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発明の名称 サスペンション構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15489(P2007−15489A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−197474(P2005−197474)
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
代理人 【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
発明者 恒川 肇
要約 課題
ダンパの大型化を招くことなく車輪バウンド時の減衰力をリバウンド時より小さくし、車両の乗り心地を向上するサスペンション構造を提供する。

解決手段
サスペンション構造10は、車輪14を支持するナックル16と、ナックルの下部側が接続されるロアアーム18と、ナックル16の上部側が接続されるリンクアームとしてのベルクランク22と、車両ボディ12とベルクランク22とを接続するダンパ24を含む。ベルクランク22は、回転中心部22aより車両ボディ12外側の位置において、ナックルと接続され、回転中心部22aより車両ボディ12内側の位置において、ダンパ24と接続される。そして、ベルクランク22は、車輪14のバウンド時にダンパ24を伸張させる方向に回転する。ダンパ24は構造上圧縮時より伸張時の方が減衰力が小さいので、車輪14の減衰力をリバウンド時よりバウンド時で小さくできる。
特許請求の範囲
【請求項1】
車輪を回転自在に支持するナックルと、
前記ナックルの下部側が接続され、当該ナックルを車両ボディに接続するロアアームと、
前記車両ボディの幅方向に伸びる略鉛直平面内で回転自在に配置され、前記ナックルの上部側が接続されるリンクアームと、
一端が前記車両ボディに接続され、他端が前記リンクアームに接続されると共に、前記リンクアームを介して入力される前記車輪のバウンド/リバウンド時の振動を減衰するダンパと、
を含み、
前記リンクアームは、前記車輪のバウンド時に前記ダンパを伸張させる方向に回転することを特徴とするサスペンション構造。
【請求項2】
前記リンクアームは、前記ナックルと前記ダンパの間に配置された変向リンクであり、当該変向リンクの回転中心部より車両ボディ外側の位置において、前記ナックルの上部側が回転自在に接続され、当該変向リンクの回転中心部より車両ボディ内側の位置において、前記ダンパの一部が回転自在に接続されていることを特徴とする請求項1記載のサスペンション構造。
【請求項3】
前記リンクアームは、前記ナックルと前記ダンパの上方に配置される直形リンクであり、当該直形リンクの車両ボディ外側の位置において、前記ナックルの上部側が回転自在に接続され、当該直形リンクの回転中心部より車両ボディ外側の位置であり、前記ナックルの接続位置より車両ボディ内側の位置において、前記ダンパの一部が回転自在に接続されていることを特徴とする請求項1記載のサスペンション構造。
【請求項4】
前記変向リンクの回転中心部から前記ナックルの接続位置までの距離より、前記変向リンクの回転中心部から前記ダンパの接続位置までの距離が長く設定されていることを特徴とする請求項2記載のサスペンション構造。
【請求項5】
前記リンクアームの回転中心部には、前記車両ボディの前後方向に沿って当該車両ボディに固定されたトーションバーが貫通していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のサスペンション構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンション構造、特に、車両の乗り心地の改善を容易に行うことのできるサスペンション構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の車輪は、路面の凹凸などに起因する上下振動を緩和する目的、さらには車両の乗り心地の改善をする目的で設けられたサスペンションによって吊り下げられている。サスペンションは、例えば、車体の重量を支えて路面からの衝撃を和らげるスプリング、車体の上下振動を減衰するショックアブソーバ、車体のロールを抑えるスタビライザー、車軸の位置決めをして駆動力や制動力を車体に伝えるリンクなどで構成されている。このようなサスペンション構造は、車両の性能や用途に応じて、様々な特性のものが開発されている。例えば、特許文献1には、ベルクランクを用いて、路面の状況によらず減衰力の吸収を行うサスペンション構造が開示されている。また、特許文献2には、ベルクランクを用いることにより、ばね下部材の重量増加による車輪の接地性の悪化を抑えて運動性能の低下を防止しつつ、車両姿勢を制御可能なサスペンション構造が開示されている。この他、特許文献3にも改良されたサスペンション構造が開示されている。
【特許文献1】特開平6−344738号公報
【特許文献2】特開平5−278426号公報
【特許文献3】特開2004−122870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、サスペンション構造に含まれるダンパ(ショックアブソーバ)は、車輪の上方向の振動と下方向の振動の両方を減衰する。つまり、車輪がバウンドしたときもリバウンドしたときも減衰効果を発揮するように構成されている。ところで、車輪のバウンド/リバウンド時のダンパの減衰は、バウンド側の減衰を小さくし、リバウンド側の減衰を大きく取ることが乗り心地の向上に好ましいとされている。車両搭乗者が感じる衝撃は、路面からの突き上げ動作であり、この衝撃は、車輪がバウンドしたときの力をダンパで受け、車両ボディ側に伝えないようにすることで軽減される。ここで、ダンパで衝撃を受けるとは、ダンパを大きくストロークさせることである。言い換えれば、衝撃を軽減するためには、減衰力を小さくすることになる。しかし、従来のサスペンション構造におけるダンパは、車輪がバウンドしたとき、圧縮される方向に動作する。ダンパを構成するシリンダのピストンは、一方側にロッドが接続されているため圧縮側の受圧面が伸張側の受圧面より大きくなっている。そのため、ダンパは圧縮時の減衰力が伸張時の減衰力に勝るという傾向をもつ。
【0004】
そのため、従来のサスペンション構造では、ダンパのシリンダに調圧バルブなどの機構を設け、圧縮時の減衰力を減らすような工夫が行われていた。その結果、シリンダの大型化、すなわちダンパの大型化を招き、サスペンション構造全体の大型化につながってしまうという問題があった。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ダンパの大型化を招くことなく、車輪のバウンド時の減衰力をリバウンド時の減衰力より小さくし、車両の乗り心地を向上することのできるサスペンション構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様では、車輪を回転自在に支持するナックルと、前記ナックルの下部側が接続され、当該ナックルを車両ボディに接続するロアアームと、前記車両ボディの幅方向に伸びる略鉛直平面内で回転自在に配置され、前記ナックルの上部側が接続されるリンクアームと、一端が前記車両ボディに接続され、他端が前記リンクアームに接続されると共に、前記リンクアームを介して入力される前記車輪のバウンド/リバウンド時の振動を減衰するダンパと、を含み、前記リンクアームは、前記車輪のバウンド時に前記ダンパを伸張させる方向に回転することを特徴とする。
【0007】
この態様によれば、車輪がバウンドしたときに発生する振動が、リンクアームの回転によりダンパを伸張させる方向に働く。また、車輪がリバウンドしたときに発生する振動が、リンクアームの回転によりダンパを圧縮させる方向に働く。ダンパは構造上圧縮時より伸張時の方が減衰力が小さいので、車輪の振動の減衰をリバウンド時よりバウンド時の方で小さくすることができる。その結果、ダンパの構造を変更することなく容易に車両の乗り心地が改善できる。
【0008】
また、上記態様において、前記リンクアームは、前記ナックルと前記ダンパの間に配置された変向リンクであり、当該変向リンクの回転中心部より車両ボディ外側の位置において、前記ナックルの上部側が回転自在に接続され、当該変向リンクの回転中心部より車両ボディ内側の位置において、前記ダンパの一部が回転自在に接続されていてもよい。この態様によれば、車輪がバウンドしたときに発生する振動が、変向リンクにより変向されダンパを伸張させる方向に働く。また、車輪がリバウンドしたときに発生する振動が、変向リンクにより変向されダンパを圧縮させる方向に働く。ダンパは構造上圧縮時より伸張時の方が減衰力が小さいので、車輪の振動の減衰をリバウンド時よりバウンド時の方で小さくすることができる。その結果、ダンパの構造を変更することなく容易に車両の乗り心地が改善できる。
【0009】
また、上記態様において、前記リンクアームは、前記ナックルと前記ダンパの上方に配置される直形リンクであり、当該直形リンクの車両ボディ外側の位置において、前記ナックルの上部側が回転自在に接続され、当該直形リンクの回転中心部より車両ボディ外側の位置であり、前記ナックルの接続位置より車両ボディ内側の位置において、前記ダンパの一部が回転自在に接続されていてもよい。この態様によれば、車輪がバウンドしたときに発生する振動が、直形リンクによりダンパを伸張させる方向に働く。また、車輪がリバウンドしたときに発生する振動が、直形リンクによりダンパを圧縮させる方向に働く。ダンパは構造上圧縮時より伸張時の方が減衰力が小さいので、車輪の振動の減衰をリバウンド時よりバウンド時の方で小さくすることができる。その結果、ダンパの構造を変更することなく容易に車両の乗り心地が改善できる。
【0010】
また、上記態様において、前記変向リンクの回転中心部から前記ナックルの接続位置までの距離より、前記変向リンクの回転中心部から前記ダンパの接続位置までの距離が長く設定されていてもよい。この態様によれば、車輪のバウンド時の変位に対し、ダンパの変位を大きくできる。その結果、車輪の僅かな振動に対してもサスペンション効果を良好に発揮し、車両の乗り心地に向上に寄与できる。
【0011】
また、上記態様において、前記リンクアームの回転中心部には、前記車両ボディの前後方向に沿って当該車両ボディに固定されたトーションバーが貫通していてもよい。この態様によれば、リンクアームの回転機能の安定化させることと、サスペンション構造を車両ボディに安定的に固定することを容易に行える。また、サスペンション構造の堅さ調整をトーションバーの堅さ調整により行える。さらに、このような堅さ調整を行う場合でも、トーションバーの配置占有スペースの変化は僅かである。そのため、サスペンション構造の堅さ調整の自由度が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のサスペンション構造によれば、車輪のバウンド時にダンパを伸張動作できる。その結果、ダンパの大型化や複雑化を伴うことなく、車輪のバウンド時に振動の減衰をリバウンド時の減衰より小さくできて、車両の乗り心地の改善に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に基づいて説明する。
【0014】
本実施形態のサスペンション構造は、リンクアームを用いて、車輪のバウンド/リバウンド時の振動の方向をダンパに伝える。そして、このリンクアームを介して車輪がバウンドするときにダンパが伸張するように動作させることにより、車輪バウンド時の振動の減衰をリバウンド時の減衰より小さくするものである。
【0015】
図1は、本実施形態のサスペンション構造10の概念構成図である。図1は、前輪駆動車両の車両ボディ12の左フロント側を正面から見た図である。なお、図1の場合、サスペンション構造のみの図示で、転舵機構などは図示を省略している。
【0016】
図1に示すように、車輪14は、ナックル16によって回転自在に支持されて、ドライブシャフト17により伝達された駆動力により回転する。ナックル16の下部側には、ロアアーム18が接続され、さらに、このロアアーム18が、車両ボディ12に固定されたサスペンションメンバー20に回動自在に接続されている。また、ナックル16の上部側は、リンクアームに接続されている。本実施形態では、リンクアームの一例として運動の方向を変向する変向リンクが示されている。変向リンクとしては、様々なタイプがあるが、図1では、その一例として、ベルクランク22を用いる例を示している。そして、このベルクランク22が車両ボディ12に回動自在に支持されたダンパ24に接続されている。
【0017】
ベルクランク22は車両ボディ12の幅方向Aに伸びる略鉛直平面S内で回転中心部22aを中心に回転できるように配置される。回転中心部22aは、車両ボディ12に設けられた緩衝機構付きの回転軸によって支持されてもよいし、ベルクランク22と車両ボディ12の上壁面12aとの間に圧縮状態で配置されたコイルスプリングにより付勢され回動するようになっていてもよい。
【0018】
本実施形態においてベルクランク22は、例えば略L字形状の板状の部材であり、回転中心部22aが中間部に形成され、一方の腕にナックル接続部22b、他方の腕にダンパ接続部22cを有する。したがって、ベルクランク22は、ナックル16とダンパ24の間に配置されることになる。具体的には、回転中心部22aより車両ボディ12外側の位置において、ナックル接続部22bでナックル16の上部側と回転自在に接続される。一方、ベルクランク22の回転中心部22aより車両ボディ12内側の位置において、ダンパ接続部22cでダンパ24の一部と回転自在に接続される。図1の場合、ダンパ接続部22cは、ダンパ24を構成するシリンダを進退するロッド26と接続されている。このように、車輪14を支持するサスペンション構造10は、車両ボディ12に吊り下げられることになる。
【0019】
ところで、車両が走行する場合、路面の凹凸などが原因となり、車輪14が上下方向に振動する。つまり、車輪14が上方に蹴り上げられるバウンド状態と、その反力や車重により下方に押し下げられるリバウンドを繰り返す。このバウンド/リバウンドによる上下振動を吸収すると共に減衰させて、車両ボディ12側への伝達を軽減するものがサスペンション構造10を構成するダンパ24である。
【0020】
図2は、ダンパ24に利用される一般的なシリンダ/ピストン構造の概念図である。例えば円筒状のシリンダ28の内部には、ロッド26が接続されたピストン30が摺動自在に配置収納されている。ピストン30がシリンダ28内部を移動するときの抵抗により車輪14のバウンド/リバウンド時の振動が減衰することになる。ところで、図2から明らかなように、ロッド26が圧縮動作時にピストン30の受圧面となる図中左側の面積はπ×(φA/2)である。一方、ロッド26が伸張動作時にピストン30の受圧面となる図中右側の面積は、(π×(φA/2))−(π×(φB/2))である。したがって、ダンパ24は、バルブなどによる調圧機構を設けない場合、伸張動作時の方が圧縮動作時より振動に対する減衰力が小さくなる。
【0021】
そこで、本実施形態においては、図1に示すように、ベルクランク22を用いることにより車輪14のバウンド/リバウンド時の振動の動作方向を変向する。そして、ダンパ24の減衰力特性をそのまま利用することにより、つまり、サスペンション構造10の大型化や複雑化を行うことなく、車輪14のバウンド/リバウンド時の振動の減衰要求に適したサスペンション構造10を提供する。すなわち、バウンド側の減衰を小さくし、リバウンド側の減衰を大きく取るという要求に適したサスペンション構造10を提供する。
【0022】
図3には、車輪14がバウンドしたときのベルクランク22およびダンパ24の動作が示されている。図3中実線は、車輪14が定常状態(バウンドおよびリバウンドしていない状態)である時のベルクランク22とダンパ24の動作位置を示している。一方、図3中破線は、車輪14がバウンドした時のベルクランク22とダンパ24の動作位置を示している。図に示すように、ベルクランク22は、回転中心部22aを中心として、一方にナックル接続部22b、他方にダンパ接続部22cが形成されている。したがって、車輪14のバウンドによりナックル16が上方に変位すると、ベルクランク22は、回転中心部22aを中心に反時計回り方向に回転する。この回転に伴いダンパ接続部22cが、ダンパ24から遠ざかるように移動する。その結果、ロッド26が伸張動作を行うことになる。図2で説明したように、ダンパ24はロッド26の伸張時は圧縮時に比べ減衰比が小さいので、サスペンション構造10は、車輪14のバウンド時には、減衰力の小さな、いわゆる「ソフトなサスペンション」として機能する。逆に、車輪14がリバウンドした場合、図3においては図示を省略しているが、ナックル16が実線位置より下方に移動し、それに伴いベルクランク22が時計回り方向に回転する。その結果、ダンパ接続部22cがダンパ24に近づき、ダンパ24のロッド26が圧縮方動作を行う。つまり、大きな減衰効果を発揮するサスペンション構造10として機能する。
【0023】
車輪14の振動をリバウンド時に大きく減衰させることにより、振動全体の振幅を小さくすることができるので、リバウンドの反動動作である次のタイミングのバウンド時の振動を小さくすることができる。つまり、ベルクランク22を用いて、バウンド/リバウンド時の振動の方向を変向するように、各部材をレイアウトすることにより、ダンパ24の大型化や複雑化を伴うことなく、ダンパ24の本来の機能を有効に利用し、乗り心地の改善が可能なサスペンション構造を得られる。つまり、車両の乗り心地への影響の大きなバウンド時に振動の減衰を少なくし、車両の乗り心地への影響の少ないリバウンド時に振動の減衰を積極的に行うサスペンション構造を構成できる。
【0024】
図4は、本実施形態のサスペンション構造10の変形例である。図4の例では、ベルクランク22の支持形態を変更している。図1においては、回転中心部22aの支持を緩衝機構付き回転軸やコイルスプリングなど任意の構造により行う例を説明した。図4においては、矢印Bで示す車両ボディ12の前後方向に沿って配置したトーションバー32によってベルクランク22を支持している。トーションバー32は、例えば、両端部および中央部付近にセレーションを形成し、両端部を車両ボディ12側に固定すると共に、略中央部でベルクランク22と勘合させる。
【0025】
トーションバー32によりベルクランク22を支持することにより、ベルクランク22回転機能の安定化を実現すると共に、サスペンション構造10全体を車両ボディ12に安定的かつ容易に固定できる。また、サスペンション構造10全体の堅さ調整、つまり減衰調整をトーションバーの堅さ調整により行える。例えば、剛性の高いトーションバー32を用いる場合、トーションバー32の捻れ自由度が低下してベルクランク22の回転量が少なくなると共に、サスペンション構造10全体の上下方向の変位量も少なくなる。いわゆる、「堅め調整のサスペンション構造」を構成できる。逆に、トーションバー32の剛性を低下させれば、トーションバー32の捻れ自由度が向上し、ベルクランク22の回転量が増加すると共に、サスペンション構造10全体の上下方向の変位量も大きくなる。いわゆる、「柔らかめ調整のサスペンション構造」を構成できる。このように、トーションバー32を用いてサスペンション構造10の基本性能調整を行う場合でも、トーションバー32自体の直径や材質が変化するのみで、トーションバー32の配置占有スペースの変化は僅かである。また、取り付け作業もコイルスプリングなどを用いる場合に比べ、著しく容易であり、またトーションバー32の性能ごとの作業性も変化しない。つまり、緩衝機構付き回転軸やコイルスプリングを用いる場合に比べ、配置スペースの削減やサスペンション構造全体の軽量化、取り付け作業性の容易化が可能になる。さらに、トーションバー32の剛性や捻れ特性は種類が豊富であり、任意に選択できるのでサスペンション構造10の堅さ調整の自由度が容易に向上する。
【0026】
図5を用いて、ベルクランク22の形状によるサスペンション構造10の性能の違いを説明する。ベルクランク22は、回転中心部22aからナックル接続部22bまでの距離と、回転中心部22aからダンパ接続部22cまでの距離とを変化させることにより、回転時の特性を変化させることができる。例えば、図5(a)に示すように、回転中心部22aからナックル接続部22bまでの距離L1と、回転中心部22aからダンパ接続部22cまでの距離L2の長さ比をL1:L2=2:1とする場合、車輪14のバウンド/リバウンドによる変位が大きい場合でも、ダンパ24のストロークを小さくすることができる。例えば、サスペンション構造10の配置スペースが狭く、ダンパ24の配置場所や大きさが制限される場合、小さなダンパ24を用いサスペンション構造10を構成することができる。逆に、図5(b)に示すようにL1:L2=1:2とする場合、車輪14のバウンド/リバウンドによる変位が小さい場合でも、ダンパ24のストロークを大きくすることができる。この場合、車輪14の僅かな振動に対してもダンパ24を大きく駆動しサスペンション効果を良好に発揮させることが可能になり車両の乗り心地の改善に寄与できる。
【0027】
このように、ベルクランク22の形状を適宜選択することにより、サスペンション構造10のレイアウトを優先させる設計やサスペンション効果を優先させる設計の選択が容易になり、サスペンション構造10の設計自由度を向上することができる。なお、ベルクランク22のL1とL2の長さ比は、所望するサスペンション構造10の特性に応じて適宜選択可能である。
【0028】
図6に、本実施形態のサスペンション構造に利用可能な他のタイプのリンクアームを示す。図6は、リンクアームの一例として直形リンク34を示している。直形リンク34は、図1におけるナックル16とダンパ24の上方に配置される。直形リンク34には、車両ボディ内側から順に回転中心部22a、ダンパ接続部22c、ナックル接続部22bが形成されている。そして、車両ボディ外側の位置であるナックル接続部22bでナックル16の上部側が回転自在に接続されている。また、回転中心部22aより車両ボディ外側の位置であり、ナックル接続部22bより車両ボディ内側の位置において、ダンパ接続部22cでダンパ24の一部が回転自在に接続されている。
【0029】
このような直形リンク34を有するサスペンション構造10の動作を説明する。図6に示すように、直形リンク34は、車両ボディ内側から順に回転中心部22a、ダンパ接続部22c、ナックル接続部22bが形成されている。したがって、車輪14のバウンドによりナックル16が上方に変位すると、直形リンク34は、回転中心部22aを中心に反時計回り方向に回転する。この回転に伴いダンパ接続部22cも反時計回り方向に回転し、ダンパ24から遠ざかるように移動する。その結果、ロッド26が伸張動作を行うことになる。図2で説明したように、ダンパ24はロッド26の伸張時は圧縮時に比べ減衰比が小さいので、直形リンク34を用いたサスペンション構造10は、車輪14のバウンド時には、減衰力の小さな、いわゆる「ソフトなサスペンション」として機能する。逆に、車輪14がリバウンドした場合、直形リンク34が時計回り方向に回転する。その結果、ダンパ接続部22cがダンパ24に近づき、ダンパ24のロッド26が圧縮方動作を行う。つまり、大きな減衰効果を発揮するサスペンション構造10として機能する。このように、直形リンク34を用いた場合でも、車輪14のバウンド時にダンパ24を伸張させる方向に動作させ、車輪14のバウンド時の減衰力をリバウンド時の減衰力より小さくし、車両の乗り心地を向上することができる。なお、直形リンク34は、ナックル16に接続されるアッパアームと称される場合もある。
【0030】
図1に示す本実施形態では、前輪駆動車両を例に取り説明したが、本実施形態ののサスペンション構造10は、従動輪においても適用可能であり、ドライブシャフト17の代わりに回転軸が接続された車輪14のバウンド/リバウンドの減衰も同様に行い同様の効果が得られる。また、図1の場合、ナックル16の上部側の腕を伸ばして、直接ベルクランク22と接続する構成を説明したが、ナックル16とベルクランク22との間をプッシュロッドなどで接続してもよく、本実施形態と同様の効果が得られる。また、図1の場合、ダンパ24のシリンダ側を車両ボディ12に接続し、ロッド26側をベルクランク22に接続した構成を説明したが、シリンダ側をベルクランク22に接続し、ロッド26側を車両ボディ12に接続しても本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
また、ベルクランクは、ナックルとダンパの間に配置され、ベルクランクの回転中心部より車両ボディ外側の位置において、ナックルの上部側が回転自在に接続され、ベルクランクの回転中心部より車両ボディ内側の位置において、ダンパの一部が回転自在に接続され、ベルクランクが、車輪のバウンド時にダンパを伸張させる方向に回転する構成であれば、個々の構成の形状は任意であり、適宜変更しても本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0032】
また、本実施形態では、バウンド/リバウンド時の車輪の変位に対し、ダンパを逆相で用いるための変向リンクとして、略L字形状のベルクランクを用いて説明した。しかし、ベルクランクと同様に入力の方向を変向させる機能を有するリンクであれば、変向リンクの形状は適宜選択することができる。例えば、回転中心部を挟み、その両側にナックル接続部とダンパ接続部を有する三角形状やその他の形状のリンクでもよく、本実施形態と同様に、車輪のバウンド時にダンパを伸張させる方向に回転可能であり、同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係るサスペンション構造の構成概念図である。
【図2】本実施形態に係るサスペンション構造に使用するシリンダ/ピストンの概念構成図である。
【図3】本実施形態に係るサスペンション構造の変向リンクとしてのベルクランクとダンパの動作を説明する説明図である。
【図4】本実施形態に係るサスペンション構造において、ベルクランクをトーションバーで支持する場合の構成説明図である。
【図5】本実施形態に係るサスペンション構造の変向リンクとしてのベルクランクの変形例を説明する説明図である。
【図6】本実施形態に係るサスペンション構造に利用可能な直形リンクを説明する説明図である。
【符号の説明】
【0034】
10 サスペンション構造、 12 車両ボディ、 14 車輪、 16 ナックル、 17 ドライブシャフト、 18 ロアアーム、 20 サスペンションメンバー、 22 ベルクランク、 22a 回転中心部、 22b ナックル接続部、 22c ダンパ接続部、 24 ダンパ、 26 ロッド、 28 シリンダ、 30 ピストン、 32 トーションバー、 34 直形リンク。




 

 


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