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車両用駆動装置 - トヨタ自動車株式会社
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発明の名称 車両用駆動装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1487(P2007−1487A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−185521(P2005−185521)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
発明者 田端 淳 / 宮崎 光史 / 鎌田 淳史 / 多賀 豊
要約 課題
電動機の冷却性のよい車両用駆動装置を提供する。

解決手段
第2軸心CL2が第1軸心CL1よりも上側に位置するように車載されるとともに、第1電動機M1を収容する空間である第1収容室91とデフドライブギヤ84を収容する空間である第5収容室89との間の分割壁80を貫通する隙間(連通孔)Aが設けられていることから、デフドライブギヤ84を潤滑するためにそれに供給された潤滑油はそのデフドライブギヤ84収容する空間から第1電動機M1を収容する空間へ隙間Aを通して図16の破線に示すように流れ落ちるので、第1電動機M1はその隙間Aからの潤滑油によっても冷却され、第1電動機M1の冷却性が高められる。
特許請求の範囲
【請求項1】
エンジンから入力された動力を電動機および伝達部材へ分配する差動機構と、該伝達部材へ伝達された動力を左右の駆動輪へ伝達する終減速機とが備えられ、
前記第1軸心上に前記電動機および差動機構が設けられ、
該第1軸心に平行な第2軸心上に、前記伝達部材を介して伝達される動力により回転させられて前記終減速機を駆動するデフドライブギヤが設けられ、
該第1軸心および第2軸心に平行な第3軸心上に前記終減速機が設けられ、 前記第1軸心上に設けられた前記電動機を収容する空間と前記第2軸心上に設けられた前記デフドライブギヤを収容する空間との間に仕切壁が設けられた型式の車両用駆動装置であって、
前記電動機を収容する空間と前記デフドライブギヤを収容する空間との間に仕切壁を貫通する連通孔が設けられていることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項2】
前記第1軸心上に第1電動機、差動機構、第2電動機が順次設けられ、
前記第1電動機および前記デフドライブギヤの前記エンジン側が蓋状の第1ケース部により覆われ、
該第1ケース部に隣接して、該第1ケース部と共に前記第1電動機および前記デフドライブギヤを収容する空間を形成する筒状の第2ケース部が設けられ、
該第2ケースには、前記デフドライブギヤが位置する空間と前記第1電動機が位置する空間とに分割する分割壁が設けられており、
前記連通孔は、該分割壁と前記第1ケース部との間に僅かな隙間により構成されていることを特徴とする請求項1の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記第2軸心が前記第1軸心よりも上側に位置するように車載されることを特徴とする請求項1または2の車両用駆動装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は電動機、差動部、デフドライブギヤを備えた車両用駆動装置に関し、特に、その電動機の冷却性を高める技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動機、差動部、終減速機を備えた車両用駆動装置が知られている。たとえば、特許文献1に記載されたハイブリッド車両用駆動装置がそれである。特許文献1に記載された装置では、第1電動機、差動部、第2電動機、変速部が一軸心方向において順次配設されていることから、それを搭載すると車長が長くなったり、車幅が大きくなったりする不都合が予想される。特に、FF車両やRR車両で採用される横置きレイアウトとなると、搭載空間が限られるため一層困難となる可能性がある。すなわち、たとえば「PRIUS」(トヨタ自動車株式会社の商標)として知られるハイブリッド車両で採用される駆動装置に対して変速機が加えられることになることから、構成要素の配置を充分に検討して限られた車幅におさめるようにする必要がある。また、増加した構成要素のうち取り付けに当たって制約が共に多い電動機と変速機とをそれぞれ組み付けることから、組付性が大幅に低下する可能性がある。このため、軸心方向寸法が小型であり且つ組付け性が高い車両用駆動装置が望まれている。
【特許文献1】特開2003−301731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに対し、軸心方向の寸法を小さくするために、互いに平行な軸に沿って設けられた動力伝達経路に電動機、差動部、変速部、デフドライブギヤを順次配置とした、複数列構成とすることが考えられる。しかしながら、電動機、差動部、変速部、デフドライブギヤを備えた車両用駆動装置では、エンジンの出力トルクが増加するに伴ってハイブリッドシステムに用いられる電動機も大型化されることが必要となり、その発熱量が増大するという問題が発生する。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、電動機の冷却性のよい車両用駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1に係る発明の要旨とするところは、(a) エンジンから入力された動力を電動機および伝達部材へ分配する差動機構と、その伝達部材へ伝達された動力を左右の駆動輪へ伝達する終減速機とが備えられ、(b) 前記第1軸心上に前記電動機および差動機構が設けられ、(c) その第1軸心に平行な第2軸心上に、前記伝達部材を介して伝達される動力により回転させられて前記終減速機を駆動するデフドライブギヤが設けられ、(d) その第1軸心および第2軸心に平行な第3軸心上に前記終減速機が設けられ、(e) 前記第1軸心上に設けられた前記電動機を収容する空間と前記第2軸心上に設けられた前記デフドライブギヤを収容する空間との間に仕切壁が設けられた型式の車両用駆動装置であって、(f) 前記電動機を収容する空間と前記デフドライブギヤを収容する空間との間に仕切壁を貫通する連通孔が設けられていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明の要旨とするところは、請求項1に係る発明において、(a) 前記第1軸心上に第1電動機、差動機構、第2電動機が順次設けられ、(b) 前記第1電動機および前記デフドライブギヤの前記エンジン側が蓋状の第1ケース部により覆われ、(c) その第1ケース部に隣接して、その第1ケース部と共に前記第1電動機および前記デフドライブギヤを収容する空間を形成する筒状の第2ケース部が設けられ、(d) その第2ケースには、前記デフドライブギヤが位置する空間と前記第1電動機が位置する空間とに分割する分割壁が設けられており、(e) 前記連通孔は、その分割壁と前記第1ケース部との間に僅かな隙間により構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明の要旨とするところは、請求項1または2に係る発明において、前記第2軸心が前記第1軸心よりも上側に位置するように車載されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1にかかる発明の車両用駆動装置によれば、前記電動機を収容する空間と前記デフドライブギヤを収容する空間との間に仕切壁を貫通する連通孔が設けられていることから、デフドライブギヤを潤滑するためにそれに供給された潤滑油はそのデフドライブギヤ収容する空間から前記電動機を収容する空間へ連通孔を通して流出するので、電動機はその連通孔からの潤滑油によっても冷却され、電動機の冷却性が高められる。
【0009】
また、請求項2に係る発明の車両用駆動装置によれば、第1電動機およびデフドライブギヤの前記エンジン側が蓋状の第1ケース部により覆われ、その第1ケース部に隣接して、その第1ケース部と共に前記第1電動機および前記デフドライブギヤを収容する空間を形成する筒状の第2ケース部が設けられ、その第2ケースには、前記デフドライブギヤが位置する空間と前記第1電動機が位置する空間とに分割する分割壁が設けられ、前記連通孔はその分割壁と前記第1ケース部との間に僅かな隙間により構成されているので、機械加工を要することなく、第1ケース部と第2ケース部とを組み立てるだけで連通孔が設けられる利点がある。
【0010】
請求項3に係る発明の車両用駆動装置によれば、前記第2軸心が前記第1軸心よりも上側に位置するように車載されることから、デフドライブギヤを潤滑するためにそれに供給された潤滑油はそのデフドライブギヤ収容する空間から前記電動機を収容する空間へ連通孔を通して重力により流れ落ちるので、電動機はその連通孔からの潤滑油によっても冷却され、電動機の冷却性が一層高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド車両用の駆動装置10を説明する骨子図である。図1において、駆動装置10は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスアクスルハウジング12(以下、ハウジング12という)内において第1軸心CL1上に同心に順次配設された、脈動吸収ダンパー(振動減衰装置)9を介してエンジン8に連結されてそのエンジン8からの動力が入力される第1入力軸に対応する軸状の入力回転部材14、第1電動機M1、油圧式差動制限装置としての切換クラッチC0および切換ブレーキB0、入力回転部材14に連結された差動歯車機構或いは差動部としての動力分配機構16、伝達部材18、および第2電動機M2と、第1軸心CL1に平行な第2軸心CL2上に同心に配設された、たとえば有段式自動変速機である自動変速部20、および第2入力軸に対応する軸状の出力回転部材22とを備えている。上記第1軸心CL1の軸端に位置するドライブギヤ19と、第2軸心CL2の軸端に位置してそのドライブギヤ19に噛み合うドリブンギヤ21とによって連結装置23が構成され、エンジン8から出力回転部材22に至る動力伝達経路が形成されている。上記自動変速部20は、その動力伝達経路の動力分配機構16と出力回転部材22との間で伝達部材18を介して直列に連結されている。
【0013】
上記駆動装置10は、車両において横置きされるFF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、走行用の駆動力源としてのエンジン8と一対の駆動輪(前輪)38a、38bとの間に設けられて、動力を終減速機(デファレンシャルギヤユニット)36および一対の車軸37a、37b等を順次介して一対の駆動輪38a、38bへ伝達する。この終減速機36は、一対の駆動輪38a、38bの回転差を許容しつつトルクを均等に分配するために、第1軸心CL1および第2軸心CL2に平行な第3軸心CL3上に回転可能に配設された大径歯車31、大径歯車31と共に回転するデフケース32、そのデフケース32に固定されたピン33によって第3軸心CL3に直交する軸心まわりに回転可能に支持された一対の差動小歯車34、車軸37a、37bに固定されてその差動小歯車34と噛み合う差動大歯車35a、35bとを備えている。
【0014】
動力分配機構16は、入力回転部材14に入力されたエンジン8の出力を機械的に合成し或いは分配する機械的機構であって、エンジン8の出力を第1電動機M1および伝達部材18に分配し、或いはエンジン8の出力とその第1電動機M1の出力とを合成して伝達部材18へ出力する。本実施例の第1電動機M1および第2電動機M2は、ステータM1sおよびM2sとロータM1rおよびM2rとをそれぞれ備えて発電機能も有する所謂モータジェネレータであるが、第1電動機M1は反力を発生させるためのジェネレータ(発電)機能を少なくとも備え、第2電動機M2は駆動力を出力するためのモータ(電動機)機能を少なくとも備えたものであればよい。
【0015】
動力分配機構16は、例えば「0.418」程度の所定のギヤ比ρ1を有するシングルピニオン型の第1遊星歯車装置24を備え、切換クラッチC0および切換ブレーキB0によって差動状態と非差動状態とに切換られる。この第1遊星歯車装置24は、第1サンギヤS1、第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を回転要素(要素)として備えている。第1サンギヤS1の歯数をZS1、第1リングギヤR1の歯数をZR1とすると、上記ギヤ比ρ1はZS1/ZR1である。
【0016】
この動力分配機構16においては、第1キャリヤCA1は入力回転部材14すなわちエンジン8に連結され、第1サンギヤS1は第1電動機M1のロータM1rに連結され、第1リングギヤR1および第2電動機M2のロータM2rは伝達部材18に連結されている。また、切換ブレーキB0は第1サンギヤS1とハウジング12との間に設けられ、切換クラッチC0は第1サンギヤS1と第1キャリヤCA1との間に設けられている。それら切換クラッチC0および切換ブレーキB0が解放されると、第1サンギヤS1、第1キャリヤCA1、第1リングギヤR1がそれぞれ相互に相対回転可能な差動作用が働く差動状態とされることから、エンジン8の出力が第1電動機M1と伝達部材18とに分配され、第1電動機M1に分配されたエンジン8の出力で第1電動機M1が発電され、その発電された電気エネルギや、蓄電されていた電気エネルギで第2電動機M2が回転駆動されるので、例えば無段変速状態とされて、エンジン8の所定回転に拘わらず伝達部材18の回転が連続的に変化させられる。すなわち、動力分配機構16が、電気的にその変速比γ0(入力回転部材14の回転速度/伝達部材18の回転速度)が最小値γ0min から最大値γ0max まで変化させられる差動状態例えば変速比γ0が最小値γ0min から最大値γ0max まで連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能する差動状態例えば無段変速状態とされる。
【0017】
この状態で、エンジン8の出力で車両走行中に上記切換クラッチC0が係合させられて第1サンギヤS1と第1キャリヤCA1とが一体的に係合させられると、第1遊星歯車装置24の3要素S1、CA1、R1が一体回転させられるロック状態である非差動状態とされることから、エンジン8の回転と伝達部材18の回転速度とが一致する状態となるので、動力分配機構16は変速比γ0が「1」に固定された変速機として機能する定変速状態とされる。次いで、上記切換クラッチC0に替えて切換ブレーキB0が係合させられて第1サンギヤS1が非回転状態とされるロック状態である非差動状態とされると、第1リングギヤR1は第1キャリヤCA1よりも増速回転されるので、動力分配機構16は変速比γ0が「1」より小さい値例えば0.7程度に固定された増速変速機として機能する定変速状態とされる。このように、本実施例では、上記切換クラッチC0および切換ブレーキB0は、動力分配機構16を、差動状態例えば変速比が連続的変化可能な電気的な無段変速機として作動可能な差動状態(無段変速状態)と、非差動状態例えば電気的な無段変速機として作動させず無段変速作動を非作動として変速比変化をロックするロック状態、すなわち1または2種類の変速比の単段または複数段の変速機として作動可能な定変速状態とに選択的に切換える差動状態切換装置或いは動力分配機構16の差動作用すなわち差動機構である第1遊星歯車装置24の差動作用を制限する油圧式差動制限装置として機能している。
【0018】
ドライブギヤ19は伝達部材18のエンジン8とは反対側の軸端に固定されているとともに、そのドライブギヤ19と噛み合うドリブンギヤ21は中間入力軸40の軸端に固定されており、上記伝達部材18からの動力がその第1中間軸40を介して自動変速部20へ入力され、その第1クラッチC1を介して第2中間軸42へ、また第2クラッチC2を介してサンギヤ軸114へそれぞれ伝達されるようになっている。
【0019】
自動変速部20は、相互に分離可能な構造とされている複数の油圧式摩擦係合装置と複数の遊星歯車装置とを備えている。この複数の遊星歯車装置は、順次配列されたシングルピニオン型の第2遊星歯車装置26、シングルピニオン型の第3遊星歯車装置28、およびシングルピニオン型の第4遊星歯車装置30である。第2遊星歯車装置26は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、例えば「0.562」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。第3遊星歯車装置28は、第3サンギヤS3、第3遊星歯車P3、その第3遊星歯車P3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR3を備えており、例えば「0.425」程度の所定のギヤ比ρ3を有している。第4遊星歯車装置30は、第4サンギヤS4、第4遊星歯車P4、その第4遊星歯車P4を自転および公転可能に支持する第4キャリヤCA4、第4遊星歯車P4を介して第4サンギヤS4と噛み合う第4リングギヤR4を備えており、例えば「0.424」程度の所定のギヤ比ρ4を有している。第2サンギヤS2の歯数をZS2、第2リングギヤR2の歯数をZR2、第3サンギヤS3の歯数をZS3、第3リングギヤR3の歯数をZR3、第4サンギヤS4の歯数をZS4、第4リングギヤR4の歯数をZR4とすると、上記ギヤ比ρ2はZS2/ZR2、上記ギヤ比ρ3はZS3/ZR3、上記ギヤ比ρ4はZS4/ZR4である。なお、上記サンギヤ、リングギヤ、遊星歯車はいずれも斜歯歯車である。
【0020】
自動変速部20では、第2サンギヤS2と第3サンギヤS3とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してハウジング12に選択的に連結され、第2キャリヤCA2は第2ブレーキB2を介してハウジング12に選択的に連結され、第4リングギヤR4は第3ブレーキB3を介してハウジング12に選択的に連結され、第2リングギヤR2と第3キャリヤCA3と第4キャリヤCA4とが一体的に連結されて出力回転部材22に連結され、第3リングギヤR3と第4サンギヤS4とが一体的に連結されて第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。
【0021】
前記切換クラッチC0、第1クラッチC1、第2クラッチC2、切換ブレーキB0、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、および第3ブレーキB3は従来の車両用自動変速機においてよく用いられている油圧式摩擦係合装置であって、第1ブレーキB1を除いて互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型により構成されるが、第1ブレーキB1は回転するドラムの外周面に巻き付けられたバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキ型により構成されている。
【0022】
以上のように構成された駆動装置10では、例えば、図2の係合作動表に示されるように、油圧式摩擦係合装置である前記切換クラッチC0、第1クラッチC1、第2クラッチC2、切換ブレーキB0、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、および第3ブレーキB3が選択的に係合作動させられることにより、第1速ギヤ段(第1変速段)乃至第5速ギヤ段(第5変速段)のいずれか或いは後進ギヤ段(後進変速段)或いはニュートラルが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT )が各ギヤ段毎に得られるようになっている。特に、本実施例では動力分配機構16に切換クラッチC0および切換ブレーキB0が備えられており、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れかが係合作動させられることによって、動力分配機構16は前述した無段変速機として作動可能な無段変速状態に加え、1または2種類以上の変速比の単段または複数段の変速機として作動可能な定変速状態を構成することが可能とされている。したがって、駆動装置10では、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れかを係合作動させることで定変速状態とされた動力分配機構16と自動変速部20とで有段変速機が構成され、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れも係合作動させないことで無段変速状態とされた動力分配機構16と自動変速部20とで無段変速機が構成される。
【0023】
例えば、駆動装置10が有段変速機として機能する場合には、図2に示すように、切換クラッチC0、第1クラッチC1および第3ブレーキB3の係合により、変速比γ1が最大値例えば「3.357」程度である第1速ギヤ段が成立させられ、切換クラッチC0、第1クラッチC1および第2ブレーキB2の係合により、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値例えば「2.180」程度である第2速ギヤ段が成立させられ、切換クラッチC0、第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合により、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.424」程度である第3速ギヤ段が成立させられ、切換クラッチC0、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値例えば「1.000」程度である第4速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1、第2クラッチC2、および切換ブレーキB0の係合により、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値例えば「0.705」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。また、第2クラッチC2および第3ブレーキB3の係合により、変速比γRが第1速ギヤ段と第2速ギヤ段との間の値例えば「3.209」程度である後進ギヤ段が成立させられる。なお、ニュートラル「N」状態とする場合には、例えば切換クラッチC0のみが係合される。
【0024】
しかし、駆動装置10が無段変速機として機能する場合には、図2に示される係合表の切換クラッチC0および切換ブレーキB0が共に解放される。これにより、動力分配機構16が無段変速機として機能し、それに直列の自動変速部20が有段変速機として機能することにより、自動変速部20の第1速、第2速、第3速、第4速の各ギヤ段に対しその自動変速部20に入力される回転速度すなわち伝達部材18の回転速度が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。したがって、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって駆動装置10全体としてのトータル変速比γTが無段階に得られるようになる。
【0025】
図3は、無段変速部或いは第1変速部として機能する動力分配機構16と有段変速部或いは第2変速部として機能する自動変速部20とから構成される駆動装置10において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図3の共線図は、横軸方向において各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの相対関係を示し、縦軸方向において相対的回転速度を示す二次元座標であり、3本の横軸のうちの下側の横線X1が回転速度零を示し、上側の横線X2が回転速度「1.0」すなわち入力回転部材14に連結されたエンジン8の回転速度NE を示し、横軸XGが伝達部材18の回転速度を示している。また、動力分配機構16の3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素(第2要素)RE2に対応する第1サンギヤS1、第1回転要素(第1要素)RE1に対応する第1キャリヤCA1、第3回転要素(第3要素)RE3に対応する第1リングギヤR1の相対回転速度を示すものであり、それらの間隔は第1遊星歯車装置24のギヤ比ρ1に応じて定められている。すなわち、縦線Y1とY2との間隔を1に対応するとすると、縦線Y2とY3との間隔はギヤ比ρ1に対応するものとされる。さらに、自動変速部20の5本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7、Y8は、左から順に、第4回転要素(第4要素)RE4に対応し且つ相互に連結された第2サンギヤS2および第3サンギヤS3を、第5回転要素(第5要素)RE5に対応する第2キャリヤCA2を、第6回転要素(第6要素)RE6に対応する第4リングギヤR4を、第7回転要素(第7要素)RE7に対応し且つ相互に連結された第2リングギヤR2、第3キャリヤCA3、第4キャリヤCA4を、第8回転要素(第8要素)RE8に対応し且つ相互に連結された第3リングギヤR3、第4サンギヤS4をそれぞれ表し、それらの間隔は第2、第3、第4遊星歯車装置26、28、30のギヤ比ρ2、ρ3、ρ4に応じてそれぞれ定められている。すなわち、図3に示すように、各第2、第3、第4遊星歯車装置26、28、30毎にそのサンギヤとキャリヤとの間が1に対応するものとされ、キャリヤとリングギヤとの間がρに対応するものとされる。
【0026】
上記図3の共線図を用いて表現すれば、本実施例の駆動装置10は、動力分配機構(無段変速部)16において、第1遊星歯車装置24の3回転要素(要素)の1つである第1回転要素RE1(第1キャリヤCA1)が入力回転部材14に連結されるとともに切換クラッチC0を介して他の回転要素の1つである第1サンギヤS1と選択的に連結され、その他の回転要素の1つである第2回転要素RE2(第1サンギヤS1)が第1電動機M1に連結されるとともに切換ブレーキB0を介してトランスミッションハウジング12に選択的に連結され、残りの回転要素である第3回転要素RE3(第1リングギヤR1)が伝達部材18および第2電動機M2に連結されて、入力回転部材14の回転を前記伝達部材18を介して自動変速機(有段変速部)20へ伝達する(入力させる)ように構成されている。このとき、Y2とX2の交点を通る斜めの直線L0により第1サンギヤS1の回転速度と第1リングギヤR1の回転速度との関係が示される。
【0027】
図4および図5は上記図3の共線図の動力分配機構16部分に相当する図である。図4は上記切換クラッチC0および切換ブレーキB0の解放により無段変速状態に切換えられたときの動力分配機構16の状態の一例を表している。例えば、第1電動機M1の発電による反力を制御することによって直線L0と縦線Y1との交点で示される第1サンギヤS1の回転が上昇或いは下降させられると、直線L0と縦線Y3との交点で示される第1リングギヤR1の回転速度が下降或いは上昇させられる。
【0028】
また、図5は切換クラッチC0の係合により有段変速状態に切換えられたときの動力分配機構16の状態を表している。つまり、第1サンギヤS1と第1キャリヤCA1とが連結されると、上記3回転要素が一体回転するので、直線L0は横線X2と一致させられ、エンジン回転速度NE と同じ回転で伝達部材18が回転させられる。或いは、切換ブレーキB0の係合によって第1サンギヤS1の回転が停止させられると、直線L0は図3に示す状態となり、その直線L0と縦線Y3との交点で示される第1リングギヤR1すなわち伝達部材18の回転速度は、エンジン回転速度NE よりも増速された回転で自動変速部20へ入力される。
【0029】
また、自動変速部20において第4回転要素RE4は第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してハウジング12に選択的に連結され、第5回転要素RE5は第2ブレーキB2を介してハウジング12に選択的に連結され、第6回転要素RE6は第3ブレーキB3を介してハウジング12に選択的に連結され、第7回転要素RE7は出力回転部材22に連結され、第8回転要素RE8は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。
【0030】
自動変速部20では、図3に示すように、第1クラッチC1と第3ブレーキB3とが係合させられることにより、第8回転要素RE8の回転速度を示す縦線Y8と横線X2との交点と第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6と横線X1との交点とを通る斜めの直線L1と、出力回転部材22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第1速の出力回転部材22の回転速度が示される。同様に、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合させられることにより決まる斜めの直線L2と出力回転部材22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第2速の出力回転部材22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L3と出力回転部材22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第3速の出力回転部材22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合させられることにより決まる水平な直線L4と出力回転部材22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第4速の出力回転部材22の回転速度が示される。上記第1速乃至第4速では、切換クラッチC0が係合させられている結果、エンジン回転速度NE と同じ回転速度で第8回転要素RE8に動力分配機構16からの動力が入力される。しかし、切換クラッチC0に替えて切換ブレーキB0が係合させられると、動力分配機構16からの動力がエンジン回転速度NE よりも高い回転速度で入力されることから、第1クラッチC1、第2クラッチC2、および切換ブレーキB0が係合させられることにより決まる水平な直線L5と出力回転部材22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で第5速の出力回転部材22の回転速度が示される。また、第2クラッチC2と第3ブレーキB3とが係合させられることにより決まる斜めの直線LRと出力回転部材22と連結された第7回転要素RE7の回転速度を示す縦線Y7との交点で後進Rの出力回転部材22の回転速度が示される。
【0031】
図6は、本実施例の駆動装置10を制御するための電子制御装置50に入力される信号及びその電子制御装置50から出力される信号を例示している。この電子制御装置50は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン8、電動機M1、M2に関するハイブリッド駆動制御、前記自動変速部20の変速制御等の駆動制御を実行するものである。
【0032】
上記電子制御装置50には、図6に示す各センサやスイッチから、エンジン水温を示す信号、シフトポジションを表す信号、エンジン8の回転速度であるエンジン回転速度NE を表す信号、ギヤ比列設定値を示す信号、M(モータ走行)モードを指令する信号、エアコンの作動を示すエアコン信号、出力回転部材22の回転速度に対応する車速信号、自動変速部20の作動油温を示す油温信号、サイドブレーキ操作を示す信号、フットブレーキ操作を示す信号、触媒温度を示す触媒温度信号、アクセルペダルの操作量を示すアクセル開度信号、カム角信号、スノーモード設定を示すスノーモード設定信号、車両の前後加速度を示す加速度信号、オートクルーズ走行を示すオートクルーズ信号、車両の重量を示す車重信号、各駆動輪の車輪速を示す車輪速信号、駆動装置10を有段変速機として機能させるために動力分配機構16を定変速状態に切り換えるための有段スイッチ操作の有無を示す信号、駆動装置10を無段変速機として機能させるために動力分配機構16を無段変速状態に切り換えるための無段スイッチ操作の有無を示す信号、第1電動機M1の回転速度NM1を表す信号、第2電動機M2の回転速度NM2を表す信号などが、それぞれ供給される。また、上記電子制御装置50からは、スロットル弁の開度を操作するスロットルアクチュエータへの駆動信号、過給圧を調整するための過給圧調整信号、電動エアコンを作動させるための電動エアコン駆動信号、エンジン8の点火時期を指令する点火信号、電動機M1およびM2の作動を指令する指令信号、シフトレンジインジケータを作動させるためのシフトポジション(操作位置)表示信号、ギヤ比を表示させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、制動時の車輪のスリップを防止するABSアクチュエータを作動させるためのABS作動信号、Mモードが選択されていることを表示させるMモード表示信号、動力分配機構16や自動変速部20の油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するために油圧制御回路52に含まれる電磁弁を作動させるバルブ指令信号、上記油圧制御回路52の油圧源である電動油圧ポンプを作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータへの信号等が、それぞれ出力される。
【0033】
図7は、電子制御装置50の駆動装置10に対する制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図7の駆動装置10は、図1に対して、エンジン8が反対側に位置するように示されている。切換制御手段60は、例えば図8或いは図9に示す予め記憶された関係に基づいて、駆動装置10を無段変速状態とする無段制御領域内であるか或いは駆動装置10を有段変速状態とする有段制御領域内であるかを判定する。図8に示す関係(切換マップ)を用いる場合には、実際のエンジン回転速度NE とハイブリッド車両の駆動力に関連する駆動力関連値、例えばエンジン出力トルクTE とで表される車両状態に基づいて上記判定を行う。
【0034】
図8に示される関係では、エンジン8の出力トルクTE が予め設定された所定値TE1以上の高トルク領域(高出力走行領域)、エンジン回転速度NE が予め設定された所定値NE1以上の高回転領域すなわちエンジン回転速度NE とトータル変速比γTとで一意的に決められる車両状態の1つである車速が所定値以上の高車速領域、或いはそれらエンジン8の出力トルクTE および回転速度NE から算出される出力が所定以上の高出力領域が、有段制御領域として設定されている。従って、エンジン8の比較的高出力トルク、比較的高回転速度、或いは比較的高出力時には有段変速制御は実行され、アップシフトに伴うエンジン回転速度NE の変化すなわち変速に伴うリズミカルなエンジン8の回転速度の変化が発生する。或いは、他の考え方として、この高出力走行においては燃費に対する要求より運転者の駆動力に対する要求が重視されるので、無段変速状態より有段変速状態(定変速状態)に切り換えられるのである。これによって、ユーザは、リズミカルなエンジン回転速度NE の変化を楽しむことができる。一方、エンジン8の比較的低出力トルク、比較的低回転速度、或いは比較的低出力時すなわちエンジン8の常用出力域では無段変速制御が実行されるようになっている。図8における有段制御領域と無段制御領域との間の境界線は、例えば高車速判定値の連なりである高車速判定線および高出力走行判定値の連なりである高出力走行判定線に対応している。
【0035】
一方、図9に示す関係を用いる場合には、実際の車速Vと駆動力関連値である出力トルクTOUT とに基づいて上記判定を行う。図9では、破線が、無段変速を有段変速に切り換える所定条件を定める判定車速V1および判定出力トルクT1を示し、二点差線が、有段変速を無段変速に切り換える際の条件を示している。このように、有段制御領域と無段制御領域と切換の判定にヒステリシスが設けられている。なお、図9において、太線51で示す境界よりも低出力トルク側および低車速側は電動機の駆動力で走行するモータ走行領域である。また、図9には、車速Vと出力トルクTOUT とをパラメータとする変速線図も示されている。
【0036】
そして、切換制御手段60は、有段変速制御領域であると判定した場合は、ハイブリッド(HB)制御手段62に対してハイブリッド制御或いは無段変速制御を不許可(禁止)とする信号を出力するとともに、有段変速制御手段64に対しては、予め設定された有段変速時の変速制御を許可する。このときの有段変速制御手段64は、前記判定が図8に基づいて行われた場合には、予め記憶された図示しない変速線図に従って自動変速制御を実行し、前記判定が図9に基づいて行われた場合には、その図9に示される変速線図に従って自動変速制御を実行する。
【0037】
図2は、このときの変速制御において選択される油圧式摩擦係合装置すなわちC0、C1、C2、B0、B1、B2、B3の作動の組み合わせを示している。この有段自動変速制御モードの第1速乃至第4速では、切換クラッチC0が係合させられることにより動力分配機構16が固定の変速比γ0が1の副変速機として機能しているが、第5速では、その切換クラッチC0の係合に替えて切換ブレーキB0が係合させられることにより動力分配機構16が固定の変速比γ0が例えば0.7程度の副変速機として機能している。すなわち、この有段自動変速制御モードでは、副変速機として機能する動力分配機構16と自動変速部20とを含む駆動装置10全体が所謂自動変速機として機能している。
【0038】
なお、前記駆動力関連値とは、車両の駆動力に1対1に対応するパラメータであって、駆動輪38a、38bでの駆動トルク或いは駆動力のみならず、例えば自動変速部20の出力トルクTOUT 、エンジン出力トルクTE 、車両加速度や、例えばアクセル開度或いはスロットル開度(或いは吸入空気量、空燃比、燃料噴射量)とエンジン回転速度NE とによって算出されるエンジン出力トルクTE などの実際値や、運転者のアクセルペダル操作量或いはスロットル開度に基づいて算出されるエンジン出力トルクTE や要求駆動力等の推定値であってもよい。また、上記駆動トルクは出力トルクTOUT 等からデフ比、駆動輪38a、38bの半径等を考慮して算出されてもよいし、例えばトルクセンサ等によって直接検出されてもよい。上記他の各トルク等も同様である。
【0039】
一方、上記切換制御手段60において無段制御領域内であると判定した場合は、前記動力分配機構16を電気的な無段変速可能とするように切換クラッチC0および切換ブレーキB0を解放させる指令を油圧制御回路52へ出力する。同時に、ハイブリッド制御手段62に対してハイブリッド制御を許可する信号を出力するとともに、有段変速制御手段64には、予め設定された無段変速時の変速段に固定する信号を出力するか、或いは予め記憶された変速線図に従って自動変速することを許可する信号を出力する。後者の場合、有段変速制御手段64により、図2の係合表内において切換クラッチC0および切換ブレーキB0の係合を除いた作動により自動変速が行われる。このように、動力分配機構16が無段変速機として機能し、それに直列の自動変速部20が有段変速機として機能することにより、適切な大きさの駆動力が得られると同時に、前述のように、自動変速部20の第1速、第2速、第3速、第4速の各ギヤ段に対しその自動変速部20に入力される回転速度すなわち伝達部材18の回転速度が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。したがって、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって駆動装置10全体としてのトータル変速比γTが無段階に得られるようになる。
【0040】
上記ハイブリッド制御手段62は、エンジン8を効率のよい作動域で作動させる一方で、エンジン8と第1電動機M1および/または第2電動機M2との駆動力の配分を最適になるように変化させる。例えば、そのときの走行車速において、アクセルペダル操作量や車速から運転者の要求出力を算出し、運転者の要求出力と充電要求値から必要な駆動力を算出し、エンジンの回転速度とトータル出力とを算出し、そのトータル出力とエンジン回転速度NE とに基づいて、エンジン出力を得るようにエンジン8を制御するとともに第1電動機M1の発電量を制御する。ハイブリッド制御手段62は、その制御を自動変速部20の変速段を考慮して実行したり、或いは燃費向上などのために自動変速部20に変速指令を行う。このようなハイブリッド制御では、エンジン8を効率のよい作動域で作動させるために定まるエンジン回転速度NE と車速および自動変速部20の変速段で定まる伝達部材18の回転速度とを整合させるために、動力分配機構16が電気的な無段変速機として機能させられる。すなわち、ハイブリッド制御手段62は無段変速走行の時に運転性と燃費性とを両立した予め記憶された最適燃費率曲線に沿ってエンジン8が作動させられるように駆動装置10のトータル変速比γTの目標値を定め、その目標値が得られるように動力分配機構16の変速比γ0を制御し、トータル変速比γTをその変速可能な変化範囲内例えば13〜0.5の範囲内で制御することになる。
【0041】
このとき、ハイブリッド制御手段62は、第1電動機M1により発電された電気エネルギをインバータ68を通して蓄電装置70や第2電動機M2へ供給するので、エンジン8の動力の主要部は機械的に伝達部材18へ伝達されるが、エンジン8の動力の一部は第1電動機M1の発電のために消費されてそこで電気エネルギに変換され、インバータ68を通して電気エネルギが第2電動機M2或いは第1電動機M1へ供給され、その第2電動機M2或いは第1電動機M1から伝達部材18へ伝達される。この電気エネルギの発生から第2電動機M2で消費されるまでに関連する機器により、エンジン8の動力の一部を電気エネルギに変換し、その電気エネルギを機械的エネルギに変換するまでの電気パスが構成される。また、ハイブリッド制御手段62は、エンジン8の停止又はアイドル状態に拘わらず、動力分配機構16の電気的CVT機能によってモータ走行させることができる。
【0042】
上記切換制御手段60、ハイブリッド制御手段62、有段変速制御手段64により、車両の低中速走行および低中出力走行となるようなエンジンの常用出力域では動力分配機構16が無段変速状態とされてハイブリッド車両の燃費性能が確保されるが、高速走行或いはエンジン8の高回転域では動力分配機構16が定変速状態とされ専ら機械的な動力伝達経路でエンジン8の出力が駆動輪38a、38bへ伝達されて動力と電気との間の変換損失が抑制されて燃費が向上させられる。また、エンジン8の高出力域では動力分配機構16が定変速状態とされて無段変速状態として作動させる領域が車両の低中速走行および低中出力走行となるので、第1電動機M1が発生すべき電気的エネルギすなわちが第1電動機M1が伝える電気的エネルギの最大値を小さくできて、換言すれば第1電動機M1の保障すべき電気的反力を小さくできてその第1電動機M1や第2電動機M2、或いはそれを含む駆動装置10が一層小型化される。
【0043】
図10は、駆動装置10を手動にて変速操作するために用いられる手動変速操作装置すなわちシフト操作装置56の一例を示す図である。シフト操作装置56は、例えば運転席の横に配設され、複数種類のシフトポジションを選択するために操作されるシフトレバー58を備えている。そのシフトレバー58は、例えば図2の係合作動表に示されるようにクラッチC1およびクラッチC2のいずれもが係合されないような駆動装置10内つまり自動変速部20内の動力伝達経路が遮断されたニュートラル状態すなわち中立状態とし且つ自動変速部20の出力回転部材22をロックするための駐車ポジション「P(パーキング)」、後進走行のための後進走行ポジション「R(リバース)」、駆動装置10内の動力伝達経路が遮断された中立状態とする中立ポジション「N(ニュートラル)」、前進自動変速走行ポジション「D(ドライブ)」、または前進手動変速走行ポジション「M(マニュアル)」へ手動操作されるように設けられている。上記「P」乃至「M」ポジションに示す各シフトポジションは、「P」ポジションおよび「N」ポジションは車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであり、「R」ポジション、「D」ポジションおよび「M」ポジションは車両を走行させるときに選択される走行ポジションである。また、「D」ポジションは最高速走行ポジションでもあり、「M」ポジションにおける例えば「4」レンジ乃至「L」レンジはエンジンブレーキ効果が得られるエンジンブレーキレンジでもある。
【0044】
上記「M」ポジションは、例えば車両の前後方向において上記「D」ポジションと同じ位置において車両の幅方向に隣接して設けられており、シフトレバー58が「M」ポジションへ操作されることにより、「D」レンジ乃至「L」レンジの何れかがシフトレバー58の操作に応じて変更される。具体的には、この「M」ポジションには、車両の前後方向にアップシフト位置「+」、およびダウンシフト位置「−」が設けられており、シフトレバー58がそれ等のアップシフト位置「+」またはダウンシフト位置「−」へ操作されると、「D」レンジ乃至「L」レンジの何れかへ切り換えられる。例えば、「M」ポジションにおける「D」レンジ乃至「L」レンジの5つの変速レンジは、駆動装置10の自動変速制御が可能なトータル変速比γTの変化範囲における高速側(変速比が最小側)のトータル変速比γTが異なる複数種類の変速レンジであり、また自動変速部20の変速が可能な最高速側変速段が異なるように変速段(ギヤ段)の変速範囲を制限するものである。また、シフトレバー58はスプリング等の付勢手段により上記アップシフト位置「+」およびダウンシフト位置「−」から、「M」ポジションへ自動的に戻されるようになっている。また、シフト操作装置56にはシフトレバー58の各シフトポジションを検出するための図示しないシフトポジションセンサが備えられており、そのシフトレバー58のシフトポジションや「M」ポジションにおける操作回数等を電子制御装置50へ出力する。
【0045】
例えば、「D」ポジションがシフトレバー58の操作により選択された場合には、前記切換制御手段60により駆動装置10の変速状態の自動切換制御が実行され、ハイブリッド制御手段62により動力分配機構16の無段変速制御が実行され、有段変速制御手段64により自動変速部20の自動変速制御が実行される。例えば、駆動装置10が有段変速状態に切り換えられる有段変速走行時には駆動装置10が例えば図2に示すような第1速ギヤ段乃至第5速ギヤ段の範囲で自動変速制御され、或いは駆動装置10が無段変速状態に切り換えられる無段変速走行時には駆動装置10が動力分配機構16の無段的な変速比幅と自動変速部20の第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段の範囲で自動変速制御される各ギヤ段とで得られる駆動装置10の変速可能なトータル変速比γTの変化範囲内で自動変速制御される。この「D」ポジションは駆動装置10の自動変速制御が実行される制御様式である自動変速走行モード(自動モード)を選択するシフトポジションでもある。
【0046】
或いは、「M」ポジションがシフトレバー58の操作により選択された場合には、変速レンジの最高速側変速段或いは変速比を越えないように、切換制御手段60、ハイブリッド制御手段62、および有段変速制御手段64により駆動装置10の各変速レンジで変速可能なトータル変速比γTの範囲で自動変速制御される。例えば、駆動装置10が有段変速状態に切り換えられる有段変速走行時には駆動装置10が各変速レンジで駆動装置10が変速可能なトータル変速比γTの範囲で自動変速制御され、或いは駆動装置10が無段変速状態に切り換えられる無段変速走行時には駆動装置10が動力分配機構16の無段的な変速比幅と各変速レンジに応じた自動変速部20の変速可能な変速段の範囲で自動変速制御される各ギヤ段とで得られる駆動装置10の各変速レンジで変速可能なトータル変速比γTの範囲で自動変速制御される。この「M」ポジションは駆動装置10の手動変速制御が実行される制御様式である手動変速走行モード(手動モード)を選択するシフトポジションでもある。
【0047】
図11および図12は駆動装置10の断面のうちの2分割部分をそれぞれ示す図である。駆動装置10では、図13に示すように、第1軸心CL1、第2軸心CL2、第3軸心CL3の相対位置関係が設定されており、図11および図12により示される断面図は、それら第1軸心CL1、第2軸心CL2、第3軸心CL3を通るよに切断された断面が平面上に展開された図である。図13において、左右方向は車両前後方向であり、上下方向が垂直方向であり、紙面に垂直な方向すなわち第1軸心CL1、第2軸心CL2、第3軸心CL3に平行な方向が車幅方向である。第1軸心CL1および第3軸心CL3は相互の回転部材が干渉しない間隔であって略同じ高さに位置し、第2軸心CL2はそれら第1軸心CL1および第3軸心CL3の中間において相対的に高い位置に設定されている。
【0048】
図11および図12において、ハウジング12は、第1軸心CL1および第2軸心CL2の方向において4分割された蓋状の第1ケース部12a、筒状の第2ケース部12b、筒状の第3ケース部12c、蓋状の第4ケース部12dが図示しないボルトによって相互に締着されることにより油密に構成されている。通常、第1ケース部12a、第2ケース部12b、第3ケース部12c、および第4ケース部12dは、鋳造軽合金たとえばアルミダイキャストにより形成されている。
【0049】
第1ケース部12aは、図示しないボルトによってエンジン8にも締着されるものであり、第2ケース部12bのエンジン8側の開口を塞ぐようにその第2ケース部12bに固定される。第2ケース部12bは、その内部空間を第1軸心CL1側の空間と第2軸心側CL2の空間とに分割する第1軸心CL1方向に平行な分割壁80を一体に備えるとともに、その内部空間をエンジン8側の空間とエンジン8側とは反対側すなわちドライブギヤ19側の空間とに分割するために内周側へ突き出す支持壁82を一体に備えている。上記第1ケース部12aと第2ケース部12bとの間の空間内においては、第1軸心CL1まわりに第1電動機M1が収容され、第2軸心CL2回りにデフドライブギヤ84が収容され、第3軸心CL3まわりに終減速機36が収容されている。上記第1電動機M1のロータM1rは一対のベアリング86を介して第1ケース部12aと第2ケース部12bの支持壁82とにより回転可能に支持され、上記デフドライブギヤ84は一対のベアリング88を介して第1ケース部12aと第2ケース部12bの支持壁82とにより回転可能に支持され、上記終減速機36のデフケース32は一対のベアリング90を介して第1ケース部12aと第2ケース部12bにより回転可能に支持されている。上記デフドライブギヤ84は、大径歯車31と噛み合う環状の外周歯車部84aと、その内周面とスプライン嵌合されてその外周歯車部84aを支持する軸部84bとから構成されている。上記大径歯車31および外周歯車部84aも共に斜歯歯車である。
【0050】
上記第2ケース部12bの分割壁80は第1ケース部12a側へ突設されており、第1ケース部12aと第2ケース部12bとの間の空間が分割壁80によってデフドライブギヤ84が位置する空間である第5収容室89と第1電動機M1が位置する空間である第1収容室91とに分割されている。その分割壁80の先端は、第1ケース部12aとの間に、デフドライブギヤ84が位置する空間から第1電動機M1が位置する空間である第1収容室91内へ潤滑油の流通を許容する僅かな隙間Aを形成している。この隙間Aは、上記第1ケース部12aと第2ケース部12bとの間を第5収容室89と第1収容室91とに仕切る仕切壁である分割壁80を貫通して連通させる連通孔として機能している。重力にしたがって、第5収容室89内の作動油がこの隙間Aを通して第1収容室91へ供給される。
【0051】
また、上記第2ケース部12b内の第1軸心CL1側の空間であって支持壁82に分割されたエンジン8側とは反対側の空間内には、前記動力分配機構16が第1軸心CL1まわりに配設されている。
【0052】
第3ケース部12cは、前記分割壁80と同様にそれに連なる分割壁92を一体に備えているとともに、その内部空間のうちの第1軸心CL1側の空間であってエンジン8側の開口を塞ぐようにボルト94により着脱可能に固定された支持壁96と、1軸心CL1側の空間であってエンジン8側とは反対側の開口を塞ぐように一体に内周側へ突き出すように設けられた支持壁98とを備えている。この第3ケース部12c内の支持壁96と支持壁98との間の空間である第2収容室100には、第2電動機M2が第1軸心CL1まわりに配設され、そのロータM2rが一対のベアリング102を介して支持壁96および支持壁98により回転可能に支持されている。
【0053】
また、第3ケース部12cは、その内部空間のうちの第2軸心CL2側の空間であってエンジン8側とは反対側の開口を塞ぐように嵌め入れられ且つボルト94により着脱可能に固定された円板状或いは円形壁状のサポート部材104を備えている。このサポート部材104は、第1中間軸40および第2中間軸42を回転可能に支持する支持部材として機能するものであり、図示しないボルトによって着脱可能に固定されている。上記第3ケース部12c内の第2軸心CL2側においてサポート部材104と第2ケース部材12bの支持壁82との間に形成された空間である第3収容室106内には、前記自動変速部20が第2軸心CL2まわりに配置されている。
【0054】
そして、第3ケース部12cと第4ケース部12dとの間の空間である第4収容室108内には、互いに噛み合うドライブギヤ19およびドリブンギヤ21から成る連結装置23が収容されている。ドライブギヤ19は、支持壁98を境にして第2電動機M2とは反対側すなわち第4ケース部12d側に位置した状態でベアリング110を介して支持壁98から突設された筒状突起99により回転可能に支持され、ドリブンギヤ21はベアリング112を介してサポート部材104から突設された筒状突起105により回転可能に支持されている。
【0055】
第1軸心CL1上において順次配設されている入力回転部材14および伝達部材18は、互いに隣接する側の伝達部材18の軸端部が入力回転部材14の軸端部内に嵌め入れられることによって相対回転可能に嵌合されており、入力回転部材14はニードルベアリングを介して第1ケース部12aおよび伝達部材18のエンジン8側軸端により回転可能に間接的に支持され、伝達部材18はニードルベアリングを介して支持壁96および支持壁98により間接的および直接的に回転可能に支持されている。本実施例では、上記入力回転部材14および伝達部材18が第1入力軸および第2入力軸に対応している。第1入力軸の外周には、第1電動機M1および動力分配機構16が設けられ、第2入力軸の外周には第2電動機M2が設けられている。
【0056】
第1電動機M1のステータM1sは第2ケース部12bの内周面に嵌め着けられており、第1電動機M1のロータM1rは、一端に第1サンギヤS1が形成され且つ82を貫通する管状のサンギヤ軸114とスプライン嵌合されて、第1サンギヤS1と一体回転させられる。サンギヤ軸114は、入力回転部材14の外周面により相対回転可能に支持されている。また、入力回転部材14のエンジン8側とは反対側の軸端は、第1キャリヤCA1と一体的に連結されている。入力回転部材14は、第1キャリヤCA1と一体的に連結されているので、第1遊星歯車装置24或いは動力分配機構16の入力軸としても機能する。
【0057】
第1遊星歯車装置24の円筒状の第1リングギヤR1の内周面と伝達部材18の軸端部の外周面とにそれぞれスプライン嵌合してその第1リングギヤR1を支持するフランジ状或いは円板状の支持部材116が設けられており、第1リングギヤR1は伝達部材18と一体回転させられるようになっている。前記切換クラッチC0は、支持壁82と第1遊星歯車装置24との間に配置されて第1キャリヤCA1とサンギヤ軸114との間を選択的に連結し、切換ブレーキB0は、第1遊星歯車装置24の外側であってその第1遊星歯車装置24と第2ケース部材12bの内周壁との間に配置されてサンギヤ軸114と第2ケース部12bとの間を選択的に連結する。
【0058】
第2電動機M2のステータM2sはボルト117によって第3ケース部12cの内周面に固定されている。また、この第2電動機M2のロータM2rは、一対のベアリング102を介して支持壁96および支持壁98により直接的に回転可能に支持されている。前記軸状の伝達部材18は、支持壁98によって支持される部分からエンジン8側へ向かうに従って順次小径とされるとともに、第2電動機M2のロータM2r内を貫通し、その内周面とスプライン嵌合されて一体回転させられる。これにより、第1電動機M1および第1遊星歯車装置24が内部に組み付けられた第2ケース部材12bに対して、第2電動機M2を内部に組み付けた第3ケース部12cを組み合わせた後で、軸状の伝達部材18が挿入可能とされている。そして、この伝達部材18のエンジン8側とは反対側の軸端部には、ドライブギヤ19の内周面に固定された円筒状の連結部材118がスプライン嵌合されている。ドライブギヤ19は連結部材118を介して伝達部材18の軸端部に相対回転不能に嵌合されている。
【0059】
第2軸心CL2上には、第1中間軸40、第2中間軸42、出力回転部材22、デフドライブギヤ84がエンジン8側へ向かって同心に順次配設されている。第1中間軸40のエンジン8側とは反対側の軸端部には、ドリブンギヤ21の内周面に固定された円筒状の連結部材120がスプライン嵌合されている。前記自動変速部20を収容するために第3ケース部12cおよび第2ケース部12b内においてサポート部材104と第2ケース部材12bの支持壁82との間に形成された第3収容室106内は、サポート部材104側からドリブンギヤ21側へ向かうにしたがって順次小径とされ、自動変速部20がサポート部材104が無い状態で開口121から組み付け可能とされている。サポート部材104は第3ケース12cに対してインロー構造となっており、その軸方向および径方向の位置が精度良く定められて図示しないボルトにより着脱可能に固定されている。
【0060】
自動変速部20を収容する第3収容室106内には支持壁が設けられておらず、軸心方向寸法が可及的に短くされている。すなわち、第1中間軸40は、ニードルベアリング122を介してサポート部材104により回転可能に支持されるとともに、比較的長い第2中間軸42は、その第1中間軸40側の軸端が第1中間軸40の軸端に嵌合され且つブッシュ124を介して回転可能に支持されるとともに、そのデフドライブギヤ84側の軸端が、ニードルベアリング126を介して支持壁82により回転可能に支持された管状の出力回転部材22内に嵌め入れられ且つブッシュ128を介してその出力回転部材22により回転可能に支持されている。すなわち、自動変速部20では、その入力軸として機能する第1中間軸40とその出力軸として機能する出力回転部材22とがサポート部材104および支持壁82により回転可能に支持されるが、それら第1中間軸40と出力回転部材22との間の中間に位置する中間軸すなわち第2中間軸42はその両端部が第1中間軸40と出力回転部材22とにより回転可能に支持されることにより何ら支持壁等により支持されていない。このように、第2遊星歯車装置26、第3遊星歯車装置28、第4遊星歯車装置30を支持する第2中間軸42を支持するために支持壁等が用いられていないため、自動変速部20の軸心方向寸法が短縮される。
【0061】
サンギヤ軸114は上記第2中間軸42によって回転可能に支持されており、第1中間軸40と第2中間軸42との間には第1クラッチC1が、第1中間軸40とサンギヤ軸114との間には第2クラッチC2がそれぞれ設けられている。そのサンギヤ軸114には、第2サンギヤS2および第3サンギヤS3が一体的に設けられている。出力回転部材22は、第4キャリヤCA4と連結されており、デフドライブギヤ84の軸部84bとスプライン嵌合されている。また、ブレーキB3、ブレーキB2の摩擦板やピストンは、その外径がサポート部材104を取り外した開口121よりも小径であって、サポート部材104が無い状態で開口121から組み付け可能な寸法とされている。また、第1中間軸40の外周に予め組み立てられる第1クラッチC1および第2クラッチC2のサブアッシーの外径や、第2中間軸42の外周に予め組み立てられる第2遊星歯車装置26、第3遊星歯車装置28、第4遊星歯車装置30のサブアッシーの外径もサポート部材104を取り外した開口121よりもそれぞれ小径とされ、サポート部材104が無い状態で開口121から組み付け可能な寸法とされている。
【0062】
上記駆動装置10の組み立てに際しては、たとえば図14の工程図に示すように、先ず、第1ケース部12aと第2ケース部12bとが組み合わせられ、第1電動機M1、デフドライブギヤ84、終減速機36が、第1軸心CL1、第2軸心CL2、第3軸心CL3まわりの回転が可能に支持された状態で、第1ケース部12aと第2ケース部12bとの間に収容される。デフドライブギヤ84が自動変速部20とは独立に前もって組み付けられる(第1工程K1)。
【0063】
次に、第1ケース部12aと第2ケース部12bとの間の第1電動機M1に入力回転部材14が挿入されるとともに、第2ケース部12b内であって入力回転部材14のエンジン8側とは反対側の端部が突き出している空間内において、切換クラッチC0、切換ブレーキB0、サブアッシー状態の第1遊星歯車装置24が組み付けられる(第2工程K2)。なお、第1工程K1および/または第2工程K2は、以下の第4工程或いは第5工程の後に実行されてもよい。次いで、第2電動機M2が内部に組み付けられた第3ケース部(第2分割ケース部)12cが上記第2ケース部材(第1分割ケース部)12bに組み合わせられるとともに、軸状の伝達部材18が第2電動機M2および第1遊星歯車装置24に挿入される(組合せ工程、第3工程K3)。
【0064】
次に、第3ケース部12cの開口121を通して、第3収容室106の奥から順に、第3ブレーキB3のピストン、摩擦板、第2ブレーキB2のピストン、摩擦板が組み付けられた後、第2中間軸42の外周に予め組み立てられた第2遊星歯車装置26、第3遊星歯車装置28、第4遊星歯車装置30のサブアッシーが挿入され、次いで、第1クラッチC1および第2クラッチC2が挿入され、第1中間軸40が挿入される(変速部組入れ工程、第4工程K4)。この工程では、第4遊星歯車装置30の第4キャリヤCA4に連結されている自動変速部20の出力回転部材22が、スプライン嵌合により、第1ケース部12aと第2ケース部12bとの組み合わせにより既にそれらにより支持されているデフドライブギヤ84の軸部84bと相対回転不能に連結される。次いで、サポート部材104が第3ケース部12cに嵌め入れられて図示しないボルトにより固定される(支持部材取着工程、第5工程K5)。
【0065】
次に、ドライブギヤ19およびドリブンギヤ21がベアリング110および114を介して支持壁98およびサポート部材104に装着され、ドライブギヤ19と伝達部材18の軸端部とが連結部材118によって連結され、ドリブンギヤ21と第1中間軸40の軸端部とが連結部材120によって連結される。そして、第4ケーズ部12dがドライブギヤ19およびドリブンギヤ21を覆うように第3ケース部12cに固定される(第6工程K6)。
【0066】
駆動装置10では、第2ケース部12bの支持壁82内に設けられた油路を介して前記切換クラッチC0や切換ブレーキB0の油圧式差動制限装置や、自動変速部20のブレーキB2、B3等の油圧式摩擦係合装置に対して図示しないシフト制御弁から出力される係合用の作動油が供給されるようになっている。たとえば切換クラッチC0に対しては、図15に拡大して示すように、切換クラッチC0のピストン130に推力を付与するための油室132に作動油を供給するためのクラッチ用油路134が支持壁82内に形成されている。また、図16に拡大して示すように、たとえばブレーキB3の一対の第1ピストン136aおよび第2ピストン136bにそれぞれ推力を発生させるための油室138に作動油を供給するためのブレーキ用係合圧供給油路140が支持壁82内に形成されている。油室138内では、第1ピストン136aおよび第2ピストン136bは互いに当接して移動可能に設けられているが、第1ピストン136aと第2ピストン136bとの間の空間を、第1ピストン136aの背面は油圧が作用し且つ第2ピストン136bの前面は大気圧が作用するように分割する移動しない隔壁142が設けられ、油室138の断面積の約2倍の受圧面に基づく高い押圧力が得られるようになっている。
【0067】
また、駆動装置10では、第3ケース部12cの支持壁98やその第3ケース部12cに嵌め着けられるサポート部材104内に設けられた油路を介して各回転部や噛み合い部への潤滑油が供給されるようになっている。たとえば第1軸心CL1側に関しては、図11および図17に示すように、入力回転部材14および伝達部材18内には、第1軸心CL1に沿って形成された縦通油路146と、作動油を複数の予め定められた潤滑部位へ導くように径方向に形成された複数の径方向油路148とが設けられている。また、第3ケース部12cの支持壁98内には、たとえば図示しないレギュレータバルブからの潤滑油を導く潤滑油路150が形成されるとともに、伝達部材18には、その軸心方向の潤滑油路150の開口に対向する位置にその潤滑油路150と連通する径方向の潤滑油導入油路152が形成されている。この潤滑油路150およびそれに連通する潤滑油導入油路152は、第2電動機M2のロータM2rのエンジン8側とは反対側の支持部位であるベアリング115とドライブギヤ19を支持するベアリング110との間に位置させられている。
【0068】
上記潤滑油路150および潤滑油導入油路152から導入された潤滑油は、第2入力軸18内の縦通油路146で、第1遊星歯車装置24側とドライブギヤ19側との2方向へ分配されて導かれる。これにより、潤滑油路150および潤滑油導入油路152を通して縦通油路146内へ供給された所定圧の潤滑油は径方向油路148を通してベアリング86、第1遊星歯車装置24のキャリヤCA1、ベアリング110、各ニードルベアリング等の潤滑部位へ供給される。ドライブギヤ19を支持するベアリング110に対しては、径方向油路148と、連結部材118に径方向に貫通して形成された径方向油路154および筒状突起99に径方向に貫通して形成された径方向油路156とを通して潤滑油が供給される。
【0069】
差動機構を構成する第1遊星歯車装置24は、相対回転可能に嵌合する伝達部材18の軸端部と入力回転部材14の軸端部によって支持されており、それら伝達部材18および入力回転部材14の軸端部を径方向に貫通して相互に連通する径方向油路148aおよび148bが形成され、その径方向油路148aおよび148bを介して上記第1遊星歯車装置24,特に最も負荷が大きいキャリヤCA1とピニオンP1との間に対して縦通油路146内の潤滑油が供給されるようになっている。
【0070】
また、第2軸心CL2側に関しては、図12、図16、および図18に示すように、第1中間軸40、第2中間軸42、デフドライブギヤ84の軸部84b内には、第2軸心CL2に沿って形成されて連通する1本の縦通油路160と、作動油を複数の予め定められた潤滑部位へ導くように径方向に形成された複数の径方向油路162とが設けられている。サポート部材104内には、たとえば図示しないレギュレータバルブからの潤滑用の作動油を導く潤滑油路164が形成されるとともに、第1中間軸40には、その軸心方向の潤滑油路164の開口に対向する位置にその潤滑油路164と連通する径方向の潤滑油導入油路166が形成されている。これにより、潤滑油路164および潤滑油導入油路166を通して縦通油路160内へ供給された所定圧の作動油は径方向油路162を通してベアリング112、自動変速部20内の第2遊星歯車装置26、第3遊星歯車装置28、第4遊星歯車装置30、自動変速部20内の摩擦係合装置C1、C2、B1、B2、B3、ベアリング88、各ブッシュやニードルベアリング等の潤滑部位へ供給される。ドリブンギヤ21を支持するベアリング112に対しては、径方向油路162と、連結部材120に径方向に貫通して形成された径方向油路168および筒状突起105に径方向に貫通して形成された径方向油路170とを通して潤滑油が供給される。
【0071】
このように、サポート部材104の潤滑油路164からの作動油が第1中間軸40の長手方向の中間位置に設けられた潤滑油導入油路166から第1中間軸40および第2中間軸42内の縦通油路160へ作動油が供給されることから、ドリブンギヤ21側と自動変速部20側とへ2方向へ分配されるとともに、自動変速部20の潤滑を必要とする部位に設けられた径方向油路162までの距離が短縮されるので、回転軸の端部から潤滑油を供給する場合に比較して縦通油路160の断面を小さくなっている。
【0072】
上記縦通油路160内に作動油を供給するために第1ケース部12a内にも潤滑油路172が形成されており、特に一対のベアリング88を潤滑するために、デフドライブギヤ84の軸部84bの端部からその軸部84b内の縦通油路160内にその潤滑油路172から作動油が充分に供給されるようになっている。ドリブンギヤ21側のベアリング88および外周歯車部84aの歯面に対しては、軸部84bと第2中間軸42との間の隙間から出力回転部材22と軸部84bとの間のスプライン嵌合部を通して縦通油路160内の潤滑油が供給される。エンジン8側のベアリング88および外周歯車部84aの歯面に対しては、軸部84bのそのベアリング88に対応位置に設けられた径方向油路174、および外周歯車部84aの端面に形成された径方向の溝176を通して縦通油路160内の潤滑油が供給される。このため、サポート部材104の潤滑油路164からの潤滑油に加えて潤滑油が大量且つ安定的に供給される。
【0073】
上記デフドライブギヤ84において、外周歯車部84aは、その軸心方向の内周面のうちのエンジン8側の一部に形成されたスプライン歯Sdaを備え、軸部84bの外周面のうちエンジン8側の一部に形成されたスプライン歯Sdbとスプライン嵌合され、その軸心方向の内周面のうちのエンジン8側と反対側の一部が軸部84bの外周面のうちのエンジン8側と反対側の外周面と嵌合されて荷重ががたつきなく受けられるようになっている。この外周歯車部84aと一対のベアリング88との間には、一対のスラストベアリング178が介挿されており、その軸心方向の位置が定められるとともにその軸心方向の荷重が受けられるようになっている。
【0074】
また、駆動装置10では、第3ケース部12cに嵌め着けられたサポート部材104内に設けられた油路を介して入力用油圧式摩擦係合装置であるクラッチC1およびC2に対して係合用の作動油が供給されるようになっている。たとえばクラッチC1に対しては、図18に拡大して示すように、クラッチC1のピストン180に推力を付与するための油室182に作動油を供給するためのクラッチ用係合圧供給油路184がサポート部材104内に形成されている。
【0075】
本実施例の車両用駆動装置10によれば、第1電動機M1を収容する空間である第1収容室91とデフドライブギヤ84を収容する空間である第5収容室89との間の分割壁80を貫通する隙間(連通孔)Aが設けられていることから、デフドライブギヤ84を潤滑するためにそれに供給された潤滑油はそのデフドライブギヤ84を収容する空間から第1電動機M1を収容する空間へ隙間(連通孔)Aを通して図16の破線に示すように流出するので、第1電動機M1はその隙間(連通孔)Aからの潤滑油によっても冷却され、第1電動機M1の冷却性が高められる。
【0076】
また、本実施例の車両用駆動装置10によれば、第1電動機M1およびデフドライブギヤ84のエンジン8側が蓋状の第1ケース部12aにより覆われ、その第1ケース部12aに隣接して、その第1ケース部12aと共に第1電動機M1およびデフドライブギヤ84を収容する空間を形成する筒状の第2ケース部12bが設けられ、その第2ケース部12bには、デフドライブギヤ84が位置する空間である第5収容室89と第1電動機M1が位置する空間である第1収容室91とに分割する分割壁80が設けられ、その分割壁80と第1ケース部12aとの間に形成された僅かな隙間Aが連通孔として機能するので、ドリル切削等の機械加工により連通孔を分割壁80に形成する場合に比較して、第1ケース部12aと第2ケース部12bとを組み立てるだけで実質的に連通孔が設けられる利点がある。
【0077】
また、本実施例の車両用駆動装置10によれば、第2軸心CL2が第1軸心CL1よりも上側に位置するように車載されることから、デフドライブギヤ84を潤滑するためにそれに供給された潤滑油はそのデフドライブギヤ84を収容する空間から第1電動機M1を収容する空間へ隙間(連通孔)Aを通して図16の破線に示すように重力に従って流れ落ちるので、第1電動機M1はその隙間(連通孔)Aからの潤滑油の流量が多くなり、第1電動機M1の冷却性が一層高められる。
【実施例2】
【0078】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、前述の実施例および以下の実施例の間において相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
図19は、本発明の他の実施例の駆動装置186の要部を説明する要部断面図である。本実施例の駆動装置186は、前述の駆動装置10の連結装置23に替えて連結装置188が備えられている点で相違し、他は同様に構成されている。図19に示すように、連結装置188は、第1軸心CL1上において伝達部材18の端部に連結部材118を介して相対回転不能に連結されたドライブ側スプロケット190と、第2軸心CL2上において第1中間軸40の端部に連結部材120を介して相対回転不能に連結されたドリブン側スプロケット192と、それらドライブ側スプロケット190およびドリブン側スプロケット192に巻き掛けられた金属製或いは樹脂製の伝動ベルト194とを備えており、伝達部材18からの動力を第1中間軸40へ同じ回転方向で伝達するようになっている。本実施例においても前述の実施例と同様の効果が得られる。
【実施例3】
【0080】
図20は、本発明の他の実施例の駆動装置196の要部を説明する要部断面図である。本実施例の駆動装置196は、前述の駆動装置10に対して、デフドライブギヤ84と終減速機36の大径歯車31との間に、第1ケース部12aと第2ケース部12bとによりベアリング198を介して回転可能に支持されたアイドラギヤ200が介在させられている点で相違し、他は同様に構成されている。図20に示すように、本実施例では、第2軸心CL2と第3軸心CL3との間に、それらに平行な第4軸心CL4が設けられ、アイドラギヤ200はその第4軸心CL4まわりに回転可能に支持されるとともにデフドライブギヤ84と終減速機36の大径歯車31とにそれぞれ噛み合わせられ、アイドラギヤ200からの動力を終減速機36の大径歯車31へ同じ回転方向で伝達するようになっている。本実施例においても前述の実施例と同様の効果が得られる。
【実施例4】
【0081】
図21は、本発明の他の実施例の自動変速機212を備えた駆動装置210の構成を説明する骨子図であり、前述の実施例と同様にハウジング2内に収容される。本実施例の駆動装置210は、前述の図1の駆動装置10に対して、エンジン8が反対側に位置するように示されるとともに、連結装置23に替えて連結装置188が備えられ、デフドライブギヤ84と終減速機36の大径歯車31との間にアイドラギヤ200が介在させられ、自動変速部20に替えて2組の遊星歯車装置26、28を備えたラビニヨオ型の自動変速機212が備えられている点で相違し、他は同様に構成されている。
【0082】
すなわち、本実施例の自動変速機212は、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置26、およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置28を備えている。この第3遊星歯車装置28は、第3サンギヤS3、互いに噛み合う複数対の第3遊星歯車P3、その第3遊星歯車P3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR3を備えており、たとえば「0.315」程度の所定のギヤ比ρ3を有している。第2遊星歯車装置26は、第2サンギヤS2、第3遊星歯車P3のいずれか一つと共通の第2遊星歯車P2、第3キャリヤCA3と共通の第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第3リングギヤR3と共通の第2リングギヤR2を備えており、たとえば「0.368」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。この第2遊星歯車装置26と第3遊星歯車装置28とは、キャリヤ同士、リングギヤ同士が互いに連結されて共用化されている所謂ラビニヨ型となっている。なお、上記第3遊星歯車P3のいずれか一つと共通の第2遊星歯車P2の径或いは歯数は第2遊星歯車P2側と第3遊星歯車P3側で異なるものであってもよい。また、第3遊星歯車P3と第2遊星歯車P2、第3キャリヤCA3と第2キャリヤCA2、第3リングギヤR3と第2リングギヤR2とはそれぞれ独立に備えられてもよい。また、第2サンギヤS2の歯数をZS2、第2リングギヤR2の歯数をZR2、第3サンギヤS3の歯数をZS3、第3リングギヤR3の歯数をZR3とすると、上記ギヤ比ρ2はZS2/ZR2、上記ギヤ比ρ3はZS3/ZR3である。
【0083】
自動変速機212では、第2サンギヤS2は第2クラッチC2を介して第1中間軸40に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してハウジング12に選択的に連結され、第2キャリヤCA2および第3キャリヤCA3は第3クラッチC3を介して第1中間軸40に選択的に連結されるとともに第2ブレーキB2を介してハウジング12に選択的に連結され、第2リングギヤR2および第3リングギヤR3は出力回転部材22に連結され、第3サンギヤS3は第1クラッチC1を介して第1中間軸40に選択的に連結されている。本実施例においても前述の実施例と同様の効果が得られる。
【0084】
以上のように構成された駆動装置210では、例えば、図22の係合作動表に示されるように、前記切換クラッチC0、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、切換ブレーキB0、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2が選択的に係合作動させられることにより、第1速ギヤ段(第1変速段)乃至第5速ギヤ段(第5変速段)のいずれか或いは後進ギヤ段(後進変速段)或いはニュートラルが選択的に成立させられるようになっている。本実施例でも、動力分配機構16に切換クラッチC0および切換ブレーキB0が備えられており、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れかが係合作動させられることによって、動力分配機構16は前述した無段変速機として作動可能な無段変速状態に加え、1または2種類以上の変速比の単段または複数段の変速機として作動可能な定変速状態を構成することが可能とされている。従って、駆動装置10では、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れかを係合作動させることで定変速状態とされた動力分配機構16と自動変速機212とで有段変速機が構成され、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れも係合作動させないことで無段変速状態とされた動力分配機構16と自動変速機212とで無段変速機が構成される。
【実施例5】
【0085】
図23は、他の実施例の自動変速機214を備えた駆動装置216の構成を説明する骨子図であり、前述の実施例と同様にハウジング2内に収容される。本実施例の駆動装置216は、前述の図1に示した第1実施例の駆動装置10に対して、エンジン8が反対側に位置するように示されるとともに、自動変速部20に替えて自動変速機214が配設されている点で相違し、他は同様に構成されている。
【0086】
上記自動変速機214は、例えば「0.532」程度の所定のギヤ比ρ2を有するシングルピニオン型の第2遊星歯車装置26と例えば「0.418」程度の所定のギヤ比ρ3を有するシングルピニオン型の第3遊星歯車装置28とを備えている。第2遊星歯車装置26の第2サンギヤS2と第3遊星歯車装置28のサンギヤS3とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して第1中間軸40に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してハウジング12に選択的に連結され、第2遊星歯車装置26の第2キャリヤCA2と第3遊星歯車装置28の第3リングギヤR3とが一体的に連結されて出力回転部材22に連結され、第2リングギヤR2は第1クラッチC1を介して第1中間軸40に選択的に連結され、第3キャリヤCA3は第2ブレーキB2を介してハウジング12に選択的に連結されている。
【0087】
以上のように構成された駆動装置216では、たとえば図24に示す係合作動表に従って、切換クラッチC0、第1クラッチC1、第2クラッチC2、切換ブレーキB0、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2が選択的に係合作動させられることにより、第1ギヤ段(第1速段)乃至第4速ギヤ段(第4速段)のいずれか、後進ギヤ段、ニュートラルが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout )が各ギヤ段毎に得られるようになっている。本実施例でも、動力分配機構16に切換クラッチC0および切換ブレーキB0が備えられており、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れかが係合作動させられることによって、動力分配機構16は前述した無段変速機として作動可能な無段変速状態に加え、1または2種類以上の変速比の単段または複数段の変速機として作動可能な定変速状態を構成することが可能とされている。本実施例の駆動装置216は、前述の実施例と同様の効果が得られる。
【実施例6】
【0088】
図25は、他の実施例の自動変速機218を備えた駆動装置220の構成を説明する骨子図であり、前述の実施例と同様にハウジング2内に収容される。本実施例の駆動装置220は、図21に示した第4実施例に対して、自動変速機212に替えて自動変速機218が配設され、連結装置188に替えて連結装置23が設けられ、且つアイドラギヤが除去されている点で相違し、他は同様に構成されている。
【0089】
すなわち、上記自動変速機218は、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置26、およびシングルピニオン型の第3遊星歯車装置28を備えている。第2遊星歯車装置26は、第2サンギヤS2、互いに噛み合う複数対の第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、たとえば「0.461」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。第3遊星歯車装置28は、第3サンギヤS3、第3遊星歯車P3、その第3遊星歯車P3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR3を備えており、たとえば「0.368」程度の所定のギヤ比ρ3を有している。
【0090】
自動変速機218は、第1、第2ブレーキB1、B2、および第1乃至第3クラッチC1〜C3を備えており、第2サンギヤS2は、第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結され、第2キャリヤCA2と第3サンギヤS3とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して第1中間軸40に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してハウジング12に選択的に連結され、第2リングギヤR2と第3キャリヤCA3とが一体的に連結されて第3クラッチC3を介して第1中間軸40に選択的に連結されるとともに第2ブレーキB2を介してハウジング12に選択的に連結され、第3リングギヤR3が出力回転部材22に連結されている。本実施例では、前述の実施例4の図22に示す係合表にしたがって変速が行われる。本実施例の駆動装置220においても、前述の実施例4と同様の効果が得られる。
【0091】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0092】
例えば、前述の実施例の駆動装置10等は、動力分配機構16が差動状態と非差動状態とに切り換えられることで電気的な無段変速機としての機能する無段変速状態と有段変速機として機能する有段変速状態とに切り換え可能に構成されていたが、無段変速状態と有段変速状態との切換えは動力分配機構16の差動状態と非差動状態との切換えにおける一態様であり、例えば動力分配機構16が差動状態であっても動力分配機構16の変速比を連続的ではなく段階的に変化させて有段変速機のように機能させられるものでもよい。
【0093】
また、前述の実施例の動力分配機構16では、第1キャリヤCA1がエンジン8に連結され、第1サンギヤS1が第1電動機M1に連結され、第1リングギヤR1が伝達部材18に連結されていたが、それらの連結関係は、必ずしもそれに限定されるものではなく、エンジン8、第1電動機M1、伝達部材18は、第1遊星歯車装置24の3要素CA1、S1、R1のうちのいずれと連結されていても差し支えない。
【0094】
また、前述の実施例では、エンジン8は入力回転部材14と直結されていたが、例えばギヤ、ベルト等を介して作動的に連結されておればよく、共通の軸心上に配置される必要もない。
【0095】
また、前述の動力分配機構16には切換クラッチC0および切換ブレーキB0が備えられていたが、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の一方のみが備えられていてもよいし、両方とも備えられていなくてもよい。また、上記切換クラッチC0は、サンギヤS1とキャリヤCA1とを選択的に連結するものであったが、サンギヤS1とリングギヤR1との間や、キャリヤCA1とリングギヤR1との間を選択的に連結するものであってもよい。要するに、第1遊星歯車装置24の3要素のうちのいずれか2つを相互に連結するものであればよい。
【0096】
また、前述の実施例の駆動装置10等では、ニュートラル「N」とする場合には切換クラッチC0が係合されていたが、必ずしも係合される必要はない。
【0097】
また、前述の実施例の切換クラッチC0および切換ブレーキB0などの油圧式摩擦係合装置が、パウダー(磁粉)クラッチ、電磁クラッチ、噛み合い型のドグクラッチなどの磁粉式、電磁式、機械式係合装置から構成されていてもよい。
【0098】
また、前述の実施例では、駆動装置10はエンジン8以外に第1電動機M1或いは第2電動機M2のトルクによって駆動輪38a、38bが駆動されるハイブリッド車両用の駆動装置であったが、例えば、動力分配機構16がハイブリッド制御されない電気的CVTと称される無段変速機としての機能のみを有するような車両用の駆動装置であっても本発明は適用され得る。
【0099】
また、前述の実施例の動力分配機構16は、1組の遊星歯車装置から構成されていたが、2以上の遊星歯車装置から構成されて、定変速状態では3段以上の変速機として機能するものであってもよい。
【0100】
また、前述の実施例では、3つの遊星歯車装置26、28、30を有する自動変速部20が備えられていたが、前記特許文献1のように、1つの遊星歯車装置を有する減速機構が備えられていてもよく、4以上の遊星歯車装置が備えられてもよい。自動変速機の構造は前述の実施例のものに限定されず、遊星歯車装置の数や、変速段数、およびクラッチC、ブレーキBが遊星歯車装置のどの要素と選択的に連結されているかなどに特に限定はない。
【0101】
また、前述の図1、図21、図23、図25の実施例において、第2電動機M2および/またはクラッチC1が、第1軸心CL1或いは第2軸心CL2の方向においてドライブギヤ19或いはドリブンギヤ21の外側に配置されたものであってもよい。
【0102】
また、前述の実施例において、支持壁82、98はハウジング12に対して一体に設けられていたが、別部材が装着されたものであってもよい。また、支持壁96は別部材がハウジング12に固定されたものであったが、一体であってもよい。
【0103】
また、前述の第2電動機M2は、伝達部材18から駆動輪38a、38bに至る動力伝達経路のいずれの位置に設けられていてもよい。この場合、ベルト、ギヤ、減速機を介して直接に或いは間接的に作動的に連結されていればよい。
【0104】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の一実施例であるハイブリッド車両用の駆動装置を説明する骨子図である。
【図2】図1の実施例の駆動装置が無段或いは有段変速作動させられる場合における変速作動と、それに用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせとの関係を説明する作動図表である。
【図3】図1の実施例の駆動装置が有段変速作動させられる場合における各ギヤ段の相対的回転速度を説明する共線図である。
【図4】図1の実施例の駆動装置が無段変速状態に切換えられたときの動力分配機構の状態の一例を表している図であって、図3の共線図の動力分配機構部分に相当する図である。
【図5】図1の実施例の駆動装置が切換クラッチC0の係合により有段変速状態に切換えられたときの動力分配機構の状態を表している図であって、図3の共線図の動力分配機構部分に相当する図である。
【図6】図1の実施例の駆動装置に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。
【図7】図6の電子制御装置の制御作動の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図8】図7の切換制御手段において、無段制御領域と有段制御領域との切換制御に用いられる予め記憶された関係を示す図である。
【図9】図7の切換制御手段において用いられる予め記憶された関係を示す図であって、図8とは別の関係を示す図である。
【図10】図1の実施例の駆動装置を手動にて変速操作するために用いられるシフト操作装置の一例を説明する図である。
【図11】図1の駆動装置の縦断面を図12と共に詳細に示す図であって、その断面の半分を示す部分断面図である。
【図12】図1の駆動装置の縦断面を図11と共に詳細に示す図であって、その断面の半分を示す部分断面図である。
【図13】図1の駆動装置の横断面における第1軸心、第2軸心、第3軸心の相対位置関係を説明する図である。
【図14】図1の駆動装置の組立て工程の要部を説明する工程図である。
【図15】図11において第1電動機および第1遊星歯車装置付近を部分的に拡大して示す部分拡大断面図である。
【図16】図12においてデフドライブギヤ付近を部分的に拡大して示す部分拡大断面図である。
【図17】図11において第2電動機およびドライブギヤ付近を部分的に拡大して示す部分拡大断面図である。
【図18】図12においてドリブンギヤおよび自動変速機のクラッチC1およびC2付近を部分的に拡大して示す部分拡大断面図である。
【図19】本発明の他の実施例における連結装置の構成を説明する要部断面図である。
【図20】本発明の他の実施例におけるデフドライブギヤから終減速機までの動力伝達経路の構成を説明する要部断面図である。
【図21】本発明の他の実施例における駆動装置の構成を説明する骨子図である。
【図22】図21の実施例の自動変速機において、摩擦係合装置の係合作動の組み合わせにより達成されるギヤ段を説明する係合作動表である。
【図23】本発明の他の実施例における駆動装置の構成を説明する骨子図である。
【図24】図23の実施例の自動変速機において、摩擦係合装置の係合作動の組み合わせにより達成されるギヤ段を説明する係合作動表である。
【図25】本発明の他の実施例における駆動装置の構成を説明する骨子図である。
【符号の説明】
【0106】
8:エンジン
10:車両用駆動装置
12:トランスアクスルハウジング(ハウジング)
12a:第1ケース部
12b:第2ケース部
12c:第3ケース部
12d:第4ケース部
14:入力回転部材
16:動力分配機構(差動部)
18:伝達部材
20:有段式自動変速機(変速部)
24:第1遊星歯車装置(差動機構)
36:終減速機
80:分割壁(仕切壁)
84:デフドライブギヤ
89:第5収容室(空間)
91:第1収容室(空間)
A:隙間(連通孔)
M1:第1電動機
M2:第2電動機
CL1、CL2、CL3:第1軸心、第2軸心、第3軸心




 

 


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