米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 車両 -> トヨタ自動車株式会社

発明の名称 車両の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15575(P2007−15575A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−199759(P2005−199759)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
発明者 佐久川 純 / 小城 隆博
要約 課題
車線維持性能と操舵フィーリングとが両立するように、操舵量の制御を行うことが可能な車両の制御装置を提供する。

解決手段
車両の制御装置は、車両の操舵制御を行うために好適に使用される。車両状態量検出手段は車速などの車両状態量を検出し、道路情報算出手段は車両が走行する道路の道路情報を算出し、偏向状態算出手段は道路に対する車両の偏向状態を算出する。車両外乱判定手段は、道路情報、偏向状態、及び車両状態量に基づいて、外乱が車両に生じているか否かを判定する。更に、操舵制御手段は、外乱が発生していると判定された場合に、外乱の度合いに基づいて操舵量の制御を行う。このように、上記の車両の制御装置によれば、外乱による影響を適切に抑制して、車両を適切にレーンキープさせることができる。更に、車両の制御装置によれば、外乱の度合いに応じて操舵量の制御を行うため、操舵量の制御によって運転者の操舵フィーリングが低下してしまうことを抑制することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
車両の車両状態量を検出する車両状態量検出手段と、
前記車両が走行する道路の道路情報を算出する道路情報算出手段と、
前記道路に対する前記車両の偏向状態を算出する偏向状態算出手段と、
前記道路情報、前記偏向状態、及び前記車両状態量に基づいて、前記車両に生じる外乱を判定する車両外乱判定手段と、
前記車両外乱判定手段の判定結果に基づいて操舵量の制御を行う操舵制御手段と、を備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記操舵量は、操舵トルクをアシストするための操舵トルクアシスト量であることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記操舵制御手段は、パワーステアリング装置に対して、前記操舵トルクアシスト量の制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記操舵制御手段は、前記外乱が発生した場合に、運転者の操舵に対する応答性が向上するように、前記操舵トルクアシスト量の制御を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記操舵制御手段は、ハンドル操作の入力軸と出力軸との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構に対して、前記応答性を向上させるための制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
運転者の操舵に対する応答性を上げるべき状況であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて操舵量の制御を行う操舵制御手段と、を備えることを特徴とする車両の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵制御を行う車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の走行ラインが目標走行ラインに維持されるように、即ち車両をレーンキープさせるために操舵トルクアシストを行う車両の制御装置が知られている。例えば、以下のような技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、操舵トルクを付与することによって、車両が車線から逸脱することを防止するレーンキープシステムが記載されている。特許文献2には、外乱発生時に舵角補正を行う車両制御装置が記載されている。特許文献3には、急転舵を判定した場合に、トルク制御モータや操舵制御モータを連動させて転舵量を増大させる技術が記載されている。特許文献4には、轍路面による外乱の影響を受けた場合に、外乱の影響を抑制するように操舵制御量を増加させる技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−105728号公報
【特許文献2】特開2003−291840号公報
【特許文献3】特開平6−336169号公報
【特許文献4】特開2001−180511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1乃至4に記載された技術では、車両をレーンキープさせる性能(車線維持性能)を向上させることによって、運転者の操舵フィーリングが低下してしまう場合があった。例えば、実際に車両の車輪に対して行われた操舵と、運転者の操舵とが大きく異なってしまい、運転者が違和感を覚える場合があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、車線維持性能と操舵フィーリングとが両立するように、操舵量の制御を行うことが可能な車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの観点では、車両の車両状態量を検出する車両状態量検出手段と、前記車両が走行する道路の道路情報を算出する道路情報算出手段と、前記道路に対する前記車両の偏向状態を算出する偏向状態算出手段と、前記道路情報、前記偏向状態、及び前記車両状態量に基づいて、前記車両に生じる外乱を判定する車両外乱判定手段と、前記車両外乱判定手段の判定結果に基づいて操舵量の制御を行う操舵制御手段と、を備える。
【0008】
上記の車両の制御装置は、車両の操舵制御を行うために好適に使用される。車両状態量検出手段は車速などの車両状態量を検出し、道路情報算出手段は車両が走行する道路の道路情報を算出し、偏向状態算出手段は道路に対する車両の偏向状態を算出する。車両外乱判定手段は、道路情報、偏向状態、及び車両状態量に基づいて、横風や路面の横方向の傾斜などの外乱が車両に生じているか否かを判定する。更に、操舵制御手段は、前記外乱が発生していると判定された場合に、外乱の度合いなどに基づいて操舵量の制御を行う。これにより、上記の車両の制御装置によれば、外乱による影響を適切に抑制して、車両を適切にレーンキープさせることができる。更に、車両の制御装置によれば、外乱の度合いに応じて操舵量の制御を行うため、操舵量の制御によって運転者の操舵フィーリングが低下してしまうことを抑制することができる。
【0009】
上記の車両の制御装置の一態様では、前記操舵量は、操舵トルクをアシストするための操舵トルクアシスト量である。
【0010】
この態様では、車両の制御装置は、外乱の度合いに応じた操舵トルクアシス量の制御を行なう。これにより、外乱発生時の車線維持性能を確保しつつ、操舵フィーリングの低下を適切に抑制することができる。したがって、上記の車両の制御装置によれば、車線維持性能と操舵フィーリングを両立することが可能となる。
【0011】
好適な1つの実施例では、前記操舵制御手段は、パワーステアリング装置に対して、前記操舵トルクアシスト量の制御を行うことができる。
【0012】
上記の車両の制御装置の他の一態様では、前記操舵制御手段は、前記外乱が発生した場合に、運転者の操舵に対する応答性が向上するように、前記操舵トルクアシスト量の制御を行う。
【0013】
この態様では、操舵制御手段は、外乱が発生した場合に、運転者の操舵に対する応答性が向上するように操舵トルクアシスト量の制御を行う。これにより、運転者はハンドルを大きく操作せずに、外乱を回避することが可能となる。
【0014】
好適には、前記操舵制御手段は、ハンドル操作の入力軸と出力軸との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構に対して、前記応答性を向上させるための制御を行うことができる。この場合、操舵制御手段は、操舵角速度と操舵トルクアシスト量との関係を規定する微分ステアゲインを外乱の度合いに基づいて補正し、補正した微分ステアゲインと操舵角速度とを用いて操舵トルクアシスト量を算出する。そして、操舵制御手段は、算出された操舵トルクアシスト量によって伝達可変機構を制御する。
【0015】
本発明の他の観点では、車両の制御装置は、運転者の操舵に対する応答性を上げるべき状況であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて操舵量の制御を行う操舵制御手段と、を備える。
【0016】
上記の車両の制御装置は、運転者の操舵に対する応答性を上げるべき状況であるか否かを判定手段によって判定し、操舵の応答性を上げるべき状況であると判定された場合には、操舵制御手段によって操舵量の制御を行う。これによっても、操舵フィーリングを低下することを抑制して、車両を適切にレーンキープさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0018】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0019】
(車両の構成)
図1は、第1実施形態に係る車両の制御装置が適用された、車両50の概略構成を示す模式図である。なお、図1は、上方から車両50を観察した図であり、左が車両50の前で、右が車両50の後ろを示している。
【0020】
車両50は、主に、前輪2fと、後輪2rと、操舵軸3と、ハンドル4と、操舵角センサ5と、車速センサ6と、カメラ7と、EPS(Electric Power Steering)アクチュエータ8と、ECU(Electric Control Unit)20と、を備える。
【0021】
前輪2fは、操舵軸3に接続されており、操舵軸3によって車両50に対する方向が変えられる。ハンドル4は、運転者が車両50を旋回させるために操作され、運転者による操舵力はステアリングシャフト4aを介してEPSアクチュエータ8に伝達される。
【0022】
運転者がハンドル4を回転させた角度(操舵角)は、操舵角センサ5によって検出される。そして、操舵角センサ5が検出した操舵角は、ECU20に検出信号S5として出力される。車速センサ6は、車両50の速度(車速)を検出し、検出した車速を検出信号S6としてECU20に出力する。カメラ7は、車両50が走行している道路を撮影して、撮影した画像を画像信号S7(画像情報に対応する)としてECU20に出力する。
【0023】
EPSアクチュエータ8は、運転者のハンドル操作に対応する操舵量を変化(例えば増幅)させることが可能な装置である。具体的には、EPSアクチュエータ8は、モータなどによって構成され、ECU20から供給される制御信号S8によって制御される。EPSアクチュエータ8は、制御信号S8に対応するトルクを発生し、このトルクを操舵軸3に対して伝達する。このように、EPSアクチュエータ8は、パワーステアリング装置として機能し、操舵トルクをアシストする。
【0024】
ECU20は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インタフェイスなどを有している。ECU20は、上記した各種センサから出力される信号に基づいて、車両50がレーンキープされるように操舵制御を行う。詳しくは、ECU20は、車両50に生じる外乱(横風や路面の横方向の傾斜など)を判定し、この判定結果に基づいて操舵量の制御を行う。即ち、ECU20は、通常の走行時(外乱が発生していない場合)にレーンキープさせるために車両50に付与する操舵量(以下、この操舵量を「通常の操舵量」と呼ぶ。)を、外乱が発生した場合に大きくする制御を行う。具体的には、ECU20は、EPSアクチュエータ8を制御することによって、操舵トルクアシスト量の制御を行う。このように、ECU20は、道路情報算出手段、偏向状態算出手段、車両外乱判定手段、及び操舵制御手段として機能する。
【0025】
ここで、第1実施形態に係る操舵制御を行う際に用いられる目標操舵量の算出方法について説明する。第1実施形態では、外乱に応じて操舵トルクアシストするための操舵量を変化させるが、上記の目標操舵量は、変化させる前の基礎となる操舵量である。具体的には、目標操舵量は、車速などの車両状態量と、車両50が走行する道路情報と、車両50と道路との偏向状態とに基づいて、ECU20によって算出される。
【0026】
まず、道路情報及び偏向状態を算出する方法について説明する。これらの道路情報及び偏向状態は、ECU20が、カメラ7から供給される画像信号S7に基づいて画像処理を行うことによって得られる。具体的には、ECU20は、取得した画像信号S7から道路上の白線(車線)やガードレールなどを画像認識して、画像認識された情報に基づいて道路情報及び偏向状態を算出する。
【0027】
ここで、ECU20が算出する道路情報及び偏向状態について、図2を用いて具体的に説明する。図2は、旋回中の車両50の様子を示した図である。まず、ECU20は、カメラ7が撮影した画像から白線H1、H2を画像認識する。そして、ECU20は、画像認識された白線H1、H2に基づいて、道路情報として道路の曲率半径Rを算出すると共に、偏向状態として車線オフセットD及び車線ヨー角θを算出する。車線オフセットDは、道路の中心線C1に対して車両50の中心線C2がずれている量であり、車線ヨー角θは、道路の接線方向C3と車両50の中心線C2とがなす角度、即ち道路に対して車両50が傾いている角度である。なお、ECU20が画像信号S7に基づいて画像処理を行うことに限定はされず、車両50内に画像処理装置などを別途設けて、この画像処理装置が画像処理を行ってもよい。
【0028】
次に、上記した道路情報に基づいて行われる目標操舵量の算出方法について、図3を用いて説明する。図3は、目標操舵量の算出を行うECU20内の処理部を示したブロック図である。
【0029】
ECU20は、目標操舵量算出部21と、目標操舵トルク算出部22と、を備えている。目標操舵量算出部21は、車速センサ6から車速Vを取得すると共に、前述した画像処理によって得られた曲率半径R、車線オフセットD、及び車線ヨー角θを取得する。目標操舵量算出部21による目標操舵量の算出方法は、以下の通りである。
【0030】
目標操舵量算出部21は、まず、第1目標操舵量δf1、第2目標操舵量δf2、及び第3目標操舵量δf3を算出する。第1目標操舵量δf1は、車速Vと曲率半径Rに基づいて算出され、第2目標操舵量δf2は、車速Vと車線オフセットDに基づいて算出され、第3目標操舵量δf3は、車速Vと目標ヨー角θに基づいて算出される。具体的には、第1目標操舵量δf1、第2目標操舵量δf2、及び第3目標操舵量δf3は、それぞれ以下の式(1)〜式(3)によって得られる。なお、「K1」、「K2」、「K3」は制御ゲインを示し、「L」は車両50のホイールベースを示し、「Kh」はスタビリティファクタを示している。
【0031】
δf1=K1×(1+Kh×V2)×L/R 式(1)
δf2=K2×D×V 式(2)
δf3=K3×θ×V 式(3)
次に、目標操舵量算出部21は、式(1)〜式(3)によって得られた第1目標操舵量δf1、第2目標操舵量δf2、及び第3目標操舵量δf3を加算する処理を行う。このようにして加算された値が、目標操舵量に対応する。そして、目標操舵量算出部21は、得られた目標操舵量を目標操舵トルク算出部22に供給する。
【0032】
目標トルク算出部22は、目標操舵量をトルクに換算することによって目標操舵トルクを得る。このように目標操舵量をトルクに換算するのは、EPSアクチュエータ8がトルクを出力するためである。そして、目標トルク算出部22は、得られた目標操舵トルクをEPSアクチュエータ8に供給する。この場合、EPSアクチュエータ8は、目標操舵トルクを出力する。これにより、前輪2fは、目標操舵トルクに対応する操舵量(目標操舵量)に基づいて操舵される。例えば、前輪2fは、運転者のハンドル操作に対応する操舵量に対して、上記の目標操舵量を加算した操舵量によって操舵される。
【0033】
(操舵制御処理)
次に、第1実施形態に係る操舵制御処理について、図4を用いて説明する。
【0034】
図4は、第1実施形態に係る操舵制御処理を示すフローチャートである。この処理は、車両50に生じる外乱の有無に基づいて操舵量の制御を行うために実行される。なお、この処理は、ECU20によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0035】
まず、ステップS101では、ECU20は、付加操舵トルクゲインを「0」に設定する。即ち、付加操舵トルクゲインを初期化する。なお、付加操舵トルクゲインについては、詳細は後述する。以上の処理が終了すると、処理はステップS102に進む。
【0036】
ステップS102では、ECU20は、車両50内のセンサから車両状態量を取得する。例えば、ECU20は、車速Vを車速センサ6から取得すると共に、操舵角を操舵角センサ5から取得する。そして、処理はステップS103に進む。
【0037】
ステップS103では、ECU20は、カメラ7から画像情報を取得して、道路情報及び偏向状態を算出する。具体的には、ECU20は、取得された画像情報から白線などを画像認識することによって、曲率半径R、車線オフセットD、及び車線ヨー角θを算出する。そして、処理はステップS104に進む。
【0038】
ステップS104では、ECU20は、ステップS102で取得した車両状態量と、ステップS103で算出された道路情報及び偏向状態に基づいて、目標操舵トルクを算出する。具体的には、ECU20は、第1目標操舵量δf1、第2目標操舵量δf2、及び第3目標操舵量δf3を算出して、これらを加算することによって目標操舵量を得る。そして、ECU20は、目標操舵量をトルク換算することによって目標操舵トルクを得る。以上の処理が終了すると、処理はステップS105に進む。
【0039】
ステップS105では、ECU20は、車両50に外乱が発生しているか否かを判定する。具体的には、ECU20は、以下の(a)〜(c)の条件が全て満たされている場合に、外乱が発生していると判定する。
【0040】
(a)算出された曲率半径Rが所定値以上である場合
(b)操舵角速度が所定値以下である場合
(c)車線オフセットDの変化量が所定値以上である場合
(a)に該当する場合は、車両50が概ね直線の道路を走行していることを示している。(b)に該当する場合は、運転者がハンドル4をほとんど操作していないことを示している。(c)に該当する場合は、車両50が目標とする走行ラインから大きく外れていることを示している、即ち車両偏向が発生していることを示している。これらの(a)〜(c)の条件を全て満たしている場合には、運転者の操舵によって車両50が操舵されているのではなく、車両50が外乱によって操舵されていると言える。
【0041】
外乱が発生していると判定された場合(ステップS105;Yes)には、処理はステップS106に進み、外乱が発生していないと判定された場合(ステップS105;No)には、処理はステップS107に進む。
【0042】
ステップS106では、ECU20は、付加操舵トルクゲインを算出する。この付加操舵トルクゲインは、ステップS104で算出された目標操舵トルクを変化させるために用いるゲインである。具体的には、付加操舵トルクゲインは、目標操舵トルクに対して乗算するために用いられる。目標操舵トルクに対して付加操舵トルクゲインを乗算したトルク(以下、このトルクを「最終目標トルク」と呼ぶ。)が、最終的にEPSアクチュエータ8から出力される。例えば、ECU20は、車線オフセットDの単位時間当たりの変化量(即ち微分値)が「1(m/s)」未満である場合には、付加操舵トルクゲインを「0」程度に設定し、車線オフセットDの単位時間当たりの変化量が「1(m/s)」以上である場合には、付加操舵トルクゲインを「1.5」程度に設定する。以上の処理が終了すると、処理はステップS107に進む。
【0043】
ステップS107では、ECU20は、ステップS104で得られた目標操舵トルクと、ステップS106で得られた付加操舵トルクゲインに基づいて、最終目標トルクを算出する。具体的には、ECU20は、「最終目標トルク=付加操舵トルクゲイン×目標操舵トルク」の演算式に従って、最終目標トルクを得る。
【0044】
外乱が発生していない場合には、即ち「ステップS105;No」の判定を経て、ステップS107の処理を行っている場合には、付加操舵トルクゲインはステップS101において「0」に設定されたままであるので、ステップS107で算出される最終目標トルクは「0」となる。つまり、外乱が発生していない場合には、操舵トルクアシストが行われない。一方、外乱が発生している場合には、外乱の度合いに応じた最終目標トルクが算出される。したがって、大きな外乱が生じている場合には、操舵トルクアシストが行われる度合いが大きく、小さな外乱が生じている場合には、操舵トルクアシストはほとんど行われない。
【0045】
以上のステップS107の処理が終了すると、処理はステップS108に進む。ステップS108では、ECU20は、ステップS107で算出された最終目標トルクを制御信号S8をとしてEPSアクチュエータ8に供給することによって、EPSアクチュエータ8を駆動する。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
【0046】
このように、第1実施形態に係る操舵制御処理によれば、外乱が発生した場合に、通常の操舵量よりも大きな操舵量を車両51に対して付与するため、外乱が発生した車両50を適切にレーンキープさせることができる。更に、外乱の度合いに応じて操舵量を変化させるので、無駄に操舵トルクアシストが行われることを抑制することができるため、操舵トルクアシストに起因する運転者の操舵フィーリングの低下を抑制することができる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明を行う。
【0048】
(車両の構成)
図5は、第2実施形態に係る車両の制御装置が適用された車両51の概略構成を示す模式図である。なお、図5は、上方から車両51を観察した図であり、左が車両51の前で、右が車両51の後ろを示している。
【0049】
第2実施形態に係る車両51は、VGRS(Variable Gear Ratio Steering)アクチュエータ9を有し、ECU20の代わりにECU30を有する点で、上記した第1実施形態に係る車両50と構成が異なる。ここでは、同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
VGRSアクチュエータ9は、運転者のハンドル操作に対応する操舵量を変化(例えば増幅)させることが可能な装置である。具体的には、VGRSアクチュエータ9は、モータや可変ギヤなどを備え、ステアリングシャフト4aの入力軸4aaと出力軸4abとを可変ギヤ部分において連結させている。したがって、VGRSアクチュエータ9は、運転者によるハンドル操作が入力される入力軸4aの回転と異なる回転数によって出力軸4abを回転させることができる。これにより、運転者のハンドル操作に対応する操舵量よりも大きな操舵量によって前輪2fを操舵させることが可能となる。このように、VGRSアクチュエータ9は、伝達比可変機構として機能し、操舵トルクをアシストする。
【0051】
また、VGRSアクチュエータ9は、ECU30から供給される制御信号S9によって制御される。具体的には、VGRSアクチュエータ9内の可変ギヤなどが、制御信号S9に対応する角度(以下、この角度を「目標制御角」と呼ぶ。)に設定される。
【0052】
ECU30は、車両51内の各種センサから出力される信号に基づいて、車両51がレーンキープされるように操舵制御を行う。詳しくは、ECU30は、車両51に生じる外乱の有無を判定し、この判定結果に基づいて操舵量の制御を行う。即ち、ECU30は、外乱が発生した場合に、通常の操舵量よりも大きな操舵量が車両51に付与されるように制御を行う。具体的には、第2実施形態に係るECU30は、EPSアクチュエータ8とVGRSアクチュエータ9の両方を制御することによって、操舵トルクアシスト量の制御を実行する。
【0053】
ここで、VGRSアクチュエータ9に設定する目標制御角の算出方法について、図6を用いて説明する。図6は、目標制御角の算出を行うECU30の処理部を示すブロック図である。
【0054】
ECU30は、第1目標制御角算出部31と、第2目標制御角算出部32と、第3目標制御角算出部33と、加算器34と、を備えている。なお、ECU30には、操舵角センサから操舵角が入力されると共に、車速センサ6から車速が入力される。また、ECU30内の処理部(不図示)において、取得された操舵角から操舵角速度を算出する処理が行われる。これらの操舵角、車速、操舵角速度は、目標制御角を算出する際に用いられる。
【0055】
第1目標制御角算出部31は、操舵角と車速を取得し、これらに基づいて第1目標制御角を算出する。具体的には、第1目標制御角算出部31は、車速とステアリングギヤ比によって規定されるマップを参照して第1目標制御角を得る。
【0056】
第2目標制御角算出部32は、操舵角と車速を取得し、これらに基づいて第2目標制御角を算出する。具体的には、第2目標制御角算出部32は、操舵角と加算アクチュエータ角を車速に応じて制限するために用いるマップを参照して第2目標制御角を得る。
【0057】
第3目標制御角算出部33は、車速と操舵角速度を取得し、これらに基づいて第3目標制御角を算出する。具体的には、第3目標制御角算出部33は、まず、車速と微分ステアゲイン(「微分ステアゲイン」は、操舵角速度に比例した操舵角の加減算量を意味する。)によって規定されるマップを参照して、現在の車速に対応する微分ステアゲインを決定する。このマップによれば、車速が大きい場合には、比較的大きな微分ステアゲインが決定される。詳しくは、車速が所定値を超えた場合には、微分ステアゲインは小さくなっていく。更に、第3目標制御角算出部33は、操舵角速度と微分ステアゲインとを乗算し、乗算して得られた値に対して制限を行う。例えば、第3目標制御角算出部33は、乗算した得られた値が第1の所定値以上である場合には第1の所定値を出力し、乗算した得られた値が第2の所定値(第2の所定値<第1の所定値)以下である場合には第2の所定値を出力する。そして、第3目標制御角算出部33は、このようにして得られた値を第3目標制御角として出力する。この第3目標制御角は、ハンドル操作速度(即ち操舵角速度)が速いほど大きな値となる。
【0058】
加算器34は、第1目標制御角、第2目標制御角、及び第3目標制御角を加算する処理を行う。このようにして加算された値が、VGRSアクチュエータ9に対して設定すべき目標制御角に対応する。加算器34は、この目標制御角をVGRSアクチュエータ9に対して出力する。これにより、VGRSアクチュエータ9は目標制御角に設定され、ステアリング4の出力軸4abは入力軸4aaの回転数と異なる回転数で回転する。例えば、前輪2fは、運転者のハンドル操作に対応する操舵量よりも大きな操舵量によって操舵される。
【0059】
(操舵制御処理)
次に、第2実施形態に係る操舵制御処理について、図7を用いて説明する。
【0060】
図7は、第2実施形態に係る操舵制御処理を示すフローチャートである。この処理は、車両51に生じる外乱の有無に基づいて操舵量の制御を行うために実行される。詳しくは、第2実施形態に係る操舵制御処理は、EPSアクチュエータ8だけでなく、VGRSアクチュエータ9の制御も行う点で、第1実施形態に係る操舵制御処理とは異なる。なお、この処理は、ECU30によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0061】
ステップS201〜ステップS204では、ECU30は、前述した第1実施形態に係る操舵制御処理におけるステップS101〜ステップS104と同様の処理によって、EPSアクチュエータ8から出力させる目標操舵トルクを算出する。そして、処理はステップS205に進む。
【0062】
ステップS205では、ECU30は、前述したステップS105と同様の方法によって、車両51に外乱が発生しているか否かを判定する。外乱が発生していると判定された場合(ステップS205;Yes)には、処理はステップS206に進む。一方、外乱が発生していないと判定された場合(ステップS205;No)には、処理は当該フローを抜ける。この場合には、操舵トルクアシストは行わない。
【0063】
ステップS206では、ECU30は、第3目標制御角算出部33で第3目標制御角を算出するために用いられる微分ステアゲインを補正する処理を行う。例えば、ECU30は、微分ステアゲインに対して補正値を乗算する。この補正値は、外乱の度合いによって決定される。そのため、外乱が大きいほど微分ステアゲインは大きな値に補正される。
【0064】
前述したように、微分ステアゲインは、第3目標制御角と操舵角速度との関係を規定する変数であるため、微分ステアゲインを大きくすることにより、算出される第3目標制御角も大きくなる。したがって、最終的にVGRSアクチュエータ9に設定される目標制御角は、操舵角速度が同一であっても、微分ステアゲインを補正した場合には補正しない場合よりも大きくなる。つまり、微分ステアゲインを補正することにより、目標制御角に対して与える操舵角速度の影響が大きくなる。これにより、運転者が急に操舵した際(操舵角速度が速い場合)に、VGRSアクチュエータ9に設定する目標制御角を大きくすることによって、前輪2fを即座に操舵させることが可能となる。即ち、運転者のハンドル操作に対する前輪2fの操舵の応答性を向上させることができる。以上のステップS206の処理が終了すると、処理はステップS207に進む。
【0065】
ステップS207では、ECU30は、ステップS204で算出された目標操舵トルクによってEPSアクチュエータ8を制御すると共に、ステップS206で補正された微分ステアゲインを用いてVGRSアクチュエータ9を制御する。具体的には、ECU30内の第3目標制御角算出部33は、補正した微分ステアゲインを用いて第3目標制御角を算出する。そして、ECU30は、上記のようにして算出された第3目標制御角と、第1目標制御角算出部31で算出された第1目標制御角と、第2目標制御角算出部32で算出された第2目標制御角とを加算して得られた目標制御角を、VGRSアクチュエータ9に対して設定する。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
【0066】
このように、第2実施形態に係る操舵制御処理では、外乱が発生した場合に、EPSアクチュエータ8だけでなく、VGRSアクチュエータ9も用いて操舵トルクアシストを行う。そのため、外乱が生じたときに、操舵の応答性を向上させることができる。例えば、外乱が生じ、運転者が急に操舵した場合に、操舵に対する応答性を向上させることができる。以上より、運転者はハンドル4を大きく操作せずに、外乱を回避することが可能となる。したがって、第2実施形態によれば、外乱発生時においても適切に車両51をレーンキープさせることができると共に、操舵トルクアシストに因る運転者の操舵フィーリングの低下を効果的に抑制することができる。
【0067】
[変形例]
本発明は、外乱が発生した場合に、操舵トルクアシスト量を変化させる操舵制御を実行することに限定はされない。他の例では、操舵の応答性を高める必要がある状況が発生した場合に、VGRSアクチュエータ9などを用いて操舵トルクアシストを行うことができる。
【0068】
また、本発明は、EPSアクチュエータ8のみを用いて操舵制御を行うこと、及びEPSアクチュエータ8とVGRSアクチュエータ9の両方を用いて操舵制御を行うことに限定はされない。他の例では、VGRSアクチュエータ9のみを用いて操舵制御を行うことができる。これによっても、操舵の応答性を向上させ、操舵フィーリングの低下を抑制することができる。
【0069】
更に、本発明は、操舵量の制御として、運転者の操舵をアシストするための操舵トルクアシスト量を制御することに限定はされない。他の例では、運転者が操舵しない場合(例えば自動運転)においても、操舵量の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両の概略構成を示す模式図である。
【図2】道路情報及び偏向状態の具体例を説明するための図である。
【図3】第1実施形態に係るECUの概略構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る操舵制御処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る車両の概略構成を示す模式図である。
【図6】第2実施形態に係るECUの概略構成を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態に係る操舵制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
2f 前輪
2r 後輪
3 操舵軸
4 ハンドル
5 操舵角センサ
6 車速センサ
7 カメラ
8 EPSアクチュエータ
9 VGRSアクチュエータ
20、30 ECU
50、51 車両




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013