを選択しこれを前記目標制駆動力として前記制駆動力制御手段に出力する目標制駆動力選択手段と、を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項3】
前記目標制駆動力選択手段は、前記加減速根拠把握推定手段で前記運転者が前記加減速度の根拠を把握可能と推定されるときには前記第1の目標制駆動力を選択し、前記加減速度の根拠を把握していないと推定されるときには前記第2の目標制駆動力を選択することを特徴とする請求項2記載の走行支援装置。
【請求項4】
前記先行車の未来の車両挙動を推定する先行車挙動推定手段と、
当該先行車挙動推定手段で推定される前記先行車の未来の車両挙動に基づいて、未来の先行車と自車両との相対関係を目標とする相対関係にし得る第3の目標制駆動力を算出する第3の目標制駆動力算出手段と、を備え、
前記目標制駆動力選択手段は、前記加減速根拠把握推定手段で前記運転者が前記加減速度の根拠を把握不可と推定され且つ、前記先行車挙動推定手段で前記先行車がしきい値以上の減速度で減速すると予測されるときには、前記第3の目標制駆動力又は、前記第3の目標制駆動力と前記第1の目標制駆動力とのうち自車両に発生する減速度がより大きい方を、前記目標制駆動力として選択することを特徴とする請求項3記載の走行支援装置。
【請求項5】
前記加減速根拠把握推定手段は、自車両の運転者が、前記先行車の直前を走行する先々行車を目視確認することができると推定されるとき、前記加減速度の根拠を把握可能と推定することを特徴とする請求項2から請求項4の何れか1項に記載の走行支援装置。
【請求項6】
自車両と、前記先行車と、前記先々行車との配置状況を検出する配置状況検出手段を備え、
前記加減速根拠把握推定手段は、前記配置状況検出手段で検出される配置状況に基づき、自車両の運転者が、前記先々行車を、目視可能かどうかを判断することを特徴とする請求項5記載の走行支援装置。
【請求項7】
前記先行車の前記走行情報として、前記先行車の車両の大きさを表す車両属性信号を獲得し、
前記加減速根拠把握推定手段は、前記車両属性信号に基づき前記先行車が自車両よりも小型の車両であると判断されるときに、自車両の運転者は、前記先々行車を目視可能と判断することを特徴とする請求項5又は請求項6記載の走行支援装置。
【請求項8】
自車両に搭載され且つ自車両前方の車両と自車両との間の距離を計測する車間距離検出手段を備え、
前記加減速根拠把握推定手段は、前記走行情報獲得手段で獲得した走行情報から検出される前記先々行車及び自車両間の車間距離と、前記車間距離検出手段で検出される車間距離のうちの何れかとが同等であるとき、自車両の運転者は、前記先々行車を目視可能と判断することを特徴とする請求項5から請求項7の何れか1項に記載の走行支援装置。
【請求項9】
前記先行車のウインカの作動状況を検出するウインカ作動状況検出手段を備え、
前記加減速根拠把握推定手段は、前記ウインカ作動状況検出手段での検出状況に基づき前記先行車のウインカが作動していると判断されるときに、自車両の運転者は、前記先々行車を目視可能と判断することを特徴とする請求項5から請求項8の何れか1項に記載の走行支援装置。
【請求項10】
前記走行情報獲得手段は、前記走行情報としてウインカの作動情報を含み、
前記ウインカ作動状況検出手段は、前記走行情報獲得手段で獲得した走行情報に含まれる前記ウインカの作動情報からウインカの作動状況を検出することを特徴とする請求項9記載の走行支援装置。
【請求項11】
前記ウインカ作動状況検出手段は、前記先行車のウインカ部分を撮像する撮像手段を備え、
前記撮像手段の撮像画像からウインカの作動状況を検出することを特徴とする請求項9記載の走行支援装置。
【請求項12】
前記先行車の制動状況を検出する先行車制動状況検出手段及び前記先行車と自車両との接近度合を検出する接近度合検出手段の少なくとも何れか一方を備え、
前記加減速根拠把握推定手段は、前記先行車制動状況検出手段で前記先行車が制動状態にあると判断されるとき又は前記接近度合検出手段の検出結果から自車両が先行車に接近し過ぎる傾向にあると判断されるとき、自車両の運転者が、前記加減速度の根拠を把握可能と推定することを特徴とする請求項2から請求項11の何れか1項に記載の走行支援装置。
【請求項13】
前記接近度合検出手段は、前記先行車と自車両との間の車間時間(=車間距離/自車速)、前記先行車への自車両の接近速度、及び前記先行車と自車両との間の衝突余裕時間(=車間距離/相対速度)のうちの少なくとも何れか1つを検出することを特徴とする請求項12記載の走行支援装置。
【請求項14】
前記先行車の未来の車両挙動を推定する先行車挙動推定手段と、前記先行車と自車両との未来の相対関係を推定する相対関係推定手段とのうちの少なくとも何れか一方を備え、
前記加減速根拠把握推定手段は、前記先行車挙動推定手段で前記先行車の所定時間後の減速度がしきい値以上となると予測されるとき、又は、前記相対関係推定手段で所定時間後、自車両が前記先行車に対して接近し過ぎる状態にあると予測されるときに、自車両の運転者が、前記加減速度の根拠を把握可能と推定することを特徴とする請求項2から請求項13の何れか1項に記載の走行支援装置。
【請求項15】
前記相対関係推定手段は、前記先行車と自車両との間の車間時間(=車間距離/自車速)、前記先行車への自車両の接近速度、及び前記先行車と自車両との間の衝突余裕時間(=車間距離/相対速度)のうちの少なくとも何れか1つを検出することを特徴とする請求項14記載の走行支援装置。
【請求項16】
前記減速度のしきい値は、エンジンブレーキによる減速度相当の値に設定されることを特徴とする請求項14又は請求項15記載の走行支援装置。
【請求項17】
前記第2の目標制駆動力算出手段は、前記先行車及び自車両間の車間距離を適値とし得る制駆動力を前記第2の目標制駆動力として算出することを特徴とする請求項2から請求項16の何れか1項に記載の走行支援装置。
【請求項18】
前記第2の目標制駆動力算出手段は、前記先行車及び自車両間の車間距離を適値とし得る制駆動力と、少なくとも前記先行車の直前を走行する先々行車及び自車両間の車間距離を適値とし得る制駆動力にオフセット値を加算した値とのうちの何れか小さい方を、前記第2の目標制駆動力として算出することを特徴とする請求項2から請求項16の何れか1項に記載の走行支援装置。
【請求項19】
前記第2の目標制駆動力算出手段は、前記先行車及び自車両間の車間距離を第1の目標車間距離とし得る制駆動力と、少なくとも前記先行車の直前を走行する先々行車及び自車両間の車間距離を第2の目標車間距離とし得る制駆動力とのうちの何れか小さい方を、前記第2の目標制駆動力として算出し、
前記第2の目標車間距離は、前記第1の目標車間距離よりも長く且つ前記第1の目標車間距離近傍の値に設定されることを特徴とする請求項2から請求項16の何れか1項に記載の走行支援装置。
【請求項20】
前記第2の目標制駆動力算出手段は、前記先行車及び自車両間の車間距離を適値とし得る制駆動力を算出し、当該制駆動力が自車両に減速度を発生させる制駆動力であるか加速度を発生させる制駆動力であるかに応じて、前記第1の目標制駆動力を制限した値を、前記第2の目標制駆動力として算出することを特徴とする請求項2から請求項16の何れか1項に記載の走行支援装置。
【請求項21】
前記第2の目標制駆動力算出手段は、前記制駆動力が自車両に加速度を発生させる制駆動力であるときには、前記第1の目標制駆動力を、自車両に第1のしきい値以上の減速度が発生し得ない値に制限し、
前記第1の目標制駆動力が、自車両に減速度を発生させる制駆動力であるときには、前記第1の目標制駆動力を、自車両に第2のしきい値以上の加速度が発生し得ない値に制限することを特徴とする請求項20記載の走行支援装置。
【請求項22】
自車両前方の複数の車両と自車両との相対関係が目標とする相対関係となるように自車両の制駆動力を制御する走行支援方法において、
自車両の運転者が、前記制駆動力制御手段による制御によって自車両に生じる加減速度の根拠を把握することが可能かどうかを推定し、
自車両の運転者が、加減速度の根拠を把握することが不可と推定されるときには、自車両直前の先行車と自車両との相対関係に重みをおいて、自車両の制駆動力を制御することを特徴とする走行支援方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両前方を走行する前方車両と自車両との相対関係を適切な相対関係に維持するようにした走行支援装置及び走行支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先行車と自車両との間の車間距離をレーダ等で検出し、この車間距離が目標とする車間距離となるように、エンジン出力や制動流体圧を制御することで自車両の車速を制御し、先行車と自車両との間の車間距離が適値となるように制御を行うようにした車間距離制御装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、自車両と同一レーンを走行する先行車と、この先行車に先行して走行する先々行車とを検出し、各車両と自車両との間の車間距離と、各車両の加減速度とから、それぞれの車両に対する自車両の目標加速度及び目標減速度を算出し、目標減速度に関しては減速度の大きい方を選択し、目標加速度については加速度の小さい方を選択し、これら目標減速度又は目標加速度を発生させるよう自車両の制駆動力を制御することで先行車との車間距離を制御するようにした運転支援システムが提案されている。
【特許文献1】特開2002−104015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の従来の運転支援システムでは、先々行車及び先行車について、それぞれに対する目標減速度が大きい方、又は目標加速度の小さい方を目標値として選択し、自車両の制駆動力を制御している。このため、例えば、一定速度で追従走行している状態から、先々行車が減速し、且つ先行車が引き続き一定速度で走行している場合には、先々行車に対する目標減速度が目標値として選択されることから、自車両は減速することになる。このとき、先行車は一定速度で走行していることから、自車両が減速すると自車両と先行車との車間距離が大きくなることになる。このため、先行車は一定速度で走行しているにも関わらず自車両が減速し先行車との車間距離が大きくなるため自車両の運転者に違和感を与える場合がある。
【0004】
このような違和感を与える状況は、上記の他、例えば、一定速度で追従走行している状態から、先々行車が減速し且つ先行車が加速する場合や、先々行車が減速し且つ先行車が緩減速する場合も同様であって、この場合にも同様の違和感を運転者に与える可能性がある。さらに、一定速度で追従走行している状態から先々行車が一定速度を保ち且つ、先行車が加速する場合には、先行車が加速するにも関わらず自車両は加速しないため、先行車との間の車間距離が大きくなってしまい、この場合も同様に運転者に違和感を与える可能性がある。
【0005】
ここで、前記従来の運転支援システムにおいては、先行車や先々行車の検出には、ミリ波レーダを用いているが、先行車や先々行車を検出する方法として、ミリ波レーダの他に、例えば車々間通信システムによって検出することも可能である。すなわち、GPSによって検出した車両位置情報や車速を、車載通信機を介して車両間で情報交換を行うことで、先行車や先々行車、さらにその先の車両の走行状況をも把握することができ、これら、自車両前方を走行する複数の車両を含めて自車両の制駆動力制御を行うことができる。このように、車々間通信システムを用いて自車両前方の車両の走行状況を検出するようにした場合には、自車両よりも前方に位置する走行車両ほど、自車両の運転者はその走行状況を把握しにくいことから、このように運転者がその走行状況を把握しにくい車両の走行状況の変化によって自車両に加減速が生じた場合には、特に、自車両に加減速度が発生する根拠がわからず、運転者は違和感を覚えることになる。
【0006】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、自車両前方の車両の走行状況を運転者が把握しにくいことに起因して、自車両の加速又は減速に対して、運転者に違和感を与えることを回避することの可能な走行支援装置及び走行支援方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る走行支援装置は、自車両前方の複数の車両と自車両との相対関係が目標とする相対関係となるように自車両の制駆動力を制御する。このとき、制駆動力制御手段による制御によって自車両に生じる加減速の根拠を自車両の運転者が把握可能かどうかを推定し、運転者が加減速の根拠を把握不可と推定されるときには、自車両の直前の先行車と自車両との相対関係に重みをおき、自車両前方の複数の車両のうち特に先行車と自車両との相対関係が目標とする相対関係となるように自車両に作用する制駆動力を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る走行支援装置によれば、制駆動力制御手段による制御によって自車両に生じる加減速の根拠を運転者が把握不可と推測されるときには、自車両直前の先行車と自車両との相対関係に重みを置いて自車両に作用する制駆動力を制御するから、自車両の運転者が加減速の根拠を把握しやすい先行車と自車両とが、目標とする相対関係となるように制駆動力が制御される傾向となって、加減速の根拠を運転者が把握していない状態で自車両が加減速することによって、運転者に違和感を与えることを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明における走行支援装置100の機能構成を示す構成図である。
図1中、1は他車両との間で車々間通信を行うための車々間通信機、2は自車両の走行速度を検出する車速センサ、3は例えばGPS等の自車両の現在位置を検出するための自車位置特定装置であって、前記車々間通信機1、車速センサ2、自車位置特定装置3の検出信号は、コントローラ10に入力される。
【0010】
前記車々間通信機1は、自車両周囲の他車両との間で車々間通信を行い、他車両の走行情報を獲得する。この走行情報は、他車両の現在の位置座標、車速、また、ストップランプの作動情報、ウインカの作動情報、車両の大きさを表す車両属性情報等で構成される。なお、他車両も、自車両と同様に、GPS等の自車位置特定装置、車速センサ等を備え、該車両の現在位置や、車速を検出すると共に、前記ストップランプの作動情報、ウインカの作動情報、車両属性情報等からなる走行情報を生成し、これを予め設定したタイミングで車々間通信により送信する。同様に自車両においても、走行情報を生成し、これを予め設定したタイミングで車々間通信により送信する。これによって、自車両及び他車両が、互いにその走行状況を表す走行情報を把握することになる。
【0011】
前記コントローラ10は、例えば、マイクロコンピュータ等で構成され、前記車々間通信機1、車速センサ2、自車位置特定装置3からの検出信号に基づいて、自車両前方の他車両の走行状態を把握し、他車両の走行状態に基づいて、自車両前方を走行する前方車両と自車両との相対関係を、所定の関係に維持するための、制動力及び駆動力(以後、制駆動力ともいう。)を算出し、これら制動力及び駆動力を自車両に発生させるための目標エンジントルクや目標ブレーキ液圧を算出し、これに基づいて制駆動力制御信号を生成し、これを制駆動力制御装置20に出力する。
【0012】
この制駆動力制御装置20は、スロットル開度信号に応じてスロットルバルブを開閉し、エンジンの吸入空気量を変えてエンジン出力を調節するスロットルアクチュエータ、車速及びスロットル開度に応じて変速比を変える自動変速機等を備えて構成され、エンジン出力を制御する、公知のエンジン出力制御装置と、運転者のブレーキペダル操作に関わらず車両に制動力を発生させる制動制御装置とを備えている。この制駆動力制御装置20は、コントローラ10からの制駆動力制御信号に基づいて各部を制御し、指定された目標エンジントルクや目標ブレーキ液圧に応じた制動力又は駆動力を発生させる。
【0013】
コントローラ10は、図1に示すように、自車両前方の複数の前方車両を制御対象とし、これら複数の前方車両と自車両との相対関係が適切な相対関係となるように自車両の車速を制御するための第1の目標制駆動力を算出する第1の目標制駆動力演算部11と、自車両の運転者が、自車両に加減速度が発生する根拠を把握しやすい先行車と自車両との相対関係に重みをおき、先行車と自車両との相対関係が適切な相対関係となるように自車両の車速を制御するための第2の目標制駆動力を算出する第2の目標制駆動力演算部12と、制駆動力制御により自車両に生じる加減速度の根拠、すなわち、加減速度が生じる根拠を運転者が把握可能かどうかを推定する加減速根拠把握推定部13と、加減速根拠把握推定部13での推定結果に応じて、前記第1の目標制駆動力演算部11で算出された第1の目標制駆動力及び第2の目標制駆動力演算部12で算出された第2の目標制駆動力の何れか一方を選択しこれを目標制駆動力として出力する目標制駆動力切り換え部14と、目標制駆動力切り換え部14からの目標制駆動力をもとに、この目標制駆動力を発生させるための、目標エンジントルクや目標ブレーキ液圧を算出する制駆動力制御処理部15とを備えている。
【0014】
図2は、コントローラ10で実行される制駆動力制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
コントローラ10では、車々間通信により自車両の周辺に存在する周辺車両の走行情報を入力すると、各車両にID番号を付与し、各周辺車両からの走行情報を、ID番号と対応づけて所定の記憶領域に格納する。そして、各周辺車両についてその位置情報から、周辺車両の位置を把握し、自車両の走行路前方に位置する前方車両を制御対象車両として認識する。ここでは、自車両の前方車両として自車両直前の先行車及びこの先行車の直前を走行する先々行車の2台が存在する場合について説明する。
【0015】
制駆動力制御処理では、まずステップS1の処理で、制御対象車両についてその位置座標及び車速を読み込む。例えば、ID番号1の前方車両M1の位置座標をP1(x1,y1)、車速をV1とし、また、ID番号2の前方車両M2の位置座標をP2(x2,y2)、車速をV2とする。なお、位置座標を表すXY座標は、例えば北をY軸、東をX軸とする。また、自車位置特定装置3で検出された自車両の位置座標及び車速センサ2で検出された自車速を読み込む。例えば、自車両の位置座標をP0(x0,y0)、自車速をV0とする。
【0016】
次いで、ステップS2に移行し、自車両と各前方車両との間の車間距離及び相対速度を算出する。
自車両から前方車両M1までの車間距離L1及び自車両から前方車両M2までの車間距離L2は、次式(1)から算出する。
L1={(x0−x1)2+(y0−y1)21/2
L2={(x0−x2)2+(y0−y2)21/2 ……(1)
なお、ここでは、L1<L2とする。つまり、前方車両M1が先行車、前方車両M2が先々行車である。
【0017】
また、自車両と前方車両M1との相対速度VR1、自車両と前方車両M2との相対速度VR2は、次式(2)から算出する。
VR1=V1−V0
VR2=V2−V0 ……(2)
次いで、ステップS3に移行し、自車両前方の複数の前方車両と自車両との相対関係が適切な相対関係となるように自車両の車速を制御するための第1の目標制駆動力Fc1を算出する。
【0018】
まず、前方車両M1に対する目標制駆動力を算出する。具体的には、ステップS2で算出した、自車両と前方車両M1との間の車間距離L1を、車間距離指令値L1cに一致させるための制駆動力を算出する。
前記車間距離指令値L1cは、自車両において確保したい車間時間をT1としたとき、前方車両M1の車速V1と車間時間T1との積として算出される(L1c=T1×V1)
そして、例えば、図3に示すブロック図で構成される車間距離制御演算を行い、次式(5)にしたがって、前方車両M1に対する目標制駆動力F1cを算出する。
【0019】
前記車間距離制御演算では、図3に示すように、車々間通信により獲得した前方車両M1の現在位置P1及び車速V1と自車両の現在位置P0及び自車速V0とをもとに、演算部30で前方車両M1及び自車両間の車間距離L1及び相対速度VR1を算出し、減算器31で、車間距離指令値L1cから演算部30で算出した車間距離L1を減算して車間距離偏差を算出し、算出した車間距離偏差に乗算器32で距離ゲインKL1を乗算し、その乗算出力を減算器33に供給して、演算部30で算出した相対速度VR1に乗算器34で速度ゲインKV1を乗算した値から減算し、この減算結果に乗算器35で自車車重Mvを乗算することにより、次式(3)で表される車間距離L1及び相対速度VR1に基づく目標制駆動力F1cを算出するように構成されている。
F1c={VR1・KV1−(L1c−L1)・KL1}・Mv ……(3)
【0020】
ここで、前方車両M1の車速V1から実車間距離L1までの伝達特性G1(s)は、次式(4)で表される。なお、(4)式中のsはラプラス演算子である。
G1(s)=B1(s)/A1(s) ……(4)
B1(s)=s+T1・KL1
A1(s)=s2+KV1・s+KL1
前記(4)式から、ゲインKV1及びKL1を適当な値に設定することで、伝達特性を変更することができ、車間距離応答を所望の応答特性にすることが可能であることがわかる。
同様の手順で、前方車両M2に対する目標制駆動力F2cを算出する。この場合、車間距離指令値L2cは、確保したい車間時間をT2としたとき、前方車両M2の車速V2と車間時間T2との積から算出する。
【0021】
そして、自車両と前方車両M2との間の車間距離L2を、車間距離指令値L2cに一致させるための目標制駆動力F2cは、次式(5)から算出する。なお、(5)式中のKV2及びKL2は制御ゲインである。
F2c={VR2・KV2−(L2c−L2)・KL2}・Mv ……(5)
また、前方車両M2の車速V2から実車間距離L2までの伝達特性G2(s)は次式(6)で表される。なお、(6)式中のsはラプラス演算子である。
G2(s)=B2(s)/A2(s) ……(6)
B2(s)=s+T2・KL2
A2(s)=s2+KV2・s+KL2
【0022】
なお、制御ゲインKV1とKV2、制御ゲインKL1とKL2とは、同じ値としても良いが、自車両から遠い位置に存在する前方車両ほど、より小さなゲインとなるように設定し、自車両により近い位置に存在し、自車両に与える影響がより大きい前方車両に対する車間距離制御に、より重みを置くようにしてもよい。
なお、車間時間は、自車両から遠い位置に存在する車両に対する車間時間ほど大きくなるように設定される。ここでは、前方車両M1を先行車、前方車両M2を先々行車とし、T1、T2は、T1<T2を満足するように設定する。
このようにして、前方車両M1及びM2について目標制駆動力F1c及びF2cを算出したならば、これらを比較し、値の小さい方を、第1の目標制駆動力Fc1として設定する。つまり、減速度の場合には減速度がより大きい方を選択し、また加速度の場合には加速度がより小さい方を選択する。
【0023】
つまり、この第1の目標制駆動力は、例えば自車両の直前を走行する先行車が車線変更した場合等、それまでの先々行車が新たに先行車となった場合であっても、先行車の切り替わりに伴って自車両に加減速が生じることを回避し、先行車の切り替わりに関わらず、安定した追従走行を継続することを可能とするための制駆動力である。
なお、前方車両が3台以上の場合も同様であって、各前方車両について目標制駆動力を算出し、全ての前方車両についての目標制駆動力のうち、値の最も小さいものを選択しこれを第1の目標制駆動力Fc1として設定する。
【0024】
このようにして、第1の目標制駆動力Fc1を算出したならば、ステップS4に移行し、次に、自車両直前を走行する先行車に重みをおき、先行車と自車両との相対関係が適切な相対関係となるように自車両の車速を制御するための第2の目標制駆動力Fc2を算出する。この第2の目標制駆動力Fc2は、その算出方法として、次の第1の算出方法から第4の算出方法のうちの何れかを用いることができる。
【0025】
まず、第1の算出方法は、自車両直前を走行する先行車と自車両との間の車間距離が適値となり得るように車間距離制御を行ったときの目標制駆動力を、第2の目標制駆動力Fc2とする方法である。
つまり、前記ステップS3で算出した、先行車に相当する前方車両M1の目標制駆動力F1cを算出した場合と同様の手順で、自車両と先行車との車間距離L1を車間距離指令値L12cに一致させるための目標制駆動力F12cを算出する。前記車間距離指令値L12cは、確保したい車間時間をT12としたとき、先行車の車速V1と車間時間T12との積で算出される。
【0026】
そして、目標制駆動力F12cは、次式(7)で算出する。なお、式中のKV12及びKL12は、制御ゲインである。
F12c={VR1・KV12−(L12c−L1)・KL12}・Mv
……(7)
そして、このようにして算出した目標制駆動力F12cを、第2の目標制駆動力Fc2とする。
【0027】
次に、第2の目標制駆動力Fc2の第2の算出方法を説明する。
この第2の算出方法は、前記ステップS3で第1の目標制駆動力Fc1を算出した場合と同様の手順で、各前方車両について車間距離制御演算を行い、各前方車両と自車両との間の車間距離を適値とし得る目標制駆動力を算出し、これらのうちの最も小さい値を、第2の目標制駆動力Fc2とするが、このとき、先行車を除く前方車両、つまり、ここでは、先々行車に対応する目標制駆動力に、オフセット値α(α>0)を加算し、先行車を除く前方車両に対応する目標制駆動力が、第2の目標制駆動力Fc2として選択されにくくする。つまり、先行車と自車両との相対関係に重みをおいた目標制駆動力が設定されることになる。なお、前記オフセット値αは、先々行車のみに加算するようにしてもよく、また、先行車を除く全ての前方車両に対して加算するようにしてもよい。
【0028】
具体的には、前方車両M1に対し、確保したい車間時間をT12とし、前方車両M1の車速V1と車間時間T12とを乗算して車間距離指令値L12cを算出する。そして、次式(8)から前方車両M1に対する目標制駆動力F12cを算出する。
F12c={VR1・KV12−(L12c−L1)・KL12}・Mv
……(8)
【0029】
同様に、前方車両M2に対し、確保したい車間時間をT22とし、前方車両M2の車速V2と車間時間T22とを乗算して車間距離指令値L22cを算出する。そして、次式(9)から前方車両M2に対する目標制駆動力F22cを算出する。
F22c={VR2・KV22−(L22c−L2)・KL22}・Mv
……(9)
そして、先々行車に対応する目標制駆動力F22cにオフセットα(α>0)を加算し、先々行車に対する目標制駆動力“F22c+α”と、先行車に対する目標制駆動力“F12c”とを比較し、これらのうちの小さい方を選択し、これを第2の目標制駆動力Fc2とする。
【0030】
次に、第2の目標制駆動力Fc2の第3の算出方法を説明する。
先行車を除く前方車両、この場合、先々行車である前方車両M2に対する車間時間T2を、先行車M1に対する車間時間T1に近い値まで短くすると、通常、先々行車は、車間時間T2以上の車間時間で走行しているため、先々行車に対する制駆動力は車間距離を縮めようとして加速方向の目標制駆動力が演算されがちとなる。したがって、先々行車M2及び先行車M1に対する目標制駆動力のうち小さい方を選択すれば、先行車M1に対する目標制駆動力がより頻繁に選択されるようになる。したがって、先行車M1と自車両との相対関係に重みをおいた目標制駆動力が設定されることになる。
【0031】
具体的には、先行車M1に対し、確保したい車間時間をT12とし、先行車M1の車速V1と車間時間T12とを乗算して車間距離指令値L12cを算出する。そして、前記(8)式から先行車M1に対する目標制駆動力F12cを算出する。
同様に、先々行車M2に対し、確保したい車間時間をT22とし、先々行車M2の車速V2と車間時間T22とを乗算して車間距離指令値L22cを算出する。そして、前記(9)式から先々行車M2に対する目標制駆動力F22cを算出する。
【0032】
なお、この第3の算出方法の場合、車間時間T12、T22は、T22>T12を満足し、且つT22はT12の近傍の値とする。
そして、このようにして算出した、先行車M1に対する目標制駆動力F12cと先々行車M2に対する目標制駆動力F22cとを比較し、何れか小さい方を選択し、これを第2の目標制駆動力Fc2とする。
【0033】
なお、自車両前方に先行車及び先々行車の他にも前方車両が存在する場合には、上記と同様に、先々行車に対する車間時間のみを短く補正して目標制駆動力を算出するようにしてもよく、また、先行車を除く全ての前方車両についてその車間時間を短く補正したときの目標制駆動力を算出し、これら目標制駆動力と先行車M1に対する目標制駆動力との中から小さいものを第2の目標制駆動力Fc2として選択するようにしてもよい。
【0034】
次に、第2の目標制駆動力Fc2の第4の算出方法を説明する。
この第4の算出方法では、前記第1の算出方法と同様の手順で、先行車M1のみに対する車間距離制御を行う場合の目標制駆動力を算出する。そして、この制駆動力に応じてステップS3で算出した第1の目標制駆動力Fc1を制限し、これを第2の目標制駆動力Fc2とする。
具体的には、先行車M1に対し、確保したい車間時間をT12として、車間距離指令値L12cを算出し、前記(7)式から、先行車M1に対する目標制駆動力F12cを算出する。
【0035】
そして、算出した先行車M1に対する目標制駆動力F12cが、自車両に加速度を発生させるように作用する加速側の値であるときには、ステップS3で算出した第1の目標制駆動力Fc1の減速度を例えば、エンジンブレーキ以上の減速度が生じないような値に制限し、この制限した値を、第2の目標制駆動力Fc2とする。逆に目標制駆動力F12cが自車両に減速度を発生させるように作用する減速側の値であるときには、ステップS3で算出した第1の目標制駆動力Fc1を、加速度が発生させない値に制限し、これを第2の目標制駆動力Fc2とする。
【0036】
つまり、先行車と自車両との相対関係からは、自車両は加速する必要があると判断され且つ自車両前方の複数の前方車両と自車両との相対関係からは自車両は減速する必要があると判断される場合には、エンジンブレーキ相当の減速度に制限し、先行車に対する相対関係を優先して大きな減速度が発生しないようにする。逆に、先行車に対する相対関係からは、自車両は減速する必要があると判断され且つ自車両前方の複数の前方車両との相対関係からは自車両は加速する必要があると判断される場合には、先行車に対する相対関係を優先し、加速度が発生しないように制限する。
【0037】
このようにして、ステップS4の処理で第2の目標制駆動力Fc2を算出したならば、ステップS5に移行し、制駆動力制御によって自車両に加減速度が発生した際に、この加減速度の発生した根拠を、運転者が把握可能かどうかを推定する。
ここでは、先行車を除く前方車両、つまり先々行車等の挙動を運転者が目視確認しやすい走行状態にあるとき、また、自車両が減速する根拠を運転者が認識することができる状態にあるとき、また、自車両が減速する根拠を短時間内に運転者が認識することができると予測できる状態にあるときに、運転者が、加減速度が発生する根拠を把握可能と判断する。
【0038】
具体的には、以下の手順で判断する。
まず、先行車を除く前方車両の挙動を運転者が目視確認しやすい走行状態にあるかどうかの判断は、次の手順で行う。
ここで、自車位置特定装置3のGPSアンテナが、車両重心位置に相当するXY座標上に位置するものとする。
【0039】
まず、自車両の現在位置P0(x0(k),y0(k))と過去値P0(x0(k−1),y0(k−1))とから、自車進行方向を求める。なお、kは、コントローラ10のサンプリング回数を表す整数である。自車両が直進すると仮定すると、1回のサンプリングによって変化するX軸方向の変化量に対するY軸方向の変化量が、現在位置と過去値とを結ぶ直線の傾きaとなる。すなわち、傾きaは、次式(10)で表すことができる。
a={y0(k)−y0(k−1)}/{x0(k)−x0(k−1)}
……(10)
【0040】
そして、この直線の垂線の傾きは次式(11)で表すことができる。
b=−1/a ……(11)
図4に示すように、自車両の進行方向をV軸、自車両の進行方向に直交する軸をU軸としたとき、X軸からみたU軸の傾きは、前記(11)式で表される“b”となる。したがって、X軸とU軸とがなす角度θは、次式(12)で表すことができる。
θ=tan-1(b) ……(12)
【0041】
次に、先々行車M2の右後端のXY座標をP2R(x2R,y2R)、左後端のXY座標をP2L(x2L,y2L)とし、先行車M1の右後端XY座標をP1R(x1R,y1R)、左後端のXY座標をP1L(x1L,y1L)とし、先行車M1及び先々行車M2の後端のXY座標を、自車進行方向をV軸、自車進行方向に直角な軸をU軸とし、自車重心を原点としたUV座標に変換する(配置状況検出手段)。
このため、まず変換対象である、自車両のXY座標位置から自車重心のXY座標位置を差し引き、XY座標及びUV座標の原点を一致させたのち、次式(13)を用いてXY座標(Px,Py)からUV座標(Pu,Pv)への変換を行う。
【0042】
【数1】


【0043】
次に、UV座標に変換された、先々行車M2の右後端のUV座標をP2R(u2R,v2R)、左後端のUV座標をP2L(u2L,v2L)とし、先行車M1の右後端のUV座標をP1R(u1R,v1R)、左後端のUV座標をP1L(u1L,v1L)とする。
自車両の運転者のUV座標をP0D(u0D,v0D)とし、運転者のUV座標位置P0Dと先々行車M2の右後端のUV座標位置P2Rとを通る直線L2R、運転者のUV座標位置P0Dと先々行車M2の左後端のUV座標位置P2Lとを通る直線L2L、運転者のUV座標位置P0Dと先行車M1の右後端P1Rとを通る直線L1R、運転者のUV座標位置P0Dと先行車M1の左後端P1Lとを通る直線L1Lについて、それぞれの直線を表す式を求め、各々の直線とU軸とがなす角度を求める。ここで、直線L2RとU軸とがなす角度をθ2R、直線L2LとU軸とがなす角度をθ2L、直線L1RとU軸とがなす角度をθ1R、直線L1LとU軸とがなす角度をθ1Lとする。
【0044】
図5(a)、(b)に示すように、各直線とU軸とがなす角度から、自車両の運転者が先々行車M2を目視確認できる条件は、先々行車M2の右端が先行車M1の右側に見える場合(θ2R<θ1R)、または、先々行車M2の左端が先行車M1の左側に見える場合(θ2L>θ1L)となる。したがって、これら条件を満足する場合には、運転者は先々行車M2の走行状況を把握することができ、すなわち、加減速度の根拠を把握可能と判断し、根拠把握フラグFdkを“0”に設定する。そして、これら条件を満足しない場合には、運転者は先々行車M2の走行状況を把握することができないため、加減速度の根拠を把握することは不可と判断し、根拠把握フラグFdkを“1”に設定する。
【0045】
なお、前方車両M1、M2の後端座標は、例えば車両の大きさを表す車両属性情報として、大型車両が設定されている場合には、全長12m、幅2.5mとし、GPSアンテナ取り付け位置は車両先端から2mの位置として、前方車両の位置座標から算出すればよい。また、普通乗用車であれば、全長5m、幅1.8mとし、GPSアンテナ取り付け位置は車両前端から2mの位置として、前方車両の位置座標から算出すればよい。
なお、ここでは、上述のように、前方車両の後端座標に基づいて先々行車M2を自車両の運転者が目視確認することができるかどうかを判断するようにした場合について説明したがこれに限るものではない。
【0046】
例えば、先行車M1からの車両属性情報を参照し、自車の車両属性と比較する。ここで、この車両属性情報は、例えば大型貨物車なら“4”、中型貨物車であれば“3”、普通乗用車であれば“2”、軽自動車であれば“1”、バイクであれば“0”とするような信号で構成されている。したがって、例えば自車の車両属性信号から先行車車両属性信号を差し引き、結果が負であれば、先々行車M2は自車両の運転者から目視確認困難と判断し、根拠把握フラグFdkを“1”とし、結果が正であれば目視確認可能と判断し根拠把握フラグFdkを“0”とするようにしてもよい。このように車両属性情報に基づいて目視可能かどうかを判断することによって、上述のような複雑な演算等を必要とすることなく容易に判断することができる。
【0047】
また、市販のレーザレーダ等を運転者前方の車両前端に取り付け、車々間通信で得られた先々行車M2までの車間距離L12と、レーザレーダからの前方車両の検出結果とを比較し、レーザレーダの検出距離の中に先行車M2に相当する車間距離と同一の距離がある場合は、レーザレーダによって先々行車M2を検出可能であることから自車両の運転者も先々行車2を目視確認できると判断し、根拠把握フラグFdkを“0”とし、そうでない場合は、レーザレーダにより先々行車M2を検出できないことから自車両の運転者も目視確認不可と予測し、根拠把握フラグFdkを“1”に設定するようにしてもよい。このように、レーザレーダでの検出状況に基づいて目視可能かどうかを判断することによって、複雑な演算等を必要とすることなく容易に判断することができる。なお、レーザレーダに限るものではなく、自車両と前方車両との間の車間距離を検出することの可能な自車両に搭載された車間距離検出手段であればよく、例えば、カメラ等の撮像手段を設け、この撮像手段の撮像画像から前方車両までの距離を計測するようにしてもよい。
【0048】
また、一般的に、自車両と先行車M1との車両属性が同等であれば、自車両から先々行車M2を目視確認できるか否かは、自車両と先行車M1との車幅方向の重なり度合を表すラップ率、カーブ半径、自車両と先行車M1との車間距離で決まるため、予めこれらの値と先々行車M2が目視確認できるか否かの関係を計算しておき、この計算結果と、現在の、自車両と先行車M1とのラップ率、カーブ半径、先行車M1との車間距離L1とに基づいて、先々行車M2を目視することが可能かどうかを判断し、根拠把握フラグFdkを設定するようにしてもよい。これによって、目視可能かどうかの判断を容易に行うことができる。
【0049】
また、上記各種方法によって根拠把握フラグFdkが“0”に設定され、運転者は先々行車M2を目視確認不可と判断された場合であっても、車々間通信により獲得した先行車M1のウインカ信号を参照し、ウインカ信号がONの場合は、先行車M1が車線変更すると判断し、自車両の運転者は比較的短時間以内に先々行車M2を目視確認できると判断して、根拠把握フラグFdkを“0”に変更するようにしてもよい。これによって、比較的短時間以内に先々行車M2を把握することができる状態となるにも関わらず、根拠把握フラグFdkを“1”に設定することによって、後述のステップS6の処理で目標制駆動力Fcが第2の目標制駆動力Fc2に一時的に変更されることを回避することができ、目標制駆動力Fcが第2の制駆動力に一時的に切り換えられることによって、却って自車両の車両挙動が変化することを回避することができる。
【0050】
また、ウインカ情報を車々間通信により獲得する代わりに、例えば、先行車M1のウインカ部を撮像するための、カメラ等の撮像手段を設け、撮像手段の撮像情報に基づいてウインカの作動状況を検出するようにしてもよく、要は、ウインカの作動状況を検出することの可能なウインカ作動状況検出手段であればよい。
また、以上の各種判断方法を単独で用いて、目視の可/不可を判断するようにしてもよく、また、複数を組み合わせて判断するようにしてもよい。複数を組み合わせて判断する場合には、いずれかの判断方法によって目視確認できると判断した場合は根拠把握フラグFdkを“0”とし、いずれの手法によっても目視不可と判断される場合に根拠把握フラグFdkを“1”とすればよい。
【0051】
次に、自車両が減速する根拠を運転者が認識することができる状態にあるかどうかの判断は、次の手順で行う。
まず、車々間通信により獲得した先行車M1の走行情報の中のストップランプの作動情報を参照し、先行車M1のストップランプが点灯していれば、自車両の運転者は、先行車M1が減速することを認識可能として根拠把握フラグFdkを“0”に設定し、ストップランプが消灯していれば、根拠把握フラグFdkを“1”に設定する。なお、ここでは、ストップランプの作動情報を、車々間通信により獲得するようにした場合について説明したがこれに限らず、例えば、先行車M1の後部をカメラ等の撮像手段で撮像するようにし、その撮像画像からストップランプの作動状況を検出するようにしてもよい。要は、先行車が制動状態にあるかどうかを検出することの可能な先行車制動状況検出手段を備えていればよく、例えば、走行路側に配設されたインフラ設備から先行車の制動状況を路車間通信により獲得するようにしてもよい。
【0052】
また、先行車M1と自車両との接近度合を検出する接近度合検出手段を設け、先行車M1に対する自車両の接近度合が大きく接近し過ぎる傾向にあるとき、運転者は、減速根拠がわかると判断するようにしてもよい。
具体的には、前記接近度合として、先行車M1との車間時間を適用し、この車間時間が、例えば、確保したい車間時間のRx%以下まで短くなったとき、つまり、先行車M1と自車両との間の車間距離がある程度短くなったときには、自車両の運転者は減速根拠がわかると判断して根拠把握フラグFdkを“0”に設定し、そうでない場合には根拠把握フラグFdkを“1”とする。
【0053】
また、前記接近度合として、先行車M1との相対速度を適用し、例えば、Vrx〔km/h〕以下であって自車両の車速の方が大きく自車両が先行車M1に接近する傾向にあるときには、運転者は減速根拠がわかると判断して根拠把握フラグFdkを“0”に設定し、そうでない場合には根拠把握フラグFdkを“1”に設定する。
また、前記接近度合として、先行車M1に対する衝突余裕時間(=−L1/VR1)を算出し、この衝突余裕時間が、例えばTx秒以下となり、衝突する可能性が高いと予測されるとき、運転者は減速根拠がわかるとして根拠把握フラグFdkを“0”とし、そうでない場合は根拠把握フラグFdkを“1”に設定する。
【0054】
なお、上述の先行車M1との車間時間のしきい値を算出するためのRx%、相対速度のしきい値Vrx、衝突余裕時間のしきい値Txは、直前を走行する先行車M1に対して減速が行われたとしても、運転者が違和感を覚えない数値を実験等により算出すればよい。
次に、自車両が減速する根拠を短時間以内に運転者が確認できると予測できる状態にあるかどうかの判断は、次の手順で行う。
【0055】
ここで、先行車M1と自車両との間の確保したい車間距離をT21とし、先々行車M2の車速をV2、先行車M1と先々行車M2との間の車間距離をL21、先行車M1及びM2間の相対速度をVR21としたとき、先行車M1は、次式(14)で表される加減速度α21を発生すると仮定する。
α21=[VR21・KV21−(T21・V2−L21)・KL21]
……(14)
なお、(14)式中のKL21は車間距離ゲイン、KV21は相対速度ゲインである。これらゲインの値と車間時間T21は、例えば、予め一般的な運転者の追従特性を測定しておき、その特性に合うように決定する。
【0056】
また、確保したい車間時間T21は、例えば先行車M1が定常追従状態にあるときの車間距離を先行車M1の車速で除することで求めてもよいし、各種ゲインKL21、KV21は、既存のパラメータ同定手法を用いてオンラインでパラメータを同定しても良い。
先行車M1と先々行車M2との間の相対速度VR21及び車間距離L21は、次式(15)で表すことができる。
VR21=V2−V1
V1=s-1・α21
L21=s-1・VR21 ……(15)
【0057】
したがって、自車両のコントローラ10で実行される制駆動制御処理のサンプリングタイムをts〔s〕としたとき、時刻k・tsにおける1回のサンプリングタイム間に、前記(14)及び(15)式を繰り返し演算し、例えば、10秒後の先行車M1の状態を予測する場合には、10/ts回繰り返し演算することで、10秒後の、先行車M1の加減速度と、自車両及び先行車M1間の車間距離及び相対速度とを予測することできる。
なお、時刻k・tsにおけるL21、VR21の初期値は、例えば、実際の値を使用すればよい。
【0058】
そして、先行車M1の減速度が、エンジンブレーキ相当の減速度(例えば、0.06〔G〕)以上となる場合に、先行車M1のストップランプが点灯すると仮定した場合、ストップランプが点灯する時刻が、現時点から何秒後になるかを算出する(先行車挙動推定手段)。同様に、車間距離L1が所定値以下となる時刻、及び相対速度VR1がしきい値以上となる時刻、衝突余裕時間(−L1/VR1)がしきい値以下となる時刻が現時点から何秒後になるかを算出する(相対関係推定手段)。
【0059】
なお、前記エンジンブレーキ相当の減速度は、例えば、通常追従走行を行っているときに、発生し得るエンジンブレーキ相当の減速度を実験等によって算出するようにすればよい。このようにエンジンブレーキ相当の減速度が発生するかどうかをしきい値とすることによって、ブレーキペダルが踏み込まれる状態であるかどうかを的確に判断することができる。
【0060】
そして、それぞれの状態がTf秒後以内に発生すると予測された場合には、運転者は減速根拠を短時間以内に認識することができると判断し、根拠把握フラグFdkを“0”に設定し、そうでない場合には、根拠把握フラグFdkを“1”に設定する。
なお、前記各状態が発生するまでの時間のしきい値Tfは、制駆動力制御によって加減速度が発生した場合に、運転者が違和感を覚えてそれとは逆の加減速操作を行ってしまうことのない値に設定され、例えば実験等によって設定される。
【0061】
なお、根拠把握フラグFdkは、上記各条件の何れかに基づいて設定するようにしてもよくまた、複数に基づいて設定するようにしてもよい。複数の条件に基づいて設定する場合いは、何れかの条件において運転者は根拠を把握することができると推定されるときには、根拠把握フラグFdkを“0”に設定するようにすればよい。
このようにして、運転者が加減速の根拠を把握可能かどうかの推定を行ったならば、ステップS6に移行し、ステップS5で推定した根拠把握フラグFdkに応じて目標制駆動力Fcを設定する。
【0062】
具体的には、根拠把握フラグFdkが“0”であって、運転者が減速根拠を把握することが可能と推定される場合には、ステップS3で算出した第1の目標制駆動力Fc1及びステップS4で算出した第2の目標制駆動力Fc2のうち、第1の目標制駆動力Fc1を選択し、これを目標制駆動力Fcとする。一方、根拠把握フラグFdkが“1”であって、運転者が減速根拠を把握することは不可と推定される場合には、第2の目標制駆動力Fc2を選択し、これを目標制駆動力Fcとする。
【0063】
次いで、ステップS7に移行し、ステップS6の処理で設定した前記目標制駆動力Fcを発生させるために必要な制動力及び駆動力を算出するための制駆動力制御演算を行う。
具体的には、車両に発生する制駆動力を制駆動力指令値に応じたものとするためのエンジントルク指令値Tec及びブレーキ液圧指令値Pbcを演算する。
ここで、駆動軸トルク指令値Twcと制駆動力指令値である目標制駆動力Fcとの関係は次式(16)で表すことができる。なお、式(16)中のRwはタイヤ半径である。
Twc=Fc・Rw ……(16)
【0064】
また、トルクコンバータのトルク増幅率をRt、変速機ギヤ比をRat、ディファレンシャルギヤ比をRdefとすると、駆動軸トルクTwとエンジントルクTe、ブレーキによる制動トルクTbとの関係は次式(17)で表される。
Tw=Rt・Rat・Rdef・Te−Tb ……(17)
この(17)式より、駆動軸トルク指令値Twcに対して、次式(18)からエンジントルク指令値Tecを計算し、算出したエンジントルク指令値TecがエンジンブレーキトルクTeidよりも大きいか否かを判断する。
Tec=Twc/(Rt・Rat・Rdef) ……(18)
【0065】
前記エンジンブレーキトルクTeidは、スロットル開度が零、又はスロットルがアイドルポジションの時のエンジントルクである。エンジンブレーキトルクTwidは、エンジン回転数の他、フェールカットの有無等、エンジンの制御状態によって変化するが、概ねエンジン回転速度で定まり、エンジン回転数が大きいときほどエンジンブレーキトルクTeidは負の方向に大きくなるため、予めエンジン回転速度NeとエンジンブレーキトルクTeidとの関係を測定して設定した図6に示すエンジンブレーキトルク算出マップを参照して算出する。なお、図6において、横軸は、エンジン回転数Ne、縦軸はエンジンブレーキトルクTeidである。
【0066】
エンジントルク指令値Tecが、エンジンブレーキトルクTeid以上であれば、ブレーキを使わずにエンジンブレーキトルクTeidのみで駆動軸トルク指令値通りのトルクを実現できる。エンジントルク指令値TecがエンジンブレーキトルクTeid未満となれば、エンジンブレーキトルクTeidによる駆動トルクを考慮して駆動軸トルクを指令値に一致させるためのブレーキ操作量を演算する。
【0067】
以上により、エンジントルク指令値Tecとブレーキトルク指令値Tbcとの分配制御則は以下のようになる。
(A)エンジントルク指令値Tec≧Teidのとき
Tec=Twc/(Rt・Rat・Rdef)……(19)
Tbc=0 ……(20)
(B)エンジントルク指令値Tec<Teidのとき
Tec=Teid ……(21)
Tbc=Rt・Rat・Rdef・Teid−Twc ……(22)
ここで、ブレーキシリンダ面積をAb、ロータ有効半径をRb、パッド摩擦係数をμbとすると、ブレーキトルク指令値Tbcに対して、ブレーキ操作量であるブレーキ液圧指令値Pbcは次式(23)で表すことができる。
Pbr=Tbr/(8・Ab・Rb・μb) ……(23)
【0068】
このようにして算出された、エンジントルク指令値Tec及びブレーキ液圧指令値Pbcは、それぞれ制駆動力制御装置20の制動制御装置及びエンジン出力制御装置に出力され、制駆動力制御装置20では、エンジントルク指令値Tecに応じたエンジントルク出力を発生させるためのスロットル開度指令値を算出し、これに応じてスロットルアクチュエータを駆動制御すると共に、ブレーキ液圧指令値Pbrで指定された制動力を発生させるよう制動制御装置を制御する。
【0069】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
今、図5に示すように、自車両Aの走行車線前方に、先行車M1及び先々行車M2が存在している。自車両Aはこれら車両M1及びM2と車々間通信を行い、自車両Aの走行情報を送信すると共に、前方車両(先行車M1及び先々行車M2)の走行情報を受信し、これら前方車両についてID番号を付与し、それぞれの走行情報をID番号で管理する。
【0070】
そして、受信した走行情報及び自車両の走行情報に基づいて自車両Aと先行車M1及び先々行車M2との間の車間距離及び相対速度を算出し、先行車M1及び先々行車M2についてそれぞれ設定した確保したい車間距離L1c及びL2cに相当する車間距離相当の距離を保って走行し得る第1の目標制駆動力F1c及びF2cを算出し、これらのうち何れか小さい方を、前方車両M1及びM2を制御対象とし、自車両Aと前方車両M1及びM2との車間距離が適切な距離となるようにし得る第1の目標制駆動力Fc1とする(ステップS1〜S3)。
【0071】
さらに、先行車M1と自車両Aとの相対関係に重みをおいた、自車両Aと先行車M1との車間距離が適切な車間距離となり得る第2の目標制駆動力Fc2を算出する。例えば、前記第1の算出方法を採用した場合には、自車両Aと先行車M1との車間距離が確保したい車間時間T12となり得る値に設定される(ステップS4)。
続いて自車両Aの運転者の加減速根拠を把握可能かどうかが推定され、このとき、例えば、図5に示すように、自車両A及び先々行車M2は走行車線の中央付近を走行しているが、先行車M1は、走行車線の右寄り或いは左寄りを走行しており、自車両A、先行車M1及び先々行車M2の位置情報から、自車両Aの運転者は先々行車M2を目視することが可能と予測されるときには、根拠把握フラグFdkは“0”に設定される(ステップS5)。
【0072】
このため、先行車M1及び先々行車M2と自車両Aとの相対関係が適切な相対関係となるように算出した第1の目標制駆動力Fc1が目標制駆動力Fcとして設定され、この第1の目標制駆動力Fc1が発生されるよう制御が行われる。
このため、自車両Aと先行車M1との車間距離及び自車両Aと先行車M2との車間距離が共にそれぞれ確保したい車間時間となるように自車両の制駆動力が制御されることになる。
【0073】
したがって、例えば、この状態から、先行車M1が車線変更した場合には、先行車がそれまでの先行車M1からそれまでの先々行車M2に切り替わることになるが、このとき、自車両Aでは、先行車M1との車間距離及び先行車M2との車間距離がそれぞれ適値となるように制駆動力を制御しているから、先行車が切り替わった場合であっても、自車両が大きく加減速することはなく、先行車の切り替わりに関わらず滑らかな走行を継続することができる。
【0074】
また、例えば、先行車M1及び先々行車M2が定速走行しており、自車両Aもこれらと所定の車間時間を保って定速走行している状態から、先々行車M2が減速した場合には、自車両Aでは、先行車M1及び先々行車M2との車間距離が所定の車間時間相当となるように制御されており、先々行車M2が減速した場合には先々行車M2との車間距離が所定の車間時間相当となるように制御されるため、先行車M1は定速走行しているのにも関わらず自車両Aは減速することになり、先行車M1と自車両Aとの間の車間距離が大きくなる。
【0075】
しかしながら、この場合、先行車M1、先々行車M2及び自車両Aは、図5に示す配置状況にあって、自車両Aの運転者は先々行車M2を目視確認可能な状態にあると推定され、すなわち、運転者は、先々行車M2が減速したことを認識することができるから、先行車M1との車間距離が大きくなるにも関わらず自車両Aが減速したとしても運転者は、違和感を覚えることはない。
このとき、例えば、自車両Aと先行車M1及び先々行車M2とがほぼ同一直線上を走行しており、その位置関係から自車両Aの運転者は先々行車M2を目視確認することは不可と推定されるときには、根拠把握フラグFdkは“1”に設定される。
【0076】
このため、目標制駆動力Fcとして、第2の目標制駆動力Fc2が設定されることになる。この第2の目標制駆動力Fc2は、先行車M1と自車両Aとの相対関係に重みをおいた車間距離制御により得られる値であるから、自車両Aと先行車M1との車間時間が所定の車間時間となり得る車間距離となるように、先行車M1との相対関係を優先して制駆動力制御が行われる。したがって、自車両Aと先行車M1との車間時間が所定の車間時間となるように制御が行われることから、先々行車M2が減速したとしても、これに伴って自車両Aが大きく減速することはなく車間距離が大きく広がることはない。したがって、自車両Aの運転者が先々行車M2を目視することができず、自車両Aが減速する根拠を把握することが困難な状態で自車両が減速することに起因して、運転者に違和感を与えることを回避することができる。
【0077】
また、例えば、自車両A、先行車M1、先々行車M2が定速走行している状態から、先行車M1が加速した場合、自車両A、先行車M1、先々行車M2が図5に示すように、先行車M1のみが走行車線の左寄り或いは右寄りを走行している状態であって自車両Aの運転者が先々行車M2を把握することが可能な状態にあるときには、根拠把握フラグFdkは“0”に設定される。したがって、先行車M1及び先々行車M2との車間距離が適切な車間距離となるように制駆動力制御が行われ、この場合には、先行車M1は加速しているが先々行車M2が定速走行をしていることから、自車両Aは先々行車M2との車間距離を確保するように定速走行することになる。このため、先行車M1は加速するのに対し自車両Aは定速走行しているため自車両Aと先行車M1との車間距離が開くことになるが、この場合、自車両Aの運転者は先々行車M2を目視確認しており先々行車M2は定速走行していることを認識しているから、自車両Aと先行車M1との間の車間距離が広がったとしても違和感を覚えることはない。
【0078】
このとき、自車両A及び先行車M1、先々行車M2がほぼ一直線上を走行している場合には、自車両A及び先行車M1、先々行車M2の位置座標から、自車両Aの運転者は先々行車M2を目視確認することはできないと推定されることから、根拠把握フラグFdkは“1”に設定される。このため、目標制駆動力Fcとして、第2の目標制駆動力Fc2が設定され、先行車M1との相対関係に重みをおいた制駆動力制御が行われ、先々行車M2が加速した場合であっても、自車両Aと先行車M1との車間距離が所定の車間時間相当の距離となるように制御されることから、自車両Aと先行車M1との車間距離が大きく開くことはなく、よって、自車両Aの運転者に違和感を与えることはない。
【0079】
また、自車両A、先行車M1、先々行車M2が定速走行している状態から、先々行車M2が減速し、且つ先行車M1が加速した場合、また、先々行車M2が減速し、且つ先行車M1が緩減速を行った場合等においても、自車両の前方車両それぞれを制御対象とした第1の目標制駆動力に基づいて制駆動力を制御するようにした場合には、先行車M1が加速しているのにも関わらず先々行車M2の減速に伴って自車両が減速するため自車両と先行車M1との間の車間距離が増大したり、また、先行車M1が緩減速しているにも関わらず、先々行車M2が比較的大きな減速度で減速したことに伴って、自車両も比較的大きな減速度で減速することになり、自車両と先行車M1との車間距離が開くことになる。
【0080】
このとき、自車両の運転者が先々行車M2を目視することができている場合には、先々行車M2が減速したことを認識することができるため、自車両と先行車M1との車間距離が開いた場合であっても、運転者は先々行車M2の減速に伴って自車両も減速したとして認識することができるため、違和感を覚えることはないが、先々行車M2を目視することができない場合には、減速する意図を運転者が把握していない状態で自車両が減速することになって、運転者に違和感を与える場合がある。しかしながら、前述のように、運転者が先々行車M2を目視することができないと予測されるときには、先行車M1と自車両との車間距離が所定の車間時間相当となるように制駆動力制御を行っているから、先々行車M2の減速に伴って先行車M1との車間距離が大きく開くことを抑制することができ、運転者に違和感を与えることを回避することができる。
【0081】
このように、自車両Aの運転者が、制駆動力制御による自車両の加減速についてその根拠を把握することができるかどうかを推定し、把握することができないと推定されるときには、先行車M1と自車両Aとの相対関係が適切な相対関係となるように制駆動力制御を行うようにしているから、自車両Aの運転者が加減速の根拠を把握していない状態で、自車両Aが加減速し、先行車M1と自車両Aとの車間距離が広がることによって運転者に違和感を与えることを回避することができる。
【0082】
また、第2の目標制駆動力Fc2として、先行車M1との車間距離が、所定の車間時間となるようにし得る制駆動力を用いることによって、先々行車M2の加減速走行状況に関わらず、先行車M1と自車両との車間距離を所定の車間時間相当の距離に維持することができる。
また、前記第2の目標制駆動力Fc2の算出方法として、第2の算出方法を適用した場合には、先行車M1との車間距離を所定の車間時間相当の距離に維持するための目標制駆動力と、先々行車M2との車間距離を所定の車間時間相当の距離に維持するための目標制駆動力にオフセット値α(α>0)を加算した値とが算出され何れか小さい方が第2の目標制駆動力Fc2として選択される。
【0083】
したがって、例えば、先行車M1、先々行車M2及び自車両Aが定速走行している状態から、先々行車M2が減速した場合には、先々行車M2と自車両Aとの間の車間時間が短くなるため、先々行車M2に対する目標制駆動力F2cは、より小さな値に算出されることになり、場合によっては、先行車M1に対する目標制駆動力F1cよりも小さな値となる場合があるが、先々行車M2に対する目標制駆動力F2cにオフセット値αを加算した値と、先行車M1に対する目標制駆動力Fc1とのうち、何れか小さい方が選択されるから、すなわち先行車M1に対する目標制駆動力F1cを、より確実に第2の目標制駆動力Fc2として選択することができる。
【0084】
したがって、先々行車M2を自車両の運転車が目視することができないと予測されるときには、先々行車M2が減速した場合であっても、自車両は、先行車M1との車間時間が所定の車間時間となるように制駆動力を制御し、先行車M1と自車両との車間距離は所定の車間時間相当の距離に引き続き維持される。よって、先行車M1が定速走行しているにも関わらず自車両が先々行車M2の減速に伴い減速し、先行車M1と自車両との車間距離が開くことによって自車両の運転者に違和感を与えることを回避することができることになる。
【0085】
また、このとき、先行車M1と自車両との車間時間が所定の車間時間となるように制駆動力制御を行っている状態から、先々行車M2の減速に伴って先々行車M2と自車両との車間時間が短くなり、先々行車M2に対する目標制駆動力F2cとオフセット値αとの和が、先行車M1に対する目標制駆動力F1cよりも小さくなったときには、先々行車M2に対する目標制駆動力F2cが、第2の目標制駆動力Fc2として選択され、先々行車M2との車間時間が所定の車間時間となるよう制駆動力が制御されることになる。したがって、先行車M1との車間距離を保ちつつ、先々行車M2との車間距離が短くなりすぎることを回避することができる。また、このとき、先々行車M2に対する目標制駆動力F2cにオフセット値α(α>0)を加算した値を第2の目標制駆動力Fc2としているから、先々行車M2に対する目標制駆動力F2cは、減速度が抑制されることになって、先行車M1との間の車間距離の拡大を抑制しつつ、先々行車M2との車間距離を確保することができる。
【0086】
このように、先行車M1との車間距離を保ちつつ、且つ先々行車M2との車間距離が短くなり過ぎることを回避することができるから、例えば、先々行車M2が減速している状態で、先行車M1が車線変更の目的等で加速した場合等であっても、先行車M1との車間距離に重みを置くことによって、先々行車M2と自車両との間の車間時間を確保することができるから、先行車M1が車線変更を行い、それまでの先々行車M2が新たな先行車となった場合でも、新たな先行車であるそれまでの先々行車M2と自車両との車間距離を十分確保することができ、先行車M1が車線変更し、先行車が車線変更をすることに伴って自車両に加減速度が発生することを抑制し、先行車の切り替わりに対して滑らかに追従制御を行うことができる。
【0087】
また、前記第2の目標制駆動力Fc2の算出方法として、第3の算出方法を適用した場合には、先々行車M2に対する車間時間T22として、先行車M1に対する車間時間T12近傍の値が設定され、この車間時間を確保し得る目標制駆動力F2cが算出されることになる。したがって、自車両Aの運転者が、先々行車M2を目視することができない状態で、先行車M1、先々行車M2、自車両が定速走行している状態から先々行車M2が減速した場合には、先々行車M2と自車両との車間距離が短くなるが、この場合、先々行車M2と自車両の車間時間として通常よりも短く且つ先行車M1に対する車間時間T11近傍の値T22が設定され、先々行車M2に対する目標制駆動力F2cとして通常よりも大きな値が算出されることになる。このため、第2の目標制駆動力Fc2として、先行車M1に対する目標制駆動力F1cが選択される傾向となって、先行車M1と自車両との車間時間が所定の車間時間となるように制御されることになる。したがって、先々行車M2の減速に伴って自車両が減速し先行車M1との車間距離が広くなることによって運転者に違和感を与えることを回避することができる。
【0088】
そして、先行車M2と自車両の間の車間時間が比較的短くなり、この先々行車M2との車間時間T22を確保するために必要な目標制駆動力F2cが、先行車M1との車間時間T11を確保するために必要な目標制駆動力F1cよりも小さくなると、先行車2に対する目標制駆動力F2cが、第2の目標制駆動力Fc2として選択されることになって、先々行車M2との車間時間が車間時間T22相当となるように制駆動力制御が行われる。したがって、先行車M1との車間時間を確保し、先行車M1との車間距離が広くなることによって運転者に違和感を与えることを回避しつつ、先々行車M2と自車両との車間距離が短くなりすぎることを回避することができる。
【0089】
また、第2の目標制駆動力Fc2の算出方法として前記第4の算出方法を適用した場合には、先行車M1に対する目標制駆動力F1cが、加速側に作用する制駆動力か減速側に作用する制駆動力かに応じて、先行車M1及び先々行車M2を制御対象として算出した第1の目標制駆動力Fc1が制限され、先行車M1に対する目標制駆動力F1cが加速側に作用する値であるとき、すなわち先行車M1と自車両との車間距離が広くなる傾向にあるときには、このときの第1の目標制駆動力Fc1が減速度を発生させるように作用する制駆動力である場合は、エンジンブレーキを作動させた場合の減速度よりも大きな減速度が自車両に発生しないように目標制駆動力Fc1が制限される。逆に、先行車M1に対する目標制駆動力F1cが減速側に作用する値であるときには、このときの第1の目標制駆動力F1cが加速度を発生させる値である場合は、車両に加速度が発生し得ない値に制限される。これによって、先行車M1に対する相対関係から自車両が加速する必要のある状態のときには、先々行車M2が減速したとしてもエンジンブレーキ相当程度の減速度に制限し、先行車M1と自車両との車間距離の点からは自車両が加速する必要があるにも関わらず、先々行車M2の減速に伴い減速度が発生しさらに車間距離が長くなることによって、運転者に違和感を与えることを回避し、且つ、先行車M1と自車両との相対関係から自車両が減速する必要のある状態のときには、第1の目標制駆動力Fc1を加速度が発生しない値に制限することによって、先行車M1との車間距離の点からは減速する必要があるにも関わらず、自車両が加速し、先行車M1と自車両との間の車間距離がさらに短くなって運転者に違和感を与えることを回避することができる。
【0090】
したがって、この場合も自車両の運転者が先々行車M2を目視することができない状態で、先々行車M2の走行状況に応じて、自車両の運転者がその根拠がわからないまま自車両に加減速度が発生することを回避することができる。
また、上述のように、自車両の運転者が先々行車M2を目視することができるかどうかに基づいて根拠把握フラグFdkを設定し、これに基づいて、第1及び第2の目標制駆動力Fc1及びFc2を切り替えるようにしているから、先々行車M2と自車両との相対関係の変化に伴って加減速度が発生することによって、運転者に違和感を与えることを的確に抑制することができる。
【0091】
また、例えば、車々間通信により獲得した先行車M1の走行情報の中のストップランプの作動情報から、先行車M1のストップランプが点灯していると判断される場合、或いは、先行車M1との車間時間が、例えば、確保したい車間時間のRx%以下まで短くなったとき、或いは、先行車M1との相対速度が、例えば、Vrx〔km/h〕以下であって自車両の車速の方が大きく自車両が先行車M1に接近する傾向にあるとき、或いは、先行車M1に対する衝突余裕時間がしきい値よりも短くなったとき等の場合にも、運転者は減速根拠がわかると判断して根拠把握フラグFdkは“0”に設定され、そうでない場合には根拠把握フラグFdkは“1”に設定される。このように、先行車M1の走行状況から減速の根拠を把握可能かどうかを検出して、根拠把握フラグFdkを設定し、これに応じて第1及び第2の目標制駆動力Fc1及びFc2を切り替えることによって、先行車M1と自車両との相対関係の変化に伴って自車両に発生する加減速度によって、自車両の運転者に違和感を与えることを回避することができる。
【0092】
また、先行車M1と自車両との相対関係から、所定時間以後に、0.06〔G〕以上の減速度が発生するか、または、車間距離L1が所定値以下となるか、相対速度VR1がしきい値以上となるか、衝突余裕時間(−L1/VR1)がしきい値以下となると予測されるときに、自車両が減速する根拠を短時間以内に認識できる予測し、これに応じて根拠把握フラグFdkを設定することによって、短時間以内に減速する根拠を認識することができると予測されるとき、すなわち、加減速度が発生したとしてもすぐにその加減速度が発生した根拠を運転者が把握することができると予測されるときには、第2の目標制駆動力Fc2への切り換えを行わないようにしているから、第1の目標制駆動力Fc1と第2の目標制駆動力Fc2とが頻繁に切り換えられることによって、却って車両挙動が不安定となることを回避することができる。
【0093】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図7は、第2の実施の形態における走行支援装置100aの機能構成を示す構成図である。なお、この第2の実施の形態における走行支援装置100aは、コントローラ10aの機能構成が異なること以外は第1の実施の形態と同様であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0094】
この第2の実施の形態におけるコントローラ10aは、図7に示すように、上記第1の実施の形態と同様に、自車両前方の複数の前方車両を制御対象とし、複数の前方車両と自車両との相対関係が適切な相対関係となるように自車両の車速を制御するための第1の目標制駆動力Fc1を算出する第1の目標制駆動力演算部11、自車両直前を走行する先行車に重みをおき、先行車と自車両との相対関係が適切な相対関係となるように自車両の車速を制御するための第2の目標制駆動力Fc2を算出する第2の目標制駆動力演算部12、制駆動力制御により自車両に生じる加減速度の根拠を自車両の運転者が把握しているかどうかを推定する加減速根拠把握推定部13を備えると共に、さらに、先行車の比較的急激な減速挙動を予測する先行車挙動予測部21と、この先行車挙動予測部21で予測した挙動で走行する先行車と自車両との相対関係に重みを置き、この相対関係が適値となるように自車両の車速を制御するための第3の目標制駆動力Fc3を算出する第3の目標制駆動力演算部22と、前記加減速根拠把握推定部13で推定される運転者の加減速根拠の把握状況と、前記先行車挙動予測部21で推定される先行車の急激な減速挙動の予測結果と、をもとに、前記第1の目標制駆動力演算部11、第2の目標制駆動力演算部12、第3の目標制駆動力演算部21のそれぞれで算出される第1から第3の目標制駆動力Fc1〜Fc3のうちの何れかを選択しこれを目標制駆動力Fcとして出力する目標制駆動力切り換え部23とを備えている。そして、この目標制駆動力切り換え部23で算出した目標制駆動力を実現するための、目標エンジントルクや目標ブレーキ液圧を制駆動力制御部15で算出する。
【0095】
図8は、コントローラ10aで実行される制駆動力制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、上記第1の実施の形態における制駆動力制御処理と同一処理部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
コントローラ10aでは、上記第1の実施の形態と同様に、車々間通信により、自車両の周辺に存在する周辺車両の走行情報を入力すると、各車両にID番号を付与し、各周辺車両からの走行情報を、ID番号と対応づけて所定の記憶領域に格納する。そして、各周辺車両についてその位置情報から、周辺車両の位置を把握し、自車両の走行路前方に位置する前方車両を制御対象車両として認識する。ここでは、自車両の前方車両として自車両直前の先行車及びこの先行車の直前を走行する先々行車の2台が存在する場合について説明する。
【0096】
この第2の実施の形態における制駆動力制御処理では、制御対象車両及び自車両についてその位置座標及び車速を読み込み(ステップS1)、自車両と各前方車両との間の車間距離及び相対速度を算出し(ステップS2)、自車両前方の複数の前方車両と自車両との相対関係が適切な相対関係となるように自車両の車速を制御するための第1の目標制駆動力Fc1を算出し(ステップS3)、先行車と自車両との相対関係が適切な相対関係となるように自車両の車速を制御するための第2の目標制駆動力Fc2を算出し(ステップS4)、自車両の運転者が、制駆動力制御により、自車両に加減速度が発生する根拠を把握可能かどうかを推定する(ステップS5)。
【0097】
そして、このようにして運転者が加減速根拠を把握可能かどうかを推定したならばステップS11に移行し、先行車の車両挙動を予測する。
まず、先々行車M2の現時点における、車速をV2i、加減速度をα2iとし、先行車M1の現時点における車速をV1iとする。
所定時間tの間に先々行車M2が進むと予測される距離予測値L2rは、次式(24)で表すことができる。また、先行車M1の加減速度を、予め設定した基準加減速度α1sとしたとき、先行車M1が所定時間tの間に進むと予測される距離予測値L1rは、次式(25)で表すことができる。なお、先行車M1の基準加減速度α1sは、自車両の制駆動力制御において設定されている最大減速度よりも低い値に設定される。また、先行車M1と先々行車M2との間の現時点における車間距離をL21iとしている。また、先々行車M2の現時点における加減速度α2iは、先行車M2で検出している加減速度を車々間通信により走行情報として獲得するか、或いは、車々間通信により獲得した先行車M2の車速に基づいてその変化率を算出することにより求めればよい。
L2r=V2i・t+0.5・α2i・t2 ……(24)
L1r=V1i・t+0.5・α1s・t2 ……(25)
【0098】
したがって、前記t時間後における先々行車M2と先行車M1との間の車間距離L21iは、次式(26)で表すことができる。
L21r=L2r−L1r+L21i ……(26)
また、前記(24)から(26)式から、次式(27)を満たす時間tが存在するとき、先行車M1は、減速度α1sで減速を行ったとしても、先々行車M2に接触するとみなすことができる。
0.5(α2i−α1s)・t2+(V2i−V1i)・t+L21i=0
……(27)
ここでは、前記(27)式を満足する「t」が存在するとき、つまり、減速度α1sで減速を行ったとしても先々行車M2に接触することから、減速度α1s以上の、比較的大きな減速度で先行車M1が減速すると予測されるときには、目標値切り替えフラグFdk3を“1”に設定し、そうでないときには、“0”に設定する。
【0099】
次いで、ステップS12に移行し、第3の目標制駆動力Fc3を算出する。この第3の目標制駆動力Fc3は、先行車M1が、前述の基準加減速度α1sで減速する車両であると仮定した場合に、この仮想先行車M1′と自車両Aとの間の車間距離が適値となるように制御するための制駆動力である。
具体的には、目標値切り替えフラグFdk3が“1”に切り替わった時点でt=0とし、サンプリング周期Δt毎に、次の手順で、第3の目標制駆動力Fc3を算出する。
【0100】
ここで、仮想先行車M1′の車速V3、仮想先行車M1′と自車両Aとの間の相対速度VR3、仮想先行車M1′と自車両Aとの間の車間距離L3は、次式(28)から(30)で表すことができる。なお、(28)式中のtは、目標値切り替えフラグFdk3が“1”に切り替わった時点、つまり、t=0からの経過時間を表す。この場合、サンプリング周期Δt毎に車速V3を算出するから、tはサンプリング周期毎に、Δtずつ増加する値となる。また、前記式中のV1(t=0)は、t=0のとき、つまり、目標値切り替えフラグFdk3が“1”に切り替わった時点における、先行車M1の車速である。また、L1(t=0)は、t=0のとき、つまり、目標値切り替えフラグFdk3が“1”に切り替わった時点における、仮想先行車M1′と自車両との間の車間距離である。また、仮想走行車両M1の車速V3は、V3>0、仮想先行車M1と自車両との間の車間距離L3は、L3>0を満足する値とする。
V3=V1(t=0)+α1s・t ……(28)
VR3=V3−V0 ……(29)
L3=L1(t=0)+∫VR3・dt ……(30)
【0101】
ここで、仮想先行車M1′と自車両Aとの間の確保したい車間時間をT3としたとき、車間距離指令値L3cは、例えば次式(31)で表すことができる。
L3c=T3・V3 ……(31)
そして、第3の目標制駆動力Fc3は、次式(32)から算出する。なお、式(32)中のKV3、KL3は制御ゲイン、Mvは自車車重である。
Fc3=〔VR3・KV3−(L3c−L3)・KL3〕・Mv ……(32)
なお、この第3の目標制駆動力Fc3の演算は、前記ステップS11の処理において、先行車M1が、減速度のしきい値α1sよりも大きな減速度で減速する可能性があると予測されないときには、行わなくてもよい。
【0102】
このようにして、ステップS12の処理で第3の目標制駆動力Fc3を算出したならば、ステップS13に移行し、前記ステップS5で推定した、運転者の加減速度の根拠の把握状況、すなわち、根拠把握フラグFdkと、ステップS11で予測した先行車の挙動予測結果、すなわち、目標値切り替えフラグFdk3とをもとに、ステップS3で算出した第1の目標制駆動力Fc1、ステップS4で算出した第2の目標制駆動力Fc2、ステップS12で算出した第3の目標制駆動力Fc3のうちの何れかを選択し、これを目標制駆動力Fcとして設定する。
【0103】
具体的には、図9に示す選択マップにしたがって、選択する目標制駆動力を切り替える。すなわち、根拠把握フラグFdkが“0”であって、運転者が加減速度の根拠を把握可能と推定されるときには、目標値切り替えフラグFdk3の設定値に関わらず、第1の目標制駆動力Fc1を、目標制駆動力Fcとして設定する。
【0104】
一方、根拠把握フラグFdkが“1”であって、運転者は加減速度の根拠を把握することは困難と推定されるときには、目標値切り替えフラグFdk3が“0”であって、先行車M1が比較的大きな減速度での減速はしないと予測されるときには、運転者が加減速度の根拠を把握することの可能な先行車M1との相対関係に重みを置いた第2の目標制駆動力Fc2を、目標制駆動力Fcとして設定する。このとき、運転者が加減速度の根拠を把握不可でありさらに、先行車M1が比較的大きな減速度で減速すると予測されるときには、仮想先行車M1′の挙動予測に重みを置いた、第3の目標駆動力Fc3を目標制駆動力Fcとして設定する。
【0105】
なお、ここでは、図9の選択マップに示すように、運転者が減速度の根拠を把握することは不可と推定され、且つ、先行車M1が比較的大きな減速度で減速すると予測されるときには、第3の目標制駆動力Fc3を選択し、仮想先行車M1′に対する自車両の相対関係に重みをおいて制駆動力制御を行う場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、第3の目標制駆動力Fc3と第1の目標制駆動力Fc1とのうち何れか減速度が大きな方を選択し、これを目標制駆動力Fcとして設定するようにしてもよい。
このようにして、目標制駆動力Fcを設定したならばステップS7に移行し、ステップS13で設定した目標制駆動力Fcに応じた制駆動力を発生するよう、制駆動力制御装置20を制御し、制動制御やエンジン出力制御を行って、目標制駆動力Fcを発生させる。
【0106】
次に、第2の実施の形態の動作を説明する。
前記図5に示すように、自車両Aの走行車線前方に、先行車M1及び先々行車M2が存在しているものとする。
自車両Aはこれら先行車M1及び先々行車M2と車々間通信を行い、自車両Aの走行情報を送信すると共に、先行車M1及び先々行車M2の走行情報を受信し、これら前方車両のそれぞれに対してID番号を付与し、それぞれの走行情報をID番号で管理する。
【0107】
そして、受信した走行情報及び自車両の走行情報に基づいて、先行車M1及び先々行車M2と自車両Aとの相対関係がそれぞれ適切な相対関係となるようにし得る第1の目標制駆動力Fc1を算出し(ステップS1〜S3)、さらに、先行車M1と自車両Aとの相対関係に重みをおいた第2の目標制駆動力Fc2を算出する(ステップS4)。
そして、自車両Aの運転者が加減速の根拠を把握可能かどうかを推定し、このとき、例えば、図5に示すように、自車両A及び先々行車M2は走行車線の中央付近を走行しているが、先行車M1は、走行車線の右寄り或いは左寄りを走行しているときには、自車両Aの運転者は先々行車M2を目視することが可能と予測し、根拠把握フラグFdkは“0”に設定される(ステップS5)。
【0108】
さらに、先行車M1の車速V1及び先々行車M2の車速及び加減速度に基づいて、先行車M1と先々行車M2との相対関係から、先行車M1が減速度のしきい値α1sよりも大きな減速度で減速する可能性があるかどうかを判断し、これに応じて目標値切り替えフラグFdk3を設定し、比較的大きな減速度で減速する可能性があると予測されるときには、先行車M1の挙動予測に重きをおき、減速すると予測される先行車M1と自車両との相対関係が適切な値となり得る第3の目標制駆動力Fc3を算出する。
【0109】
ここで、前述のように自車両及び先行車M1、先々行車M2が図5に示すような位置関係で走行しており、自車両Aの運転者が、先々行車M2を目視可能な状態で走行している場合には、根拠判断フラグFdkは“0”に設定される。このため、図9の選択マップから、第1の目標制駆動力Fc1が選択されこれが目標制駆動力Fcとして設定されるから、先行車M1及び先々行車M2と自車両との相対関係が適切な相対関係となるように制駆動力が制御されることになる。このため、自車両Aと先行車M1との車間距離、及び自車両Aと先々行車M2との車間距離がそれぞれ確保したい車間時間となるように自車両の制駆動力が制御されることになり、例えば、この状態から、先行車M1が車線変更した場合には、先行車がそれまでの先行車M1からそれまでの先々行車M2に切り替わることになるが、このとき、自車両Aでは、先行車M1との車間距離及び先行車M2との車間距離がそれぞれ適値となるように制御しているから、先行車が切り替わった場合であっても、自車両が大きく加減速することはなく、先行車の切り替わりに対して滑らかに移行することができる。
【0110】
また、例えば、先行車M1及び先々行車M2が定速走行しており、自車両Aもこれらと所定の車間時間を保って定速走行している状態から、先々行車M2が減速した場合には、自車両Aでは、先々行車M2との車間距離が車間時間相当となるように制御されるため、先行車M1は定速走行しているのにも関わらず自車両Aは減速することになり、先行車M1と自車両Aとの間の車間距離が大きくなる。
しかしながら、この場合、自車両Aの運転者は先々行車M2を目視確認可能な状態にあることから、先行車M1との車間距離が大きくなるにも関わらず自車両Aが減速したとしても運転者に違和感を与えることはない。
【0111】
このとき、例えば、自車両Aと先行車M1及び先々行車M2とがほぼ同一直線上を走行しており、その位置関係から自車両Aの運転者は先々行車M2を目視確認することは不可と推定されるときには、根拠把握フラグFdkは“1”に設定される。このとき、先行車M1がしきい値以上の大きさの減速度で減速する状況にないと予測されるときには、目標値切り替えフラグFdk3は“0”に維持されるから、図9の選択マップから第2の目標制駆動力Fc2が、目標制駆動力Fcとして設定される。
【0112】
このため、目標制駆動力Fcとして、第2の目標制駆動力Fc2が設定されることになる。この第2の目標制駆動力Fc2は、先行車M1と自車両との相対関係に重みをおいた車間制御により得られる値であるから、自車両Aと先行車M1との車間時間が所定の車間時間となり得る車間距離となるように制駆動力制御が行われる。したがって、自車両Aと先行車M1との車間距離が大きく開くことはない。したがって、自車両Aの運転者が先々行車M2を把握することができず、自車両Aが減速する根拠を把握することが困難な状態で自車両が減速することによって運転者に違和感を与えることを回避することができる。
【0113】
このとき、先行車M1の車両挙動予測において、先行車M1が減速度のしきい値よりも大きな減速度で減速すると予測されるときには、目標値切り替えフラグFdk3が“1”に設定されることから、図9の選択マップから、目標制駆動力Fcとして、第3の目標制駆動力Fc3が選択される。この第3の目標制駆動力Fc3は、減速度のしきい値よりも大きな減速度で減速すると予測される先行車M1が減速度α1sで減速したと仮定した場合の仮想先行車M1に対して、仮想先行車M1′と自車両Aとの相対関係が、適切な相対関係となり得るように自車両に制駆動力を発生し、先行車M1の減速を想定して自車両の制駆動力を制御しているから、先行車M1が減速した時点で十分な制動力を発生させることができ、安全性をより向上させることができる。
【0114】
このように、この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態と同等の作用効果を得ることができると共に、この第2の実施の形態においては、自車両の運転者が、加減速度が発生する根拠を把握することができないと推定されるときには、先行車M1と自車両との相対関係が適切な相対関係となるように制駆動力制御を行うだけでなく、先行車M1とその前方車両との相対関係から先行車M1の挙動を予測し、先行車M1が急減速すると予測されるときには、先行車M1の現在の走行状況に関わらず、先行車M1が急減速する可能性があると予測した時点でこれを考慮して自車両の制駆動力を発生させるようにしているから、先行車M1の急減速に備えて的確なタイミングで制動を行うことができる。したがって、先行車M1の急減速に伴って、自車両が急減速することを回避することができ、運転者が、減速根拠を認識できない状態で、急減速作用することを回避し、安全性をより向上させることができる。
【0115】
なお、ここでは、先々行車M2を目視可能かどうかに基づいて根拠把握フラグFdkを設定した場合について説明したが、上記第1の実施の形態と同様に、車々間通信により獲得した先行車M1の走行情報の中のストップランプの作動情報から、先行車M1のストップランプが点灯していると判断される場合、或いは、先行車M1との車間時間が、例えば、確保したい車間時間のRx%以下まで短くなったとき、或いは、先行車M1との相対速度が、例えば、Vrx〔km/h〕以下であって自車両の車速の方が大きく自車両が先行車M1に接近する傾向にあるとき、或いは、先行車M1に対する衝突余裕時間がしきい値よりも短くなったとき、さらに、先行車M1と自車両の相対関係から、自車両が減速する根拠を短時間以内に認識できると予測できるかどうかに応じて、根拠把握フラグFdkを設定すればよいことはもちろんである。同様に、前記第2の目標制駆動力Fc2の算出方法として前記第1から第4のいずれの算出方法を適用することも可能である。
【0116】
なお、上記各実施の形態においては、車々間通信により先行車や先々行車の現在位置や車速等の走行情報を獲得するようにした場合について説明したが、例えば、走行路側に設けたインフラ設備によって、自車両前方の車両の走行状況を検出し、自車両では、これを路車間通信によりインフラ設備から獲得し、これによって、自車両前方の車両の走行状況を獲得するようにしてもよい。
【0117】
ここで、上記各実施の形態において、車々間通信機1が走行情報獲得手段に対応し、図2及び図8のステップS3の処理が第1の目標制駆動力算出手段に対応し、ステップS4の処理が第2の目標制駆動力算出手段に対応し、ステップS5の処理が加減速根拠把握手段に対応し、ステップS6の処理が目標制駆動力選択手段に対応し、ステップS7の処理が制駆動力制御手段に対応している。
また、図8のステップS11の処理が先行車挙動推定手段に対応し、ステップS12の処理が第3の目標制駆動力算出手段に対応している。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の第1の実施の形態における走行支援装置の機能構成を示す構成図である。
【図2】図1のコントローラで実行される第1の実施の形態における制駆動力制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】車間距離制御演算における演算方法を説明するためのブロック図である。
【図4】自車両の位置を表すXY座標と自車両の進行方向をV軸とするUV座標との関係を表す説明図である。
【図5】自車両の運転者が先々行車を目視することができるかどうかの判断方法を説明するための説明図である。
【図6】図2の制駆動力制御処理で用いられるエンジンブレーキトルク算出マップの一例である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における走行支援装置の機能構成を示す構成図である。
【図8】第2の実施の形態における制駆動力制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】図8の制駆動力制御処理で用いられる選択マップの一例である。
【符号の説明】
【0119】
1 車々間通信機
2 車速センサ
3 自車位置特定装置
10、10a コントローラ
11 第1の目標制駆動力演算部
12 第2の目標制駆動力演算部
13 加減速根拠把握推定部
14 目標制駆動力切り換え部
15 制駆動力制御処理部
20 制駆動力制御装置
21 先行車挙動予測部
22 第3の目標制駆動力演算部




 

 


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