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発明の名称 加速感評価装置及び車両制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15432(P2007−15432A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−196124(P2005−196124)
出願日 平成17年7月5日(2005.7.5)
代理人 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
発明者 安田 栄一 / 水野 雅彦 / 武井 一剛 / 小野 英一 / 寺澤 位好 / 國分 三輝 / 松永 彰生 / 嶋田 真典 / 野崎 雄介
要約 課題
ドライバの加速度期待値を表す物理量を演算することにより、ドライバの加速度期待値に対する体感加速度の評価を行う。

解決手段
車両を加速させる際のドライバの車両に対する操作量を検出し、車両挙動量を検出し、操作量の検出値及び車両挙動量の検出値に基づいて、ドライバが期待する加速性能の期待値を表す期待値の物理量を演算し、ドライバが感じている加速度の体感を表す体感物理量を演算し、期待値の物理量と体感物理量との偏差または比に基づいて、加速感の評価値を演算する。
特許請求の範囲
【請求項1】
車両を加速させる際のドライバの車両に対する操作量を検出する操作量検出部と、
車両挙動量、または車両挙動量及びドライバの挙動量を検出する車両・人の挙動検出部と、
前記操作量検出部の検出値及び前記車両・人の挙動検出部の検出値に基づいて、ドライバが期待する加速性能の期待値を表す期待値の物理量を演算する期待値の物理量演算手段と、
前記車両・人の挙動検出部の検出値に基づいて、ドライバが感じている加速度の体感を表す体感物理量を演算する体感物理量演算手段と、
前記期待値の物理量と前記体感物理量とを比較する比較演算部と、
前記比較演算部の出力に基づいて、加速感の評価値を演算する評価値演算部と、
を含む加速感評価装置。
【請求項2】
走行環境によるドライバ心理の特性を補償するために、前記期待値の物理量を補正するドライバ心理特性補償部を更に設けた請求項1記載の加速感評価装置。
【請求項3】
前記期待値の物理量演算手段を、
アクセル開度、変速機の変速段数、車両重量、車速、及び走行路面情報に基づいて、車両前後加速度を演算する車両前後加速度演算部と、
走行路面情報に基づく応答特性に応じて、前記車両前後加速度を補正する応答特性フィルタ要素と、
応答特性フィルタ要素から出力された出力値を微分する微分回路と、
を含んで構成した請求項1または請求項2記載の加速感評価装置。
【請求項4】
前記体感物理量演算手段を、
加速時におけるドライバの前後揺動によって、ドライバの背中がシートバックに押し付けられた際の該背中に作用する押し付け荷重の加速前後の変化量に基づいて、前記変化量と等価な前後加速度を皮膚感覚加速度として演算する演算部と、
前記演算部からの出力値を微分して皮膚感覚前後ジャークとして出力する微分要素と、
を含んで構成した請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の加速感評価装置。
【請求項5】
前記車両・人の挙動検出部によって、ドライバの頭部の前後加速度、ドライバの肩の前後加速度、及びドライバの肩のピッチ角を検出すると共に、
前記体感物理量演算手段に、前記ドライバの頭部の前後加速度、前記ドライバの肩の前後加速度、及び前記ドライバの肩のピッチ角に基づいて、ドライバの首の前後ジャーク及び深部感覚加速度を演算する演算部を設けた請求項4記載の加速度評価装置。
【請求項6】
車両を加速させる際のドライバの車両に対する操作量を検出する操作量検出部と、
車両挙動量、または車両挙動量及びドライバの挙動量を検出する車両・人の挙動検出部と、
前記操作量検出部の検出値及び前記車両・人の挙動検出部の検出値に基づいて、ドライバが期待する加速性能の期待値を表す期待値の物理量を演算する期待値の物理量演算手段と、
前記車両・人の挙動検出部の検出値に基づいて、ドライバが感じている加速度の体感を表す体感物理量を演算する体感物理量演算手段と、
前記期待値の物理量と前記体感物理量とを比較するする比較演算部と、
前記比較演算部の出力が入力される人間の閾値特性を不感帯とした不感帯特性部と、
前記不感帯特性部出力が入力される車両と人体の応答特性を補償する車両・人体応答補償部と、
前記車両・人体応答補償部の出力に基づいて、ドライバが期待する加速性能が得られるように車両を制御する制御部と、
を含む車両制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、エンジントルク及び変速機の変速比の少なくとも一方を制御する請求項6記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記期待値の物理量演算手段を、
アクセル開度、変速機の変速段数、車両重量、車速、及び走行路面情報に基づいて、車両前後加速度を演算する車両前後加速度演算部と、
走行路面情報に基づく応答特性に応じて、前記車両前後加速度を補正する応答特性フィルタ要素と、
応答特性フィルタ要素から出力された出力値を微分する微分回路と、
を含んで構成した請求項6または請求項7記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記体感物理量演算手段を、
加速時におけるドライバの前後揺動によって、ドライバの背中がシートバックに押し付けられた際の該背中に作用する押し付け荷重の加速前後の変化量を荷重比偏差として演算する演算部と、
前記演算部からの出力値を微分して荷重比偏差の速度として出力する微分要素と、
を含んで構成した請求項6〜請求項8のいずれか1項記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記期待値の物理量の大きさで前記不感帯特性部の不感帯の幅を変更するようにした請求項6〜請求項9のいずれか1項記載の車両制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は加速感評価装置及び車両制御装置に係り、特に、ドライバが感じている加速感の評価を実車で行うことができる加速感評価装置、及びドライバが期待する加速性能を実現することができる車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の基礎となった従来の自動車用動力伝達機構の模型化システムは、車両モデルと人間のモデルとを用いて、ドライバの頭のピッチ角、タコメータの視覚量、エンジン回転数の聴覚量、及びドライバの体に作用する正常圧力波形等を用いて、自動車用動力伝達機構切り換え特性を評価するものである(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、従来の技術では、ドライバの加速度の期待値を表す物理量を演算していないので、ドライバの加速度期待値に対する体感加速度の評価を行うことができない、という問題があった。
【特許文献1】特表2004−530088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、ドライバの加速度期待値を表す物理量を演算することにより、ドライバの加速度期待値に対する体感加速度の評価を行うことができる加速感評価装置、及びドライバが期待する加速性能を実現することができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明の加速感評価装置は、車両を加速させる際のドライバの車両に対する操作量を検出する操作量検出部と、車両挙動量、または車両挙動量及びドライバの挙動量を検出する車両・人の挙動検出部と、前記操作量検出部の検出値及び前記車両・人の挙動検出部の検出値に基づいて、ドライバが期待する加速性能の期待値を表す期待値の物理量を演算する期待値の物理量演算手段と、前記車両・人の挙動検出部の検出値に基づいて、ドライバが感じている加速度の体感を表す体感物理量を演算する体感物理量演算手段と、前記期待値の物理量と前記体感物理量とを比較するする比較演算部と、前記比較演算部の出力に基づいて、加速感の評価値を演算する評価値演算部と、を含んで構成したものである。
【0006】
本発明の加速感評価装置によれば、ドライバの車両に対する操作量から得られるドライバが期待する加速性能の期待値を表す期待値の物理量を目標値として、期待値の物理量と、例えば、ドライバーシートを介してドライバが感じている体感を表す物理量との偏差または比に基づいて加速感を評価するため、全開加速等の特定の走行パターンによる車両物理量のみで評価する加速性能評価法と比較して、種々の走行パターンで加速感を評価することができる。
【0007】
なお、本発明の加速感評価装置には、走行環境によるドライバ心理の特性を補償するために、期待値の物理量を補正するドライバ心理特性補償部を更に設けることができる。
【0008】
また、本発明の車両制御装置は、車両を加速させる際のドライバの車両に対する操作量を検出する操作量検出部と、車両挙動量、または車両挙動量及びドライバの挙動量を検出する車両・人の挙動検出部と、前記操作量検出部の検出値及び前記車両・人の挙動検出部の検出値に基づいて、ドライバが期待する加速性能の期待値を表す期待値の物理量を演算する期待値の物理量演算手段と、前記車両・人の挙動検出部の検出値に基づいて、ドライバが感じている加速度の体感を表す体感物理量を演算する体感物理量演算手段と、前記期待値の物理量と前記体感物理量とを比較するする比較演算部と、前記比較演算部の出力が入力される人間の閾値特性を不感帯とした不感帯特性部と、前記不感帯特性部出力が入力される車両と人体の応答特性を補償する車両・人体応答補償部と、前記車両・人体応答補償部の出力に基づいて、ドライバが期待する加速性能が得られるように車両を制御する制御部と、を含んで構成したものである。
【0009】
本発明の車両制御装置では、人間の閾値特性の不感帯、例えば人間の知覚閾値の不感帯を越えた偏差または比に基づいてドライバが期待する加速性能が得られるように車両を制御するので、車両の制御から人体の前後揺動までの位相補償が行われ、スムーズな加速性能が得られる。
【0010】
本発明の車両制御装置では、エンジントルク及び変速機の変速比の少なくとも一方を制御することができる。
【0011】
本発明の期待値の物理量演算手段は、アクセル開度、変速機の変速段数、車両重量、車速、及び走行路面情報に基づいて、車両前後加速度を演算する車両前後加速度演算部と、走行路面情報に基づく応答特性に応じて、前記車両前後加速度を補正する応答特性フィルタ要素と、応答特性フィルタ要素から出力された出力値を微分する微分回路と、を含んで構成することができる。
【0012】
本発明の加速感評価装置の体感物理量演算手段は、加速時におけるドライバの前後揺動によって、ドライバの背中がシートバックに押し付けられた際の該背中に作用する押し付け荷重の加速前後の変化量に基づいて、前記変化量と等価な前後加速度を皮膚感覚加速度として演算する演算部と、前記演算部からの出力値を微分して皮膚感覚前後ジャークとして出力する微分要素と、を含んで構成することができる。
【0013】
また、本発明の車両制御装置の体感物理量演算手段を、加速時におけるドライバの前後揺動によって、ドライバの背中がシートバックに押し付けられた際の該背中に作用する押し付け荷重の加速前後の変化量を荷重比偏差として演算する演算部と、前記演算部からの出力値を微分して荷重比偏差の速度として出力する微分要素と、を含んで構成することができる。
【0014】
不感帯特性部の不感帯の幅は、期待値の物理量の大きさで変更することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明の加速感評価装置によれば、ドライバの車両に対する操作量から得られるドライバが期待する加速性能の期待値を表す期待値の物理量と、ドライバが感じている体感を表す物理量との偏差または比に基づいて加速感を評価するため、種々の走行パターンで加速感を評価することができる、という効果が得られる。
【0016】
また、本発明の車両制御装置によれば、人間の閾値特性の不感帯を越えた偏差または比基づいてドライバが期待する加速性能が得られるように車両を制御するので、車両の制御から人体の前後揺動までの位相補償が行われ、スムーズな加速性能を得ることができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。第1の実施の形態は、ドライバが車両を操作したときの加速度に関連する操作量としてアクセル開度及び変速段数(または変則モード)を検出し、車両・人の状態量としてピッチ角、車両重量、エンジン回転数、車速、路面勾配、シートのクッションへの荷重であるクッション荷重Wc、シートのバックレストへの荷重であるバックレスト荷重Wb、及びフロア前後加速度を検出し、検出結果に基づいて加速感の評価を行うものである。
【0018】
図1に示すように、第1の実施の形態の加速感評価装置には、ドライバが車両を操作したときの加速度に関連する操作量であるアクセル開度、及び変速モードまたは変速段数等の車両操作量を検出する操作量検出部10、及び、ピッチ角、加速時におけるドライバからシートクッションへ作用する荷重であるクッション荷重Wc、加速時におけるドライバの前後揺動により、ドライバの背中がシートバックに押し付けられた際に、ドライバの背中に作用するバックレストへの荷重であるバックレスト荷重Wb、フロア前後加速度、車両重量、車速、及び路面勾配等の車両状態量、または車両状態量及びドライバの状態量である人の状態量を検出する車両・人の状態量検出部12が設けられている。
【0019】
操作量検出部10で検出する車両操作量及び車両・人の状態量検出部12で検出する車両・人の状態量は、加速感の評価の精度等の条件に応じて変更することができ、車両・人の状態量検出部12では、ピッチレート、車速、及びエンジン回転数等の車両状態量を更に検出するようにしてもよく、ドライバの状態量である人の状態量を更に検出するようにしてもよい。
【0020】
操作量検出部10及び車両・人の状態量検出部12の出力端は、操作量であるアクセル開度及び変速段数、並びに車両状態量である車両重量、車速、及び路面勾配に基づいて、ドライバが期待する加速性能の期待値を表す期待値の物理量を演算する期待値の物理量演算部14に接続され、車両・人の状態量検出部12の出力端は、期待値の物理量演算部14に接続されると共に、クッション荷重Wc、バックレスト荷重Wb、及びフロア前後加速度に基づいて、ドライバが感じている加速度の体感を表す体感物理量を演算する体感物理量演算部16に接続されている。
【0021】
期待値の物理量演算部14及び体感物理量演算部16は、期待値の物理量と体感物理量との偏差、または期待値の物理量と体感物理量との比を演算する比較演算部18に接続されている。比較演算部18で演算する偏差または比は、期待値の物理量及び体感物理量のいずれを基準にしてもよい。この偏差または比を演算することにより、期待値に対して体感がどの程度かを表す指標を演算することができる。
【0022】
比較演算部18は、比較演算部18の出力に基づいて、期待値の物理量に対する体感物理量の評価値(評価物理量)Hを演算する評価値演算部20に接続されている。
【0023】
図2に示すように、期待値の物理量演算部14には、アクセル開度、変速段数、車両重量、車速、及び路面勾配に基づいて車両前後方向の加速度である車両前後加速度αを演算する車両前後加速度演算部14a、路面勾配に基づいて走行路面状況による応答遅れ時間(時定数)Tを算出する応答遅れ時間算出部14bが設けられている。応答遅れ時間算出部14bは、例えば、上り路または下り路に応じて応答遅れ時間Tを算出する。
【0024】
また、車両前後加速度演算部14aは、上り路及び下り路等の走行路面情報に応じた応答遅れ時間T、及び最終値K1を含み、走行路面情報に基づく応答特性に応じて、加速性能の期待値の物理量を補正する応答特性フィルタで構成された一次遅れ要素を有する人体応答部14eに接続されている。この応答遅れ時間Tは、車両・人の状態検出部で検出された路面勾配からドライバが期待する人体応答の応答時間である。車両前後加速度αを、人体応答部14eの最終値(ゲイン)K1を含む一次遅れ要素を通過させることにより、ドライバの背中の圧迫感と等価な加速度を表す加速度期待値αbcが出力される。すなわち、人体応答部14eからは、フロアの前後加速度に対してバックレストのばねと乗員の質量による前後方向の人体揺動に対して期待する加速度の期待値が出力される。
【0025】
また、人体応答部14eの出力端には、人体応答部14eの出力を微分する第1の微分要素14fが接続されている。人体応答部14eの出力である加速度期待値αbcを微分することにより、ジャークの期待値Jbcが出力される。
【0026】
ここで、本実施の形態における人体応答部は、上記で説明したようにゲインK1を有する一次遅れを用いる例について説明したが、n次の遅れ特性を用いてもよい。
【0027】
本実施の形態では、上記内容が最小限の構成であり、さらに期待値の物理量演算部の演算精度を向上するためには、上体前後伝達関数を付与すればよい。
【0028】
体感物理量演算部16には、フロア前後加速度に基づいて、フロア前後加速度が発生する前のシート荷重(クッション荷重Wci、及びバックレスト荷重Wbi)を記憶するシート荷重記憶部16aが設けられている。
【0029】
また、体感物理量演算部16には、現在のクッション荷重Wcとバックレスト荷重Wbとの和に対するバックレスト荷重Wbの比、すなわち加速後の荷重比Rを演算する荷重比演算部16b、及び加速前のクッション荷重Wciとバックレスト荷重Wbiとの和に対するバックレスト荷重Wbiの比、すなわち加速前の荷重比Riを演算する荷重比演算部16cが設けられている。ここで、各荷重比演算部でシート荷重比を演算するのは、ドライバの体重差を無くすためである。
【0030】
荷重比演算部16b及び荷重比演算部16cの各出力端は、減算要素16dに接続されており、減算要素16dにおいて加速後の荷重比Rから加速前の荷重比Riを減算した荷重比偏差ΔRbが演算される。減算要素16dの出力端には、荷重比偏差ΔRbを皮膚感覚加速度αb1に換算するための換算係数Kgを乗算する乗算要素16eが接続されている。乗算要素16eは、荷重比偏差ΔRbに換算係数Kgを乗算した積を皮膚感覚加速度αb1として出力する。これにより、加速時におけるドライバの前後揺動により、ドライバの背中がシートバックに押し付けられた際の背中に作用する押し付け荷重の加速前後の変化量、すなわち荷重比偏差に基づいて、変化量と等価な前後加速度を皮膚感覚加速度αb1として演算することができる。
【0031】
また、乗算要素16eの出力端には、乗算要素16e出力を微分する第2の微分要素16fが接続されており、皮膚感覚加速度αb1を微分することにより皮膚感覚前後ジャークJbが出力される。
【0032】
比較演算部18には、加速度期待値αbcから皮膚感覚加速度αb1を減算した差を出力する減算要素18a、及びジャーク期待値Jbcから皮膚感覚ジャークJbを減算した差を出力する減算要素18bが設けられている。減算要素18aには係数Aを乗算する乗算要素18cが接続され、減算要素18bには係数Bを乗算する乗算要素18dが接続されている。
【0033】
そして、評価物理量演算部20は、乗算要素18c及び乗算要素18dの各出力に基づいて、アクセル開度から得られたドライバの加速度の期待値(加速度期待値αbc、及びジャーク期待値Jbc)に対して、実際にドライバが感じている体感物理量がどの程度であるかを評価し、評価値(評価物理量)Hを出力する。
【0034】
以下、評価値Hの算出について説明すると、評価物理量演算部20は、比較演算部18の出力Δαb、ΔJbに対して、事前に行った加速感の官能評価との相関式を元に評価物理量を演算する。本実施の形態では、加速度の偏差Δαbとジャークの偏差ΔJbとを入力として官能評価との回帰式を基に下記の式に従って評価値Hを演算する。
【0035】
H=k1Δαb+k2ΔJb+C ・・・(1)
ここで、k1及びk2は回帰係数、Cは定数である。
【0036】
なお、上記では、評価値を求める回帰式として、線形一次の回帰式を示したが、非線形の回帰式を用いてもよい。
【0037】
本実施の形態の操作量検出部10で得られるドライバのアクセル開度は、ドライバの加減速の意思を示す情報である。アクセル開度が増加する場合には、現状車速に対して車速増加(駆動力増加)の要求、すなわちアクセル開度が、車両加速度に相当するものと看做すことができる。ただし、発生する車両加速度は、アクセル開度が同じでも変速機の変速段数により駆動力が異なり、また車速や路面勾配による走行抵抗との釣り合いによって決定される。このことから、車両前後加速度演算部14aでアクセル開度、変速機の変速段数による駆動力、車速、路面勾配から決まる走行抵抗、及び車両重量から車両前後加速度を推定している。
【0038】
一方、発生した車両加速度に対してドライバが加速を感じる感覚器としては、皮膚感覚と深部感覚とからなる体性感覚器がある。皮膚感覚は、背中がシートに押し付けられるときの荷重及び荷重変化を皮膚感覚受容器のメルケル板とマイスナー小体で感じている。また、深部感覚は、姿勢を維持するために筋骨格筋にある筋紡錘で筋肉や腱の動き(伸縮)で感じている。そのため、種々の乗り物の加速体験における加速度の大きさは、体性感覚量で記憶しているものと考えられる。
【0039】
したがって、ドライバのアクセル操作に対して期待する加速は、体性感覚で感じている物理量で表現すればよいことになる。そこで、車両加速度に対して人体応答を加味するとともに、加速ショックがない特性を理想の期待値と仮定すると、人体応答部の特性として本実施の形態では一次遅れを用いた例について説明した。そして、一次遅れの時定数Tは、路面が上りと下りとでは、ドライバが予め期待する応答時間が異なる。すなわち、路面が上りの場合には、ドライバは経験則から平坦路の時定数Tに比べて大きくなることを期待する。また、路面が下りの場合には、ドライバは平坦路の時定数Tに比べて小さくなることを期待している。このようにして得られた加速度期待値αbcを第1の微分要素で微分することでジャーク期待値Jbcを演算する。これは、皮膚感覚受容器の荷重変化に相当するものである(加速前後で上体質量が変化しない)。
【0040】
本実施の形態によれば、加速度に関連する操作量及び車両状態量から加速度の期待値の物理量が演算されると共に、車両状態量から加速度の体感物理量が演算され、加速度の期待値の物理量と加速度の体感物理量との偏差または比に基づいて、ドライバの加速度の期待に対して加速度の体感がどの程度かを評価することができる。
【0041】
次に、本発明の加速度評価装置の第2の実施の形態を図3を参照して説明する。本実施の形態は、車両・人の状態量検出部によって車両状態量及び人の状態量(車両・人の状態量)を検出することによって、第1の実施の形態で用いた皮膚感覚加速度αb1及び皮膚感覚前後ジャークJbの他に、首の前後ジャークJn及び深部感覚加速度αb2を体感物理量として演算するようにしたものである。このため、本実施の形態では、図3に示すように、車両・人の状態量としてフロア前後加速度、クッション荷重Wc、及びバックレスト荷重Wbの他に、ドライバの頭部の前後加速度αh、ドライバの肩の前後加速度αs、及びドライバの肩のピッチ角Psを検出する。
【0042】
また、図3において図1と対応する部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
本実施の形態では、車両・人の状態量検出部12で、ドライバの頭部の前後加速度αh、ドライバの肩の前後加速度αs、及びドライバの肩のピッチ角Psが更に検出される。
【0044】
また、図3に示すように本実施の形態の体感物理量演算部16には、ノイズの除去と人体揺動の応答周波数以上の変動成分を除去することを目的とするM次のローパスフィルタ16gが設けられている。ローパスフィルタ16gには、ドライバの頭部の前後加速度αh、ドライバの肩の前後加速度αs、及びドライバの肩のピッチ角Psの検出値の各々が入力されてノイズの除去及び人体揺動の応答周波数以上の変動成分の除去が行われる。ローパスフィルタ16gの出力端には、減算要素16hが設けられており、減算要素16hはドライバの頭部の前後加速度αhの検出値からドライバの肩の前後加速度αsを減算した偏差Δαhsを出力する。この偏差Δαhsは、首に刺激力として作用する加速度を表している。
【0045】
また、体感物理量演算部16には、加速度を力に換算する第2の換算係数Kgnを乗算する乗算要素16i、及びピッチ角Psに第3の換算係数Kgsを乗算して深部感覚加速度αb2に換算する乗算要素16jが設けられている。乗算要素16iは減算要素16hから出力された偏差に換算係数Kgnを乗算して偏差を力に換算して出力する。
【0046】
乗算要素16iの出力端には、第3の微分要素16kが設けられており、第3の微分要素16kは乗算要素16iの出力を微分して、前後ジャークJnとして出力する。前後ジャークJnは、首の前後刺激力の変化量に比例する量である。
【0047】
本実施の形態では、第3の微分要素16kで微分することで首に作用する刺激力変化に比例する首の前後ジャークJnを演算している。首の前後ジャークJnを演算するのは、頭部の質量が上体質量に比べて小さため、急な加速が生じると姿勢維持機能が作用する前に頭部が上体より先に後方に動かされ、その後首の筋力で頭部を元の位置に戻そうとし、この時に首に作用するジャークの大きさで、加速ショックの強さを感じていると考えられるからである。
【0048】
乗算要素16jには、ノイズ及び人体揺動の応答周波数以上の変動が除去された肩のピッチ角Psが入力され、ピッチ角Psに第3の換算係数Kgsを乗算した値を深部感覚加速度αb2として出力する。この深部感覚加速度αb2は、ドライバが自分の姿勢を保持しようとして自身の体でこらえる量に相当している。
【0049】
本実施の形態の比較演算部18に設けられている減算要素18aで、加速度期待値αbcから皮膚感覚加速度αb1及び深部感覚加速度αb2の和が減算され、乗算要素18cで偏差(=αbc−αb1−αb2)に係数Aが乗算されて加速度の偏差Δαbに換算され、またジャーク期待値Jbcから皮膚感覚前後ジャークJbを減算した偏差に係数Bが乗算されてジャークの偏差ΔJbが演算され、上記(1)式に基づいて評価値Hが演算される。
【0050】
本実施の形態では、皮膚感覚加速度αb1及び皮膚感覚前後ジャークJbの他に、首の前後ジャークJn及び深部感覚加速度αb2を体感物理量として演算しているため、第1の実施の形態と比較してより精度よく加速感の評価を行うことができる。
【0051】
次に、本発明の加速度評価装置の変形例について説明する。この変形例は、図4に示すように、体感物理量演算部の2つの荷重比演算部16b、16cの出力端の各々に、刺激と感覚との関係を述べた以下の(2)式で表されるスティーブンスのべき法則に従って、入力された荷重比を変換するようにしたものである。図5に、スティーブンスのべき法則の特性を示す。
【0052】
R’=k・Ra ・・・(2)
ここで、Rは刺激に相当する荷重比、R’は感覚を表す物理量であり、k及びaはパラメータである。
【0053】
この変形例によれば、感覚係数を用いた変換要素16mの各々により、加速後の荷重比R、及び加速前の荷重比Riがドライバの感覚に応じた値に変換され、精度の良い皮膚感覚加速度αb、及び皮膚感覚前後ジャークJbを演算することができる。
【0054】
次に、本発明のエンジントルクを制御する車両制御装置の第1の実施の形態を図6を参照して説明する。本実施の形態は、操作量としてアクセル開度及び変速段数を検出し、車両・人の状態量としてフロア前後加速度、クッション荷重Wc、バックレスト荷重Wb、車両重量、車速、及び路面勾配等を検出し、加速感評価装置の第1の実施の形態を利用してエンジントルクを制御するようにしたものである。したがって、図6において図1と対応する部分、図7において図2と対応する部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
図6に示すように本実施の形態では、比較演算部18の出力端に、人間の知覚閾値−dh〜+dhの幅の不感帯を備えた不感帯部22が接続され、不感帯部22の出力端には車両と人体との応答の補償を行う車両・人体応答補償部24が接続され、車両・人体応答補償部24には車両・人体応答補償部24出力に基づいてエンジントルクを制御するエンジントルク制御部26が接続されている。
【0056】
図7に示すように、本実施の形態の期待値の物理量演算部14には、図2の一次遅れ要素に代えて、最終値をKwとする一次遅れ要素14gが設けられている。ドライバのシートバックの加速度変化を、最終値Kwを含む一次遅れ要素14gを通過させることにより、一次遅れ要素14gから荷重比偏差の期待値ΔRbcが出力される。
【0057】
また、一次遅れ要素14gの出力端に接続された第1の微分要素14fからは、荷重比偏差の期待値ΔRbcを微分することにより、荷重比偏差の速度の期待値Rbcが出力される。
【0058】
本実施の形態の体感物理量演算部16には、図2の加速感評価装置とは異なり、乗算要素16eは設けられていない。したがって、体感物理量演算部16から、荷重比偏差ΔRb、微分要素16fで荷重比偏差ΔRbを微分して得られた荷重比偏差の速度Rbが各々出力される。
【0059】
本実施の形態の比較演算部18は、荷重比偏差の期待値ΔRbcから荷重比偏差ΔRbを減算する減算要素18a、及び荷重比偏差の速度の期待値Rbcから荷重比偏差の速度Rbを減算する減算要素18bで構成されている。
【0060】
不感帯部22には、減算要素18aの出力端に接続されると共に、−dh1〜+dh1の幅の不感帯を備えた不感帯部22a、減算要素18bの出力端に接続されると共に、−dh2〜+dh2の幅の不感帯を備えた不感帯部22b、不感帯部22aの出力端に接続され、かつ入力されたデータに係数G1を乗算するための乗算要素22c、及び不感帯部22bの出力端に接続され、かつ入力されたデータに係数G2を乗算するための乗算要素22dが設けられている。
【0061】
また、荷重比偏差の速度の期待値Rbcのデータが、下記の式に従って不感帯の幅を変更するように不感帯部22bに入力されている。
【0062】
dh2=r・Rbc ・・・(3)
ただし、rはウェーバ比であり、dh2≦制御精度である。
【0063】
不感帯部22に設けられた乗算要素22c及び乗算要素22dの出力端は、各々車両・人体応答補償部24に入力されている。
【0064】
エンジントルク制御部26では、荷重比偏差の期待値ΔRbcから荷重比偏差ΔRbを減算した偏差から人間の閾値特性除去した値に係数G1を乗算した値、及び荷重比偏差の速度の期待値Rbcから荷重比偏差の速度Rbを減算した偏差から人間の閾値特性除去した値に係数G2を乗算した値の各々が大きくなるに従って、点火時期、燃料噴射量、空気量、及び変速段の少なくとも1つを制御することによりエンジントルクが大きくなるように制御する。
【0065】
また、ディーゼルエンジンでは、荷重比偏差の期待値ΔRbcから荷重比偏差ΔRbを減算した偏差から人間の閾値特性除去した値に係数G1を乗算した値、及び荷重比偏差の速度の期待値Rbcから荷重比偏差の速度Rbを減算した偏差から人間の閾値特性除去した値に係数G2を乗算した値の各々が大きくなるに従って、燃料噴射量を増加させてトルクが大きくなるように制御する。これにより、車両の加速性能を向上することができる。
【0066】
次に、車両制御装置の第2の実施の形態について図8を参照して説明する。本実施の形態は、車両制御装置の第1の実施の形態において、体感物理量演算部のみを変更し、クッション荷重Wc及びバックレスト荷重Wbを検出する代わりに、車両・人の状態量としてクッションたわみ及びバックレストたわみを検出し、クッションたわみからクッション荷重Wcを演算すると共に、バックレストたわみからバックレスト荷重Wbを演算するようにしたものである。したがって、体感物理量演算部16以外の部分についての図示を省略し、図8において図7対応する部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
図8に示すように、本実施の形態の体感物理量演算部には、クッションたわみからクッション荷重Wcを演算するクッション荷重Wc演算部16p、及びバックレストたわみからバックレスト荷重Wbを演算するバックレスト荷重Wb演算部16qが設けられている。クッション荷重Wc演算部16p及びバックレスト荷重Wb演算部16qの各々は、シート荷重記憶部16a及び荷重比演算部16bに接続され、シート荷重記憶部16aは、荷重比演算部16cに接続されている。
【0068】
シート荷重記憶部16aでは、上記で説明したように、入力されたフロア前後加速度に基づいて、加速度が発生する前のクッション荷重Wci及びバックレスト荷重Wbiを記憶する。
【0069】
本実施の形態では、クッション荷重Wc及びバックレスト荷重Wbを検出することなく、クッションたわみ及びバックレストたわみを検出し、クッションたわみからクッション荷重Wcを演算すると共に、バックレストたわみからバックレスト荷重Wbを演算することができる。
【0070】
次に、走行環境補償型加速性適合車両制御装置の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図1に示した加速感評価装置にドライバ心理特性補償部30を設けたものである。
【0071】
本実施の形態によれば、走行環境によるドライバ心理の特性を補償することができる。
【0072】
走行環境補償型加速性能適合車両制御装置の主要構成を図9に示す。図7の加速性能適合車両制御装置の構成に走行環境によるドライバの心理の特性を補償するために、期待値の物理量を補正するドライバ心理特性補償部30を付加したものである。ドライバが先を急いでいる場合には、急加速や急減速が多くなり、アクセルとブレーキ操作の頻度が高くなる。このような操作の頻度からドライバの急ぎ度を演算し、図7の実施例に示す期待値の物理量演算部14の一次遅れ要素14gの最終値Kwの大きさを急ぎ度に応じて大きくするようにドライバ心理特性補償部で演算を行い、期待値の物理量である荷重比期待値と荷重速度比期待値を補正する。これによって、ドライバの心理状態に沿った加速性能が得られる。また、加速性能適合制御車両にドライバ心理特性補償部を設けた実施の形態を示したが、加速感評価装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の加速感評価装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】加速感評価装置の第1の実施の形態の詳細を示すブロック図である。
【図3】加速感評価装置の第2の実施の形態の詳細を示すブロック図である。
【図4】本発明の加速感評価装置の変形例を示すブロック図である。
【図5】図4の変換要素で使用するスティーブンスのべき法則の特性を示す線図である。
【図6】本発明のエンジントルクを制御する車両制御装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図7】車両制御装置の第1の実施の形態の詳細を示すブロック図である。
【図8】車両制御装置の第2の実施の形態における体感物理量演算部の詳細を示すブロック図である。
【図9】本発明の走行環境補償型加速性適応車両制御装置の実施の形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0074】
10 操作量検出部
12 車両状態量検出部
14 期待値の物理量演算部
16a シート荷重記憶部
16g ローパスフィルタ
16b 荷重比演算部
16c 荷重比演算部
16d 減算要素
16f 微分要素
20 評価値演算部
20 評価物理量演算部
26 エンジントルク制御部
30 ドライバ心理特性補償部




 

 


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