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発明の名称 車両の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8230(P2007−8230A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188792(P2005−188792)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 河村 達哉 / 杉村 敏夫
要約 課題
自動変速機が高ギヤ段を形成することができずにニュートラル状態になるという故障に対してのフェールセーフ処理の実行の遅れを抑制し、早期に自動変速機を動力伝達状態とすることのできる車両の制御装置を提供する。

解決手段
自動変速機3に高ギヤ段にてニュートラルとなる異常が生じたとき、それに対処するためのフェールセーフ処理については、車速が許容車速以下であることを条件に実行され、車速が許容車速以下になるまでは実行されない。しかし、上記異常が発生し、かつフェールセーフ処理が実行されていないとき、言い換えれば上記異常の発生後であって車速が許容車速よりも大であるときには、自動ブレーキが実行されて自動車1に制動力が付与される。これにより、車速が速やかに許容車速以下になってフェールセーフ処理が開始される。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数の係合要素を選択的に係合することによりギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させる自動変速機を備えた車両であり、前記自動変速機にギヤ比がハイ側の高ギヤ段を形成することができずニュートラル状態になる故障が生じたとき、ギヤ比がロー側の低ギヤ段を形成するよう所定の係合要素を係合させるフェールセーフ処理を実行するフェールセーフ手段を備え、前記フェールセーフ手段は、前記低ギヤ段を形成するうえで許容される許容車速以下に車速が低下したときに前記フェールセーフ処理を実行する車両の制御装置において、
前記故障が生じ、かつ前記フェールセーフ処理が実行されていないとき、前記車両に強制的に制動力を付与する制動力付与手段を備える
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記制動力付与手段は、アクセル操作がないことを条件に車両のブレーキを自動的に作動させ、前記車両に強制的に制動力を付与するものである
請求項1記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記制動力付与手段は、後方の安全が確認されたことを条件に車両のブレーキを自動的に作動させるものである
請求項2記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記制動力付与手段は、車両のブレーキを自動的に作動させた後、アクセル操作がなされたときには、前記ブレーキの作動を解除するものである
請求項2又は3記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記制動力付与手段は、前記車両に前記故障が生じていないときのエンジンプレーキ力と同等の大きさの制動力を付与するものである
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両において、内燃機関側の回転は自動変速機を介して車輪側に伝達されるようになっている。この自動変速機は、トルクコンバータと変速歯車機構とを備え、その変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ等の複数の係合要素を選択的に係合して切り換えることにより、ギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させるものである。
【0003】
上記クラッチやブレーキ等の各係合要素は、油圧制御回路を通じて供給される作動油の油圧に基づき作動するものであり、この油圧制御回路に設けられた各種ソレノイドバルブの作動制御を通じて上記油圧を調整することにより、係合状態と解放状態との間で切り換えられる。そして、上記各係合要素の作動による自動変速機のギヤ段の切り換えは次のように行われる。すなわち、車両の運転状態に適したギヤ段である指示段が車速及びアクセル操作量等に基づき設定され、自動変速機のギヤ段が上記指示段となるよう、各種ソレノイドバルブの作動制御を通じて各係合要素が係合状態または解放状態とされる。なお、このように形成される自動変速機のギヤ段については、アクセル操作量が一定となる条件下では、車速が大となるほどギヤ比がハイ側の高ギヤ段となる。
【0004】
ところで、上記各種ソレノイドバルブに断線や短絡等の電気的な異常やプランジャのスティックや異物の噛み込み等の機械的な異常が発生すると、ソレノイドバルブの作動を通じて自動変速機のギヤ段が指示段となるよう各係合要素を係合状態または解放状態にしようとしても、それを正しく行えなくなるおそれがある。この場合、自動変速機のギヤ段が指示段とずれたり、自動変速機がニュートラル状態になったりするなど、自動変速機におけるギヤ段の形成に支障を来すことになる。その結果、自動変速機に高ギヤ段が形成されるよう各係合要素を係合状態または解放状態とすべく、各種ソレノイドバルブを作動させようとしても、その作動がうまく行われずに自動変速機がニュートラル状態になるという故障も生じ得る。
【0005】
このように、自動変速機に高ギヤ段を形成できずにニュートラルになるという故障が発生したときには、自動変速機が動力伝達不可能な状態となるため、車両を自走させることができなくなる。このため、上記故障時には、指示段に関係なく、成立可能なギヤ段を強制的に形成し、それによって自動変速機を動力伝達状態とし、車両を自走可能とすることが望まれている。しかし、自動変速機に高ギヤ段を形成できずにニュートラルになるという故障時には、自動変速機のギヤ段をギヤ比がロー側の低ギヤ段となるようにしか移行させられない。従って、上記故障の発生時には、その故障に対するフェールセーフ処理として、自動変速機に上記低ギヤ段が形成されるよう、各種ソレノイドバルブの作動を通じて各係合要素の係合状態及び解放状態を切り換えることが行われる。この場合、各種ソレノイドバルブの作動状態が上記高ギヤ段を形成するときとは異なる作動状態とされるため、各種ソレノイドバルブを正しく作動させることができる。そして、上記ソレノイドバルブの動作を通じて各係合要素が上記低ギヤ段を形成すべく係合状態または解放状態とされ、この低ギヤ段の形成により自動変速機が動力伝達状態とされる。その結果、車両が自走可能になる。
【0006】
ただし、自動変速機が高ギヤ段を形成することができずにニュートラル状態になるという故障が発生したときには、自動車が高車速となっており、その状態で自動変速機のギヤ段を上述したように低ギヤ段に切り換えると、機関回転速度が急上昇して内燃機関の過回転が生じたり、車両の減速度が急に大となって車両の走行安定性が低下したりする。このため、特許文献1に示されるように、上記故障に対するフェールセーフ処理を、車速が上記低ギヤ段を形成するうえで許容される許容車速以下に低下したときに実行することが提案されている。これにより、上述したように機関回転速度が急上昇することや、車両の減速度が急に大になることが抑制され、内燃機関の過回転や車両の走行安定性低下が抑制される。
【特許文献1】特開平11−280898公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、車速が許容車速以下に低下してからフェールセーフ処理を実行するようにすれば、内燃機関の過回転や車両の走行安定性低下が抑制されるようにはなる。しかし、上記故障が生じてから車速が許容車速以下に低下するまでの間は、自動変速機が動力伝達不可能なニュートラル状態のままとなるため、車両を自走可能とすることはできない。また、上記のように自動変速機がニュートラル状態となっている間は、エンジンブレーキが働かず、その分だけ自動車の減速度が小となる。このため、車速が許容車速以下になるのも遅くなる。以上のことから、上記フェールセーフ処理を実行するのに時間がかかり、自動変速機を動力伝達状態として車両を自走可能とするのに遅れが生じることは避けられない。
【0008】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、自動変速機が高ギヤ段を形成することができずにニュートラル状態になるという故障に対してのフェールセーフ処理の実行の遅れを抑制し、早期に自動変速機を動力伝達状態とすることのできる車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、複数の係合要素を選択的に係合することによりギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させる自動変速機を備えた車両であり、前記自動変速機にギヤ比がハイ側の高ギヤ段を形成することができずニュートラル状態になる故障が生じたとき、ギヤ比がロー側の低ギヤ段を形成するよう所定の係合要素を係合させるフェールセーフ処理を実行するフェールセーフ手段を備え、前記フェールセーフ手段は、前記低ギヤ段を形成するうえで許容される許容車速以下に車速が低下したときに前記フェールセーフ処理を実行する車両の制御装置において、前記故障が生じ、かつ前記フェールセーフ処理が実行されていないとき、前記車両に強制的に制動力を付与する制動力付与手段を備えた。
【0010】
自動変速機に高ギヤ段を形成することができずニュートラル状態になる故障が生じたとき、車速が許容車速以下であればフェールセーフ処理が実行され、自動変速機にて低ギヤ段が形成される。これにより、自動変速機が動力伝達状態となり、車両が自走可能とされるようになる。一方、上記故障が生じたとき、車速が許容車速よりも大であれば、フェールセーフ処理は実行されず、自動変速機のニュートラル状態が保持される。このように上記故障が生じ、かつフェールセーフ処理が実行されていないときには、車両に対して強制的に制動力が付与されるため、車速が速やかに許容車速以下になって上記フェールセーフ処理が開始される。従って、上記故障が生じたときに車速が許容車速よりも大であったとしても、その故障に対してのフェールセーフ処理の実行の遅れを抑制し、早期に自動変速機を動力伝達状態とすることができる。
【0011】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記制動力付与手段は、アクセル操作がないことを条件に車両のブレーキを自動的に作動させ、前記車両に強制的に制動力を付与するものとした。
【0012】
上記構成によれば、車両の運転者によるアクセル操作がないこと、すなわち運転者に車両を加速させる意志がないことを条件に、車両に対する強制的な制動力の付与が行われて車両が許容車速に向けて減速する。従って、運転者に加速意志がないとき減速感を生じさせることができ、その減速感の発生に対して運転者が違和感を感じるのを抑制することができる。
【0013】
請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明において、前記制動力付与手段は、後方の安全が確認されたことを条件に車両のブレーキを自動的に作動させるものとした。
上記構成によれば、後続車がないなど後方の安全が確認されたことを条件に、車両に対する強制的な制動力の付与が行われて車両が許容車速に向けて減速する。このため、後続車に対して車両を安全に減速することができる。
【0014】
請求項4記載の発明では、請求項2又は3記載の発明において、前記制動力付与手段は、車両のブレーキを自動的に作動させた後、アクセル操作がなされたときには、前記ブレーキの作動を解除するものとした。
【0015】
上記構成によれば、車両に対し強制的に制動力を付与すべくブレーキが自動作動された後、運転者によってアクセル操作がなされたとき、すなわち運転者に車両を加速させる意志のあるときには、上記ブレーキの作動が解除されて車両の減速度が小とされる。従って、上記ブレーキの自動作動後における車両の減速度を、運転者の意志に応じたものとなるように制御することができる。
【0016】
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記制動力付与手段は、前記車両に前記故障が生じていないときのエンジンプレーキ力と同等の大きさの制動力を付与するものとした。
【0017】
上記構成によれば、制動力付与手段によって車両に対し強制的に制動力が付与されたとき、車両の減速度として上記故障の生じてないときと同等の減速度が得られ、運転者に対し好適に減速感を与えることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を自動車の制御装置に具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示されるように、自動車1においては、エンジン2の回転が自動変速機3等を介して車輪4に伝達されるようになっている。自動変速機3は、トルクコンバータ5と変速歯車機構6とを備え、その変速歯車機構6の動力伝達経路をクラッチやブレーキ等の各係合要素を選択的に係合して切り換えることにより、ギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させるものである。また、自動車1における車輪4の近傍には、自動車1に制動力を付与するブレーキ7が設けられている。
【0019】
図2は、自動変速機3の構成を説明する骨子図である。なお、この自動変速機3は中心線に対してほぼ上下対称に構成されており、図2では中心線よりも下側の半分が省略されている。
【0020】
同図に示されるように、自動変速機3には、オイルを媒介してのエンジン2側と変速歯車機構6側との間の動力伝達を行うトルクコンバータ5、及び、エンジン2のクランクシャフト11と変速歯車機構6の入力軸であるタービンシャフト20とを直接的に連結可能なロックアップクラッチ28が設けられている。上記トルクコンバータ5は、エンジン2のクランクシャフト11に連結されたポンプ翼車18と、変速歯車機構6の入力軸であるタービンシャフト20に連結されたタービン翼車22と、一方向クラッチ24によって一方向の回転が阻止されているステータ翼車26とを備えている。そして、ポンプ翼車18とタービン翼車22との間には、エンジン2側と変速歯車機構6側との間での動力伝達を行うためのオイルが存在している。また、ポンプ翼車18には、エンジン2の運転に連動して所定の元圧で作動油を圧送し、後述する油圧制御回路54、上記ロックアップクラッチ28、及び、自動変速機3の各潤滑部等に作動油を供給する油圧ポンプ(図示せず)が連結されている。
【0021】
変速歯車機構6は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置32を主体として構成される第1変速部34と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置36及びダブルピニオン型の第3遊星歯車装置38を主体として構成される第2変速部40とを同軸線上に有している。そして、この変速歯車機構6は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び第3ブレーキB3といった各係合要素のうち、いずれか2つを選択的に係合させることにより、所定のギヤ段を成立させるようになっている。また、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び第3ブレーキB3は、いずれも油圧シリンダによって摩擦係合させられる多板式の油圧式摩擦係合装置である。この変速歯車機構6では、タービンシャフト20から入力された回転が成立したギヤ段に対応する所定の変速比で変速され、出力歯車42、作動歯車装置(図示せず)、及び、出力軸12(図1)を介して自動車1の車輪4に伝達される。
【0022】
第1変速部34を構成している第1遊星歯車装置32は、サンギヤS1、キャリアCA1、及びリングギヤR1の3つの回転要素を備えている。サンギヤS1はタービンシャフト20に連結されており、このサンギヤS1がタービンシャフト20と一体回転するとともに、リングギヤR1が第3ブレーキB3を介してハウジング44に回転不能に固定されると、キャリアCA1がタービンシャフト20に対して減速回転するようになる。
【0023】
また、第2変速部40を構成している第2遊星歯車装置36及び第3遊星歯車装置38は、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1、RM2、RM3、及びRM4が構成されている。具体的には、上記第3遊星歯車装置38のサンギヤS3によって第1回転要素RM1が構成され、上記第2遊星歯車装置36のリングギヤR2及び上記第3遊星歯車装置38のリングギヤR3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成されている。また、上記第2遊星歯車装置36のキャリアCA2及び上記第3遊星歯車装置38のキャリアCA3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成され、上記第2遊星歯車装置36のサンギヤS2によって第4回転要素RM4が構成されている。すなわち、上記第2遊星歯車装置36及び第3遊星歯車装置38は、キャリアCA2,CA3が一体的に構成されると共に、リングギヤR2,R3が共通の部材にて構成されており、且つ第2遊星歯車装置36のピニオンギヤが第3遊星歯車装置38の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニオ型の遊星歯車列とされている。
【0024】
上記第1回転要素RM1は第1ブレーキB1によりハウジング44に連結され、上記第2回転要素RM2は第2ブレーキB2によりハウジング44に連結されてそれぞれの相対回転が阻止される。上記第4回転要素RM4は第1クラッチC1によりタービンシャフト20に連結され、上記第2回転要素RM2は第2クラッチC2によりタービンシャフト20に連結されてそれぞれ一体的に回転させられる。上記第1回転要素RM1は第1遊星歯車装置32のキャリアCA1に一体的に連結されており、上記第3回転要素RM3は出力歯車42に一体的に連結されており、それぞれ一体的に回転させられて出力を行う。なお、上記第2回転要素RM2とハウジング44との間には、第2ブレーキB2と並列に、第2回転要素RM2の正回転すなわちタービンシャフト20と同じ方向の回転を許容しつつ逆回転を阻止する一方向クラッチFが設けられる。
【0025】
図3の作動表は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び第3ブレーキB3といった各係合要素の作動状態と成立するギヤ段(リバース、1速〜6速)との関係を示すものであり、「○」は係合、「◎」はエンジンブレーキ時などの係合を表している。なお、後進側のギヤ段であるリバースの変速比、及び、前進側のギヤ段である1速〜6速における変速比は、第1遊星歯車装置32、第2遊星歯車装置36、及び第3遊星歯車装置38の各ギヤ比によって適宜定められる。
【0026】
以下、各ギヤ段を成立させる際の上記各係合要素の作動状態、及び、それに伴う変速歯車機構6の動きについて、リバース及び1速〜6速度といった各ギヤ段毎に列記する。
後進側のギヤ段であるリバースを成立させる際には、第2ブレーキB2及び第3ブレーキB3が共に係合させられる。これにより、第2回転要素RM2のハウジング44に対する回転が阻止されると共に第1回転要素RM1が第1変速部34により減速回転させられ、自動車1を後退させるための後退ギヤ段である「リバース」が成立し、第3回転要素RM3が「リバース」に対応する回転速度で逆回転させられる。
【0027】
前進側の各ギヤ段のうち最もロー側のギヤ段である1速を成立させる際には、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが共に係合させられる。ただし、加速時であれば、必ずしも上記のように第2ブレーキB2を係合させる必要はない。これは、上述したように第2ブレーキB2と一方向クラッチFとが並列に設けられており、加速時には一方向クラッチFが第2ブレーキB2の係合と同じ働きをするためである。そして、第1クラッチC1と第2ブレーキB2またはそれに替わる一方向クラッチFとが共に係合させられると、第4回転要素RM4がタービンシャフト20と一体回転させられるとともに、第2回転要素RM2のハウジング44に対する回転が阻止され、自動車1を前進させるための前進ギヤ段である「1速」が成立する。その結果、出力歯車42に連結された第3回転要素RM3が上記「1速」に対応する回転速度で回転させられる。
【0028】
1速よりもギヤ比がハイ側のギヤ段である2速を成立させる際には、第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が共に係合させられる。これにより、第4回転要素RM4がタービンシャフト20と一体回転させられると共に第1回転要素RM1のハウジング44に対する回転が阻止され、前進側のギヤ段である「2速」が成立する。その結果、第3回転要素RM3が「2速」に対応する回転速度で回転させられる。
【0029】
2速よりもギヤ比がハイ側のギヤ段である3速を成立させる際には、第1クラッチC1及び第3ブレーキB3が共に係合させられて、第4回転要素RM4がタービンシャフト20と一体回転させられると共に第1回転要素RM1が第1変速部34により減速回転させられる。これにより、前進側のギヤ段である「3速」が成立し、第3回転要素RM3が「3速」に対応する回転速度で回転させられる。
【0030】
3速よりもギヤ比がハイ側のギヤ段である4速を成立させる際には、第1クラッチC1及び第2クラッチC2が共に係合させられて、第2変速部40がタービンシャフト20と一体回転させられる。これにより、前進側のギヤ段である「4速」が成立し、第3回転要素RM3が「4速」に対応する回転速度で回転させられる。
【0031】
4速よりもギヤ比がハイ側のギヤ段である5速を成立させる際には、第2クラッチC2及び第3ブレーキB3が共に係合させられて、第2回転要素RM2がタービンシャフト20と一体回転させられると共に第1回転要素RM1が第1変速部34により減速回転させられる。これにより、前進側のギヤ段である「5速」が成立し、第3回転要素RM3が「5速」に対応する回転速度で回転させられる。
【0032】
5速よりもギヤ比がハイ側のギヤ段である6速を成立させる際には、第2クラッチC2及び第1ブレーキB1が共に係合させられて、第2回転要素RM2がタービンシャフト20と一体回転させられると共に第1回転要素RM1のハウジング44に対する回転が阻止される。これにより、前進側のギヤ段である「6速」が成立し、第3回転要素RM3が「6速」に対応する回転速度で回転させられる。
【0033】
次に、本実施形態における自動車1の制御装置の電気的構成について、図1を参照して説明する。
自動車1には、エンジン2、自動変速機3、及び、自動車1のブレーキ7等に関する各種制御を実行する電子制御装置8が搭載されている。この電子制御装置8は、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
【0034】
電子制御装置8の入力ポートには、以下に示す各種センサ等が接続されている。
・変速歯車機構6の入力軸であるタービンシャフト20の回転速度を検出する入力回転速度センサ9。
【0035】
・変速歯車機構6の出力軸12の回転速度を検出する出力回転速度センサ10。
・自動車の運転者によって操作されるシフトレバー13の位置に対応した信号を出力するシフトポジションセンサ14。
【0036】
・運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル15の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ16。
・運転者によるブレーキペダル51の踏み込み操作の有無を検出するブレーキスイッチ52。
【0037】
・自動車1の後方を撮影して後続車等の有無を検出するためのカメラ53。
電子制御装置8の出力ポートには、自動車1におけるブレーキ7の駆動回路の他、自動変速機3のギヤ段を切り換えるための油圧制御回路54に設けられた第1〜第5ソレノイドバルブ55〜59の駆動回路が接続されている。
【0038】
上記油圧制御回路54は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び第3ブレーキB3といった係合要素に作動油を供給するためのものである。また、油圧制御回路54に設けられた第1〜第5ソレノイドバルブ55〜59はそれぞれ対応する係合要素、すなわち第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び第3ブレーキB3に作用する油圧を調整し、それら係合要素を個別に作動させるためのものである。
【0039】
そして、電子制御装置8は、上記各センサから入力した検出信号に基づき把握される自動車1の運転状態を検知し、上記出力ポートに接続された各種駆動回路の指令信号を出力する。こうしてブレーキ7の駆動制御、及び、自動変速機3のギヤ段の切り換え制御(変速制御)等が電子制御装置8を通じて実施される。
【0040】
自動変速機3の変速制御については、自動車1の運転状態に適したギヤ段である指示段がアクセル踏込量、車速、及び、シフトレバーの位置等に基づき設定され、自動変速機3のギヤ段が上記指示段となるように上記各係合要素を係合状態または解放状態とすべく、第1〜第5ソレノイドバルブ55〜59を個別に作動させることによって実現される。なお、上記変速制御で用いられる車速については、出力回転速度センサ10からの検出信号、或いは、入力回転速度センサ9からの検出信号及び現在のギヤ段に基づき求めることが可能である。そして、上記のように変速制御を行うことにより、自動変速機3に自動車1の運転状態に適したギヤ段が形成される。このように形成されるギヤ段については、自動車1の前進走行中にアクセル操作量が一定となる条件下では、車速が大となるほどギア比がハイ側のギヤ段、すなわち1速側から6速側へと移行してゆくようになる。
【0041】
ところで、第1〜第5ソレノイドバルブ55〜59には、断線や短絡などの電気的な異常や、プランジャのスティックや異物の噛み込みなどの機械的な異常が発生することがある。こうした異常が発生すると、自動変速機3のギヤ段を指示段とするための上記各係合要素の作動を正しく行うことができず、自動変速機3のギヤ段が指示段からずれたり、自動変速機3がニュートラルになったりするなど、自動変速機3のギヤ段形成に支障を来すことになる。
【0042】
そして、第1〜第5ソレノイドバルブ55〜59のうち、いずれのソレノイドバルブで異常が生じるかによって、自動変速機3にて4速〜6速といった高ギヤ段を形成することができずニュートラルになるという故障が生じる可能性がある。こうした自動変速機3の故障が生じる状況としては、例えば第2クラッチC2を係合状態とすべく第2ソレノイドバルブ56を作動させる際の同バルブ56の異常(以下、オフ異常という)があげられる。
【0043】
図4は、第2ソレノイドバルブ56にオフ異常が生じたとき、指示段に対し実際のギヤ段がどのようになるかを示した表である。
同図から分かるように、ソレノイドバルブが正常であれば指示段の1速〜6速の間の変化に対応して、実際のギヤ段も1速〜6速度の間で変化する。しかし、第2ソレノイドバルブ56にオフ異常が生じると、指示段が1速〜3速といったギヤ比がロー側の低ギヤ段である場合には実際のギヤ段も指示段に対応して1速〜3速となるのに対し、指示段が4速〜6速といったギヤ比がハイ側の高ギヤ段である場合には実際のギヤ段が上記指示段に対応したものにはならなくなる。これは、図3に示されるように、4速〜6速といった高ギヤ段では同ギヤ段を成立させるのに第2クラッチC2を係合状態とすることが条件になるが、第2ソレノイドバルブ56のオフ異常によって第2クラッチC2を係合させることができなくなるためである。
【0044】
ここで、指示段が4速〜6速といった高ギヤ段に設定された状態で第2ソレノイドバルブ56にオフ異常が発生したとき、自動変速機3の実際のギヤ段がどのようになるかを上記4速〜6速の各ギヤ段毎に説明する。
【0045】
指示段が4速であるときに第2ソレノイドバルブ56にオフ異常が生じると、その指示段に合わせて実際のギヤ段を4速にすべく、図3の「4速」の欄に示されるように第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合状態にしようとしても、第2クラッチC2を係合させることができなくなる。その結果、第1クラッチC1のみが係合するという状態になり、図3から分かるように自動変速機3の実ギヤ段が1速とされるようになる。ただし、アクセルペダル15が解放される場合には、一方向クラッチFの働きによって変速歯車機構6の動力伝達経路が遮断された状態となる。このため、指示段が4速であって第2ソレノイドバルブ56がオフ異常となったときには、図4に示されるように自動変速機3がニュートラル状態になる。
【0046】
指示段が5速であるときに第2ソレノイドバルブ56にオフ異常が生じると、その指示段に合わせて実際のギヤ段を5速にすべく、図3の「5速」の欄に示されるように第2クラッチC2及び第3ブレーキB3を係合状態にしようとしても、第2クラッチC2を係合させることができなくなる。その結果、第3ブレーキB3のみが係合するという状態になり、図3から分かるように自動変速機3において何れのギヤ段も成立しなくなる。このため、指示段が5速であって第2ソレノイドバルブ56がオフ異常となったときには、図4に示されるように自動変速機3がニュートラル状態になる。
【0047】
指示段が6速であるときに第2ソレノイドバルブ56にオフ異常が生じると、その指示段に合わせて実際のギヤ段を6速にすべく、図3の「6速」の欄に示されるように第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合状態にしようとしても、第2クラッチC2を係合させることができなくなる。その結果、第1ブレーキB1のみが係合するという状態になり、図3から分かるように自動変速機3において何れのギヤ段も成立しなくなる。このため、指示段が6速であって第2ソレノイドバルブ56がオフ異常となったときには、図4に示されるように自動変速機3がニュートラル状態になる。
【0048】
以上のように、自動変速機3には、4速〜6速といった高ギヤ段を形成できずにニュートラルになるという故障が生じる可能性がある。こうした高ギヤ段でニュートラルになるという故障時には、自動変速機3が動力伝達不可能な状態となるため、自動車1を自走させることができなくなる。このため、上記故障時には成立可能なギヤ段を強制的に形成し、それによって自動変速機3を動力伝達状態とし、自動車1を自走可能とすることが望まれている。しかし、高ギヤ段でニュートラルになるという故障時には、当該高ギヤ段よりもギヤ比がロー側の低ギヤ段(1速〜3速のいずれか)にしか、自動変速機3のギヤ段を切り換えることができない。
【0049】
従って、上記故障に対するフェールセーフ処理として、自動変速機3のギヤ段を1速〜3速といった低ギヤ段のうち、上記高ギヤ段に最も近いギヤ比となるギヤ段である3速が形成されるよう、指示段に関係なく第1クラッチC1及び第3ブレーキB3を強制的に係合状態とすること行われる。これにより、図4の「第2ソレノイドバルブオフ異常時(フェールセーフ処理後)」の欄に示されるように、指示段が4速〜6速に設定されていても実際のギヤ段が強制的に3速とされる。そして、この強制的なギヤ段(3速)の形成により、自動変速機3が動力伝達状態とされ、自動車1が自走可能になる。
【0050】
ただし、指示段が4速〜6速といった高ギヤ段に設定されているときには自動車1が高車速となっており、その状態で上記故障に対するフェールセーフ処理を実行し、自動変速機3を低ギヤ段(3速)に強制的に切り換えると、種々の不都合が生じることになる。具体的には、高車速時に低ギヤ段に切り換えられることで、エンジン回転速度が急上昇してエンジン2の過回転が生じたり、エンジンブレーキによって自動車1の減速度が急に大となって自動車1の走行安定性が低下したりする。こうした不都合を回避するため、上記故障に対するフェールセーフ処理は、車速が上記低ギヤ段(3速)を形成するうえで許容される許容車速以下に低下したときに実行される。
【0051】
図5(a)は、上記フェールセーフ処理の実行態様を示すタイムチャートである。
指示段が4速〜6速といった高ギヤ段となっているときに自動変速機3がニュートラルになるという故障が生じた直後(タイミングT1)は、車速が上記許容車速よりも大となっており、上記フェールセーフ処理が開始されることはなく、自動変速機3がニュートラル状態のままとされる。このとき、エンジン2側から車輪4側への動力伝達は行われないため、車速は図5(a)に実線で示されるように徐々に低下してゆく。そして、車速が許容車速以下になったとき(タイミングT2)、上記フェールセーフ処理が開始されて自動変速機3が強制的に3速に切り換えられる。このため、フェールセーフ処理の開始時、上述したようにエンジン2の過回転や自動車1の走行安定性低下が生じることは抑制される。
【0052】
しかしながら、上記故障が発生してから車速が許容車速以下になるまでは、自動変速機3がニュートラル状態のままになり、エンジンブレーキの働きによる自動車1の減速が望めないため、車速が許容車速以下へと変化するのに遅れが生じる。その結果、故障発生から上記フェールセーフ処理の開始までに時間t2という長い時間がかかるようになり、自動変速機3を動力伝達状態として自動車1を自走可能とするのに遅れが生じる。
【0053】
そこで本実施形態では、上記故障が生じ、かつ上記フェールセーフ処理が開始されていないことを条件に、電子制御装置8による自動車1のブレーキ7の駆動を通じて当該ブレーキ7を自動的に作動させ(以下、自動ブレーキという)、自動車1に強制的に制動力を付与する。
【0054】
このため、図5の例では、タイミングT1にて図5(b)に示されるように自動ブレーキがオンとされ、自動車1に強制的に制動力が付与される。なお、こうした自動ブレーキは、車速が許容車速以下になったときにオフとされる。そして、上記のように自動ブレーキを実行することにより、車速が図5(a)に破線で示されるように速やかに許容車速以下に低下し(タイミングT3)、故障発生から時間t2という上記時間t1よりも短い時間でフェールセーフ処理が開始される。従って、上記故障が生じたときに車速が許容車速より大であったとしても、その故障に対してのフェールセーフ処理の実行の遅れを抑制し、早期に自動変速機3を動力伝達状態として自動車1を自走可能とすることができるようになる。
【0055】
ちなみに、自動ブレーキによって自動車1に制動力を付与するときには、その制動力の大きさを上記故障が生じてないときに自動車1に働くエンジンブレーキ力と同等とすることが、運転者に対し好適な減速感を与えるうえで好ましい。このため、電子制御装置8は、自動ブレーキの実行時、上述した大きさの制動力が自動車1に付与されるようにブレーキ7を作動させる。
【0056】
次に、上記フェールセーフ処理の実行手順について、フェールセーフ処理実行ルーチンを示す図6のフローチャートを参照して、詳しく説明する。なお、このフェールセーフ処理実行ルーチンは、電子制御装置8を通じて、所定時間毎の時間割り込みにて実行される。
【0057】
同ルーチンにおいては、まず高ギヤ段にてニュートラルになる異常が発生しているか否かが判断される(S101)。こうした判断は、例えば、そのときの指示段及び変速歯車機構6の入出力回転速度比(実際のギヤ比)に基づいて行われる。具体的には、指示段が4速〜6速といった高ギヤ段に設定されており、且つ、変速歯車機構6の入出力回転速度比が正常値(上記指示段に対応したギヤ段となったときの値)に対し大きく外れている場合に、上記異常が発生している旨判断される。
【0058】
そして、ステップS101で上記異常が発生している旨判断されると、続いて低ギヤ段(3速)でのギヤ段の形成が可能な車速であるか否か、すなわち車速が許容車速以下であるか否かが判断される(S102)。ここで肯定判定がなされると、フェールセーフ処理として、指示段に関係なく低ギヤ段(3速)での強制的なギヤ段形成が行われる(S103)。また、ステップS102で否定判定がなされた場合には、車速が許容車速よりも大であり、上記異常が発生しているにもかかわらず、上記フェールセーフ処理が実行されていないという状況ということになる。こうした状況下では、ステップS104以降の処理が実行される。
【0059】
すなわち、自動変速機3のニュートラル状態が継続され(S104)、アクセル踏込量が「0(アクセルオフ)」であるか否か(S105)、自動車1の後方は安全であるか否か(S106)が順次判断される。なお、自動車1の後方が安全であるか否かの判断は、カメラ53によって撮影された映像に基づいて後続車等の有無を検知することによって行われる。そして、アクセル踏込量が「0」であり(S105:YES)、且つ、後続車等がなく後方が安全である旨判断されると(S106:YES)、自動ブレーキが実行される(S107)。一方、ステップS105とS106とのいずれかで否定判定がなされた場合には、自動ブレーキが実行開始されることはない。また、自動ブレーキの実行開始後において、アクセルペダル15の踏み込みが行われ、アクセル踏込量が「0」よりも大(アクセルオフ)になると(S108:YES)、自動車1に制動力を付与するための自動ブレーキは停止(解除)される(S109)。
【0060】
上述したように自動ブレーキを実行することで、車速は速やかに許容車速以下に低下するようになる。そして、車速が許容車速以下に低下することに基づき、ステップS102で肯定判定がなされ、ステップS103にてフェールセーフ処理が開始されるようになる。
【0061】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)自動変速機3に高ギヤ段にてニュートラルとなる異常が生じたとき、それに対処するためのフェールセーフ処理については、車速が許容車速以下であることを条件に実行され、車速が許容車速よりも大であるときには実行されない。しかし、上記異常が発生し、かつフェールセーフ処理が実行されていないとき、言い換えれば上記異常の発生後であって車速が許容車速よりも大であるときには、自動ブレーキが実行されて自動車1に制動力が付与される。これにより、車速が速やかに許容車速以下になってフェールセーフ処理が開始される。従って、上記故障が生じたときに車速が許容車速より大であったとしても、その故障に対してのフェールセーフ処理の実行の遅れを抑制し、早期に自動変速機3を動力伝達状態として自動車1を自走可能とすることができる。
【0062】
(2)上記自動ブレーキについては、運転者によるアクセルペダル15の踏み込みがないこと(アクセル踏込量「0」)、すなわち運転者に自動車1を加速させる意志がないことを条件に実行され、アクセルペダル15の踏み込みがなされており運転者に加速意志があるときには実行開始されない。従って、運転者に加速意志がないときに自動ブレーキを実行して減速感を生じさせ、運転者に加速意志があるときには自動ブレーキによる減速感を生じさせないようにすることができ、その減速感の発生に対して運転者が違和感を感じるのを抑制することができる。
【0063】
(3)また、上記自動ブレーキについては、後続車等がなく後方の安全が確認されたことを条件に実行され、後続車等があり後方が安全でない状況のもとでは実行開始されない。従って、自動ブレーキによる自動車1の減速を後続車に対して安全に行うことができる。
【0064】
(4)上記自動ブレーキの実行開始後、アクセルペダル15が踏み込まれて運転者の加速意志が示されたときには、自動ブレーキが停止されて自動車1の減速度が小とされる。従って、自動ブレーキの実行開始後における自動車1の減速度を、運転者の意志に応じたものとなるように制御することができる。
【0065】
(5)上記自動ブレーキによって自動車1に付与される制動力の大きさについては、自動変速機3が正常のときに自動車1に働くエンジンブレーキ力と同等とされる。従って、自動ブレーキの実行時に、自動車1の減速度として上記異常の生じていないときと同等の減速度が得られ、運転者に対し好適に減速感を与えることができるようになる。
【0066】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・自動ブレーキによって自動車1に付与される制動力の大きさについては、必ずしも自動変速機3が正常なときのエンジンブレーキ力と同等にする必要はなく、そのエンジンブレーキ力よりも大きい値や小さい値に設定することも可能である。
【0067】
・自動ブレーキ実行開始後のアクセルオンによる当該自動ブレーキの停止については必ずしも行う必要はない。
・自動ブレーキの実行開始条件として、アクセルオフであることという条件を設定したが、この条件については必ずしも設定する必要はない。
【0068】
・自動ブレーキの実行開始条件として、自動車1の後方の安全が確認されていることという条件を設定したが、この条件については必ずしも設定する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態の制御装置が適用される自動車全体を示す略図。
【図2】自動変速機の構成を説明するための骨子図。
【図3】自動変速機の各係合要素の作動の組み合わせと、それにより成立するギヤ段との関係を示す作動表。
【図4】指示段に対する正常時の実ギヤ段、第2ソレノイドバルブのオフ異常時のギヤ段、及び、当該異常に対するフェールセーフ処理後のギヤ段を示す表。
【図5】(a)及び(b)は、自動変速機に高ギヤ段にてニュートラルとなる異常が発生したときの車速の推移、及び、上記異常発生後の自動ブレーキの実行態様を示すタイムチャート。
【図6】フェールセーフ処理の実行手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0070】
1…自動車、2…エンジン、3…自動変速機、4…車輪、5…トルクコンバータ、6…変速歯車機構、7…ブレーキ(制動力付与手段)、8…電子制御装置(フェールセーフ手段、制動力付与手段)、9…入力回転速度センサ、10…出力回転速度センサ、11…クランクシャフト、12…出力軸、13…シフトレバー、14…シフトポジションセンサ、15…アクセルペダル、16…アクセルポジションセンサ、18…ポンプ翼車、20…タービンシャフト、22…タービン翼車、24…一方向クラッチ、26…ステータ翼車、28…ロックアップクラッチ、32…第1遊星歯車装置、34…第1変速部、36…第2遊星歯車装置、38…第3遊星歯車装置、40…第2変速部、42…出力歯車、44…ハウジング、51…ブレーキペダル、52…ブレーキスイッチ、53…カメラ、54…油圧制御回路、55…第1ソレノイドバルブ、56…第2ソレノイドバルブ、57…第3ソレノイドバルブ、58…第4ソレノイドバルブ、59…第5ソレノイドバルブ、C1…第1クラッチ、C2…第2クラッチ、B1…第1ブレーキ、B2…第2ブレーキ、B3…第3ブレーキ、S1,S2,S3…サンギヤ、R1,R2,R3…リングギヤ、RM1,RM2,RM3,RM4…回転要素、CA1,CA2,CA3…キャリア、F…一方向クラッチ。




 

 


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