米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 車両 -> トヨタ自動車株式会社

発明の名称 自動車およびこれに搭載された内燃機関の始動方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8201(P2007−8201A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188187(P2005−188187)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
発明者 加藤 稔 / 小池 敦
要約 課題
内燃機関の始動における燃費の向上を図ると共に自動停止した内燃機関をより確実に自動始動する。

解決手段
路面の勾配θにより押し掛けでエンジンを始動可能なときに自動停止したエンジンを始動する際には、バッテリの残容量SOCが閾値Sref2未満のときには、トルクコンバータをロックアップすると共にCVTのギヤ比を最大として押し掛けによりエンジンを始動し(S240〜S260)、バッテリの残容量SOCが閾値Sref2未満のときには、スタータモータを用いてエンジンを始動する(S270)。これにより、下り坂の渋滞でエンジンを頻繁に停止・始動することによりバッテリの残容量SOCが小さくなってもエンジンの自動停止や自動始動を行なうことができ、車両の燃費を向上させることができる。また、自動停止したエンジンをより確実に始動することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、
前記内燃機関の出力軸と車軸との連結および連結の解除を行なう連結手段と、
前記内燃機関をクランキング可能なクランキングモータと、
前記クランキングモータに電力を供給可能な蓄電手段と、
路面勾配による車両の所定の移動の可否を判定する移動可否判定手段と、
前記内燃機関を始動する際、前記移動可否判定手段により前記所定の移動が不能と判定された移動不能始動時には前記クランキングモータによるクランキングを伴って前記内燃機関を始動するモータ始動により該内燃機関が始動されるよう前記クランキングモータと前記内燃機関とを制御し、前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記移動可否判定手段により前記所定の移動が可能と判定された移動可能始動時には前記所定の移動の際に前記内燃機関の出力軸と車軸とを連結することによるクランキングを伴って前記内燃機関を始動する移動始動により該内燃機関が始動されるよう前記連結手段と前記内燃機関とを制御する制御手段と、
を備える自動車。
【請求項2】
請求項1記載の自動車であって、
前記蓄電手段の状態を検出する状態検出手段を備え、
前記制御手段は、前記移動可能始動時に前記検出された蓄電手段の状態が所定の状態にあるときには前記移動始動により前記内燃機関が始動されるよう制御し、前記移動可能始動時に前記検出された蓄電手段の状態が前記所定の状態にないときには前記モータ始動により前記内燃機関が始動されるよう制御する手段である
自動車。
【請求項3】
前記所定の状態は、前記蓄電手段から放電能力可能な電力量が所定電力量未満の状態である請求項2記載の自動車。
【請求項4】
前記所定の状態は、所定時間内における前記蓄電手段からの放電電力量が所定放電電力量以上の状態である請求項2記載の自動車。
【請求項5】
前記制御手段は、前記内燃機関が運転されている最中に所定の自動停止条件が成立したときには該内燃機関を自動停止するよう前記内燃機関を制御し、前記内燃機関が自動停止されている最中に所定の自動始動条件が成立したときには該内燃機関を自動始動するよう該内燃機関を制御する手段である請求項1ないし4いずれか記載の自動車。
【請求項6】
前記所定の自動停止条件は、前記移動可否判定手段により前記所定の移動が不能と判定されるときには前記蓄電手段の状態が前記所定の状態にないことを条件の一つとして含む条件である請求項2ないし4に係る請求項5記載の自動車。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか記載の自動車であって、
路面勾配を検出する路面勾配検出手段を備え、
前記移動可否判定手段は、前記検出された路面勾配を用いて前記所定の移動の可否を判定する手段である
自動車。
【請求項8】
請求項1ないし6いずれか記載の自動車であって、
車両の前後方向の加速度を検出する加速度検出手段を備え、
前記移動可否判定手段は、前記検出された加速度に基づいて演算される路面勾配を用いて前記所定の移動の可否を判定する手段である
自動車。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか記載の自動車であって、
前記連結手段は、変速比の変更を伴って前記内燃機関の出力軸と前記車軸とを連結可能な手段であり、
前記制御手段は、前記移動可能始動時には前記内燃機関の出力軸の回転数が小さな回転数として前記車軸側に変速されるよう前記連結手段の変速比を変更した状態で前記内燃機関が始動されるよう制御する手段である
自動車。
【請求項10】
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と車軸との連結および連結の解除を行なう連結手段と、前記内燃機関をクランキング可能なクランキングモータと、前記クランキングモータに電力を供給可能な蓄電手段と、を搭載する自動車における前記内燃機関の始動方法であって、
路面勾配による車両の所定の移動の可否を判定し、
前記所定の移動が不能と判定されたときには前記クランキングモータによるクランキングを伴って前記内燃機関が始動されるよう前記クランキングモータと前記内燃機関とを制御し、前記所定の移動が可能と判定されたときには前記所定の移動の際に前記内燃機関の出力軸と車軸とを連結することによるクランキングを伴って前記内燃機関が始動されるよう前記連結手段と前記内燃機関とを制御する
内燃機関の始動方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車およびこれに搭載された内燃機関の始動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動車としては、走行条件によって搭載するエンジンを自動停止したり自動停止したエンジンを再始動するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、エンジンを再始動する際に車両が上り坂にあるときには高めの目標回転速度を設定すると共に設定した目標回転速度となるように電動機を用いてエンジンを再始動し、エンジンを再始動する際に車両が下り坂にあるときには低めの目標回転速度を設定すると共に設定した目標回転速度となるように電動機を用いてエンジンを再始動することにより、上り坂における発進特性の向上と下り坂におけるマイルドなエンジン始動による際の燃費の向上とを図っている。
【特許文献1】特開2001−295679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
こうした走行条件によって搭載するエンジンを自動停止したり再始動する自動車では、渋滞に入ったときにはエンジンの頻繁な自動停止と再始動とによって搭載するバッテリの電力を消費し、いわゆるバッテリ上がりによりエンジンを再始動することができない場合が生じる。こうしたバッテリ上がりを抑制するために、バッテリの状態に応じてエンジンの自動停止を禁止することも考えられるが、この場合、エンジンの運転が継続されることから、燃費が悪化してしまう。
【0004】
本発明の自動車およびこれに搭載された内燃機関の始動方法は、内燃機関の始動における燃費の向上を図ることを目的の一つとする。また、本発明の自動車およびこれに搭載された内燃機関の始動方法は、自動停止した内燃機関をより確実に自動始動することを目的の一つとする。さらに、本発明の自動車およびこれに搭載された内燃機関の始動方法は、二次電池などの蓄電装置のいわゆるバッテリ上がりを抑制することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の自動車およびこれに搭載された内燃機関の始動方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の自動車は、
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、
前記内燃機関の出力軸と車軸との連結および連結の解除を行なう連結手段と、
前記内燃機関をクランキング可能なクランキングモータと、
前記クランキングモータに電力を供給可能な蓄電手段と、
路面勾配による車両の所定の移動の可否を判定する移動可否判定手段と、
前記内燃機関を始動する際、前記移動可否判定手段により前記所定の移動が不能と判定された移動不能始動時には前記クランキングモータによるクランキングを伴って前記内燃機関を始動するモータ始動により該内燃機関が始動されるよう前記クランキングモータと前記内燃機関とを制御し、前記内燃機関の始動指示がなされたときに前記移動可否判定手段により前記所定の移動が可能と判定された移動可能始動時には前記所定の移動の際に前記内燃機関の出力軸と車軸とを連結することによるクランキングを伴って前記内燃機関を始動する移動始動により該内燃機関が始動されるよう前記連結手段と前記内燃機関とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の自動車では、走行用の動力を出力可能な内燃機関を始動する際には、路面勾配による車両の所定の移動の可否を判定として所定の移動が不能と判定された移動不能始動時には、クランキングモータによるクランキングを伴って内燃機関を始動するモータ始動により内燃機関が始動されるようクランキングモータと内燃機関とを制御する。一方、内燃機関の始動指示がなされたときに所定の移動が可能と判定された移動可能始動時には、所定の移動の際に内燃機関の出力軸と車軸とを連結することによるクランキングを伴って内燃機関を始動する移動始動により内燃機関が始動されるよう内燃機関の出力軸と車軸との連結および連結の解除を行なう連結手段と内燃機関とを制御する。即ち、車両の重力エネルギを用いて内燃機関を始動するのである。これにより、内燃機関の始動における燃費の向上を図ることができる。また、移動始動による内燃機関の始動では蓄電手段からの電力は用いないから、蓄電手段からの放電能力が低下したときでも内燃機関を始動することができる。この結果、内燃機関をより確実に始動することができる。
【0008】
こうした本発明の自動車において、前記蓄電手段の状態を検出する状態検出手段を備え、前記制御手段は、前記移動可能始動時に前記検出された蓄電手段の状態が所定の状態にあるときには前記移動始動により前記内燃機関が始動されるよう制御し、前記移動可能始動時に前記検出された蓄電手段の状態が前記所定の状態にないときには前記モータ始動により前記内燃機関が始動されるよう制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、蓄電手段の状態が所定の状態にないときには、車両の所定の移動の可否に拘わらず、モータ始動により内燃機関を始動することができる。このように、移動始動による内燃機関の始動を制限することにより、移動始動による内燃機関の始動に伴って運転者に違和感を感じさせるのを抑制することができる。この場合、前記所定の状態は前記蓄電手段から放電能力可能な電力量が所定電力量未満の状態であるものとすることもできるし、前記所定の状態は所定時間内における前記蓄電手段からの放電電力量が所定放電電力量以上の状態であるものとすることもできる。
【0009】
また、本発明の自動車において、前記制御手段は、前記内燃機関が運転されている最中に所定の自動停止条件が成立したときには該内燃機関を自動停止するよう前記内燃機関を制御し、前記内燃機関が自動停止されている最中に所定の自動始動条件が成立したときには該内燃機関を自動始動するよう該内燃機関を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、自動停止した内燃機関をより確実に自動始動することができる。
【0010】
蓄電手段の状態が所定の状態にないときにはモータ始動により内燃機関を始動すると共に内燃機関の自動停止と自動始動とを行なう態様の本発明の自動車において、前記所定の自動停止条件は、前記移動可否判定手段により前記所定の移動が不能と判定されるときには前記蓄電手段の状態が前記所定の状態にないことを条件の一つとして含む条件であるものとすることもできる。こうすれば、蓄電手段の状態が所定の状態に至るのを抑制することができる。この結果、蓄電手段のいわゆるバッテリ上がりを抑制することができる。
【0011】
本発明の自動車において、路面勾配を検出する路面勾配検出手段を備え、前記移動可否判定手段は前記検出された路面勾配を用いて前記所定の移動の可否を判定する手段であるものとすることもできる。また、車両の前後方向の加速度を検出する加速度検出手段を備え、前記移動可否判定手段は前記検出された加速度に基づいて演算される路面勾配を用いて前記所定の移動の可否を判定する手段であるものとすることもできる。
【0012】
また、本発明の自動車において、前記連結手段は変速比の変更を伴って前記内燃機関の出力軸と前記車軸とを連結可能な手段であり、前記制御手段は前記移動可能始動時には前記内燃機関の出力軸の回転数が小さな回転数として前記車軸側に変速されるよう前記連結手段の変速比を変更した状態で前記内燃機関が始動されるよう制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より確実に内燃機関を始動することができる。
【0013】
本発明の内燃機関の始動方法は、
走行用の動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と車軸との連結および連結の解除を行なう連結手段と、前記内燃機関をクランキング可能なクランキングモータと、前記クランキングモータに電力を供給可能な蓄電手段と、を搭載する自動車における前記内燃機関の始動方法であって、
路面勾配による車両の所定の移動の可否を判定し、
前記所定の移動が不能と判定されたときには前記クランキングモータによるクランキングを伴って前記内燃機関が始動されるよう前記クランキングモータと前記内燃機関とを制御し、前記所定の移動が可能と判定されたときには前記所定の移動の際に前記内燃機関の出力軸と車軸とを連結することによるクランキングを伴って前記内燃機関が始動されるよう前記連結手段と前記内燃機関とを制御する
ことを要旨とする。
【0014】
この本発明の内燃機関の始動方法では、路面勾配による車両の所定の移動の可否を判定として所定の移動が不能と判定されたときには、クランキングモータによるクランキングを伴って内燃機関が始動されるようクランキングモータと内燃機関とを制御する。一方、所定の移動が可能と判定されたときには、所定の移動の際に内燃機関の出力軸と車軸とを連結することによるクランキングを伴って内燃機関が始動されるよう内燃機関の出力軸と車軸との連結および連結の解除を行なう連結手段と内燃機関とを制御する。即ち、車両の重力エネルギを用いて内燃機関を始動するのである。これにより、内燃機関の始動における燃費の向上を図ることができる。また、所定の移動が可能なときには蓄電手段からの電力は用いないから、蓄電手段からの放電能力が低下したときでも内燃機関を始動することができる。この結果、内燃機関をより確実に始動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の一実施例としての自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の自動車20は、図示するように、ガソリンなどの炭化水素系の燃料により駆動するエンジン22と、エンジン22からの動力をトルクを増幅して伝達可能なトルクコンバータ40と、トルクコンバータ40からの動力を無段階に変速してギヤ機構65を介して駆動輪63a,63bに接続された車軸64に伝達する無段変速機としてのCVT50と、車両全体をコントロールする電子制御ユニット70とを備える。
【0017】
エンジン22のクランクシャフト23には、ベルト26によりスタータモータ28やオルタネータ30が取り付けられており、スタータモータ28によるクランキングを伴ってエンジン22を始動したり、オルタネータ30により発電したりすることができるようになっている。オルタネータ30からの発電電力は、バッテリ32やスタータモータ28などの補機38に供給される。エンジン22の運転制御、例えば燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などは、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により行なわれている。エンジンECU24は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、エンジン22の状態を検出する図示しない種々のセンサからの信号、例えば、クランクシャフト23の回転位置を検出するクランクポジションセンサからのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサからの冷却水温,燃焼室内に取り付けられた圧力センサからの筒内圧力,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブや排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサからのカムポジション,スロットルバルブのポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサからのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータからのエアフローメータ信号,同じく吸気管に取り付けられた温度センサからの吸気温、排気管に取り付けられて空燃比を検出する空燃比センサからの空燃比,排ガス浄化装置に取り付けられた温度センサからの触媒温度,排ガス浄化装置の下流側に取り付けられた酸素センサからの酸素信号などを入力し、入力したデータに基づいてスロットルバルブの開度を調節したり、燃料噴射量を計算して燃料噴射したり、適切なタイミングで点火する。また、エンジンECU24は、電子制御ユニット70と通信しており、電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを用電子制御ユニット70に出力する。
【0018】
トルクコンバータ40は、周知のロックアップクラッチ付きの流体式トルクコンバータとして構成されており、必要に応じてエンジン22のクランクシャフト23に接続されたタービンランナー42とCVT50のインプットシャフト51に接続されたポンプインペラ44とをロックアップクラッチ46によりロックアップすることができるようになっている。ロックアップクラッチ46は、図示しないロックアップソレノイドとロックアップコントロールバルブとから構成される油圧回路からの油圧により駆動される。
【0019】
CVT50は、インプットシャフト51に接続され溝幅が変更可能なプライマリープーリー53と、駆動軸としてのアウトプットシャフト52に接続され同じく溝幅が変更可能なセカンダリープーリー54と、プライマリープーリー53およびセカンダリープーリー54の溝に架けられたベルト55と、プライマリープーリー53およびセカンダリープーリー54の溝幅を変更する第1アクチュエータ56および第2アクチュエータ57とを備え、第1アクチュエータ56および第2アクチュエータ57によりプライマリープーリー53およびセカンダリープーリー54の溝幅を変更することによりインプットシャフト51の動力を無段階に変速してアウトプットシャフト52に出力する。ここで、第1アクチュエータ56は変速比の制御に用いられる油圧式のアクチュエータとして構成されており、第2アクチュエータ57はCVT50の伝達トルク容量を調節するためのベルト55の狭圧力の制御に用いられる油圧式のアクチュエータとして構成されている。
【0020】
トルクコンバータ40のロックアップ制御やCVT50の変速制御,ベルト狭圧力制御は、CVT用電子制御ユニット(以下、CVTECUという)59により行なわれている。CVTECU59は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されている。CVTECU59には、インプットシャフト51に取り付けられた回転数センサ61からのインプットシャフト51の回転数Npやアウトプットシャフト52に取り付けられた回転数センサ62からのアウトプットシャフト52の回転数Nsが入力されており、CVTECU59からは第1アクチュエータ56や第2アクチュエータ57への駆動信号やトルクコンバータ40のロックアップクラッチ46への駆動信号が出力されている。また、CVTECU59は、電子制御ユニット70と通信しており、電子制御ユニット70からの制御信号によってCVT50の変速比を制御したりトルクコンバータ40のロックアップクラッチをオンオフしたりすると共に必要に応じて回転数センサ61からのインプットシャフト51の回転数Npや回転数センサ62のアウトプットシャフト52の回転数NsなどCVT50の運転状態やトルクコンバータ40の状態に関するデータを電子制御ユニット70に出力する。
【0021】
電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,運転者のブレーキペダル85の操作に基づいてブレーキオイルに油圧(マスターシリンダ圧)を発生させるブレーキマスターシリンダ90のマスターシリンダ圧を検出するマスターシリンダ圧センサ92からのマスターシリンダ圧Pm,車速センサ88からの車速V,車両の前後方向の加速度を検出するGセンサ89からの加速度G,バッテリ32の出力端子間に取り付けられた電圧センサ34からの端子間電圧Vb,バッテリ32からの電力ラインに取り付けられた電流センサ36からのバッテリ32を充放電する充放電電流Ibなどが入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット70からは、オルタネータ30への制御信号や補機38への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やCVTECU59と各種制御信号やデータのやり取りを行なっている。
【0022】
次に、こうして構成された自動車20の動作、特に、運転しているエンジン22を自動停止したり、自動停止したエンジン22を自動始動する際の動作について説明する。図2は実施例の電子制御ユニット70により実行されるエンジン自動停止指示ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図3は実施例の電子制御ユニット70により実行されるエンジン自動始動指示ルーチンの一例を示すフローチャートである。ここで、エンジン自動停止指示ルーチンはエンジン22が運転されているときに所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行され、エンジン自動停止指示ルーチンはエンジン22が自動停止されている最中に所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
【0023】
エンジン自動停止指示ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,ブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,マスターシリンダ圧センサ92からのマスターシリンダ圧Pm,バッテリ32の残容量SOCなどエンジン22の自動停止を判定するのに必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、バッテリ32の残容量SOCについては、図示しない残容量演算ルーチンにより電流センサ36からの充放電電流Ibの積算値に基づいて計算されてRAM76の所定領域に記憶されたものを読み込むものとした。
【0024】
こうしてデータを入力すると、入力したバッテリ32の残容量SOCが閾値Sref1以上であるか否かを判定すると共に(ステップS110)、エンジン22の自動停止の条件が成立しているか否かを判定する(ステップS120)。ここで、閾値Sref1は、スタータモータ28のクランキングを伴ってエンジン22を始動するのに必要な電力をバッテリ32から放電することができる残容量かそれより若干大きな残容量として設定されている。また、エンジン22の自動停止の条件としては、車速Vが値0であることやアクセルオフであること、ブレーキオンであること、マスターシリンダ圧Pmが閾値Pmref以上であることなど種々の条件が含まれる。こうしたエンジン22の自動停止の条件については本発明の中核をなさないから、これ以上の詳細な説明は省略する。バッテリ32の残容量SOCが閾値Sref1未満のときや、エンジン22の自動停止の条件のいずれかが成立していないときには、エンジン22の自動停止を行なうべきでないと判断して、本ルーチンを終了する。一方、バッテリ32の残容量SOCが閾値Sref1以上であり、且つ、エンジン22の自動停止の条件のすべてが成立しているときには、エンジンECU24に対してエンジン22の運転を停止する指示を出力して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。エンジン22の運転を停止する指示を受信したエンジンECU24は、燃料噴射制御や点火制御を中止してエンジン22の運転を停止する。
【0025】
エンジン自動始動指示ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,ブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,マスターシリンダ圧センサ92からのマスターシリンダ圧Pm,バッテリ32の残容量SOC,勾配θなどエンジン22の自動始動を判定するのに必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。ここで、勾配θについては、図示しない勾配演算ルーチンによりGセンサ89からの加速度Gに基づいて計算されてRAM76の所定領域に記憶されたものを読み込むものとした。
【0026】
こうしてデータを入力すると、上述したエンジン22の自動停止の条件のいずれもが成立しているか否かを判定し(ステップS210)。すべての条件が成立しているときにはエンジン22を自動始動する必要はないと判断し、本ルーチンを終了する。一方、エンジン22の自動停止の条件のいずれかが成立していないときには、エンジン22を自動始動すべきと判断し、勾配θと閾値θrefとを比較すると共に(ステップS220)、バッテリ32の残容量SOCを閾値 Sref2と比較する(ステップS230)。ここで、閾値θrefは、下り坂でエンジン22を押し掛けにより始動したときに所定距離(例えば2mや3mなど)でエンジン22を始動完了することができる下り坂勾配として設定されており、実験などにより求めることができる。また、閾値Sref2は、上述した閾値Sref1より大きな値として設定されており、実施例では、スタータモータ28によるクランキングを伴ってエンジン22を始動すると、バッテリ32の残容量SOCが閾値Sref1を下回ってしまう程度の残容量として設定した。勾配θが閾値θref未満のときや勾配θが閾値θref以上であってもバッテリ32の残容量SOCが閾値 Sref2以上のときには、エンジン22の押し掛けは不要と判断し、スタータモータ28によるクランキングを伴ってエンジン22を始動する指示をエンジンECU24に出力して(ステップS270)、本ルーチンを終了する。こうした指示を受信したエンジンECU24は、スタータモータ28を駆動してエンジン22をクランキングすると共にクランキングに伴って変化するクランク角に基づいて燃料噴射制御を実行すると共に点火制御を実行してエンジン22を始動する。
【0027】
一方、勾配θが閾値θref以上であり、且つ、バッテリ32の残容量SOCが閾値 Sref2未満のときには、エンジン22を押し掛けにより始動すべきと判断し、トルクコンバータ40のロックアップクラッチ46を駆動してロックアップする制御信号をCVTECU59に出力すると共に(ステップS240)、CVT50のギヤ比を最大とする指示をCVTECU59に出力し(ステップS250)、ブレーキが解除されることにより、車重に基づいて下り坂を下るエネルギを用いてエンジン22を押し掛けにより始動する指示をエンジンECU24に出力して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。こうした指示を受信したエンジンECU24は、クランク角の変化を確認し、変化するクランク角に基づいて燃料噴射制御を実行すると共に点火制御を実行してエンジン22を始動する。
【0028】
以上説明した実施例の自動車20によれば、路面の勾配θにより押し掛けによりエンジン22を始動可能な状態のときに自動停止したエンジン22を自動始動する際に、バッテリ32の残容量SOCが閾値Sref2未満のときには、押し掛けによりエンジン22を始動するから、下り坂における渋滞でエンジン22を頻繁に停止したり始動することによりバッテリ32の残容量SOCが小さくなってもエンジン22の自動停止や自動始動を行なうことができる。この結果、車両のエネルギ効率、即ち燃費を向上させることができると共に自動停止したエンジン22をより確実に自動始動することができる。また、バッテリ32のいわゆるバッテリ上がりを抑制することができ、バッテリ上がりにより自動停止したエンジン22を始動することができないといった状態に至るのを抑制することができる。もとより、バッテリ32の残容量SOCが閾値Sref2以上のときには、スタータモータ28によるクランキングを伴ってエンジン22を自動始動するから、スムーズにエンジン22を始動することができる。
【0029】
実施例の自動車20では、勾配θが押し掛けによりエンジン22を始動可能な状態のときに自動停止したエンジン22を自動始動する際には、バッテリ32の残容量SOCが閾値Sref2以上であるか否かにより、スタータモータ28によるクランキングを伴ってエンジン22を自動始動するか、いわゆる押し掛けによりエンジン22を自動始動するかを判定するものとしたが、こうした判定は残容量SOCに限定されるものではなく、バッテリ32の状態に応じて判定するものであれば、如何なる物理量やパラメータを用いて判定するものとしてもよい。例えば、30分や1時間以内などの所定時間以内のバッテリ32からの放電電力量が所定電力量以上であるか否かにより判定するものとしてもよいし、電圧センサ34からの端子間電圧Vbが閾値Vref以上であるか否かにより判定するものとしてもかまわない。
【0030】
実施例の自動車20では、バッテリ32の残容量SOCがスタータモータ28によるクランキングを伴ってエンジン22を始動することができる閾値Sref1以上であり、且つ、エンジン22を自動停止する条件のすべてが成立しているときにエンジン22を自動停止するものとしたが、勾配θが押し掛けによりエンジン22を始動可能な状態のときにはバッテリ32の残容量SOCに拘わらずエンジン22を自動停止する条件のすべてが成立したときにエンジン22を自動停止し、勾配θが押し掛けによりエンジン22を始動不要な状態のときにはバッテリ32の残容量SOCが閾値Sref1以上であり、且つエンジン22を自動停止する条件のすべてが成立したときにエンジン22を自動停止するものとしてもよい。このとき、閾値Sref1は、閾値Sref2以下であればよい。こうすれば、エンジン22を自動停止する頻度を多くすることができるから、車両の燃費を向上させることができる。
【0031】
実施例の自動車20では、スタータモータ28によるクランキングを伴ってエンジン22を始動するか押し掛けによりエンジン22を始動するかのエンジン22の始動手法の選択を、エンジン22を自動停止したり自動始動する場合の自動始動に適用するものとしたが、こうした自動停止したエンジン22を自動始動する際だけでなく、運転者によるイグニッションスイッチ80の操作に伴ってエンジン22を始動する場合にも適用することができる。
【0032】
実施例の自動車20では、エンジン22を自動停止する条件のいずれかが不成立になったときに自動停止したエンジン22を自動始動するものとしたが、これに限られず、他の条件が成立したときにエンジン22を自動始動するものとしてもよい。例えば、自動停止により運転が停止している最中に補機38の駆動などによりバッテリ32の残容量SOCが閾値Sref1より小さな閾値に至ったときには、エンジン22を自動停止する条件のすべてが成立しているにも拘わらず、エンジン22を自動始動するものとしてもよい。
【0033】
実施例の自動車20では、勾配θはGセンサ89からの加速度Gを用いて計算するものとしたが、勾配センサを用いるものとしてもよいし、勾配を含む地図情報を有するナビゲーション装置などから勾配θを得るものとしてもかまわない。
【0034】
実施例の自動車20では、勾配θが閾値θref以上のときにエンジン22を押し掛け可能と判定するものとしたが、勾配θに加えてエンジン22の温度やエンジン22の温度を反映する温度(例えば、冷却水温度など)を用いてエンジン22の押し掛けが可能か否かを判定するものとしてもよい。
【0035】
実施例の自動車20では、エンジン22を押し掛けにより始動する場合、CVT50のギヤ比が最大となるようにしたが、エンジン22を自動停止する前にCVT50のギヤ比が最大となるようにすれば、エンジン22を押し掛けにより自動始動する際にはCVT50のギヤ比の変更は行なわないものとしてもよい。
【0036】
実施例の自動車20では、変速機として無段変速機としてのCVT50を用いるものとしたが、異なるタイプの無段変速機を用いるものとしてもよいし、有段変速機を用いるものとしてもかまわない。
【0037】
実施例の自動車20では、エンジン22からの動力を車軸64側に伝達する機構としてトルクコンバータ40とCVT50とを備えるものとしたが、車軸64の回転を用いてエンジン22を押し掛けにより始動可能な機構であれば、如何なる機構を用いるものとしてもかまわない。
【0038】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施例としての自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例の電子制御ユニット70により実行されるエンジン自動停止指示ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】実施例の電子制御ユニット70により実行されるエンジン自動始動指示ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
20 自動車、22 エンジン、23 クランクシャフト、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 ベルト、28 スタータモータ、30 オルタネータ、32 バッテリ、34 電圧センサ、36 電流センサ、38 補機、40 トルクコンバータ、42 タービンランナー、44 ポンプインペラ、46 ロックアップクラッチ、50 CVT、51 インプットシャフト、52 アウトプットシャフト、53 プライマリープーリー、54 セカンダリープーリー、55 ベルト、56 第1アクチュエータ、57 第2アクチュエータ、59 CVT用電子制御ユニット(CVTECU)、63a,63b 駆動輪、64 車軸、65 ギヤ機構、70 電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 Gセンサ、90 ブレーキマスターシリンダ、92 マスターシリンダ圧センサ。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013