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発明の名称 操舵装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15545(P2007−15545A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−198948(P2005−198948)
出願日 平成17年7月7日(2005.7.7)
代理人 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
発明者 岩▲崎▼ 克彦 / ラッタポン チュムサムット / 河上 清治 / 片岡 寛暁
要約 課題
横断勾配に応じた適切な操舵トルクを付与することできる操舵装置を提供することを課題とする。

解決手段
撮像手段により走行路を撮像し、車両が走行路の所定位置に沿って走行するように操舵機構に操舵トルクを付与する操舵装置において、走行路の所定位置に対する車両位置の偏差を積分し、走行路の所定位置に対する右側分の積分値を求める第1積分手段と、走行路の所定位置に対する車両位置の偏差を積分し、走行路の所定位置に対する左側分の積分値を求める第2積分手段と、走行路の所定位置に対する車両位置の偏差と走行路の所定位置からの所定距離に基づいて第1積分手段と第2積分手段とを切り替える切替手段と、切替手段で切り替えた積分手段の積分値に基づいて操舵機構に付与する操舵トルクを設定する操舵トルク設定手段とを備え、走行路の所定位置からの所定距離を走行路の曲率に基づいて決定することを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
撮像手段により走行路を撮像し、車両が走行路の所定位置に沿って走行するように操舵機構に操舵トルクを付与する操舵装置において、
走行路の所定位置に対する車両位置の偏差を積分し、走行路の所定位置に対する右側分の積分値を求める第1積分手段と、
走行路の所定位置に対する車両位置の偏差を積分し、走行路の所定位置に対する左側分の積分値を求める第2積分手段と、
走行路の所定位置に対する車両位置の偏差と走行路の所定位置からの所定距離に基づいて前記第1積分手段と前記第2積分手段とを切り替える切替手段と、
前記切替手段で切り替えた積分手段の積分値に基づいて操舵機構に付与する操舵トルクを設定する操舵トルク設定手段と
を備え、
走行路の曲率が大きいときは走行路の曲率が小さいときより前記第1積分手段と前記第2積分手段との切り替えが行われ難くすることを特徴とする操舵装置。
【請求項2】
前記走行路の所定位置からの所定距離を走行路の曲率に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載する操舵装置。
【請求項3】
前記走行路の所定位置からの所定距離を走行路の曲率が大きくなるほど大きくすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する操舵装置。
【請求項4】
撮像手段により走行路を撮像し、車両が走行路の所定位置に沿って走行するように操舵機構に操舵トルクを付与する操舵装置において、
走行路の所定位置に対する車両位置の偏差を積分し、走行路の所定位置に対する右側分の積分値を求める第1積分手段と、
走行路の所定位置に対する車両位置の偏差を積分し、走行路の所定位置に対する左側分の積分値を求める第2積分手段と、
走行路の所定位置に対する車両位置の偏差と走行路の所定位置からの所定距離に基づいて前記第1積分手段と前記第2積分手段とを切り替える切替手段と、
前記切替手段で切り替えた積分手段の積分値に基づいて操舵機構に付与する操舵トルクを設定する操舵トルク設定手段と
を備え、
前記切替手段は、前記第1積分手段または前記第2積分手段のいずれか一方の積分手段に切り替えられている状態で、当該切り替えられている一方の積分手段の他方側における走行路の所定位置に対する車両位置の偏差が走行路の所定位置からの所定距離の絶対値以下の場合、当該切り替えられている一方の積分手段の積分値が0あるいは0近傍のときに他方の積分手段に切り替えることを特徴とする操舵装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行路の撮像画像により車両が走行路の所定位置に沿って走行するように操舵機構に操舵トルクを付与する操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
操舵装置には、車両前方の走行路の撮像画像から車線を認識し、車両が車線中央に沿って走行するように操舵トルクを操舵機構に付加するレーンキープ装置がある。レーンキープ装置では、認識した車線と車両との関係から走行路のカーブ半径(曲率)、車線に対する車両のヨー角、車線中心からの車両のオフセットなどを求め、これらのパラメータに基づいて付加操舵トルクを設定する。また、操舵装置には、車両挙動に影響を及ぼす外乱(横風など)の発生時に、外乱を打ち消すための修正操舵トルクを操舵機構に付加するものもある(特許文献1参照)。この操舵装置では、横加速度やヨーレート及び操舵角や操舵トルクに基づいて外乱影響値を設定したり、あるいは、外乱による定常偏差を除去するために、横加速度の2階時間積分値(車両横方向位置変化量)やヨーレートの1階時間積分値(ヨー角)から求められる外乱による車両挙動の積算値の正の相関値として外乱影響値を設定する。このように積分値を利用して制御を行うものとしては、レーンキープ装置でも、車線中心からの車両のオフセットの時間積分値も考慮して付加操舵トルクを設定するものがある。
【特許文献1】特開2001−1923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
道路には、排水やカーブの方向などを考慮し、道路の左右どちらかの方向に傾けた横断勾配が設けられている。そのため、車両には、横断勾配の影響により、道路の右方向または左方向に向かって重力成分が作用する。従来のオフセットの積分値も用いるレーンキープ装置では、オフセットの積分値に基づいて、重力成分が作用する方向とは逆方向に付加する付加操舵トルクを設定している。
【0004】
しかし、カーブに進入し、カーブの方向に応じて横断勾配の方向が急に変わると、車両に作用する重力成分の方向も変わる。その結果、カーブに進入する前に付加していた操舵トルクの方向とカーブ進入後の重力成分が作用する方向とが同じ方向となる。そのため、車両に対してその重力成分が作用する方向に更に操舵トルクが作用し、車両が車線中心から離れてしまう。つまり、横断勾配に応じた適切な操舵トルクが付与されていない状態になる。
【0005】
そこで、本発明は、横断勾配に応じた適切な操舵トルクを付与することできる操舵装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る操舵装置は、撮像手段により走行路を撮像し、車両が走行路の所定位置に沿って走行するように操舵機構に操舵トルクを付与する操舵装置において、走行路の所定位置に対する車両位置の偏差を積分し、走行路の所定位置に対する右側分の積分値を求める第1積分手段と、走行路の所定位置に対する車両位置の偏差を積分し、走行路の所定位置に対する左側分の積分値を求める第2積分手段と、走行路の所定位置に対する車両位置の偏差と走行路の所定位置からの所定距離に基づいて第1積分手段と第2積分手段とを切り替える切替手段と、切替手段で切り替えた積分手段の積分値に基づいて操舵機構に付与する操舵トルクを設定する操舵トルク設定手段とを備え、走行路の曲率が大きいときは走行路の曲率が小さいときより第1積分手段と第2積分手段との切り替えが行われ難くすることを特徴とする。
【0007】
この操舵装置では、走行路の撮像画像から走行路の所定位置に対する車両位置の偏差を求め、第1積分手段により走行路の所定位置に対する右側分の積分値を求めるとともに、第2積分手段により走行路の所定位置に対する左側分の積分値を求める。そして、操舵装置では、切替手段により走行路の所定位置からの所定距離を基準として所定位置からの偏差に応じて第1積分手段と第2積分手段とを切り替える。さらに、操舵装置では、偏差の積分値が増加しないように(すなわち、所定位置に近づくように)、操舵トルク設定手段により切り替えた積分手段で求めた積分値に基づいて操舵機構に付与する操舵トルクを設定し、この設定した操舵トルクを操舵機構に付与する。横断勾配の方向が変わり、車両に作用する重力成分の方向が変わった場合、その重力成分の影響により、その変わった重力成分の方向側への偏差が増加する。そのため、操舵装置では、その他方側の積分手段の積分値に基づいて操舵トルクを付与していた場合でも、その偏差が増加する側の積分手段に切り替えることができ、その偏差の積分値が増加しないように、切り替えた積分手段の積分値に基づいて操舵トルクを付与することができる。その結果、車両に対して重力成分が作用する方向とは逆方向に操舵トルクが作用し、車両が走行路の所定位置に近づいていく。さらに、操舵装置では、走行路の曲率が大きい(カーブ半径が小さい)ときには走行路の曲率が小さい(カーブ半径が大きい)ときより第1積分手段と第2積分手段との切り替えが行われ難くする。これによって、直線や直線に近い走行路を走行中のときよりカーブ走行中に積分手段の切り替えを抑制することができ、カーブ走行途中での大きな車両変動やドライバに対するステアリングホイールを介した反力変動を抑制することができる。このように、この操舵装置では、横断勾配に応じて適切な操舵トルクを付与することでき、車両を所定位置に沿って走行させる精度を向上させることができる。
【0008】
なお、走行路としては、例えば、走行中の車線、車線のない場合には走行中の道路自体である。走行路の所定位置としては、例えば、走行路(車線)の中心である。走行路の所定位置からの所定距離は、第1積分手段と第2積分手段とを切り替える基準となる距離である。
【0009】
本発明の上記操舵装置では、走行路の所定位置からの所定距離を走行路の曲率に基づいて決定する構成としてもよい。
【0010】
この操舵装置では、切り替えの基準となる走行路の所定位置からの所定距離を走行路の曲率(カーブ半径の逆数)に基づいて決定する。これによって、操舵装置では、走行路の曲率が大きいときには走行路の曲率が小さいときより第1積分手段と第2積分手段との切り替えが行われ難くするように、走行路がカーブか直線あるいは曲率(カーブ半径の逆数)に応じて所定距離の値を変更し、積分手段の切り替える条件を変えることができる。
【0011】
本発明の上記操舵装置では、走行路の所定位置からの所定距離を走行路の曲率が大きくなるほど大きくする構成としてもよい。
【0012】
この操舵装置では、走行路の曲率が大きくなるほど(つまり、カーブ半径が小さくなるほど)、走行路の所定位置からの所定距離を大きくする。このように、カーブ半径が小さくなるほど、積分手段の切り替え基準を大きくすることにより、カーブで積分手段が切り替わり難くなる。そのため、カーブ走行中の車両挙動を安定化でき、ドライバに対する操舵反力変動を抑制できる。
【0013】
本発明に係る操舵装置は、画像手段により走行路を撮像し、車両が走行路の所定位置に沿って走行するように操舵機構に操舵トルクを付与する操舵装置において、走行路の所定位置に対する車両位置の偏差を積分し、走行路の所定位置に対する右側分の積分値を求める第1積分手段と、走行路の所定位置に対する車両位置の偏差を積分し、走行路の所定位置に対する左側分の積分値を求める第2積分手段と、走行路の所定位置に対する車両位置の偏差と走行路の所定位置からの所定距離に基づいて第1積分手段と第2積分手段とを切り替える切替手段と、切替手段で切り替えた積分手段の積分値に基づいて操舵機構に付与する操舵トルクを設定する操舵トルク設定手段とを備え、切替手段は、第1積分手段または第2積分手段のいずれか一方の積分手段に切り替えられている状態で、当該切り替えられている一方の積分手段の他方側における走行路の所定位置に対する車両位置の偏差が走行路の所定位置からの所定距離の絶対値以下の場合、当該切り替えられている一方の積分手段の積分値が0あるいは0近傍のときに他方の積分手段に切り替えることを特徴とする。
【0014】
この操舵装置では、走行路の撮像画像から走行路の所定位置に対する車両位置の偏差を求め、第1積分手段により走行路の所定位置に対する右側分の積分値を求めるとともに、第2積分手段により走行路の所定位置に対する左側分の積分値を求める。そして、操舵装置では、切替手段により走行路の所定位置からの所定距離を基準として所定位置からの偏差に応じて第1積分手段と第2積分手段とを切り替える。さらに、操舵装置では、操舵トルク設定手段により切り替えた積分手段で求めた積分値に基づいて操舵機構に付与する操舵トルクを設定し、この設定した操舵トルクを操舵機構に付与する。特に、操舵装置では、2つの積分手段のいずれか一方に切り替えられている状態で、切替手段により、車両の他方側の偏差が走行路の所定位置からの所定距離の絶対値以下の場合でも、その一方の積分手段の積分値が0あるいは0近傍と判定したときには一方の積分手段から他方の積分手段に切り替える。このように、他方側の偏差が切り替える基準以下で一方の積分手段から他方の積分手段に切り替えができない場合でも、選択中の積分値が非常に小さくなって選択中の積分値の影響が無くなっているときには選択中の積分手段から他方の積分手段に切り替えることができ、他方側の積分値を基づいて操舵トルクを付与することができる。例えば、直線からカーブになる場合やS字カーブでカーブの方向が変わる場合には横断勾配が変わるので、カーブ進入後に重力成分が作用しない側の積分手段が選択されているときには、重力成分が作用する側の適切な積分手段に切り替えることができる。つまり、横断勾配に応じた適切な積分手段が選択されていない場合には、横断勾配に応じた積分手段に迅速に切り替えることができる。このように、操舵装置では、横断勾配に応じて適切な操舵トルクを付与することでき、車両を所定位置に沿って走行させる精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、横断勾配に応じた適切な操舵トルクを付与することでき、車両を走行路の所定位置に沿って高精度に走行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る操舵装置の実施の形態を説明する。
【0017】
本実施の形態では、本発明に係る操舵装置を、レーンキープ装置に適用する。本発明に係るレーンキープ装置は、ドライバによる操舵を支援するために、カメラによる撮像画像から白線を認識し、左右の白線(車線)の中央側への補助的な操舵トルクを付与する。
【0018】
図1〜図4を参照して、本実施の形態に係るレーンキープ装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係るレーンキープ装置の構成図である。図2は、本実施の形態に係るレーンキープ装置の制御ブロック図である。図3は、オフセット閾値1の値の切替処理の説明図であり、(a)が直線であり、(b)がカーブである。図4は、誤選択の積分の修正処理の説明図である。
【0019】
レーンキープ装置1は、車線の中央の走行を補助するために必要な目標操舵トルクを設定し、電動パワーステアリング装置によりその目標操舵トルクを付与する。その際、レーンキープ装置1では、カーブ曲率、白線に対する車両の向き(ヨー角)、車線中心に対する車両位置の偏差(オフセット)及びそのオフセットの時間積分値に基づいて目標操舵トルクを設定する。特に、レーンキープ装置1では、オフセットの積分値として車線中心に対して右側分のオフセットの積分値と左側分のオフセットの積分値とを別々に求め、右積分と左積分を切り替えて一方の積分値に基づいて目標操舵トルクを設定する。レーンキープ装置1は、白線認識センサ2及びレーンキープECU[Electronic ControlUnit]3を備えており、電動パワーステアリング装置10を利用する。白線認識センサ2は、撮像手段としてのカメラ2a及び白線認識ECU2bによって構成される。なお、カーブ曲率はカーブ半径の逆数なので、カーブ曲率をカーブ半径の逆数で代用することも可能である。
【0020】
電動パワーステアリング装置10は、EPS[Electronic Power Steering]ECU10aによってEPSモータ10bを制御し、EPSモータ10bによる駆動トルクによりドライバによる操舵をアシストする。EPSECU10aでは、図2に示すように、ドライバの操舵による操舵トルクに基づいてアシストトルクを設定し、そのアシストトルクに応じてEPSモータ10bを駆動制御する。特に、EPSECU10aでは、レーンキープECU3からの操舵トルク信号TSを受信すると、その操舵トルク信号TSに示される目標操舵トルクに所定の係数を乗算し、その乗算値(付加トルク)をアシストトルクに加算し、そのアシストトルク+付加トルクに応じてEPSモータ10bを駆動制御する。EPSモータ10bによる駆動トルクは操舵機構に付加され、操舵機構にはドライバによる操舵トルク以外にEPSモータ10bによるトルクが加わる。付加トルクは、ドライバによる操舵トルクを補助する程度の比較的小さなトルクである。
【0021】
カメラ2aは、例えば、CCD[Charge Coupled Device]カメラであり、レーンキープ装置1を搭載する車両の前方に取り付けられる。この際、カメラ2aは、その光軸方向が車両の進行方向と一致するように取り付けられる。カメラ2aでは、車両の前方の道路を撮像し、その撮像したカラー画像(例えば、RGB[RedGreen Blue]による画像)を取得する。カメラ2aでは、その撮像画像のデータを撮像信号PSとして白線認識ECU2bに送信する。カメラ2aは、左右方向に撮像範囲が広く、走行している車線を示す左右両側(一対)の白線を十分に撮像可能である。なお、カメラ2aはカラーであるが、道路上の白線を認識できる画像を取得できればよいので、白黒のカメラでもよい。
【0022】
白線認識ECU2bは、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random AccessMemory]などからなる。白線認識ECU2bでは、撮像信号PSを取り入れ、撮像信号PSの撮像画像データから車両が走行している車線を示す一対の白線を認識する。そして、白線認識ECU2bでは、認識した一対の白線から車線幅、一対の白線の中心を通る線(すなわち、車線の中心)を演算する。さらに、白線認識ECU2bでは、車線の中心の半径(カーブ半径R)を演算し、カーブ半径Rからカーブ曲率γ(=1/R)を演算する。また、白線認識ECU2bでは、白線に対するに対する車両の向き(ヨー角θ)及び車線の中心に対する車両中心の位置(オフセットD)を演算する。そして、白線認識ECU2bでは、これら認識した一対の白線の情報や演算した各情報を画像信号GSとしてレーンキープECU3に送信する。なお、本実施の形態では、カーブ半径R、曲率γ、ヨー角θ、オフセットDは、右旋回方向や車線中心に対して右側の値がプラス値で表され、左旋回方向や車線中心に対して左側の値がマイナス値で表されるものとする。
【0023】
レーンキープECU3は、CPU、ROM、RAMなどからなる。レーンキープECU3では、一定時間毎に、白線認識センサ2からの画像信号GSを取り入れる。そして、レーンキープECU3では、ドライバによる操作によってレーンキープ装置1が起動されている場合、車両が車線の中央付近を走行するように、画像信号GSに示される各種情報(カーブ曲率γ、ヨー角θ、オフセットD)に基づいて目標操舵トルクを設定し、目標操舵トルクを示す操舵トルク信号TSを電動パワーステアリング装置10(EPSECU10a)に送信する。なお、レーンキープECU3ではレーンキープ処理用のアプリケーションプログラム(ソフトウエア)を実行することによって各種処理(右積分処理、左積分処理、積分切替処理、目標操舵トルク設定処理など)を行うが、この各種処理が特許請求の範囲に記載する第1積分手段、第2積分手段、切替手段、操舵トルク設定手段に相当する。
【0024】
図2に示すように、レーンキープECU3では、一定時間毎に、オフセットDを用いて右積分処理と左積分処理を行い、右積分値RI及び左積分値LIを求める。そして、レーンキープECU3では、一定時間毎に、積分切替処理により右積分値RIと左積分値LIとの切り替えを行い、目標操舵トルク設定処理で用いる積分値を選択する。さらに、レーキキープECU3では、一定時間毎に、目標操舵トルク設定処理により、カーブ曲率γにゲインG1を乗算し、ヨー角θにゲインG2を乗算し、オフセットDにゲインG3を乗算し、選択した積分値にゲインG4を乗算し、各ゲインG1〜G4を乗算したカーブ曲率γ、ヨー角θ、オフセットD、オフセットの積分値に基づいて目標操舵トルクを設定する。ここでは、カーブ曲率γについては車両を道路のカーブに沿わせ、ヨー角θについてはヨー角を0に収束させ、オフセットDについてはオフセットDを0に収束させ、オフセット積分値については積分値をサチュレートさせるような目標操舵トルクが設定される。なお、右積分処理と左積分処理及び右積分と左積分との積分切替処理については、以下で詳細に説明する。
【0025】
右積分処理と左積分処理について説明する。レーンキープECU3では、一定時間毎に入力されるオフセットDを車線中心に対する右側分についての時間積分(右積分処理)と左側分についての時間積分(左積分処理)を行う。オフセットDは、上記したように、車線中心に対して車両位置が右側の場合にはプラス値、車両位置が左側の場合にはマイナス値で表される。この場合、右積分処理では、オフセットDを時間積分し、その積分値が0より大きい場合にはその積分値をそのまま出力し、積分値が0以下の場合には0を出力する。したがって、右積分の出力値(右積分値)は、オフセットDが0より大きい場合には増加し、オフセットDが0の場合には変化せず、オフセットDが0より小さい場合には0を下限として減少する。左積分処理では、オフセットDを時間積分し、その積分値が0より小さい場合にはその積分値をそのまま出力し、積分値が0以上の場合には0を出力する。したがって、左積分の出力値(左積分値)は、オフセットDが0より小さい場合には減少(絶対値は増加)し、オフセットDが0の場合には変化せず、オフセットDが0より大きい場合には0を上限として増加する(絶対値は0を下限として減少する)。なお、オフセットDが車線中心に対して車両位置が右側の場合にはマイナス値、車両位置が左側の場合にはプラス値で表される場合、右積分、左積分では、プラスとマイナスの関係が上記と逆になる。
【0026】
積分切替処理について説明する。まず、レーンキープECU3では、カーブ半径Rの絶対値がカーブ判定閾値Rより大きいか否かを判定する。カーブ判定閾値Rは、直線(ほぼ直線も含む)かあるいはカーブかを判定する閾値であり、大きな値である。
【0027】
カーブ半径Rの絶対値がカーブ判定閾値Rより大きいと判定した場合(直線の場合)、レーンキープECU3では、オフセット閾値1としてオフセットDを設定する。オフセットDは、横断勾配の影響などによって車両のオフセットDの絶対値が大きくなり、オフセットDが大きくなった側の積分値に切り替える必要があるか否かを判定するための閾値であり、直線で用いられる閾値である。図3(a)には、両側の白線WL,WL、車線の中心線CLを示しており、直線の場合、中心線CLから両側にそれぞれ、オフセットD分のオフセット閾値1が設定される。
【0028】
カーブ半径Rの絶対値がカーブ判定閾値R以下の場合(カーブの場合)、レーンキープECU3では、オフセット閾値1としてオフセットDを設定する。オフセットDは、オフセットDより大きな値が設定され、カーブ走行中に積分値の切り替わりを抑制するための閾値であり、カーブで用いられる閾値である。ちなみに、車両のオフセットDの絶対値がオフセットDより大きくなった場合、車両が車線中心から相当ずれているので、カーブ中でもオフセットDが大きくなった側の積分値に切り替える必要がある。図3(b)には、カーブの場合、中心線CLから両側にそれぞれ、オフセットDより大きいオフセットD分のオフセット閾値1が設定される。
【0029】
現在選択中の積分が左積分の場合、レーンキープECU3では、右側オフセット(オフセットDのプラス値の絶対値)がオフセット閾値1の絶対値より大きいか否かを判定する。右側オフセットがオフセット閾値1の絶対値より大きい場合、レーンキープECU3では、左積分から右積分に切り替える。この場合、横断勾配の影響などによって車線中心から右側へのずれが大きくなったので、右積分値に切り替えて、右側から左側に向けた操舵トルクを付加するようにする。
【0030】
右側オフセットがオフセット閾値1の絶対値以下の場合、レーンキープECU3では、左積分値が0か否か(つまり、左側の積分の影響が無くなったか否か)を判定する。左積分値が0の場合、レーンキープECU3では、右側オフセットがオフセット閾値2の絶対値より大きいか否かを判定する。オフセット閾値2は、カーブ走行中に誤選択されている積分値の切り替えを可能とするために、オフセット閾値1(=オフセットD)より小さい値が設定される。オフセット閾値2としては、オフセットDが設定され、オフセットDはオフセットDと同じかあるいはD近傍の値である。図4には、中心線CLから両側にそれぞれ、オフセットDの近傍にオフセットD分のオフセット閾値2が設定される。右側オフセットがオフセット閾値2の絶対値より大きい場合、レーンキープECU3では、左積分から右積分に切り替える。この場合、右方向へのカーブに進入したにもかかわらず左積分が選択されているので、右積分に切り替えて、右側から左側に向けた操舵トルクを付加するようにする。ここでは、左積分値が0になり、左積分値による影響が無くなっているときには、右積分に切り替える。さらに、オフセット閾値1より小さいオフセット閾値2を設定することによって、車両位置も考慮して切り替えを行うことができる。
【0031】
現在選択中の積分が右積分の場合、レーンキープECU3では、左側オフセット(オフセットDのマイナス値の絶対値)がオフセット閾値1の絶対値より大きいか否かを判定する。左側オフセットがオフセット閾値1の絶対値より大きい場合、レーンキープECU3では、右積分から左積分に切り替える。この場合、横断勾配の影響などによって車線中心から左側へのずれが大きくなったので、左積分値に切り替えて、左側から右側に向けた操舵トルクを付加するようにする。
【0032】
左側オフセットがオフセット閾値1の絶対値以下の場合、レーンキープECU3では、右積分値が0か否か(つまり、右側の積分の影響が無くなったか否か)を判定する。右積分値が0の場合、レーンキープECU3では、左側オフセットがオフセット閾値2の絶対値より大きいか否かを判定する。左側オフセットがオフセット閾値2の絶対値より大きい場合、レーンキープECU3では、右積分から左積分に切り替える。この場合、左方向へのカーブに進入したにもかかわらず右積分が選択されているので、左積分に切り替えて、左側から右側に向けた操舵トルクを付加するようにする。ここでは、右積分値が0になり、右積分値による影響が無くなっているときには、左積分に切り替える。さらに、オフセット閾値1より小さいオフセット閾値2を設定することによって、車両位置も考慮して切り替えを行うことができる。
【0033】
カーブでは、通常、カーブ外側が高く、内側が低い向きの横断勾配となっており、カーブ途中で横断勾配の向きは変わらない。したがって、カーブ走行中には、常に、横断勾配による車両に作用する重力成分に対抗するために、カーブ内側の積分値を選択し、カーブの内側から外側に向けた操舵トルクを付加することが望ましい。また、カーブ走行中に、カーブ内側の積分値からカーブ外側の積分値に切り替わると、重力成分の方向と同じ方向であるカーブの外側から内側に向けた操舵トルクが付加されることになり、車両が内側に向けて大きく変動し、ドライバに対する操舵反力も大きくなる。そこで、レーンキープECU3では、カーブの場合、オフセット閾値1を大きくし、左積分と右積分が切り替わらないようにしている。
【0034】
図3(b)の例では、横断勾配の向きが、直線のときから道路左側が高く、右側が低い向きであり、カーブに入っても変わらない場合である。そのため、カーブに進入する前の直線のときから、右積分値が選択されており、道路の右側から左側に向けた操舵トルクが付加されていた。したがって、カーブ進入後、車両のオフセットDの軌跡RLが、車線中心線CLをまたいで、右側から左側になっている。オフセット閾値1がオフセットDの場合、左側オフセットがオフセットDを超えてしまい、左積分値に切り替わり、左側から右側に向けた操舵トルクが付加されることになる。すると、この操舵トルクが付加される方向と横断勾配による重力成分の方向とが同じ方向となり、車両が急激に道路右側に変動し、車両のオフセットDの軌跡RL’も急激に変化する。しかし、レーンキープECU3では、オフセット閾値1を大きなオフセットDとしているので、左側オフセットがオフセットDを超えることはなく、右積分値の選択が維持され、右側から左側に向けた操舵トルクが付加され続ける。この場合、この操舵トルクが付加される方向と横断勾配による重力成分の方向とが逆方向となっているので、車両の変動が少なく、車両のオフセットDの軌跡RLも中心線CLの近傍となる。
【0035】
上記したように、レーンキープECU3では、カーブの場合にはオフセット閾値1(=オフセットD)を大きくして左積分と右積分が切り替わらないようにしている。しかし、S字カーブや直線からカーブになるときには、カーブ(以下、現カーブと記載する)に入ると横断勾配の方向が急に変わる場合があり、車両に作用する重力成分の方向が変化する。この場合、現カーブに進入する前には、現カーブの横断勾配とは逆方向の横断勾配の影響により、現カーブの外側から内側に向けた操舵トルクが付加されている。現カーブの外側から内側に向けた操舵トルクは、現カーブに進入した場合には、車両に作用する重力成分と同じ方向となる。そのため、現カーブに進入した場合には、重力成分に対抗するために現カーブの内側から外側に向けた操舵トルクを付加するために、現カーブの外側の積分値から内側の積分値に切り替える必要がある。しかし、カーブではオフセット閾値1が大きいため、現カーブ内側のオフセットがオフセット閾値1を超えるまで時間を要し、車両の位置も車線中心から大きくずれることになる。そこで、現カーブ内側のオフセットがオフセット閾値1の絶対値以下でも、その現カーブの外側の積分値が0になり(つまり、その積分値の影響力がなくなり)、現カーブ内側のオフセットがオフセット閾値1より小さいオフセット閾値2より大きくなった場合、現カーブの外側の積分値から内側の積分値への切り替えを可能としている。
【0036】
図4の例では、横断勾配の向きが、直線のときは道路左側が低く、右側が高い向きであり、カーブのときには道路左側が高く、右側が低い向きの場合である。そのため、カーブに進入する前の直線では、左積分値が選択されており、道路の左側から右側に向けた操舵トルクが付加されていた。この状態で、カーブに進入すると、車両には、付加されている操舵トルクと同じ方向の道路の左側から右側に向けた重力成分が作用する。その結果、車両が、急激に道路右側に移動する。この際、カーブになったので、オフセット閾値1が大きなオフセットDとなっている。このオフセット閾値1だけで切り替え判定を行った場合、右側オフセットがオフセットDをなかなか超えないので、左積分値から右積分値に切り替わらず、左側から右側に向けた操舵トルクが付加され続ける。したがって、この操舵トルクが付加される方向と横断勾配による重力成分の方向とが同じ方向となっているので、車両が急激な道路右側への変動も続き、車両のオフセットDの軌跡RL’も急激に変化する。この状態が、右側オフセットがオフセットDを超えるまで続く。しかし、レーンキープECU3では、左積分値が0になったか否かを判定し、左積分が0になっている場合には左積分値から右積分値に切り替え、右側から左側に向けた操舵トルクを付加し始める。この際、レーンキープECU3では、車両位置も考慮して切り替えを行うために、オフセット閾値1より小さいオフセット閾値2(=オフセットD)での判定も行う。このように、左積分値による影響が無くなっている場合には右側から左側に向けた操舵トルクを付加するように右積分値に切り替えることによって、この操舵トルクが付加される方向と横断勾配による重力成分の方向とが逆方向となるので、車両の変動が少なく、車両のオフセットDの軌跡RLも中心線CLの近傍となる。
【0037】
図1及び図2を参照して、レーンキープ装置1の動作について説明する。特に、レーンキープECU3における積分切替処理については図5のフローチャートに沿って説明する。図5は、図1のレーンキープECUにおける積分切替処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、ドライバによってレーンキープ装置1が起動されている場合について説明する。
【0038】
カメラ2aでは、車両の前方の道路を撮像し、その撮像画像のデータを撮像信号PSとして白線認識ECU2bに送信する。白線認識ECU2bでは、撮像画像から車線を区画する一対の白線を認識する。そして、白線認識ECU2bでは、一対の白線から車線幅、車線の中心、車線中心のカーブ半径Rと曲率γ、ヨー角θ及び車線中心からの車両のオフセットDを演算する。さらに、白線認識ECU2bでは、一定時間毎に、これら一対の白線の情報や演算した各情報を画像信号GSとしてレーンキープECU3に送信する。
【0039】
レーンキープECU3では、一定時間毎に、画像信号GSを受信する。そして、レーンキープECU3では、画像信号GSからカーブ半径R、曲率γ、ヨー角θ、オフセットDを取得する(S1、S2)。レーンキープECU3では、オフセットDを取得する毎に、右積分処理により右積分値を演算するとともに左積分処理により左積分値を演算する。また、レーンキープECU3では、カーブ半径Rの絶対値がカーブ判定閾値Rより大きいか否かを判定する(S3)。S3にてカーブ半径Rの絶対値がカーブ判定閾値Rより大きいと判定した場合(直線の場合)、レーンキープECU3では、オフセット閾値1にオフセットDを設定する(S4)。したがって、直線の場合、オフセット閾値1は小さく、車両が車線中心に対してオフセットする側が変わると、右積分と左積分とが切り替わり易くなっている。S3にてカーブ半径Rの絶対値がカーブ判定閾値R以下と判定した場合(カーブの場合)、レーンキープECU3では、オフセット閾値1にオフセットD(>オフセットD)を設定する(S5)。したがって、カーブの場合、オフセット閾値1は大きく、右積分と左積分とが切り替わり難くなっている。さらに、レーンキープECU3では、左積分を選択中か否かを判定する(S6)。
【0040】
S6にて左積分を選択中と判定した場合、レーンキープECU3では、車線中心に対して右側のオフセットがオフセット閾値1の絶対値より大きいか否かを判定する(S7)。S7にてオフセット閾値1の絶対値より大きいと判定した場合、レーンキープECU3では、左積分から右積分へ切り替える(S8)。この切り替えは、主に、オフセット閾値1が小さい直線の場合に行われる。
【0041】
一方、S7にてオフセット閾値1の絶対値以下と判定した場合、レーンキープECU3では、左積分の積分値が0か否かを判定する(S9)。S9にて左積分の積分値が0と判定した場合、レーンキープECU3では、右側オフセットがオフセット閾値2の絶対値より大きいか否かを判定する(S10)。この場合、左積分が選択されているにもかかわらず、左積分値が0なので、右カーブにかかわらず、左積分が選択されていると推定される。そこで、右側オフセットがオフセットDより小さいオフセット閾値2の絶対値より大きいか否かを判定している。S10にてオフセット閾値2の絶対値より大きいと判定した場合、レーンキープECU3では、左積分から右積分へ切り替える(S11)。この切り替えは、右カーブのときに左積分が選択されている場合に行われる。S9にて左積分の積分値が0でないと判定した場合またはS10にてオフセット閾値2の絶対値以下と判定した場合、レーンキープECU3では、左積分の選択を続ける。
【0042】
S6にて右積分を選択中と判定した場合、レーンキープECU3では、車線中心に対して左側のオフセットがオフセット閾値1の絶対値より大きいか否かを判定する(S12)。S12にてオフセット閾値1の絶対値より大きいと判定した場合、レーンキープECU3では、右積分から左積分へ切り替える(S13)。この切り替えは、主に、オフセット閾値1が小さい直線の場合に行われる。
【0043】
一方、S12にてオフセット閾値1の絶対値以下と判定した場合、レーンキープECU3では、右積分の積分値が0か否かを判定する(S14)。S14にて右積分の積分値が0と判定した場合、レーンキープECU3では、左側オフセットがオフセット閾値2の絶対値より大きいか否かを判定する(S15)。この場合、右積分が選択されているにもかかわらず、右積分値が0なので、左カーブにかかわらず、右積分が選択されていると推定される。そこで、左側オフセットがオフセットDより小さいオフセット閾値2の絶対値より大きいか否かを判定している。S15にてオフセット閾値2の絶対値より大きいと判定した場合、レーンキープECU3では、右積分から左積分へ切り替える(S16)。この切り替えは、左カーブのときに右積分が選択されている場合に行われる。S14にて右積分の積分値が0でないと判定した場合またはS15にてオフセット閾値2の絶対値以下と判定した場合、レーンキープECU3では、右積分の選択を続ける。
【0044】
そして、レーンキープECU3では、カーブ曲率γ、ヨー角θ、オフセットD、選択中の積分値に対してゲインG1,G2,G3,G4をそれぞれ乗算し、その各乗算値に基づいて目標操舵トルクを設定する。そして、レーンキープECU3では、設定した目標操舵トルクを示す操舵トルク信号TSをEPSECU10aに送信する。
【0045】
EPSECU10aでは、操舵トルク信号TSを受信し、その操舵トルク信号TSに示される目標操舵トルクに所定の係数を乗算する。そして、EPSECU10aでは、その乗算値(付加トルク)をアシストトルクに加算し、そのアシストトルク+付加トルクに応じてEPSモータ10bを駆動制御する。EPSモータ10bでは、ECPECU10aによる制御によって所定のトルクを発生し、そのトルクを操舵機構に付加する。すると、操舵機構には、ドライバによる操舵トルクに応じたアシストトルクが加わるとともに、車両を車両中心に沿って走行させるための補助的な付加トルクが加わる。
【0046】
このレーンキープ装置1によれば、直線とカーブとでオフセット閾値1の値を切り替えることによって、直線では車両のオフセットに応じて適切な側の積分に切り替えることができるとともに、カーブでは積分の切り替えを抑制する。そのため、直線中には横断勾配に応じて適切な方向の操舵トルクを付加することができ、カーブ中には横断勾配に応じて一定方向の操舵トルクを付加し続けることができる。さらに、カーブ中、車両挙動を安定化できるとともに、ドライバに対する操舵反力の変動を抑制できる。
【0047】
また、レーンキープ装置1によれば、カーブ中に積分が誤選択されかつオフセットがオフセット閾値1の絶対値以下の場合でも、積分値が0か否かの判定を行うことによって、カーブ中でも横断勾配に応じた適切な積分に切り替えることができる。さらに、レーンキープ装置1では、オフセット閾値1より小さいオフセット閾値2による判定を行うことによって、車両位置も考慮して高精度な切り替えを行うことができる。そのため、カーブ中、車両が車線中心から大きくずれることがなく、車線中心に沿わせるような操舵トルクを付加することができる。
【0048】
このように、レーンキープ装置1によれば、横断勾配に応じて適切な操舵トルクを付与することでき、車両を車線中心に沿って走行させる精度を向上させることができる。
【0049】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0050】
例えば、本実施の形態ではレーンキープ装置に適用したが、他の装置にも適用可能であり、例えば、自動操舵装置に適用できる。
【0051】
また、本実施の形態では電動パワーステアリング装置を利用して操舵トルクを付加する構成としたが、レーンキープ装置にラックやピニオンをアシストするアクチュエータを備える構成としてもよい。したがって、パワーステアリング装置を備えない車両にも適用可能である。また、電動パワーステアリング装置ではなく、油圧式のパワーステアリング装置にも適用可能であり、油圧を調整するアクチュエータを制御することによって操舵トルクを付加する構成としてもよい。
【0052】
また、本実施の形態では一対の白線を認識することにより車線を検出する構成としたが、白線以外の黄線などの他の線も認識することにより車線を検出する構成としてもよいしあるいは路肩や車線と歩道とを区画するブロックなどを認識することにより車線を検出するなど他の方法により車線を検出する構成としてもよい。また、本実施の形態では車線がある道路に適用したが、車線がない道路に対しても適用可能である。この場合には、その道路の路肩などを検出する必要がある。
【0053】
また、本実施の形態では直線かあるいはカーブかの判定をカーブ半径によって判定する構成としたが、道路形状の判定については他の手段を用いてもよい、例えば、カーナビゲーションシステムから走行中の道路の道路形状の情報を取得し、その情報から判定するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施の形態ではカーブ半径によって直線かあるいはカーブかを判定し、2段階のオフセット閾値を設定する構成としたが、カーブの半径(曲率)に応じて複数の段階でオフセット閾値を設定し、カーブ半径が小さくなるほど大きいオフセット閾値を段階的に設定するようにしてもよい。このように設定することによって、カーブ半径に応じたより精度の高い制御ができる。
【0055】
また、本実施の形態ではカーブではオフセット閾値1としてオフセットDより大きいオフセットDを設定し、カーブでは右積分と左積分との切り替えが行われ難くする構成としたが、カーブではオフセット閾値1として無限大を設定し、カーブでは右積分と左積分との切り替えが行われない構成としてもよい。
【0056】
また、本実施の形態では2つのオフセットD、Dを用い、直線ではオフセットDによって右積分と左積分とを切り替え、カーブではオフセットDによって右積分と左積分とを切り替える構成とし、直線とカーブとでオフセット閾値の値を切り替えることによって、カーブでは直線に比べて右積分と左積分を切り替え難くしているので、カーブ走行中における車両の走行位置の変動を小さく抑えることができる。カーブでは直線に比べて右積分と左積分を切り替え難くする他の手法として、オフセット閾値の値を替えるのではなく、1つのオフセット閾値のみを用いて切り替え条件を変える構成としてもよい。例えば、車両のオフセットがオフセット閾値1の絶対値を超える時間を計測し、直線では計測時間と時間閾値1との比較によって右積分と左積分とを切り替え、カーブでは計測時間と時間閾値2(>時間閾値1)との比較によって右積分と左積分とを切り替える構成としてもよいし、あるいは、車両のオフセットがオフセット閾値1の絶対値を超える回数をカウントし、直線路ではカウント数と回数閾値1との比較によって右積分と左積分とを切り替え、カーブではカウント数と回数閾値2(>回数閾値1)との比較によって右積分と左積分とを切り替える構成としてもよい。このように、1つのオフセット閾値を用いて、オフセット閾値の絶対値を超える時間や回数などの閾値をカーブと直線とで切り替えることによって、カーブでは直線に比べて右積分と左積分を切り替え難くしているので、カーブ走行中における車両の走行位置の変動を小さく抑えることができる。
【0057】
また、本実施の形態ではカーブか否かでオフセット閾値1の値を切り替える制御と誤選択対策として一方側の積分値が0になった場合には他方側の積分に切り替える制御の両方を備える構成としたが、いずれか一方だけの制御を備える構成としてもよい。
【0058】
また、本実施の形態では誤選択対策として積分値が0になった場合にオフセット閾値2による判定を行う構成としたが、オフセット閾値2の判定を無くし、積分値が0になった場合には積分を切り替える構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施の形態に係るレーンキープ装置の構成図である。
【図2】本実施の形態に係るレーンキープ装置の制御ブロック図である。
【図3】オフセット閾値1の値の切替処理の説明図であり、(a)が直線であり、(b)がカーブである。
【図4】誤選択の積分の修正処理の説明図である。
【図5】図1のレーンキープECUにおける積分切替処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1…レーンキープ装置、2…白線認識センサ、2a…カメラ、2b…白線認識ECU、3…レーンキープECU、10…電動パワーステアリング装置、10a…EPSECU、10b…EPSモータ




 

 


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