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車両の制御装置 - トヨタ自動車株式会社
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発明の名称 車両の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8238(P2007−8238A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188949(P2005−188949)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 丈夫
発明者 鈴木 雅邦
要約 課題
ブレーキ振動あるいは異音の発生を防止もしくは抑制するための制御が行われる際に、車両の走行状態が変化して乗員に違和感を与えてしまうことを回避できる車両の制御装置を提供する。

解決手段
乗員の操作と独立して制動装置を制御して各車輪の制動トルクを設定する制動トルク設定手段と、制動装置の振動を検出する振動検出手段(ステップS101)とを備え、制動装置の振動が検出された場合に振動を抑制する車両の制御装置において、乗員の操作と独立して動力源の出力を制御して各車輪の駆動トルクを設定する駆動トルク設定手段と、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段(ステップS102)と、制動装置の振動が検出された場合に、走行状態に基づいて制動トルクと駆動トルクとの少なくともいずれか一方を変更する振動抑制手段(ステップS104,S105)とを備えている。
特許請求の範囲
【請求項1】
乗員の操作と独立して制動装置を制御して各車輪の制動トルクを設定する制動トルク設定手段と、前記制動装置の振動を検出する振動検出手段とを備え、前記振動検出手段により前記振動が検出された場合に前記制動トルク設定手段を制御して前記振動を抑制する車両の制御装置において、
前記乗員の操作と独立して動力源の出力を制御して各車輪の駆動トルクを設定する駆動トルク設定手段と、
前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記振動検出手段により前記振動が検出された場合に、前記走行状態検出手段により検出された前記走行状態に基づいて、前記制動トルク設定手段により設定された前記制動トルクと前記駆動トルク設定手段により設定された前記駆動トルクとの少なくともいずれか一方を変更する振動抑制手段と
を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記走行状態検出手段は、前記車両の進行方向を検出する進行方向検出手段を含み、
前記振動抑制手段は、前記振動検出手段と前記進行方向検出手段とにより、前記振動が検出されかつ前記車両が後進していることが検出された場合に前記駆動トルクを低減する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記走行状態検出手段は、前記車両の前後加速度を検出する加速度検出手段を含み、
前記振動抑制手段は、前記振動検出手段と前記加速度検出手段とにより、前記振動が検出されかつ前記車両が加速中であることが検出された場合に前記制動トルクを低減し、前記振動が検出されかつ前記車両が減速中であることが検出された場合に前記駆動トルクを低減し、前記振動が検出されかつ前記車両が定速走行中であることが検出された場合に前記制動トルクと前記駆動トルクとをそれぞれ低減する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の制動力と駆動力とを制御する車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、制動力を制御する装置として、乗員のブレーキ操作に基づいて、もしくはブレーキ操作とは独立してホイールシリンダを動作させ、ブレーキパッドあるいはブレーキシューなどの摩擦部材を、車輪と一体回転するブレーキディスクあるいはブレーキドラムなどの回転部材へ押し付けることにより、車輪に制動トルクを付与する制動装置(ブレーキ装置)が装備されている。
【0003】
このような制動装置により車両が制動されて停止している状態では、車両の駆動トルクよりも大きな制動トルクが車輪に付与されている。例えば、自動変速機が搭載された車両が、自動変速機のシフトポジションとしてD(ドライブ)レンジなどの変速機で動力伝達が行われる走行レンジが選択されている場合に、乗員のブレーキ操作によって制動されて停止している状態では、いわゆるクリープトルク、すなわち車両を平地において極低速で走行させることができる程度の駆動トルクよりも大きな制動トルクが車輪に付与されることになる。
【0004】
そして、この停車状態から車両を発進させる場合には、乗員によるブレーキ操作が徐々に解除され(例えばブレーキペダルの踏み込みが徐々に解放され)、それに伴って制動トルクが徐々に低減される。そして、制動トルクとクリープトルクすなわち駆動トルクとがほぼ等しくなり、さらに制動トルクが駆動トルクを下回った時点で車両が発進し始める。このとき、制動トルクと駆動トルクがほぼ等しくなる近傍においては、制動トルクが駆動トルクに対して大小にわずかに変動することによって、制動装置の摩擦部材と回転部材とが、滑り・係合状態を繰り返すいわゆるスティックスリップ現象が生じ、その結果、制動装置の構成部材における振動(ブレーキ振動)が増大して、そのブレーキ振動による異音(いわゆるグー音、あるいはブレーキ鳴き、あるいはブレーキノイズ)が発生する場合がある。このような制動装置におけるブレーキ振動もしくは異音の発生を防止・抑制するために、ブレーキ鳴きが検出された場合に、前後輪のブレーキ液圧の配分を変更するように制御する車両用ブレーキ液圧制御装置に関する発明が、特許文献1に記載されている。
【0005】
この特許文献1に記載されている車両用ブレーキ液圧制御装置は、ブレーキ鳴きを検出する手段によりブレーキ鳴きが検出された場合に、前後輪のトータルな制動力を変えることなく、前輪ブレーキの液圧を減圧し、後輪ブレーキの液圧を増圧するように前後輪のブレーキ液圧の配分が変更される。そのため、適正な減速度を確保しつつ、ブレーキ鳴きを抑制することができる、とされている。
【0006】
また、特許文献2には、ブレーキ系統の複雑化やコストアップを招くことなくブレーキ鳴きの発生を防止することを目的として、ブレーキペダルの踏み込み量、踏み込み速度に基づいて各輪のブレーキ鳴き発生の可能性を検出して、いずれかの車輪にブレーキ鳴き発生の可能性があると判定された場合に、全輪の制動力の総和が実質的に変化しないよう各輪の制動力の配分を変化させるように構成された車両の制動力制御装置に関する発明が記載されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、全輪のブレーキ液圧の配分を最も効率の良い液圧配分に変更することによりブレーキノイズを防止することを目的として、全輪のブレーキ鳴き状態を常時監視して、左右一方側の車輪でブレーキノイズが検出された場合に、その車輪のブレーキ液圧を減圧するとともに、対応する反対側車輪のブレーキ液圧を、トータルな制動力を変えることなく、前記減圧量に応じて増圧するように構成されたブレーキノイズ防止装置に関する発明が記載されている。
【特許文献1】特開平9−221013号公報
【特許文献2】特開平10−305768号公報
【特許文献3】特開2000−177552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1ないし3に記載されている各発明は、いずれも、上述したようなブレーキ振動を防止もしくは抑制することを目的としていて、ブレーキ振動あるいは異音の発生が検出された場合に、例えば前輪の制動トルクを低下させ、後輪の制動トルクを増大させることにより、あるいはブレーキ振動が検出された左右輪のうち一方の車輪の制動トルクを低下させ、その反対側の車輪の制動トルクを増大させることにより、ブレーキ振動あるいは異音が低減される。すなわち、ブレーキ振動あるいは異音が検出されると、車輪の制動トルクのみを制御することによってブレーキ振動あるいは異音が抑制される。
【0009】
しかしながら、車両のブレーキ操作は、様々な車両の走行状態において行われるものであり、例えば車両の走行中にブレーキ操作が行われた際に、上記のようなブレーキ振動あるいは異音が発生し、それを抑制するための制動トルクの増減制御が、車両の走行状態や駆動トルクの挙動を考慮せずに実行されると、例えば、加速中に制動トルクが増大して車両が減速してしまうこと、あるいは減速中に制動トルクが低下して車両が加速してしまうこと、あるいは定速走行中に制動トルクが変化して車両の速度が変動してしまうことなどの、乗員が意図しない走行状態の変化が生じて、乗員に違和感を与えてしまう場合があった。
【0010】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、ブレーキ振動あるいは異音の発生を防止もしくは抑制するための制御が行われる際に、車両の走行状態が変化して乗員に違和感を与えてしまうことを回避できる車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、乗員の操作と独立して制動装置を制御して各車輪の制動トルクを設定する制動トルク設定手段と、前記制動装置の振動を検出する振動検出手段とを備え、前記振動検出手段により前記振動が検出された場合に前記制動トルク設定手段を制御して前記振動を抑制する車両の制御装置において、前記乗員の操作と独立して動力源の出力を制御して各車輪の駆動トルクを設定する駆動トルク設定手段と、前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記振動検出手段により前記振動が検出された場合に、前記走行状態検出手段により検出された前記走行状態に基づいて、前記制動トルク設定手段により設定された前記制動トルクと前記駆動トルク設定手段により設定された前記駆動トルクとの少なくともいずれか一方を変更する振動抑制手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記走行状態検出手段が、前記車両の進行方向を検出する進行方向検出手段を含み、前記振動抑制手段が、前記振動検出手段と前記進行方向検出手段とにより、前記振動が検出されかつ前記車両が後進していることが検出された場合に前記駆動トルクを低減する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0013】
そして、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記走行状態検出手段は、前記車両の前後加速度を検出する加速度検出手段を含み、前記振動抑制手段は、前記振動検出手段と前記加速度検出手段とにより、前記振動が検出されかつ前記車両が加速中であることが検出された場合に前記制動トルクを低減し、前記振動が検出されかつ前記車両が減速中であることが検出された場合に前記駆動トルクを低減し、前記振動が検出されかつ前記車両が定速走行中であることが検出された場合に前記制動トルクと前記駆動トルクとをそれぞれ低減する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、車両が制動された際に、各車輪に出力される制動トルクと駆動トルクとがほぼ等しくなる近傍でいわゆるスティックスリップ現象による制動装置の振動が発生すると、その振動が検出されるとともに、その際の車両の走行状態が検出される。そして、検出された走行状態に基づいて各車輪の制動トルクの設定値と駆動トルクの設定値との少なくともいずれか一方が変更され、制動装置の振動状態が変化させられることにより、制動装置の振動が増大しにくい状態、すなわちスティックスリップが起こりにくい状態となって、制動装置の振動が抑制される。そのため、走行中にブレーキ操作されて制動装置に振動が発生した場合であっても、各車輪の制動トルクの設定値と駆動トルクの設定値とのいずれか一方が、もしくはそれらの両方が、その際の走行状態に応じて適宜に変更されて振動が抑制される。その結果、制動装置の振動抑制のための制御が実行される際に、乗員が意図しない走行状態の変化が生じて乗員に違和感を与えてしまうことを防止もしくは抑制することができる。
【0015】
また、請求項2の発明によれば、車両が制動された際に制動装置に振動が発生すると、その振動が検出されるとともに、車両の走行状態として車両の進行方向が検出される。そして、車両が後進していることが検出された場合は、制動トルクは変更されずに駆動トルクのみが低減されることにより、制動装置の振動が抑制される。そのため、前進時と比較して運転操作が容易ではない後進時に、乗員の意図に反して制動トルクが低減されて車両が加速してしまうことを回避して、運転操作の安全性を確保することができる。
【0016】
そして、請求項3の発明によれば、車両が制動された際に制動装置に振動が発生すると、その振動が検出されるとともに、車両の走行状態として車両の前後加速度が検出される。そして、車両が加速中であることが検出された場合には制動トルクが低減され、また車両が減速中であることが検出された場合には駆動トルクが低減され、そして車両が定速で走行中であることが検出された場合には制動トルクおよび駆動トルクがそれぞれ協調されて低減されることにより、制動装置の振動が抑制される。そのため、走行中に制動装置が作動して制動装置に振動が発生し、その振動を抑制するための制御が実行された際に、例えば加速中であるのに駆動トルクが低減されて車両が減速してしまったり、あるいは減速中であるのに制動トルクが低減されて加速してしまったり、あるいは定速走行中であるのに制動トルクと駆動トルクとがそれぞれ独立して制御されることより車速が変動してしまったりすることを回避できる。その結果、制動装置の振動抑制のための制御が実行される際に、乗員が意図しない走行状態の変化が生じて乗員に違和感を与えてしまうことを防止もしくは抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
つぎに、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、この発明を適用した車両の駆動系を図5に示す。図5は、この発明を適用した車両Veが、例えばFR(フロントエンジン・リヤドライブ)方式の二輪駆動車両Veである例を示している。図5に示す車両Veにおいて、動力源1の出力側には、動力源1の回転出力を変速する変速機2が配置され、その変速機2の出力側には、変速機2から伝達される駆動力を駆動輪3,4に伝える駆動軸5が設けられている。
【0018】
動力源1には、例えば、内燃機関または電動機の少なくとも一方を用いることができ、内燃機関としては、好ましくは、例えば電子スロットルバルブなどの出力を電気的に制御できる機構を備えた内燃機関が使用される。電動機としては、例えば電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを有するモータ・ジェネレータを用いることが可能である。この実施例では、動力源1として、電子スロットルバルブ1aを備えたガソリンエンジンやディーゼルエンジンあるいは天然ガスエンジンなどのエンジン1が用いられている場合について説明する。
【0019】
変速機2としては、手動変速機、あるいは自動変速機、あるいは無段変速機などの各種の変速機を用いることが可能である。また、駆動軸5は、リヤデファレンシャル6を介して左右の後輪駆動軸7,8に連結されていて、各後輪駆動軸7,8には、左右後輪となる車輪(駆動輪)3,4が連結されている。なお、左右前輪となる車輪9,10は、自らは駆動力を発生しない非駆動輪9,10として設けられている。
【0020】
このような各機構により形成される動力伝達系統を介して、エンジン1の出力トルクが駆動輪3,4に伝達される構成となっている。ここで、エンジン1の出力トルクを制御する電子スロットルバルブ1aは、後述する電子制御装置100によってその動作が制御される。すなわち、電子制御装置100により、電子スロットルバルブ1aの動作が制御されてエンジン1の出力が増減制御され、駆動輪3,4に出力される駆動トルクが増減制御される。したがって、電子制御装置100から出力される信号に基づいて電子スロットルバルブ1aの動作を制御することにより、例えばアクセルペダルの踏み込み操作などの乗員の操作と独立して、駆動輪3,4の駆動トルクを制御することができる。
【0021】
そして、各車輪3,4,9,10には、制動装置11がそれぞれに設けられている。また、制動装置11を構成するホイールシリンダ12と、マスタシリンダ13とを接続する作動液の液圧系には、運転者のブレーキ操作と独立して、ホイールシリンダ12内の液圧を増減し、各車輪3,4,9,10に付加する制動トルクを制御するブレーキアクチュエータ14が設けられている。
【0022】
図6に、ブレーキアクチュエータ14の構成を概略的に示す。なお、ブレーキアクチュエータ14は、各車輪3,4,9,10の各制動装置11毎に、独立して液圧を制御することが可能なように構成されていて、図6には、各車輪3,4,9,10のうちの一つの車輪に関するブレーキアクチュエータ14の構成を代表的に示している。したがって他の車輪についても同様の構成となっている。
【0023】
ブレーキアクチュエータ14を構成する液圧系統には、モータ20によって回転駆動される液圧ポンプ21が設けられている。この液圧ポンプ21は、制動力を制御する際の液圧源として機能し、液圧ポンプ21の吐出口21aは、管路22を介して、遮断弁23と保持弁24との間の管路25に接続されている。なお、液圧ポンプ21の吐出口21a側には、液圧ポンプ21の吐出方向とは逆方向の作動液の流れを阻止する逆止弁26が設けられている。
【0024】
一方、液圧ポンプ21の吸入口21bは、管路27を介してリザーバ28に接続されていて、管路27には、液圧ポンプ21の吸入方向とは逆方向の作動液の流れを阻止する逆止弁29,30が設けられている。この逆止弁29,30の間の管路27は、管路31を介してリザーバタンク32に接続されていて、リザーバタンク32内の作動液が、管路27を介して液圧ポンプ21に吸い込まれるように構成されている。また、管路31の途中には、この管路31を開閉させる、ノーマルクローズ形(通電時に開弁する形式)の吸込弁33が設けられている。
【0025】
前述のマスタシリンダ13とホイールシリンダ12とを接続する管路25には、ノーマルオープン形(通電時に閉弁する形式)の遮断弁23が設けられており、作動液の液圧制御が実行される際に閉弁されてマスタシリンダ13とホイールシリンダ12との間の管路25を遮断するように構成されている。また、遮断弁23よりもホイールシリンダ12側の管路25には、ノーマルオープン形の保持弁24が設けられており、この保持弁24が閉弁されることにより、保持弁24からホイールシリンダ12側の液圧系を閉塞状態にするように、すなわち保持弁24からホイールシリンダ12側の液圧系の液圧を保持するように構成されている。
【0026】
そして、保持弁24とホイールシリンダ12との間の管路25は、管路34によってリザーバ28に接続されている。この管路34には、ノーマルクローズ形の減圧弁35が設けられている。この減圧弁35は、例えばリニアソレノイドバルブもしくはデューティソレノイドバルブなどの電磁弁によって構成され、減圧弁35をデューティ比駆動させることにより、管路34の連通状態をデューティ比に応じて変化させることができる。
【0027】
したがって、減圧弁35の開閉状態を制御することにより、管路34の連通状態を変化させ、保持弁24からホイールシリンダ12側の液圧系の液圧(ブレーキ液圧)を変化させることができる。例えば、ブレーキ液圧を保持していた状態、すなわち各車輪3,4,9,10に付加された制動トルクをそれぞれ保持していた状態から、ブレーキ液圧を減圧させて各車輪3,4,9,10の制動トルクを低減させる場合に、デューティ比駆動される減圧弁35のデューティ比を制御することにより、ホイールシリンダ12内のブレーキ液圧を制御して、各車輪3,4,9,10の制動トルクの低減状態を適宜に制御することができる。
【0028】
このように、液圧ポンプ21および各種の弁装置等によって構成されるブレーキアクチュエータ14は、電子制御装置100によってその動作が制御される。すなわち、電子制御装置100により、ブレーキアクチュエータ14の動作を制御し、制動装置11のホイールシリンダ12内の液圧が増減制御される。したがって、電子制御装置100から出力される信号に基づいて、各車輪3,4,9,10に設けられた制動装置11をそれぞれ制御すること、すなわち各車輪3,4,9,10に付加される制動トルクをそれぞれ制御し、その制動トルクの値を設定することができる。言い換えると、電子制御装置100から出力される信号に基づいてブレーキアクチュエータ14の動作を制御することにより、例えばブレーキペダルの踏み込み操作などの乗員の操作と独立して、各車輪3,4,9,10の制動トルクを制御することができる。
【0029】
図7に、電子制御装置100の構成を概略的に示す。電子制御装置100には、各車輪3,4,9,10の回転速度(回転数、回転方向)をそれぞれ検出する車輪速センサ101、シフトレバーのシフトポジションを検知するシフトポジションセンサ102、ブレーキペダル36の踏み込み量(踏み込み角度)あるいは踏み込み圧力を検出するブレーキペダルセンサ103、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量(踏み込み角度)あるいは踏み込み圧力あるいは踏み込み時間などを検出するアクセルペダルセンサ104、エンジン1に備えられた電子スロットルバルブ1aのスロットル開度を検出するスロットルバルブセンサ105、各車輪3,4,9,10の駆動トルクをそれぞれ検出する駆動トルクセンサ106、車両Veの前後方向の加速度を検出する前後加速度センサ107、各ホイールシリンダ12に作用するブレーキ液圧をそれぞれ検出するブレーキ液圧センサ108、各制動装置11に生じる振動をそれぞれ検出する振動センサ109などの各種センサ類が設けられており、それらの各センサの出力信号が電子制御装置100に入力されるように構成されている。
【0030】
また、電子制御装置100には、各種のデータが記憶されており、電子制御装置100に入力される信号、および記憶されているデータに基づいて、電子制御装置100から、電子スロットルバルブ1aおよびブレーキアクチュエータ14を制御する信号が出力されるように構成されている。
【0031】
ここで、上記の車輪速センサ101によりそれぞれ検出される各車輪3,4,9,10の回転速度、回転方向、あるいはシフトポジションセンサ102により検出されるシフトポジション、あるいは前後加速度センサ107により検出される車両Veの前後加速度などの検出値を基に電子制御装置100で演算処理することによって、車両Veの走行状態を検出することができる。したがって、電子制御装置100、車輪速センサ101、シフトポジションセンサ102、前後加速度センサ107等は、この発明における走行状態検出手段として機能する。
【0032】
このうち、特に、車輪速センサ101によりそれぞれ検出される各車輪3,4,9,10の回転方向、あるいはシフトポジションセンサ102により検出されるシフトポジションなどの検出値を基に電子制御装置100で演算処理することによって、車両Veの進行方向を検出することができる。したがって、電子制御装置100、車輪速センサ101、シフトポジションセンサ102等は、この発明の走行状態検出手段における進行方向検出手段として機能する。また、車輪速センサ101によりそれぞれ検出される各車輪3,4,9,10の回転速度、回転方向、あるいは前後加速度センサ107により検出される車両Veの前後加速度などの検出値を基に電子制御装置100で演算処理することによって、車両Veの前後加速度状態を検出することができる。したがって、電子制御装置100、車輪速センサ101、前後加速度センサ107等は、この発明の走行状態検出手段における前後加速度検出手段として機能する。
【0033】
また、車輪速センサ101によりそれぞれ検出される各車輪3,4,9,10の回転速度、回転方向、あるいはブレーキ液圧センサ108により検出される各ホイールシリンダ12に作用するブレーキ液圧、あるいは振動センサ109により検出される各制動装置11に生じる振動などの検出値を基に電子制御装置100で演算処理することによって、各制動装置11に生じるブレーキ振動を検出することができる。したがって、電子制御装置100、車輪速センサ101、ブレーキ液圧センサ108、振動センサ109等は、この発明における振動検出手段として機能する。
【0034】
さらに、前述の各車輪3,4,9,10のホイールシリンダ12、マスタシリンダ13、ブレーキアクチュエータ14、それらを接続する液圧系などによって構成される各制動装置11、およびそれら各制動装置11へ制御信号を出力して各車輪3,4,9,10に付与する制動トルクを制御して設定する電子制御装置100等が、この発明における制動トルク設定手段として機能する。また、エンジン1の電子スロットルバルブ1a、およびその電子スロットルバルブ1aへ制御信号を出力して駆動輪3,4に付与する駆動トルクを制御して設定する電子制御装置100等が、この発明における駆動トルク設定手段として機能する。
【0035】
前述したように、この発明は、車両Veの制動時に制動装置11にブレーキ振動あるいは異音が発生し、そのブレーキ振動あるいは異音の発生を防止もしくは抑制するための制御が行われる場合に、車両Veの走行状態が乗員の意図に反して変化することによって乗員に違和感を与えてしまうことを防止もしくは抑制することを目的としていて、そのために、この発明の制御装置は以下の制御を実行するように構成されている。
【0036】
(第1の制御例)
図1は、この発明の制御装置によるブレーキ振動防止制御の、第1の制御例を説明するためのフローチャートであって、このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図1において、先ず、各制動装置11において所定値α以上のブレーキ振動がそれぞれ検出されたか否かが判断される(ステップS101)。所定値αとは、乗員が認識できるレベルの振動を識別するために予め設定された閾値のことであり、そのブレーキ振動とは、前述したように、各車輪3,4,9,10の制動トルクと駆動トルクとが互いにほぼ均衡している状態で、制動トルクが駆動トルクに対して大小にわずかに変動することによって、いわゆるスティックスリップ現象が生じた際に各制動装置11各部に発生する振動、もしくはその振動による異音のことである。したがって、このブレーキ振動は、例えば、車輪速センサ101によりそれぞれ検出される各車輪3,4,9,10の回転速度の検出値の挙動、あるいはブレーキ液圧センサ108により検出される各ホイールシリンダ12に作用するブレーキ液圧の検出値の挙動、あるいは前後加速度センサ107により検出される車両Veの前後加速度の検出値の挙動などに基づいてそれぞれ検出もしくは推定することができる。あるいは、各制動装置11の所定位置に設置された振動センサ109、あるいはノイズセンサ(図示せず)などによりそれぞれ検出することができる。
【0037】
各車輪3,4,9,10のいずれの制動装置11においても所定値α以上のブレーキ振動が検出されないことによって、このステップS101で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されずに、このルーチンを一旦終了する。これに対して、各車輪3,4,9,10の少なくともいずれか一つの制動装置11において所定値α以上のブレーキ振動が検出されたことによって、ステップS101で肯定的に判断された場合(例えば、振動センサ109によりブレーキ振動を検出する場合は所定値α以上の振動の振幅が検出された場合、あるいはブレーキ液圧センサ108によりブレーキ液圧の変動を検出してブレーキ振動を検出する場合は所定値α以上のブレーキ液圧変動の振幅が検出された場合)には、ステップS102へ進み、制動装置11において所定値α以上のブレーキ振動が検出された車輪(振動輪)が特定される。
【0038】
つぎに、各車輪3,4,9,10の制動トルクと駆動トルクとが検出される(ステップS103)。このうち各車輪3,4,9,10の制動トルクは、例えばブレーキ液圧センサ108によって検出される各車輪3,4,9,10の各ホイールシリンダ12のブレーキ液圧に基づいて算出することができる。また、各車輪3,4,9,10の駆動トルクは、各車輪3,4,9,10にそれぞれ設けられた駆動トルクセンサ106の検出値に基づいて算出することができる。
【0039】
また、前記の振動輪におけるブレーキ振動を抑制するために設定される振動輪の制動トルクが算出され、その振動輪の制動トルクの設定値に基づいて、振動輪以外の他の車輪に配分されて付与される制動トルクの設定値(分配値)、および駆動輪3,4に出力される駆動トルクが算出される(ステップS104)。具体的には、まず振動輪のブレーキ振動を抑制するため、振動輪の制動トルクの設定値が低下させられる。そしてその振動輪の制動トルクの低下分を考慮して、すなわち振動輪の制動トルクが低下されても車両Veの走行状態に変化が生じないようにして、振動輪以外の他の車輪に配分される制動トルクの設定値と駆動輪3,4に出力される駆動トルクの設定値とが算出される。
【0040】
続いて、上記のステップS104で算出された各車輪3,4,9,10の制動トルクの設定値と駆動輪3,4の駆動トルクの設定値とに基づいて、各車輪3,4,9,10の制動トルクと駆動輪3,4の駆動トルクとが出力される(ステップS105)。すなわちブレーキ振動を抑制するための制御が実行される。
【0041】
そして、そのブレーキ振動の抑制制御が実行されたことにより、所望するレベル、例えば前記の所定値αよりも小さなレベルまでブレーキ振動が抑制されたか否かが判断される(ステップS106)。未だ所望するレベルまでブレーキ振動が抑制されていないことによって、このステップS106で否定的に判断された場合は、前述のステップS102へ戻り、それ以降の制御が繰り返し実行される。これに対して、所望するレベルまでブレーキ振動が抑制されたことによって、ステップS106で肯定的に判断された場合には、このルーチンを一旦終了する。
【0042】
(第2の制御例)
図2は、この発明の制御装置によるブレーキ振動防止制御の、第2の制御例を説明するためのフローチャートであって、前述の図1に示す第1の制御例と同様に、このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図2において、先ず、各制動装置11において所定値α以上のブレーキ振動がそれぞれ検出されたか否かが判断される(ステップS201)。
【0043】
各車輪3,4,9,10のいずれの制動装置11においても所定値α以上のブレーキ振動が検出されないことによって、このステップS201で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されずに、このルーチンを一旦終了する。これに対して、各車輪3,4,9,10の少なくともいずれか一つの制動装置11において所定値α以上のブレーキ振動が検出されたことによって、ステップS201で肯定的に判断された場合には、ステップS202へ進み、制動装置11において所定値α以上のブレーキ振動が検出された車輪(振動輪)が特定される。
【0044】
続いて、特定された振動輪の制動トルクが低下され、すなわち振動輪のホイールシリンダ12のブレーキ液圧が減圧される(ステップS203)。また、振動輪以外の他の車輪の制動装置11における振動が求められ、制動装置11に振動が生じていないか、もしくは所定値βよりも小さいレベルの振動しか生じていない車輪(余裕輪)が特定される(ステップS204)。なお、ここでの所定値βは、乗員が認識できないレベルの振動を識別するために予め設定された閾値のことであり、前記の所定値αと同等の値であってもよく、あるいは所定値αよりも更に小さな値とすることもできる。
【0045】
また、ステップS203で減圧された分と同等のブレーキ液圧を、車両Veの加減速度が大きく変化しないように、振動輪以外の他の車輪に配分する際の設定値、すなわちステップS203で低下された分と同等の制動トルクを振動輪以外の他の車輪に配分する際の設定値が算出され、その制動トルクの設定値に基づいて、各車輪3,4,9,10制動トルクが出力される(ステップS205)。すなわちブレーキ振動を抑制するための制御が実行される。
【0046】
そして、上記のようなブレーキ振動の抑制制御が実行されることによる車両Veの前後加速度の変化量が所定値δより小さいか否かが判断される(ステップS206)。ここでの所定値δは、ブレーキ振動を抑制するための制御が実行されることによって車両Veの前後加速度が変化した場合に、乗員が違和感を感じるレベルの前後加速度の変化量を識別するために予め設定された閾値のことである。
【0047】
したがって、ブレーキ振動の抑制制御が実行されることによる車両Veの前後加速度の変化量が所定値δを超えることによって、このステップS206で否定的に判断された場合は、再度適切なブレーキ振動の抑制制御が実行されるようにするため、前述のステップS204へ戻り、それ以降の制御が繰り返し実行される。
【0048】
これに対して、ブレーキ振動の抑制制御が実行されることによる車両Veの前後加速度の変化量が所定値δよりも小さくなることによって、ステップS206で肯定的に判断された場合には、ステップS207へ進み、そのブレーキ振動の抑制制御が実行されたことにより、所望するレベル(例えば前記の所定値αよりも小さなレベル)までブレーキ振動が抑制されたか否かが判断される。そして、未だ所望するレベルまでブレーキ振動が抑制されていないことによって、このステップS207で否定的に判断された場合は、前述のステップS202へ戻り、それ以降の制御が繰り返し実行される。これに対して、所望するレベルまでブレーキ振動が抑制されたことによって、ステップS207で肯定的に判断された場合には、このルーチンを一旦終了する。
【0049】
(第3の制御例)
図3は、この発明の制御装置によるブレーキ振動防止制御の、第3の制御例を説明するためのフローチャートであって、前述の第1,第2の制御例と同様に、このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図3において、先ず、各制動装置11において所定値α以上のブレーキ振動がそれぞれ検出されたか否かが判断される(ステップS301)。
【0050】
各車輪3,4,9,10のいずれの制動装置11においても所定値α以上のブレーキ振動が検出されないことによって、このステップS301で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されずに、このルーチンを一旦終了する。これに対して、各車輪3,4,9,10の少なくともいずれか一つの制動装置11において所定値α以上のブレーキ振動が検出されたことによって、ステップS301で肯定的に判断された場合には、ステップS302へ進み、制動装置11において所定値α以上のブレーキ振動が検出された車輪(振動輪)が特定される。
【0051】
続いて、車両Veの前後加速度が“0”よりも大きいか否か、すなわち車両Veが加速中であるか否かが判断される(ステップS303)。車両Veの前後加速度が“0”よりも大きいこと、すなわち車両Veが加速中であることによって、このステップS303で肯定的に判断された場合は、ステップS304へ進み、ブレーキ振動を抑制するために振動輪の制動トルクが低下される。このとき、駆動トルクは低下されない。そのため、車両Veの加速中にブレーキ振動の抑制制御が実行された場合であっても、駆動トルクが低下されることがないので、その場合に車両Veの前後加速度が減速側に変化して乗員に違和感を与えてしまうことを回避することができる。
【0052】
一方、車両Veの前後加速度が“0”以下であることによって、ステップS303で否定的に判断された場合には、ステップS305へ進み、車両Veの前後加速度が“0”であるか否か、すなわち車両Veが定速走行中であるか否かが判断される。車両Veの前後加速度が“0”でないこと、すなわち車両Veの前後加速度が“0”よりも小さいこと、すなわち車両Veが減速中であることによって、ステップS305で否定的に判断された場合は、ステップS306へ進み、振動輪の駆動トルクが低下される。このとき、振動輪の制動トルクは低下されない。そのため、車両Veの減速中にブレーキ振動の抑制制御が実行された場合であっても、制動トルクが低下されることがないので、その場合に車両Veの前後加速度が加速側に変化して乗員に違和感を与えてしまうことを回避することができる。
【0053】
また一方、車両Veの前後加速度が“0”であること、すなわち車両Veが一定速度で走行中であることによって、ステップS305で肯定的に判断された場合には、ステップS307へ進み、振動輪の制動トルクと駆動トルクとが低下される。このとき、制動トルクと駆動トルクとは、車両Veに前後加速度が生じることのないように、それぞれ協調されて低下される。そのため、車両Veの定速走行中にブレーキ振動の抑制制御が実行された場合であっても、車両Veに前後加速度が新たに生じることがないので、その場合に車両Veの車速が変化して乗員に違和感を与えてしまうことを回避することができる。
【0054】
そして、上記のように、ステップS304で振動輪の制動トルクが低下されると、あるいはステップS306で振動輪の駆動トルクが低下されると、あるいはステップS307で振動輪の制動トルクと駆動トルクとが低下されると、ステップS308へ進み、それらのブレーキ振動の抑制制御が実行されたことにより、所望するレベル(例えば前記の所定値αよりも小さなレベル)までブレーキ振動が抑制されたか否かが判断される。そして、未だ所望するレベルまでブレーキ振動が抑制されていないことによって、このステップS308で否定的に判断された場合は、前述のステップS302へ戻り、それ以降の制御が繰り返し実行される。これに対して、所望するレベルまでブレーキ振動が抑制されたことによって、ステップS308で肯定的に判断された場合には、このルーチンを一旦終了する。
【0055】
(第4の制御例)
図4は、この発明の制御装置によるブレーキ振動防止制御の、第4の制御例を説明するためのフローチャートであって、前述の第1,第2,第3の制御例と同様に、このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図4において、先ず、各制動装置11において所定値α以上のブレーキ振動がそれぞれ検出されたか否かが判断される(ステップS401)。
【0056】
各車輪3,4,9,10のいずれの制動装置11においても所定値α以上のブレーキ振動が検出されないことによって、このステップS401で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されずに、このルーチンを一旦終了する。これに対して、各車輪3,4,9,10の少なくともいずれか一つの制動装置11において所定値α以上のブレーキ振動が検出されたことによって、ステップS401で肯定的に判断された場合には、ステップS402へ進み、制動装置11において所定値α以上のブレーキ振動が検出された車輪(振動輪)が特定される。
【0057】
続いて、車両Veの車体速度が“0”よりも大きいか否か、すなわち車両Veが前進走行中であるか否かが判断される(ステップS403)。車両Veの車体速度が“0”よりも大きいこと、すなわち車両Veが前進走行中であることによって、このステップS403で肯定的に判断された場合は、ステップS404へ進み、ブレーキ振動を抑制するために振動輪の制動トルクと駆動トルクとを制御することが許可される。そして、例えば制動トルクを変更する制御、あるいは駆動トルクを変更する制御、あるいは制動トルクと駆動トルクとを協調させて変更する制御などのブレーキ振動の抑制制御が実行される(ステップS405)。
【0058】
これに対して、車両Veの車体速度が“0”以下であることによって、ステップS403で否定的に判断された場合には、ステップS406へ進み、車両Veの車体速度が“0”よりも小さいか否か、すなわち車両Veが後進走行中であるか否かが判断される。車両Veの車体速度が“0”よりも小さくないこと、すなわち車両Veの車体加速度が“0”であること、すなわち車両Veが停止中であることによって、ステップS406で否定的に判断された場合は、以降の制御は実行されずに、このルーチンを一旦終了する。
【0059】
一方、車両Veの車体速度が“0”よりも小さいこと、すなわち車両Veが後進走行中であることによって、ステップS406で肯定的に判断された場合には、ステップS407へ進み、ブレーキ振動を抑制するために振動輪の駆動トルクを低下することが許可される。言い換えると、車両Veの後進走行中にブレーキ振動の抑制制御が実行された場合は、振動輪の制動トルクを制御すること、および振動輪の駆動トルクを増大することが禁止され、振動輪の駆動トルクを低下することのみが許可される。一般に、車両Veの運転操作は、前進走行時と比較して後進走行時の方が容易ではないが、上記のように車両Veの後進走行中にブレーキ振動の抑制制御が実行された場合には、振動輪の駆動トルクを低下することのみが許可されるため、例えば乗員の意図に反して制動トルクが低減されて車両が加速してしまうことを回避し、乗員の運転操作の安全性を向上させることができる。
【0060】
そして、上記のように、ブレーキ振動を抑制するために、ステップS405で振動輪の制動トルクと駆動トルクとが制御されると、あるいはステップS408で振動輪の駆動トルクが低下されると、ステップS409へ進み、それらのブレーキ振動の抑制制御が実行されたことにより、所望するレベル(例えば前記の所定値αよりも小さなレベル)までブレーキ振動が抑制されたか否かが判断される。そして、未だ所望するレベルまでブレーキ振動が抑制されていないことによって、このステップS409で否定的に判断された場合は、前述のステップS402へ戻り、それ以降の制御が繰り返し実行される。これに対して、所望するレベルまでブレーキ振動が抑制されたことによって、ステップS409で肯定的に判断された場合には、このルーチンを一旦終了する。
【0061】
以上のように、この発明の制御装置による制御が実行されることによって、車両Veが制動された際に、各車輪3,4,9,10に出力される制動トルクと駆動トルクとがほぼ等しくなる近傍でいわゆるスティックスリップ現象による制動装置11のブレーキ振動が発生した場合、そのブレーキ振動が検出されるとともに、ブレーキ振動が生じている振動輪が特定される。そして、その際の車両Veの走行状態に基づいて、各車輪3,4,9,10の制動トルクの設定値と駆動トルクの設定値とのいずれか一方、もしくは両方が変更されて制動装置11のブレーキ振動が抑制される。そのため、走行中にブレーキ操作されて制動装置11に振動が発生した場合であっても、各車輪3,4,9,10の制動トルクの設定値と駆動トルクの設定値とが、その際の車両Veの走行状態に応じて適宜に変更されて振動が抑制される。その結果、ブレーキ振動の抑制制御が実行される際に、乗員が意図しない走行状態の変化が生じて乗員に違和感を与えてしまうことを防止もしくは抑制することができる。
【0062】
また、ブレーキ振動が発生した際に、そのブレーキ振動が検出されるとともに、車両Veの走行状態として車両Veの前後加速度が検出される。そして、車両Veが加速中であることが検出された場合は振動輪の制動トルクが低減され、また車両Veが減速中であることが検出された場合は制動輪の駆動トルクが低減され、そして車両Veが定速走行中であることが検出された場合は振動輪の制動トルクおよび駆動トルクがそれぞれ協調されて低減されることにより、ブレーキ振動が抑制される。そのため、走行中にブレーキ振動が発生し、そのブレーキ振動の抑制制御が実行された際に、例えば加速中であるのに駆動トルクが低下されて車両Veが減速してしまったり、あるいは減速中であるのに制動トルクが低下されて車両Veが加速してしまったり、あるいは定速走行中であるのに制動トルクと駆動トルクとがそれぞれ独立して制御されることより車両Veの車速が変動してしまったりすることを回避できる。その結果、ブレーキ振動の抑制制御が実行される際に、乗員が意図しない走行状態の変化が生じて乗員に違和感を与えてしまうことを防止もしくは抑制することができる。
【0063】
さらに、ブレーキ振動が発生した際に、そのブレーキ振動が検出されるとともに、車両Veの走行状態として車両Veの進行方向が検出される。そして、車両Veが後進走行していることが検出された場合は、制動トルクを変更することが禁止され、駆動トルクを低下することのみ許可されて、ブレーキ振動の抑制制御が実行される。そのため、前進走行時と比較して運転操作が容易ではない後進走行時に、乗員の意図に反して制動トルクが低減されて車両Veが加速してしまうことを回避して、運転操作の安全性を確保することができる。
【0064】
ここで、上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、上述したステップS101,S201,S301,S401の機能的手段が、この発明の振動検出手段に相当し、ステップS102,S103,S202,S204,S206,S302,S303,S305,S402,S403,S406の機能的手段が、この発明の走行状態検出手段に相当する。このうち、ステップS403,S406の機能的手段が、この発明の進行方向検出手段に相当し、ステップS303,S305の機能的手段が、この発明の加速度検出手段に相当する。そして、ステップS104,S105,S203ないしS205,S304,S306,S307,S404,S405,S407,S408の機能的手段が、この発明の振動抑制手段に相当する。
【0065】
なお、この発明は、上記の具体例に限定されないのであって、具体例では、この発明を適用した車両がFR方式の二輪駆動車両である例を示しているが、FR方式以外の車両であってもよく、さらに四輪駆動車両であってもよい。
【0066】
また、上記の具体例では、乗員の操作と独立して制動装置を制御して各車輪の制動トルクを設定するための装置として、図4に示すような、作動液の液圧によりホールシリンダを動作させて各車輪に付与する制動トルクを制御するブレーキアクチュエータの例を示しているが、例えば電動式のサーボモータにより車輪に制動トルクを付与するように動作するアクチュエータであってもよく、要は、ブレーキペダルの踏み込み操作などの乗員の操作とは別に、もしくは乗員の操作と独立して、車輪に付与する制動力を制御する機構であればよい。
【0067】
そして、上記の具体例では、乗員の操作と独立して動力源の出力を制御して各車輪の駆動トルクを設定するための装置として、電子スロットルバルブの動作(スロットル開度)を制御することによりエンジンの出力を制御して各車輪の駆動トルクを制御する電子スロットルバルブを備えたエンジンの例を示しているが、これに限らず、例えば燃料噴射量を制御することによりエンジンの出力を制御して各車輪の駆動トルクを制御する電子制御式燃料噴射装置を備えたエンジンであってもよい。さらに、供給される電力量を制御することにより出力を制御して各車輪の駆動トルクを制御するモータもしくはモータ・ジェネレータであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明の制御装置による第1の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図2】この発明の制御装置による第2の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図3】この発明の制御装置による第3の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図4】この発明の制御装置による第4の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図5】この発明の制御装置を適用可能な二輪駆動車両のパワートレーンおよび制御系統を模式的に示す概念図である。
【図6】この発明の制御装置に用いられるブレーキアクチュエータの構成のうち、一つの車輪の制動力制御に関する液圧系統を代表的に示す概念図である。
【図7】この発明の制御装置に用いられる制御系統を概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0069】
1…動力源(エンジン)、 1a…電子スロットルバルブ、 2…変速機、 3,4,9,10…車輪、 12…ホイールシリンダ、 13…マスタシリンダ、 14…ブレーキアクチュエータ、 36…ブレーキペダル、 100…電子制御装置、 101…車輪速センサ、 102…シフトポジションセンサ、 103…ブレーキペダルセンサ、 104…アクセルペダルセンサ、 105…スロットルバルブセンサ、 106…駆動トルクセンサ、 107…前後加速度センサ、 108…ブレーキ液圧センサ、 109…振動センサ、 Ve…車両。




 

 


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