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発明の名称 動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1529(P2007−1529A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−186678(P2005−186678)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
発明者 益城 善一郎
要約 課題
筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射とポート用燃料噴射弁からの燃料噴射とを分担率をもって行なう内燃機関をより効率よく或いはより適正に運転する。

解決手段
筒内用燃料噴射バルブからの燃料噴射だけでエンジンを運転する際の動作ラインを用いて回転数Niを設定すると共にポート用燃料噴射バルブからの燃料噴射だけでエンジンを運転する際の動作ラインを用いて回転数Npを設定し(S150,S160)、回転数Niと回転数Npとを筒内噴射とポート噴射の分担率kで按分してエンジンの目標回転数Ne*,目標トルクTe*を設定し(S170)、エンジンがこの運転ポイントで運転されると共にリングギヤ軸に要求トルクTr*が出力されるようモータトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジンと二つのモータとを制御する(S180〜S220)。これにより、エンジンをより適正に運転することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
駆動軸に動力を出力可能とする動力出力装置であって、
筒内に燃料を噴射する筒内用燃料噴射弁と吸気ポートに燃料を噴射するポート用燃料噴射弁とを有する内燃機関と、
前記内燃機関からの動力をトルク変換を伴って前記駆動軸に出力可能なトルク変換手段と、
前記駆動軸に出力すべき目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
前記設定された目標駆動力に基づいて前記内燃機関から出力する目標動力を設定する目標動力設定手段と、
前記設定された目標動力と、前記筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射と前記ポート用燃料噴射弁からの燃料噴射との分担率と、第1の分担率で前記筒内用燃料噴射弁と前記ポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に前記内燃機関の運転状態に課す制約である第1の制約と、前記第1の分担率とは異なる第2の分担率で前記筒内用燃料噴射弁と前記ポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に前記内燃機関の運転状態に課す制約である第2の制約と、に基づいて前記内燃機関の目標運転状態を設定する目標運転状態設定手段と、
前記内燃機関が前記分担率による燃料噴射を伴って前記設定された目標運転状態で運転されると共に前記設定された目標駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記トルク変換手段とを制御する制御手段と、
を備える動力出力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の制約と前記目標動力とに基づいて設定される前記内燃機関の運転状態である第1運転状態と前記第2の制約と前記目標動力とに基づいて設定される前記内燃機関の運転状態である第2運転状態とを前記第1の分担率と前記第2の分担率とに対する前記分担率の比率で按分した運転状態を前記目標運転状態として設定する手段である請求項1記載の動力出力装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の動力出力装置であって、
前記第1の制約および前記第2の制約は、複数の条件に対する複数の制約を有し、
前記制御手段は、前記複数の条件のうち同一の条件に対応する前記第1の制約と前記第2の制約とを用いて前記目標運転状態を設定する手段である
動力出力装置。
【請求項4】
前記複数の制約は、前記内燃機関を効率よく運転する効率運転制約と前記内燃機関から高トルクを出力する高トルク出力制約とのうち少なくとも一方を含む請求項3記載の動力出力装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか記載の動力出力装置であって、
前記第1の制約は、前記筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射だけで前記内燃機関を運転する際の制約であり、
前記第2の制約は、前記ポート用燃料噴射弁からの燃料噴射だけで前記内燃機関を運転する際の制約である
動力出力装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか記載の動力出力装置であって、
前記トルク変換手段は、無段変速機であり、
前記制御手段は、前記設定された目標運転状態における回転数で前記内燃機関が回転するよう前記トルク変換手段の変速比を変更する手段である
動力出力装置。
【請求項7】
請求項1ないし5いずれか記載の動力出力装置であって、
前記トルク変換手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され電力と動力の入出力を伴って前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を前記駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える手段であり、
前記制御手段は、前記設定された目標運転状態で前記内燃機関が運転されると共に前記設定された要求駆動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する手段である
動力出力装置。
【請求項8】
前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力された動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸に動力を入出力可能な発電機とを備える手段である請求項7記載の動力出力装置。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか記載の動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に接続されてなる車両。
【請求項10】
筒内に燃料を噴射する筒内用燃料噴射弁と吸気ポートに燃料を噴射するポート用燃料噴射弁とを有する内燃機関と、前記内燃機関からの動力をトルク変換を伴って駆動軸に出力可能なトルク変換手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に出力すべき目標駆動力を設定すると共に前記設定した目標駆動力に基づいて前記内燃機関から出力する目標動力を設定し、
(b)前記設定した目標動力と、前記筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射と前記ポート用燃料噴射弁からの燃料噴射との分担率と、第1の分担率で前記筒内用燃料噴射弁と前記ポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に前記内燃機関の運転状態に課す制約である第1の制約と、前記第1の分担率とは異なる第2の分担率で前記筒内用燃料噴射弁と前記ポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に前記内燃機関の運転状態に課す制約である第2の制約と、に基づいて前記内燃機関の目標運転状態を設定し、
(c)前記内燃機関が前記分担率による燃料噴射を伴って前記設定した目標運転状態で運転されると共に前記設定された目標駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記トルク変換手段とを制御する
動力出力装置の制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の動力出力装置としては、筒内に燃料噴射する筒内射弁式のエンジンとトロイダル式の無段変速機とを備える車載用のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、走行状態に基づく目標駆動力と走行状態とに基づいてエンジン目標トルクと変速機目標入力軸回転数とを設定し、エンジンの空燃比が異なることに基づく燃焼状態に基づいて異なった特性のエンジン目標トルクと変速機目標入力軸回転数の駆動力分配でエンジンと無段変速機とを制御することにより、エンジンの燃焼状態における最も燃費の良好な運転条件で運転しようとしている。
【0003】
また、筒内に燃料噴射する筒内用燃料噴射弁と吸気ポートに燃料噴射するポート用燃料噴射弁を有するエンジンを備えるものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。この装置では、成層領域では、ポート用燃料噴射弁からの燃料噴射の分担率を値0とし、均質領域ではエンジン回転数が大きくなるほど且つ負荷が大きくなるほどポート用燃料噴射弁からの燃料噴射の分担率を高くすることにより、成層領域における成層燃焼性能を高めると共に均質領域における適正な均質燃焼性能を得ようとしている。
【特許文献1】特開2000−52817号公報
【特許文献2】特開2001−20837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁とを有するエンジンでは、エンジン回転数や負荷に応じて核燃料噴射弁の分担率を変えることによりエンジンの効率や性能を高めることができるが、単に燃料噴射の分担率を変えるだけでは不十分なことが多い。例えば、同一のパワーを出力する運転ポイントのうちエンジンを効率よく運転することができる高効率運転ポイントは、筒内用燃料噴射弁から燃料噴射して運転するときとポート用燃料噴射弁から燃料噴射しているときでは異なる場合が多い。このため、筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射とポート用燃料噴射弁からの燃料噴射との分担率を変えて燃料噴射する場合には、どの運転ポイントでエンジンを運転するかによってその効率が変化することになる。また、同一のパワーを出力する運転ポイントのうち必要に応じて高効率運転ポイントを用いたり高トルクを出力する高トルク運転ポイントを用いたりするなどエンジンの運転ポイントに対する条件の変更を伴ってエンジンを運転するときには、これらの条件を考慮してより適正な運転ポイントでエンジンを運転することが望まれる。
【0005】
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法は、筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射とポート用燃料噴射弁からの燃料噴射とを分担率をもって行なう内燃機関をより効率よく運転することを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法は、筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射とポート用燃料噴射弁からの燃料噴射とを分担率をもって行なう内燃機関をより適正に運転することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力可能とする動力出力装置であって、
筒内に燃料を噴射する筒内用燃料噴射弁と吸気ポートに燃料を噴射するポート用燃料噴射弁とを有する内燃機関と、
前記内燃機関からの動力をトルク変換を伴って前記駆動軸に出力可能なトルク変換手段と、
前記駆動軸に出力すべき目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
前記設定された目標駆動力に基づいて前記内燃機関から出力する目標動力を設定する目標動力設定手段と、
前記設定された目標動力と、前記筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射と前記ポート用燃料噴射弁からの燃料噴射との分担率と、第1の分担率で前記筒内用燃料噴射弁と前記ポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に前記内燃機関の運転状態に課す制約である第1の制約と、前記第1の分担率とは異なる第2の分担率で前記筒内用燃料噴射弁と前記ポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に前記内燃機関の運転状態に課す制約である第2の制約と、に基づいて前記内燃機関の目標運転状態を設定する目標運転状態設定手段と、
前記内燃機関が前記分担率による燃料噴射を伴って前記設定された目標運転状態で運転されると共に前記設定された目標駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記トルク変換手段とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の動力出力装置では、駆動軸に出力すべき目標駆動力に基づいて内燃機関から出力する目標動力を設定し、この設定した目標動力と、筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射とポート用燃料噴射弁からの燃料噴射との分担率と、第1の分担率で筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に内燃機関の運転状態に課す制約である第1の制約と、第1の分担率とは異なる第2の分担率で筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に内燃機関の運転状態に課す制約である第2の制約と、に基づいて内燃機関の目標運転状態を設定し、内燃機関が分担率による燃料噴射を伴って目標運転状態で運転されると共に目標駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関とトルク変換手段とを制御する。即ち、内燃機関から出力すべき目標動力と燃料噴射における筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁における分担率と第1の分担率における内燃機関の運転状態に課す第1の制約と第2の分担率における内燃機関の運転状態に課す第2の制約とに基づいて内燃機関の目標運転状態を設定し、この目標運転状態で内燃機関が運転されると共に駆動軸に出力すべき目標駆動力が駆動軸に出力されるように内燃機関とトルク変換手段とを制御するのである。これにより、燃料噴射における筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁における分担率に応じて内燃機関の目標運転状態を設定して内燃機関を運転することができる。この結果、燃料噴射における筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁における分担率に応じてより効率よく内燃機関を運転することができると共により適正に内燃機関を運転することができる。
【0009】
こうした本発明の動力出力装置において、前記制御手段は、前記第1の制約と前記目標動力とに基づいて設定される前記内燃機関の運転状態である第1運転状態と前記第2の制約と前記目標動力とに基づいて設定される前記内燃機関の運転状態である第2運転状態とを前記第1の分担率と前記第2の分担率とに対する前記分担率の比率で按分した運転状態を前記目標運転状態として設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、第1運転状態と第2運転状態とを第1の分担率と第2の分担率とに対する分担率の比率で按分するから、第1運転状態と第2運転状態との間におけるより適正な運転状態を目標運転状態として設定して内燃機関を運転することができる。この結果、より適正に且つより効率よく内燃機関を運転することができる。
【0010】
また、本発明の動力出力装置において、前記第1の制約および前記第2の制約は複数の条件に対する複数の制約を有し、前記制御手段は前記複数の条件のうち同一の条件に対応する前記第1の制約と前記第2の制約とを用いて前記目標運転状態を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、複数の制約を用いて内燃機関を運転するときでも同一の条件を用いてより適正に内燃機関を運転することができる。この態様の本発明の動力出力装置において、前記複数の制約は、前記内燃機関を効率よく運転する効率運転制約と前記内燃機関から高トルクを出力する高トルク出力制約とのうち少なくとも一方を含むものとすることもできる。
【0011】
さらに、本発明の動力出力装置において、前記第1の制約は前記筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射だけで前記内燃機関を運転する際の制約であり、前記第2の制約は前記ポート用燃料噴射弁からの燃料噴射だけで前記内燃機関を運転する際の制約であるものとすることもできる。こうすれば、筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射だけで内燃機関を運転する際の制約とポート用燃料噴射弁からの燃料噴射だけで内燃機関を運転する際の制約とを用いて内燃機関を運転制御することができる。
【0012】
本発明の動力出力装置において、前記トルク変換手段は無段変速機であり、前記制御手段は、前記設定された目標運転状態における回転数で前記内燃機関が回転するよう前記トルク変換手段の変速比を変更する手段であるものとすることもできる。
【0013】
また、本発明の動力出力装置において、前記トルク変換手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され電力と動力の入出力を伴って前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を前記駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備える手段であり、前記制御手段は、前記設定された目標運転状態で前記内燃機関が運転されると共に前記設定された要求駆動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する手段であるものとすることもできる。この場合、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力された動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸に動力を入出力可能な発電機とを備える手段であるものとすることもできる。
【0014】
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力可能とする動力出力装置であって、筒内に燃料を噴射する筒内用燃料噴射弁と吸気ポートに燃料を噴射するポート用燃料噴射弁とを有する内燃機関と、前記内燃機関からの動力をトルク変換を伴って前記駆動軸に出力可能なトルク変換手段と、前記駆動軸に出力すべき目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、前記設定された目標駆動力に基づいて前記内燃機関から出力する目標動力を設定する目標動力設定手段と、前記設定された目標動力と、前記筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射と前記ポート用燃料噴射弁からの燃料噴射との分担率と、第1の分担率で前記筒内用燃料噴射弁と前記ポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に前記内燃機関の運転状態に課す制約である第1の制約と、前記第1の分担率とは異なる第2の分担率で前記筒内用燃料噴射弁と前記ポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に前記内燃機関の運転状態に課す制約である第2の制約と、に基づいて前記内燃機関の目標運転状態を設定する目標運転状態設定手段と、前記内燃機関が前記分担率による燃料噴射を伴って前記設定された目標運転状態で運転されると共に前記設定された目標駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記トルク変換手段とを制御する制御手段と、を備える動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に接続されてなることを要旨とする。
【0015】
この本発明の車両では、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、燃料噴射における筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁における分担率に応じてより効率よく内燃機関を運転することができる効果や燃料噴射における筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁における分担率に応じてより適正に内燃機関を運転することができる効果などと同様な効果を奏することができる。
【0016】
本発明の動力出力装置の制御方法は、
筒内に燃料を噴射する筒内用燃料噴射弁と吸気ポートに燃料を噴射するポート用燃料噴射弁とを有する内燃機関と、前記内燃機関からの動力をトルク変換を伴って駆動軸に出力可能なトルク変換手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に出力すべき目標駆動力を設定すると共に前記設定した目標駆動力に基づいて前記内燃機関から出力する目標動力を設定し、
(b)前記設定した目標動力と、前記筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射と前記ポート用燃料噴射弁からの燃料噴射との分担率と、第1の分担率で前記筒内用燃料噴射弁と前記ポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に前記内燃機関の運転状態に課す制約である第1の制約と、前記第1の分担率とは異なる第2の分担率で前記筒内用燃料噴射弁と前記ポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に前記内燃機関の運転状態に課す制約である第2の制約と、に基づいて前記内燃機関の目標運転状態を設定し、
(c)前記内燃機関が前記分担率による燃料噴射を伴って前記設定した目標運転状態で運転されると共に前記設定された目標駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記トルク変換手段とを制御する
ことを要旨とする。
【0017】
この本発明の動力出力装置の制御方法では、駆動軸に出力すべき目標駆動力に基づいて内燃機関から出力する目標動力を設定し、この設定した目標動力と、筒内用燃料噴射弁からの燃料噴射とポート用燃料噴射弁からの燃料噴射との分担率と、第1の分担率で筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に内燃機関の運転状態に課す制約である第1の制約と、第1の分担率とは異なる第2の分担率で筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁とから燃料噴射した際に内燃機関の運転状態に課す制約である第2の制約と、に基づいて内燃機関の目標運転状態を設定し、内燃機関が分担率による燃料噴射を伴って目標運転状態で運転されると共に目標駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関とトルク変換手段とを制御する。即ち、内燃機関から出力すべき目標動力と燃料噴射における筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁における分担率と第1の分担率における内燃機関の運転状態に課す第1の制約と第2の分担率における内燃機関の運転状態に課す第2の制約とに基づいて内燃機関の目標運転状態を設定し、この目標運転状態で内燃機関が運転されると共に駆動軸に出力すべき目標駆動力が駆動軸に出力されるように内燃機関とトルク変換手段とを制御するのである。これにより、燃料噴射における筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁における分担率に応じて内燃機関の目標運転状態を設定して内燃機関を運転することができる。この結果、燃料噴射における筒内用燃料噴射弁とポート用燃料噴射弁における分担率に応じてより効率よく内燃機関を運転することができると共により適正に内燃機関を運転することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して複数のピニオンギヤ33を連結するキャリア34が接続されると共にギヤ機構37とデファレンシャルギヤ38を介して駆動輪39a、39bにリングギヤ32が連結されたリングギヤ軸32aが接続された動力分配統合機構30と、この動力分配統合機構30のサンギヤ31に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30のリングギヤ32にリングギヤ軸32aと減速ギヤ35とを介して接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0020】
エンジン22は、図2に示すように、筒内に直接ガソリンや軽油などの炭化水素系の燃料を噴射する筒内用燃料噴射バルブ125(図1には125a〜125dと表示)と、吸気ポートに燃料を噴射するポート用燃料噴射バルブ126(図1には126a〜126dと表示)とを備える内燃機関として構成されている。エンジン22は、こうした二種類の燃料噴射バルブ125,126を備えることにより、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共にポート用燃料噴射バルブ126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃焼室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換するポート噴射駆動モードと、同様にして空気を燃焼室に吸入し、吸気行程の途中あるいは圧縮行程に至ってから筒内用燃料噴射バルブ125から燃料を噴射し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させてクランクシャフト26の回転運動を得る筒内噴射駆動モードと、空気を燃焼室に燃焼する際にポート用燃料噴射バルブ126から燃料噴射すると共に吸気行程や圧縮行程で筒内用燃料噴射バルブ125から燃料噴射してクランクシャフト26の回転運動を得る共用噴射駆動モードと、のいずれかの駆動モードにより運転制御される。これらの駆動モードは、エンジン22の運転状態やエンジン22に要求される運転状態などに基づいて切り替えられる。なお、エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。
【0021】
図1に示すように、ポート用燃料噴射バルブ126a〜126dには、燃料ポンプ62により燃料タンク60の燃料が供給されている。筒内用燃料噴射バルブ125a〜125dには、燃料タンク60から燃料ポンプ62により供給され高圧燃料ポンプ64により加圧された燃料がデリバリパイプ66によって供給されている。なお、燃料ポンプ62や高圧燃料ポンプ64のアクチュエータとしての電動機62a,64aには、DC/DCコンバータ90を介してバッテリ50からの電力が供給されている。また、図示しないが、高圧燃料ポンプ64の吐出側には燃料の逆流を防止すると共にデリバリパイプ66内の燃料圧力(燃圧)を保持するチェックバルブが取り付けられている。デリバリパイプ66には、燃圧が過剰となるのを防止するリリーフバルブ67を介して燃料を燃料タンク60に戻すリリーフパイプ68が取り付けられている。なお、エンジン22の停止中における筒内用燃料噴射弁125a〜125dに供給される燃料の燃圧は、筒内用燃料噴射弁125a〜125dからの燃料漏れを防止するために所定圧力まで降下するようになっている。
【0022】
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24には、エンジン22の状態などを検出する種々のセンサからの信号が図示しない入力ポートを介して入力されている。例えば、エンジンECU24には、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,エンジン22の負荷としての吸入空気量を検出するバキュームセンサ148からの吸入空気量,筒内用燃料噴射バルブ125a〜125dに燃料を供給するデリバリパイプ66に取り付けられた燃圧センサ69からの燃圧Pfなどが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号が図示しない出力ポートを介して出力されている。例えば、エンジンECU24からは、筒内用燃料噴射バルブ125a〜125dやポート用燃料噴射バルブ126a〜126dへの駆動信号やスロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号,イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号,吸気バルブ128の開閉タイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号,燃料ポンプ62や高圧燃料ポンプ64の電動機62a,64aへの駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。また、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。
【0023】
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介して電力ライン54により接続されたバッテリ50と電力のやりとりを行なう。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0024】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
【0025】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0026】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を計算し、この要求トルクTr*に対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。ここで、トルク変換運転モードは、充放電運転モードにおいてバッテリ50の充放電電力が値0のときであるから、充放電運転モードの一態様として考えることができる。したがって、実施例のハイブリッド自動車20は、モータ運転モードと充放電運転モードとを切り替えて走行することになる。
【0027】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図3は、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
【0028】
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の残容量SOC,バッテリ50の入出力制限Win,Wout,筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射とポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射の分担率k,燃費より高トルクを優先する高トルク要求などのデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。バッテリ50の残容量SOCは、電流センサにより検出されたバッテリ50の充放電電流に基づいて演算されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、残容量SOCや電池温度などに基づいて設定されたものを入力するものとした。分担率kは、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される図示しない分担率設定ルーチンにより設定されたものを入力するものとした。さらに、高トルク要求は、アクセルペダル83の踏み込み量や踏み込み速度などに基づいて燃費優先かトルク優先かが設定されるフラグの値により高トルク要求がなされているか否かを入力するものとした。
【0029】
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動輪39a,39bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*と車両全体に要求される車両要求パワーPe*とを設定する(ステップS110)。ここで、要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め求めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶しているマップから対応する要求トルクTr*を導出することにより設定するものとした。この要求トルク設定用マップの一例を図4に示す。また、車両要求パワーPe*は、導出した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50の充放電要求パワーPb*と損失Lossとの和により演算されたものを設定するものとした。ここで、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ることにより求めたり、車速Vに換算係数を乗じることにより求めたりすることができる。また、充放電要求パワーPb*は、残容量SOCやアクセル開度Accに基づいて設定することができる。
【0030】
続いて、高トルク要求がなされているか否かを判定し(ステップS120)、高トルク要求がなされていないとき、エンジン22の運転ポイントを設定するための制約である動作ラインとして、エンジン22を効率よく運転する制約である燃費優先動作ラインを実行用動作ラインに設定し(ステップS130)、高トルク要求がなされているときには、動作ラインとして、同一の回転数でエンジン22からより高トルクを出力する制約である高トルク用動作ラインを実行用動作ラインに設定する(ステップS140)。筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際の燃費優先動作ラインと高トルク用動作ラインの一例を図5に示し、ポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際の燃費優先動作ラインと高トルク用動作ラインの一例を図6に示す。図5中の一点鎖線はポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際の燃費優先動作ラインであり、図6中の一点鎖線は、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際の高トルク用動作ラインである。図5および図6から解るように、高トルク用動作ラインは燃費優先動作ラインより高トルク側となる。また、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際の動作ラインは、燃費優先動作ラインと高トルク用動作ラインの両動作ラインとも、筒内噴射の方がポート噴射より燃焼室への吸入空気の充填率が高くなることから、ポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際の対応する動作ラインより高トルク側となる。ここで、ステップS130の燃費優先動作ラインを実行用動作ラインに設定する処理は、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際の筒内噴射用の燃費優先動作ラインとポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際のポート噴射用の燃費優先動作ラインとを各々実行用動作ラインに設定する処理となり、ステップS140の高トルク用動作ラインを実行用動作ラインに設定する処理は、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際の筒内噴射用の高トルク用動作ラインとポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際のポート噴射用の高トルク用動作ラインとを各々実行用動作ラインに設定する処理となる。
【0031】
こうして実行用動作ラインを設定すると、筒内噴射およびポート噴射に対して各々設定した実行用動作ラインを用いて車両要求パワーPe*を出力する際の運転ポイントとして、筒内噴射用の回転数Ni,トルクTiおよびポート噴射用の回転数Np,トルクTpを設定する(ステップS150,S160)。筒内噴射およびポート噴射に対して燃費優先動作ラインを実行用動作ラインとして設定したときの筒内噴射用の回転数Ni,トルクTiを設定する際の様子を図5に、ポート噴射用の回転数Np,トルクTpを設定する際の様子を図6に示す。筒内噴射用の回転数Ni,トルクTiは、図5に示すように、燃費優先動作ラインと車両要求パワーPe*(=Ni×Ti)が一定の曲線との交点により求めることができ、ポート噴射用の回転数Np,トルクTpは、図6に示すように、燃費優先動作ラインと車両要求パワーPe*(=Np×Tp)が一定の曲線との交点により求めることができる。
【0032】
続いて、設定した筒内噴射用の回転数Niとポート噴射用の回転数Npとを分担率kで按分したもの(次式(1)参照)としてエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に車両要求パワーPe*を設定した目標回転数Ne*で除して目標トルクTe*を設定する(ステップS170)。
【0033】
Ne*=k・Ni+(1-k)・Np (1)
【0034】
エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定すると、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(=Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(2)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を設定すると共に設定した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて次式(3)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS180)。動力分配統合機構30の各回転要素の回転数とトルクの力学的な関係を示す共線図を図7に示す。図中、左のS軸はサンギヤ31の回転数を示し、C軸はキャリア34の回転数を示し、R軸はリングギヤ32(リングギヤ軸32a)の回転数Nrを示す。前述したように、サンギヤ31の回転数はモータMG1の回転数Nm1でありキャリア34の回転数はエンジン22の回転数Neであるから、モータMG1の目標回転数Nm1*はリングギヤ軸32aの回転数Nrとエンジン22の目標回転数Ne*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいて式(2)により計算することができる。したがって、モータMG1が目標回転数Nm1*で回転するようトルク指令Tm1*を設定してモータMG1を駆動制御することにより、エンジン22を目標回転数Ne*で回転させることができる。ここで、式(3)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(3)中、右辺第2項の「KP」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「KI」は積分項のゲインである。なお、図7におけるR軸上の2つの太線矢印は、エンジン22を目標回転数Ne*および目標トルクTe*の運転ポイントで定常運転したときにエンジン22から出力されるトルクTe*がリングギヤ軸32aに伝達されるトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2*がリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。
【0035】
Nm1*=(Ne*・(1+ρ)-Nm2/Gr)/ρ (2)
Tm1*=前回Tm1*+KP(Nm1*-Nm1)+KI∫(Nm1*-Nm1)dt (3)
【0036】
モータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを設定すると、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとに基づいて要求トルクTr*をリングギヤ軸32aに作用させるためにモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを図7の共線図のトルクの釣り合いから定まる次式(4)により計算すると共に(ステップS190)、バッテリ50の入出力制限Win,WoutとモータMG1のトルク指令Tm1*と現在のモータMG1の回転数Nm1とモータMG2の回転数Nm2とに基づいて次式(5)および次式(6)によりモータMG2から出力してもよいトルクの下限,上限としてのトルク制限Tm2min,Tm2maxを計算し(ステップS200)、計算した仮モータトルクTm2tmpと計算したトルク制限Tm2maxとのうち小さい方と計算したトルク制限Tm2minとを比較して大きい方をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定する(ステップS210)。これにより、モータMG2のトルク指令Tm2*を、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして設定することができる。
【0037】
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (4)
Tm2min=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (5)
Tm2max=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (6)
【0038】
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標トルクTe*と分担率kについてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。目標トルクTe*と分担率kを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*で回転したときに目標トルクTe*のトルクが出力されるよう分担率kに基づいて筒内用燃料噴射バルブ125およびポート用燃料噴射バルブ126から燃料噴射するよう燃料噴射制御を行なうと共に点火制御やスロットル開度制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
【0039】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際の筒内噴射用の動作ラインを用いて設定された筒内噴射用の回転数Niとポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際のポート噴射用の動作ラインを用いて設定されたポート噴射用の回転数Npとを、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射とポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射の分担率kによって按分してエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し、エンジン22がこの運転ポイントで運転されると共に駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*が出力されるようモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してエンジン22およびモータMG1,MG2を制御するから、筒内用燃料噴射バルブ125とポート用燃料噴射バルブ126とから燃料噴射を分担して行なう場合でも、エンジン22をより適正に運転することができると共にリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力することができる。特に動作ラインとして燃費優先動作ラインを用いるものとすれば、筒内用燃料噴射バルブ125とポート用燃料噴射バルブ126とから燃料噴射を分担して行なう場合でも、エンジン22をより効率よく運転することができると共にリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力することができる。
【0040】
また、実施例のハイブリッド自動車20によれば、高トルク要求がなされていないときには筒内噴射用の動作ラインもポート噴射用の動作ラインも共に燃費優先動作ラインを用いてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*を設定してエンジン22やモータMG1,MG2を制御し、高トルク要求がなされているときには筒内噴射用の動作ラインもポート噴射用の動作ラインも共に高トルク用動作ラインを用いてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*を設定してエンジン22やモータMG1,MG2を制御するから、高トルク要求に基づいてエンジン22の運転ポイントを設定するための制約の変更を伴って筒内用燃料噴射バルブ125とポート用燃料噴射バルブ126とから燃料噴射を分担して行なう場合でも、エンジン22をより適正に運転することができると共にリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力することができる。
【0041】
さらに、実施例のハイブリッド自動車20によれば、モータMG2のトルク指令Tm2*をバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で設定してモータMG2を駆動制御するから、バッテリ50が過大な電力により充放電されるのを抑制することができ、バッテリ50の劣化を抑制することができる。
【0042】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図8における車輪39c,39dに接続された車軸)に接続するものとしたり、図9の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪39a,39bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしたりしてもよい。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明の第2の実施例としての自動車320について説明する。図10は、本発明の第2の実施例としての動力出力装置を搭載した自動車320の構成の概略を示す構成図である。第2実施例の自動車320は、図10および図1に示すように、第1実施例のハイブリッド自動車20における動力分配統合機構30やモータMG1,モータMG2に代えてトルクコンバータ340とベルト式の無段変速機であるCVT350とを備えるハード構成をしている。重複した説明を回避するため、第2実施例の自動車320の構成のうち第1実施例のハイブリッド自動車20の構成と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、第2実施例の自動車320における燃料ポンプ62や高圧燃料ポンプ64のアクチュエータとしての電動機62a,64aに電力供給を行なうバッテリ330には、エンジン22のクランクシャフト26に掛けられた図示しないベルトにより駆動する図示しないオルタネータにより発電された電力が供給されるようになっている。
【0044】
第2実施例の自動車320は、図10に示すように、筒内用燃料噴射バルブ125とポート用燃料噴射バルブ126とを備える第1実施例で説明したエンジン22と、エンジン22のクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された周知の流体式のトルクコンバータ340と、このトルクコンバータ340にインプットシャフト351が接続されると共にデファレンシャルギヤ38を介して駆動輪39a,39bに接続されたギヤ機構37にアウトプットシャフト352が接続されたベルト式の無段変速機としてのCVT350と、車両全体をコントロールする電子制御ユニット370とを備える。
【0045】
CVT350は、溝幅が変更可能でインプットシャフト351に接続されたプライマリープーリー353と、同じく溝幅が変更可能で駆動軸としてのアウトプットシャフト352に接続されたセカンダリープーリー354と、プライマリープーリー353およびセカンダリープーリー354の溝に架けられたベルト355と、プライマリープーリー353およびセカンダリープーリー354の溝幅を変更する第1アクチュエータ356および第2アクチュエータ357とを備え、第1アクチュエータ356および第2アクチュエータ357を用いてプライマリープーリー353およびセカンダリープーリー354の溝幅を変更することによりインプットシャフト351の動力を無段階に変速してアウトプットシャフト352に出力する。ここで、第1アクチュエータ356は変速比の制御に用いられ、油圧式のアクチュエータとして構成されており、第2アクチュエータ357はCVT350の伝達トルク容量を調節するためのベルト355の狭圧力の制御に用いられ、油圧式のアクチュエータとして構成されている。なお、第1アクチュエータ356および第2アクチュエータ357の駆動に必要な油圧は、エンジン22のクランクシャフト26に取り付けられた図示しない機械式のポンプにより発生する。CVT350の変速制御やベルト狭圧力制御は、CVT用電子制御ユニット(以下、CVTECUという)359により行なわれる。このCVTECU359には、インプットシャフト351に取り付けられた回転数センサ361からのインプットシャフト351の回転数Ninやアウトプットシャフト352に取り付けられた回転数センサ362からのアウトプットシャフト352の回転数Noutなどが入力されており、CVTECU359からは第1アクチュエータ356および第2アクチュエータ357への駆動信号などが出力されている。また、CVTECU359は、電子制御ユニット370と通信しており、電子制御ユニット370からの制御信号によってCVT350の変速比(ギヤ比)γを制御すると共に必要に応じてインプットシャフト351の回転数Ninやアウトプットシャフト352の回転数NoutなどCVT350の運転状態に関するデータを電子制御ユニット370に出力する。
【0046】
電子制御ユニット370は、第1実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70と同様に、CPU372を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU372の他に処理プログラムを記憶するROM374と、データを一時的に記憶するRAM376と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。電子制御ユニット370には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号やシフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット370は、前述したように、エンジンECU24やCVTECU359と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やCVTECU359と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0047】
次に、こうして構成された第2実施例の自動車320の動作について説明する。図11は、第2実施例の電子制御ユニット370により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
【0048】
駆動制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット370のCPU372は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,インプットシャフト351の回転数Nin,アウトプットシャフト352の回転数Nout,筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射とポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射の分担率k,燃費より高トルクを優先する高トルク要求などのデータを入力する処理を実行する(ステップS300)。ここで、インプットシャフト351の回転数Ninとアウトプットシャフト352の回転数Noutは、回転数センサ361や回転数センサ362により検出されたものをCVTECU359から通信により入力するものとした。分担率kや高トルク要求については第1実施例で説明した。
【0049】
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動輪39a,39bに連結された駆動軸としてのアウトプットシャフト352に出力すべき要求トルクTout*と車両全体に要求される車両要求パワーPe*とを設定する(ステップS310)。ここで、要求トルクTout*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTout*との関係を予め求めて要求トルク設定用マップとしてROM374に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶しているマップから対応する要求トルクTout*を導出することにより設定するものとした。この要求トルク設定用マップの一例は図4に例示したものと同様である。また、車両要求パワーPe*は、導出した要求トルクTout*にアウトプットシャフト352の回転数Noutを乗じたものとして設定するものとした。
【0050】
続いて、図3の駆動制御ルーチンのステップS120〜S170の処理と同一の処理を行なってエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS320〜S370)。そして、設定したエンジン22の目標回転数Ne*をインプットシャフト351の目標回転数Ni*に設定し(ステップS380)、設定した目標トルクTe*と分担率kについてエンジンECU24に送信し、設定した目標回転数Ni*についてはCVTECU359に送信して(ステップS390)、本ルーチンを終了する。目標トルクTe*と分担率kを受信したエンジンECU24は、第1実施例と同様に、エンジン22が目標回転数Ne*で回転したときに目標トルクTe*のトルクが出力されるよう分担率kに基づいて筒内用燃料噴射バルブ125およびポート用燃料噴射バルブ126から燃料噴射するよう燃料噴射制御を行なうと共に点火制御やスロットル開度制御などの制御を行なう。目標回転数Nin*を受信したCVTECU359は、インプットシャフト351の回転数Ninが目標回転数Ni*になるように第1アクチュエータ356および第2アクチュエータ357を駆動制御する。
【0051】
以上説明した第2実施例の自動車320によれば、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際の筒内噴射用の動作ラインを用いて設定された筒内噴射用の回転数Niとポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際のポート噴射用の動作ラインを用いて設定されたポート噴射用の回転数Npとを、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射とポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射の分担率kによって按分してエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し、エンジン22がこの運転ポイントで運転されると共に駆動軸としてのアウトプットシャフト352に要求トルクTout*が出力されるようインプットシャフト351の目標回転数Ni*を設定してエンジン22とCVT350とを制御するから、筒内用燃料噴射バルブ125とポート用燃料噴射バルブ126とから燃料噴射を分担して行なう場合でも、エンジン22をより適正に運転することができると共にアウトプットシャフト352に要求トルクTout*を出力することができる。特に動作ラインとして燃費優先動作ラインを用いるものとすれば、筒内用燃料噴射バルブ125とポート用燃料噴射バルブ126とから燃料噴射を分担して行なう場合でも、エンジン22をより効率よく運転することができると共にアウトプットシャフト352に要求トルクTout*を出力することができる。
【0052】
また、第2実施例の自動車320によれば、高トルク要求がなされていないときには筒内噴射用の動作ラインもポート噴射用の動作ラインも共に燃費優先動作ラインを用いてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*を設定してエンジン22やCVT350を制御し、高トルク要求がなされているときには筒内噴射用の動作ラインもポート噴射用の動作ラインも共に高トルク用動作ラインを用いてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*を設定してエンジン22やCVT350を制御するから、高トルク要求に基づいてエンジン22の運転ポイントを設定するための制約の変更を伴って筒内用燃料噴射バルブ125とポート用燃料噴射バルブ126とから燃料噴射を分担して行なう場合でも、エンジン22をより適正に運転することができると共にアウトプットシャフト352に要求トルクTout*を出力することができる。
【0053】
第2実施例の自動車320では、無段変速機としてベルト式のCVT350を用いるものとしたが、トロイダル式の無段変速機など種々の無段変速機を用いるものとしてもよい。
【0054】
第2実施例の自動車320では、設定したエンジン22の目標回転数Ne*をインプットシャフト351の目標回転数Ni*に設定し、インプットシャフト351の回転数Ninが目標回転数Ni*になるように第1アクチュエータ356および第2アクチュエータ357を駆動制御するものとしたが、設定したエンジン22の目標回転数Ne*をインプットシャフト351の目標回転数Ni*に設定すると共に設定した目標回転数Ni*をアウトプットシャフト352の回転数Noutで除して目標ギヤ比γ*を求め、この目標ギヤ比γ*となるように第1アクチュエータ356および第2アクチュエータ357を駆動制御するものとしてもよい。
【0055】
第1実施例のハイブリッド自動車20や第2実施例の自動車320では、筒内噴射用の動作ラインとポート噴射用の動作ラインとして共に燃費優先動作ラインと高トルク用動作ラインの二つの制約を用意し、高トルク要求の有無によりいずれかを実行用動作ラインとして設定して用いるものとしたが、三つ以上の制約を用意し、異なる成立条件によりいずれかの制約の動作ラインを実行用動作ラインとして設定して用いるものとしてもよい。また、一つの制約、例えば、筒内噴射用の動作ラインもポート噴射用の動作ラインも共に燃費優先動作ラインだけしか用いないものとしても構わない。
【0056】
第1実施例のハイブリッド自動車20や第2実施例の自動車320では、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際の筒内噴射用の動作ラインを用いて設定された筒内噴射用の回転数Niとポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際のポート噴射用の動作ラインを用いて設定されたポート噴射用の回転数Npとを、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射とポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射の分担率kによって按分してエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定するものとしたが、第1の分担率(例えば0.1)で筒内用燃料噴射バルブ125とポート用燃料噴射バルブ126とから燃料噴射してエンジン22を運転する際の第1動作ラインを用いて設定された第1回転数N1と第2の分担率(例えば0.9)で筒内用燃料噴射バルブ125とポート用燃料噴射バルブ126とから燃料噴射してエンジン22を運転する際の第2動作ラインを用いて設定された第2回転数N2とを、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射とポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射の分担率kを用いて按分してエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定するものとしてもよい。
【0057】
第1実施例のハイブリッド自動車20や第2実施例の自動車320では、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際の筒内噴射用の動作ラインを用いて設定された筒内噴射用の回転数Niとポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射だけでエンジン22を運転する際のポート噴射用の動作ラインを用いて設定されたポート噴射用の回転数Npとを、筒内用燃料噴射バルブ125からの燃料噴射とポート用燃料噴射バルブ126からの燃料噴射の分担率kによって按分してエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定するものとしたが、筒内噴射用の回転数Niとポート噴射用の回転数Npとに対して分担率kを用いてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定するものであれば如何なる手法によりエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定するものとしてもよい。例えば、筒内噴射用の回転数Niとポート噴射用の回転数Npとに対して、分担率kに加えて筒内噴射およびポート噴射に対する重みをもって按分することによりエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定するものとしたり、分担率kの変化に対して緩変化処理を施して得られる分担率を用いてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定するものなどとしてもよい。
【0058】
第1実施例のハイブリッド自動車20や第2実施例の自動車320では、電動駆動する高圧燃料ポンプ64を用いてデリバリパイプ66に加圧して燃料を供給するものとしたが、エンジン22のクランクシャフト26やこのクランクシャフト26により駆動されるカムシャフトの回転により駆動する機械式の高圧燃料ポンプを用いてデリバリパイプ66に加圧して燃料を供給するものとしてもよい。
【0059】
第1実施例や第2実施例に示したように、筒内用燃料噴射バルブ125とポート用燃料噴射バルブ126とを有するエンジン22を搭載すると共に任意の運転ポイントで運転されるエンジン22からの動力をトルク変換して車軸側に伝達する装置や機構を備える自動車であれば如何なる構成の自動車としてもよい。更に、こうした筒内用燃料噴射バルブ125とポート用燃料噴射バルブ126とを備えるエンジン22やトルクの伝達装置や機構などからなる動力出力装置を自動車以外の列車などの車両や船舶,航空機などの移動体に搭載するものとしてもよく、移動体以外の設備に組み込まれるものとしても構わない。また、こうした動力出力装置や車両の形態だけでなく動力出力装置や車両の制御方法の形態としてもよい。
【0060】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、動力出力装置や車両の製造産業に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】エンジン22の構成の概略を示す構成図である。
【図3】実施例のハイブリッド自動車20のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図5】筒内噴射用の燃費優先動作ラインと高トルク用動作ラインの一例および筒内噴射用の回転数NiとトルクTiとを設定する様子を示す説明図である。
【図6】ポート噴射用の燃費優先動作ラインと高トルク用動作ラインの一例およびポート噴射用の回転数NpとトルクTpとを設定する様子を示す説明図である。
【図7】動力分配統合機構30の各回転要素における回転数とトルクの力学的な関係を示す共線図である。
【図8】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図9】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【図10】本発明の第2の実施例としての動力出力装置を搭載した自動車320の構成の概略を示す構成図である。
【図11】第2実施例の自動車320の電子制御ユニット370により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、39c,39d 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 燃料タンク、62 燃料ポンプ、62a,64a 電動機、64 高圧燃料ポンプ、66 デリバリパイプ、67 リリーフバルブ、68 リリーフパイプ、69 燃圧センサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 DC/DCコンバータ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、125,125a〜125d 筒内用燃料噴射バルブ、126,126a〜126d ポート用燃料噴射バルブ、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、136 スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 バキュームセンサ、150 可変バルブタイミング機構、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、320 自動車、330 バッテリ、340 トルクコンバータ、350 CVT、351 インプットシャフト、352 アウトプットシャフト、353 プライマリープーリー、354 セカンダリープーリー、355 ベルト、356 第1アクチュエータ、357 第2アクチュエータ、361,362 回転数センサ、370 電子制御ユニット、372 CPU、374 ROM、376 RAM、MG1,MG2 モータ。




 

 


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