米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 車両 -> トヨタ自動車株式会社

発明の名称 操舵支援装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8218(P2007−8218A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188500(P2005−188500)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
発明者 ラッタポン チュムサムット / 河上 清治 / 丹羽 悟 / 岩▲崎▼ 克彦 / 片岡 寛暁
要約 課題
操舵フィーリングやレーン追従性を悪化させることなく操舵状態に応じた適切なアシストトルクを付与することが可能な操舵支援装置を提供する。

解決手段
目標横加速度Gの絶対値の増大時と減少時およびその方向に応じて、操舵トルクTを求める際の目標横加速度G−操舵トルクTの特性線図をA〜Dの間で切り替える。ここで、目標横加速度Gの絶対値が増大する場合に用いる線図A、Cは、減少する場合に用いる線図B、Dに比較して同一の目標横加速度G(G≠0)に対して操舵トルクTの絶対値が大きくなるよう設定されている。特性線図の切り替えは、目標横加速度Gの増減が切り替わった後、増大状態または減少状態が継続し、かつ変化量が目標横加速度変動しきい値ΔGを超えたときに行われる。ここで、この目標横加速度変動しきい値ΔGは、走行路の曲率が大きいときに曲率が小さいときよりも大きく設定される。
特許請求の範囲
【請求項1】
走行路の所定位置を走行するように車両の操舵機構にアシストトルクを付与する操舵支援装置において、
前記走行路の曲率に基づいて前記車両の目標横加速度を算出する目標横加速度算出手段と、
前記目標横加速度算出手段により算出された目標横加速度に基づいてアシストトルクを設定するアシストトルク設定手段と、を備え、
前記アシストトルク設定手段は、目標横加速度が増大状態にあるときには、目標横加速度が減少状態にあるときよりもアシストトルクの設定値を大きくするとともに、目標横加速度が増大状態から減少状態または減少状態から増大状態に切り替えられたか否かを判定する場合に、前記走行路の曲率が大きいときには曲率が小さいときよりも増減状態の切り替えが行われたと判定し難くすることを特徴とする操舵支援装置。
【請求項2】
前記アシストトルク設定手段は、目標横加速度が増大状態から減少状態または減少状態から増大状態に切り替わった後、該目標横加速の変化量がしきい値を超えたときに増減状態の切り替えが行われたと判定するとともに、前記走行路の曲率が大きいときには曲率が小さいときよりも前記しきい値を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の操舵支援装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の操舵支援を行う操舵支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行レーンに沿った車両の走行を支援する操舵支援装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この操舵支援装置は、まず、CCDカメラなどを利用して自車両が走行するレーンの画像を取得する。次に、取得した画像から画像認識処理によって走行レーンを区画する道路区画線(白線)を検出することで、自車両が走行すべき走行レーン情報を取得する。そして、取得した走行レーン情報を基に、操舵に必要な操舵トルクを求めて、適切なアシストトルクを付与することで、運転者の操舵を支援する。
【0003】
特許文献1の技術では、走行レーンの曲率、車両中心線と走行路中心線との横ずれ量であるレーンオフセット、および走行路中心線と車両中心線のなす角度である偏向角の微分値を用いて操舵トルクを算出することで、適正なアシストトルクを算出している。
【特許文献1】特開2001−10518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の操舵機構は、ギヤボックスやサスペンションジョイント等によって接続されており、それらの摩擦力による抵抗(操舵摩擦)が存在する。操舵量を増大させようとする場合には、操舵摩擦がアシストトルクを付与するモータの出力に対して抵抗として働くため、操舵トルクが不足する。一方、操舵量を減少させようとする場合には、操舵摩擦は、タイヤが直進方向に戻ろうとする力の抵抗となるため、モータの出力が過剰に作用する場合と同等に働く。このため、目標アシストトルクと実際に付与されるアシストトルクとが一致せず、制御性が低下するおそれがある
【0005】
そこで、操舵摩擦を考慮して、操舵状態ごと、すなわち操舵量が増大する状態と操舵量が減少する状態とで異なるアシストトルクを設定することが考えられる。この場合、操舵状態を判定し、操舵状態が変化したときにはアシストトルクの設定値を切り替える必要がある。ここで、上述したように、アシストトルクを走行レーンの曲率などに基づいて設定する場合、曲率が大きい旋回路では、直線路と比べて曲率の検出値に含まれるノイズの影響を大きく受ける。そのため、旋回路において直線路と同様の条件でアシストトルクの切り替えを行うとすると、切り替えが頻繁に発生して操舵機構に付与されるアシストトルクが変動することにより、操舵フィーリングやレーン追従性などが悪化するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、操舵フィーリングやレーン追従性を悪化させることなく操舵状態に応じた適切なアシストトルクを付与することが可能な操舵支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る操舵支援装置は、走行路の所定位置を走行するように車両の操舵機構にアシストトルクを付与する操舵支援装置において、走行路の曲率に基づいて車両の目標横加速度を算出する目標横加速度算出手段と、目標横加速度算出手段により算出された目標横加速度に基づいてアシストトルクを設定するアシストトルク設定手段とを備え、アシストトルク設定手段が、目標横加速度が増大状態にあるときには、目標横加速度が減少状態にあるときよりもアシストトルクの設定値を大きくするとともに、目標横加速度が増大状態から減少状態または減少状態から増大状態に切り替えられたか否かを判定する場合に、走行路の曲率が大きいときには曲率が小さいときよりも増減状態の切り替えが行われたと判定し難くすることを特徴とする。
【0008】
目標横加速度の絶対値を増大させるとき、すなわち操舵量を増大させる切り増しの場合は、目標横加速度の絶対値を減少させるとき、すなわち操舵量を減少させる切り戻しの場合に比べてアシストトルクを大きくすることで、目標横加速度に合致したアシストトルクを付与することができる。付与するアシストトルクの大きさは、例えば、操舵摩擦を考慮すると良く、切り増しの場合には操舵摩擦を考慮しない場合に比較して、操舵摩擦分だけ大きなアシストトルクを付与し、切り戻しの場合には操舵摩擦を考慮しない場合に比較して、操舵摩擦分だけ小さなアシストトルクを付与することが好ましい。また、目標横加速度が増大状態から減少状態または減少状態から増大状態に切り替えられたか否かを判定する場合に、走行路の曲率が大きく検出値に含まれるノイズなどの影響をより強く受けるときには、曲率が小さいときよりも増減状態の切り替えが行われたと判定し難くすることにより、頻繁な切り替えによるアシストトルクの変動を抑制することができる。その結果、操舵フィーリングやレーン追従性などの悪化を抑制することが可能となる。
【0009】
上記アシストトルク設定手段は、目標横加速度が増大状態から減少状態または減少状態から増大状態に切り替わった後、該目標横加速の変化量がしきい値を超えたときに増減状態の切り替えが行われたと判定するとともに、走行路の曲率が大きいときには曲率が小さいときよりもしきい値を大きくすることが好ましい。
【0010】
このように、増大方向のアシストトルク特性と減少方向のアシストトルク特性の切り替えは、目標横加速度の増減が切り替わった時点で瞬時に行うのではなく、増減が切り替わった後、増加状態または減少状態が継続し、かつ変化量がしきい値を超えたときに実行する。このしきい値を走行路の曲率が大きいときに曲率が小さいときよりも大きくすることにより、走行路の曲率が大きいときに曲率が小さいときよりも切り替えが行われ難くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、目標横加速度が増大状態にあるときには減少状態にあるときよりもアシストトルクの設定値を大きくするとともに、目標横加速度の増減状態が切り替えられたか否かを判定する場合に、走行路の曲率が大きいときには曲率が小さいときよりも増減状態の切り替えが行われたと判定し難くする構成としたので、操舵フィーリングやレーン追従性を悪化させることなく操舵状態に応じた適切なアシストトルクを付与することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
【0013】
本発明に係る操舵支援装置の一実施形態について以下に説明する。本実施形態の操舵支援装置を備えた車両1の構成図を図1に示す。車両1は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)2を備えており、ECU2によって操舵支援制御(車線維持制御)が実行される。図1に示されるように、車両1は、ステアリングホイール3を備えている。ステアリングホイール3は、車両1の車室内に配設されており、運転者によって操作されることで転舵輪(ここでは左右前輪FR,FL)を転舵させる。ステアリングホイール3は、ステアリングシャフト4の一端に固定されている。ステアリングシャフト4は、ステアリングホイール3の回転に伴って回転する。
【0014】
ステアリングシャフト4の他端には、ステアリングギヤボックス5を介してラックバー6が連結されている。ステアリングギヤボックス5は、ステアリングシャフト4の回転運動をラックバー6の軸方向への直進運動に変換する機能を有している。ラックバー6の両端は、ナックルアーム7を介して車輪FL,FRの各ハブキャリアに連結されている。このように構成されているため、車輪FL,FRは、ステアリングホイール3が回転されると、ステアリングシャフト4やステアリングギヤボックス5(ラックバー6)を介して転舵される。
【0015】
また、前方を撮像するCCDカメラ8が、ルームミラーに内蔵されている(図2参照)。CCDカメラ8は、車両1のフロントウィンドウ30越しに前方の所定領域内の周辺状況を撮影する。具体的には、道路50の車両1が走行している走行レーン51の周囲の動画像を撮影する。このCCDカメラ8には、画像処理部9が接続されている。CCDカメラ8が撮影した周辺状況の画像データは、画像処理部9に供給される。画像処理部9は、CCDカメラ8による画像データを画像処理し、車両1が走行する道路上に描かれた道路区画線(以下、白線と称する。)などを基に走行レーン(車線)を検出する。撮像した画像や映像内では、路面とその上に描かれた白線との輝度差が大きいことから、走行レーンを区画する白線はエッジ検出等によって比較的検出しやすく、車両前方の車線を検出するのに都合がいい。
【0016】
画像処理部9は、上述したECU2に接続されている。画像処理部9は、検出した車線に基づいて、図3に示されるように、前方走行経路のカーブ曲率(χ=1/R)や、車線に対する車両1のオフセットD(車両の前後方向の中心軸1aと走行レーン51の中心線の車両重心位置における接線51aとの横ずれ量に相当する。)及びヨー角θ(車両の前後方向の中心軸1aと走行レーン51の中心線の車両重心位置における接線51aとのなす角度に相当する。)を演算によって検出し、結果をECU2に送出する。カーブ曲率χ、オフセットD、ヨー角θはいずれも正負いずれの値も取ることがあり、符号は方向、向きを示す。なお、本実施形態では、右方向を「+」、左方向を「−」とした。画像に基づいて、前方走行経路の各種情報量(カーブ曲率χや自車のオフセットD・ヨー角θ)を検出する方法は、公知の方法を用いることができる。
【0017】
ECU2には、舵角センサ10及び車速センサ11も接続されている。舵角センサ10は、ステアリングホイール3の操舵角に応じた信号を出力する。また、車速センサ11は、各車輪に取り付けられた車輪速センサであり車両1の速度に応じた周期でパルス信号を発生する。舵角センサ10の出力信号および車速センサ11の出力信号は、それぞれECU2に供給されている。ECU2は、舵角センサ10の出力信号に基づいてステア角を検出すると共に、車速センサ11の出力信号に基づいて車速を検出する。
【0018】
また、ECU2には、ヨーレートセンサ12やナビゲーションシステム13も接続されている。ヨーレートセンサ12は、車両1の重心近傍に配置され、重心鉛直軸回りのヨーレートを検出し、検出結果をECU2に送出する。また、ナビゲーションシステム13は、GPS等を利用して車両1の位置を検出するための装置である。ナビゲーションシステム13は、車両1前方のカーブ曲率(χ)や勾配等の状況を検知する機能をも有している。ECU2は、ナビゲーションシステム13を用いて車両1の位置及び走行すると予想される道路の状況を把握する。
【0019】
さらに、ECU2には、モータドライバ14も接続されている。モータドライバ14は、上述したステアリングギヤボックス5に配設されたモータ(アクチュエータ)15が接続されている。図示されていないが、ラックバー6の一部外周面にはボールスクリュー溝が形成されており、モータ15のロータにはこのボールスクリュー溝に対応するボールスクリュー溝を内周面上に有するボールナットが固定されている。一対のボールスクリュー溝の間には複数のベアリングボールが収納されており、モータ15を駆動させるとロータが回転してラックバー6の軸方向の移動、即ち、転舵をアシストすることができる。
【0020】
モータドライバ14は、ECU2の指令信号に従ってモータ15に駆動電流を供給する。モータ15は、モータドライバ14から供給された駆動電流に応じたアシストトルクをラックバー6に付与する。ECU2は、後述する論理に従ってモータドライバ14に指令信号を供給し、モータ15を駆動することにより,ラックバー6を変位させ、車輪FL,FRを転舵させる。
【0021】
次に、本実施形態による操舵支援制御について具体的に説明する。図4は、操舵支援制御の動作を示すブロック図である。
【0022】
まず、CCDカメラ8によって、車両1の前方状況を撮像し、撮像した画像に基づいて画像処理部9によって、走行レーン51の状況(カーブ曲率χ)と、自車両1のオフセットD及びヨー角θとが算出される。なお、カーブ曲率χは、撮像された画像から前方カーブの曲率Rを幾何学的に求め、この逆数を取ることで求められる。幾何学的な求め方としては、自車両1の所定距離前方における白線の横方向への偏位量や自車両1の所定距離前方における白線の接線の傾きを参照して行えばよい。
【0023】
また、走行経路に対して目標となるオフセットやヨー角は、目標オフセットD及び目標ヨー角θとして予め決定されている。
【0024】
モータドライバ14への制御量の算出にあたっては、制御量となるヨーレートωを算出する必要がある。このヨーレートωは、カーブ曲率χに基づくヨーレートωにオフセットDを補償するヨーレートωとヨー角θを補償するヨーレートωθを合算したものとして求められる。
【0025】
まず、車両1前方のカーブ曲率χ(=1/R)に基づいて、車両1をこのカーブに沿って走行させるために必要なヨーレートωを求める。カーブ曲率χ(=1/R)は、ECU2を構成するフィードフォワードコントローラ(F/Fコントローラ)21に入力され、所定の特性に従ってカーブ曲率χに関するヨーレートωが算出される。
【0026】
オフセットDを補償する(目標値に収束させる)ために必要となるヨーレートωは、オフセットDと目標オフセットDとの偏差(D−D)に係数Kdを乗じることで算出される。
【0027】
ヨー角θを補償する(目標に収束させる)ために必要となるヨーレートωθは、ヨー角θと目標ヨー角θとの偏差(θ−θ)に係数Kθをかけて算出される。
【0028】
このようにして算出された3つのヨーレートを合算することで、目標ヨーレートωが算出される。この目標ヨーレートωは、車速センサ11によって検出された車速Vnを用いて目標横加速度Gに変換され、ECU2を構成するトルク演算器22によって、この目標横加速度Gを発生させるために必要な、転舵量、つまり、モータ15の操舵トルクTが算出される。このように、フィードフォワードコントローラ21やトルク演算器22などを有して構成されるECU2は、目標横加速度算出手段およびアシストトルク設定手段として機能する。
【0029】
ここで、操舵系を構成するステアリングギヤボックス5内の各連動機構間やラックバー6、ナックルアーム7等の摩擦のため、モータ15の操舵トルクすべてが、車輪FL、FRの転舵に利用されるわけではない。このため、実際には、車輪FL、FRの転舵に必要な力とこの操舵摩擦と釣り合う駆動力を付与する必要がある。この操舵摩擦は転舵を行おうとする方向への反力として作用するから、舵角を増大させるときには、(転舵に必要な力+操舵摩擦)に合致する操舵トルクが必要となる一方、舵角を減少させるときは、(操舵に必要な力−操舵摩擦)に合致する操舵トルクで足りることになる。
【0030】
そこで、トルク演算器22では、車輪FL,FRに付与する操舵トルクTの量を演算するときに、目標横加速度Gが増加する場合の特性曲線と目標横加速度Gが減少する場合の特性曲線との間にヒステリシス幅を設けた特性曲線が参照される。図5は、操舵支援装置が目標横加速度Gに基づいて車両1に操舵トルクTを付与する際に参照するグラフである。図5に実線で示される線図Aは、右操舵の切り増し状態に対応する。図5に破線で示される線図Bは右操舵の切り戻し状態に対応する。同様に実線で示される線図Cは左操舵の切り増し状態に対応し、破線で示される線図Dは左操舵の切り戻し状態に対応する。
【0031】
ここで、図5に示される線図A〜Dは、例えば、以下のように設定される。
【数1】


【0032】
ここで、係数a,b,G1,G2,wは、車両特性に応じて予め設定されている。これは、実際の車両における要求トルクに対する横加速度を計測することでその特性から求めることができる。係数aは、横加速度の増加量に対する要求トルクの増加量であり、図5の傾きaに対応する。係数bは、要求トルクの絶対値を増大していった場合に、横加速度が初めて発生する値である。図5においては、切片bに相当する。また、G1,G2は、車両1が直線上の道路を走行している際に、制御に安定性を与えるための定数である。係数wは、図5におけるヒステリシス幅として表されるが、これは、横加速度が増大状態にある場合と、減少状態にある場合に実際に得られる要求トルクの差として求められる。
【0033】
次に、図6を参照しつつ、操舵状態に応じた特性曲線(線図A〜D)の選択処理について説明する。図6は、特性曲線の選択処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0034】
ステップS100では、目標横加速度Gにローパスフィルタ処理が施され、高周波成分が除去される。続くステップS102では、検出された走行路の曲率に基づいて、車両1がカーブ旋回中であるか否かについての判断が行われる。ここで、車両1がカーブ旋回中ではないと判断されたとき、すなわち直線路を走行していると判断されたときには、ステップS104に処理が移行する。一方、車両1がカーブ旋回中であると判断された場合には、ステップS106に処理が移行する。
【0035】
ステップS104では、直進走行時の目標横加速度変動しきい値ΔGの算出が行われる。この目標横加速度変動しきい値ΔGは次式(1)により算出される。
ΔG=β ・・・(1)
ここで、βは直線走行時の目標横加速度変動しきい値であり、予めECU2に記憶されている。その後、ステップ108に処理が移行する。
【0036】
一方、ステップS106では、カーブ旋回時の目標横加速度変動しきい値ΔGの算出が行われる。この目標横加速度変動しきい値ΔGは次式(2)により算出される。
ΔG=β+α×|Gffw| ・・・(2)
ここで、αは曲率検出値に含まれるノイズを考慮する係数である。また、Gffwはカーブ旋回時のフィードフォワード横加速度であり、数式Gffw=(曲率χ×速度V×Gain)/9.81により算出される値である。式(2)に示されるように、カーブ旋回時の目標横加速度変動しきい値ΔGは、直進走行時の目標横加速度変動しきい値ΔGより大きくなる。
【0037】
続いて、ステップS108では、目標横加速度Gが増大状態から減少状態に変化し、かつ状態変化判断の基準値となる基準横加速度Glimから目標横加速度変動しきい値ΔG以上、目標横加速度Gが減少したか否かについての判断が行われる。これは、右操舵の切り増し状態から切り戻し状態に操舵状態が変化したか否かを判断するものであり、具体的には、次式(3)が成立するか否かにより判断が行われる。
目標横加速度G<基準横加速度Glim−ΔG ・・・(3)
【0038】
ここで、上式(3)が成立する場合には、ステップS110において、アシストトルクを付与する方向を示す操舵方向フラグF_GDに、左方向にアシストトルクを付与する旨のフラグLEFTが設定され、操舵トルクTを演算する際に選択される特性曲線が、線図Aから線図Bに切り替えられる。その後、ステップS116に処理が移行する。
【0039】
ここで、図7に示される直線走行時の目標横加速度Gの変化例、および図8に示されるカーブ旋回時の目標横加速度Gの変化例を参照しつつ、特性曲線の切り替えについて説明する。図7および図8それぞれの縦軸は目標横加速度Gであり、横軸は時刻である。図7に示されるように、直線走行時に、時刻t0において目標横加速度Gが増大状態から減少状態に変化し、その後、目標横加速度Gが減少し続けた場合、時刻t1で減少量が直進走行時の目標横加速度変動しきい値ΔG1を上回り、操舵トルクTを演算する際に選択される特性曲線が線図Aから線図Bに切り替えられる。
【0040】
一方、図8に示されるように、カーブ旋回時に、時刻t0において目標横加速度Gが増大状態から減少状態に変化し、その後、目標横加速度Gが減少し続けた場合、時刻t2で減少量がカーブ旋回時の目標横加速度変動しきい値ΔG2を上回り、操舵トルクTを演算する際に選択される特性曲線が線図Aから線図Bに切り替えられる。ここで、ΔG1<ΔG2であるので、カーブ旋回時には直線走行時に比べて目標横加速度Gの減少量がより大きくなるまで特性曲線の切り替えが行われない。
【0041】
図6に戻り説明を続ける。上式(3)が成立しないときには、ステップS112に処理が移行する。ステップS112では、目標横加速度Gが減少状態から増大状態に変化し、かつ状態変化判断の基準値となる基準横加速度Glimから目標横加速度変動しきい値ΔG以上、目標横加速度Gが増大したか否かについての判断が行われる。これは、左操舵の切り増し状態から切り戻し状態に操舵状態が変化したか否かを判断するものであり、具体的には、次式(4)が成立するか否かにより判断が行われる。
目標横加速度G>基準横加速度Glim+ΔG ・・・(4)
【0042】
ここで、上式(4)が成立する場合には、ステップS114において、アシストトルクを付与する方向を示す操舵方向フラグF_GDに、右方向にアシストトルクを付与する旨のフラグRIGHTが設定され、操舵トルクTを演算する際に選択される特性曲線が、線図Cから線図Dに切り替えられる。その後、ステップS116に処理が移行する。一方、上式(4)が成立しないときには、本処理から一旦抜ける。
【0043】
ステップS116では、目標横加速度Gが基準横加速度Glimに代入され、基準横加速度Glimが更新される。その後、本処理から一旦抜ける。
【0044】
図4に戻って説明を続けると、ECU2は、こうして求めた操舵トルクTに応じて、モータドライバ14に指示して、モータ15を駆動せしめる。その結果、左右前輪FR,FLが転舵され、車両1は車線を維持すべく旋回される。車両1が旋回すると、再度CCDカメラ8によって前方の状況が撮像され、上述したことが繰り返される。
【0045】
ここで、図9に本実施形態に係る操舵支援装置により演算された操舵トルク変化の一例を示す。図9の縦軸は操舵トルクTであり、横軸は時刻である。また、図9において、本実施形態に係る操舵支援装置により演算された操舵トルク変化を実線で示し、従来の操舵支援装置により演算された操舵トルク変化を破線で示す。
【0046】
従来の操舵支援装置によれば、曲率検出値に含まれるノイズなどの影響によって、時刻t1〜t2間および時刻t3〜t4間で特性曲線が切り替えられ、トルクのジャンプが発生している。トルクジャンプが発生する度に操舵トルクTが変動するため、図10に破線で示されるように、従来の操舵支援装置は車両のレーン追従性が悪い。これに対して、本実施形態に係る操舵支援装置によれば、不要なトルクジャンプが発生しないので、図10に実線で示されるように、車両のレーン追従性が向上する。
【0047】
本実施形態によれば、操舵摩擦を考慮して、切り増し時(図5における線図A、線図Cに対応)と切り戻し時(図5における線図B、線図Dに対応)とで、モータ15から出力される操舵トルクを異ならせることで、車両の横加速度を目標横加速度Gにより一致させることが可能となる。
【0048】
ただし、道路曲率の検出値などに含まれる測定誤差やノイズなどの要因により、目標横加速度Gには、振動成分が加わることがある。このため、前回のタイムステップの目標横加速度Gと今回のタイムステップの目標横加速度Gとの変化量のみから増減方向の切り替え判定を行うと、切り替えが頻繁に発生して付与される操舵アシストトルクが振動的に変化し、その結果、制御性が低下するおそれがある。また、直線走行時とカーブ旋回時とで同一の条件で切り替え判定を行うと、ノイズなどの影響をより大きく受けるカーブ旋回時に切り替えが頻繁に発生して付与される操舵アシストトルクが振動的に変化するおそれがある。
【0049】
本実施形態によれば、目標横加速度Gの増減が切り替わった後、増大状態または減少状態が継続し、かつ変化量が目標横加速度変動しきい値ΔGを超えたときに切り替えが行われる。また、この目標横加速度変動しきい値ΔGが走行路の曲率が大きいときに曲率が小さいときよりも大きく設定されるため、走行路の曲率が大きいときに曲率が小さいときよりも切り替えが行われ難くすることができる。その結果、頻繁な切り替えによるアシストトルクの変動が抑制され、操舵フィーリングやレーン追従性などの悪化を抑制することが可能となる。
【0050】
以上の説明では、右操舵の切り増し状態から切り戻し状態に操舵状態が変化した場合、および左操舵の切り増し状態から切り戻し状態に操舵状態が変化した場合を例に説明したが、右操舵の切り戻し状態から切り増し状態に操舵状態が変化した場合、および左操舵の切り戻し状態から切り増し状態に操舵状態が変化した場合についても同様に適用することができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、図5に示す目標横加速度Gに対する操舵トルクTのグラフは、直線に限られなく、車両特性等に応じた曲線等で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態の操舵支援装置を搭載した車両の構成図である。
【図2】CCDカメラによる走行レーンの取得状況を説明する図である。
【図3】道路パラメータを説明する図である。
【図4】操舵支援制御の動作を示すブロック図である。
【図5】目標横加速度に対する操舵トルクを表す線図である。
【図6】特性曲線の選択処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】直線走行時の目標横加速度変化の一例を示すグラフである。
【図8】カーブ旋回時の目標横加速度変化の一例を示すグラフである。
【図9】操舵トルク変化の一例を示す図である。
【図10】本実施形態の操舵支援装置を搭載した車両のレーン追従性を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1…車両、2…ECU、3…ステアリングホイール、4…ステアリングシャフト、5…ステアリングギヤボックス、6…ラックバー、7…ナックルアーム、8…カメラ、9…画像処理部、10…舵角センサ、11…車速センサ、12…ヨーレートセンサ、13…ナビゲーションシステム、14…モータドライバ、15…モータ、21…フィードフォワードコントローラ、22…トルク演算器、50…道路、51…走行レーン。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013