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発明の名称 車両の操舵アシスト装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8299(P2007−8299A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−190893(P2005−190893)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
発明者 斉藤 貴俊 / 河西 栄治 / 山下 正治 / 山崎 一平 / 田代 盛己 / 高橋 雅文 / 藤田 修司 / 藤範 洋一
要約 課題
車両の操舵アシスト装置において、回転角センサの異常に対する対処および回転角センサの省略を可能にする。

解決手段
ステアリングシャフト12の一部をトーションバー12aで構成し、トーションバー12a両端の回転角を回転角センサ21,22で検出することにより、操舵ハンドル11に付与される操舵トルクを検出する。ラックバー14には、ボールねじ機構16を介して電動モータ15から操舵アシスト力が付与される。電動モータ15の回転は回転角センサ23によって検出される。回転角センサ22,23のうちの一方によって検出される回転角は、ピニオンギヤ13とラックバー14の変換比、およびボールねじ機構16の減速比を用いて互いに変換される。ボールねじ機構16のガタに起因した変換誤差も補正される。
特許請求の範囲
【請求項1】
操舵ハンドルの操舵操作をアシストするための電動モータを備えるとともに、操舵ハンドルに上端にて接続されたステアリングシャフトの回転角を検出する回転角センサと、前記電動モータの回転角を検出する回転角センサとのうちの一方の回転角センサを備えた車両の操舵アシスト装置において、
前記一方の回転角センサによって検出された回転角を用いて、他方の回転角センサによって検出されるべき回転角を計算する回転角計算手段を設けたことを特徴とする車両の操舵アシスト装置。
【請求項2】
操舵ハンドルの操舵操作をアシストするための電動モータを備えるとともに、操舵ハンドルに上端にて接続されたステアリングシャフトの回転角を検出する回転角センサとを備えた車両の操舵アシスト装置において、
前記回転角センサによって検出された回転角を用いて、前記電動モータの回転角を計算する回転角計算手段を設けたことを特徴とする車両の操舵アシスト装置。
【請求項3】
操舵ハンドルの操舵操作をアシストするための電動モータと、操舵ハンドルに上端にて接続されてその一部にトーションバーを含むステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトに付与される操舵トルクを検出するために前記トーションバーの両端部の回転角をそれぞれ検出する一対の回転角センサとを備えた車両の操舵アシスト装置において、
前記一対の回転角センサのうちの前記電動モータ側の回転角センサによって検出された回転角を用いて、前記電動モータの回転角を計算する回転角計算手段と、
前記一対の回転角センサによってそれぞれ検出された回転角を用いて算出される操舵トルクおよび前記回転角計算手段によって計算された電動モータの回転角を用いて前記電動モータの回転を制御する制御手段とを設けたことを特徴とする車両の操舵アシスト装置。
【請求項4】
操舵ハンドルの操舵操作をアシストするための電動モータと、操舵ハンドルに上端にて接続されたステアリングシャフトの回転角を検出する第1回転角センサと、電動モータの回転角を検出する第2回転角センサとを備えた車両の操舵アシスト装置において、
前記第1および第2回転角センサの異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段によって前記第1および第2回転角センサの一方の回転角センサの異常が検出されたとき、前記一方の回転角センサによって検出された回転角を用いて、他方の回転角センサによって検出されるべき回転角を計算する回転角計算手段を設けたことを特徴とする車両の操舵アシスト装置。
【請求項5】
操舵ハンドルの操舵操作をアシストするための電動モータと、操舵ハンドルに上端にて接続されてその一部にトーションバーを含むステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトに付与される操舵トルクを検出するために前記トーションバーの両端部の回転角をそれぞれ検出する一対の第1回転角センサと、操舵ハンドルの操舵操作をアシストするための電動モータと、前記電動モータの回転角を検出する第2回転角センサと、前記一対の第1回転角センサによってそれぞれ検出された回転角を用いて算出される操舵トルクおよび前記第2回転角センサによって検出された電動モータの回転角を用いて前記電動モータの回転を制御する制御手段を備えた車両の操舵アシスト装置において、
前記一対の第1回転角センサのうちの前記電動モータ側の回転角センサおよび前記第2回転角センサの異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段によって前記一対の第1回転角センサのうちの前記電動モータ側の回転角センサおよび前記第2回転角センサの一方の回転角センサの異常が検出されたとき、前記一方の回転角センサによって検出された回転角を用いて、他方の回転角センサによって検出されるべき回転角を計算する回転角計算手段とを設け、
前記制御手段は、前記異常の検出された回転角センサによって検出されるべき回転角に代えて、前記回転角計算手段によって計算された回転角を用いて前記電動モータの回転を制御するようにしたことを特徴とする車両の操舵アシスト装置。
【請求項6】
前記ステアリングシャフトに動力伝達可能に連結され、前記ステアリングシャフトの軸線周りの回転に連動して軸線方向に変位して転舵輪を転舵するラックバーを備え、
前記電動モータは、前記ラックバー上に配置されて同ラックバーを軸線方向に駆動する請求項1ないし5のうちのいずれか一つに記載した車両の操舵アシスト装置。
【請求項7】
前記回転角計算手段は、前記ステアリングシャフトの回転角から前記ラックバーの軸線方向の変位量への変換比と、前記電動モータの回転角から前記ラックバーの軸線方向の変位量への変換比とを用いて、前記回転角を計算する請求項6に記載した車両の操舵アシスト装置。
【請求項8】
前記電動モータの回転はボールねじ機構によって前記ラックバーの軸線方向の変位に変換され、
前記回転角計算手段は、さらに、前記ボールねじ機構のガタをも考慮して前記電動モータの回転角を計算する請求項7に記載した車両の操舵アシスト装置。
【請求項9】
前記ステアリングシャフトに動力伝達可能に連結され、前記ステアリングシャフトの軸線周りの回転に連動して軸線方向に変位して転舵輪を転舵するラックバーを備え、
前記電動モータは、前記ラックバー上に配置されて同ラックバーを軸線方向に駆動するように構成し、
前記第2回転角センサの軸倍角に対する前記第1回転センサの軸倍角の比と、前記ステアリングシャフトの回転角から前記ラックバーの軸線方向の変位量への変換比に、前記ラックバーの軸線方向の変位量から前記電動モータの回転角への変換比を乗算した値とが整数倍関係になるようにしたことを特徴とする請求項4または5に記載した車両の操舵アシスト装置。
【請求項10】
前記整数倍関係は、1対1である請求項9に記載した車両の操舵アシスト装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータを用いて操舵ハンドルの操舵操作をアシストする車両の操舵アシスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されているように、操舵ハンドルの回動操作を電動モータの駆動力によってアシストする車両の操舵アシスト装置はよく知られている。この操舵アシスト装置においては、操舵ハンドルの回動操作によってステアリングシャフトを軸線回りに回転させ、このステアリングシャフトの回転をピニオンギヤによってラックバーの軸線方向の変位に変換し、ラックバーの軸線方向の変位によって転舵輪が転舵されるようになっている。一方、ラックバーは、ねじ送り機構を介して電動モータによって軸線方向に駆動制御されるようになっており、転舵輪は電動モータの回転力によっても転舵制御されるようになっている。そして、ステアリングシャフトの一部をトーションバーで構成するとともに、トーションバーの両端部に一対の回転角センサを設けておき、この一対の回転角センサによってそれぞれ検出された回転角を用いて操舵トルクを計算し、この計算した操舵トルクと、電動モータに組み付けられた回転角センサによって検出された電動モータの回転角とを用いて、電動モータを駆動制御して操舵トルクに応じてアシスト力を付与するようにしている。
【特許文献1】特開平10−310066号公報
【0003】
しかし、上記従来の装置においては、操舵ハンドルの回動操作をアシストするために、トーションバーの両端に設けた一対の回転角センサと、電動モータに組み付けられた回転角センサとの両方の回転角センサを必ず必要とする。また、いずれか一方の回転角センサに故障が生じた場合にも、操舵ハンドルの回動操作をアシストすることができない。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、前記のような回転角センサを省略しても、また一方の回転角センサに故障が生じた場合にも、操舵ハンドルの回動操作をアシストすることができるようにした車両の操舵アシスト装置を提供することにある。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、操舵ハンドルの操舵操作をアシストするための電動モータを備えるとともに、操舵ハンドルに上端にて接続されたステアリングシャフトの回転角を検出する回転角センサと、電動モータの回転角を検出する回転角センサとのうちの一方の回転角センサを備えた車両の操舵アシスト装置において、一方の回転角センサによって検出された回転角を用いて、他方の回転角センサによって検出されるべき回転角を計算する回転角計算手段を設けたことにある。
【0006】
この場合、例えば、ステアリングシャフトの回転角を検出する回転角センサのみを設けて、回転角計算手段が、この回転角センサによって検出された回転角を用いて、電動モータの回転角を計算するようにするとよい。具体的には、ステアリングシャフトに付与される操舵トルクを検出するために、ステアリングシャフトの一部をトーションバーで構成するとともに、トーションバーの両端部の回転角をそれぞれ検出する一対の回転角センサを設ける。そして、回転角計算手段は前記一対の回転角センサのうちの電動モータ側の回転角センサによって検出された回転角を用いて電動モータの回転角を計算し、制御手段が、前記一対の回転角センサによってそれぞれ検出された回転角を用いて算出される操舵トルクおよび前記回転角計算手段によって計算された電動モータの回転角を用いて電動モータの回転を制御する。
【0007】
さらに具体的には、電動モータは、ステアリングシャフトに動力伝達可能に連結されるとともに、ステアリングシャフトの軸線周りの回転に連動して軸線方向に変位して転舵輪を転舵するラックバー上に配置されて、同ラックバーを軸線方向に駆動する。そして、回転角計算手段は、ステアリングシャフトの回転角からラックバーの軸線方向の変位量への変換比と、電動モータの回転角からラックバーの軸線方向の変位量への変換比とを用いて、回転角を計算する。
【0008】
このように構成した本発明の特徴においては、回転角計算手段が、ステアリングシャフトの回転角または電動モータの回転角の一方を計算するので、ステアリングシャフト側の回転角センサまたは電動モータ側の回転角センサを省略できる。これにより、操舵ハンドルの回動操作をアシストするために必要な回転角センサの数を減らすことができるので、車両の操舵アシスト装置の製造コストを低減することができる。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、操舵ハンドルの操舵操作をアシストするための電動モータと、操舵ハンドルに上端にて接続されたステアリングシャフトの回転角を検出する第1回転角センサと、電動モータの回転角を検出する第2回転角センサとを備えた車両の操舵アシスト装置において、第1および第2回転角センサの異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段によって第1および第2回転角センサの一方の回転角センサの異常が検出されたとき、一方の回転角センサによって検出された回転角を用いて、他方の回転角センサによって検出されるべき回転角を計算する回転角計算手段を設けたことにある。
【0010】
この場合も、例えば、ステアリングシャフトに付与される操舵トルクを検出するために、ステアリングシャフトの一部をトーションバーで構成するとともに、トーションバーの両端部の回転角をそれぞれ検出する一対の第1回転角センサを設ける。また、異常検出手段は、一対の第1回転角センサのうちの電動モータ側の回転角センサおよび第2回転角センサの異常を検出する。そして、制御手段は、異常検出手段によって異常が検出されなければ、一対の第1回転角センサによってそれぞれ検出された回転角を用いて算出される操舵トルクおよび第2回転角センサによって検出された電動モータの回転角を用いて電動モータの回転を制御し、異常検出手段によって異常が検出されれば、異常の検出された回転角センサによって検出されるべき回転角に代えて、回転角計算手段によって計算された回転角を用いて電動モータの回転を制御するようにする。
【0011】
また、この場合も、電動モータは、ステアリングシャフトに動力伝達可能に連結されるとともに、ステアリングシャフトの軸線周りの回転に連動して軸線方向に変位して転舵輪を転舵するラックバー上に配置されて、同ラックバーを軸線方向に駆動する。そして、回転角計算手段は、ステアリングシャフトの回転角からラックバーの軸線方向の変位量への変換比と、電動モータの回転角からラックバーの軸線方向の変位量への変換比とを用いて、回転角を計算する。
【0012】
このように構成した本発明の他の特徴においては、回転角計算手段が、異常の検出されない回転角センサによって検出された回転角を用いて、異常の検出された回転角センサによって検出されるべき回転角を計算する。したがって、ステアリングシャフト側の回転角センサまたは電動モータ側の回転角センサに異常が発生しても、操舵ハンドルの回動操作に対するアシスト制御を続行できる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、前述した発明において、電動モータの回転がボールねじ機構によってラックバーの軸線方向の変位に変換されるようになっている場合には、回転角計算手段は、さらに、ボールねじ機構のガタをも考慮して前記電動モータの回転角を計算するようにするとよい。これによれば、回転角計算手段によって計算される回転角の精度が向上し、より良好な制御が期待される。
【0014】
さらに、本発明の他の特徴は、前述したラックバー、第1回転角センサおよび第2回転角センサを備えた車両の操舵アシスト装置において、第2回転角センサの軸倍角に対する第1回転センサの軸倍角の比と、ステアリングシャフトの回転角から前記ラックバーの軸線方向の変位量への変換比に、ラックバーの軸線方向の変位量から電動モータの回転角への変換比を乗算した値とが整数倍関係になるようにしたことにある。この場合、前記整数倍関係は、1対1であるとさらによい。これによれば、回転角計算手段による回転角の計算が簡単になるとともに、計算精度も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明すると、図1は、本発明に係る操舵アシスト装置を適用した車両の操舵装置の全体概略図である。
【0016】
この車両の操舵装置は、操舵ハンドル11に上端を一体回転するように接続したステアリングシャフト12を備え、同シャフト12の下端にはピニオンギヤ13が一体回転するように接続されている。ピニオンギヤ13は、ラックバー14に形成されたラック歯と噛み合ってラックアンドピニオン機構を構成する。ラックバー14の両端には左右前輪FW1,FW2が転舵可能に接続されており、左右前輪FW1,FW2はステアリングシャフト12の軸線回りの回転に伴うラックバー14の軸線方向の変位に応じて左右に転舵される。
【0017】
ステアリングシャフト12の中間には、その一部を構成するトーションバー12aがステアリングシャフト12と一体的に軸線周りに回転するように介装されている。また、ラックバー14の外周上には、図示しないラックハウジングに組み付けられた電動アクチュエータとしての電動モータ15が配置されていている。この電動モータ15は、3相ブラシレスモータで構成され、その回転時に、ボールねじ機構(ねじ送り機構)16を介してラックバー14を軸線方向に駆動する。
【0018】
また、車両の操舵装置は、回転角センサ21,22,23、温度センサ24、車速センサ25、基板温度センサ26、電子制御ユニット30および駆動回路31からなる電気制御回路装置も備えている。
【0019】
回転角センサ21,22,23は、いずれもレゾルバで構成されている。回転角センサ21,22は、トーションバー12aの捩れ量を検出することによりステアリングシャフト12に付与される操舵トルクを検出するために設けられたものである。回転角センサ21は、トーションバー12aの上端側連結部に組み付けられて、トーションバー12aの上端部の軸線周りの基準位置からの回転角(電気角)θ1を検出する。回転角センサ22は、トーションバー12aの下端側連結部に組み付けられて、トーションバー12aの下端部の軸線周りの基準位置からの回転角(電気角)θ2を検出する。回転角センサ23は、電動モータ15に組み付けられて、電動モータ15の回転角(電気角)θmを検出する。これらの回転角θ1,θ2,θmは、それぞれ正により操舵ハンドル11の右操舵に対応した回転方向を表すとともに、負により操舵ハンドル11の左操舵に対応した回転方向を表し、絶対値により大きさを表している。
【0020】
温度センサ24は、電動モータ15のハウジングに組み付けられ、同ハウジングの温度θmを検出する。また、この温度センサ24を電動モータ15のハウジング以外の電動モータ15の近傍に配置し、電動モータ15の環境温度を検出するようにしてもよい。車速センサ25は、車速Vを検出する。基板温度センサ26は、電子制御ユニット30および駆動回路31の配置されている基板の温度Tbを検出する。これらのセンサ21〜26は、電子制御ユニット30に接続されている。
【0021】
電子制御ユニット30は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするもので、図2に示す操舵アシストプログラム(図3の補正値学習プログラム、図4の第1回転角変換ルーチンおよび図5の第2回転角変換ルーチンを含む)を所定の短時間ごとに繰り返し実行する。この操舵アシストプログラムの繰り返し実行により、電子制御ユニット30は、駆動回路31を介して電動モータ15を3相インバータ制御する。駆動回路31は、電子制御ユニット30に制御され、電動モータ15に3相電流Iu,Iv,Iwを流して電動モータ15を駆動制御する。また、駆動回路31には電流センサ31aも内蔵されており、電流センサ31aは電動モータ15に流れる3相電流3相電流Iu,Iv,Iwを検出して電子制御ユニット30に供給する。
【0022】
次に、上記のように構成した実施形態の動作について説明する。電子制御ユニット30は、イグニッションスイッチの投入後、図2の操舵アシストプログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行する。この操舵アシストプログラムは、ステップS10にて開始され、ステップS11にて回転角センサ22,23の異常を診断する。この異常診断においては、例えば、回転角センサ22,23からの信号を入力して、回転角センサ22,23内およびその周辺回路の短絡、断線を診断する。なお、実際には、他のセンサ21,24〜26の異常も診断されるが、本発明に直接関係しないので、それらの異常診断に関しては説明を省略する。そして、両回転センサ22,23に異常が発生していなければ、電子制御ユニット30は、ステップS12にて「Yes」すなわち異常なしと判定して、ステップS13〜S15の処理を実行する。
【0023】
ステップS13においては、回転角センサ21,22,23から検出回転角θ1,θ2,θmをそれぞれ入力するとともに、車速センサ25から検出車速Vを入力する。ステップS14においては、回転角θ1から回転角θ2を減算し、減算結果に予め決められた一定係数を乗算することにより、ステアリングシャフト12に付与されている操舵トルクTRを計算する。なお、この操舵トルクTRも、正により操舵ハンドル11の右操舵に対応したトルクの方向を表すとともに、負により操舵ハンドル11の左操舵に対応したトルクの方向を表し、絶対値により大きさを表している。この操舵トルクTRの計算は、操舵トルクTRに比例した量の捩れがトーションバー12aに発生していることに基づく。ステップS15においては、ボールねじ機構16のガタに起因した回転角センサ22、23によって検出された回転角θ2,θm間の変換誤差αを学習するための補正値学習ルーチンを実行する。
【0024】
補正値学習ルーチンは、図3に詳細に示されているように、ステップS30にて開始される。ステップS30の開始後、電子制御ユニット30は、タイマとの協働により前回のステップS32以降の処理から所定時間が経過しているかを判定する。この判定は、ステップS32以降の処理の頻度を下げるためである。所定時間の経過が判定されない場合には、ステップS31にて「No」と判定し、ステップS44にてこの補正値学習ルーチンの実行を一旦終了する。
【0025】
一方、前回のステップS32以降の処理から所定時間が経過している場合には、電子制御ユニット30は、ステップS31にて「Yes」と判定し、ステップS32にて学習フラグLFLが“0”であるか否かを判定する。この学習フラグLFLは、“1”により学習中を表し、学習終了ごとに“0”に設定されるとともに、イグニッションスイッチの投入直後には“0”に設定されている。最初、この学習フラグLFLは“0”に設定されているので、電子制御ユニット30は、ステップS32にて「Yes」と判定し、ステップS33にて変換誤差の累算回数nおよび変換誤差の累算値SUMを「0」に設定するとともに、学習フラグLFLを“1”に設定する。
【0026】
次に、電子制御ユニット30は、ステップS34にて、前記計算した操舵トルクTRの絶対値|TR|が予め決めた正の小さな所定値TRo以上であるかを判定する。この判定は、操舵ハンドル11が回動操作されていなく、操舵トルクTRがほぼ「0」であるときには、ボールねじ機構16のガタによる回転角θ2,θm間の変換誤差αの測定が不能であるためである。また、電子制御ユニット30は、ステップS35にて、前記入力した回転角θ2の絶対値|θ2|が予め決めた正の小さな所定値θ2o以上であるかを判定する。この判定も、操舵ハンドル11が回動操作されていなく、回転角θ2がほぼ「0」であるときには、ボールねじ機構16のガタによる回転角θ2,θm間の変換誤差αの測定が不能であるためである。いま、操舵トルクTRの絶対値|TR|が所定値TRo未満または回転角θ2の絶対値|θ2|が所定値θ2o未満であれば、ステップS34,S35のいずれかにて「No」と判定して、ステップS44にてこの補正値学習ルーチンの実行を終了する。
【0027】
一方、操舵トルクTRの絶対値|TR|が所定値TRo以上かつ回転角θ2の絶対値|θ2|が所定値θ2o以上であれば、ステップS34,S35にて共に「Yes」と判定して、ステップS36以降に進む。ステップS36においては、ステアリングシャフト12の回転角からラックバー14の軸線方向の変位量への変換比(すなわちラックストローク比)を用いて、回転角θ2をラックストローク量RST(ラックバー14の軸線方向の変位量)に変換する。ステップS37においては、ラックバー14の軸線方向の変位量から電動モータ15の回転角への変換比(すなわち減速比の逆数)を用いて、ラックストローク量RSTを推定回転角θmcに変換する。なお、これらの変換比は、ピニオンギヤ13とラックバー14のラック歯との関係、およびボールねじ機構16の構造によって予め決められた定数であり、電子制御ユニット30内に予め記憶されている。
【0028】
次に、電子制御ユニット30は、ステップS38にて、累算値SUMに、前記計算した推定回転角θmcと前記入力した回転角θmとの差の絶対値|θmc−θm|を加算する。そして、ステップS39にて累算回数nに「1」を加算して、ステップS40にて累算回数nが予め決められた2以上の整数値N以上であるかを判定する。累算回数nが整数値N未満であれば、ステップS40にて「No」と判定し、ステップS44にてこの補正値学習ルーチンの実行を一旦終了する。
【0029】
一方、この補正値学習ルーチンが繰り返し実行されて、累算回数nが整数値Nに達すると、ステップS40にて「Yes」と判定し、ステップS41にて累算値SUMを累算回数nで除算することにより変換誤差αとする。そして、ステップS42にて、この変換誤差αを電子制御ユニット30内の不揮発性メモリに記憶し、ステップS43にて学習フラグLFLを“0”に戻して、ステップS44にてこの補正値学習ルーチンの実行を一旦終了する。したがって、この補正値学習ルーチンが次に実行された場合には、変換誤差αの新たな学習演算が行われ始める。
【0030】
ふたたび、図2の操舵アシストプログラムに戻り、前記ステップS15の補正値学習ルーチンの実行後、電子制御ユニット30は、ステップS24にて、アシスト電流テーブルを参照して、前記計算した操舵トルクTおよび前記入力した車速Vに応じた目標アシスト電流値Ias*を計算する。アシスト電流テーブルは、電子制御ユニット30のROM内に設けられたもので、図6に示すように、操舵トルクTRの増加に従って増加する目標アシスト電流値Ias*を記憶している。また、この目標アシスト電流値Ias*は、同一の操舵トルクTRに対して、車速Vが低くなるに従って大きな値を示す。なお、このアシスト電流テーブルを利用するのに代え、操舵トルクTRおよび車速Vに応じて変化する目標アシスト電流値Ias*を関数として予め記憶しておき、この関数を用いた演算の実行により操舵トルクTRおよび車速Vに応じた目標アシスト電流値Ias*を計算するようにしてもよい。
【0031】
前記ステップS24の処理後、電子制御ユニット30は、ステップS25にて、回転角センサ23による検出回転角θm、温度センサ24による検出温度Tc、基板温度センサ26による検出温度Tb、および電流センサ31aによる検出駆動電流Iu,Iv,Iwを入力する。そして、これらの入力値θm,Tc,Tb,Iu,Iv,Iwを用いて、電動モータ15のコイル温度を推定し、コイルの破壊を防止するために目標アシスト電流値Ias*の上限を制限する。すなわち、コイルの推定温度が異常に高くなる場合には、前記ステップS24にて計算された目標アシスト電流値Ias*が小さな値または「0」に変更される。
【0032】
ここで、このコイル温度の推定演算について簡単に説明しておくと、基本的には、駆動電流Iu,Iv,Iwの2乗値を用いてコイルの発熱量を時間積分すると同時に、コイルの放熱および検出温度Tcを考慮してコイルの温度を推定する。また、この温度推定においては、基板の検出温度Tbの変化が考慮されるとともに、回転角θmを微分することにより算出した角速度によって表される電動モータ15の回転状態も考慮される。
【0033】
前記ステップS25の処理後、電子制御ユニット30は、ステップS26にて、前記入力値θm,Iu,Iv,Iwおよび前記計算した目標アシスト電流値Ias*を用いて、駆動回路31を介して電動モータ15をインバータ制御することにより、電動モータ15に目標アシスト電流値Ias*に対応した駆動電流が流れるように制御する。この制御においては、検出駆動電流Iu,Iv,Iwは電動モータ15に流れる駆動電流のフィードバック制御量として利用される。また、この制御処理においては、目標アシスト電流値Ias*に対応した2相指令電流値を計算し、この計算した2相指令電流値に基づいて電動モータ15を3相インバータ制御しており、これらの2相/3相変換処理のために、電動モータ15の回転角θmが利用されている。そして、ステップS27にて、この操舵アシストプログラムの実行が終了される。
【0034】
この目標アシスト電流値Ias*に応じた電動モータ15の駆動制御により、電動モータ15はボールねじ機構16を介してラックバー14を軸線方向に駆動する。一方、運転者による操舵ハンドル11の回動操作は、ステアリングシャフト12およびピニオンギヤ13を介してラックバー14に伝達され、ラックバー14を軸線方向に駆動する。これにより、運転者が操舵ハンドル11を回動操作して左右前輪FW1,FW2を転舵しようとすると、電動モータ15により前記運転者による操舵ハンドル11の回動操作がアシストされる。この操舵アシスト制御においては、操舵トルクTRが大きくなるに従って目標アシスト電流値Ias*は大きくなるので、運転者は小さな操舵力で左右前輪FW1,FW2を操舵することができる。また、車速Vが低くなるに従って目標アシスト電流値Ias*は大きくなるので、高速走行時における車両の走行安定性が良好に保たれるとともに、低速走行時の車両の小回り性能も良好となる。
【0035】
次に、回転角センサ22,23の一方のみに異常が発生した場合について説明する。まず、回転角センサ23に異常が発生した場合について説明する。この場合、電子制御ユニット30は、ステップS12にて「No」と判定し、ステップS16にて「No」すなわち両回転角センサには同時に異常が発生していないと判定し、ステップS17にて「Yes」と判定し、ステップS18にて、回転角センサ21,22から検出回転角θ1,θ2をそれぞれ入力するとともに、車速センサ25から検出車速Vを入力する。そして、ステップS19にて、前述したステップS14と同様な処理により、ステアリングシャフト12に付与されている操舵トルクTRを計算する。次に、ステップS20にて、第1回転角変換ルーチンを実行する。
【0036】
第1回転角変換ルーチンは、図4に詳細に示されているように、ステップS50にて開始される。ステップS50の開始後、電子制御ユニット30は、ステップS51にて、前述した図3のステップS36の処理と同様にして、回転角θ2をラックストローク量RST(ラックバー14の軸線方向の変位量)に変換する。そして、ステップS52にて、前述したステップS37の処理と同様にして、ラックストローク量RSTを回転角センサ23によって検出されるべき電動モータ15の回転角θmに変換する。
【0037】
次に、ステップS53〜S58の処理により、ボールねじ機構16のガタによる変換回転角θmの補正値OFFを決定する。この補正値OFFは、操舵ハンドル11の回動操作時に、ボールねじ機構16のガタに起因した変換誤差αに対応する。そして、ラックバー14の左右方向へ変位によって左右前輪FW1,FW2を転舵する場合に、電動モータ15も前記ラックバー14の変位方向と同方向にラックバー14を変位させるように回動する必要があるので、変換回転角θmをさらに前記ラックバーの変位方向に対応した角度だけ増減させる必要がある。言い換えれば、左右前輪FW1,FW2を右方向に転舵している場合には、正である変換回転角θmに正である変換誤差αを加算する必要がある。逆に、左右前輪FW1,FW2を左方向に転舵している場合には、負である変換回転角θmから正である変換誤差αを減算する必要がある。
【0038】
したがって、操舵トルクTRの絶対値|TR|が前記小さな所定値TRo以上で、回転角θ2が予め決めた小さな正の所定値θ2o以上であれば、ステップS53にて「Yes」、S54にて「Yes」と判定されて、ステップS56にて補正値OFFは正の変換誤差αに設定される。また、操舵トルクTRの絶対値|TR|が前記小さな所定値TRo以上で、回転角θ2が負の所定値−θ2o以下であれば、ステップS53にて「Yes」、ステップS54にて「No」、ステップS55にて「Yes」と判定されて、ステップS58にて補正値OFFは負の変換誤差−αに設定される。さらに、操舵トルクTRの絶対値|TR|が前記小さな所定値TRo未満または回転角θ2の絶対値|θ2|が所定値θ2o未満であれば、ステップS53にて「No」またはステップS54,S55にて共に「No」と判定されて、ステップS58にて補正値OFFは「0」に設定される。なお、前記補正値学習ルーチンによって変換誤差αが未だ計算されていない場合には、電子制御ユニット30に予め記憶されている変換誤差αの初期値αoを用いる。
【0039】
前記ステップS56〜S58の処理後、電子制御ユニット30は、ステップS59にて前記変換回転角θmに補正値OFFを加算して、ステップS60にて第1回転角変換ルーチンの実行を終了する。ふたたび、図2の操舵アシストプログラムの実行に戻り、ステップS20の第1回転角変換ルーチンの実行後、電子制御ユニット30は、回転角センサ23による検出回転角θmに代えて前記補正後の変換回転角θmを用い、前述したステップS24〜26の処理により電動モータ15を駆動制御する。したがって、この場合も、運転者による操舵操作は、操舵トルクTRおよび車速Vに応じてアシストされる。
【0040】
次に、回転角センサ22のみに異常が発生した場合について説明する。この場合、電子制御ユニット30は、ステップS12にて「No」、ステップS16にて「No」、ステップS17にて「No」と判定し、ステップS21にて、回転角センサ21,23から検出回転角θ1,θmをそれぞれ入力するとともに、車速センサ25から検出車速Vを入力する。そして、ステップS22にて、第2回転角変換ルーチンを実行する。
【0041】
第2回転角変換ルーチンは、図5に詳細に示されているように、ステップS70にて開始される。ステップS70の開始後、電子制御ユニット30は、ステップS71〜S75の処理によりボールねじ機構16のガタによる変換回転角θmの補正値OFFを決定する。この場合には、前記とは逆に、左右前輪FW1,FW2を右方向に転舵している場合には、正である検出回転角θmから正である変換誤差αを減算する必要がある。逆に、左右前輪FW1,FW2を左方向に転舵している場合には、負である検出回転角θmに正である変換誤差αを加算する必要がある。しかし、この場合には、回転角θ2は未知であって操舵トルクTRが計算されていないので、検出回転角θmのみを用いて左右前輪FW1,FW2の左右の転舵を判定する必要がある。
【0042】
したがって、回転角θmが予め決めた小さな正の所定値θmo以上であれば、ステップS71にて「Yes」と判定されて、ステップS73にて補正値OFFは正の変換誤差αに設定される。また、回転角θmが負の所定値−θmo以下であれば、ステップS71にて「No」、ステップS72にて「Yes」と判定されて、ステップS74にて補正値OFFは負の変換誤差−αに設定される。さらに、回転角θmの絶対値|θm|が所定値θmo未満であれば、ステップS71,S72にて共に「No」と判定されて、ステップS75にて補正値OFFは「0」に設定される。なお、前記補正値学習ルーチンによって変換誤差αが未だ計算されていない場合には、電子制御ユニット30に予め記憶されている初期値αの初期値αoを用いる。前記ステップS73〜S75の処理後、電子制御ユニット30は、ステップS76にて検出回転角θmから補正値OFFを減算する。
【0043】
次に、ステップS77にて、前述したラックバー14の軸線方向の変位量から電動モータ15の回転角への変換比の逆数(すなわち減速比)を用いて、補正した回転角θmをラックストローク量RST(ラックバー14の軸線方向の変位量)に変換する。次に、ステップS78にて、前述したステアリングシャフト12の回転角からラックバー14の軸線方向の変位量への変換比の逆数(すなわちラックストローク比の逆数)を用いて、ラックストローク量RSTを回転角θ2に変換する。そして、ステップS79にて第2回転角変換ルーチンの実行を終了する。
【0044】
ふたたび、図2の操舵アシストプログラムの実行に戻り、ステップS22の第2回転角変換ルーチンの実行後、電子制御ユニット30は、ステップS23にて、前記ステップS14の処理と同様に、前記入力した回転角θ1から前記変換した回転角θ2を減算することにより操舵トルクTRを計算する。電子制御ユニット30は、回転角センサ22による検出回転角θ2に代えて前記変換回転角θ2を用い、前述したステップS24〜26の処理により電動モータ15を駆動制御する。したがって、この場合も、運転者による操舵操作は、操舵トルクTRおよび車速Vに応じてアシストされる。
【0045】
さらに、回転角センサ22,23の両者に異常が発生した場合には、ステップS12にて「No」、ステップS16にて「Yes」と判定して、ステップS27にて操舵アシストプログラムの実行を終了する。したがって、この場合には、運転者による操舵操作は、電動モータ15によってアシストされない。
【0046】
上記作動説明からも理解できるように、上記第1実施形態によれば、回転角センサ22,23のうちの一方に異常が発生した場合には、一方の回転角センサによって検出された回転角θ2(またはθm)を用いて、他方の回転角センサによって検出されるべき回転角θm(またはθ2)が変換計算される。そして、変換計算された回転角θm(またはθ2)を用いて電動モータ15の作動が制御されるので、回転角センサ22,23の一方に異常が発生しても、操舵ハンドル11の回動操作に対するアシスト制御を続行できる。また、前記回転角θm(またはθ2)の変換計算においては、ボールねじ機構16のガタも考慮されるので、変換計算される回転角θm(またはθ2)の精度が向上し、より良好な制御が期待される。
【0047】
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態に係る車両の操舵装置は、図1の回転角センサ23を省略したものであり、電子制御ユニット30は、図2の操舵アシストプログラムに代えて図7の操舵アシストプログラム(図4の第1回転角変換ルーチンを含む)を実行する。他の構成は、上記第1実施形態と同じである。
【0048】
次に、上記のように構成した第2実施形態の動作を説明すると、電子制御ユニット30は、イグニッションスイッチの投入後、図7のステップS100〜S107からなる操舵アシストプログラムの実行を所定の短時間ごとに繰り返し実行する。この操舵アシストプログラムのステップS101〜S103の処理は、図2のステップS18〜S20の処理と同様であり、これらのステップS101〜S103の処理により、回転角θ1,θ2および車速Vが入力され、操舵トルクTRおよび回転角θmが計算される。なお、ステップS103の第1回転角変換ルーチンにおいては、予め実験により測定した変換誤差αを電子制御ユニット30内の不揮発性メモリに記憶しておいて、この記憶しておいた変換誤差αを、回転角θmの変換計算に用いる。また、ステップS104〜S106の処理は、図2のステップS24〜S26の処理と同様であり、これらのステップS104〜S106の処理により、回転角θ1,θ2,θm、操舵トルクTRおよび車速Vを用いて電動モータ15が駆動制御されて、上記第1実施形態の場合と同様に、操舵ハンドル11の回動操作に対してアシスト力が付与される。
【0049】
その結果、この第2実施形態においては、上記第1実施形態の回転角センサ23を省略しても、回転角センサ22によって検出された回転角θ2を用いて、回転角センサ23によって検出されるべき回転角θmが変換計算される。そして、変換計算された回転角θmを用いて電動モータ15の作動が制御されるので、回転角センサ23を省略しても、操舵ハンドル11の回動操作に対するアシスト制御を行うことができる。したがって、上記第2実施形態によれば、車両の操舵装置の製造コストを低減できる。また、前記回転角θmの変換計算においては、ボールねじ機構16のガタも考慮されるので、変換計算される回転角θmの精度が向上し、より良好な制御が期待される。
【0050】
c.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態に係る車両の操舵装置は、図1の回転角センサ22を省略したものであり、電子制御ユニット30は、図2の操舵アシストプログラムに代えて図8の操舵アシストプログラム(図5の第2回転角変換ルーチンを含む)を実行する。他の構成は、上記第1実施形態と同じである。
【0051】
次に、上記のように構成した第3実施形態の動作を説明すると、電子制御ユニット30は、イグニッションスイッチの投入後、図8のステップS110〜S117からなる操舵アシストプログラムの実行を所定の短時間ごとに繰り返し実行する。この操舵アシストプログラムのステップS111〜S113の処理は、図2のステップS21〜S23の処理と同様であり、これらのステップS111〜S113の処理により、回転角θ1,θmおよび車速Vが入力され、回転角θ2および操舵トルクTRが計算される。なお、ステップS112の第2回転角変換ルーチンにおいては、予め実験により測定した変換誤差αを電子制御ユニット30内の不揮発性メモリに記憶しておいて、この記憶しておいた変換誤差αを、回転角θ2の変換計算に用いる。また、ステップS114〜S116の処理は、図2のステップS24〜S26の処理と同様であり、これらのステップS114〜S116の処理により、回転角θ1,θ2,θm、操舵トルクTRおよび車速Vを用いて電動モータ15が駆動制御されて、上記第1実施形態の場合と同様に、操舵ハンドル11の回動操作に対してアシスト力が付与される。
【0052】
その結果、この第3実施形態においては、上記第1実施形態の回転角センサ22を省略しても、回転角センサ23によって検出された回転角θmを用いて、回転角センサ22によって検出されるべき回転角θ2が変換計算される。そして、変換計算された回転角θ2を用いて電動モータ15の作動が制御されるので、回転角センサ22を省略しても、操舵ハンドル11の回動操作に対するアシスト制御を行うことができる。したがって、上記第3実施形態によれば、車両の操舵装置の製造コストを低減できる。また、前記回転角θ2の変換計算においては、ボールねじ機構16のガタも考慮されるので、変換計算される回転角θ2の精度が向上し、より良好な制御が期待される。
【0053】
d.変形例
さらに、本発明は上記第1ないし第3実施形態は、次のように変形することもできる。上記第1実施形態においては、変換誤差αを補正値学習ルーチンの実行によって計算するようにした。しかし、この補正学習ルーチンを省略して、この変換誤差αを予め実験により測定し、測定結果に基づく変換誤差αを電子制御ユニット30内の不揮発性メモリに記憶しておき、この記憶した変換誤差αを常に利用するようにしてもよい。
【0054】
また、上記第1ないし第3実施形態においては、図4の第1および第2回転角変換ルーチンにて変換誤差αを用いてボールねじ機構16のガタに伴う回転角の補正を行うようにした。しかし、ボールねじ機構16のガタが小さく補正する必要がない場合には、変換誤差αを用いた回転角の補正を省略してもよい。この場合、図4のステップS53〜S59および図5のステップS71〜S76の処理を省略すればよい。
【0055】
また、上記第1ないし第3実施形態によれば、電動モータ15によりラックバー14を軸線方向に駆動することにより、操舵ハンドル11の操舵操作をアシストするようにした。しかし、これに代えて、アシスト用の電動モータをステアリングシャフト12の下部近傍に配置し、回転角センサ22とピニオンギヤ13の間の位置にてステアリングシャフト12を回転駆動することにより、操舵ハンドル11の操舵操作をアシストするようにしてもよい。この場合、回転運動と直線運動との変換機能をもつ前記ボールねじ機構16を用いる必要がなくなるので、前記ボールねじ機構16のガタ補正を必要としなくなる。
【0056】
また、上記第1ないし第3実施形態において、回転角センサ21,22,23の軸倍角、ピニオンギヤ13とラックバー14によるステアリングシャフト12の回転角からラックバー14の軸線方向の変位量への第1変換比、およびボールねじ機構16によるラックバー14の軸線方向の変位量から電動モータ15の回転角への第2変換比を調整することにより、回転角センサ23の軸倍角に対する両回転センサ21,22の軸倍角の比が、前記第1変換比に、前記第2変換比を乗算した値に等しく設定するようにするとよい。ここで、軸倍角とは、機械角に対する電気角の比を意味する。
【0057】
具体的には、例えば、ステアリングシャフト12の回転角からラックバー14の軸線方向の変位量への第1変換比を40mm/2πに設定する。この第1変換比40mm/2πは、ステアリングシャフト12が1回転するとき、ラックバー14は軸線方向に40mm変位することを意味する。ラックバー14の軸線方向の変位量から電動モータ15の回転角への第2変換比を2π/5mmに設定する。この変換比2π/5mmは、電動モータ15が1回転するとき、ラックバー14は軸線方向に5mm変位することを意味する。回転センサ21,22の軸倍角を8Xに設定する。回転角センサ23の軸倍角を1Xに設定する。
【0058】
この変形例によれば、回転角センサ22,23によって検出される回転角は同じになるので、図4の第1回転角補正ルーチン及び図5の第2回転角補正ルーチンにおける回転角の変換処理が不要となり、処理速度が速くなる。また、計算誤差を含まない回転角の流用が可能になり、制御精度も向上する。
【0059】
さらに、前記のような軸倍角および変換比でなくても、回転角センサ21,22,23の軸倍角、ピニオンギヤ13とラックバー14によるステアリングシャフト12の回転角からラックバー14の軸線方向の変位量への第1変換比、およびボールねじ機構16によるラックバー14の軸線方向の変位量から電動モータ15の回転角への第2変換比を調整することにより、回転角センサ23の軸倍角に対する両回転センサ21,22の軸倍角の比が、前記第1変換比に、前記第2変換比を乗算した値に対して整数倍または整数分の1に等しく設定するようにしても、ある程度の処理速度の高速化および制御精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1ないし第3実施形態に係る車両の操舵装置の全体概略図である。
【図2】第1実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにより実行される操舵アシストプログラムのフローチャートである。
【図3】図2の操舵アシストプログラム内にて実行される補正値学習ルーチンを詳細に示すフローチャートである。
【図4】図2および図7の操舵アシストプログラム内にて実行される第1回転角変換ルーチンを詳細に示すフローチャートである。
【図5】図2および図8の操舵アシストプログラム内にて実行される第2回転角変換ルーチンを詳細に示すフローチャートである。
【図6】図1の電子制御ユニット内に設けられたアシスト電流テーブルに記憶されている操舵トルク、車速および目標アシスト電流値の関係を示すグラフである。
【図7】第2実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにより実行される操舵アシストプログラムのフローチャートである。
【図8】第3実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにより実行される操舵アシストプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
11…操舵ハンドル、12…ステアリングシャフト、13…ピニオンギヤ、14…ラックバー、15…電動モータ、21,22,23…回転角センサ、25…車速センサ、30…電子制御ユニット




 

 


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