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発明の名称 車両挙動制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1340(P2007−1340A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−180695(P2005−180695)
出願日 平成17年6月21日(2005.6.21)
代理人 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
発明者 渡部 良知
要約 課題
ヨーレートセンサのゼロ補正ずれによる不適切な挙動制御を防止しつつ、ヨーレートセンサのゼロ補正出力が得られない場合でも適切な挙動制御が行える車両挙動制御装置を提供すること。

解決手段
ヨーレートセンサ5を用いて車両の挙動制御を行う車両挙動制御装置であって、車両の停止中にヨーレートセンサ5のゼロ点出力を演算し(S30)、車両の走行中にヨーレートセンサ5のゼロ点出力を演算し(S26)、停止中のゼロ点出力と走行中のゼロ点出力との差が所定値を超える場合には停止中のゼロ点出力と走行中のゼロ点出力との差が所定値を超えない場合に比べて挙動制御開始しきい値を高く設定する(S48)。これにより、ヨーレートセンサ5のゼロ点補正が適切に行われていないおそれのある場合には、挙動制御開始しきい値が高く設定され挙動制御に入りにくくなり、不適切に挙動制御が行われることを防止できる。
特許請求の範囲
【請求項1】
ヨーレートセンサを用いて車両の挙動制御を行い前記ヨーレートセンサのゼロ点補正を行う車両挙動制御装置において、
前記車両の停止中に前記ヨーレートセンサのゼロ点出力を演算する停止中ゼロ点出力演算手段と、
前記車両の走行中に前記ヨーレートセンサのゼロ点出力を演算する走行中ゼロ点出力演算手段と、
停止中のゼロ点出力と走行中のゼロ点出力との偏差を演算するゼロ点出力偏差演算手段と、
前記停止中のゼロ点出力と前記走行中のゼロ点出力との偏差に応じて挙動制御開始しきい値を設定する挙動制御開始しきい値設定手段と、
前記偏差の初期値として前記車両のイグニッションオンから所定時間経過後における前記ヨーレートセンサの出力の絶対値を設定する偏差設定手段と、
を備えたことを特徴とする車両挙動制御装置。
【請求項2】
前記偏差設定手段は、停止中のゼロ点出力及び走行中のゼロ点出力が取得されるまで前記偏差の初期値の更新を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車両挙動制御装置。
【請求項3】
前記挙動制御開始しきい値設定手段は、前記停止中のゼロ点出力と前記走行中のゼロ点出力との偏差が所定値を超える場合には、その偏差が所定値を超えない場合に比べて挙動制御開始しきい値を高く設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両挙動制御装置。
【請求項4】
前記挙動制御開始しきい値設定手段は、前記停止中のゼロ点出力と前記走行中のゼロ点出力との偏差が大きいほど、挙動制御開始しきい値を高く設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両挙動制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヨーレートセンサを用いて車両の挙動を制御する車両挙動制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヨーレートセンサを用いて車両挙動を制御する装置として、特開平11−148828号公報に記載されるように、ヨーレートセンサのゼロ点補正を行うものであって、車両が停止状態にある期間中にヨーレートセンサの出力を微分し、その微分値に基づいて車両の回動を検出し、車両の回動期間中ではヨーレートのゼロ点補正を行わないようにするものが知られている。
【特許文献1】特開平11−148828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような装置にあっては、適切な挙動制御が行えないおそれがあるという問題点がある。例えば、上述した装置では、車両の停止中でしかヨーレートセンサのゼロ点補正が行えないため、補正頻度が少ない。このため、車両が連続走行している場合にはヨーレートセンサの補正が行えず、走行中にヨーレートセンサのゼロ点がドリフトした場合には適切な挙動制御が行えないおそれがある。
【0004】
一方、車両の走行中にヨーレートセンサのゼロ点補正を行うとすると、補正頻度が多くなるが、走行状態や路面状態などにより補正精度が悪くなり、誤補正するおそれもある。このため、適切な挙動制御が行えないおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、ヨーレートセンサのゼロ補正ずれによる不適切な挙動制御を防止しつつ、ヨーレートセンサのゼロ補正出力が得られない場合でも適切な挙動制御が行える車両挙動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る車両挙動制御装置は、ヨーレートセンサを用いて車両の挙動制御を行い前記ヨーレートセンサのゼロ点補正を行う車両挙動制御装置において、前記車両の停止中に前記ヨーレートセンサのゼロ点出力を演算する停止中ゼロ点出力演算手段と、前記車両の走行中に前記ヨーレートセンサのゼロ点出力を演算する走行中ゼロ点出力演算手段と、停止中のゼロ点出力と走行中のゼロ点出力との偏差を演算するゼロ点出力偏差演算手段と、前記停止中のゼロ点出力と前記走行中のゼロ点出力との偏差に応じて挙動制御開始しきい値を設定する挙動制御開始しきい値設定手段と、前記偏差の初期値として前記車両のイグニッションオンから所定時間経過後における前記ヨーレートセンサの出力の絶対値を設定する偏差設定手段とを備えて構成されている。
【0007】
また本発明に係る車両挙動制御装置において、前記偏差設定手段は、停止中のゼロ点出力及び走行中のゼロ点出力が取得されるまで前記偏差の初期値の更新を禁止することが好ましい。
【0008】
また本発明に係る車両挙動制御装置において、前記挙動制御開始しきい値設定手段は、前記停止中のゼロ点出力と前記走行中のゼロ点出力との偏差が所定値を超える場合には、その偏差が所定値を超えない場合に比べて挙動制御開始しきい値を高く設定することが好ましい。
【0009】
また本発明に係る車両挙動制御装置において、前記挙動制御開始しきい値設定手段は、前記停止中のゼロ点出力と前記走行中のゼロ点出力との偏差が大きいほど、挙動制御開始しきい値を高く設定することが好ましい。
【0010】
これらの発明によれば、停止中のゼロ点出力と走行中のゼロ点出力との偏差に応じて挙動制御開始しきい値を設定することにより、ヨーレートセンサのゼロ点補正が適切に行われていないおそれのある場合に挙動制御に入りにくくして不適切に挙動制御が行われることを防止することができる。また、車両のイグニッションオンの際の停止中のゼロ点出力と走行中のゼロ点出力との偏差の初期値としてヨーレートセンサの出力の絶対値を設定することにより、停止中のゼロ点出力及び走行中のゼロ点出力が取得できない場合であっても、ヨーレートセンサの出力に応じて挙動制御開始しきい値を設定することができ、適切な挙動制御が行える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ヨーレートセンサのゼロ補正ずれによる不適切な挙動制御を防止しつつ、ヨーレートセンサのゼロ補正出力が得られない場合でも適切な挙動制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は本発明の実施形態に係る車両挙動制御装置の構成概要図である。図1に示されるように、本実施形態に係る車両挙動制御装置は、車両に設置され、その車両の挙動状態を検出し、車両挙動を制御する装置である。
【0014】
車両挙動制御装置には、ECU(Electronic Control Unit)1が設けられている。ECU1は、装置全体の制御を行う電子制御ユニットであり、例えばCPU、ROM、RAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などにより構成される。
【0015】
また、車両挙動制御装置には、マスタシリンダ圧力センサ2、スロットル開度センサ3及び車輪速センサ4が設けられている。このマスタシリンダ圧力センサ2、スロットル開度センサ3及び車輪速センサ4は、それぞれECU1と接続され、検出信号をECU1に入力する。マスタシリンダ圧力センサ2は、マスタシリンダの圧力を検出するセンサである。スロットル開度センサ3は、スロットルバルブのスロットル開度を検出するセンサである。車輪速センサ4は、車両の車輪速を検出するセンサであり、各車輪の車輪速を検出する。
【0016】
また、車両挙動制御装置には、ヨーレートセンサ5、横加速度センサ6、前後加速度センサ7及び操舵角センサ8が設けられている。このヨーレートセンサ5、横加速度センサ6、前後加速度センサ7及び操舵角センサ8は、それぞれECU1と接続され、検出信号をECU1に入力する。ヨーレートセンサ5は、車両のヨーレートを検出するセンサである。横加速度センサ6は、車両の横方向の加速度を検出するセンサである。前後加速度センサ7は、車両の前後方向の加速度を検出するセンサである。操舵角センサ6は、ハンドルの操舵角を検出するセンサである。
【0017】
また、車両挙動制御装置には、ブレーキアクチュエータ10及びスロットルアクチュエータ20が設けられている。このブレーキアクチュエータ10及びスロットルアクチュエータ20は、それぞれECU1と接続され、ECU1から出力される制御信号に基づいて作動する。ブレーキアクチュエータ10は、ブレーキ油圧を調整するアクチュエータであり、マスタシリンダとホイルシリンダを接続する油圧配管の途中に設置されている。
【0018】
このブレーキアクチュエータ10は、例えば、油圧回路の接続を切り換えるソレノイド弁や油圧を上昇させるポンプ等を備えて構成され、各車輪のホイルシリンダに加わるブレーキ油圧を調整して各車輪にかかる制動力を調整可能とする。このブレーキアクチュエータ10としては、ホイルシリンダのブレーキ油圧を制御できるものであれば、いずれの構成、構造のものを用いてもよい。スロットアクチュエータ20は、スロットルバルブを開閉動作させるアクチュエータである。なお、この車両挙動制御装置において、スロットル開度センサ3及びスロットルアクチュエータ20を設けずに構成してもよい。
【0019】
車両挙動制御装置は、ヨーレートセンサ5のゼロ点補正を行う機能を備えている。すなわち、ヨーレートセンサ5の出力を検出し、その出力値をゼロ点として設定し、所定周期で更新して、ヨーレートセンサ5のゼロ点補正を行う。
【0020】
次に、本実施形態の車両挙動制御装置の動作について説明する。
【0021】
本実施形態に係る車両挙動制御装置は、車両状態を検出し、その車両状態に基づいて挙動制御開始条件が成立するか否かを判断し、挙動制御開始条件が成立したと判断した場合には挙動制御を開始する。例えば、操舵角、車速、車両のヨーレート、車両の横加速度の情報を各種のセンサの検出信号に基づいて取得し、それらの操舵角、車速、車両のヨーレート、車両の横加速度によって車両状態を検出する。そして、車両状態が所定の横滑り状態となったと判断した場合、車両の駆動力を低下させると共に、車両に所定の制動力を与えて車両の横滑りを抑制する挙動制御を行う。
【0022】
また、この車両挙動制御装置では、ヨーレートセンサ5のゼロ点補正処理を実行する。ヨーレートセンサ5の出力は、周囲温度の変化や経時変化などによってドリフトする。これにより、車両のヨーレートがゼロであるときのヨーレートセンサ5のゼロ点出力値が変動する。ゼロ点補正処理は、車両が旋回走行していない場合のヨーレートセンサ5の出力値をゼロ点出力値として設定し、随時更新する処理である。
【0023】
図2及び図3は、本実施形態に係る車両挙動制御装置における挙動制御開始しきい設定処理のフローチャートである。図2、3の制御処理は、例えば、イグニッションオン時からECU1によって所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0024】
まず、図2のS10に示すように、イグニッションオン(IGオン)されたか否かが判断される。イグニッションオンされていないと判断されたときには、制御処理を終了する。イグニッションオンされたと判断されたときには、カウンタ値Tがカウントアップされ、カウンタ値TとしてT+1が格納される(S12)。そして、S14に移行し、カウンタ値Tが設定値T1を超えたか否かが判断される。設定値T1は、予めECU1に設定される値であり、ヨーレートセンサ5の出力が安定する時間に応じて設定され、例えば1sec.に相当する値が設定される。
【0025】
S14にてカウンタ値Tが設定値T1を超えていないと判断されたときには、図3のS22に移行する。一方、S14にてカウンタ値Tが設定値T1を超えていると判断されたときには、ヨーレートセンサ5の出力YRの積算処理が行われる(S16)。この積算処理は、例えばヨーレート積算値YRA(n)として、ヨーレート積算値の前回値YRA(n−1)にヨーレート値YRを加算して行われる。
【0026】
そして、S18に移行し、カウンタ値TがT1+T2よりも小さいか否かが判断される。設定値T2は、予めECU1に設定される値であり、例えば0.5〜1.0sec.に相当する値が設定される。S18にてカウンタ値TがT1+T2よりも小さくないと判断されたときには、図3のS22に移行する。
【0027】
一方、S18にてカウンタ値TがT1+T2よりも小さいと判断されたときには、ヨーレートセンサ5における停止中のゼロ点出力と走行中のゼロ点出力との偏差Ydifとしてヨーレートセンサ5の出力YRの絶対値が設定される(S20)。出力YRの絶対値として、例えば、出力YRの平均値が用いられる。積算値YRAをカウンタ値Tから設定値T1を減じたもので除して、出力YRの平均値を演算し、その出力YRが偏差Ydifとして設定される。
【0028】
そして、図3のS22に移行し、車両が停止中であるか否かが判断される。例えば、各車輪の車輪速センサ4におけるMAX値がゼロである場合に車両が停止中であると判断される。また、変速機のシフトレバーがP(パーキング)レンジに入っていることを検出して車両が停止中であると判断してもよい。
【0029】
このS22にて車両が停止中でないと判断されたときには、走行中ゼロ出力値YR0Mの演算条件が成立しているか否かが判断される(S24)。走行中ゼロ出力値YR0Mは、車両の走行中におけるヨーレートセンサ5のゼロ出力値である。例えば、ヨーレートセンサ5の出力が所定の出力値より大きくなく、操舵角が所定の操舵角値より大きくない場合に、走行中ゼロ出力値YR0Mの演算条件が成立していると判断される。また、横加速度が所定の横加速度値より大きいこと、左右の車輪速の差が所定値より大きくないことなどを演算条件の一部としてもよい。
【0030】
このS24において走行中ゼロ出力値YR0Mの演算条件が成立していると判断されたときには、走行中ゼロ出力値YR0Mの演算処理が行われる(S26)。この走行中ゼロ出力値YR0Mの演算処理は、車両の走行中におけるヨーレートセンサ5の出力値をゼロ出力値YR0Mとして設定する処理である。例えば、ヨーレートセンサ5の出力値を所定時間間隔で複数回読み込み、その出力値の平均値を演算しゼロ出力値YR0Mとして設定する。そして、S28に移行し、走行中ゼロ出力フラグFMがセットされる。
【0031】
一方、S24において走行中ゼロ出力値YR0Mの演算条件が成立していないと判断されたときには、走行中ゼロ出力値YR0Mの前回値保持処理が行われる(S30)。この走行中ゼロ出力値YR0Mの前回値保持処理は、前回演算したゼロ出力値YR0Mを更新せずに保持する処理である。そして、S40に移行する。
【0032】
ところで、S22にて車両が停止中であると判断されたときには、停止中ゼロ出力値YR0Sの演算条件が成立しているか否かが判断される(S32)。停止中ゼロ出力値YR0Sは、車両の停止中におけるヨーレートセンサ5のゼロ出力値である。例えば、ヨーレートセンサ5が故障していないこと、ヨーレートセンサ5の出力値が所定の出力値より大きくないことが演算条件として設定され、ヨーレートセンサ5が故障しておらず、ヨーレートセンサ5の出力値が所定の出力値より大きくない場合に停止中ゼロ出力値YR0Sの演算条件が成立していると判断される。
【0033】
このS32において停止中ゼロ出力値YR0Sの演算条件が成立していると判断されたときには、停止中ゼロ出力値YR0Sの演算処理が行われる(S34)。この停止中ゼロ出力値YR0Sの演算処理は、車両の停止中におけるヨーレートセンサ5の出力値をゼロ出力値YR0Sとして設定する処理である。例えば、ヨーレートセンサ5の出力値を所定時間間隔で複数回読み込み、その出力値の平均値を演算しゼロ出力値YR0Sとして設定する。そして、S36に移行し、停止中ゼロ出力フラグFSがセットされる。
【0034】
一方、S32において停止中ゼロ出力値YR0Sの演算条件が成立していないと判断されたときには、停止中ゼロ出力値YR0Sの前回値保持処理が行われる(S38)。この停止中ゼロ出力値YR0Sの前回値保持処理は、前回演算したゼロ出力値YR0Sを更新せずに保持する処理である。
【0035】
そして、S40に移行し、停止中ゼロ出力フラグFSがセットされ、かつ走行中ゼロ出力フラグFMがセットされているか否かが判断される。この判断処理は、停止中ゼロ出力値YR0S及び走行中ゼロ出力値YR0Mを取得しているか否かを判断するものである。また、この判断として、停止中ゼロ出力フラグFS又は走行中ゼロ出力フラグFMがセットされているか否かを判断してもよい。
【0036】
S40にて停止中ゼロ出力フラグFSがセットされておらず、または走行中ゼロ出力フラグFMがセットされていないと判断された場合には、S44に移行する。この場合、ヨーレートセンサ5における停止中のゼロ点出力と走行中のゼロ点出力との偏差Ydifとしては、ヨーレートセンサ5の出力YRの絶対値が設定された状態となっている。
【0037】
一方、S40にて停止中ゼロ出力フラグFSがセットされ、かつ走行中ゼロ出力フラグFMがセットされていると判断された場合には、ヨーレートセンサ5における停止中のゼロ点出力と走行中のゼロ点出力との偏差Ydifとして、停止中ゼロ出力値YR0Sと走行中ゼロ出力値YR0Mとの差の絶対値が設定される(S42)。
【0038】
そして、S44に移行し、偏差Ydifが所定値A1を超えているか否かが判断される。所定値Aは、ECU1に予め設定される設定値である。偏差Ydifが所定値A1を超えていないと判断されたときには、挙動制御開始しきい値Thとして第一しきい値Th1が設定される(S46)。一方、偏差Ydifが所定値A1を超えていると判断されたときには、挙動制御開始しきい値Thとして第一しきい値Th1と第二しきい値Th2を加算したもの(Th1+Th2)が設定される(S48)。
【0039】
第一しきい値Th1及び第二しきい値Th2は、ECU1に予め設定される設定値であり、例えばそれぞれ正の値が設定される。これにより、偏差Ydifが所定値A1を超える場合には、偏差Ydifが所定値A1を超えない場合に比べて挙動制御開始しきい値Thが高く設定され、挙動制御に入りにくくすることができる。
【0040】
そして、S50に移行し、挙動制御処理が行われる。挙動制御処理は、車両の挙動状態が挙動制御開始しきい値Thを超えた場合に車両の挙動状態を制御する処理である。例えば、車速と操舵角から推定される車両の推定ヨーレートとヨーレートセンサ5により検出される実ヨーレートとの差が挙動制御開始しきい値Thを超えた場合に、車両の制駆動力を制御することにより、車両挙動の安定化が図られる。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る車両挙動制御装置によれば、イグニッションオンから十分に時間が経過している場合には、停止中のゼロ点出力値YR0Sと走行中のゼロ点出力値YR0Mとの差が所定値Aを超えており、ヨーレートセンサ5のゼロ点補正が適切に行われていないおそれのあるときに、挙動制御開始しきい値Thを高く設定して挙動制御に入りにくくする。これにより、不適切に挙動制御が行われることを防止することができる。
【0042】
また、車両の走行中であっても、所定の演算条件が成立した場合には、ヨーレートセンサ5のゼロ出力値を新たに設定して補正することができる。このため、ヨーレートセンサ5のゼロ出力値の補正を頻繁に行うことができ、ヨーレートセンサ5の出力が急激にドリフトした場合でも対応することができ、適切な挙動制御を確保することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、停止中のゼロ点出力値YR0Sと走行中のゼロ点出力値YR0Mとの差が所定値A1を超えた場合に挙動制御開始しきい値Thを高く設定して挙動制御に入りにくくしたが、停止中のゼロ点出力値YR0Sと走行中のゼロ点出力値YR0Mとの差に応じて挙動制御開始しきい値Thを設定してもよい。
【0044】
例えば、図3に示すように、停止中のゼロ点出力値YR0Sと走行中のゼロ点出力値YR0Mとの差(|YR0S−YR0M|)が大きくなるほど第二しきい値Th2を大きくする制御マップを設定しておき、この制御マップを用いて第二しきい値Th2を設定して挙動制御開始しきい値Thを設定する。この場合、停止中のゼロ点出力と走行中のゼロ点出力との差が大きいほど、挙動制御開始しきい値が高く設定され、挙動制御に入りにくくなる。これにより、不適切に挙動制御が行われることを防止することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る車両挙動制御装置によれば、車両のイグニッションオンの際の停止中のゼロ点出力と走行中のゼロ点出力との偏差の初期値としてヨーレートセンサ5の出力の絶対値を設定する。これにより、停止中のゼロ点出力及び走行中のゼロ点出力が取得できない場合であっても、ヨーレートセンサ5の出力に応じて挙動制御開始しきい値を設定することができ、適切な挙動制御が行える。
【0046】
例えば、停止中のゼロ点出力と走行中のゼロ点出力との偏差の初期値をゼロに設定すると、ヨーレートセンサ5の出力にドリフトを生じた場合に適切な挙動制御が行えない。また、偏差の初期値として大きな値を設定してしまうと、常に挙動制御が入りにくくなってしまう。一方、本実施形態に係る車両挙動制御装置では、偏差の初期値としてヨーレートセンサ5の出力の絶対値を設定することにより、その出力状態に応じて挙動制御開始しきい値が設定される。これにより、ヨーレートセンサ5の出力が小さいときには通常の制御しきい値が設定され、ヨーレートセンサ5の出力が大きいときに制御しきい値が大きく設定されて制御に入りにくくすることができる。従って、適切な挙動制御が行える。
【0047】
なお、上述した実施形態は、本発明に係る車両挙動制御装置の一例を示したものであり、本発明に係る車両挙動制御装置はこれに限られるものではなく、各請求項に記載される範囲を逸脱しない程度に変形したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係る車両挙動制御装置の構成概要図である。
【図2】図1の車両挙動制御装置における挙動制御開始しきい設定処理のフローチャートである。
【図3】図1の車両挙動制御装置における挙動制御開始しきい設定処理のフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る車両挙動制御装置の変形例の説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1…ECU、2…マスタシリンダ圧力センサ、3…スロットル開度センサ、4…車輪速センサ、5…ヨーレートセンサ、6…横加速度センサ、7…前後加速度センサ、8…操舵角センサ、10…ブレーキアクチュエータ、20…スロットルアクチュエータ。




 

 


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