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発明の名称 バッテリ劣化検出装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15428(P2007−15428A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−196076(P2005−196076)
出願日 平成17年7月5日(2005.7.5)
代理人 【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
発明者 石丸 明
要約 課題
バッテリ50の劣化判定を簡単に行うことを目的とする。

解決手段
バッテリ50から電動モータ15への電源供給電圧Vhをモニタし、モータ供給電圧Vhが回生電力により所定電圧以上に上昇したときに昇圧回路40の第2スイッチング素子SW2をオン保持して回生電力をバッテリ50側に流す。そして、モータ供給電圧Vhが所定電圧以上に上昇してから所定電圧以下に下降するまでの時間を計測し、この計測時間が基準時間よりも長い場合はバッテリ50が劣化していると判断する。
特許請求の範囲
【請求項1】
バッテリからモータ制御装置を介して電動モータに電源供給するシステムに用いられるバッテリ劣化検出装置において、
上記電動モータで発生した回生電力を上記バッテリ側に戻すように逆流可能に電源供給路を構成するとともに、
上記電動モータへの電源供給路の任意の部位の電圧を検出する電圧検出手段と、
上記電動モータで発生した回生電力により、上記電圧検出手段による検出電圧が一旦所定電圧以上に上昇してから所定電圧以下に下降するまでの時間を計測する時間計測手段と
を備え、上記時間計測手段により計測された時間に基づいて上記バッテリの劣化状態を判断することを特徴とするバッテリ劣化検出装置。
【請求項2】
バッテリから電源供給され操舵トルクを操舵輪に付与する電動モータと、操舵ハンドルの操舵状態に応じて上記電動モータへの通電量を制御するモータ制御装置とを備えた電動パワーステアリング装置に用いられるバッテリ劣化検出装置において、
上記電動モータで発生した回生電力を上記バッテリ側に戻すように逆流可能に電源供給路を構成するとともに、
上記電動モータへの電源供給路の任意の部位の電圧を検出する電圧検出手段と、
上記電動モータで発生した回生電力により、上記電圧検出手段による検出電圧が一旦所定電圧以上に上昇してから所定電圧以下に下降するまでの時間を計測する時間計測手段と
を備え、上記時間計測手段により計測された時間に基づいて上記バッテリの劣化状態を判断することを特徴とするバッテリ劣化検出装置。
【請求項3】
上記モータ制御装置は、上記電動モータへの電源供給路に直列に設けられる昇圧用コイルと、上記昇圧用コイルの負荷側を開閉可能に接地する第1スイッチング素子と、上記電源供給ラインにおける上記第1スイッチング素子の接続部よりも負荷側に直列に設けられる第2スイッチング素子とを有し、少なくとも上記第1スイッチング素子をオンオフさせてバッテリ電圧を昇圧する昇圧回路を備え、
上記電圧検出手段による検出電圧が上記所定電圧以上に上昇したときに、上記第2スイッチング素子にオン状態に保持するようにオン保持信号を出力して、上記電動モータで発生した回生電力を上記昇圧回路を経由して上記バッテリ側に戻すことを特徴とする請求項1または請求項2記載のバッテリ劣化検出装置。
【請求項4】
上記電圧検出手段は、上記昇圧回路の出力電圧を検出することを特徴とする請求項3記載のバッテリ劣化検出装置。
【請求項5】
上記電圧検出手段は、上記昇圧回路の入力側となるバッテリ電圧を検出することを特徴とする請求項3記載のバッテリ劣化検出装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリから電動モータに電源を供給する電源供給するシステムに用いられるバッテリ劣化検出装置に関し、例えば、操舵ハンドルの操舵状態に応じて電動モータへの通電量を制御して所定の操舵トルクを与える電動パワーステアリング装置のバッテリ劣化検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載バッテリから各種の電気アクチュエータに電源を供給する電源供給装置においては、バッテリが劣化した場合には、各種電気アクチュエータを正常に作動させることができなくなるため、バッテリの劣化状態をモニタし、バッテリ劣化が検出されたときに運転者に対してバッテリ交換を促すようにシステム構成されている。
例えば、特許文献1のものでは、電動パワーステアリング装置への電源を供給するバッテリの劣化状態を検出するために、イグニッションキーの投入時に、操舵アシスト用の電動モータに所定電流を流し、そのときの電流−電圧特性を電流センサと電圧センサとにより測定する。そして、所定電流を流したときにバッテリの急激な電圧低下が検出された場合には、バッテリ劣化ありと判断する。
【特許文献1】特開平10−224904号
【0003】
しかしながら、電流測定、電圧測定用の各専用のセンサを設けているためシステム構成が大掛かりとなってしまいコストアップを招くことになる。また、電圧低下のみではバッテリ劣化を判定しにくいという問題もある。
一般に、電動パワーステアリング装置は、その消費電力量が多く、バッテリの全電気負荷に対する電力消費のウエイトが高いため、バッテリが劣化している場合に、電動パワーステアリングが作動すると、電動モータに大電流が流れてバッテリ電圧が大きく下がってしまう。こうした場合、フェイルセーフにより電動パワーステアリング装置の作動が停止したり、車両全体の電源システムがダウンしたりするおそれがある。
【0004】
そこで、バッテリ劣化が検出されているときには、電動モータへの通電量を制限する手法がとられるが、安全上からバッテリ劣化を判定する判定基準をかなり厳しい値に設定せざるを得ず、必要以上に電動モータへの通電量が制限されていた。
このため、電動パワーステアリング装置の機能が十分に活かしきれていない。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、バッテリの劣化判定を簡単に行うこと、および電動パワーステアリング装置に適用してバッテリの劣化判定を簡単に行うことにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、バッテリからモータ制御装置を介して電動モータに電源供給するシステムに用いられるバッテリ劣化検出装置において、上記電動モータで発生した回生電力を上記バッテリ側に戻すように逆流可能に電源供給路を構成するとともに、上記電動モータへの電源供給路の任意の部位の電圧を検出する電圧検出手段と、上記電動モータで発生した回生電力により、上記電圧検出手段による検出電圧が一旦所定電圧以上に上昇してから所定電圧以下に下降するまでの時間を計測する時間計測手段とを備え、上記時間計測手段により計測された時間に基づいて上記バッテリの劣化状態を判断することにある。
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、電動モータで発生した回生電力による電圧の推移からバッテリ劣化を簡単に判断することができる。つまり、回生電力が発生すると回生電力はモータ電源供給路を逆流してバッテリに送られる。この回生電力発生時においては、一時的にモータ電源供給路の電圧が上昇するが、元の電圧に復帰するまでの時間がバッテリ劣化度合いによって異なる。そこで、この発明では、検出電圧が一旦所定電圧以上に上昇してから所定電圧以下に下降するまでの時間を計測することでバッテリの劣化状態を判断している。
尚、この場合、時間計測を開始するための所定電圧と時間計測を終了するための所定電圧とを必ずしも同一にしなくてもよい。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、上記発明を電動パワーステアリング装置に適用したことにある。つまり、バッテリから電源供給され操舵トルクを操舵輪に付与する電動モータと、操舵ハンドルの操舵状態に応じて上記電動モータへの通電量を制御するモータ制御装置とを備えた電動パワーステアリング装置に用いられるバッテリ劣化検出装置において、上記電動モータで発生した回生電力を上記バッテリ側に戻すように逆流可能に電源供給路を構成するとともに、上記電動モータへの電源供給路の任意の部位の電圧を検出する電圧検出手段と、上記電動モータで発生した回生電力により、上記電圧検出手段による検出電圧が一旦所定電圧以上に上昇してから所定電圧以下に下降するまでの時間を計測する時間計測手段とを備え、上記時間計測手段により計測された時間に基づいて上記バッテリの劣化状態を判断することを特徴としている。
【0009】
一般に、電動パワーステアリングに用いられる電動モータでは、操舵ハンドルの急激な操作や、路面から操舵輪に加わる力(操舵輪の向きを変えようとする力)によって回生電力を発生するが、この発明では、この回生電力を有効に利用してバッテリ劣化判断に用いる。従って、電動パワーステアリング制御中にバッテリ劣化を判断できるだけでなく、電動パワーステアリングの制御に用いる電圧検出手段等を兼用できるため、大掛かりな構成にすることなく実施可能である。
【0010】
また、バッテリの劣化判定精度が向上するため、例えば、バッテリ劣化状態に応じて電動モータの電流制限を行うシステムに適用すれば、必要以上にモータ電流が制限されることがなく、操舵トルクを十分得ることができる。また、例えば、バッテリの劣化を運転者に知らせる報知手段などを設ければ、バッテリを良好な状態に保つことが可能となり、十分な操舵トルクが得られる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、上記モータ制御装置は、上記電動モータへの電源供給路に直列に設けられる昇圧用コイルと、上記昇圧用コイルの負荷側を開閉可能に接地する第1スイッチング素子と、上記電源供給ラインにおける上記第1スイッチング素子の接続部よりも負荷側に直列に設けられる第2スイッチング素子とを有し、少なくとも上記第1スイッチング素子をオンオフさせてバッテリ電圧を昇圧する昇圧回路を備え、上記電圧検出手段による検出電圧が上記所定電圧以上に上昇したときに、上記第2スイッチング素子にオン状態に保持するようにオン保持信号を出力して、上記電動モータで発生した回生電力を上記昇圧回路を経由して上記バッテリ側に戻すことにある。
【0012】
一般に、電動パワーステアリング装置など電動モータに大電力を供給するシステムにおいては、昇圧回路によりバッテリ電圧を昇圧して電動モータに電源供給することが有効であるが、この発明では、この昇圧動作に用いられるスイッチング素子を有効利用して回生電力をバッテリ側に戻すことができる。そして、第2スイッチング素子をオン保持することによって、昇圧中に回生電力を良好にバッテリ側に戻すことが可能となる。このため、検出電圧の上昇下降推移が良好となりバッテリ劣化状態を一層良好に検出できる。
【0013】
尚、バッテリ電圧の昇圧に際しては、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを関連させてオンオフ動作させることにより昇圧させてもよいが、例えば、第2スイッチング素子に寄生ダイオード機能を有するものを用いれば、第2スイッチング素子をオフ状態にして第1スイッチング素子のみをオンオフさせても昇圧可能である。
【0014】
この場合、上記電圧検出手段は、上記昇圧回路の出力電圧を検出するようにしてもよい。例えば、昇圧出力電圧をモニタしながら目標電圧に昇圧する昇圧制御手段を備えた場合には、その昇圧電圧モニタ手段をこの発明の電圧検出手段として兼用することができる。
【0015】
また、上記電圧検出手段は、上記昇圧回路の入力側となるバッテリ電圧を検出するようにしてもよい。例えば、バッテリ電圧をモニタして、バッテリ電圧に応じて電動モータの電流制限を行うシステムに適用すれば、バッテリ電圧モニタ手段をこの発明の電圧検出手段として兼用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るバッテリ劣化検出装置について図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係るバッテリ劣化検出装置を備えた電動パワーステアリング装置を概略的に示している。
【0017】
この電動パワーステアリング装置は、大別すると、操舵輪へ操舵アシスト力を付与する操舵アシスト機構10と、操舵アシスト機構10の電動モータ15への通電量および供給電圧を制御するモータ制御装置30とから構成される。
【0018】
操舵アシスト機構10は、操舵ハンドル11の回動操作に連動したステアリングシャフト12の軸線周りの回転をラックアンドピニオン機構13によりラックバー14の軸線方向の運動に変換して、このラックバー14の軸線方向の運動に応じて操舵輪である左右前輪FW1,FW2を操舵するようになっている。ラックバー14には電動モータ15が組み付けられている。電動モータ15は、その回転に応じてボールねじ機構16を介してラックバー14を軸線方向に駆動することにより、操舵ハンドル11の回動操作に対してアシスト力を付与する。電動モータ15には回転角センサ17が付設され、ステアリングシャフト12の下端部には操舵トルクセンサ20が組みつけられている。
【0019】
回転角センサ17はレゾルバにより構成され、電動モータ15の回転角を検出して、検出した回転角を表す検出信号を出力する。操舵トルクセンサ20は、ステアリングシャフト12に介装されて上端および下端をステアリングシャフト12に接続したトーションバー21と、トーションバー21の上端部および下端部にそれぞれ組み付けられたレゾルバ22,23とからなる。レゾルバ22,23は、トーションバー21の上端および下端の回転角をそれぞれ検出して、検出した各回転角を表す検出信号をそれぞれ出力する。
【0020】
モータ制御装置30は、これらの回転角センサ17、操舵トルクセンサ20および車両の速度を検出する車速センサ28からの検出信号にもとづいて、電動モータ15への通電量を調整して操舵アシスト力を制御するアシスト用電子制御装置31と、そのアシスト用電子制御装置31からのモータ制御信号により電動モータ15を駆動するモータ駆動回路32と、バッテリ電源を昇圧してモータ駆動回路に供給する昇圧回路40と、昇圧回路40の昇圧制御およびバッテリ50の劣化検出を行う電源制御装置45とからなる。
【0021】
本実施形態においては、アシスト用電子制御装置31および電源制御装置45はそれぞれマイクロコンピュータを主要部に構成されるが、両装置31,45を共通のマイクロコンピュータを用いて構成してもよい。
また、電動モータ15として3相ブラシレスモータを用い、モータ駆動回路32としてのインバータ回路にて3相駆動電流を電動モータに流すようにするが、Hブリッジ回路にて2相ブラシモータを駆動制御する等、種々のモータや駆動回路を採用できる。
また、アシスト用電子制御装置31には、運転者に対してバッテリ交換を促す報知器29が接続される。
【0022】
昇圧回路40は、図2に示すように、バッテリ50(本実施形態では12Vバッテリ)の電動モータ15へのモータ電源供給ライン61に直列に設けられる昇圧用コイル41と、昇圧用コイル41の電力供給側のモータ電源供給ライン61から分岐した接地ラインに設けられる第1スイッチング素子SW1と、モータ電源供給ライン61における第1スイッチング素子SW1の接続点よりも電力供給側でモータ電源供給ライン61に直列に設けられる第2スイッチング素子SW2と、昇圧用コンデンサ42とを備える。
【0023】
電源制御装置45は、昇圧回路40の入力電圧Vb(バッテリ50の出力電圧)および昇圧回路40の出力電圧Vhをモニタする。そして、第1、第2スイッチング素子SW1,SW2のオンオフを制御して昇圧回路40の出力電圧が目標電圧となるように昇圧制御するとともに、後述するように電動モータ15から回生電力が発生したときに、その回生電力をバッテリ50に送って吸収させ、その吸収時にバッテリ劣化判定を行う。
【0024】
第1、第2スイッチング素子SW1,SW2は、それぞれ電源制御装置45からのパルス信号により所定の周期でオンオフして、バッテリ電圧を昇圧して昇圧回路40から所定の出力電圧を発生させる。この場合、第1、第2スイッチング素子SW1,SW2は、図3に示すように、互いに関連付けられてオンオフするもので、第2スイッチング素子SW2をオフ、第1スイッチング素子SW1をオンして昇圧用コイル41に短時間だけ電流を流して昇圧用コイル41に電力を貯め、その直後に、第1スイッチング素子SW1をオフ、第2スイッチング素子SW2をオンして昇圧用コイル41に貯まった電力を出力するように動作する。
そして、昇圧回路40の出力電圧が目標電圧となるように、第1、第2スイッチング素子SW1,SW2のデューティ比(通電時間比率)がPWM制御により調整される。
昇圧回路40の出力は、モータ駆動回路32に供給される。
【0025】
尚、本実施形態では、第2スイッチング素子SW2として、寄生ダイオード機能を有するタイプのMOS−FETを使用する。この場合、第2スイッチング素子SW2は、オフ状態であっても順方向(電源供給方向)への通電のみ可能で逆方向には通電不能となるため、第2スイッチング素子SW2をオフした状態で第1スイッチング素子SW1のみをオンオフさせて昇圧することも可能である。
【0026】
バッテリ50が劣化してくると、電動パワーステアリング装置や他の電気システムの作動が不安定となったり、システムダウンすることが考えられる。
そこで、そこで電源制御装置45は、上述した昇圧制御と並行して、以下に示すバッテリ劣化判定処理を行う。図4は、電源制御装置45が実行するバッテリ劣化判定制御ルーチンを表すもので、電源制御装置45のROM内に制御プログラムとして記憶される。
【0027】
本制御ルーチンが起動すると、まず、昇圧回路40の出力部の電圧、つまりモータ駆動回路32に供給される電圧Vhを検出する(S1)。そして、このモータ供給電圧Vhが予め設定した回生判定基準電圧V1よりも大きいか否かを判断する(S2)。この回生判定基準電圧V1は、昇圧回路40で昇圧する目標昇圧電圧よりも大きく設定され、電動モータで回生電力が発生したときには、その回生電力によりモータ供給電圧Vhが上昇し回生判定基準電圧V1を上回るように設定されている。
【0028】
運転者が操舵ハンドル11を急激に回転させた場合や、路面からの衝撃で操舵輪の向きを変えるような力が加わった場合には、電動モータ15から回生電力が発生する。こうした場合、ステップS2において「YES」と判断され、次に、フラグFが1にセットされているか否かを判断する(S3)。
このフラグFは、第2スイッチング素子SW2をオン保持して回生電力をバッテリ側に回収している状況にある場合にはF=1に、そうでない場合はF=0にセットされるもので本制御ルーチンの起動時においてはF=0にセットされている。
従って、本制御ルーチンが開始されたのち、最初に回生電力の発生が検出されると、ステップS3の判断は「NO」となり、ステップS4の処理に移行する。
【0029】
このステップS4では、昇圧制御中の第2スイッチング素子SW2をオン状態に保持する。従って、モータで発生した回生電力は、モータ電源供給ライン61を逆流してバッテリ50へ送られ吸収される。従って、回路故障を防止できる。
また、これと同時に時間計測用のタイマをスタートさせる。
尚、この場合、モータ供給電圧Vhが目標昇圧電圧を上回っているため、実質的な昇圧動作は行われず第1スイッチング素子SW1はオフになっている。
【0030】
続いて、ステップS5においてフラグFをF=1にセットしてステップS1からの処理に戻り、モータ供給電圧Vhの検出と、回生判定基準電圧V1との比較処理を行なう。
電動モータ15で回生電力が発生した場合は、図5に示すように一時的にモータ供給電圧Vhが回生判定基準電圧V1を超える。この図5に示す例では、時刻t1から時刻t2にかけてモータ供給電圧Vhが回生判定基準電圧V1を超えるため、この期間はステップS2の判断が「YES」となる。この場合、すでにフラグFがF=1にセットされているため、ステップS1〜ステップS3の処理が繰り返されることになる。従って、この間、回生電力は、モータ電源供給ライン61を介してバッテリ50に吸収される。
【0031】
こうした処理が繰り返されるうちに、モータ供給電圧Vhが回生判定基準電圧V1以下にまで低下すると(時刻t2)、ステップS2の判断は「NO」となり、続いて、フラグFが1にセットされているか否かを判断する(S6)。この場合、フラグFはF=1にセットされているため、ステップS7に移行し、第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2のオン保持を解除すると共に、タイマの計測時間Txを読み込んだのちゼロクリアする(S7)。また、フラグFをF=0にセットする(S8)。従って、第2スイッチング素子SW2は、昇圧制御に応じてオンオフ制御される。
【0032】
続いて、計測したタイマ時間Txが劣化判定基準時間T1より長いか否かを判断する(S9)。電動モータ15で回生電力が発生した場合は、一時的にモータ供給電圧Vhが回生判定基準電圧V1を超えるが、バッテリ劣化の度合いが大きいほど、この回生判定基準電圧V1を超えている時間が長くなる。つまり、図5にて示す時刻t1から時刻t2までの期間が長くなる。そこで、本実施形態では、計測したタイマ時間Txが劣化判定基準時間T1より長い場合には、バッテリ劣化ありと判断してアシスト用電子制御装置31にバッテリ劣化信号を出力して、報知器29を作動させる。
【0033】
一方、ステップS9の判断において、タイマ時間Txが劣化判定基準時間T1以下であると判断された場合には、バッテリ劣化が無いものと判断してステップ1からの処理に戻る。
こうして、モータ供給電圧Vhが正常な値に戻ると、フラグFがF=0にセットされ、ステップS1,S2,S6の処理が繰り返される。
【0034】
以上説明した本実施形態のバッテリ劣化判定制御ルーチンによれば、電動モータで発生した回生電力による電圧の推移からバッテリ劣化を簡単に判断することができる。しかも、電動パワーステアリング装置では、高い駆動トルクを発生させるためにバッテリ電源を昇圧して電動モータ15に供給するが、その昇圧制御に使用する電圧モニタ信号を利用して劣化判定を行うことができるため、電動パワーステアリング装置のハードウエアをそのまま使うことが可能となる。しかも、昇圧制御に使用する第2スイッチング素子SW2をオンして回生電力をバッテリ50に吸収させるといった回生電力の吸収制御を利用し、その回収時間からバッテリ劣化を判断するため、きわめて簡単な制御処理にて実施できる。また、回生電力から回路を保護するための特別な回生電力吸収回路を設ける必要がない。
【0035】
また、バッテリ交換を運転者に促すことで、常にバッテリを良好な状態に保ち、操舵アシストトルクを発生する電動モータに安定した電源を供給することが可能となる。この結果、常に十分な操舵アシストトルクが得られ、運転者の操舵フィーリングが向上する。
尚、本実施形態では、電源制御装置45とアシスト用電子制御装置31とを分けているが、アシスト用電子制御装置31に昇圧制御機能やバッテリ劣化判定機能を組み込んでもよい。
【0036】
次に、電動モータ15の制御であるアシスト制御処理について説明する。
図6は、アシスト用電子制御装置31が実行するアシスト制御ルーチンを表すもので、アシスト用電子制御装置31のROM内に制御プログラムとして記憶され、短い周期で繰り返し実行される。
【0037】
まず、ステップS21にて、車速センサ28によって検出された車速Vと、操舵トルクセンサ20のレゾルバ22,23によって検出した回転角度の差から演算された操舵トルクTRを読み込む。続いて、図7に示すアシスト電流テーブルを参照して、入力した車速Vおよび操舵トルクTRに応じた必要アシスト電流ASIを計算する(S22)。アシスト電流テーブルは、アシスト用電子制御装置31のROM内に記憶されるもので、図7に示すように、操舵トルクTRの増加にしたがって必要アシスト電流ASIも増加し、しかも、車速Vが低くなるほど大きな値となるように設定される。
【0038】
続いて、この算出した必要アシスト電流ASIに応じて、モータ駆動回路32(インバータ回路)を制御する(S23)。例えば、必要アシスト電流ASIの大きさにほぼ比例したパルス幅を有する3相のパルス列信号を生成してインバータのスイッチ回路(図示略)に通電することにより、電動モータ15に駆動電流として必要アシスト電流ASIを流し、所定のアシストトルクを発生させる。
【0039】
この場合、電源制御装置45からバッテリ劣化信号が出力されている場合には、必要アシスト電流ASIの最大値を制限するようにしてもよい。例えば、図7に示すように、予めバッテリ劣化時に使用できる最大アシスト電流(上限値)ASImaxを決めておき、算出した必要アシスト電流ASIが上限値ASImaxを上回っている場合には、その値を上限値ASImaxに置き換えるようにする。これによれば、バッテリ劣化時には、電動パワーステアリング用として使用される消費電力量が抑えられ、バッテリ50の更なる劣化を防止すると共に、同じバッテリ50を使用する他の電気システムの停止や誤作動を防止できる。
【0040】
また、逆に、バッテリ劣化時には、同じバッテリ50を使用する他の電気負荷の電力消費を制限するようにしてもよい。つまり、バッテリ劣化を検出したときには、電源制御装置45から他の電気システムの制御装置に電力セーブ指令を出力して、他の電気負荷を省電力モードで作動させるようにしてもよい。この場合には、電動パワーステアリング装置の操舵アシストトルクを十分得ることができ、操舵フィーリングが快適となる。
【0041】
以上、本実施形態の電動パワーステアリング装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上述したバッテリ劣化判定制御処理では、昇圧回路40の出力電圧(モータ供給電圧)Vhをモニタしたが、昇圧回路40の入力側、つまりバッテリ電圧Vbを検出してもよい。この場合、図4のステップS2の判断処理を、Vb>V2(回生判定基準電圧)に変更すればよい。一般に、電動パワーステアリングシステムにおいては、バッテリ電圧をモニタし、バッテリ電圧に応じて電動モータ15に供給する電力を制御することも行われているが、その制御に使用するバッテリ電圧モニタ信号を利用して劣化判定を行うことができるため、電圧センサを新たに設ける必要が無く、既存のハードウエアをそのまま使うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。
【図2】モータ制御装置の概略回路構成図である。
【図3】昇圧回路のスイッチング素子への信号を表す説明図である。
【図4】バッテリ劣化判定制御ルーチンを表すフローチャートである。
【図5】回生電力発生時のモータ供給電圧の推移を表すグラフである。
【図6】アシスト電流制御ルーチンを表すフローチャートである。
【図7】アシスト電流テーブルを表す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
操舵アシスト機構…10、電動モータ…15、モータ制御装置…30、アシスト用電子制御装置…31、モータ駆動回路…32、昇圧回路…40、昇圧用コイル…41、スイッチング素子…SW1,SW2、電源制御装置…45、バッテリ…50。




 

 


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