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発明の名称 船舶の排気装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8368(P2007−8368A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−193662(P2005−193662)
出願日 平成17年7月1日(2005.7.1)
代理人 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗
発明者 山崎 貴睦
要約 課題
排気ガスの背圧の上昇を抑え、かつ海水の逆流と排気ガス排出時の水面での泡の発生を防止するとともに、燃費の悪化や速度低下を確実に防止することができる船舶の排気装置を提供する。

解決手段
船体10内の船尾の左右両舷側に、内燃機関からの排気ガスを導入するチャンバ4を設けるとともに、このチャンバに、排水時に喫水線S1よりも上方に開口する第1の
特許請求の範囲
【請求項1】
船体内の船尾側には、内燃機関の排気ガスを排気管を介して導入するチャンバが設けられており、
このチャンバには、
低速時に喫水線よりも上方に開口する第1の排気口と、
低速時に喫水線よりも下方に開口する第2の排気口と、
この第2の排気口よりも船首側に開口する開口部からチャンバ内に向かって連続する壁部を有し、高速前進時に下方へ推移する喫水線での水流を第2の排気口の周囲から迂回させるように上記壁部によりガイドするガイド部材と
が設けられていて、
上記第1の排気口からの排気ガスは、アイドリング時を含む低速時から高速時に亘って排出されるようになっている一方、
上記第2の排気口からの排気ガスは、高速前進時に上記ガイド部材の壁部により第2の排気口の周囲から迂回させた水流と第2の排気口との間に形成される負圧空間に対し吸引されて排出されるようになっていることを特徴とする船舶の排気装置。
【請求項2】
上記請求項1に記載の船舶の排気装置において、
ガイド部材の開口部は、壁部を介してチャンバ内に連通する第3の排気口として兼用されていることを特徴とする船舶の排気装置。
【請求項3】
上記請求項1または請求項2に記載の船舶の排気装置において、
船体の船尾は、後退時に下方へ推移する喫水線での水流をガイドして第1および第2の排気口の周囲からそれぞれ迂回させるように喫水線に対し鋭角に切り立っており、
第1の排気口からの排気ガスは、後退時に上記船尾により第1の排気口の周囲から迂回させた水流によって空中に排出されるようになっている一方、
第2の排気口からの排気ガスは、後退時に上記船尾により第2の排気口の周囲から迂回させた水流と第2の排気口との間に形成される負圧空間に吸引されて排出されるようになっていることを特徴とする船舶の排気装置。
【請求項4】
上記請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の船舶の排気装置において、
第2の排気口およびガイド部材の開口部は、それぞれチャンバの下面に設けられ、チャンバの下面より上方へ突出する管状物の下端に連結されており、
そのガイド部材の壁部は、開口部に連結した管状物によって形成されていることを特徴とする船舶の排気装置。
【請求項5】
上記請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の船舶の排気装置において、
船体内には発電機が搭載されており、
この発電機の排気管の下流端がチャンバに連結されていることを特徴とする船舶の排気装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の排気装置に関し、詳しくは、排気ガスの背圧低減および騒音低減を図る対策に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来より、船舶の排気装置として、内燃機関から排気通路を介して排気ガスを導入する消音器を設けるとともに、この消音器に排気管の上流端を接続し、喫水線よりも上方に開口する排気管の下流端より排気ガスを船体外に排出するようにしたものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、その他の船舶の排気装置として、内燃機関からの排気ガスを船体外に排出する排気管の下流端に、常時喫水線よりも下方に突出して水中で開口する低速時用排気口と、常時喫水線よりも上方に開口し、排気ガス排出時に開放する開閉可能な蓋を備えた高速用排気口とを設け、低速時に低速時用排気口からの排気ガスが水中に排出される一方、高速時に高速時用排気口からの排気ガスが蓋の開放により大気に排出されるようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
更に、その他の船舶の排気装置として、内燃機関からの排気ガスを、第1および第2排気膨張室から主排気通路を介して水中に排気するとともに、その主排気通路から分岐する副排気通路を介して船体外凹部と喫水線とで囲まれた空中に排出するようにしたものもある(例えば、特許文献3参照)。そして、上記主排気通路の水中に開口する排気口よりも船首側に突起状のガイド部を水中に突出させ、このガイド部により、高速前進時に喫水線と共に下方へ推移する水流を排気口の周囲から迂回させることで、高速前進時に上記ガイド部により排気口の周囲から迂回させた水流と排気口との間に形成される負圧空間に対し上記排気口からの排気ガスを吸引させて排出するようにしている。
【0005】
一方、その他の船舶の排気装置として、排気管の途中に、内燃機関からの排気ガスに対し海水等の冷却水をミキシングさせる排気用ミキシングチャンバを設け、この排気用ミキシングチャンバ内で高温の排気ガスを冷却水と混合させて冷却するようにしたものもある(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平11−342895号公報
【特許文献2】実開昭58−56110号公報
【特許文献3】特許第3066648号公報
【特許文献4】実用新案登録第2549229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の消音器に排気管を船体外の空中(水面よりも上方)に排気ガスを排出するもの(特許文献1のもの)では、消音器によって排気ガスの背圧が増大し、出力性能をある程度妥協せざるを得ない。また、排気ガスの温度を下げる目的で排気管内に海水を混ぜて排出する(海水ミキシング)もの(特許文献4のもの)では、排気ガスと共に水が空中に排出されて水面に泡が発生し、釣りなどには不向きなものとなる。
【0007】
また、水中に排気ガスを排出する上で、排気管やガイド部を突出させているもの(特許文献2や特許文献3のもの)では、水流の抵抗となって、燃費の悪化や速度低下の原因となる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排気ガスの背圧の上昇を抑え、かつ排気ガス排出時の水面での泡の発生を防止するとともに、燃費の悪化や速度低下を確実に防止することができる船舶の排気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では、船舶の排気装置として、船体内の船尾側に、内燃機関の排気ガスを排気管を介して導入するチャンバを設けるとともに、このチャンバに、低速時に喫水線よりも上方に開口する第1の排気口と、低速時に喫水線よりも下方に開口する第2の排気口と、この第2の排気口よりも船首側に開口する開口部からチャンバ内に向かって連続する壁部を有し、高速前進時に下方へ推移する喫水線での水流を第2の排気口の周囲から迂回させるように上記壁部によりガイドするガイド部材とを設ける。そして、上記第1の排気口からの排気ガスを、アイドリング時を含む低速時から高速時に亘って排出するようにしている一方、上記第2の排気口からの排気ガスを、高速前進時に上記ガイド部材の壁部により第2の排気口の周囲から迂回させた水流と第2の排気口との間に形成される負圧空間に対し吸引させて排出するようにしている。
【0010】
この特定事項により、内燃機関から導入されたチャンバ内の排気ガスは、アイドリング時や低速前進時に喫水線よりも上方の第1の排気口から空中に円滑に排出される。そして、第2の排気口よりも船首側に開口する開口部からチャンバ内に向かって連続する壁部を有するガイド部材によって、高速前進時に下方へ推移する喫水線での水流を第2の排気口の周囲から迂回させるようにガイドさせ、その迂回させた水流と第2の排気口との間の負圧空間に対し高速前進時にチャンバ内の排気ガスが吸引されて円滑に排出される。これにより、内燃機関からチャンバ内に導入された排気ガスが各排気口から円滑に排出されて背圧が増大することはなく、消音器を設けたもののように出力性能が犠牲になることはない。しかも、内燃機関からの排気ガスが容積を拡張したチャンバ内に導入されることにより、各排気口からの排気音を低減させることも可能となる。
【0011】
また、海水ミキシングにより排気管からチャンバ内に水が浸入しても、チャンバ内で泡が解消されて排気ガスと共に水が第1の排気口から空中に排出されることはなく、アイドリング時や低速前進時に排気ガスのみが第1の排気口から排出されて水面での泡の発生が防止され、釣りなどを円滑に行うことが可能となる。
【0012】
しかも、水流を第2の排気口の周囲から迂回させるようにガイドさせるガイド部材の壁部は、第2の排気口よりも船首側に開口する開口部からチャンバ内に向かって連続するものであることから、船体から突出させた排気管やガイド部のようにガイド部材の壁部が水流の抵抗となることがなく、燃費の悪化や速度低下を確実に防止することが可能となる。
【0013】
更に、内燃機関の排気ガスを排気管を介して導入し、その導入した排ガスを第1および第2の排気口から排出するチャンバが設けられていることにより、後方や側方から波を受ける荒天時や後退時に第1および第2の排気口から波がチャンバ内に浸入しても、その波の勢いがチャンバ内で緩衝されて排気管に直接的に作用することが回避され、排気管内への海水の逆流防止を図ることが可能となる。
【0014】
特に、ガイド部材の開口部を特定するものとして、以下の構成が掲げられる。
【0015】
つまり、ガイド部材の開口部を、壁部を介してチャンバ内に連通する第3の排気口として兼用している。
【0016】
この特定事項により、高速前進時にチャンバ内の排気ガスが第3の排気口からも排出され、チャンバ内の排気効率を高めることが可能となる。
【0017】
特に、後退時の排気ガスの排出を円滑に行えるようにするものとして、以下の構成が掲げられる。
【0018】
つまり、船体の船尾を、後退時に下方へ推移する喫水線での水流をガイドして第1および第2の排気口の周囲からそれぞれ迂回させるように喫水線に対し鋭角に切り立たせている。そして、第1の排気口からの排気ガスを、後退時に上記船尾により第1の排気口の周囲から迂回させた水流によって空中に排出するようにしている一方、第2の排気口からの排気ガスを、後退時に上記船尾により第2の排気口の周囲から迂回させた水流と第2の排気口との間に形成される負圧空間に吸引させて排出するようにしている。
【0019】
この特定事項により、後退時に内燃機関から導入されたチャンバ内の排気ガスは、後退時に船尾により第1の排気口の周囲から迂回させた水流によって第1の排気口から空中に円滑に排出される。そして、後退時に船尾により第2の排気口の周囲から迂回させた水流と第2の排気口との間に形成される負圧空間に第2の排気口からの排気ガスが吸引されて円滑に排出される。これにより、チャンバ内の排気ガスを後退時にも各排気口から円滑に排出させて背圧の増大を抑制することが可能となる。
【0020】
特に、第2の排気口およびガイド部材の開口部を特定するものとして、以下の構成が掲げられる。
【0021】
つまり、第2の排気口およびガイド部材の開口部を、それぞれチャンバの下面に設け、チャンバの下面より上方へ突出する管状物の下端に連結し、そのガイド部材の壁部を開口部に連結した管状物によって形成している。
【0022】
この特定事項により、第2の排気口およびガイド部材の開口部は、これに下端を連結して上方へ突出する管状物によってチャンバ内への上下方向の寸法が確保されている。これにより、高速前進時に喫水線と共に下方へ推移する水流をガイド部材の壁部によって第2の排気口の周囲から迂回させる際に第2の排気口や開口部からのチャンバ内への水の浸入が管状物による上方への嵩上げによって効果的に防止される。また、後退時に船尾によって水流を第2の排気口の周囲から迂回させる際に第2の排気口や開口部からのチャンバ内への水の浸入が管状物による上方への嵩上げによって効果的に防止される。しかも、管状物によって第2の排気口やガイド部材の開口部からの排気音を低減させることも可能となる。
【0023】
更に、船体内に搭載した発電機の排気管の下流端をチャンバに連結している場合には、発電機からの排気ガスの排出時にチャンバ内で泡が処理されて排気ガスのみが排出することが可能となる上、発電機からの排気ガスが容積を拡張したチャンバ内に導入されて排気音を低減させることも可能となる。
【発明の効果】
【0024】
以上、要するに、内燃機関からの排気ガスをチャンバ内に導入し、高速前進時に下方へ推移する喫水線での水流を第2の排気口よりも船首側に開口する開口部からチャンバ内に向かって連続するガイド部材の壁部により第2の排気口の周囲から迂回させるようにガイドすることで、チャンバ内の排気ガスを第1および第2の排気口から円滑に排出させて背圧の増大を抑制し、出力性能の向上を図りかつ容積を拡張したチャンバ内に排気ガスを導入して各排気口からの排気音を低減させることもできる。しかも、チャンバ内で泡を解消し、アイドリング時や低速前進時に排気ガスのみを第1の排気口から排出させて水面での泡の発生を防止して、釣りなどを円滑に行うことができる。しかも、ガイド部材の壁部を開口部からチャンバ内に向かって連続させることで、ガイド部材の壁部を水流の抵抗とさ
せずに、燃費の悪化や速度低下を確実に防止することができる。更に、チャンバを設けることで、荒天時や後退時に第1および第2の排気口から浸入した波の勢いをチャンバ内で緩衝させて排気管に直接的に作用させることがなく、排気管内への海水の逆流防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は本発明の実施形態に係わる排気装置を備えたクルーザタイプの船舶の一部を切り欠いた側面図であって、この船舶1の船体10中央部付近には、左右2つの内燃機関2(図1では一方のみ示す)が搭載され、この各内燃機関2により左右のプロペラ21(図1では一方のみ示す)をそれぞれ個別に回転させて船舶1を航行させるようになっている。各内燃機関2とプロペラ21との間には、図示しない前進後退切換ギヤ、減速ギヤ、船速切換用変速機およびクラッチが組み込まれたギヤ装置22が設けられている。
【0027】
各内燃機関2の排気口20には、それぞれ排気管3(図1では一方のみ示す)の上流端が連結されており、この各排気管3は船体10内の左右両舷側側を船尾(図1では左側)に向かって延びている。また、図2に示すように、船体10内の船尾の左右両舷側には、それぞれチャンバ4が設けられている。この各チャンバ4は、左右舷側方向に薄くかつ船体前後方向に長い略長方形薄箱形状を呈している。そして、各チャンバ4の前面略中央位置には排気管3の下流端が連結され、各内燃機関2からの排気ガスがそれぞれチャンバ4内に導入されるようになっている。
【0028】
また、図3に示すように、各チャンバ4は、船尾の左右両舷側に沿って設けられ、その外方面(左右両舷側の面)の船尾側上部位置にはアイドリング時および低速時などの排水時に喫水線S1よりも上方に開口する第1の排気口41が設けられている。この第1の排気口41は、図4にも示すように、排水時に喫水線S1よりも上方で船体10(舷側)外に開口し、チャンバ4の外方面よりチャンバ4内に向かって斜め前方向きへ突出する第1の円管状物41Aの外方端に連結されている。この第1の円管状物41Aの外方端には、その前側円弧状部分を船体10(左右の舷側)よりも外方に突出させた庇41A1が設けられている。また、チャンバ4の下面には、アイドリング時および低速時などの排水時に喫水線S1よりも下方に開口する第2の排気口42が設けられている。この第2の排気口42は、船体10の下面に開口し、チャンバ4の下面よりチャンバ4内に向かって上方斜め前方向きへ突出する第2の円管状物42A(管状物)の下端に連結されている。更に、チャンバ4の下面には、上記第2の排気口42よりも船首側(前側)において排水時に喫水線S1よりも下方に開口する開口部43が設けられている。この開口部43は、第2の排気口42よりも船首側において船体10の下面に開口し、チャンバ4の下面よりチャンバ4内に向かって上方斜め前方向きへ突出するガイド部材としての第3の円管状物43Aの下端に連結されている。この場合、第3の円管状物43Aの上流端(内端)は、第1および第2の円管状物41A,42Aと同様に、チャンバ4内に連通しており、開口部43が、第3の排気口43として兼用されるようになっている。
【0029】
そして、第3の円管状物43Aは、高速前進時などの滑走時に下方へ推移する喫水線S2(図3に二点鎖線で示す)での水流を第2の排気口42の周囲から迂回させるようにガイドする壁部43A1を備え、この壁部43A1は、開口部43(以下、第3の排気口43と称する)からチャンバ4内に向かって連続する第3の円管状物43Aの一部分(後側に位置する断面半円弧状部分)によって構成されている。また、第2の円管状物42Aは、その中心軸を喫水線S2に対し略45゜斜め前向きに倒した前傾状態で取り付けられている一方、第3の円管状物43Aは、その中心軸を喫水線S2に対し略30゜斜め前向きに倒した前傾状態で取り付けられている。そして、第1の排気口41からの排気ガスは、
排水時(アイドリング時を含む低速時)から滑走時(高速前進時)に亘って船外に空中排出されるようになっている。一方、第2の排気口42からの排気ガスは、滑走時に第3の円管状物43Aの壁部43A1により第2の排気口42の周囲から迂回させた水流と第2の排気口42との間に形成される負圧空間H1に対し吸引されて排出されるようになっている。この場合、第3の排気口43からの排気ガスは、第1および第2の排気口41,42から排出しきれないときに水中に排出されるようになっている。
【0030】
また、図1および図2に示すように、船体10の船尾は、後退時に船尾との当接により下方に推移する喫水線S3´での水流をガイドして第1および第2の排気口41,42の周囲からそれぞれ迂回させるように喫水線S3´に対し鋭角に切り立っている。そして、図5に示すように、第1の排気口41からの排気ガスは、後退時に船尾により第1の排気口41の周囲から水流を迂回させることによって空中に排出されるようになっている。一方、第2の排気口42からの排気ガスは、後退時に船尾との当接により第2の排気口42の周囲から迂回させた水流(船尾との当接により下方に推移する喫水線S3´での水流)と第2の排気口42との間に形成される負圧空間H2に吸引されて排出されるようになっている。なお、図5のS3は、後退時に船尾と当接しない喫水線を示している。
【0031】
そして、図3に示すように、船舶1が10〜15ノット位の中速で半滑走する場合には、喫水線S4が排水時の喫水線S1よりも盛り上がって第1の排気口41に波が被ることがあるため、半滑走時に第1の円管状物41Aの庇41A1により第1の排気口41の周囲から水流を迂回させ、その迂回させた水流と第1の排気口41との間に形成される負圧空間H3(図4に表れる)に第1の排気口41からの排気ガスを吸引させて排出するようにしている。
【0032】
更に、図2に示すように、船体10内の船尾側、具体的にはチャンバ4の前側または側方に位置する船体中央位置には、発電機5が搭載されている。この発電機5の左側には、排気管51が設けられている。排気管51は、その上流端が発電機5の下面に連結されて発電機5の下方より湾曲部51aを有して上方に立ち上がり、発電機5の上部にて屈曲部51bを有して左舷側に向かって斜め下方に延び、左舷側のチャンバ4の内方面略中央位置に下流端を導出させている。この場合、排気管51の下流端は、排水時の喫水線S1よりも上方位置でチャンバ4内に突き出した状態で取り付けられており、これによって、排気管3からの内燃機関2の機関圧力による発電機5の背圧上昇が避けられるようになっている。また、排気管51の上流端は、排気管51を介した発電機5への海水の逆流を防止する上で、下流端よりも低い位置で発電機5に対し接続されている。
【0033】
ここで、排気ガスをチャンバ4を介して各排気口41〜43から排気ガスを排出する場合と、排気ガスを排気管途中の消音器を介して排気ガスを排出する場合と、排気ガスを排気管途中に消音器を介さずに排気ガスを排出する場合とのそれぞれの背圧および騒音の特性を図6および図7に基づいて説明する。
【0034】
先ず、内燃機関2の回転数に対する排気ガスの背圧の特性は、図6に示すように、消音器を備えた消音器有りの場合に比して消音器を備えない消音器無しの場合の方が排気ガスの背圧が低く、チャンバ4を備えた本発明のものの場合は、消音器無しの場合に比して若干背圧が高くなるものの、本願発明のものでは、内燃機関2の回転数が3200rpmを超えて中高速前進状態に移行した付近から、第2の排気口42からの排気ガスが、第3の円管状物43Aの壁部43A1により第2の排気口42の周囲から迂回させた水流と第2の排気口42との間に形成される負圧空間H1に対し第2の円管状物42Aを介して吸引されて排出されるため、排気ガスの背圧が大きく低下していることが判る。
【0035】
また、内燃機関2の回転数に対する排気ガスの騒音の特性は、図7に示すように、消音
器無しの場合に比して消音器有りの場合の方が排気ガスの騒音が低く、本発明の如くチャンバ4を備えた場合は、消音器有りの場合よりもさらに騒音が低下していることが判る。特に、本願発明のものでは、内燃機関2の回転数が2600rpmに満たない低中速前進状態までは、大きな消音効果が得られている。
【0036】
したがって、上記実施形態では、各内燃機関2からそれぞれ排気管3を介して導入されたチャンバ4内の排気ガスは、アイドリング時や低速前進時などの排水時に喫水線S1よりも上方の第1の排気口41から空中に円滑に排出される。また、中速前進する半滑走時に喫水線S4が排水時の喫水線S1よりも盛り上がって第1の排気口41に波が被ることがあるが、第1の円管状物41Aの庇41A1によって第1の排気口41の周囲から水流を迂回させることによって、その迂回させた水流と第1の排気口41との間に形成される負圧空間H3に第1の排気口41からの排気ガスを吸引させて円滑に排出される。そして、第2の排気口42よりも船首側に開口する第3の排気口43からチャンバ内に向かって連続する壁部43A1を有する第3の円管状物43Aによって、高速前進する滑走時に下方へ推移する喫水線S2での水流を第2の排気口42の周囲から迂回させるようにガイドさせ、その迂回させた水流と第2の排気口42との間の負圧空間H1に対し滑走時にチャンバ4内の排気ガスが吸引されて円滑に排出されるとともに、排出しきれなかったチャンバ4内の排気ガスが第3の排気口43を介して水中に排気される。これにより、各内燃機関2からチャンバ4内に導入された排気ガスが各排気口41〜43から円滑に排出されて背圧が増大することはなく、消音器を設けたもののように出力性能を犠牲にせずに出力性能の向上を図ることができる。しかも、各内燃機関2から排気管3を介した排気ガスが容積を拡張したチャンバ4内に導入される上、第1ないし第3の円管状物41A〜43Aによって第1ないし第3の排気口41〜43から排気が排出されるので、各排気口41〜43からの排気音を効果的に低減させることができる。更に、第2および第3の排気口42,43は、チャンバ4の下面より上方へ延びる円管状物42A,43Aによってチャンバ4内での上下方向の寸法が確保されているので、滑走時に下方へ推移する喫水線S2での水流を第3の円管状物43Aの壁部43A1によって第2の排気口42の周囲から迂回させる際に第2の排気口42や第3の排気口43からのチャンバ4内への水の浸入を各円管状物42A,43Aによる上方への嵩上げによって効果的に防止することができる。
【0037】
また、各排気管3,51からチャンバ4内に水が排出されても、チャンバ4内で泡が解消されて排気ガスと共に水が第1の排気口41から空中に排出されることはなく、排水時に排気ガスのみが第1の排気口41から排出されて水面での泡の発生が防止され、釣りなどを円滑に行うことができる。
【0038】
そして、水流を第2の排気口42の周囲から迂回させるようにガイドする壁部43A1は、第2の排気口42よりも船首側において開口する第3の排気口43からチャンバ4内に向かって連続する第3の円管状物43Aの一部分(後側に位置する断面半円弧状部分)によって構成されているので、船体から突出させた排気管やガイド部のように第3の円管状物43Aの壁部43A1が水流の抵抗となることがなく、燃費の悪化や速度低下を確実に防止することができる。
【0039】
また、第3の円管状物43Aの開口部43が、壁部43A1を介してチャンバ4内に連通する第3の排気口として兼用されているので、滑走時および半滑走時にチャンバ4内の排気ガスが第3の排気口34(開口部43)からも水中に排出され、チャンバ4内の排気効率を高めることができる。
【0040】
そして、船体10の船尾を、後退時に下方へ推移する喫水線S3での水流をガイドして第1および第2の排気口41,42の周囲からそれぞれ迂回させるように喫水線S3に対し鋭角に切り立たせることによって、第1の排気口41からの排気ガスが、後退時に上記
船尾により第1の排気口41の周囲から水流を迂回させることによって空中に円滑に排出される一方、第2の排気口42からの排気ガスが、後退時に上記船尾により第2の排気口42の周囲から迂回させた水流と第2の排気口42との間に形成される負圧空間H2に吸引されて円滑に排出されることになり、これによって、チャンバ4内の排気ガスを後退時にも各排気口41,42から円滑に排出させて背圧の増大を抑制することができる。また、後退時に船尾によって水流を第2の排気口42の周囲から迂回させる際にも、第2の排気口42や第3の排気口43からのチャンバ4内への水の浸入を第2および第3の円管状物42A,43Aによる上方への嵩上げによって効果的に防止することができる。
【0041】
しかも、船体10内に搭載した発電機5の排気管51の下流端が左舷側のチャンバ4に連結されているので、発電機5からの排気ガスの排出時にチャンバ4内で泡が処理されて排気ガスのみを排出することができる上、発電機5からの排気ガスが容積を拡張したチャンバ4内に導入されて排気音を低減させることもできる。
【0042】
更に、各内燃機関2からの排気ガスを排気管3を介して導入し、その導入した排ガスを第1ないし第3の排気口41〜43から排出するチャンバ4によって、後方や側方から波を受ける荒天時や後退時に第1ないし第3の排気口41〜43から波がチャンバ4内に浸入しても、その波の勢いがチャンバ4内で緩衝されて排気管3,51に直接的に作用することが回避され、排気管3,51内への海水の逆流防止を実践することができる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、上記実施形態では、第3の円管状物43Aの開口部43を壁部43A1を介してチャンバ4内に連通する第3の排気口として兼用したが、第3の円管状物の上端がチャンバ内に連通せずに閉じられていてもよく、この場合においても、滑走時に下方へ推移する喫水線での水流を壁部によって第2の排気口の周囲から迂回させるようにガイドさせることが可能となる。
【0044】
また、上記実施形態では、第3の円管状物43Aの一部分つまり後側に位置する断面半円弧状部分によって壁部43A1を構成したが、第2の排気口よりも船首側に開口する開口部からチャンバ内に向かって連続し、高速前進時に下方へ推移する喫水線での水流を壁部によって第2の排気口の周囲から迂回させるようにガイドする壁部であればなんでもよい。
【0045】
更に、上記実施形態では、クルーザタイプの船舶の排気装置として適用した場合について述べたが、水ジェット推進装置等を備えた一人乗りまたは二人乗りの小型滑走艇などの船舶の排気装置として適用してもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る排気装置を備えたクルーザタイプの船舶の右舷側の一部を切り欠いた右側面図である。
【図2】チャンバ付近で切断した船尾付近を船体後方から見た断面図である。
【図3】右舷側の一部を切り欠いた中高速前進時の船舶の右側面図である。
【図4】第1の円管状物付近で切断した左舷側のチャンバ付近を上方から見た断面図である。
【図5】右舷側の一部を切り欠いた後退時の船舶の右側面図である。
【図6】内燃機関の回転数に対する排気ガスの背圧の特性を示す特性図である。
【図7】内燃機関の回転数に対する排気ガスの騒音の特性を示す特性図である。
【符号の説明】
【0047】
1 船舶
10 船体
2 内燃機関
3 排気管
4 チャンバ
41 第1の排気口
42 第2の排気口
43 第3の排気口(開口部)
43A 第3の円管状物(ガイド部材)
43A1 壁部
5 発電機
51 排気管
H1,H2,H3
負圧空間
S1 排水時の喫水線
S2 滑走時の喫水線
S3,S3´ 後退時の喫水線
S4 半滑走時の喫水線




 

 


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